戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

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ようやくWi-Fiが繋がったのでパソコンでの達筆を再開。これを機に更新が止まっていた2作品を達筆を再開したので、こんなに遅くなってしまったことを謝罪いたします。申し訳ございません!

この後、私の作品の六等分の花嫁とこの微笑ましい双子に幸運をの投稿するつもりなので、もし気になる方がいればぜひそちらも読んだいただけると嬉しいです。


決死圏からの浮上

装者たちの攻撃によってどんどんと増殖する八岐大蛇型のアルカ・ノイズは新たな小型のアルカ・ノイズを生み出していく。生まれた小型のアルカ・ノイズは響と対面し、一斉に襲い掛かる。響は向かってくるアルカ・ノイズの攻撃を躱しながら拳による打撃と蹴りを放って1体ずつ次々と倒していき、分裂したアルカ・ノイズに向かって跳躍する。

 

「たあああ!!」

 

アルカ・ノイズが新たな個体を生み出そうとしたところに響はアルカ・ノイズの頭にかかと落としを繰り出してそれを阻止する。

 

「うおおおお!!」

 

さらに響はバンカーユニットを引いてアルカ・ノイズの頭に強烈な拳を振るってアルカ・ノイズの首をへし折る。だがアルカ・ノイズのもう1つの首が襲い掛かろうとする。

 

一方分裂した別のアルカ・ノイズは触手を伸ばして追いかけてくる翼に攻撃を仕掛ける。翼はその攻撃を躱し、うまいこと伸びてきた触手に乗り、スライディングで本体に近づく。もう1体の分裂したアルカ・ノイズは別の触手を伸ばして攻撃するが、翼はこの攻撃を跳躍で躱す。

 

「勝機!」

 

翼は空中で複数の刃を生成し、アルカ・ノイズに目掛けて刃を降り注いだ。

 

【千ノ落涙】

 

降り注いだ複数の刃は2体のアルカ・ノイズを刺し貫く。この攻撃によって2体のアルカ・ノイズの撃破に成功する。だが2体のアルカ・ノイズのうち1体は消滅間際に唾液を吐き、その唾液からアルカ・ノイズが現れる。地に着地する翼は息が上がり、汗を流している。

 

「消耗戦を仕掛けてくると踏んでいたが・・・なかなか、どうして・・・!」

 

消耗戦を仕掛けてくるというのは予想はついていたが、やはり疲労で身体が悲鳴を上げているようだ。

 

別のアルカ・ノイズを担当するクリスはこちらに空中から接近する2体の分裂アルカ・ノイズにガトリング砲の銃口、及び大型ミサイルを展開し、発射する。

 

「全発全中、持ってけデストロイ!!!」

 

【MEGA DETH FUGA】

 

ガトリング砲の弾を2体のアルカ・ノイズは躱していくが、発射された大型ミサイルに直撃し、爆散する。これによって2体のアルカ・ノイズの撃破に成功する。

 

「はぁ・・・はぁ・・・増殖の元を絶ちさえすれば・・・」

 

クリスの身体は疲労で悲鳴を上げているが、気が休まらない。なぜなら、アルカ・ノイズが最後の足搔きとして小型のアルカ・ノイズを大量に召喚したからだ。

 

「後は鴨を撃つばかりだっての・・・」

 

他の分裂したアルカ・ノイズを担当する日和はアルカ・ノイズの吐く光線を跳躍で躱し、アルカ・ノイズの真上まで昇っていく。そして、これ以上増殖させないように棍を2本構え、アルカ・ノイズに狙いを定める。

 

「一撃で仕留める!やあ!!」

 

日和は2体のアルカ・ノイズに向けて棍を2つ投擲する。投擲された2つの棍は炎を纏って勢いをつけていく。

 

【猪突猛進】

 

投擲された炎の棍は2体のアルカ・ノイズの腹部に直撃し、纏った炎に包まれて焼き尽くされていく。そして、最後の足搔きとしてアルカ・ノイズは口から唾液を飛ばし、小型のアルカ・ノイズを大量に召喚した。

