1987年 11月
次の日、ヴァルフレアは所長として研究所に訪れどのような製品を作っているのか見る事にする。
ゼネルティーモからは聞かされたがこの研究所は主にビラ島で採れる薬草を元に薬を開発してるのだが今現在、どの様な製品を開発してるのか知らないので尋ねる事にしたのだ。
「今、開発を重視してるのはガン治療薬でございます
世界中多くの人々がガンで命を落としております。
そこで我々はこのビラ島で採れる薬草でガン治療に役立つ製品を開発しておるのです。
その他には頭痛薬や胃薬と言った物です」
「ガン治療薬か。
確かに多くの人々はガンによって命を落としてるし現在の医学では手に負えないガンもあるからな
画期的なガン治療薬を開発できれば大勢の人々も救われるだろう」
ゼネルティーモの説明を聞いてヴァルフレアはガン治療薬の必要性が強く感じた。
もしもガンの進行を抑制または消す事が出来る治療薬が出来たらどれだけの成果だろうか?
(今の医学にはそんな治療薬など存在しないし
もしもそんな画期的な治療薬が開発出来れば大きな手柄になるしアシュフォード家の再興に繋がるはずだ…!)
早速アシュフォード家の再興に繋がる手がかりを見つけたヴァルフレアはゼネルティーモに今どこまで開発が進んでるのか聞いてみる。
「…お恥ずかしい話なのですが…
実を言うとまだ開発に取り掛かっていないのです…」
「えっ?」
ゼネルティーモの言葉にヴァルフレアは目を丸くする。
開発をしてるのではないのか?
「正確には鍵となる薬草を見つけることが出来たのですが…
それを研究する為の資金や機材がないのです」
彼が言うには最近、新しい新種の薬草を見つけラボに持ち帰って調べてみるとガン細胞に対して効果がある成分があることが分かったのだがそれを研究する資金や機材がないのだ。
ゼネルティーモ始めとする研究員達はアンブレラ本部に資金と機材を入れて欲しいと要請したのだが「検討する」と言ってそれから何の音沙汰もないという…。
「えっと…それを頼んだのはいつだ?」
「かれこれ三か月は経っております
どうも上層部は我々の研究など興味が無いみたいです」
「馬鹿な…。ガン治療薬なんて最も研究すべき代物だろうに…。」
「上層部はどっちかというとウィルス研究に躍起になっておりますからな…」
アンブレラ社はスペンサー会長の意向で主にウィルス研究を重視しておりアンブレラ社の天才科学者ジェームス・マーカス博士は始祖ウィルスというウィルスを寝食を忘れて研究してると聞いた事がある。
その為にそれ以外の研究を上層部は見向きもしていないのだ。
(何故そこまでウィルス研究に重視するんだろうか?
スペンサー卿は一体何を考えてるんだろうか…)
ヴァルフレアとしてはウィルスよりガン治療薬の方がよっぽど世界の為になるし会社の利益にも繋がると思うが…。
「そのせいで思うように開発が進んでおらず困っているのです…。
上層部の連中はこの研究の重要性を分かっておらんのです!まったく腹立たしい!」
怒るゼネルティーモを宥めヴァルフレアはこのガン治療薬研究に大いに興味が注がれた。
そこでヴァルフレアはゼネルティーモの研究資金を出すパトロンになると言った。
勿論最初に会社に報告して資金と機材を出すならそれでいいが出さないならヴァルフレアの判断でアシュフォード家の金庫から資金を出す事にした。
「おお…! ヴァルフレア所長は我々の研究の価値を分かって下さるなんて感激でございます・・!!」
「あぁ…君達の研究は人類に必要な研究だからね。出来る限り支援をするよ」
大の大人が号泣する姿に若干引くがヴァルフレアはゼネルティーモの研究に投資する価値があると判断する。
必要な資金と資材を聞いたヴァルフレアは一旦研究室を後にし所長室に向かい部屋にある電話でアンブレラ本部に連絡する。
「それでこのビラ研究所に資金と資材をお願いしたいのですが…」
『その件に関しては以前にもゼネルティーモという者に検討すると伝えたはずだが?』
電話に出た相手は資金と資材を提供する部署のリーダーだ。
しかしその態度は悪くこっちの事はどうでもいいみたいな感じだった。
「お言葉ですがもう三か月も過ぎているのですよ?
