その事がゾラーノに気に入れられたのか外国人でありながら国家特別選出議員として内閣の一員として迎えられる。
1990年 4月13日
ヴァルフレアは21歳になり内閣の一員となって数か月が経った。
現在ゾラーノ内閣が力を入れてるのはヴィレーネの復興だ。
知っての通りヴィレーネは長い年月による内戦で国中が荒れ果てていた。ヴィレーネは独立して以来、内戦に次ぐ内戦を繰り返してきた国家で平和だった時期など殆んどなかった。
その為に国中が内戦によってズタズタにされており国家の中枢である首都ヴィレネですらインフラが何十年もボロボロで汚染された水道や電力が足りず頻繁に停電が起きる、市民だって今日の食い扶持を得るだけで精いっぱいで都市中にホームレスがいる。そのせいでヴィレネは頻繁に強盗や殺人が起きるといった事が跡を絶たずギャングと麻薬組織といった犯罪組織が幅を利かせやりたい放題なのだ
都市部すらこうなのだ…。農村といった地方などは国民の90%があばら小屋や掘っ立て小屋といった家に住み貧困に喘いで餓死者が続出していた。
インフラは壊滅しており国民の大半は生水を飲んでソレが原因で酷い下痢に襲われたり亡くなったりせっかく作った作物が国に回らなかったりと問題点が多すぎた。
そのため首都の復興は最低限に各地の復興が優先された。
その中でヴァルフレアはアンブレラ社からアンブレラ・ヴィレーネ支社の代表になるように言われ、そのままヴィレーネ支社の代表となった。
支社の運用する全権を任されたのでヴァルフレアは早速、アンブレラ社とアシュフォード家のコネを使って資金を始め医療品や食料支援、ゼネルティーモが開発したBG‐001を国内に無償で提供しBG-001で得た資金もヴィレーネ復興の為に使用した。
莫大な資金と物資は部下であるソモラが効率よく運用してくれたので少しずつだがヴィレーネの復興は進んでいき市役所や学校、診療所や病院といった施設をヴィレーネ各地で建てた。
そのおかげかゾラーノ政権を始めアンブレラ社を支持する声と感謝する声が沸き上がっていった。
ただ良い事だけではなかった…。
やはりというかゾラーノ政権を快く思わない反政府ゲリラ達が攻撃を始めたのだ。彼らは
彼らの言い分は「ゾラーノは独裁を強めヴィレーネ人の自由と言論を奪い挙句の果てに外国勢力の言いなりになってヴィレーネを私物化している!」というものだった。
確かにゾラーノは野党の活動を禁止したり自身に歯向かう者を投獄したり追放するなどとしているが・・・だからと言ってせっかく修復したインフラや施設を破壊するのはどうかしているだろう。
それらの行いのせいで人民解放軍は国民に支持されるどころか逆に毛嫌いされ疎まれる存在になってしまっている。
勿論、ゾラーノは人民解放軍の行いに激怒し新しく設立されたヴィレーネ国防軍を出動させた。
ヴァルフレアも国防軍の支援として自身の指揮下に入っている傭兵部隊U.B.C.S.とアンブレラ社保安警察であるU.S.S.を送り込んだ。
(※これはヴァルフレアがアンブレラ本部から指示された事で仕方なく配下であるU.B.C.S.とU.S.S.を出動させた。)
国家から豊富な援助を受けてる国防軍とアンブレラ社の私兵軍はあっという間に人民解放軍のゲリラ達を蹴散らし連中は散り散りとなってジャングルの奥地に逃げ去った。
これで当分の間は安全になったので政府とアンブレラ社は国家再建へと再び動き出したのだった。
1990年 5月20日
内閣の一員として目まぐるしい日々を送ってあっという間に一月が過ぎた。
現在ヴァルフレアは久しぶりに休暇を取りビラ島の私邸にてノンビリしていた。
「お休みの中、失礼いたします
閣下、アルフレッド様がお越しになられました」
「何? アルフレッドが?」
ソファから起き上がりヴァルフレアは玄関まで歩いて行く。
「兄さん! 久しぶりだね!」
一年ぶりに再会する成長した弟のアルフレッドがいた。
「アルフレッド! 久しぶりだな。
来るなら茶菓子を用意してたのに…」
「ゴメン兄さん。
ビックリさせてやろうと思って連絡せずに来たんだ。」
アルフレッドは一年ぶりに再会する兄を驚かせようと秘密でこのビラ島に来たという。
ヴァルフレアはそんな弟の茶目っ気に呆れながらもいつまでも玄関に居るのはアレなので自室に移動した。
「えっ!! この国の政府の一員になっただって!!