 

「だから何だ!いくら小型集まったって!」

 

持久戦を得意としている日和は他の装者たちと比べればまだまだ余裕な表情だ。

 

3人が分裂個体を倒したことで分裂したアルカ・ノイズは響が担当するもので最後だ。最後のアルカ・ノイズは翼を槍の形に変形させ、響に向かって突きさしていく。響はその攻撃を躱し、槍の上に乗ってアルカ・ノイズに向かっていく。

 

「分裂したって!増殖したって!」

 

アルカ・ノイズは向かってくる響に首を伸ばして攻撃を仕掛けようとする。だが響はその攻撃を回転蹴りで蹴り飛ばして撥ね退ける。そしてそのままバンカーユニットを展開し、ブースターをかけ、拳を振るう。

 

「何度だって、叩き潰す!!」

 

響が放った強烈な一撃はアルカ・ノイズの顔を直撃させ、粉砕させる。だが散り間際、アルカ・ノイズのは尻尾を斬り落とし、首に変えて蛇のような姿となって何とか生き残った。そしてそのまま戦域へと離脱しようとしている。

 

「何度だって・・・!」

 

響は疲労で膝がガクッと倒れそうになるも、気力を振り絞って立ち上がり、逃げていくアルカ・ノイズを追いかける。

 

~♪~

 

マリアの深層心理の内的宇宙より聞こえる自身の弱かった頃の心の声によって、深み闇の中へと沈んでいくマリア。

 

(私は・・・自分の創った闇におぼれて・・・かき消されてしまうの・・・?)

 

闇の中へとどんどん沈んでいくマリア。諦めかけようとしたその時・・・暗き闇の中より一筋に輝く赤い光がマリアの元に降りていく。

 

『マリア・・・マリア・・・』

 

(・・・この・・・声は・・・)

 

赤い光より、自分のことをよく知る友の声が聞こえてくる。強くて、逞しく・・・何者にも屈しない強い心を持った・・・憧れの存在。その声に反応したマリアは目を開ける。同時に、目の前の赤い光は輝きを増し、マリアを包んだ。

 

「・・・っ」

 

マリアはその輝きに思わず目を閉じる。輝きが収まり、目を開けて見ると、光景は別の空間に変わっていた。そこはどこかの森の中。

 

「ここは・・・?」

 

ここはどこだろうとマリアが見回してみると、ある光景が目に移る。それは、怪我でボロボロの状態の軍服姿のフォルテ・・・いや、トレイシー・テレサがライフルを持ってフラフラと歩いている姿だった。

 

(あれは・・・フォルテ⁉ということはここは・・・バルベルデ⁉)

 

フォルテは幼き頃反乱軍の軍人であったことを思い出したマリアはここがバルベルデのどこかの森であるとわかった。

 

(これは・・・私の記憶じゃない・・・フォルテの記憶・・・?)

 

幼き頃の自分はこの光景を見たことは一度もない。となれば考えられるのはただ1つ。この光景は、フォルテの記憶に他ならない。おそらくこれも、ミスティルティンの力によるものであろうとマリアは考える。マリアが結論を出したと同時に、テレサはライフルを木にもたれかかり、項垂れる。

 

「・・・仲間を失い・・・帰る場所もない・・・。もう・・・疲れた・・・何もかも・・・どうでもいい・・・」

 

(・・・あんな姿・・・今まで見たことがない・・・)

 

自分の知っているフォルテはいつも毅然として、堂々とした立ち振る舞いをしていた。だが目の前の彼女はそれとは全く真逆。目は虚ろで生気が一切感じられない。まるで全てを諦めたかのような。あまりにも弱々しい姿にマリアは困惑せずにはいられなかった。困惑している間にもマリアは違う記憶に飛ばされる。次に目にしたのは、F.I.Sの施設の中でナスターシャが手錠をかけられたテレサと対面している光景であった。

 

「・・・殺してくれ・・・」

 

