戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

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先日引っ越しして心機一転・・・と思いきやWi-Fiを繋げられるのが11月1日というので若干ながらに悲しい気分です。
一応スマホで書けるので書いているのですが、やはり使い勝手が悪いので11月まで更新ペースが大幅にダウンすると思います。申し訳ございません!
さて、今日は海恋ちゃんの誕生日!よかったらみんなと一緒に祝ってあげてください。


虚構戦域に命を賭して

鎌倉の地にある巨大な武家屋敷、風鳴訃堂の屋敷。この屋敷の広間に、S.O.N.Gの司令である弦十郎と内閣情報官である風鳴八紘がこの屋敷の主である老人、風鳴訃堂と面会している。共に来ていた翼は障子の外にある縁側に座して待機している。2人と訃堂との距離は遠く、その間には非常に剣呑な空気が漂っている。

 

「して、夷狄による蹂躙を許したと・・・?」

 

「結果、松代にある風鳴機関本部は壊滅。大戦時より所蔵してきた、機密のほとんどを失うこととなりました」

 

「外患の誘致、及び撃ち退けることの叶わなかったのは、こちらの落ち度にほかならず、全くもって申し開き・・・」

 

「聞くに堪えん」

 

我が息子ながら不甲斐ないと言わんばかりに訃堂はそう吐き捨て、立ち上がって座敷の障子の前に立つ。そして、八紘に向けて口を開く。

 

「わかっておろうな?」

 

「国土防衛に関する例の法案の採決を、急がせます」

 

「有事に手ぬるい!即時施行せよ!」

 

訃堂がそう言い切ったところで、外で待機していた翼が見計らったかのように障子を開けた。訃堂がそこを通り、縁側をある程度進んだところで立ち止まる。そして、翼に背を向けたまま口を開いた。

 

「まるで不肖の防人よ。風鳴の血が流れておきながら、嘆かわしい」

 

「我らを防人たらしめるは血にあらず、その心意気だと信じております」

 

「ふん・・・」

 

翼の言葉を訃堂は鼻で笑い、それ以上何も言わず縁側を歩き、その場を立ち去った。

 

~♪~

 

一方その頃、S.O.N.G本部ではマリアとエルフナインは自分たちの頭にダイレクトフィードバックシステムであるヘッドギアを装着する。黒服に着替えたフォルテはダイレクトフィードバックシステムに自分のギアネックレスをかつて自分たちの飛行船エアキャリアに接続していた神獣鏡と同じ要領で接続している。フォルテの役目はこの場で待機し、キーボードを操作してミスティルティンの特性を使って電気信号が絡み合わせることを防ぐことだ。2人の廃人化を防ぐための責任重大な役目だ。

 

「接続は完了した。いつでもいけるぞ」

 

「始めましょうか」

 

「ええ。あなたが私のここに入ってくるわけね」

 

マリアは自分の頭に手を指してそう質問してきた。エルフナインはその質問に答える。

 

「正しくは、仮想空間に複写したマリアさんの脳構造に接続。ボクとマリアさんの意識を共有します」

 

「了解」

 

マリアとエルフナインの準備は完了している。後はスタートの合図を出すだけだ。

 

~♪~

 

一方その頃、他の装者たちは特にやることがないため束の間の休息として未来と共に外出している。今いる場所は公園だが、今日この日は多くの出店が並んでおり、装者たち以外にも多くの人が来ており、賑わっていた。そんな中で切歌は後悔している。その原因は手に持っているクレープにあった。

 

「うええぇぇ~・・・」

 

「切ちゃん、心配なのはわかるけど・・・」

 

「なんでそんなの買っちゃうの・・・」

 

切歌が買ったクレープは期間限定のチョコ明太子味というかなり変わったクレープである。チョコレートがけポテトチップの甘じょっぱさに店主が発想を得たことで作られたのがチョコ明太子というわけである。ちなみに明太子は博多直送のふっくら明太子を一腹まるまるが使われてるらしい。

 

「わ、わかってるデス!全てはわかったうえでの決断なのデス!」

 

切歌は意を決してチョコ明太子のクレープに齧り付いた。が、口の中でチョコの甘さと明太子の辛さが暴力的に広がり、若干ながらに悶えるのであった。

 

