戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

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マリアさんの誕生日までにG編に突入したい今日この頃です。・・・間に合うかなぁ・・・。


本当の気持ち

夕方、どこかに存在するフィーネの屋敷。その一室にてフィーネは電話で誰かと話をしていた。電話口から聞こえてくる英語からして、相手は米国の人間であることがわかる。

 

「あたしが用済みってなんだよ!!?もう要らないってことかよ!!?あんたもあたしを物のように扱うのかよ!!?」

 

フィーネが話をしてる最中、割り込んでくるようにクリスが扉を開けて部屋に入ってきた。

 

「もう頭ン中ぐちゃぐちゃだ!!何が正しくて何が間違ってるのかわかんねぇんだよ!!」

 

「・・・どうして誰も、私の思い通りに動いてくれないのかしら・・・」

 

フィーネは電話の通話を切り、嘆くように呟いた後、クリスに視線を向け、ソロモン杖からノイズを召喚させる。この様子から、フィーネは本気でクリスを殺すつもりらしい。それを理解したクリスは悲しそうな顔になる。

 

「・・・さすがに潮時かしら。そうねぇ・・・あなたのやり方じゃ、争いをなくすことはできやしないわ。せいぜい1つ潰して、新たな火種を2つ3つばら撒くくらいかしら」

 

「あんたが言ったんじゃないか!!痛みもギアも、あたしにくれたものだけが・・・」

 

「私の与えたシンフォギアを纏えながらも、毛ほどの役にも立たないなんて。そろそろ幕を引きましょうか」

 

フィーネが手をかざすと、青白く光りだし、光はフィーネを包むように纏わる。纏わる光は、黄金色のネフシュタンの鎧に形を変えた。

 

「私も、この鎧も不滅。未来は無限に続いていくのよ。"カ・ディンギル"は完成しているも同然・・・もうあなたの力に固執する理由はないわ」

 

「カ・ディンギル・・・そいつは・・・」

 

「あなたは知りすぎてしまったわ」

 

フィーネはソロモンの杖でノイズを操り、ノイズでクリスを襲わせた。間一髪避けたクリスは外に出て、フィーネに視線を向ける。フィーネは滑稽そうにクリスを嘲笑い、ソロモンの杖を向ける。

 

「ちきしょう・・・チクショオオオオオオォォォォォ!!!!!

 

ようやく自分がフィーネに騙されたことに気づいたクリスは後悔と悔しさが入り混じった涙を流し、大きな叫びをあげるのだった。

 

~♪~

 

翌日の早朝のリディアン音楽院の学生寮の日和と海恋の部屋。朝早くに目覚めた海恋は日和がいたベッドを見つめる。当然ながら、日和は寮を出て行ってしまったためにいない。スマホの方を確認すると、日和からの何着かの着信履歴があった。海恋はこの全ての着信を拒否してきた。

 

「・・・日和・・・」

 

悲しそうに呟く海恋は部屋に飾ってある自分とアビスゲートの3人が一緒に写ってる写真を見つめ、部屋から退室する。

 

~♪~

 

寮から出た海恋は学校には行かず、街の中を歩いている。普段の海恋ならありえない行動で、今降り続けている大雨はまるで、沈んだ心を表しているようだ。学校に行く気分にはならず、1人彷徨っていると、路地裏から物音がした。そこを見てみると、クリスが倒れていた。

 

「えっ!!?ちょっと!!あなた、大丈夫!!?」

 

海恋は倒れてるクリスに駆け寄る。おでこを触ってみると、熱を出しているようだ。

 

「熱が・・・!待ってて!すぐに病院に・・・」

 

「やめろ・・・!」

 

海恋は救急車を呼ぼうとするが、クリスがそれを阻止する。

 

「何言ってんのよ!現にあなた、熱が・・・」

 

「病院は・・・ダメだ・・・」

 

「ちょ、ちょっと!!」

 

クリスがそういうと彼女は気を失う。何か訳ありだと思い至った海恋はどうするべきか考える。

 

「そうだ!あそこなら・・・」

 

何か閃いた海恋はクリスを担いで、目的地へと向かう。

 

「海恋さん!!?」

 

路地裏から出ると、驚いたような声が上がったそちらを見てみると、そこには未来がいた。

 

「小日向さん!すぐに手伝ってちょうだい!急患よ!」

 

「急患!!?わ、わかりました!」

 

何が何だかわからない状況ながらも、未来は海恋と一緒にクリスを担ぐ。海恋は片方の手でスマホを取り出し、電話を入れる。

 

