翼の散らかった病室を2人で掃除することになった日和と響。2人で分担して掃除したかいもあって足場もなかったような汚部屋がウソのようにきれいになった。
「もう・・・そんなのいいから・・・」
「大丈夫です。私、お掃除得意ですから、任せてください」
「そうじゃなくって・・・」
「私たち、緒川さんからお見舞いを頼まれたんです。お片付けさせてくださいね」
もうほぼ終わってる状態で手遅れなような気がするが、翼の言葉に日和と響はそう返し、翼は顔を赤くしてそっぽを向く。
「それにしても驚きました。部屋を開けてみたらお姉ちゃんの部屋みたいに汚部屋でしたから」
「私は・・・その・・・こういうところに気が回らなくて・・・」
「意外です。翼さんって何でも完璧にこなすイメージがありましたから」
「私もです」
「・・・真実は逆ね。私は戦うことしか知らないのよ」
2人の抱いていたイメージに翼は自虐的にそう呟き、寂しそうな顔をする。その間にも部屋の掃除が終わった。
「はーい、お掃除おしまいでーす!」
「すまないわね。いつもは緒川さんがやってくれてるんだけど・・・」
「「えええぇぇ!!?男の人にですか!!?」」
男の緒川が翼の部屋を掃除してくれてると聞いて、日和と響は顔が赤くなる。翼はその言葉にハッと気づき、顔を赤くする。
「た、確かに考えてみればいろいろ問題ありそうだけど・・・それでも、散らかしっぱなしにしてるの、よくないから」
「は、はぁ・・・そういうもの・・・なんですか・・・?」
意外な一面はあったものの、翼はひとまずそれは置いておいて、本題に入る。
「い、今はこんな状況だけど、報告書は読ませてもらっているわ」
「「え?」」
「あなたが正式に二課に入ったこと、それから私が抜けた穴を、あなたたちがよく埋めているということもね」
「そ、そんなことありません!私、いつも二課のみんなに助けられっぱなしで・・・」
「そ、そうですよ。それに私・・・まだまだド新人なものですから・・・」
翼の言葉に響と日和は慌てて訂正し、その様子に翼はクスリと笑みを浮かべる。
「でも・・・とっても嬉しいです。憧れの翼さんに、そう言ってもらえるのは・・・」
「・・・でも、だからこそ聞かせてほしいの。あなたたちの戦う理由を」
「「え・・・」」
「ノイズとの戦いは遊びではない。それは、今日まで死線を越えてきたあなたたちならわかるはず」
真面目な顔をして放つ翼の質問に、響は答える。
「・・・よくわかりません。私、人助けが趣味なもので・・・それで・・・」
「それで?それだけで?」
「だって、勉強とかスポーツとか、誰かと競い合って結果を出すしかないですけど、人助けって誰かと競い合わなくていいじゃないですか。私には特技とか人に誇れるものなんてないから、せめて自分にできることで皆の役に立てればいいかなぁーって・・・えへへ、へへへ、へぇ・・・」
響は笑みを浮かべるが、段々と笑い声の力が抜けていく。そして、そこから真面目なトーンになる。
「・・・きっかけは・・・きっかけはやっぱり、あの事件かもしれません。私を救うために、奏さんが命を燃やした2年前のライブ・・・。奏さんだけじゃありません。あの日、たくさんの人がそこで亡くなりました。でも、私は生き残って、今日も笑ってご飯を食べたりしています。だからせめて、誰かの役に立ちたいんです。明日も笑ったり、ご飯食べたりしたいから・・・人助けをしたいんです」
響は満面な笑みを浮かべてそう言い放った。納得がいった翼は今度は日和に視線を向ける。
「あなたらしい、ポジティブな理由ね。それで、あなたは?あなたはどんな思いで、戦場に身を置くの?」
「・・・ご存知かもしれませんが・・・私には、玲奈っていう友達がいたんです。それから、小豆っていう友達も。2人は命を落としてまで、私を助けてくれたんです。私のせいなのに・・・。そんな2人から、死に際に約束されたんです。生きてって。私、その約束を果たし続けたいんです」
「それだけなら戦場に立つ必要はないと思うけど」
「確かにそうですね。でも・・・それじゃダメなんだって気づいたんです。私には、まだまだ他にも、大切な人たちがたくさんいる。誰か1人でもいなくなるなんて・・・私には考えられません。私の人生は、みんなに支えられて成り立ってる。私も、その人たちのために、支えになりたい。これは生きたいからだけじゃありません。みんなを守りたいから戦うんです!」