でも兄さんはその・・・外国人だよね…?」
自室に入った二人は互いのこれまでの事を話した。
その中でヴァルフレアはアルフレッドに自分はヴィレーネの政府の内閣の一員なったと聞いてアルフレッドは仰天する。
アルフレッドの驚きも当然だった。 一年前の兄はこの島のアンブレラ社の研究所と訓練基地の統括する責任者だったはずだったのにいつの間にかこの国の政治家になってるのだから。
「いや・・・確かに今の内閣の連中に多くの援助はしたけどまさか政治家になるとは自分でも驚いてるよ・・・。」
「だ…だけどこれは凄いよ! 最初の頃と比べると大出世じゃないか!
国家の利権とか絡めるんだから家の再興は目と鼻の先だよ!!」
「そうだな…。
言われてみれば私も凄い出世したもんだな…」
アルフレッドに言われてヴァルフレアは初めてこの島に来た事を思い出す。
「あの頃は・・・正直に言えば家の再興は諦めてたんだ…。
こんな島で何をやればいいんだ?ってな…」
この島に来て直ぐに思ったのは自分はアンブレラ社に期待されてないと残酷な現実を思い知らされた。
たいした設備がない研究所に出世と無関係な訓練基地にヴァルフレアは最早アシュフォード家の再興は諦めてた。
しかしゼネルティーモの研究を聞いて微かな希望の光が見えた。彼の研究が成功すれば自分の評価が良くなるじゃないかと思った。
だから少なくない自費を出してヤケクソ気味だったが何とか成功させようと手間暇を惜しまなかった。
それでも日に日に少なくなっていく資産を見て恐怖に震えていた。何せ失敗したら破産は確実で絶望しかなかったのだ。
(だけどあのハーブとの出会いで全てが変わった)
あの日ジーナが見せてくれたあのハーブ・・・。
凄まじいポテンシャルをもったハーブがヴァルフレアを破産の恐怖の日々から救ってくれた。
ゼネルティーモとそのチームが開発したBG-001によってアシュフォード家に莫大な財を齎してくれた。
「本当にハーブ様々だよ」
ヴァルフレアは紅茶を飲んで一息をつく。
「私の事はこれぐらいだな。アルフレッドはどうだ」
「僕は・・・実はアンブレラ社から声が掛かってある研究所の所長になってくれと言われたんだ」
「本当か! 何処に行くんだ?
アークレイ研究所か? それともヨーロッパの研究所か?」
アルフレッドの言葉に喜びを隠せないヴァルフレア。
一体何処の研究所なんだろうか?
自分は左遷同然でこのビラ島に配属されたが弟のアルフレッドは良い場所に配属されたなら兄としてとても嬉しい。
そんなヴァルフレアの喜びを見たアルフレッドは気まずそうな表情で自分が配属される研究所を言う。
「僕が配属されるのはロックフォート島にある研究所なんだ…。兄さん知ってるかな…?」
元気が無さそうにに言うアルフレッドだがそれを聞いたヴァルフレアは・・・。
「・・・えっとそれは何処にある島なんだ…?」
サッパリ分からなかった…。
ロックフォート島・・・? えっ?何処?
「うん…。
兄の反応に予想してたアルフレッド。
「私が知らないって当たり前だろう? 聞いた事もないぞ…?」
ヴァルフレアは自身の記憶から探ってみるがロックフォート島なんて聞いた事がない…。一体何処にある島なんだろうか…?