「~~!」

 

「チョコ明太子味なんて大冒険するから・・・」

 

「あたしのおごりを残すなよ、常識人。・・・ん、うまいじゃねぇか」

 

「えぇ~・・・それが?」

 

クリスも一口食べる。彼女の味覚にはかなりあっているようで、好印象を抱いている。それを隣で見ていた日和は信じられないといった顔をしている。

 

「一口食ってみるか?」

 

「私明太子きらーい」

 

どうやら日和は明太子が好きでないようでクリスに差し出されたクレープに目を向けず、自分のクレープを食べながら右手でスマホを操作して電話を入れようとしている。電話しようとしている相手は海恋だ。

 

「これは願掛けなんデス!全部食べたら、マリアとエルフナインの挑戦はきっとうまくいくのデス!」

 

「ふふふ」

 

チョコ明太子クレープを完食するという切歌の意気込みに未来は微笑ましそうに笑みを浮かべた。とそこで隣で響がソフトクリームを持ったままどこか上の空の表情をしていることに気付いた。

 

「響・・・ねぇ響!」

 

「え?何・・・?」

 

「溶けちゃってるけど?」

 

「うわあぁぁ⁉」

 

クリームが溶けてコーンに垂れ下がっているところを指摘された響は慌ててクリームを口に運んだ。当然、クリームが大きいので響の口の周りにクリームがついてべとべとになっている。未来はポケットからハンカチを取り出して響の口の周りのクリームを拭う。

 

「話を聞いたり、溶けたアイスを拭うぐらいはしてあげる。だから、何かあるときは頼ってよね?」

 

「ありがとう未来。やっぱり未来は私の陽だまりだ」

 

響と未来が笑いあってると、巨大モニターに映っていたニュースが次の話題に入った。そこで聞き覚え名前が出てきて、響と日和、クリスがニュースに目を向ける。

 

『次のニュースです。内乱が続く祖国で片足を失ったステファン君。どうしても大好きなサッカーをもう1度したいと、最新の義足を取り付けるための手術を受けるため、本日バルベルデ共和国より来日しました』

 

モニターに映っていたのは、アルカ・ノイズによって片足を失ってしまい、車椅子に乗っている少年、ステファンの姿があった。どうやら義足を取り付ける手術を受けるために今日バルベルデからこの日本までやってきたようだ。

 

「よかったね、あの子。またサッカーができるようになるんだね」

 

「だといいんだけどな・・・」

 

「クリス・・・」

 

「悩んで下した決断が、いつも正しいわけじゃない。それどころか、はじめっから正解がないなんてこともザラにある」

 

クリスは真剣な表情でモニターのニュースに視線を向けている。片足を失う原因はアルカ・ノイズではあるが、彼の片足を撃ったのはクリスだ。やはり彼女なりに思うところが多々あるのだろう。ステファンのニュースが終わると、今度は別のニュースが出る。

 

『次のニュースです。西園寺グループの買収を仕掛けた株主が買収の取り下げを発表しました』

 

西園寺グループの買収の取り下げが報じられて、装者たちはこのニュースにも目を向けている。どうやらエドワードは律義に勝負の約束を守り、即座に行動したようだ。当然、そのことを知る由もない装者たちはこの知らせに喜んでいる。

 

「買収の話、なくなったんだ・・・よかった・・・」

 

「これで海恋先輩も一安心デスね!」

 

「・・・・・・はぁ・・・」

 

皆が安堵を浮かべている時、日和は残念そうな表情で電話を切った。その理由は海恋が電話に出ないことにある。

 

「なんだぁ?あいつ出ねぇのか?」

 

「うん・・・。朝に電話した時はちゃんと出たのに・・・どうしたんだろう・・・?」

 

日和は海恋に何かあったのではないかと気が気でない心境を抱えるのであった。

 

~♪~

 

同時刻、都内を一望できるカフェテリア。エドワードによってこの場所に連れてこられた海恋は緊迫した表情で彼女を警戒している。そこへエドワードが注文したであろう抹茶の白玉あんみつが届いた。

 

「遠慮することはない。妾のおごりじゃ。存分に食すがよい」

 