「⁉」

 

テレサの死を望む声にマリアは驚愕する。ナスターシャは動揺せず、テレサを見つめ、問いかける。

 

「・・・なぜです?」

 

「僕には・・・利用価値も・・・生きる価値もない・・・。存在する意味も・・・資格も・・・」

 

テレサの答えに沈黙が流れた。そして、沈黙を破るようにナスターシャは口を開く。

 

「・・・フォルテ・トワイライト」

 

「!」

 

「トレイシー・テレサはたった今死にました。今日からあなたはフォルテ・トワイライトとして生きるのです」

 

「フォルテ・・・トワイライト・・・」

 

「それでも死にたいと望むならば、組織に貢献して死になさい。意味や価値を決めるのはあなたではない。我々なのです」

 

「・・・・・・」

 

ナスターシャの厳しい言葉にテレサ・・・いやフォルテは納得いっていない表情を見せた後、首を縦に頷いた。

 

その後、記憶は目まぐるしく変わっていく。最初は誰も寄せ付けず、1人で行動する姿。次にF.I.Sの仲間と衝突する姿。次にセレナと交流する姿。次に仲間に心を開き、笑みを浮かべる姿。次に自分の戦う意味を見出した姿。次にアルビノ・ネフィリムと戦う姿。次にフロンティア計画実行に、覚悟を見出した姿。最後に・・・これまでの過去に吹っ切れ、心からの笑みを浮かべる姿。

 

(これは・・・フォルテが辿ってきた・・・道のりの過程・・・)

 

これまでのフォルテの今に至るまでの過程を見て、マリアは気づいた。フォルテという人物を。

 

(そうか・・・フォルテは・・・最初から強かったわけじゃなかったんだ・・・。辛いことを経験して、挫折して・・・それさえも許されず・・・。それでも前に進むことを選んで・・・セレナと出会って・・・みんなと出会って・・・今の強さを得た。私と・・・同じだったんだ・・・)

 

フォルテも自分と同じ弱さを持っていたことに気づくと、辺りは暗き海のような空間に変わり、目の前には赤く輝くフォルテの幻がいた。フォルテの幻は無表情のまま、マリアに手を差し伸べる。マリアはその手を取るべきか戸惑っている。すると、どこからともなくウェルの声が聞こえてくる。

 

『シンフォギアとの適合率に、奇跡という物は介在しない。その力、自分のものとしたいなら、手を伸ばし続ければいい』

 

ウェルの言葉と自分を見つめ続けるフォルテの幻を見て、『手を伸ばさなければいけない・・・』そんな考えがよぎり、手を伸ばしてフォルテの幻の手を握る。すると、暗い闇が晴れるかのように、辺りに光が覆われていく。

 

~♪~

 

「マリアさん!」

 

エルフナインの呼び声でマリアは目を覚ます。辺りを見てみると、そこはF.I.Sの施設、白い孤児院の中であった。

 

「ここは・・・白い孤児院・・・私たちが連れてこられた・・・F.I.Sの・・・」

 

ここが白い孤児院での記憶であるとわかった時、フォルテの幻が再び現れる。マリアとエルフナインが彼女の幻を見た時、幻はある場所に向けて指をさした。幻が指をさす方向に目を向けて見ると、そこにはナスターシャと施設の関係者を怯えながら見つめていた幼きマリアとセレナがいた。

 

「・・・・・・」

 

当時の記憶を見てマリアは少し悲しそうな表情をした。施設の関係者は笑みを浮かべ、幼きマリアとセレナに手を差し伸べた。幼きマリアはその手を取ろうとしたが、それを許さないがごとく、ナスターシャが鞭で幼きマリアの手を叩いた。

 

「今日からあなたたちには戦闘訓練を行ってもらいます!フィーネの器となれなかったレセプターチルドレンは、涙より血を流すことで組織に貢献するのです!」

 

幼きマリアはナスターシャに対し恐れを抱き、涙を流した。ここで、ウェルの声が聞こえてきて、フォルテの幻が口を開く。

 