「咲さん!すぐに来てください!急患です!場所は・・・」

 

海恋は咲に連絡を入れて、未来と共にクリスを担いである場所へと向かっていく。

 

~♪~

 

咲のマンションから学校に通った日和は響と共に弦十郎からの連絡を聞いている。

 

「ノイズが出たんですか?」

 

『そうだ。市街地第6区画にノイズのパターンを検知している。未明ということもあり、人的被害がなかったのが救いではあるが・・・ノイズと共に聖遺物イチイバルのパターンも検知した」

 

「ってことは師匠、クリスちゃんがノイズと戦ったってことでしょうか」

 

『そうだろうな・・・』

 

「クリス・・・」

 

弦十郎の言葉を聞いて、日和は夜を共に過ごしたクリスを心配する。すると、響の顔色が沈んでいるのに気が付いた。

 

「響ちゃん、どうしたの?」

 

「いや・・・あの子・・・戻るとこないんじゃないかって・・・」

 

「確かに・・・現に公園を彷徨ってたし・・・クリス、どこに行ったんだろう・・・」

 

響に言われて、日和はクリスをさらに心配する。見限られた以上、さすがにフィーネのところに戻らないだろうと考えていたためにクリスを捜さなかったから事情を聞いて余計にだ。

 

『この件については、引き続きこちらで捜査を続けておく。響君と日和君は指示があるまで待機していてほしい』

 

「「はい、わかりました」」

 

話が終わり、日和は二課の端末の通話を切る。

 

「・・・じゃあ、響ちゃん、私、こっちだから」

 

「あ、はい・・・」

 

日和は響と別れて、二年生の棟へ向かい、教室へと入っていく。すると、日和の数人の友達が駆け付ける。

 

「ひよりん!風邪はもう大丈夫?」

 

「あ・・・う、うん!もうすっかり元気だよ!」

 

「よかったー・・・私心配したよ」

 

「私たち、ひよりんが風邪ひいて咲さんのところで面倒見てもらってるって聞いて、心配で・・・」

 

(お姉ちゃん・・・ありがとう・・・)

 

どうやら日和が休んだ日、咲は風邪をひいたということにして日和の欠席連絡を入れたようだ。咲の気遣いに感謝する日和は、海恋がいないことに気が付く。

 

「あれ?海恋は?」

 

「海恋ちゃん、まだ来てないみたい」

 

「ひよりんが来たのにまだ来てないなんて・・・」

 

「心配だよね・・・」

 

海恋がまだ学校に来ていない事態にクラスメイト達は心配する。

 

(海恋・・・このままだなんて、私、嫌だよ・・・)

 

そんな中日和は海恋を思い、顔を俯かせた。

 

~♪~

 

海恋と未来がクリスを運んだのはふらわーだった。おばちゃんに事情を説明して、快く部屋を貸してくれてもらい、2人はクリスを寝かせ、看病してる。後々に咲が到着し、クリスを診察する。診察の結果は・・・

 

「発熱だけじゃなくて、疲労が蓄積されてる・・・いわゆる過労ね。朝大雨が降ってたでしょ?それに当たって、余計に体力を消耗したんでしょう」

 

熱を出しただけでなく、体力の消耗による過労なのだろう。弦十郎の話と合わせると、大雨の中、ずっとノイズと戦っていたからそのせいだろう。

 

「2人の看病のおかげで、症状はよくなってるけど、無理は禁物ね。一応処方箋は出しておくわ」

 

「ありがとうございます、先生」

 

「私にできるのは診察だけだから。でも、急患がまさか、日和が連れてきた子だったなんてね・・・」

 

「日和が?」

 

日和がクリスを咲のマンションに連れてきたと聞いて、海恋は驚く。

 

「ええ。一昨日にね。海恋ちゃん、日和から何も聞いてないの?」

 

「わ・・・私は・・・なんて言われるか怖くて・・・連絡・・・拒否しちゃいましたから・・・」

 

「そう・・・」

 

顔が沈む海恋を見て、咲は何も言わずにクリスの看病をする。事情を察している未来は何も言えないでいる。すると・・・

 

「・・・はっ!!」

 

うなされていたクリスが目を覚まし、息を整える。

 

「よかった、目が覚めたのね」

 

クリスが目を覚ましたことによって、3人は安心したように微笑む。

 

「びしょ濡れだったから、着替えさせてもらったわ」

 

未来に言われてクリスは自分の上着を見てみる。クリスが今着ているのは『小日向』と書かれたゼッケンを縫ってある体操服だった。

 