「アンブレラ社から渡された資料がコレなんだけど」
アルフレッドから資料を受け取りそれを読んでみる。
まずロックフォート島とは太平洋に南にある孤島でそこにはアンブレラ社が保有する研究所とUSSの訓練所に刑務所があるようだ。
ロックフォート島の正確な位置を割り出してみると・・・
「これは・・・! ヴィレーネからそう遠くない位置にあるじゃないか!」
船で行けば30分ぐらいだろうか。意外と近い場所にそんな孤島があったとは…。
「実は上層部から兄弟二人で頑張って会社に利益を齎してくれとか言われたんだ」
「私と?」
「うん…。僕をロックフォート島に配属したのはそういった理由みたいだ」
「そうか…」
兄弟で頑張ってくれか…
言葉は綺麗だが実際は違う・・・。自分と同じくアルフレッドも会社から窓際に追いやられたんだ。
お前達兄弟には用はない
暗にそう言ってるに等しい…。
アルフレッドは口にはしてないが自分は窓際に追いやられたという自覚をしてるはずだ。
兄としてなんて言うべきだろうか…。
「兄さん心配しないでくれ。
僕だってアシュフォード家の男だ。逆に成果を上げてやるさ」
ヴァルフレアの気持ちを読んだのかアルフレッドは何ともないように胸を張った。
逆に慰められたヴァルフレアは恥ずかしくなりながら済まないと謝る。
「アルフレッド…いいか
何かあったら直ぐに私に相談してくれ。私は金はあるし軍隊すら動かせる」
アルフレッドはヴァルフレアにとって最後の肉親である。父母は亡くなり妹のアレクシアも非業の死を遂げてしまった…。
家族を失うのはもう御免だった。
「分かった。兄さん有難う」
アルフレッドも兄の気持ちを理解しており感謝する。
同時に自慢の兄なら自分を必ず助けてくれると確信してた。
アルフレッドだけではない。ジーナやハーマンを始めとした使用人達も必ず守り抜く・・・!
そうヴァルフレアは決意した。
1991年 8月15日
国会議事堂 ヴァルフレアの部屋
「
「はい。工作員によれば連中はデア・イテナ地方で大規模な攻撃を目論んでいるそうです」
「あれだけ痛め付けたのにまだやる気か…」
休暇が終わりヴァルフレアは再び政府の一員として動いていた。
そんなある日、部下から以前蹴散らしたVPLAが再び動き出すとの報告を聞く。
「どうも連中が早く立ち直った
「なに? 革命軍が人民解放軍を支援したというのか?」
報告を聞いてヴァルフレアは耳を疑った。
自由ヴィレーネ革命軍は独裁からヴィレーネを解放し選挙といった民主主義で国家を良くしていこうという思想のもと米国を始めとした西側諸国の援助を受け取って旧政権である共産党政府との闘争を繰り広げていた組織だ。
革命軍は
最後まで勢いがなく最終的にゾラーノ総統率いるVUFが政府に勝利したが民主主義を掲げる革命軍にとってゾラーノ政権は決して認めるわけにはいかなかった。
革命軍はゾラーノ総統の呼びかけに一切応じずにそのまま山奥に身を潜めていたのだ
そんな彼らが民主主義の敵である共産主義者が数多くいる人民解放軍を援助するなんて驚く他ない。
「革命軍は未だに小規模の勢力ですが
「敵の敵は味方か…。」
革命軍は物資は豊富だが戦力は少ない。それに対して人民解放軍は戦力はあるが物資が少ない。
互いに不俱戴天の相手だがゾラーノ政権とアンブレラ社を打倒するためにはいがみ合ってる場合ではなく共通の敵だからこそ協力しようとなったわけだ。
「まったく・・・ヴィレーネはようやく再建へと進んでいるのに何で悉くそれを邪魔するんだ…。」
思想というのは本当に手に負えない…。
ゾラーノ総統は確かに独裁者ともいえる人物だが彼は何もヴィレーネを滅茶苦茶にしたい訳ではない。むしろヴィレーネを良くしようと毎日奮闘してるのだ。
ヴァルフレアもアシュフォード家の利益のためでもあるが、ヴィレーネを滅茶苦茶にしたいとは考えてない。むしろこの国に愛着を持ってしまった。
だから外国人である自分もヴィレーネを再建しようと頑張っているのだ。
革命軍も人民解放軍も同じだ。彼らもヴィレーネを愛しており自分達の思想で国家を再建しようとしてるのだ。
ヴィレーネを良くしたい
全員が同じ気持ちなのだがそれが上手くかみ合わず殺し合いになってしまっている・・・。
「だからと言って何もしないわけにもいかない」
革命軍と人民解放軍はせっかく建てた施設や修復した道路といったインフラを破壊しアンブレラ社に関わりある建物を攻撃しているのだ。
国家再建を進めていくためにも連中を野放しするわけにはいかない。
「・・・以上のように人民解放軍と革命軍は同盟を組んで我々への攻撃を開始してます。
政権が発足してからまだ半年ですが国家の再建は着々と進んでいます。それなのにまたヴィレーネを以前のような暗黒時代に戻すわけにはいきません!