『本当にそうなのかい?』

 

『本当に君の記憶は、マムへの恐れだけだったのか?』

 

ウェルとフォルテの幻の声を聞いて、当時目を背けていたナスターシャに初めて目を向けるマリア。その表情を見て、マリアは目を見開いた。この時のナスターシャの表情は・・・とても悲しそうな顔をしていた。

 

(そうだ・・・恐れと痛みから、記憶に蓋をしていた・・・。いつだってマムは、私を打った後悲しそうな顔をして・・・)

 

ナスターシャの辛そうな顔を見て、マリアは思い出す。LiNKERの投与を強要する時も、彼女は悲しそうな顔をしていた。それだけでない。戦闘訓練で負傷した仲間たちの治療も施していた。さらに、マリアのガングニールの適合の時だって・・・

 

『無理よ、マム・・・やっぱり私は・・・セレナみたいにはなれやしない・・・』

 

『マリア。ここで諦めることは許されません。悪を背負い、悪を貫くと決めたあなたは、苦しくとも、耐えなければならないのです』

 

その言葉の最後に彼女は・・・唇を噛んで血を流し、辛い感情を押し殺していた。その光景は、今日調と切歌を叱った時のフォルテと重なっていた。これらの記憶によって、マリアは思い出した。

 

(そうだ・・・!私たちにどれほど過酷な訓練や実験を課したとしても、マムはただの1人も脱落させなかった。それだけじゃない・・・私たちが決起することで、存在が明るみに出たレセプターチルドレンは、全員保護されている・・・。全ては、私達を生かすために・・・いつも自分を殺して・・・)

 

ナスターシャの厳しさに隠された本当の気持ちを思い出したマリアは松代で出会ったトマト農園のおばあさんの言葉を思い出す。

 

『トマトをおいしくするコツは、厳しい環境に置いてあげること。ギリギリまで水を与えずにおくと、自然と甘みを蓄えてくるもんじゃよ』

 

厳しさを与えることで、甘さを蓄えさせる。ナスターシャがやってきたことは、まさにそれと同じだ。そしてそれを深く受け継いだのが・・・フォルテであった。それに気がついたマリアをフォルテの幻が見つめる。

 

「大いなる実りは、厳しさに耐えてこそ・・・。優しさばかりでは、今日まで生きてこられなかった・・・。私たちに生きる強さを授けてくれたマムの厳しさ・・・その裏にあるのは・・・」

 

全ての答えにたどり着いたマリアにフォルテの幻は笑みを浮かべ、光の粒子となってマリアの身体を包み込む。光が収まると、マリアはアガートラームのギアを纏っていた。

 

『ナスターシャにも、フォルテにも、マリアにも、いつだって伝えてきた・・・。そう、人とシンフォギアを繋ぐのは・・・』

 

「可視化された電気信号が示すここは、ギアとつながる脳領域・・・。誰かを想いやる、熱くて深い感情を司るここに、LiNKERを作用させることができれば・・・!」

 

一部始終を見ていたエルフナインも、LiNKER完成の最後の鍵がなんであるかに気がついた。となれば、後にやることは1つだけだ。

 

~♪~

 

「ん・・・んん・・・はっ!」

 

ダイレクトフィードバックシステムをつけてずっと眠っていたエルフナインは目を覚まし、飛び上がった。いきなり目を覚ました彼女に調と切歌は驚く。

 

「エルフナイン⁉」

 

「どうなったデスか⁉」

 

「もうひと踏ん張り・・・その後は、お願いします!」

 

エルフナインはヘッドギアを外して研究室を後にした。その様子に2人はポカンとしている。ちょうどそのタイミングにマリアは目を覚ました。

 

「マリア!」

 

「・・・ありがとう・・・マム・・・」

 

記憶の中でナスターシャの思いを思い出したマリアの目には一筋の涙が溜まっており、彼女はそれを拭った。

 

「まったく・・・ひやひやさせてくれる・・・」

 