「日和さん・・・」
日和の嘘偽りのない覚悟に響は笑みを浮かべ、翼は納得したように笑みを浮かべる。
「あなたも覚悟を決めたというわけね。だけど、あなたたちのその思いは前向きな自殺衝動なのかもしれない」
「「自殺衝動!!?」」
「誰かのために犠牲にすることで、古傷の痛みから救われたいという、自己断罪の表れなのかも」
翼の言葉に日和と響は戸惑いを隠せないでいた。
「あ、あのぅ・・・私たち、変なこと言っちゃいましたか・・・?」
戸惑うばかりの2人の愛想笑いを見て、翼は笑みを浮かべる・
~♪~
話の続きは病院の屋上ですることになった。この屋上にいるのは、翼、日和、響の3人だけだ。
「変かどうかは、私が決めることじゃないわ。自分で考え、自分で決めることね」
「考えても考えても、わからないことだらけなんです。デュランダルに触れて、暗闇に飲み込まれかけました・・・。気が付いたら・・・人に向かってあの力を・・・。私がアームドギアをうまく使えていたら、あんなことにもならずに・・・」
「そんなことないと思うよ。私だって・・・デュランダルに触れたら、そうなってたかもしれないし・・・あの子を・・・傷つけてしまうかもしれない・・・。未熟なのは私も同じ・・・もっとシンフォギアの力を知らないと・・・」
「力の使い方を知るということは、すなわち戦士になるということ」
「「戦士・・・」」
「それだけ・・・人としての生き方を遠ざかることなのよ。あなたたちに、その覚悟はあるのかしら」
屋上に風がなびき、翼の戦士としての問いかけに響は口を開く。
「・・・守りたいものがあるんです。それは、何でもないただの日常。そんな日常を大切にしたいと強く思ってるんです。だけど・・・思うばっかりで、空回りして・・・」
「私も同じです。みんなを守るって息巻いたはいいですけど・・・どうすればいいのかというのが、まだ具体的わかっていません。そのせいで、響ちゃんや翼さんにも迷惑かけて・・・」
「・・・戦いの中、あなたたちが思っていることは?」
「ノイズに襲われてる人がいるなら、一秒でも早く救いたいです!最速で、最短で、まっすぐに、一直線で駆けつけたい!」
「そして・・・もしその相手がノイズじゃなく誰かなら・・・。どうして戦わなくちゃいけないのかっていう胸の疑問を、私たちの想いを届けたいと考えています!」
病院に来る前に、2人で話し合って決めた、確固たる決意を響と日和は翼に向かって堂々と言い切って見せた。
「今あなたたちの胸にあるものを、できるだけ強くはっきりと思い描きなさい。それがあなたたちの戦う力・・・立花響と東雲日和のアームドギアに他ならないわ」
2人の言葉を聞いた翼は笑みを浮かべてそう2人に伝えた。
~♪~
夕方ごろ、海恋は未来を連れてふらわーに向かっている。未来の様子はあまり元気がなさそうに見える。それもそうだ。未来は学校の隣なる病院で翼と仲良くしている日和と響の姿を学校の図書館の窓から見たのだ。なぜ自分の隣には響がいないのだろうと考えこんでしまったのだ。それを見た海恋が未来をふらわーに連れて行っているのだ。かける言葉も見つからず、気が付けば2人は店の前までたどり着いた。2人は店のガラス戸を開けて中に入る。
「いらっしゃい」
店に入る2人に声をかけたのは、この店の店主であるおばちゃんである。海恋や未来、それから響にとってはもはや顔なじみである。
「「こんにちは」」
「おや、今日は珍しい組み合わせだね。いつも人の三倍は食べる子は一緒じゃないのかい?」
「今日は・・・先輩だけです」
「すみません。今日もあの子は用事で来られないみたいで・・・」
「・・・そうかい」
未来の気分が落ち込んでいることに気づいているおばちゃんは深くは尋ねなかった。2人はカウンター席に座り、お好み焼きを注文する。注文を受け、おばちゃんはお好み焼きを焼き始める。
「じゃあ、今日はおばちゃんがあの子の分まで食べるとしようかねぇ~」
「食べなくていいです。そういう冗談はいいので焼いてください」