「!!勝手なことを!!」

 

「「!!」」

 

「あら」

 

クリスが立ち上がったら、未来と海恋は顔を赤くし、咲は下までは見てなかったため驚く。なぜならクリスは今着込んでいるのは体操服1枚だけであったからだ。

 

「なんでだ!!?」

 

「さすがに下着の変えは持ってなかったから・・・」

 

未来と海恋はクリスから視線をそらし、クリスは自身を隠すように布団にくるまる。そこに主人であるおばちゃんが洗濯物を持ってやってくる。

 

「未来ちゃん、海恋ちゃん、どう?お友達の具合は」

 

「目が覚めたところです」

 

「お部屋とお布団を貸していただき、ありがとうございます」

 

「いえ、こちらこそ、お忙しい中ありがとうございます。あ、お洋服、洗濯しておいたから」

 

咲はおばちゃんに頭を下げて感謝し、おばちゃんもわざわざ来てくれた咲に頭を下げる。

 

「私、お手伝いしますよ」

 

「まぁ先生、ありがとうございます」

 

咲はおばちゃんの選択を手伝いに向かい、未来と海恋はクリスの看病を続けることになった。

 

「・・・あ、ありがとう・・・」

 

クリスは申し訳なさそうに2人にお礼を言う。看病を続ける未来と海恋。クリスの背中には複数の痣があるのだが、2人は何も聞かなかった。

 

「・・・お前らも、あいつと同じように、何も聞かないんだな・・・」

 

「うん・・・私は、そういうの苦手みたいで・・・」

 

「人にはいろいろ事情があるもの。首を突っ込むのは野暮だわ。・・・それなのに私は・・・あの子の事情を反対して・・・あーだこーだ言ってしまって・・・自分でその絆を、壊してしまった・・・」

 

海恋は日和と喧嘩したことに罪悪感を感じてしまい、連絡を入れること、日和の話を聞くのも怖くなってしまったようだ。

 

「その気持ち、わかります」

 

「小日向さん・・・」

 

「私も、今までの関係を壊したくなくて・・・。なのに一番大切なものを壊してしまった・・・」

 

クリスと戦ったあの日の夜、未来と響との関係は悪くなってしまった。理由は響が戦っていたことに対して隠してたこと、もう1つは響が傷ついて戦っているのに、自分は何もできず、何の役に立てないこと。それが決定打となり、響との関係は亀裂が入ってしまい、今は絶交に近い感じになっている。もちろん、未来の中で罪悪感でいっぱいになっているが。

 

「・・・なぁメガネ・・・それって、あのデカリボンと喧嘩したのか?」

 

「え、えぇ・・・そっか。あなた日和と会ったことあったわね」

 

「会ったっていうより・・・世話になった」

 

クリスは2人に日和に世話になった時のことを話した。

 

~♪~

 

結局海恋は昼になっても学校に来ることはなかった。今まで1度も無断欠席をしなかった海恋とまさかそこまで関係が悪化していたとは思わなかった日和は気晴らしに屋上でベースを弾こうと思い、そこへ向かっている。しかし、そこにはすでに響が先約にいた。

 

「響ちゃん?」

 

「あ・・・日和さん・・・」

 

屋上のベンチで落ち込んでいた響の隣に日和が座り込んだ。

 

「・・・小日向さんのこと?」

 

「あ、は、はい・・・」

 

響が悩んでいる理由をなんとなく察している日和に響は今日未来が欠席したこと、悩んでることを打ち明けた。

 

「そっか・・・そっちもなんだ。実は海恋もなんだ・・・」

 

「未来・・・今まで無断欠席するなんて1度もなかったのに・・・」

 

「・・・人生って難しいねぇ・・・」

 

同じ悩みを抱える者同士、何事もうまくいかなくて、少しため息をこぼす。すると、屋上の扉の音がして、2人がそちらに視線を向けると、そこには松葉杖を持った翼がやってきた。

 

「「翼さん・・・」」

 

やってきた翼は2人に近づき、響の隣に座り込む。翼は何となく2人が落ち込んでいるのを察しているのだ。

 

「・・・私、自分なりに覚悟を決めたつもりでした。守りたいものを守るため、シンフォギアの戦士になるんだって。・・・でもダメですね・・・小さなことに乱されて、何も手につきません。私・・・もっと強くなりたいのに・・・変わりたいのに・・・」

 