ずっとバイタルを確認しつつ作業をずっとしていたフォルテは安心し、椅子に座ってもたれかかる。

 

「・・・フォルテ」

 

「ん?」

 

「ありがとう」

 

「・・・なんだ、突然?」

 

マリアからのお礼の言葉に、何のことかよくわかってはいないが、悪い気はせず、フォルテは笑みを浮かべるのであった。

 

~♪~

 

一方その頃、どこかへ逃げていく蛇のような姿となったアルカ・ノイズに響は追いついた。アルカ・ノイズは前進を止め、プラナリアのようにまた分裂し、数を増やした。分裂した1個体は響に向かって突進してきた。

 

「何度分裂したってぇ!!」

 

響は突進してきたアルカ・ノイズの角を掴んで受け止め、足のアンガージャッキを地面に突き刺して身体を固定させる。だがその間にも分裂したもう1体のアルカ・ノイズはどこかへと戦線離脱しようとする。

 

「!しまった!どおおりゃああああ!!」

 

響は受け止めたアルカ・ノイズを放り投げて地面に叩きつけ、そこから跳躍してアンガージャッキを伸ばす。

 

「はああああ!!」

 

響はアルカ・ノイズに蹴りを放ち、アンガージャッキを突き刺してアルカ・ノイズを倒した。

 

「今逃げた奴を追いかけなきゃ!」

 

響が逃げたアルカ・ノイズを追いかけようとした時、何かに気付き上を見上げる。何もない空より、光学迷彩を解除した航空母艦が姿を現した。

 

「あれは、バルベルデで堕とした・・・」

 

姿を現した航空母艦は他の装者たちにも確認できた。

 

「いくらシンフォギアが堅固でも・・・」

 

「装者の心はたやすく折れるワケダ」

 

「・・・っ」

 

杖を撫でてキスをするカリオストロとカエルのぬいぐるみの首を絞めるプレラーティ。

 

「総力戦を仕掛けるわ」

 

サンジェルマンの指揮により、錬金陣が現れ、母艦型のアルカ・ノイズが複数現れる。そこへ響の通信機から衝撃な報告が聞こえてきた。

 

『アルカ・ノイズ、第19区域方面へ進攻!』

 

「!それって・・・リディアンの方じゃ・・・!」

 

そう、第19区域とは、リディアンがある方角である。

 

「立花さん!!」

 

「!!?海恋さん!!?」

 

ここに聞こえるはずのない海恋の声に響は驚愕した。

 

~♪~

 

S.O.N.G本部のモニターにも、航空母艦の甲板に乗っている海恋の姿が確認できた。

 

「そんな・・・!まさか・・・!」

 

「バカな!!?なぜ海恋君が!!?」

 

敵の元に海恋がいるという事実にオペレーターたちも、弦十郎も驚かずにはいられなかった。

 

~♪~

 

響の驚愕に構わず海恋は航空母艦の上から声を上げる。

 

「空のアルカ・ノイズは日和たちに任せて、あなたは逃げていったアルカ・ノイズを追いかけて!!」

 

「で、でも・・・それじゃあ・・・」

 

「今ここで行かなかったらリディアンはどうなるの!!?」

 

「!!」

 

海恋の叱咤の声に響が思い浮かべるのは、親友の未来の笑顔だ。

 

「私やみんななら大丈夫!!あなたはあなたの正義を信じて握りしめて!!せめて、自分の最善を選んでくれ!!」

 

海恋の叱咤する声を近くで聞いていたカリオストロはエドワードに問いかける。

 

「いいの?あんなこと言ってるけど」

 

「よい」

 

相変わらず何を考えているのかわからないエドワード。だが何を言っても意見を曲げないのはわかりきってるため、仕方なく放っておくことにする3人の錬金術師たち。

 

「・・・ありがとうございます・・・海恋さん・・・。必ず助けてみせます・・・!」

 

響はそう言って胸のギアコンバーターを手にかける。イグナイトを使用しようとしているのだ。だがそれは、錬金術師たちが待ち望んでいたものだ。

 