「あら!あははは」
どこまでも真面目な海恋にはおばちゃんの粋なジョークは通用しなかった。ただ、未来を気遣っているのはわかっているため、笑みは浮かべている。
「ごめんね、小日向さん。本当は立花さんと一緒に行きたかったでしょう」
「いえ、大丈夫です。お腹すいてましたから。おばちゃんのお好み焼きを食べたくて、今日は朝から何も食べてなくて・・・」
「小日向さん。落ち込んでいる時こそ、1日3食は忘れちゃダメよ」
顔を俯かせている未来に海恋は彼女の頭をなでながら優しく微笑んでそう言った。
「そうだねぇ。お腹すいたまま考え込むとね、嫌な答えばかり浮かんでくるもんだよ」
海恋の言葉に同意しているおばちゃんは未来に言い聞かせるようにそう言った。
「小日向さん。相手が何を考えてるかなんて、結局のところ、誰にもわからないわ。わからないからこそきちんと面と向かって話し合うのよ。少なくとも、私は今までそうして来たし、これからもそれは変わらない」
おばちゃんと海恋の言葉を聞いて、未来は響の行動を思い返す。
(そうかもしれない・・・。私が勝手に思い込んでるだけだもの。ちゃんと話せば、きっと・・・)
自分の中でちゃんとした答えを出せた未来は晴れやかな笑顔になった。
「ありがとう、おばちゃん、海恋さん」
「何かあったら、またいつでもおばちゃんのところにおいで」
「はい」
元気になった未来を見て、海恋は微笑ましい顔になる。その間にも、お好み焼きが焼けたようだ。
「食べましょうか、小日向さん」
「はい」
海恋と未来は何気ない会話で盛り上がりながら、お好み焼きを食べるのであった。
~♪~
一方その頃病院の屋上で、翼と日和と響の3人はベンチに座って話し込んでいた。3人を様子を見る限り、わだかまりはすっかり解けて、仲睦まじい光景である。そんな中、響は難しく考え込んでいる。
「う~ん・・・」
「どうしたの、響ちゃん?そんな考え込んで」
「アームドギアの事です。日和さんと違って、私はアームドギアを出せていませんから・・・」
「私はただ、自分の歌を信じて行動してるから・・・」
長い鍛錬をこなしてきた翼は刀を、自分の胸の中の歌を信じ、思い描いた日和は棍を出せるが、響は未だにアームドギアを出せていない。かといってすぐに槍を出せと言われてもピンとこないわけでそんなすぐに使い方を思いつくわけがない。
「あ、知ってますか翼さん、日和さん!お腹すいたまま考えても、ロクな答えを出せないってこと!」
「何よそれ?」
「前に私、言われたんです!お好み焼きのおばちゃんに!掛け値なしに名言ですよ!」
「それってふらわーの?いいなぁ・・・私、用事が重なっちゃって、ふらわーのお好み焼き食べたことないから」
「ええ!!?日和さん、それ人生の半分を損してますよ!!?」
日和がふらわーのお好み焼きを食べたことがないことを聞いて非常に驚愕する響。
「そうだ日和さん!今からふらわーに行きましょう!!お腹いっぱいになればギアの使い方も閃くと思いますし~」
「いいねぇ!行こう行こう!!翼さんの分もお持ち帰りできないかなぁ?」
「できますできます!!そういうわけで翼さん、私たち、今からふらわーのお好み焼きをお持ち帰りしてきます!!翼さんもきっと気に入ると思います!!」
「楽しみにしててくださいね!」
「えっ、あ、ちょ・・・待ちなさい!立花!東雲!」
翼は制止の声を上げるが、浮かれて聞こえていないのか響は日和と手を繋いで下の階段へと駆けていく。元気な2人の後姿を見て、翼は楽し気に笑みを浮かべたのであった。
~♪~
日和と響がふらわーに向かっている時間帯、二課の本部では警報が鳴り響いた。
「ネフシュタンの鎧を纏った少女がこちらに接近してきます!」
そう、あの襲撃者がまたもネフシュタンの鎧を身に纏って現れたのだ。これはその警報なのだ。
「周辺地区に避難警報発令!!そして、日和君と響君に連絡だ!!」
弦十郎はすぐに指令を出した。
~♪~
指令の連絡はすぐに日和と響に届いた。
「はい、わかりました!響ちゃんと一緒にすぐに向かいます!」
事態を把握した日和と響はふらわーに向かうのを中断し、すぐに襲撃者の出現地へと向かっていく。すると・・・
「響ー!」
「!!?未来・・・!!?」