いい加減に返事をもらいたいのですが?」
「いいかね? 多くの研究所が資金と資材を求めているのだよ。
我々はその中でわが社に利益を齎す研究所を見極めているのだよ
だから直ぐには返事は出来ない事を理解して欲しい」
「…分かりました。
ではこちらが何とかしますので出来るだけ早く解答をお願いします」
ガチャリと電話を切りヴァルフレアは思案する。
「やれやれ…あの様子ではこの研究所に資金と資材が回ってくることはなさそうだな…」
本部は残念ながらあてにならない。
やはり資金などの問題は自力で何とかするしかない。幸いアシュフォード家の財政はまだ余裕があるから当分の間は何とかなるだろう。
ただしもしも失敗したら取り返しが付かない危機に陥るが家の再興にリスクが付くのはやむを得ない。
(失敗は許されない…必ず成功させなければ!)
取り敢えず資金を用意するためにヴァルフレアの一日が終わった。
それから三日後アシュフォード家はゼネルティーモの研究のパトロンになり資金と資材といった設備の用意をした。
ゼネルティーモ達研究員は多いに喜び、早速発見した薬草を元にガン治療薬の開発に取り掛かったのである。
1988年4月
ヴァルフレアは19歳になった。
この島に配属されて半年が経過しその間に本部からは資金と資材が届いたが微々たるものだった事と本部からこのビラ島の最高責任者として統治を任された事だった。
とは言えやる事は変わらず研究所ではゼネルティーモのチームが一丸となってガン治療薬の開発を急ぎ基地では司令官として副官であるリドリオに支えられながら運営していった。
最初の頃と違って大分仕事に余裕が出来たのだがちょっとした問題が起きていた
「暇だな…」
そう暇が出来たのだ。
正直、ヴァルフレアがこの島で出来る事は研究所と基地がアレコレが欲しいと言ったらそれを本社と支社へ連絡して調達する。
逆に本社と支社がアレコレが欲しいと言ったらそれを送るとかいうものだ。
研究に関してはゼネルティーモ達の領分で自分が入れるものではなく基地に関しては知識はあれど、リドリオと比べれば劣るものだった。
研究所はゼネルティーモが、基地はリドリオがメインに動いてるのでヴァルフレアは下手に自分が指揮するよりは経験豊富な彼らをメインとして自分は縁の下の力持ちとして動くことにしている。
そしてそれが上手く行っているのでヴァルフレアは暇が出来たわけだ。
「ロバート。
この後の予定は?」
「はい。
この後のスケジュールはありませんし明日の予定もありません」
「そうか…」
ヴァルフレアは最近雇った秘書のロバート・ドーソンに今日のスケジュールを聞くが何もない事に溜息をつく。
「閣下はここ最近は働きづめでしたしこのような事は寧ろ良い事だと思います」
「そうだけど何も無いのはかえって苦痛だな…」
忙しすぎるのは苦痛だが何もないのも苦痛だった。
「ならば趣味に興じるのはどうでしょうか?」
「趣味か…そう言えば私はこれと言った趣味がないな…。」
今思えばヴァルフレアはコレと言った趣味が無かった事に気付く。
アシュフォード家の長男として勉学に励んできたが他の者達と違ってあまり遊んでこなかったからだ。
そのせいか趣味といったものは育たなかった。
「なら今からでも遅くはありません。
何か趣味を見つけましょう」
「そうだな…ロバートは何が趣味だ?」
「私は釣りが趣味でございます
閣下もどうですか?」
「釣りか…それならやってみるか」
ロバートから勧められて私邸に釣り道具があった事を思い出したヴァルフレアは早速私邸に戻ってロバートに教えられながら釣りを楽しんだ。
大きな魚が4匹も釣れたのでヴァルフレアはジーナと使用人達、秘書のロバートと一緒に魚料理で賑やかな食事をしたのだった。
数日後
ヴァルフレアは考え事をしながら私邸の周りを散歩していた。
「ふぅ…。ガン治療薬の開発は進んでるが実用化にはまだまだ掛かるそうだし
何か他の開発にも手を入れてみた方がいいだろうか…?」
アシュフォード家の資産からガン治療薬の開発は進んでるが実用化にはまだまだ時間が掛かると言われたヴァルフレアはガン治療薬の開発以外にも何か新しい製品の開発をするべきか悩んでいた。
ガン治療薬の開発には本社からは微々たる資金しか提供されず資金と機材はほとんどがアシュフォード家が出していた。
当然ながらかなりの出費で今のアシュフォード家には大きな痛手になりつつあった。
「ゼネルティーモ達が開発するガン治療薬は間違いなくアシュフォード家の再興の切っ掛けになるのは間違いない。
だけど資産がな…。」
今はまだ問題はないが二年ぐらいになると厳しくなるだろう…。
その為には何か新しい製品を開発して資金を調達しないといけないだろう。
だけどそんな都合の良い物なんてあるわけがなくヴァルフレアは大きな不安を抱えていた。
「参ったな…。我がアシュフォード家に融資してくれる銀行などあるだろうか…?