エドワードはそう言っているが、海恋は届いた白玉あんみつを食べようとせず、ただただエドワードを警戒して見つめるだけだ。

 

「ふむぅ・・・どうすれば汝は妾を信用するのかのう?」

 

「信用も何もないでしょ。あなたはただ単に私を利用したいだけでしょ」

 

「汝らにはそういった経験があるのかえ?だとすれば、汝の考え方はとんでもない偏見じゃのう」

 

海恋の発言にエドワードは笑みを浮かべてそう言い放ち、さらに発言を続ける。

 

「確かに妾の取り戻したいものは汝と関係があるが、だからとて、汝に特別なことを強いるつもりは毛頭ない。むしろ錬金術に触れたことによって、さらなる根源に自ずと手を伸ばすと確信しておる。妾が手を差し伸べずともな」

 

「そんなことない!だいたい、なんでそんなことがわかるのよ⁉」

 

海恋の否定の言葉にエドワードは懐かしむような表情を見せた。

 

「・・・かつて妾には、友と呼べる者がおった。少し変わり種であったが、汝のように聡明で、頭の切れが非常に良い。妾はあやつこそが、次代の錬金術師たちを担える柱であると、妾は確信しておった」

 

突然自分の友人のことを話し始めた海恋は怪訝な表情をしている。

 

「いったい何の話をしているのよ?」

 

「まぁ話は最後まで聞くがよい。あやつには大層な夢を持っておったわ。錬金術で人々を正しく導き、世界を豊かにするというな。一介の錬金術師でも無謀であるとわかるものじゃが、周囲が何と言おうと、あやつの意思が曲がることはなかった。夫と添い遂げ、子を成してもそれだけは変わらなかった。そこに目を見張るものがあった。ゆえに、妾はその夢のために、あらゆる支援を惜しまなかった。ところが、人間はやはり愚かな一面が目立つ」

 

笑みを浮かべていたエドワードの表情は一気に冷めて冷たいものへと変わった。

 

「人間は錬金術の力のありようを考え、理解しようとせずにこれを否定し、力を行使する者を撲滅しようという考えに至った。これにより、妾の友やその夫を含め、数多の錬金術師は人間の愚かさによって命を絶たれてしもうた」

 

「・・・・・・」

 

海恋はエドワードから冷たき表情の中から漂う哀愁に、思うところがあり、警戒しつつも、話に耳を傾ける。

 

「そして・・・残された子は夫婦を死に追いやった人間を憎み、錬金術そのものも憎み、憎むもの全てを忘却の彼方へと追いやった。そう・・・思い出の焼却じゃ。子は思い出の焼却で得た力で、村を焼き払った。その代償として、子は両親も、自分が引き起こした出来事も、錬金術の全てを忘れたのじゃ。もちろん、全てを失ったことで、途方に暮れたわ。そんな弱った子の前に、ある日偶然現れたのが・・・当時の西園寺の主・・・汝の先祖じゃな」

 

「・・・え?」

 

話の中に西園寺の先祖が出てきて、海恋は驚かずにはいられなかった。

 

「当初は善意で近づいたようじゃが、次第に西園寺は子に惹かれ、子もまた西園寺の人当たりの良さに惹かれ、長い時を重ね、ついに2人は結ばれた。それが西園寺家の始まりであり、子の錬金術師としての自分の、終わりであった。その2人が築いた西園寺の繁栄は、過去から現代に至るまで続いた。錬金術という存在を忘れてな」

 

ここまで話し終えると、エドワードは再び笑みをこぼした。

 

「じゃが、いくら時代が移ろうとも、子孫の代が変わろうとも、錬金術師としての血が途絶えることは決してない。先祖の血というものは、子孫に必ず受け継がれる。例えば・・・桁外れの記憶能力・・・とかのう」

 

エドワードは驚いている海恋に対して、指をさし、こう告げた。

 

「わかるかのう?西園寺家とは妾の友の子・・・途絶えてしまった錬金術師の末裔。そしてその末裔の血を最も引き継いでおるのが汝であり、汝の問いの答えじゃ」

 

~♪~

 