「か、海恋!!?」
前方に未来がこちらに向かい、海恋が未来についていっている。襲撃者出現地に2人がいることに驚愕する日和と響。しかし、2人は左方向に敵意を感じ取り、そこを振り向く。
「お前らぁ!!」
やはり現れた襲撃者は鞭を振るった。
「小日向さん!海恋!来ちゃダメ!!ここは・・・」
響たちと未来たちの間を挟むように鞭が通り抜け、衝撃で地面がえぐれ、響に駆け寄ろうとした未来は吹き飛ばされる。
「きゃあああああ!!」
「「小日向さん!!」」
「未来!!」
「しまった!あいつらの他にもいたのか!」
襲撃者は未来たちを巻き込むつもりはなかったようだ。襲撃者のその声は日和の耳には聞こえていた。吹き飛ばされた未来が起き上がろうとした時、ボロボロになった車が迫ってくる。
「小日向さん!!」
海恋は未来を守ろうと彼女を庇うように抱きしめる。日和と響きは2人を守るためにすぐに詠唱を唱える。
clear skies nyoikinkobou tron……
Balwisyall Nescell Gungnir tron……
シンフォギアを纏った響は日和より早く行動し、落下してきた車を殴り、弾き返した。2人の姿を見て、未来と海恋は呆然とする。
「2人とも・・・よかった・・・」
2人が無事を確認した日和は安心し、すぐに襲撃者に視線を向ける。日和は襲撃者に向かって指笛を鳴らし、彼女を挑発して注意を自分に向けさせる。これによって、襲撃者は日和に視線を向け、注意を向かれた日和は市街地から離れていく。
「とろくせぇのがいっちょ前に挑発か!上等だ!!」
デュランダルの一件で日和に敵対心を強くさせた襲撃者は日和の挑発に乗り、日和を追いかけていく。
「立花さん・・・これは・・・」
「海恋さん・・・未来・・・ごめん・・・」
「ま、待ちなさい!!」
響は2人に一言謝り、日和を追いかけに走っていった。
「なんで・・・響が・・・」
どういうわけか理解できず、残された未来と海恋は戸惑いを隠せないでいた。
~♪~
一般人が入り込まない林の中に入ったのを確認した日和はすぐに右手首のユニットから棍を取り出す。追いついた襲撃者はすぐに日和に鞭を振るう。日和は棍を振るって鞭を弾き返し、さらに棍を伸ばし攻撃する。襲撃者は伸びた棍を躱す。そして日和は棍を手放して襲撃者に近づき、飛び蹴りを放つ。しかし、襲撃者は鞭で防御し、凌いだ。
「ちょせぇんだよ!!」
襲撃者は日和の足を掴み、地面に叩きつけた。
「ぐっ・・・!!」
痛みを堪える日和に襲撃者は鞭を振るった。日和はすぐに左手首のユニットからもう1本の棍を取り出し、それで鞭を防ぐ。攻撃を凌いだ日和は襲撃者から距離を取り、突き刺さった棍を抜き、二刀流になる。戦えるようになったとはいえ、相手は完全聖遺物。その性能差を補うのは、やはり容易ではない。戦闘経験がまだまだ浅い日和ならばなおさらだ。
「日和さーん!!」
「響ちゃん!」
そこへ助太刀するかのように響が駆けつけてきた。
「はっ!どんくせぇお仲間の登場かぁ!」
「どんくさいなんて名前じゃない!!」
襲撃者の言葉に響は声を出して反論する。
「私は立花響、15歳!誕生日は9月の13日で血液型はO型!身長は、この間の測定では157センチ!体重は・・・もう少し仲良くなったら教えてあげる!趣味は人助けで好きなものはご飯アンドご飯!あと・・・彼氏いない歴は年齢と同じぃ!!」
「な、なんだ・・・?」
響きの突然の自己紹介に襲撃者は引いている。それに日和も続く。
「私の名前は東雲日和、16歳!誕生日は10月の27日!血液型はB型!身長は160センチ!体重は秘密!好きなものは音楽とベース!趣味はセッションで彼氏は小学校の時にいたけど、1週間で別れた!!」
「な、なにをトチ狂ってやがるんだお前ら・・・」
襲撃者の反応は至って当然だ。何せ戦場で突然の自己紹介やプロフィール公開する人間がいるなど、誰が想像できるか。
「私たちは、ノイズと違って言葉が通じ合えるんだからちゃんと話し合いたい!!」
「そうだよ!!私だって、本当はあなたと戦いたくなんかない!!」
「なんて悠長、この期に及んで、まだそんな戯言を!!」
襲撃者は響と日和に鞭を振るう。日和と響きは襲撃者の攻撃を躱していく。