とにかく早いうちにに探さなければ…!」
ヴァルフレアは部屋に戻ろうと私邸の玄関まで歩いて行くとふと人影が見えた。
「♪~♪~」
鼻歌を歌いながら何やら鉢に水を掛けてるジーナが居た。
気になったヴァルフレアはジーナに近づき鉢を見てみるとハーブだった。
「これはヴァルフレア様。おはようございます」
背後にヴァルフレアが居る事に気付いたジーナは礼をして当主であるヴァルフレアに挨拶する
「お早うジーナ。今、散歩から戻ってきたところでね。
君が何やら作業してたもんだから気になってね」
「そうですか。今ハーブに水やりをしてる最中でして今日の夕飯に使おうとおもいまして」
「そうか。それは楽しみだ
所でそのハーブは?」
「これですか? これはラクーンシティにいる友人から送ってもらったものでして
先日ようやく届いたのです。種子も送ってもらったので栽培もしようと思います」
ジーナは嬉しそうに話す。
彼女の料理は絶品で食事に薬草といった香味料などを使うのだ。
「このハーブは先ほど話したラクーンシティに生えてる天然の薬草で町の人々はこのハーブを使った料理を作ったり時には薬として粉状にしたりと色々と応用が出来る優れたものなんです。」
「ふむ…薬か…。
こんなハーブにか」
このハーブはラクーンシティでは人々に広く使われてるらしい。
そしてこのハーブが薬になると聞いたヴァルフレアは興味を持ち幾つか研究用に貰いたいとジーナに告げて彼女は喜んでいくつかの緑・赤・青といった色が違うハーブを渡してくれた。
色が違うハーブはそれぞれ効果が違うらしく緑ハーブは傷薬として効果があり青は解毒作用、赤は他のハーブと組み合わせると効果を高めたり出来るそうだ。
それを聞いたヴァルフレアはこのハーブには何か大きな力があると思い始めた。
ジーナから受け取ったハーブを研究所に持っていきゼネルティーモにハーブの効果を話すと彼もまたハーブに何やら強い興味を持ったようだ。
「フム…。このハーブにこのような効果があるとはにわかに信じがたいですが調べてみる価値はありますな」
「そうかソレは良かった。
所で例のガン治療薬に関してはどこまで進んでる?」
「はい。ヴァルフレア様の支援のおかけで順調に進んでいますがまだ未知の成分の調整がありますので実用化まではまだ掛ります。」
「分かった。吉報を待ってるよ」
ゼネルティーモが研究室の奥に戻っていくのを確認したヴァルフレアは研究所を後にして私邸に戻って資金調達の為に銀行に電話しようと考えていた時だった。
部屋に備えてある電話がなったのだ。
「もしもし ヴァルフレアだ」
『ヴァルフレア司令官。
リドリオです。実は厄介な事がありまして…』
電話の相手は副官であるリドリオだった。
何やら問題が起きたようだ。
「どうしたんだ?
何か事故でも起きたのか?」
『いえ…事故ではなく先ほどヴィレーネ政府の関係者から電話がありましてヴァルフレア司令官と話があるとの事です』
「政府の者が?