場所は変わってS.O.N.G本部、マリアとエルフナインの覚悟も決まり、いよいよダイレクトフィードバックシステムを使う時が来た。

 

「では、始めるぞ」

 

フォルテがキーボードのボタンを押したことで、ダイレクトフィードバックが稼働し、エルフナインの意識はマリアの記憶へと入り込んだ。

 

「頼んだぞ・・・マリア、エルフナイン」

 

フォルテはエルフナインの健闘を祈りながらキーボードを操作して自分の成すべきことを集中する。

 

~♪~

 

ダイレクトフィードバックによってマリアの記憶の中に入り込んだエルフナインが最初に目にした光景はどこかに存在する辺り一面にきれいな花が咲き誇っている自然豊かな草原であった。

 

「これが・・・マリアさんの脳内・・・記憶が描く心象光景・・・」

 

エルフナインがマリアの記憶に唖然としていると、近くで少女たちの笑い声が聞こえてきた。そちらに視線を向けて見ると、そこには2人の少女が楽しそうに花の冠を作っている姿があった。その2人の少女とは、幼きマリアと彼女の妹、幼きセレナ・カデンツァヴナ・イヴであった。

 

「マリアさん・・・」

 

エルフナインが幼きマリアを見たと同時に、1人の女性が突然現れ、幼きマリアたちに近づく。同時に記憶の風景がF.I.Sの施設内部に変わった。幼きマリアに近づいた女性は彼女の手を取り、鞭で引っ叩いた。

 

「痛っ!」

 

幼きマリアが鞭で引っ叩かれたと同時に、エルフナインに痛みが走った。エルフナインの腕には痣ができていた。

 

「どうして・・・?」

 

どうして痛みや痣が出てきたのか疑問を浮かべたエルフナインは現れた女性を見る。その女性とは、今は亡きナスターシャであった。彼女の姿はまだ怪我を負っていないからか車椅子も乗っておらず、眼帯もしていない。

 

「今日からあなたたちには戦闘訓練を行ってもらいます!フィーネの器となれなかったレセプターチルドレンは、涙より血を流すことで組織に貢献するのです!」

 

幼きマリアが叩かれた腕にはエルフナインと同じ痣ができていた。生じる痛み、痣の箇所を見て、エルフナインはこの現象がなんであるのかを理解した。

 

(意識を共有してるからには、記憶と体験はボクにも及ぶ・・・)

 

つまり記憶の中のマリアに痛みが発すれば、記憶と体験を共有しているエルフナインにもその痛みが伝わるということだ。フォルテのサポートがあるとはいえ、元々廃人化のリスクを踏まえたうえでのダイレクトフィードバックだ。エルフナインは気を引き締め直してLiNKER解析の鍵を探す。

 

「どこなんだろう・・・?ギアと繋がる脳の領域は・・・」

 

エルフナインはマリアが経験してきた記憶にどんどん飛ばされていく。わけもわからず施設に集められ、集まった子供たちが涙を流していた記憶、研究員についていき、戦闘訓練やシュミレーターなどで悲鳴を上げる子供たちの記憶、完成されたLiNKERを飲んだ記憶、完全聖遺物、ネフィリムの起動実験の際の記憶などなど。連続でこれほどまでの記憶に飛ばされ、いろんなものを見てきたのだ。少なくとも、現実に影響は出ているだろう。

 

そして、新たに飛ばされた記憶は暗雲が立ち込める寂しい街の記憶だ。そこでエルフナインは人類の脅威である存在と出くわす。それこそが、アルカ・ノイズの元となり、触れた人間を炭素の塊を変えて殺す、特異災害と認定された人を殺すための自立兵器、ノイズだ。

 

「これは・・・ノイズの記憶⁉」

 

ノイズの群れはエルフナインを見るや否や、彼女に近づいていく。危機を感じ取ったエルフナインはノイズから逃げ出す。そんな彼女をノイズは追いかける。

 

(もしここでボクが死んだら、恐らく、現実のボクも目を覚まさずに・・・!)