「待っていたのはこの瞬間!」

 

「待て」

 

「エドワード?」

 

サンジェルマンがラピスが埋め込まれた銃を取り出した時、エドワードが静止した。

 

「・・・そろそろ面白くなるぞ」

 

まるでこの先の展開を先読んだかのようにエドワードは楽しそうに笑みを浮かべる。

 

「イグナイトモジュール・・・」

 

『その無茶は後に取っとくデス!』

 

『わがままなのは、響さん1人じゃないから!』

 

響がイグナイトを使用しようとした時、通信機から切歌と調の声が割って入ってきた。すると、轟音と共に空から使用要請をしていたハリヤーがやってきて、航空戦艦の頭上を通っていく。そして、航空母艦の真上から切歌と調がハリヤーから降りて降下する。そして・・・

 

Various Shul Shagana tron……

 

詠唱を唄うことによって、2人はシンフォギアを身に纏った。降下していく調はヨーヨー型の丸鋸を放って小型の空中アルカ・ノイズを撃墜し、さらにツインテール部位のアームを展開し、小型の丸鋸を複数放った。

 

【α式・百輪廻】

 

放たれた丸鋸は飛び回る空中アルカ・ノイズを次々撃墜していく。さらに切歌は鎌の刃を3つに増やし、そのまま振るって刃をブーメランのように放った。

 

【切・呪りeッTぉ】

 

放たれた2つの刃は空中アルカ・ノイズを何体も斬り裂いていく。これらの技を放った2人にはバックファイアによるダメージは入らなかった。それ即ち・・・LiNKERが完成したのだ。

 

~♪~

 

S.O.N.G本部のモニターには航空母艦の上に着地した2人の姿が映し出されている。

 

「シュルシャガナとイガリマ!エンゲージ!」

 

「協力してもらった入間の方々には、感謝してもしきれないですね」

 

「バイタル安定・・・シンフォギアからのバックファイアは、規定値内に抑えられています」

 

「こっちもよく間に合わせてくれた。感謝するぞ、エルフナイン君!」

 

LiNKER完成の功労者であるエルフナインは弦十郎は感謝の言葉を述べた。

 

一方、LiNKERを完成させたエルフナインは自身の研究室で一息ついていた。モニターにはLiNKERの原子配列を立体的にした図が映し出されている。

 

「LiNKER完成に必要だったのは、ギアと装者の間を繋ぐ脳領域を突き止めること。その部位が司るのは……自分を殺してでも、誰かを守りたい一生の思い。それを一言で言うならば!」

 

~♪~

 

「愛よ!!」

 

シンフォギアを身に纏ったマリアはリディアンの屋上で待機し、こちらに向かってきたアルカ・ノイズを迎え撃つ。

 

「はああああああ!!」

 

跳躍したマリアは短剣を蛇腹状の刃に可変し、伸ばした刃を向かってくるアルカ・ノイズに放った。

 

【EMPRESS†REBELLION】

 

放たれた刃はアルカ・ノイズを真っ二つに両断した。これで分裂するアルカ・ノイズは全滅した。

 

「最高・・・なんて言わないわ」

 

リディアンの屋根に着地したマリアはゆっくりと立ち上がる。

 

(あなたは最低の最低よ。・・・ドクターウェル)

 

~♪~

 

航空母艦の甲板。そこに立つ錬金術師たちの足元が突然熱し始めた。

 

「「「「!!」」」」

 

異変を感じ取った錬金術師たちはすぐにその場から跳躍し、その場を離れる。すると・・・

 

ドオオオオオン!!