何の用件だ」
『何の用件かは分かりませんが今から五日後にここに来るとの事でした
至急この基地に来てくれますか』
「分かった。直ぐに向かう」
ヴァルフレアは電話を切り運転手に基地に向かうように告げて訓練基地へ向かった。
アンブレラ・ビラ島訓練基地
「お待ちしておりました司令官。
どうぞこちらに」
出迎えたリドリオはヴァルフレアと共に司令官の自室に向かい先ほどの件で話し合う。
「リドリオ。
以前貴方はヴィレーネ政府はこのビラ島には来ることはないと聞いたがどういう事だ?」
「私も今回の事は初めてでして…連中は今までこの島に関しては何も言ってこなかったので…」
「そうか。それにしても一体何の用件で来るのだろうか?
我々はヴィレーネ政府に医療品は送っているが反乱軍に対して何の手出しもしてないと記憶してるが…」
「恐らくですがこの基地からUBCSを軍の応援として借りたいのではと思っています」
「UBCSを?何故だ?」
「実はこのところ政府軍である人民軍は反乱軍の勢いに押されていて先月に首都ヴィレネと同等の大きさを誇るバレシティがファシズム軍に占領されたのです。
人民軍はバレを奪還しようとしたそうですが逆に返り討ちにされました。
それだけではなく人民軍の士気は下がり続ける一方で脱走が相次いでいます。中にはファシズム軍に投降して人民軍に銃を向ける有様です」
リドリオが言うには人民軍は各地で反乱軍に押され続けており多くの兵士と兵器を失ってるそうだ。
友好国のソ連や中国、東側諸国の支援があるものの兵士達の士気は低く政府に対して嫌気が差しており脱走が相次ぎ反乱軍に投降してしまっているほどだ。
「ヴィレーネ政府、人民共産党は国民からの支持も低いです。
国民の食料といった生活用品の支給も上手くいってない中、共産党の幹部連中や軍の高官達は豊かな生活を続けています。
そんな状態で無理やり徴兵してますからますます支持を失ってるそうです」
「政府側の戦況は悪いとは聞いていたがそんな有様なのか…。」
ヴィレーネ政府の旗色の悪さが自分の想像以上だったことにヴァルフレアも驚いてしまう。
国民の支持が無い政府は脆い。遠からず共産政府が崩壊するのが目に見えていた。
「それで我々が持つUBCSを戦力として欲しいわけか…。
とはいえ言う事は決まってるが」
「それは?」
「勿論、拒否する。
そんな泥船とも言える政府と協力しても一緒に沈むだけだ。
例えUBCSを提供しても今の共産政府ではどの道敗北するに決まっているしUBCSは傭兵部隊だがアンブレラ社の資産だし彼らを犬死させるわけにもいかない。」
負けが見えている政府に協力しても価値が無い。
ヴァルフレアの判断にリドリオも賛成するが…。
「しかし、断ったら連中が何をしでかすか分かりません。
何しろ連中は今や崖っぷちですからね…」
「そこだな…。」
ヴィレーネの共産政府は追い詰められてる状態だ。そんな中であまり刺激を与えると逆上してこの島に攻め込んでくるかもしれないのだ。
「何とかのらりくらりと躱していくしかないな。
リドリオ、貴方に頼みたい事がある」
「何でしょうか?」
五日後。
ビラ島・アシュフォード家の私邸
「お忙しいところありがとうございます。
ヴィレーネ政府の使いのソモラと申します」
「いえいえ。
どうぞおかけになって下さい」
当主の部屋でヴァルフレアはヴィレーネ政府の要人と会談をしていた。
昨日の連絡通りヴィレーネ政府の要人はビラ島に訪れた。
政府の要人なので無下にはせず丁重に持て成し私邸で会談することにしたのだ。
「では回りくどい話は抜きにして早速要件に入りましょう。
ヴァルフレア殿、我々ヴィレーネ政府はこの島にいるUBCSという傭兵部隊をお借りしたいのです」
要人のソモラは単刀直入にUBCSを借りたいと告げた。
「UBCSをですか?