至急手を打つべきです!」
部下から情報を聞いたヴァルフレアはゾラーノ総統を始めとした政権の幹部達を総統の執務室に集め部下から得た情報を全員に伝える。
「ううむ・・・まさか革命軍が人民解放軍と手を組むとはな・・・。
流石に予想出来なかった。」
重い表情をするゾラーノ。
ヴァルフレアから聞かされる衝撃的な情報に驚きが隠せない。
「連中は思想の関係で犬猿の関係でしたのでほっといても勝手に潰し合うと思っていたが・・・」
軍の大将を初めとした将軍達も革命軍と人民解放軍の同盟は予測出来なかった。
ガヤガヤとこれからの動きと対処を皆で考える。
意見は二つに分かれた。
一方は人民解放軍と革命軍の連合軍を徹底的に殲滅すべきという意見。
もう一方は連合軍との和平をすべきという意見。
まず殲滅は問題の解決に一番手っ取り早い方法だが連合軍とぶつかり合えば兵士も含めて国民の多くが犠牲になってしまい国内の動乱を見据えて他国(特に米国)が介入してくる可能性が高かった。
また殲滅に失敗すれば以前のような泥沼な状況に陥り、せっかくの国家再建の道が絶たれてしまう危険性もある。
和平は上手く行けば連合軍と政府軍の内戦を避けられて国家再建に安心して取り掛かれるのだが問題はどうやって連中と和平を結ぶべきなのかだ。
和平を結ぶためにはそれ相応の条件を出さねばならず、向こうがゾラーノ政権の解散などと言いだせばもやそこに交渉の余地はない。武力衝突待ったなしである。
仮に和平を結んで連合軍とともに新しい政権を発足したとしよう。まず言えるのは間違いないくグダグダな政権になるだろう…。
現在ゾラーノ政権(VUF)は良くも悪くも政権に対抗できる政党が存在しないという事で国家再建や改革がスムーズに進んでいるのだ。
しかしそこに革命軍や人民解放軍の連中が政界に入ればその一強は消えて連中の顔色を窺っていかなければならず国家運営がスムーズに行かなくなるだろう…。
勿論それが民主主義国家ならばそれが健全なのだろう。様々な意見を出して互いに譲歩したり引かなかったりして国家をより良い方向に進めていくのだから。
だがそれはその国が時間と余裕があるからこそ出来る事である。
それらの国に対してヴィレーネは
一刻も早く国家再建をしなければならない状況だからこそVUF一強が望ましいのだ。
「皆が言いたい事は理解した。
我が決断は…」
ゾラーノはそれぞれの意見を聞いて決断を下す
「連合軍を殲滅する」
ゾラーノの決断に和平派は声を上げる。
「総統閣下。それは危険です! 確実に奴らを殲滅出来るか保証はありません!」
「大規模な攻勢に出ればアメリカ人共が介入してくるかもしれません!」
和平派は殲滅作戦の危険性をゾラーノに諫言する。
「言いたい事は理解できる。
和平をし互いに手を取り合えるならそれも良いと私は考えている…。
だが今のヴィレーネは一刻も早く再建しなければならない中、連中の顔色を窺ってる場合でも言い分や思想を聞いてる暇もない。
だからこそ国家の安定を、再建を成す為に不当分子は排除する」
それを聞いて和平派は黙り込む。彼ら自身もヴィレーネの現状を理解してるのだ。
「将軍。国防軍を動員しろ。
必要な物は出来る限り用意する。手早く任務をこなすのだ。
時間を掛ければ他国が介入してくる可能性が高くなるからな」
「はっ! 直ぐに動き出します」
将軍たちはゾラーノの意を聞いて部屋から退出していく。
(ヴィレーネの現状を考えると殲滅の方が理に適ってる…。
UBCSも直ぐに動けるようにしておくか)
ヴァルフレアと残った者達も軍事作戦に備えて退出していく。
1991年 9月8日
ゾラーノ総統は連合軍殲滅を発令しヴィレーネ国防軍が動き出した。
各地で動員され大きな軍勢となり連合軍が支配してるデア・イテナ圏に進軍する。
AK74突撃銃やPMマカロフ拳銃を持った兵士達がトラックや輸送ヘリに乗り込んでいく。
アンブレラ社の私軍であるUBCSも動員されてトラックとヘリに乗り込んでいった。
(遂に始まったな…。
これでこの国の命運が決まる)
議事堂の自室で現場に行くために準備をしながらヴァルフレアは、窓から兵士達が戦地に向かう所を眺めていた。
そして
「それにしても本部はこの攻勢に関わりをもとうとしたのは何故だ?