 

ここでノイズに触れてしまえば、エルフナインの意識は消えてしまい、現実の彼女は廃人と化すだろう。そうすれば、LiNKER完成の道は閉ざされてしまうだろう。それだけは何としてでも阻止したいエルフナインは必死でノイズから逃げる。

 

「あっ!」

 

瓦礫の段差を降りる際、エルフナインは足首をくじいてしまい、転んでしまう。起き上がろうとした時、彼女の背後にはノイズが迫っていた。もはやここまでかと思われた時・・・

 

Seilien coffin airget-lamh tron……

 

どこからかギア起動の詠唱が聞こえてきた。詠唱が終わると同時に、空から白く輝くエネルギーの刃が降り注ぎ、ノイズを切り刻んでいく。立ち込めた土煙が晴れると、彼女の目の前にはアガートラームのギアを纏ったマリアがいた。

 

「マリアさん⁉」

 

「いくら相手がエルフナインでも、思い出を見られるのはちょっと照れくさいわね」

 

「あの・・・いつの記憶の・・・どのマリアさんですか・・・?」

 

目の前にいるマリアがいつの時代のマリアなのかがわからず、エルフナインは困惑する。そんな彼女にマリアはさも当然のように口を開く。

 

「一緒に戦うって約束したばかりでしょ?この場に意識を共有するのならば、いるのはあなただけじゃない。私の中で私が暴れて・・・何が悪い!!」

 

マリアはノイズの群れに突っ込んで、迫りくるノイズを短剣で切り裂き、次々と一個体を薙ぎ払っていく。

 

「記憶じゃない・・・マリアさんの意識が・・・」

 

マリアの戦いぶりを見て、目の前の彼女が記憶ではなく、自分と共に来ているマリアの意識であると理解したエルフナイン。

 

「それに・・・戦っているのは私たちだけじゃない!」

 

マリアがそう言い放つと、奥で複数体のノイズの群れが吹っ飛ばされた。奥の土煙から、人の形を赤い何かが現れた。赤い何かは大剣のようなものでノイズを薙ぎ払い、さらに追撃で他のノイズを斬り裂く。

 

「あれは・・・フォルテさん・・・?」

 

よく見てみれば、確かにフォルテにも見えるが、あれには実体がない。よく目を凝らしてみると、土壇場でフォルテが見せた赤いオーラと酷似していた。そのことから、エルフナインはあれの正体に気がつく。

 

「あれはまさか・・・ミスティルティンのエネルギー・・・?ミスティルティンの力が、こんな形で現れるなんて・・・」

 

そう、あれはダイレクトフィードバックに接続されたミスティルティンが放った力そのものだ。こんなことができるのは、外にいるフォルテ以外にはいない。

 

(そうか・・・戦っているのはボクたちだけじゃない・・・フォルテさんも同じなんだ・・・)

 

外で自分たちをサポートしてくれているフォルテも自分たちと共に戦っているのだと気付いたエルフナインは心強さを抱いた。

 

「突破する!」

 

「はい!」

 

マリアはエルフナインの手を引いて、迫るノイズを蹴散らしながら前に進んでいく。そしてミスティルティンのエネルギーは後ろから来るノイズを倒しながらマリアたちを守っていく。先へ進んでいくとまた記憶が変わり、暗雲が立ち込めるどこかの雪原に辿り着いた。ただこの景色はマリアには覚えがない。

 

「ここは・・・どこ・・・?」

 

「マリアさん自身も忘れかけている深層意識のイメージでしょうか・・・?」

 

「深層・・・」

 

マリアが自身の記憶を振り返ろうとすると、彼女たちの頭上や足元に突如として謎の空間が出現し、2人を飲み込もうとしている。

 

~♪~

 

ビィイイイー!!

 

記憶の中で行った現象が現実で眠っているマリアたちに影響が出ており、2人は苦しそうな表情をしている。バイタルの数値も低下し始めている。

 

「これは・・・⁉️」

 

『2人の様子は?』

 

そこへ鎌倉から戻ってきた翼が2人の状況を確認してきた。

 

「バイタル、安定期から大幅に数値を下げています。このままの状態が続けば・・・」

 

『ミスティルティンは?』

 

「機能はしている!だが、何かが干渉を妨げているのだ!」

 

『やむを得まい・・・場合によっては観測の一時中断を・・・』

 

ヴゥー!ヴゥー!

