日和と響の連携した大技を襲撃者に放ったことにより、辺りは土煙が上がっている。大技を喰らった襲撃者はダメージを負い、彼女の纏うネフシュタンの鎧にもダメージが入っている。
(あいつ・・・なんて無理筋な力の使い方をしやがる・・・!この力・・・あの女の絶唱の力に匹敵しかねない・・・!)
ビキッ!ビキッ!ビキキ・・・!
ネフシュタンの鎧は黒い筋を伝い、襲撃者の身体を侵食するかのように再生する。この再生には襲撃者に痛みが伴う。
(食い破られる前に肩を着けなければ・・・!!?)
何とか態勢を整えようとする襲撃者の前にはすでに日和が目の前にいた。襲撃者は日和が攻撃を仕掛けてくると身構える。だがしかし、日和は攻撃態勢を取ろうとしない。それは、日和に攻撃の意思がないことを意味する。それは、後ろにいた響も同じだった。
「大丈夫だった?怪我、してないかな?」
攻撃しないどころか日和は襲撃者に手を差し伸べ、立たせようとする。日和のその行動は襲撃者の怒りと殺意をさらに助長させ、日和の差し伸べた手を払いのける。
「お前・・・あたしをバカにしてんのか!!あたしを・・・雪音クリスを!!」
「・・・そっか。クリスちゃんっていうんだ」
「クリスちゃんか・・・素敵な名前だね」
ここで襲撃者・・・雪音クリスの名を聞けて、響と日和は満足そうな笑みを浮かべる。
「ねぇ、クリスちゃん、こんな戦い、もうやめようよ。ノイズと違って、私たちは言葉を交わすことができる。ちゃんと話をすれば、きっとわかりあえるはず!だって私たち、同じ人間だよ?」
「そうだよ。私はもうこれ以上クリスちゃんと戦いたくないよ。私は、あなたと友達になりたいだけなんだよ」
響と日和は戦いをやめようとクリスに呼び掛けるが・・・
「・・・お前ら、くせぇんだよ・・・噓くせぇ、青くせぇ!!!」
クリスに攻撃の意思は止むことなく、日和に殴りかかり、蹴り飛ばす。
「日和さん!」
「・・・青くさくたっていい・・・嘘だと思うならそれでもいい。だけど・・・」
追撃するクリスの飛び蹴りに日和は棍で凌ぎながら言葉を続ける。
「私のこの気持ちだけは、本物なの!!!」
日和は棍を力いっぱい握りしめ、クリスを振り払う。振り払われたクリスは着地と同時に、ネフシュタンの鎧の浸食が深刻であると気が付く。
「クリスちゃん!日和さんの言葉を・・・」
「吹っ飛べよ!!!アーマーパージだ!!!」
クリスが叫んだ瞬間、ネフシュタンの鎧は吹き飛び、破片が飛び散る。破片が辺りの木に直撃し、ボロボロになって倒れる。
Killter Ichaival Tron……
「!この歌って・・・」
「まさか・・・クリスちゃん・・・」
「見せてやる・・・イチイバルの力だ!!」
クリスが唱えた詠唱によって、クリスは光に包まれる。
~♪~
二課の本部、戦いの様子を見守っていた時、モニターにて高エネルギー反応の解析結果が表示され、それが文字に表示される。
Ichii-Bal
「イチイバルだと!!?」
判明された聖遺物に弦十郎は驚愕の声を上げる。
「アウフヴァッヘン波形、検知!!」
「各部のデータとも照合完了!コード・イチイバルです!」
「失われた第二号聖遺物までもが、渡っていたというのか・・・!」
判明された聖遺物、イチイバルもまた、元は二課が所有していた聖遺物であるため、弦十郎は険しい顔つきになっている。
~♪~
衝撃によって強い風がなびかせている中、響と日和はクリスの姿を見て、驚愕している。
「クリスちゃん・・・私たちと同じ・・・」
今のクリスの纏っている鎧は響と日和と同じシンフォギアを纏っていた。カラーリングは白と黒と赤色である。シンフォギアにも驚きだが、日和はそれ以上に、露になったクリスの顔を見てさらに驚愕している。
「その顔・・・それに雪音って・・・」
クリスの顔は、海恋がいつも愛読している雑誌に載ってあった、ソネット・M・ユキネと酷似していたのだ。そしてさらに雪音という苗字で日和は1つの答えに到達した。
