ゾラーノ・バルザール
今、最も勢いがあるVUFの指導者である。
「初めまして。アンブレラ・ビラ島の責任者を務めておりますヴァルフレア・アシュフォードと申します。」
まずは互いに自己紹介をして椅子に座りこれからの事を話し合う。
「セニョール・ヴァルフレア。
ソモラから聞いているが我々の大義に手を貸してくれるそうですな」
椅子にドカリと座り葉巻を吸いながらヴァルフレアを見つめてる。
武装組織のトップとしての威圧感にヴァルフレアは呑まれそうになるが何とか気を取り直して椅子に座りゾラーノと向き合う。
「はい。今のヴィレーネはゾラーノ司令官ではなければこの先ずっと混乱するだけです」
「ハッハッハッハ!
随分と俺を買ってくれるな。まぁまずは一杯といこうか」
ヴァルフレアの言葉に気分を良くしたのかゾラーノはラム酒をコップに注ぎヴァルフレアに渡す。
酒を渡されたヴァルフレアは毒が入っているのかで恐怖するが殺す気ならとっくにやってるだろうと考えグイっと酒を呑んだ
「ふぅ…」
「ガッハッハッハ!! 良い呑みっぷりだったぞ!
我が祖国が誇るこのスパイスが効いたラム酒は絶品だろう。
共産野郎どもを片付けたら国中に造酒所を造って世界中に輸出してガッポリ稼ぎたいものだ」
ヴァルフレアの呑みっぷりを気に入ったゾラーノは更に気分を良くした。
(情報ではゾラーノ司令官はかなりの酒好きだから一気に飲んだのは正解だったみたいだな…。
おかげでこちらを気に入ってみたいだ)
度数が高い酒にヴァルフレアはふらつきそうになるがゾラーノの機嫌を悪くするわけにはいかないので何とか堪えた。
「旨い酒をありがとうございます。
それでは司令官、早速取引と参りましょう」
「そうだなヴァルフレア。
それで? 俺にどんな事を望むんだ? 何を齎してくれるんだ?」
「先程も言いましたが我々アンブレラ社は貴方にこのヴィレーネを統治してもらいたいのです。
ご存じでしょうが人民共産党は最早このヴィレーネを率いていくのは不可能です。
私が所属するアンブレラ社はこの国に多大な援助をしましたが共産党、書記長を始め党の幹部達は自分達の私腹を肥やす事だけしか考えていません。その証拠に彼らはアンブレラ社に更に資金を出せと言っています。
このような連中に任せておけばヴィレーネは崩壊するだけです。そんな事になったらわが社の投資は全て無駄になります。そのような事は望んでおりません。」
「だから共産党の屑共に代わって俺がヴィレーネを導いて欲しいという訳か。」
「はい。VUFは勢いがあり司令官自身も国民から人気が高い。次の王はゾラーノ司令官の他にありません
我々アンブレラ社は慈善団体ではありません。わが社の利益も考えており相手との信頼関係を壊すような
ヴァルフレアはゾラーノの機嫌を損ねないように慎重に言葉を選びながらも自分達を敵に回すのは危険だとも伝える。
「……」
ゾラーノは考える。
アンブレラ社は世界に君臨する巨大企業でかのアメリカもアンブレラ社にはあまり強く言えない影響力を持っている。
(ヴィレーネの再興にはアンブレラ社の援助があれば大いに助かる・・・!
連中の協力があれば憎きあの共産主義者共を打倒することもできる。
それに
アンブレラ社の後ろ盾があれば自身が理想とする国家社会主義をこのヴィレーネで作る事が出来る。
(共産主義はゴミだが民主主義もゴミである! 国家社会主義、すなわちこのゾラーノの理想こそ全てなのだ!)