 

熱した甲板の下より炎が突き破って噴き出した。炎を追うように現れたのはシンフォギアを身に纏ったフォルテだった。フォルテは海恋の元まで降り立ち、彼女を守るように立った。

 

「無事か?西園寺」

 

「フォルテさん・・・はい!」

 

「待っていろ、すぐに終わらせる」

 

フォルテは大剣を双剣に変形させ、雷を纏って母艦型アルカ・ノイズに雷撃を放った。

 

【Asmodeus Of Lust】

 

放たれた雷撃は母艦型のアルカ・ノイズをX文字に切り裂かれ、爆散した。

 

「デース!!」

 

同時に、切歌3つの刃を展開した大鎌を構え、1体の母艦型アルカ・ノイズに接近して両断する。さらに調はツインテール部位より展開した大型丸鋸を放ち、もう1体の母艦型アルカ・ノイズを斬り裂いた。そんな彼女の足元に火炎弾が撃ち込まれた。調はその火炎弾を跳躍して躱す。この火炎弾を放ったのはプレラーティだ。プレラーティは両腕に炎を灯し、調に向けてボールのように放つ。向かってくる炎を調は小型丸鋸を複数放ち、相殺させる。そこへフォルテがプレラーティに双剣を振り下ろし、攻撃を仕掛けるが、これを難なく躱される。

そこに1つの氷のドリルが突っ込んできたが、フォルテは慌てることなく双剣で氷を切り裂いて砕く。その隙をついて突っ込んでくるのはエドワードだ。エドワードは甲板の一部素材を一瞬で構築錬成し、忍者刀を作り、フォルテに振るう。フォルテは右手の剣で忍者刀を受け止める。

 

「ちと派手にやってくれたのう」

 

エドワードは笑って忍者刀で受け止めながら左手で構築錬成を行い、もう忍者刀を創り出してフォルテに振るう。フォルテは左手の剣で忍者刀を受け止め、そして双剣でエドワードを押し返し、右手の剣を振るう。しかしその攻撃をエドワードは後ろへ軽く跳躍して簡単に躱す。そこへ切歌が接近し、鎌を振り下ろすが、エドワードは2つの忍者刀で鎌を受け止め、そして切歌を押し退ける。そのタイミングでカリオストロが切歌に向けて光弾を発射し掌底を放つ。切歌は光弾を弾き、カリオストロの掌底を鎌の柄で受け止める。

 

「結局、お薬頼りのくせして」

 

「LiNKERをただの薬と思わないでほしいデス!」

 

「みんなの思いが完成させた絆で!」

 

調はヨーヨーの丸鋸を威力を引き上げてプレラーティに投擲する。対するプレラーティはカエルのぬいぐるみを通して防御障壁展開して丸鋸を弾く。さらに展開した5つ水の錬金陣より氷の槍を放った。調は氷の槍を踊るように躱し、プレラーティに接近してスカートを丸鋸に変形させる。

 

Δ式・艶殺アクセル

 

プレラーティは防御障壁を展開して丸鋸を受け止めるが、調の攻撃の方が重い。防御障壁が耐えられないと判断したプレラーティは障壁を解除し、調から距離を取る。切歌もカリオストロの攻撃を押し返し、肩アーマーのアンカーを放つ。カリオストロは防御障壁を放つも、呆気なく吹き飛ばされる。

 

「ああん!」

 

吹き飛ばされたカリオストロは後ろにいたプレラーティと背中をぶつけてしまう。調と切歌と2人を追撃に攻撃を仕掛けようとする。エドワードはそうはさせまいと調と切歌に2つの忍者刀を投擲する。フォルテはその隙を逃さず双剣を大剣に戻し、彼女に振るう。エドワードは慌てる素振りは見せず、右手で難なく防御障壁を張って防ぐ。飛んできた忍者刀を調と切歌は跳躍して躱し、お互いに手を繋ぎ合う。

 

「きっと勝利を!」

 

「むしり取るデス!」

 

調は脚部に大型丸鋸を、切歌はつま先に三日月形の鎌を展開し、プレラーティとカリオストロに向けて2つの刃の飛び蹴り放った。それを見たエドワードは防御障壁を張りつつ、袖から札を取り出し、調と切歌に放った。それを見たフォルテはエドワードを押し返し、ブースターを使って投擲された札に接近し、大剣を両剣に変形させ、両剣を回転させて札を全て斬り裂いた。切り裂かれた札は爆発し、硝煙が立ち上る。調と切歌は硝煙を突き破ってそのままカリオストロとプレラーティに突っ込む。そこへサンジェルマンが2人を守るように間に入り、防御障壁を張った。障壁と2つの刃は均衡しあっている。