「クリスちゃん・・・もしかしてあなた・・・」
「・・・歌わせたな・・・」
「「え?」」
「あたしに歌を歌わせたな!!」
クリスの声色は怒りが込められていた。
「教えてやる・・・あたしは、歌が大嫌いだ!!!」
「「歌が嫌い・・・?」」
クリスは二丁のボウガンのアームドギアを展開し、響と日和に向かって矢を撃ち放った。響と日和は放たれた矢を左右に分かれて避けていく。しかし日和の避ける先にクリスが先回りし、クリスが日和を蹴り飛ばす。蹴り飛ばされた日和は響にぶつかり、共に倒れる。その間にもクリスはボウガンを2連装ガトリング砲に変形させ、狙いを2人に定める。
【BILLION MAIDEN】
二丁のガトリングによる4連装一斉掃射を日和と響に向かって放った。態勢を整えた日和と響は放たれた弾を避けていく。周りの木が崩れようとも、クリスの攻撃は止まない。一斉掃射しつつも左右の多連装射出機から多数の小型ミサイルを展開し、一斉発射する。
【MEGA DETH PARTY】
発射された小型ミサイルは響と日和を追撃し、爆発を引き起こす。ミサイルが爆発しても、クリスはガトリングを撃ち続ける。ようやく攻撃の手を止める時には、目の前は火の海と化していた。クリスは息を整えながら、日和と響を仕留めたかどうか確認する。火が鎮火し、煙が晴れると・・・目の前には巨大な盾のような物体があった。
「盾?」
「剣だ!」
この巨大な物体は盾ではなく剣であり、真上にはまだ入院していたはずの翼が立っていた。
「ふん、死に体でおねんねと聞いていたが、足手まとい共を庇いに来たか」
「・・・もう何も、失うものかと決めたのだ!」
クリスと対峙する翼に弦十郎からの通信が入った。
『翼、無理はするな』
「はい」
翼の剣のおかげで無傷で済んだ日和と響は翼を見上げる。
「「翼さん・・・」」
「気づいたか、立花、東雲!だが私も十全ではない。力を貸してほしい」
「「はい!」」
翼の言葉に日和と響は返事をし、立ち上がる。
「うおらあああ!!」
クリスは翼に向けてガトリング砲を掃射する。翼は剣から降りてガトリングの弾を躱し、クリスに刀を振るう。斬撃を避けたクリスはガトリング砲を放ったが、翼はクリスを飛び越えて避け、切り払う。クリスはしゃがんで躱すも翼はクリスのガトリング砲を刀の柄で叩き、態勢を一瞬だけ崩させる。クリスが体制を整えるも、後ろに回り込まれた翼に刀を突きだされている。
(この女・・・以前とは動きがまるで・・・)
以前戦った時はクリスが翼を圧倒していたが、今度はその立場が逆になっている。
「翼さん!その子は・・・」
「わかっている」
クリスがガトリング砲で刀を弾いて、両者は臨戦態勢に入る。
(刃を交える敵じゃないと信じたい。それに、10年前に失われた第二号聖遺物のことも正さなければ・・・)
クリスが翼に向けてガトリング砲を放とうとしたその時・・・上空から飛行型のノイズが現れ、彼女のガトリング砲に向かって突進し、アームドギアを破壊する。
「何っ!!?」
突然のことでクリスは驚愕する。そして、最後に残った1匹がクリスに向かって突進してきた。それに気づいた響がクリスを身を挺して守った。響の突進によって最後のノイズは崩れた。
「響ちゃん!!」
「立花!!」
「お前何やってんだよ!!?」
「ごめん・・・クリスちゃんに当たりそうだったから・・・つい・・・」
そう言った響は気を失い、クリスにもたれかかった。
「・・・っ!バカにして!!余計なお節介だ!!」
「命じたこともできないなんて・・・あなたはどこまで私を失望させるのかしら・・・」
突如として聞こえてきた声にクリスは顔を上げ、翼は刀を、日和は棍を構える。遠くを見ると、木の柵に腕を乗せ、手にはソロモンの杖を持った金髪の女性、フィーネがいた。
「だ、誰・・・?」
「フィーネ⁉」
(フィーネ?終わりの名を持つ者・・・)
クリスは気を失っている響を見て、翼に向けて突き飛ばす。翼が響を受け止め、日和は棍を構えて警戒する。