ゾラーノが作り上げるヴィレーネは人々が軍隊がゾラーノに従い餓えや病に苦しむ事がない楽園といえる国家。
もう一つは世界が、特にアメリカ合衆国がヴィレーネに手出しが出来ない程の強大な軍事国家に作り上げる事だ。
そんな国を作り上げるのは途方もない資金が必要だろう。
勿論、福祉を始めとした医療やその技術も必要だ。
アンブレラ社はその両方を持っている。ゾラーノにとっては正に渡り船とも言える今回の会談は絶対に成功させなければならない。
「勢いがあると言っても人民軍と比べると支援が薄いのでアンブレラ社が我が軍に支援してもらえるのは有難い。
そして我々がヴィレーネを手に入れたらその見返りは何を望むのだ?」
「我が社としてはまずビラ島の租借と不可侵の条約をこれからも続けてもらう事と本島における我がアンブレラ社の市場を優先的に取引してもらう事です。
この二点を守ってもらえれば我々はVUFの支援を行いゾラーノ司令官が
「それならば守っていこう。その代わりに我々が政権の座に就いた際は貴殿らアンブレラ社の資金と技術をこのヴィレーネを優先的に使ってほしい。
特効薬や治療などといったものだ。そして資金の援助も行ってもらいたい。」
「分かりました。」
「有難い。現在我が軍は武器を始め物資が不足している。
以前は今までの支援者の支援で何となったが今はVUFは大勢力になったので全体に回らなくなった。
そのおかげで我々は政府軍に対して有効な戦略が打ち出せないでいる。
セニョール・ヴァルフレア。これらの問題を何とか出来ないだろうか?」
ヴィレーネ統一戦線が今悩ませてるのが武器・弾薬や医療品といった物資が不足している事だ。
いまや大勢力なったヴィレーネ統一戦線は今までの支援では到底賄いきれなかった。
そのためどこかが自分達に大きな支援ができる者を探していたのだ。
「分かりました。
現在必要な物のリストを渡してもらえば有難いです」
「それなら既に用意してある。
最も必要なのは医療品や銃弾だがな」
ゾラーノは側近が持っていたリストをヴァルフレアに渡す。
読んでみると医療品と弾丸がとても不足しているようだ。
「分かりました。出来るだけ早めに用意いたしましょう」
「おお! 引き受けてくださるか!
本当に有難い。」
「では取引成立ということで宜しいと?」
「勿論だとも我々を支援してくれるというのなら貴方方が望む取引もやろう
では新たな同盟を祝して一杯いこうか」
トクトクとゾラーノは自分のコップとヴァルフレアのコップにラム酒を注ぎ乾杯する。
「これからも良き関係を」
カチンとコップを当てて酒を呑み干した。
こうしてヴァルフレアはVUFと同盟関係を築いてヴィレーネを手中に収める計画が着々と進んだのだった。
取引を終えたヴァルフレアは直ぐにビラ島に戻りVUFに必要な物資を送るためにある人物に電話した。
「・・・という訳でVUFに支援を送るために力を貸してもらえないでしょうか?
『ヴィレーネか…。
ふむ…クレムリンはもうあの島国には愛想が尽きてるが…しかしファシストを支援するのは我々の立場上難しい。』
「確かに国家としてならそうです。なら
大佐の伝手で誰かいませんか?」
ヴァルフレアが電話してる相手はソビエト連邦の大佐でありアンブレラとの関係が深いセルゲイ・ウラジミール大佐である。
アレクシアの葬式で何か力を貸してほしい時は連絡をしてくれと言われたのでソ連軍で高い地位にいるセルゲイ大佐に電話したのである。
『確かに私には伝手はある。だがファシスト共を支援して我がソビエトに何の価値があるのかね? 』
「勿論、利益はあります。」
『それは?』
「大佐、ヴィレーネはまだ数多くの資源が眠っていることはご存じでしょうか?」
『勿論、知ってるとも
ソビエトはその資源を手にしようと多額の支援を行ったが現地の共産党の懐に入ってしまったがね』
ソ連はヴィレーネに眠る豊富な資源に目を付けてヴィレーネ政府に多額の援助を行ったが政府の連中はその資金を自分の懐に納めてしまっただけではなくソ連に勝手させないとアメリカはヴィレーネの反政府軍に資金援助をして資源採掘を妨害した。
そのせいで共産党政府は資源開発をしてる場合ではなくなり各地で暴れる反政府ゲリラの対処に追われる事になりソ連もヴィレーネ政府に内心怒りがあるもののアメリカにヴィレーネを渡すわけにはいかないので渋々ヴィレーネ政府に軍事援助をしなければならなかった。
しかし共産党政府の無能ぶりにソ連は愛想が尽きてしまい支援も以前と違って大幅に減らしてるので政府はそのせいで四苦八苦してる。反政府軍に反撃が思うように出来ない状態なのだ。
「ならばそんな連中を切り捨てて思想が違えども扱いやすい連中のほうがソ連にとっても助かるでしょう。
VUFの司令官のゾラーノは大の反米で民主主義を嫌っています。
アメリカに対抗するためと自分の理想実現の為にならソ連だろうがアンブレラだろうが手を組む男です。」
「そうか。だが使える男なのかね?そのゾラーノという男は」
「少なくとも今の政府よりはずっと使えるでしょう。少なくとも彼は私腹を肥やすよりは自身の理想を叶える事と祖国の発展を重視してますから」
ゾラーノは自身の考えこそが正しいと思っている。自己中心的な男で権力の座に付けば典型的な独裁者になるだろう。
だが馬鹿ではないのでこちらを最大限利用しようと考えており同時に自分に出来る見返りも用意する男だ。
ゾラーノとうまく付き合っていけば必ず利益が大きいとヴァルフレアは考えてる。
「……君がそこまで言うならそのゾラーノとやらの援助を行おう。」
「本当ですか!?」
「勿論。ただし…その見返りに君は
「えっ…? 失礼ですがその意味は?」
「フフ、いずれ分かる。
では連中が必要とするものを近々送ろう」
意味深な言葉と共にセルゲイは電話を切った。
それにしてもアンブレラの頼み…?