お言葉ですが彼らは私の兵ではなくアンブレラ社の兵ですので私の一存で勝手に貸し与えるのは出来ません…。どうしてもというならまず本社にお伺いしなければなりません。」
「貴方はこの島における最高責任者と聞いておりますが?
それなら貴方個人で判断しても良いはずです」
「まぁ確かにそう言われてますが私自身、まだ二十歳にもなってない若造ですよ。
責任者と言われてますが名誉職なものです。ですから勝手に私の一存で判断するわけには参りません
UBCSは傭兵部隊ですがそれでも立派なアンブレラ社の資産です」
ソモラは無表情でヴァルフレアを見つめるが気にせずにその後のソモラの要請をそれと無く躱していく。
「何度言われようと無理です。我々はあくまで研究をしてるだけです。
UBCSもビラ島の警備のためで他国の政治の問題に関与など出来ません」
「…このビラ島は我が国の領土ですが?」
「以前はです。
現在、ビラ島は我がアンブレラ社が租借しております。
確かに主権はそちらにありますが実質な統治権は我々アンブレラ社です。
そしてこのビラ島に如何なる行使は禁じると我々は貴方方の政府と契約もしております
何ならその契約書を今から持って来ましょうか?」
「……」
「アンブレラ社はその見返りに貴国に多大な援助もしました。
首都の開発の資金にその他のインフラ作成と整備の資金も出しました。
医薬品だって無料で提供しました。」
アンブレラ社はビラ島の租借の見返りにヴィレーネ国に多大の資金を提供してる。
長い内戦でボロボロになった首都を始めとした都市の復興費にインフラの為の資金の提供。
アンブレラ社の工場もあちこちに建てて大勢の労働者達の働き口も用意した。
事業の展開の為に投資した。
「貴方方アンブレラ社はこのヴィレーネ国の発展の為に途方もない援助をしてくれたのは存じております
しかし反乱軍がその努力を無に帰そうとしてるのです。
西側の
「お言葉ですがそのような状況を招いたのは
あんな国民の意志に反した政治などすれば反発されるのは当然では?」
「…アレは必要な処置でした。
「その結果が
先程も言いましたがこの状況は貴方方が招いた事です
貴方方が対処するべき問題です。」
「タダでUBCSを貸してほしいとは言いません。
同士書記長は高額な給料を払うとの事です」
(ここまで言ったのにまだ言うか…。)
「何の紙幣で払うおつもりですか?紙屑同然のヴィレペソですか?
ドルだって無いでしょう?」
「そ…それは」
始めてソモラの表情が強張る。
ヴァルフレアはチャンスと見た。
「(ここだ…!)無礼は承知ではっきりと申し上げます。
仮にUBCSを借りたとしても貴方方の敗北は決まってるのも同然ですよ
同士書記長を始めとした幹部達の逃亡の時間稼ぎの為に大事な社の資産を貸すなど出来ません」
「な…!?いくら何でも無礼ですぞ!!」
「事実でしょう。
我々が知らないと思っていますか?