これは国家の内戦でアンブレラ社が出る幕はないと思うのだが…?」
実は攻勢が始まる前…先月の事だ。
ヴァルフレアはアンブレラ本社に反乱軍に対しての政府軍の攻勢を報告したのだが本部はその攻勢に
それを聞いたヴァルフレアはこれは国家の問題なので自分達はあくまで支援に徹してあまり関わらない様にした方が良いと告げたが「これは命令だ。ヴィレーネの支援にセルゲイと共に協力してやっただろう。君に拒否する資格はない」と強引に押しのけられヴァルフレアもセルゲイからアンブレラの頼みを断らない様にと言われたのでやむを得ずにと受け入れる事にした。
そして作戦開始の一週間前にアンブレラ本部に所属する幹部数名と研究者と思われる者数名がUSSに守られながらこのヴィレーネに到着したのだ。
彼らは何か大きな鉄のコンテナを持ってきておりそれを戦場まで運ぶらしい。
スーツから迷彩服の戦闘服に着替え現場までヘリコプターで行くのだが…
「やぁヴァルフレア君。今日はよろしく頼むよ」
これから戦場に行くというのにスーツ姿の幹部と研究者にヴァルフレアは苦笑する。
ヘリには彼らが持ってきた大型のコンテナを鎖で括りつけている。
「ええ、よろしくお願いします。
所でそのコンテナには何が入っているのですか?」
「これか? まぁいずれ分かるさ」
このようにはぐらかされてしまいコンテナの中身は教えてくれなかった。
(まったく… ピクニックに行くんじゃないんだぞ…。
ほら、国防軍の兵士達が不機嫌な目で見てるじゃないか…。)
ヘリコプターの中にはヴァルフレアとアンブレラの
彼らからすれば祖国の為に命を懸けて戦いに行くと言うのにまるで遠足にきたようなアンブレラ社の客人達にイラついて仕方ないだろう…。
それに対してUSS隊員達の表情はマスクしてるせいで見えないが彼らも内心ではいい気分ではないかもしれない。
そんな居心地が悪い雰囲気の中数時間が経ち、ようやく目的に着いたようである。
「あぁやっとか…乗り心地悪いヘリだ…」
ウンザリしながら幹部達はヘリに降りていく。
ヴァルフレアも護衛の兵士に守られながらヘリに降りていく。
周りにはテントが張られており国防軍の兵士達が指揮官に命じられながらアチコチ動き回っている。
遠くから砲撃音が響きヴァルフレアは今自分は戦場に居るのだと思い知らされる。
「ヴァルフレア代表。我々のテントは何処だ?」
幹部の中で不遜な態度をとる中年の幹部に言われてヴァルフレアは予め知らされていたテントに幹部達を案内する。
そこのテントは他のテントより大型で大勢がすっぽり入れる大きさだ。テントに入った幹部達は着いてきた部下に命じてカメラやらパソコンやら色々な機材をセットし始める。
「ヴァルフレア代表。今の戦況はどうだ?」
先程の不遜な態度の中年幹部に現在の戦況をヴァルフレアに聞くがヴァルフレアはまだ着いたばかりで戦況はどうなのかは分からなかった。
「ならさっさと聞いてきたまえ!」
子供の使いみたいな言い方にヴァルフレアはイラッと来るが表情に出さず「分かりました 少々お待ちください」と言いテントの外に出る。
(全く!本部から来たからといって何様のつもりなんだ!)
