戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

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陽だまりに翳りなく

街中に突如として現れたノイズ。狙いはおそらくクリスの始末だ。それを理解してかクリスは自分のやってきたことを責めながらその場へと向かっていく。

 

「あたしのせいで関係ない奴らまで・・・!うわあああああああああ!!!」

 

河川敷までたどり着き、クリスは悔しさを滲ませて叫んだ。

 

「あたしがしたかったのはこんなことじゃない・・・!けどあたしのやることは・・・いつもいつもいつも!!」

 

クリスは悔しさから膝を地につけ、涙を流す。

 

「クリスーーー!!」

 

この場に聞こえてくるはずのない声が聞こえて、目を見開くクリス。声の方をしてみると、クリスを追いかけてきた海恋がこちらに走ってきた。

 

「ば・・・バカ野郎!!!こっちに来るんじゃねぇ!!!」

 

そうやって声を荒げるが、既にもう遅い。河川敷の周りには、複数のノイズが取り囲んでいるではないか。

 

「の、ノイズ・・・!」

 

生でノイズを見た海恋は恐怖で顔を青ざめる。ノイズはそんなことはお構いなしに形を変えて海恋に突進してきた。

 

「あぶねぇ!!!」

 

クリスは海恋を抱きかかえてノイズの突進を躱した。

 

「やめろ!!狙いはあたしなんだろ!!関係ない奴を巻き込むんじゃねぇ!!!」

 

そんなことで止まるはずのないノイズは2人まとめて炭に変えようと突進してきた。ギアを纏おうにも海恋の対処で間に合わない。これまでかと思われた時・・・

 

「ふん!!!」

 

そこへ弦十郎が現れ、足で衝撃を発し、地面をえぐる。出来上がったコンクリートの破片が盾となり、それを凌いだ。ノイズは人を貫く際、一瞬だけ物理化することがある。弦十郎はそれを利用したのだ。

 

「はああああああ!!!」

 

そして弦十郎はコンクリートをぶん殴って破壊し、物質化したノイズに触れずに吹き飛ばした。明らかに人間離れした荒業にクリスと海恋は驚愕する。それでもノイズは弦十郎たちに攻撃をする。

 

「ふん!!!」

 

弦十郎はさっきと同じ要領で地面でコンクリートの盾を作り、ノイズの攻撃を凌いだ。そして弦十郎はクリスと海恋を両肩に担ぎ、ビルの屋上まで高く飛ぶ。どこまでも人間離れをしている弦十郎。それでも彼は人間である。

 

「2人とも、大丈夫か?」

 

弦十郎はクリスと海恋をおろし、安否を確認する。だがその間にも空を飛ぶノイズが現れる。

 

Killter Ichaival Tron……

 

シンフォギア、イチイバルを纏ったクリスはアームドギアであるボウガンを構え、ノイズに向かって矢を撃ち放ち撃退する。海恋は目の前で繰り広げられてる光景に目を見開いて疑わせている。

 

「ご覧の通りさ!あたしのことはいいから、そいつを避難させな!!」

 

「だが・・・!」

 

「こいつらはあたしがまとめて相手にしてやるって言ってんだよ!!」

 

クリスはボウガンをボウガンを2連装ガトリング砲に変形させ、ノイズに向けて撃ち放つ。

 

【BILLION MAIDEN】

 

「ついてこい、クズ共!!!」

 

クリスはガトリング砲を撃ちながら河川へ移動する。

 

「俺は・・・またあの子を救えないのか・・・」

 

「クリス・・・」

 

弦十郎と海恋はノイズを討ちに行ったクリスを見送ることしかできなかった。

 

~♪~

 

ノイズ退治、逃げ遅れた人命救助のために街の中を走っていく日和と響。すると街の至る所にいたノイズは河川敷へと向かっていっている。日和と響もそれを目撃する。

 

「ノイズが・・・。もしかして・・・」

 

あそこでクリスが戦っているのだと予想する日和。すると・・・

 

「きゃあああああ!!」

 

「「!!」」

 

遠くから誰かの悲鳴が聞こえてきた。だが、ノイズを放っておくこともできない。

 

「私があっちのノイズをやっつける!響ちゃんは人命救助をお願い!」

 

「日和さん・・・でも・・・日和さんはまだノイズに・・・」

 

clear skies nyoikinkobou tron……

 

日和は詠唱を唱えてシンフォギアを身に纏う。これによって日和はノイズの恐怖を緩和させる。

 