一体どういう事だろうか?
(私はアンブレラの一員だから会社の指示は守るつもりだが… 大佐は一体何を伝えたいのだろうか?)
疑問が晴れることは無かったがセルゲイ大佐、つまりソ連の支援を受け取る事が出来たのだから良しとしよう。
ヴァルフレアはそう考えていつもの仕事に戻った。
しかし彼はまだ知らない…。
セルゲイが言ったアンブレラの頼みの意味を知る事になったのはそう遠くないことだった。
1989年 12月
ゾラーノとの会談から半年…
ソ連の息のかかった武器商人によって大量の軍事物資を受け取ったゾラーノ率いるVUFは攻勢を開始した。
次々と政府の支配地域を奪取していきその勢いは人民軍にはもう止められず各地で敗走した。
そしてVUFは遂に首都ヴィレネの目前まで迫っていった。
共産党政府の要人達は人民軍に首都を死守するよう厳命し自分達は逃げ出す準備を行っていた。
1989年 12月10日 午前8時
VUFは首都ヴィレネに攻勢を開始する。後にヴィレネの戦いと呼ばれる戦いが始まった。
人民軍は建物や地下通路を駆使してVUFに対抗しVUFはそれらの攻撃に多数の死者を出しながらゆっくりだが確実に敵を殲滅しながら首都を支配していった。
1989年 12月 30日
VUFが国会議事堂を制圧。
同日、人民軍は全面降伏し戦いは終わった。
そして逃げ出そうとする政府の要人達はアンブレラからの情報を受け取っていたVUFによって逃走ルートを全て制圧されて次々と捕縛された。
国のトップであった書記長も首都から逃亡しようとしたが周囲にはVUFに囲まれており最早逃げ切れないと悟り絶望した書記長は議事堂から離れたセーフルームに自身と共に避難してた妻子を銃で殺害し自室に戻り手にした拳銃で自身の頭部を撃ち抜き自殺した。
残った側近達も自分達に待ち受ける運命に絶望しており書記長に続くように自殺した。
後に残ったのは護衛と書記長達を世話をしていたメイド達で彼ら彼女は書記長達の自殺から一時間後セーフルームに来たVUFに保護された。
こうして21年に渡る内戦は反政府軍の
1990年 1月3日 ビラ島・アシュフォードの私邸
「そうか。ゾラーノ司令官は遂に勝ったんだな」
『えぇ。首都ヴィレネを完全に制圧して市民達はゾラーノ司令官を始めVUFを大喜びで迎え入れてます。
そして旧政権の書記長はセーフルームで妻と子供を殺した後自室で自分の頭を撃って死んだそうです。
政権の幹部達もVUFに捕まったりまたは自殺したとの事です』
ヴァルフレアはソモラから電話で戦いの結果を聞いて胸を撫でおろした。
(良かった…。これでビラ島は安泰だ。
後はゾラーノを怒らせないように立ち回らないとな)
同盟関係であるゾラーノが勝利したことでビラ島は本島に攻撃される危険性はほぼ無くなったと言える。
しいて言うならビラ島が再び危機に晒されるのはゾラーノと決別した時だろう。
『それでゾラーノ
「何かあるのか?」
何か言いよどむソモラにヴァルフレアは何かあったのか?と気になる。
『そのゾラーノ総統はヴァルフレア閣下にも政権を支える一人として内閣に入って欲しいとの事で…』
「えっ…!」
ソモラの言葉にヴァルフレアは混乱する。
内閣に入ってくれ? それって政治家としてこのヴィレーネを支えて欲しいという事か?