立場的には向こうが上だからあまり大事にするわけにはいかないので深呼吸して落ち着く。
「さて…戦況を聞こうにも皆忙しそうだな…」
現場はバタバタしており誰か指揮官とか話を聞けないか辺りを見回すとUBCSのマークが付いてるテントを見つけた。
UBCSも現在、前線で国防軍と共に戦っているので詳しい事を聞けるかもしれないと思いテントに入っていく。
「リドリオ! 貴方も此処に来ていたのか」
「代表! お久しぶりです。」
中に居たのは訓練基地の教官を務めていたリドリオだった。
「久しぶりですね。一年以上は会っていなかったからな」
ヴァルフレアはアンブレラ・ヴィレーネ支社の代表になって基地の司令官を信頼できるリドリオに任せて自身は会社の運営と政治家として多忙な日々を送っていたので暫くリドリオとは顔を合わせていなかった。
「ヴァルフレア代表もお変わりなく。
私も司令官として新しい教官を呼んだりと大変でしたよ」
「そうか。ところで貴方が此処にいるという事は…?」
「ええ。私はUBCSの司令官として前線にいる兵士を指揮しているのです。
かつて人民軍で部隊を指揮してた実績があったので本部から前線に行けと命じられまして…」
「そうだったのか。丁度いい、現在の状況を教えてくれないか?
本社の人間に戦況を聞いてこいと言われてね…」
ヴァルフレアの言葉にリドリオは彼の置かれてる状況が分かった。
「今の所はこちらが優勢ですね。戦車隊の攻撃で敵の前線は崩れて味方は進撃してますが…しかし」
「しかし…何です?」
「連合軍は根城にしてた山一帯を要塞化してましてアチコチに巧妙にカモフラ―ジュしたタコ壺や砦を築いていてそれらを利用してこちらを攻撃してきてます。
山岳ですから戦車も思うように動きませんし、歩兵中心の戦いになっていくでしょう」
「つまり…ヴィレーネ軍は戦車といった強力な兵器が使えないために苦戦するということか?」
「そうですね… 勝てるにしても大きな被害は免れないでしょう」
「そうか…教えてくれてありがとう
それを向こうに伝えるよ」
「それではまた」
テントから出てヴァルフレアはリドリオから聞いた戦況に苦い表情になる。
(厄介だな…この戦いは長引かせるわけにはいかないのに…)
短期で決めないといけないのだが相手は山一帯を要塞化してるので一筋縄ではいかないだろう…。
憂鬱な気分で自分のテントに戻ったヴァルフレアはアンブレラ社の幹部達に戦況を報告した。
「成程…ご苦労だった」
「ならば例の商品の性能を確かめることが出来ますな」
「はい、既に
投下する場所は…此処と此処で宜しいかと…」
戦況を聞いた幹部達は研究員達と何やら話している。
商品? ハンター?
一体何の話をしているのだろうか?
「あの…先ほどから一体何の話をなさっているのですか…?」
気になったヴァルフレアは幹部達に聞こうとするが
「いずれ話してやる
今は黙っておきたまえ」
結局、答えてくれなかった。
ヴァルフレアは連中に怒りが沸くがここで争っても意味が無いのでグッと耐える。
仕方がないのでヴァルフレアは自社の薬といった補給に問題はないか確認することにして時間を潰す事にした。
一方テントの中では…
「ふむ…ハンターの性能ならこの程度の起伏があっても問題は無いのだな?」
「はい。ハンターはこのような場所でも性能は落とすことは無く任務を実行できます」
「いよいよですな ようやく商品の能力を見ることが出来る
「我々アークレイチームがBOW開発の一歩先にいくわけです」
「よし準備が整い次第今夜の12時にハンターを投入するぞ。ぬかるなよ」
ヴァルフレアの知らない所でアンブレラ社の幹部は着々と準備を進めていた。
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