「ギアさえ纏えば何とかなるよ。それにもしかしたら、まだ逃げ遅れた人がいるかも。だから響ちゃん・・・頼んだよ」

 

「・・・はい!!」

 

人命救助を響に任せ、日和はノイズが向かっていった河川敷へと移動を始める。響も悲鳴が聞こえてきた場所へ移動する。悲鳴が聞こえてきたのは・・・ボロボロになっている建設中の建物の中である。響はこの中へと入る。

 

「誰か!誰かいま・・・」

 

響が声を上げたその時、上から何かの触手が攻撃してきて、響はその場から飛び降りて何とか回避する。上を見てみるとそこには、タコのような姿をしたノイズが柱に張り付いている。それを見た響が声をあげようとし時、誰かに口を塞がれる。口止めをしていたのは、咲とおばちゃんと一緒に逃げていたはずの未来だった。未来は響に静かにするようにジェスチャーし、スマホのメール画面に文字を打ち込んで響に見せる。

 

『静かに

あれは大きな音に反応するみたい』

 

どうやら先ほどノイズが響に攻撃してきたのは、大きな声が聞こえてきたためだったようだ。未来は新しい文章を打ち込む。

 

『あれに追いかけられて、病院の先生とふらわーのおばちゃんと逃げてきたの』

 

離れた場所を見てみると、そこには落ち着いて身を潜めている咲と、気を失っているおばちゃんがいた。少しでも音や声を出せば、ノイズはそこにめがけて攻撃するだろう。当然、響がギアを纏えば、間違いなく3人に危険が及ぶ。

 

(シンフォギアを纏うために歌うと、未来や咲さん、おばちゃんが危ない・・・どうしよう・・・)

 

どうすればいいのか悩む響に未来は新しい文章を響に見せる。それを見た響は驚愕し、慌ててスマホを取り出して、メール画面で文字を打ち込んで未来に見せる。それを見た未来はさらに新しい文章を響に見せる。響はまた目を見開き、新しい文章を打とうするが、未来に止められる。

 

「う・・・うぅ・・・」

 

「「「!」」」

 

おばちゃんがうめき声をあげ、ノイズがそれに反応し、ノイズの触手が動き出す。未来は響の耳元に顔を近づける。

 

「私、響にひどいことした。今更許してもらおうなんて思ってない。それでも、一緒にいたい・・・私だって戦いたいんだ・・・」

 

「ダメだよ・・・未来・・・」

 

「どう思われようと関係ない。響1人に背負わせたくないんだ」

 

未来がそういうと立ち上がる。

 

「私、もう迷わない!!」

 

未来は迷いを吹っ切るようにそう叫んだ。未来は響たちから遠ざかるように走り出す。未来の声は当然ながらノイズが反応し、触手は未来に向けて伸ばされる。未来はノイズの触手からよけながら走って逃げていく。ノイズは未来を追いかけていき、建物から遠ざかっていく。その間に響は咲とおばちゃんの元へ駆けていく。

 

「咲さん!大丈夫ですか⁉」

 

「何とか大丈夫よ。でも、未来ちゃんが・・・いつ・・・」

 

咲は足を痛めてしまったようで思うように立つことができない。それでも咲はノイズに追いかけられている未来を心配する。未来を助けたい気持ちが強い響はすぐに行動に出る。

 

Balwisyall Nescell Gungnir tron……

 

詠唱を唱え、シンフォギアを纏った響はおばちゃんと咲を両肩に担いで建物より高く飛ぶ。シンフォギアを纏った響を見て咲は驚愕の顔になる。するとここでタイミングよく緒川が運転する車が到着する。響は緒川の近くに降り立ち、おばちゃんと咲をおろす。

 

「緒川さん、咲さんとおばちゃんをお願いします!」

 

「響さんは⁉」

 

2人を緒川に任せ、響は未来が逃げていった方角へと向かう。

 

「響ちゃん・・・」

 

正直、何が何だかわからない状況の咲。だが、なんとなくだがわかる。響の着込むものならなんとかできるのではないかと。この問題を解決できるのは、響だけだと。ならば・・・

 

「・・・未来ちゃんを、お願いね・・・」

 

この問題に口を挟んではいけない、止めてはいけないと。自分の心配する気持ちは置いていき、未来の安否を響に託した。

 

~♪~

 