「こんな奴がいなくたって、戦争の火種くらいアタシ1人で消してやる!そうすれば、あんたの言うように、人は呪いから解放し、バラバラになった世界は元に戻るんだろ!!?」
クリスの言葉を聞き、フィーネはため息をこぼす。
「・・・はぁ・・・。・・・もうあなたは必要ないわ」
「!!な、なんだよそれ!!?」
フィーネの右手は青白く光りだしたと同時に、バラバラになったネフシュタンの鎧も青白く光り、粒子となってフィーネの元に集まっていく。集まった粒子は消え、フィーネはソロモン杖を使ってノイズを操った。操られたノイズは回転し、翼たちに向かって突進してきた。突進してきたノイズを日和が棍で全て薙ぎ払った。その間にもフィーネはどこかへ去っていく。
「待てよ!フィーネぇ!!」
クリスはフィーネを追いかけてこの場を去っていった。
「・・・クリスちゃん・・・」
クリスの寂しげな背中を見て、日和は悲しそうな顔になる。
~♪~
その後、響は二課の本部でメディカルチェックを受けるためにすぐに本部に運ばれた。後を追うように少し遅れて日和と翼が二課のエレベーターに乗って本部に向かっている。
「・・・奏が何のために戦い、玲奈があなたを守り、戦ってきたのか、今なら少しわかる気がする」
「翼さん?」
少しの沈黙の中、翼が日和にそう話しかけてきた。
「だけど、それを理解するのは、正直怖い。人の身ならざる私に、受け入れられるのだろうか・・・」
「・・・一度人に戻って、一般の生活をしてみればいいと思いますよ」
「え?」
「私、ライブする時、小豆・・・あ、私の幼馴染なんですけど・・・深く考えすぎ、それじゃいつかポッキリ折れるって何回も言われまして・・・だから私、今の生活もライブも思い切って楽しんで、今を満喫することにしました」
「・・・まるで奏みたいなことを言うのだな」
「はい。小豆、奏さんの大ファンでしたから」
「そうか。奏が聞いたら、喜ぶだろうな」
日和の話を聞いて、翼は少し気が楽になったのか日和に笑みを見せた。
「人に戻ってか・・・。だが、今さら戻ったところで、何ができるというのだ・・・いや、それ以前に、何をしていいのか、わからないんだ」
「・・・好きなことをすればいいと思います」
「好きなこと?」
「玲奈にもよく言われるんです。悩んでることがあるなら好きなことをやればいいんじゃないかって。きっと翼さんにも言うと思います」
好きなことをやればいいと言われて、翼は少し考える。
「好きなことか・・・。そういえばそんなこと、ずっと考えていない気がするな。遠い昔、私にも夢中になったものがあったはずなのだが・・・」
「え?それって何ですか?私、気になります!」
「そ、そうか?そうだな・・・思い出せたら教えてやろう」
「本当ですか⁉私、楽しみにしてます!」
「そう楽しみにされても、困るのだが・・・」
日和と翼はどこにでもいる女子高生の何とも他愛無い会話が弾み、笑いあいながら廊下を歩いていく。
~♪~
指令室にて、弦十郎はソファに座って響の診察を受け持った了子と装者3人が戻ってくるのを待っていた。
「まさか、イチイバルまでもが敵の手に・・・そして、ギア装着候補者であった雪音クリス・・・」
響たちが戦っている間、二課の方ではクリスの詳しい詳細が判明された。
雪音クリス・・・現在16歳・・・日和と同い年の女の子。2年前に行方知れずとなった過去に選抜されたギア装着候補者の1人でもあった。
「聖遺物を力に変えて戦う技術において、我々の優位性は完全に失われてしまいました」
「敵の正体・・・フィーネの目的は・・・」
「深刻になるのはわかるけど、シンフォギアの装者は3人とも健在!頭を抱えるには早すぎるわよ♪」
友里と藤尭が深刻そうに話していると、了子と装者3人が戻ってきた。
「響ちゃん、もう体の方はいいの?」
「はい、心配かけてすみません」