書記長や幹部連中が他国の援助金を
それと我がアンブレラ社の援助金もですが」
「ゥ…」
ソモラは息を詰め小さく唸った。
ヴァルフレアはリドリオに頼んで徹底的に調べてもらったのだ。
彼は政府に顔が広いので直ぐに連中の
だが流石に度が過ぎる小遣い稼ぎにはヴァルフレアは呆れたが…。
「だけどセニョール・ソモラ、貴方は違う
幹部だった時、貴方は援助金を全て国の為に有効に活用してた。
他の幹部達と違って国家の為に尽力をしてきた事も知っています」
「!?」
「貴方は小遣い稼ぎに勤しむ幹部達が許せずにそれを正そうとしたがその行動に同士書記長に睨まれて幹部職だったのに窓際の閉職に回されたこともです」
それに貴方は分かってたハズです。私が拒否する事にもです。
これはあくまで私の考えですが書記長を始めとした幹部達は私との
「…。
…その通りですヴァルフレア殿
連中は目障りな私を始末したいからここに送り込んだのですよ…。どうあがいても失敗するこの交渉で…。
例え成功しても難癖をつけて私を極刑にするでしょう…。私はもう死んでるも同然なのですよ」
観念したのかソモラは乾いた笑いをしながら淡々と告げた。
彼はただ長い内戦でズタズタになった愛する祖国を立て直そうとしただけだった。
私欲に溺れる者達を正そうしただけだった。
しかしソレが報われずに人民の敵という謂れもない汚名を残して死ぬという結末が待っていた。
「セニョール・ソモラ
貴方程の愛国者が謂れもない理由で死ぬなんてあまりにも無念のはずです」
ですから私と
「はっ?」
「ソモラ殿
共産政府が長くない事は貴方も存じておるはずです
この内戦を終わらして貴方が愛するこのヴィレーネを立て直すべきです」
アンブレラの力なら間違いなくヴィレーネを良くすることが出来ます
「…」
いきなりの事の無言になるソモラだが少し考え、
「…分かりました。
最早共産党に未来などありません
私などの力が必要なら喜んでお貸ししましょう」
「これからもよろしくお願いします
セニョール・ソモラ」
こうしてソモラは政府に見切りをつけてアンブレラ社もといヴァルフレアに着くことを選んだのだった。
ヴァルフレアは何とかして一つの難局を乗り越える事が出来た。
ソモラ
ヴィレーネ出身の50歳の男性。
かつてヴィレーネ人民共産党の幹部で内戦で疲弊した国家を立て直す為に他国の援助金を上手く活用し首都を始め次々と復興させた手腕の持ち主。
そんなある日、偶然幹部達が援助金の着服を目撃しそれを正そうとしたが同じく援助金を着服していた書記長に謂れもない理由を付けられ幹部職を剥奪され閑職に追いやられた。
閑職に追いやられても愛する祖国の為に尽力するがそれを目障りと思った書記長に幹部達に悉く無下にされてしまう。
内戦で日々壊れていく祖国を見て歯嚙みする中、書記長に呼び出されビラ島に存在する傭兵部隊(UBCS)を自軍に引き入れろと命じられるが「ビラ島はアンブレラ社の租借地なので拒否される」と説得したが聞き入れらず渋々と交渉人としてビラ島に向かうがこの任務は自分を処刑するための謀略だと分かっていたが今更どうすることもの出来なかった。
当然ながらヴァルフレアに拒否され己の最期を悟ったがヴァルフレアは彼の人柄と手腕を気に入りアンブレラ側に着かないかとの取引され共産政府に未来が無いと分かっていたソモラは政府に見切りをつけてヴァルフレア側に着いた。
ヴィレーネ人民共産党
1919年に設立された政治組織。
当時ヴィレーネはチリから独立運動が高まっており設立から一年後の1920年には独立戦争が始まり共産党も独立戦争に参戦するようになった。
しかしその頃はファシズム主義を掲げるヴィレーネ国家社会主義戦線が勢いがあり独立戦争はファシズム派が盟主になり共産党も思想の違いがあるものの独立のためにファシズム派と共同戦線を張った。
そして1929年に独立派が戦争に勝利したが今度はファシズム派との国家運営と思想の違いで徐々に仲違いするようになり1939年にファシズム派は共産主義を全面禁止とした。それに反抗して共産党は武力決起しファシズム派率いる政府軍と全面戦争となる。
当初は豊富な支援を受け取った政府軍が有利だったが第二次世界大戦で枢軸国が敗戦すると一転政府軍は弱体化していく。それを好機と見た共産党はソ連の支援を受け取り各地で政府軍を撃退していき1953年には首都ヴィレネを制圧し国家の実権を握った。
実権を握った共産党はソ連や中国を参考に企業を次々と国有化や土地の接収、資産家から財産を没収し財閥も解体する。しかしその結果、各地で国民のヘイトを買ってしまい思うように政策は進まないようなっていく。
1963年には国家発展の為に中国の大躍進政策を元にした政策を行ったが技術不足や知識不足によって大失敗してしまいヴィレーネ国は多くの数千人規模の餓死者を出してしまう。
この一連の政策で共産党は支持率を失い国民は政府に対して反乱を起こしてしまう事態となった。
また汚職の問題も大きかったのも一因である。