人命救助を響に託し、日和はノイズ退治のため河川敷へ移動しているノイズを追いかける。その途中で日和は弦十郎と海恋を発見する。おそらくは海恋を避難させようとしている最中なのだろう。

 

「ししょー!!海恋!!」

 

「!日和!!?」

 

「日和君!」

 

日和はすぐに2人の元へ駆けつける。海恋は少し日和から視線を逸らす。

 

「ししょー!ノイズがこっちに・・・」

 

「わかっている!今クリス君が戦っている!」

 

「やっぱりクリスが・・・。すぐに加戦に向かいます!」

 

「・・・日和君。彼女を、託してもいいか?」

 

「・・・はい!!」

 

人間ではノイズには勝てない。クリスへの加勢もできない。なればこそ弦十郎は日和にクリスを託した。日和は力強く返事をし、今度は海恋に視線を向ける。

 

「海恋・・・」

 

「・・・・・・」

 

「ありがとう。私のことを思ってくれて。海恋がいてくれたから、今こうして、私はいる」

 

「日和・・・」

 

「私は小豆と玲奈に守られた。海恋も私のことを何度も助けてくれた。だから今度は、私の番」

 

日和の言葉に海恋は彼女に顔を向ける。

 

「これからすることは海恋に反対されると思う。何度も怒られると思う。でもそれでもいい。海恋が生きていてくれるならそれでいい。私、海恋が大好きだから」

 

「!!」

 

日和の伝えたい言葉を聞いた海恋は目を見開かせる。言いたいことを言った日和は今度こそノイズ退治へと向かっていく。日和がこの場を去っていき、海恋は唇をかみしめ、走り出す。

 

「!君、待つんだ!!どこに行く!!?」

 

弦十郎の止める声が聞こえてきたが、海恋はそれを振り切る。

 

(私はバカだ!!何やってるのよ私は!!日和の気持ちを無視して・・・傷つけて・・・!2人が亡くなって1番辛いのはあの子なのに・・・!私は・・・!)

 

海恋は日和の気持ちを軽く考えてしまったことを後悔して涙を流し、ある場所へと向かっていく。

 

~♪~

 

クリスは河川で襲い掛かってくるノイズをボウガンとガトリング砲を使い分けて次々とノイズを殲滅させていく。だが蹴散らしても蹴散らしてもノイズがぞろぞろと集まってくる。完全に完治しきっていないためにクリスの顔色は疲労が出始めている。そんな彼女にノイズが背後から襲い掛かってきた。

 

「危ない!!」

 

そこへ日和が駆け付けてきて、棍でノイズを片付けた。

 

「お、お前・・・!」

 

「クリス!加勢するよ!」

 

日和は自分の背中をクリスの背中とくっつける。

 

「よ、余計なお節介だ!」

 

「いいよそれでも。1人より2人の方が片が付くよ」

 

「お前・・・本当にお人好しだな」

 

わらわらと集まってくるノイズに日和は棍を構え、クリスはボウガンを構え直す。

 

「後ろのクズはやってやる。お前はお前で勝手に暴れてろ」

 

「うん!前の方は任せてよ!」

 

「流れ弾が来ても泣くなよ!」

 

「大丈夫!弾き返すから!」

 

日和とクリスはそう言葉を交わし、目の前のノイズの殲滅に向かった。日和は襲い掛かってくるノイズはうまいこと躱し、棍を振り、そして掌底でノイズを次々と倒していく。クリスもボウガンをガトリング砲に変え、ノイズを纏めて一掃する。お互いが背中を預けあいながら戦っている。歌もデュエットで重なり合い、初めての共闘でも、抜群のコンビネーションを発揮しあっている。だがそれでもノイズは数多く集まり、キリがない。

 

「次から次へと!」

 

やってきたノイズはすかさずクリスと日和を攻撃する。クリスはボウガンを撃って対処し、日和は棍で対処する。しかし日和は対処しきれず、最後のノイズの突進で吹っ飛ばされる。

 

「ああ!!」

 

「お、おい!」

 

ノイズの攻撃を喰らった日和は棍を地面に突き刺して、立ち上がる。

 

(やっぱりノイズは怖い・・・けど・・・私たちがやらないと、街のみんなが・・・)

 

これだけ多くのノイズを見ていると1年前のことを思い出し、緩和している恐怖が込み上げる。それでも気力で何とか持ちこたえようとする。すると・・・

 

「日和ーーーーー!!!」

 