 

「・・・っ!」

 

「「はあああああああ!!」」

 

力の押し合いは調と切歌が上回り、防御障壁は見事砕け散り、2人の刃の蹴りは艦首箇所を貫いた。これによって航空母艦は連鎖的に大爆発した。フォルテは海恋をお姫様抱っこで抱えて航空母艦から脱出し、調と切歌と共に地面に土煙を巻き上げながら着地する。

 

「あいつらはどこデスか⁉」

 

土煙でよく見えない中、切歌は辺りを見回し、脱出したであろう錬金術師たちを探す。そこに・・・

 

ドォン!!

 

煙の中より銃声が聞こえてきた。これはファウストローブを纏ったサンジェルマンが放った弾丸だ。サンジェルマンだけでなく、エドワード以外の2人もファウストローブを纏っていた。弾丸は切歌に向かって飛来している。

 

「暁!後ろだ!」

 

「切ちゃん!」

 

「その命、革命の礎に」

 

フォルテが声をかけるも切歌が反応に遅れたため躱すことができない。弾丸が直撃しようとしたその時、響が間に入り、掌で弾丸を受け止めた。弾はめり込み、威力を失い地面に落下する。

 

「何・・・?」

 

「響さん!」

 

「間違ってる・・・命を礎だなんて!間違ってるよ!」

 

「ふふふ、青いのう」

 

「4対4になったからって・・・」

 

「気持ちが大きくなってるワケダ」

 

カリオストロとプレラーティが小バカにした発言をした時、上空より赤い光の矢が飛んできた。響たちが後ろを振り向くと、崖の上よりクリス、日和、翼、マリアの4人の姿がそこにいた。

 

「いいや!これで8対4だ!」

 

「日和!!」

 

「翼さん!クリスちゃん!」

 

「「マリア!」」

 

「・・・っ」

 

「海恋!!」

 

日和は海恋を確認すると、3人より先に崖から跳躍し、彼女の元まで駆け寄り、抱きしめる。

 

「よかったぁ・・・無事で・・・どこも怪我してない?」

 

「日和・・・うん。大丈夫」

 

海恋が無事であると安心した日和はほっと息を吐き、彼女を守るように前に立ち、錬金術師たちを睨みつける。日和の前に翼とマリアが降り立ち、次いでクリスも降り立つ。翼は刀の切っ先を錬金術師たちに向ける。

 

「いい加減聞かせてもらおうか、パヴァリア光明結社。その目的を!」

 

「人を支配から解放するって言っていたあなたたちは、一体何と戦っているの⁉あなたたちが何を望んでいるのかを教えて!本当に誰かのために戦っているのなら、私たちは手を取り合える!」

 

「手を取るだと?傲慢な」

 

サンジェルマンは響の言葉を拒絶するように言い放ち、自身の目的を言い放つ。

 

「我らは神の力をもってして、バラルの呪詛を解き放つ!」

 

サンジェルマンたちの目的に装者と海恋は驚愕する。

 

「神の力で・・・バラルの呪詛をだと⁉」

 

「月の遺跡を掌握する!」

 

サンジェルマンは顔の前で右拳を力強く握りしめた。




エドワードの戦闘スタイル(通常状態)

エドワードが最も得意としているのは構築、再構築錬成。通常の錬金術だけでなく、それらを駆使して状況に応じた武器を錬成して攻撃、さらに錬金術の力を封じ込めた札を放って攻撃するなど、状況に応じて戦い方を変えていく万能型のスタイル。ちなみに、構築錬成に使う際の材料は時には地面の砂などを使ったりするが、大抵は錬金術で札に封じ込めた素材を主に使ったりしている。
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