 

弦十郎が中断を視野に入れると、タイミング悪く緊急のアラームが鳴り響いた。

 

~♪~

 

突然鳴り響いたアラームに弦十郎は状況を訪ねる。

 

「どうした⁉️」

 

「東京湾にアルカ・ノイズ反応!」

 

モニターに写し出された東京湾には八岐大蛇のような複数の首を持った大型アルカ・ノイズがいた。

 

「空間を切り取るタイプに続き、またしても新たな形状・・・しかもかなり巨大なタイプのようです」

 

「まかり通らせるわけには・・・行きます!」

 

翼は現れた巨大アルカ・ノイズを対処するべく、指令室から飛び出し、現場へ急ぐのだった。

 

~♪~

 

同時刻、西園寺家が亡くなった錬金術師の末裔であると聞かされ、驚く海恋にエドワードはさらに口を開く。

 

「妾は、あやつが夢見た理想を、失われた錬金術の歴史を取り戻したい。それを可能とできるのは・・・サンジェルマンのいう革命。そして、あやつの血を最も受け継いだ汝のみなのじゃ」

 

自分の友の錬金術の歴史を取り戻す鍵を担っているのが、その者と同じ血が流れている海恋であると確信しているエドワードに対し、海恋は戸惑いがありつつも、相手のペースに飲まれないように反論する。

 

「・・・か、仮にその話が本当だとしても・・・私は私よ!!ご先祖様とは関係ない!!」

 

海恋の反論にエドワードはふっと笑う。

 

「百歩譲ってそうだとして、汝の友が亡くなった時・・・汝は同じことが言えるかのう?」

 

「日和たちはあなたたちなんかに負けないわ!!」

 

海恋がテーブルを叩いて言い返した時、エドワードは彼女の右腕を掴みあげた。

 

「事は勝ち負けの話ではない。妾が言っておるのは、今のままでよいのかということじゃ」

 

「・・・どういう意味よ?」

 

「わからぬか?ならば、実際にその目で確かめてみるがよかろう」

 

「確かめる・・・?」

 

「ふふ」

 

海恋の戸惑いとは余所に、エドワードはどこまでも余裕がある笑みを浮かべている。

 

~♪~

 

八岐大蛇型のアルカ・ノイズが現れた東京湾。アルカ・ノイズの背後には光学迷彩で姿を消した航空母艦が控えている。母艦の甲板には、サンジェルマンたちが立っていた。

 

「オペラハウスの地下には、ティキ以外にも、おもしろいものがごろごろ眠っていたのよねぇ」

 

カリオストロの手には三つ首の竜のような杖が握られていた。

 

「勿体ぶってなんていられないワケダ」

 

「そう、我らパヴァリア光明結社は神の力をもってして、世の理をある形へと修正する」

 

サンジェルマンの脳裏に浮かび上がるのは、響の言葉だ。

 

『それが誰かのためならば・・・私たち・・・きっと・・・手を取り合える・・・』

 

「大義は・・・いや、正義は我らにこそあるわ。行く道を振り返るものか。例え1人で駆けたとしても・・・」

 

「1人じゃない」

 

サンジェルマンが響の言葉を否定するように語ると、プレラーティが口を開いた。

 

「1人になんてさせないワケダ」

 

「サンジェルマンのおかげで、あーしたちはここにいる。どこだって4人でよ♪」

 

自分と共に来てくれるプレラーティとカリオストロの思いにサンジェルマンは心強さを感じ、笑みを浮かべる。

 

「妾は汝の志に賭けたのじゃ。中途半端な妥協は妾が許さぬえ」

 

そこへ同じく、サンジェルマンの志を共にするエドワードが転移してきた。

 

「遅いじゃない・・・てっ、誰よその子?」

 

エドワードの近くにいるのはなんと海恋であった。どうやらエドワードがテレポートジェムを使って海恋を連れてきたようだ。

 

「あなたたちが・・・パヴァリア光明結社の・・・!」

 

「!こいつ、魔法少女事変の時に装者と一緒にいた小娘なワケダ」

 

一般人とはいえ、装者と共にいた海恋を連れてきたことに対し、サンジェルマンはエドワードを睨む。

 

「いったいどういうつもり?」

 