「いやちょっと待ってくれ…。
私はまだ20歳になった若造で政治のイロハなんてないし何より外国人だぞ…。
ヴィレーネの人々は不審がるだろう…。」
確かに自分はヴィレーネの安定の為にゾラーノ氏を支援したがそれはあくまでビラ島に侵攻される危機を防ぎたかったためで政治には特に口出しする気がない。
『私もゾラーノ総統を説得したのですが…ヴァルフレア閣下には政治アドバイザーとして自分と共に国家を支えて欲しいとの一点張りで…』
「待て待て…! そうは言うが私は外国人だぞ…。 ゾラーノ氏が納得しても他の者が納得しないだろう…」
『その点ですが総統はヴァルフレア閣下を【国家特別選出議員】として迎え入れるそうです』
「・・・その【国家特別選出議員】というのはなんだ?」
『国家特別選出議員というのは国のトップが身分関係なく有能な人材を政権に入れるための制度です。
相手が外国人でもまだ年若い人物でも国のトップが決めたならそれらは関係なく国家の議員として活動できます』
「なるほど…。
ゾラーノ総統は自分を目に付く場所に置いておきたいという事か」
ヴァルフレアはゾラーノがどうして自分を内閣に入れたいのか何となくだが分かってきた。
簡単にいえばゾラーノは自分を監視しておきたいのだ。アンブレラがゾラーノに敵対する組織に援助出来ないようにするだけではなくアンブレラからの出資もスムーズに行えるようにする為だ。
『総統も我々が好き勝手に出来ない様に監視するわけですね…。
それでどうされますか?』
「已むを得ない。ゾラーノ総統の要請に答えよう。
せっかくビラ島に迫る危険性を排除したのに彼の機嫌を悪くするわけにもいかない。
内閣を発足するのは二日後だな。ゾラーノ総統に伝えてくれ。貴殿の要請に答えると」
『分かりました』
そうして電話が切れヴァルフレアは大きく溜息をついた。
(やれやれ…思ったより大事になってきたな…。)
まさか内閣に組み込まれる事になるとは流石にヴァルフレアもこれは予想が出来なかった。
とは言えゾラーノが自分に頼む事と言えば恐らく金に関するものだろう…。
「ならこっちは島の資源開発に一口噛ませて貰おう。それぐらいは要求したっていいはずだ」
ヴィレーネは資源が豊富なのに今まで碌に開発されてこなかったので手付かず状態なのだ。この資源開発にアシュフォード家にも関わらせてもらって実利を手にしようと考える。
「とにかく準備を終わらせておくか…。」
ヴァルフレアは二日後に備えてスケジュールを立てて着ていく服も選ぶ事にしたのだった。
1990年 1月5日
首都ヴィレネ
首都ヴィレネの戦いが終わって一週間が経過した。
都市のあちこちが瓦礫と化しておりそれを復興しようと建設会社が汗水流して作業している。
「町中、滅茶苦茶だな…。コレを元通りするのに何年掛かるだろうか…」
国会議事堂を目指した車の窓から見るヴィレネに残る傷跡を見てヴァルフレアはぼやく。
このヴィレネだけではなく国中が内戦によってズタズタにされてしまった。全てを元通りにするのに途方もない時間が必要だろう。
(内戦はゾラーノ総統が率いるVUFが勝利したけど各地にはVUF以外の反政府組織がいるけど彼らはゾラーノ総統に従うだろうか?)