そうは言っているものの、響の顔色はどことなく暗い。それもそのはずだ。親友である未来にシンフォギアを纏った姿を見られたのだ。隠し事をしていたので、何も思わないわけがない。さっきまで考えないようにしていた日和も、海恋に見られてしまったために、顔を俯かせる。
「翼!・・・まったく無茶しやがって・・・」
「独断については謝ります。ですが、仲間の危機に臥せっているなどできませんでした」
「「え?」」
翼が響と日和を仲間と認めてくれている発言に2人は驚く。
「立花と東雲は未熟な戦士です。半人前ではありますが、戦士に相違ないと、確信しています」
「「翼さん・・・」」
「・・・完璧には遠いが、2人の援護くらいなら、戦場に立てるかもな」
「「私たち、頑張ります!!」」
響と日和の言葉に翼は何も言わず、頼もしいと言わんばかりに目線だけで答えた。
「響君のメディカルチェックも気になるところだが・・・」
「ご飯をいっぱい食べて、ぐっすり眠れば元気回復です!」
響は元気いっぱいに答えたが、すぐに表情を曇らせる。
(・・・1番温かいところで眠れば・・・)
表情を曇らせる響に了子は彼女の胸をつついた。
「んなああああああああ!!?なんてことをお!!?」
それには当然ながら響は大きな悲鳴を上げる。
「響ちゃんの心臓にあるガングニールの破片が前より対組織と融合してるみたいなの。驚異的なエネルギーと回復力はその所為かもね」
「融合・・・ですか・・・?」
「!!」
了子の言葉に翼の頭によぎったのはクリスが纏ったネフシュタンの鎧だ。あれが破損された時、黒い筋がクリスの身体をつたって再生されていた。それはまるで、ネフシュタンの鎧が人体を蝕みながら融合しているかのように。それを思い返した翼はふと了子に視線を向ける。
「大丈夫よ。あなたは可能性なんだから」
「よかったぁ」
「なんだか私も安心しました」
楽観的に捉えている響と日和だったが、翼は了子に対して、疑惑の眼差しを向けるのであった。
~♪~
その後は解散となり、日和は寮に戻るためにエレベーターに続く廊下を歩いていた。しかしながら少し表情を曇らせている。海恋のことも気がかりだが・・・何よりクリスのことが気がかりなのだ。雪音という苗字・・・そしてソネットによく似た顔。いろいろ考える日和は、もしかして弦十郎なら何か知ってるのではと考え、指令室に引き返した。引き返した指令室にはまだ弦十郎が残っていた。
「どうした日和君?忘れ物か?」
「・・・あの、ししょー・・・聞きたいことが・・・」
「なんだ?」
「クリスちゃんの事なんですけど・・・」
日和は一瞬聞くべきかどうか悩んだが、どうしても気になるため、弦十郎に質問する。
「もしかしてクリスちゃん・・・雅律さんとソネットさんの子供ですか?」
「!!!!」
日和の口から雪音夫婦の名前が出てきて、弦十郎は驚いたように目を見開かせる。
「す、すみません・・・友達が読んでた雑誌に載ってあったので・・・気になって・・・どうしても知りたいんです」
日和の言葉を聞いて弦十郎は腕を組んで考え、少しの沈黙の後、日和に視線を向ける。
「・・・そういえば、日和君はクリス君と同い年だったな」
「え?そうなんですか?」
「ふむ・・・そうだな・・・。日和君には話しておこう。クリス君の過去を」
弦十郎は自分が知っているクリスの過去を日和に話した。クリスの過去を聞いた日和は驚愕のあまり、言葉が出てこないのであった。
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東雲日和ボイス
朝1
ふわぁ・・・おはよ・・・。
朝2
私・・・朝ってかなり苦手なんだよね・・・。
昼1
今日のお昼は何食べよっかなー?海恋とクリスは何がいい?
昼2
お昼ご飯を食べた後って、妙に甘いもの食べたいって思わない?
夜1
あー、今日も1日疲れたぁ・・・。
夜2
夜だと私、作詞作曲がはかどるんだよね~。
深夜1
眠れないの?実は私もなの・・・えへへ・・・。
深夜2
ふっふっふ、今日は朝までオールナイト!あ、海恋には内緒ね、うるさいから。