「そう睨むでない。妾たちの新たな同志になりえる子ぞ」

 

「同志ぃ~?」

 

「意味がわからないワケダ」

 

エドワードの言葉に本当にわけがわからないといった顔をするカリオストロとプレラーティ。

 

「・・・事情は後で聞かせてもらうわ」

 

「ちょっと待ちなさい!私はあなたたちの仲間になんて・・・」

 

海恋が異をとなえようとすると、エドワードが人差し指を海恋の唇に触れて発言を止めた。

 

「汝が求むるは何か・・・しかとその目で見極めるがよい」

 

エドワードは必要以上なことは求めず、ただこれからの戦いを見ることを海恋に促すのであった。

 

~♪~

 

アルカ・ノイズが現れた情報はニュースでも流れていた。その情報を目にした装者たちに本部から連絡が入る。

 

「わかりました!ヘリの降下地点へ向かいます!」

 

「もたもたは後回しだ!行くぞ!」

 

「うん!」

 

「私たちは本部に!」

 

「マリアたちの様子が気になるデス!」

 

クリスと日和はヘリの降下地点に移動し、調と切歌は本部へと向かって行く。

 

「未来も、学校のシェルターに避難してて!」

 

「響!」

 

響も未来に避難を促してから移動を開始すると、未来が呼び止める。響は立ち止まって口を開く。

 

「・・・誰だって、譲れない思いを抱えてる。だからって、勝てない理由になんてならない・・・」

 

「勝たなくてもいいよ」

 

「え?」

 

「だけど絶対に・・・負けないで」

 

未来の言葉を聞いて、響は嬉しさからか頬が赤くなり、目に涙が溜まる。サンジェルマンたちとわかりあいたいと願う響の悩みは、この言葉で晴れたようだ。

 

「私の胸には、歌がある!」

 

未来からもらった勇気を胸に、響はヘリの降下地点へと向かうのであった。

 

~♪~

 

マリアの記憶の深層心理の謎の空間に飛ばされたマリアとエルフナインの意識は気を失っていた。

 

「マリア・・・マリア・・・しっかり・・・」

 

すると、どこからともなく自分たちを呼ぶ声が聞こえる。マリアたちが目を覚ますと、そこには意外な人物がいた。

 

「あ、あなたは・・・!」

 

「そうとも・・・僕は行きずりの英雄・・・」

 

「ドクターウェル!!?」

 

その人物とは、亡くなったはずのジョン・ウェイソン・ウェルキンゲトリクス、通称ウェルであった。

 

「死んだはずでは!!?」

 

「それでもこうして君の胸に生き続けている。死んだ人間ってのは・・・だいたいそうみたいだねぇ!!!」

 

ウェルが歪な笑みを浮かべると同時に辺りの空間が歪んだ。




XD-エクスドライブアンリミテッド-

海恋の誕生日ボイス①

東雲日和
今日は待ちに待った海恋の誕生日だよ!海恋のやりたいこと、全部叶えてあげるんだー。えへへ。

立花響
今日は海恋さんの誕生日だよ!みんなでお祝いしようね!

風鳴翼
今日は西園寺の誕生日。大切な日を皆で祝いたいものだ。

雪音クリス
海恋の誕生日って今日だったよな・・・?ええと、その・・・誕生日、おめでとう。

フォルテ・トワイライト
西園寺、ハッピーバースデー。今日はめでたい日だな。

マリア・カデンツァヴナ・イヴ
今日は海恋の誕生日ね。ハッピーバースデー、西園寺海恋!

月読調
今日は海恋先輩の誕生日だって。一緒にお祝いしよう。

暁切歌
今日は海恋先輩のお誕生日デス!盛大に祝うデスよー!

天羽奏
今日は海恋の誕生日だな。海恋、ハッピーバースデー。

小日向未来
今日は海恋さんの誕生日だよ。みんなでたくさんお祝いしようね!

セレナ・カデンツァヴナ・イヴ
今日は、西園寺さんの誕生日ですよ!皆さんで、お祝いしましょう!

本日の主役、西園寺海恋
え・・・あ、そう言えば今日だったわね、誕生日。ありがとう。私、自分の誕生日が好きになりそうだわ。
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