「私もです。守りたいものがあるって言っても・・・相手に拒否られて・・・。それでも頑張ろうと思っても・・・なんか空回りしちゃって・・・。私も・・・小さなことに気が乱されてるのかもしれません・・・」

 

同じ悩みを持つ響と日和に翼は声をかける。

 

「その小さなものが2人の本当に守りたいものなのだとしたら・・・今のままでもいいんじゃないかな。2人は・・・きっと2人のまま強くなれる」

 

「「翼さん・・・」」

 

「・・・奏のように人を元気づけるのは、難しいな」

 

「いえ、そんなことありません。私もよく小豆と玲奈に励まされてたので・・・。そして今回、翼さんにも励まされたので、気持ちがすっごく楽になりました」

 

「私もです。前にもここで、同じような言葉で親友に励まされたんです。それでも私はまた落ち込んじゃいました。ダメですよね~・・・」

 

響と日和の笑みに翼は優しく微笑む。

 

「翼さん、身体、まだ痛むんですか?」

 

「大事をとってるだけ。気にするほどではない」

 

「そうですか。よかったです」

 

思ってたよりも元気そうな翼に日和は安心した様子だ。すると、翼の顔は急に引き締まる。

 

「絶唱による肉体への負荷は極大。まさに他者も自分も、すべてを破壊しつくす滅びの歌。その代償と思えば、これくらい安いもの」

 

「絶唱・・・滅びの歌・・・」

 

絶唱が滅びの歌だと聞いて、まさにその通りだと思った日和が頭に浮かぶのは1年前の玲奈の死である。彼女の死因は、間違いなく絶唱であるのだから、日和が何も思わないわけがなく、顔を俯かせる。

 

「・・・でも、でもですね、翼さん、日和さん!2年前、私が辛いリハビリを乗り越えられたのは、翼さんの歌に励まされたからです!翼さんの歌が、滅びの歌じゃないってこと、聞く人に元気をくれる歌だってこと、私は知っています!」

 

「立花・・・」

 

「響ちゃん・・・」

 

「だから日和さん、そんなに思い悩まないでください。翼さんも、早く元気になってください。私、2人の歌が大好きです」

 

いつの間にか励まされている翼と日和はお互いに顔を見合わせ、そして笑いあう。

 

「なんだか私たちが響ちゃんに励まされてるみたいだなぁ」

 

「ああ、まったくだ」

 

「へ?」

 

日和と翼の言葉に響は頭をかき、照れたように笑うのであった。

 

~♪~

 

ふらわーにて、未来と海恋の看病と咲の処方箋ですっかり体調が良くなったクリスは渇いた自分の洋服を着替える。

 

「喧嘩か・・・あたしにはよくわからないことだな」

 

「わからないってことはないでしょ。それとも友達いないの?」

 

「・・・ああ。いない」

 

「「え?」」

 

海恋の言葉にあっさりと肯定するクリスに未来と海恋は呆気にとられる。

 

「地球の裏側でパパとママを殺されたあたしはずっと1人で生きてきたからな。友達どころじゃなかった・・・」

 

「そんな・・・」

 

「たった1人理解してくれると思った人も、あたしを道具のように扱うばかりだった。誰もまともに相手してくれなかったのさ。大人は、どいつもこいつもクズ揃いさ!痛いと言っても聞いてくれなかった・・・やめてと言っても聞いてくれなかった・・・あたしの話を、これっぽっちも聞いてくれなかった・・・!」

 

想像してた以上にひどい人生を送ったクリスの話を聞いて未来と海恋は言葉を失う。

 

「大人なんて大嫌いだ。クズばかりだ。・・・そう、思ってたんだけど・・・今は・・・あの医者に会ってから、よくわからねぇ・・・」

 

「咲さんのこと?」

 

「・・・最初はただの成り行きだと思ってた。けどあいつは・・・あたしの話を真剣に聞いてくれたり、何も知らないのに、ありのままのあたしを受け入れてくれた。何より・・・あのデカリボンとの関係を見て・・・あの医者が、いい奴だってことがわかった。大人なのに・・・。おかげで、あたしの頭の中はぐちゃぐちゃだ・・・もうわけわかんねぇ・・・大人って・・・なんなんだ・・・?」

 

咲という大人に出会い、大人の価値観を覆えされかけているクリスは頭の中では今も混乱している。過去に大人から傷を受けたから、現実をそう簡単に受け入れられないゆえに。

 

「・・・ごめんなさい・・・」

 

「私・・・無神経だったわね・・・ごめん・・・」

 