(こいつら・・・動きが変わった・・・⁉覚悟か⁉)
「話し合おうよ!私達は戦っちゃいけないんだ!だって、言葉が通じていれば人間は・・・」
「うるせぇ!!!」
響の言葉を否定するように襲撃者は声を荒げる。
「わかりあえるものかよ人間が!そんな風にできているものか!」
「そんなことないよ!だって、私はあなたの声を聞いたから!」
「ああ!!?」
「さっきあなた、しまったって言ってたよね。それは、小日向さんや海恋を巻き込むつもりはなかったってことだよね。本当は優しい子なんだよ、あなたは」
「・・・っ!!」
まさか自分の言葉を聞こえていたとは思わなかった襲撃者は日和の言葉にさらに顔を強張らせる。彼女の中のイライラも強まっていく。
「私はあなたとお友達になりたいの!!もうこんなことやめようよ!!こんなことしたって、何にも・・・」
「だまれぇ!!!!」
日和の説得の声にも、襲撃者は声を荒げて否定する。
「気に入らねぇ・・・気に入らねえ!気に入らねえ!気に入らねぇ!!わかっちゃいねえことを知ったふうに口にするお前らがぁ!!そいつを引きずって来いと言われたがもうそんなことはどうでもいい!!お前らをこの手で叩きつぶす!!特にお前!!お前だけは絶対にぶちのめす!!!お前の全てを踏みにじってやるぅ!!!」
「私たちだってやられるわけには・・・」
「吹っ飛べ!!!」
襲撃者は鞭の先端に黒い雷撃の白いエネルギー球体を作り上げ、荒ぶった感情と共にそれを日和たちの元に放った。
【NIRUVANA GEDON】
放たれた球体を日和は片方の棍を上に投げ、もう片方の棍をバットのように持ち替え、それを打ち返そうと試みる。日和はエネルギー体を受け止めたが、打ち返すには至らない。
「もってけ、ダブルだぁ!!!」
襲撃者はさらにもう1つのエネルギー球体を作り上げ、それを撃ち放った。2つのエネルギーは衝突しあい、爆発する。
「お前らなんかがいるから、あたしはまた・・・!!」
爆発の煙が晴れると、さっきのダメージを耐えた日和が響を守るように立っている。後ろにいる響はアームドギアを顕現させようとエネルギーをためている。だが、それは失敗し、逆に吹っ飛ばされる。
「響ちゃん!」
(これじゃダメだ・・・翼さんと日和さんのように、ギアのエネルギーを固定できない・・・)
「この短期間に、アームドギアを手にしようってのか!!?」
(エネルギーはあるんだ・・・アームドギアが形成されないのなら・・・その分のエネルギーをぶつければいいだけ!!)
「させるかよっ!!!」
エネルギー形成を阻止しようと襲撃者は鞭を振るった。日和はそれを棍で凌いだ。そしてさらに、日和は鞭が絡まるように棍を回し、そして地面に叩きつける。
「そんなもんで・・・何っ!!?」
襲撃者は鞭を振るおうとするが、鞭が絡まった棍が力強く固定されて、引っ張り上げることができない。日和は自分が投げたもう1つの棍より空高く飛ぶ。回転するもう1つの棍は形を変え、巨大なドリルのような形になる。そして日和は回転したドリルの棍に蹴りを放ち、襲撃者の元まで一直線に降下する。
【天元突破】
日和と共に降下してくるドリルに襲撃者は腕をクロスさせて防御し、強大な攻撃を受け止める。
「この程度でぇ!!!」
「響ちゃん!今だよ!!」
「!しまった!!」
この攻防の間に、響の右手に握りしめられたエネルギーは溜まり、響は襲撃者に迫っていく。
(雷を、握りつぶすように・・・最速で、最短で、まっすぐに、一直線に!胸の響きを・・・この想いを、伝えるためにぃ!!!)
響はアームドギアのエネルギーをため込んだ強力な一撃を襲撃者の鳩尾に放った。ドリルの棍の衝撃と響の拳の衝撃が襲撃者の身体にダメージを与え、衝撃によってネフシュタンの鎧にひびが入った。
(バカな・・・ネフシュタンの鎧が・・・!)
2つの衝撃が合わさったことにより、この場に砂煙が立ち込めるのであった。
如意金箍棒の技
【天元突破】
日和の技。棍を上空に投げてドリルのような形に変え、その棍に蹴りを放ち、回転させながら標的に向かって降下させて相手にダメージを与える大技。実は翼の技、【天ノ逆鱗】を意識し、見よう見まねで日和なりにアレンジを加えたらしい。