この国の反政府組織は
それぞれが己が思想の為に戦ってきている…そんな彼らが反政府組織の中で最も大きく力があるVUF、ゾラーノに大人しく従うとは思えない…。
ゾラーノがこの国の実権は握ったが内戦は未だに終わってはいないのだ。
「っと…考えていたらもう国会議事堂に着いたか…。
さて…いよいよ新政府の樹立がされるわけだ」
議事堂の前には大勢の市民が集まっておりゾラーノの声援が響き渡る。
ヴァルフレアは車に降りると兵士が来て案内すると言われたので大人しく着いていき関係者しか入れない通路を渡り議事堂の中に入ると中は大忙しだった。あちこちで人が歩き渡り軍の将軍らしき人達が何やら話し合っている。
兵士に案内されて二階に上りドアの前で兵士がノックすると「入って良い」という声が聞こえた。
兵士はヴァルフレアにどうぞと言いヴァルフレアは部屋に入室する。
「待っていたぞ。ヴァルフレア」
部屋に居たのはゾラーノだった。
「ゾラーノ総統。本日はお呼びしてもらってありがとうございます。」
「そう畏まらなくていい。私と君は最早兄弟同然だろう」
「いえ…
「その国家元首が畏まらなくて良いと言ってるんだ。
私が此処にいるのは君が私に多大な援助をしてくれたからさ」
ニカニカと笑顔を浮かべながらゾラーノはヴァルグレアの肩をパシパシと叩く。
フレンドリーな対応にヴァルフレアは愛想笑いを浮かべながら対応する。
「挨拶はこれまでにして、早速本題に入ろうか?
今日私が君を読んだ理由は既に知っているな?」
「ソモラから聞きましたが私が政権に入って欲しいとの事でしたね…? 国家特別選出議員として。
失礼を承知ですが本当に私を政権に入れるのですか? 私はまだ二十歳の若造ですよ?」
「勿論本気だ。私自身は君は優れた才能の持ち主だと思っているからこそ国家特別選出議員として君を政権に迎え入れたいのさ
あと年齢を気にしてるが私自身、まだ32歳だぞ。世間から見れば私だって若造だ。だから気にすることは無いさ」
「はぁ…」
ゾラーノは笑いながら年齢など気にするなと言う。それにしてもゾラーノがまだ32歳なのは驚きだった。
(確かに若干30代で国家元首になるのは今時珍しいな…。)
「何より君はかのアンブレラ社の幹部であり太いパイプの持ち主だからな。
アンブレラの協力が欲しい時に君がすぐ近くに居てくれるのも有難い。さらに言えば我が革命に協力してくれた礼でもある」
「そうですか…。つまり私にも国家の利権に噛ませてくれるのですか?」
「勿論だとも。例えば資源開発の多くの利益を君を与えるつもりだ。
そしてヴィレーネを楽園にするには君の力も必要だ」
「・・・」
ヴァルフレアは考える。ゾラーノが自分を内閣の一員に迎える理由は監視の為だろう。
自分の不利益になるかもしれない存在を監視しておく・・・。だけど同時に自分の味方に居てもらいたいという考えもあるのだろう。
そして内閣の一員になるという事は未だに存在してる反政府組織の標的にもなるという事だ…。
だけど島の利権に噛ませてくれるのなら大きな利益にもなるしアシュフォード家に莫大な財を齎せてくれるかもしれない。
そう考えるとリスクはあるがメリットがかなり大きい…。断るほうが今後の不利益の方が大きい。
「分かりました。このヴァルフレア・アシュフォード
ゾラーノ総統とヴィレーネの為に尽力いたします」
「おお! 引き受けてくれるか!
有難う! 共にこのヴィレーネを楽園に導こうじゃないか!!」
ゾラーノはヴァルフレアの手を掴んで大きく振り喜びを見せた。
こうしてヴァルフレアはアンブレラ社の幹部の肩書だけではなくヴィレーネ政府の内閣の一員としての肩書も手に入れたのだった。
ゾラーノ・バルザール
1958年に首都ヴィレネで誕生
32歳
VUFの指導者であり現在はヴィレーネ国の総統。
バルザール家はヴィレーネ独立の為に戦った名門でありファシズム政権でも総統と強い結びつきが強かった。
父親は総統の盟友であり軍の最高司令官でもあった。
しかし共産党率いる人民軍に敗戦し息子であるゾラーノの目の前で首を斬り落とされ市街にその首を晒された。
その出来事でゾラーノは共産主義を激しく憎悪し父親の支持者に匿られるながら復讐の時を待ち続けた。
そして共産党政府の失政で各地で反乱軍が結成していく中、ゾラーノのまた1978年にファシズム派のヴィレーネ統一戦線に入隊する。この時ゾラーノは20歳だった。
一兵士として実戦を積んでいき徐々に指導者としての才能が開花していき更に10年後の1988年にVUFの司令官・指導者となる。
そして1989年にヴァルフレア(アンブレラ社)の支援を受け取って遂に憎き共産党政府を滅ぼす事に成功した。