「・・・なぁ、お前らその喧嘩の相手ぶっ飛ばしちまいな」

 

「「えっ?」」

 

「どっちがつえぇのかはっきりさせたらそこで終了。とっとと仲直り。そうだろ?」

 

これがクリスなりの気遣いなのだろう。物騒ではあるものの、根はやはり日和の思った通り、いい人間なのだろう。

 

「・・・できないよ・・・」

 

「・・・確かに、そういう解決方もあるけど・・・そう単純じゃないのよ」

 

ただ響と日和を傷つけたくない未来と海恋はその方法に乗ることはできなかった。

 

「ふん、わっかんねぇよな・・・」

 

「でも、ありがとう」

 

「あぁ?あたしは何もしてねぇぞ」

 

「ううん。本当にありがとう。気遣ってくれて」

 

気遣ってくれたクリスに未来は自分の体操服を置いて、お礼を言う。

 

「・・・ねぇ、あなたでよければ・・・私は、あなたと友達になりたい。いいかしら?」

 

「・・・っ!」

 

立ち上がった海恋から差し出されて、友達になりたいと言われたクリスは海恋が日和の姿と重なって見えた。クリスは海恋手を振り払い、そっぽを向く。

 

『私・・・あなたとお友達になりたいな』

 

「・・・あたしは・・・お前たちにひどいことをしたんだぞ・・・」

 

「うん?」

 

「何それ?意味がよくわからないわ」

 

クリスの言葉の意味が本当に理解していないのか、海恋と未来は首をかしげる。それでもクリスと友達になりたいという気持ちは変わらない。

 

「・・・私は小日向未来。私も、あなたと友達になりたいな」

 

「私は西園寺海恋。あなた、名前は?」

 

「・・・雪音クリスだ」

 

クリスの苗字を聞いた途端、海恋は目を見開いて驚いている。

 

「雪音!!?・・・!どこかで見た顔だと思えば・・・まさかあなた・・・雪音夫婦の!!?」

 

「うおっ!!?な、なんだ急に!!?」

 

「うそ・・・こんな偶然が・・・?」

 

クリスの正体に気づいた海恋は本当に驚いたように声を震わせている。すると・・・

 

ヴヴゥーー!!!

 

街中にノイズが出現したサイレンが鳴り響いた。

 

~♪~

 

サイレンの音を聞いて、リディアンに残っていた翼はすぐに弦十郎との通話に出る。

 

「翼です!立花と東雲と一緒にいます!」

 

『ノイズを検知した!相当な数だ!おそらくは未明に検知されていたノイズと関連があるはずだ!!』

 

「わかりました!現場に急行します!!」

 

翼はすぐにノイズの殲滅に向かおうとするが、弦十郎にストップをかけられる。

 

『ダメだ!!メディカルチェックの結果が出ていない者を出すわけにはいかない!!』

 

「ですが・・・!!」

 

それでも前線に出ようとするが、日和と響が翼の前に立つ。

 

「ノイズの方は私たちに任せてください!」

 

「翼さんはみんなを守ってください!だったら私、前を向いていられます!」

 

心強い日和と響の言葉に、翼はノイズ殲滅を日和と響に託した。

 

~♪~

 

サイレンを聞いて、クリスたちは店の外に出る。外に出てみれば、逃げまとう惑う人々でいっぱいだ。サイレンの意味を知らないクリスは困惑する。

 

「おい、いったい何の騒ぎだ?」

 

「何って、ノイズが現れたのよ!警戒警報を知らないの⁉」

 

「!!」

 

「先生、おばちゃん、急ごう」

 

「あぁ・・・」

 

「えぇ・・・」

 

この警報の意味を理解したクリスは今まで自分のしてきたことに気が付いた。そしてクリスは住民が避難する方とは逆方向へ走っていく。

 

「ちょっとクリス!どこへ行くのよ!!」

 

海恋はクリスを引き止めようとしたが、クリスは海恋の声を振り切る。

 

(バカだ・・・!あたしってば、何やらかしてんだ・・・!!)

 

クリスは今、自分のやってきたことに責任を感じ、自分を責め、罪悪感でいっぱいになりながらノイズの出現場所へと向かうのであった。




日和のベース、ベッキー

日和が音楽を志す際、咲が日和にプレゼントした思い出の深い白いエレキベース。現在までずっと愛用してきており、これからもそれは変わらない。
メンテナンスも本格的でそれに必要な道具も自分で買い揃えて徹底的に行っているため、新品同様の輝きを今も放っている。
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