河川敷の柵の方から声が聞こえてきた。そちらを見てみると、走って汗をかいている海恋がいた。

 

「海恋!!?」

 

「バカ野郎!!何しに来やがった!!?」

 

ノイズの現場にわざわざやってきた海恋に日和とクリスは驚愕する。海恋は構わずに日和に声をかける。

 

「私はあなたたちや立花さんみたいにノイズと戦える力はない・・・だから私にできることは、これしかない・・・。今更許してもらおうなんて思ってない・・・。それでも私は・・・日和の力になりたい・・・」

 

「海恋・・・」

 

「だから!!負けるな日和ぃ!!!ノイズなんかに負けるな!!!恐怖なんかに負けるなぁ!!!」

 

危険を承知で日和に応援をする海恋。そんな彼女に後から河川敷にやってきたノイズが迫ってきた。

 

「バカ言ってねぇで早く逃げろ!!」

 

クリスは海恋に迫ってきたノイズをガトリング砲で倒していくが、まだ数がいる。迫りくるノイズは海恋に目掛けて突進していく。日和がこの光景で思い出すのは、1年前にノイズによって殺された小豆の姿だ。

 

「・・・私はもう・・・1年前に何もできなかった私じゃない!あの時の二の舞に・・・させてたまるかあああああああああ!!!!」

 

日和はあの時のようにやらせまいと棍を2つ構え、海恋に向けて投げ放った。放たれた2本の棍は盾のように形を変え、海恋の目の前の地面に突き刺さる。

 

【難攻不落】

 

突進してきたノイズは盾となった棍に直撃し、炭となって消える。そして日和は高く飛んで河川敷に移動し、棍を回収して海恋を守りながらノイズを殲滅する。空のノイズはクリスが撃ち落として殲滅する。さらに日和は一直線に集まってるノイズを棍を伸ばし貫く。

 

【一点突破】

 

(す・・・すごい・・・これが・・・あの臆病だった日和なの・・・?)

 

(そうだ・・・私は1人で戦ってるわけじゃない!みんなと一緒に戦ってるんだ!1年前の、何もできなかったあの時とは違う!)

 

海恋は今まで見たことないが日和の姿に驚き、日和は違う立場でみんなが戦っているとわかり、1人で戦ってるわけではないと実感する。これによって日和の中の恐怖は一気に和らいでいく。最後に残った空のノイズをクリスが撃ち抜き、日和が棍でなぎ倒した。これで河川敷に集まったノイズは全滅した。

 

「はぁ・・・はぁ・・・終わった・・・」

 

「・・・まだ終わりじゃねぇだろ」

 

「え?」

 

「ほら、行けよ」

 

クリスは日和の背中を押して、海恋の元へ行くよう促し、邪魔をしないようにこの場を離れていく。日和はクリスの気遣いに感謝し、海恋に近づく。

 

「海恋・・・私、やっぱり戦うよ」

 

「日和・・・」

 

「納得できないのはわかってるつもりだよ。私だって立場が逆だったら止めるもん。でも私は、1年前みたいに何もできずに奪われるのが嫌なの。今の学校生活も、海恋も守れるなら、どんな怖さも痛みも耐えられる!それに・・・」

 

「それに?」

 

「・・・私は1人で戦ってるわけじゃない。みんなと一緒に戦ってるんだ。その中には・・・海恋も含まれてるんだよ」

 

「私も・・・?」

 

「海恋の応援、届いたよ。ありがとう、海恋」

 

自分の気持ちを伝え、応援で元気づけてくれた海恋に日和はにっと笑う。それを見た海恋はため息をこぼす。

 

「・・・私は、今でもあなたが戦いに行くのは大反対!・・・けど、あなたが決めたことなんでしょ?だったら私にはもう、止められない・・・ううん、止めちゃいけない。咲さんなら・・・きっとそう言うと思う」

 

「うん・・・ごめん」

 

「だから!!日和、約束して!」

 

海恋は日和にゆびきりの手を差し出す。

 

「この先何があっても、絶対に生きて帰ってくること!いい?もし約束破ったりしたら、あなたを一生恨むから!!」

 

「・・・あはは・・・また、破れない約束ができちゃったなぁ・・・」

 

海恋の出した条件に日和は苦笑しながら了承し、海恋とゆびきりげんまんをする。

 

「うん。わかってる。私は絶対に生きる。2人の約束でもあるからね」

 

ゆびきりを交わした瞬間、海恋は涙を流し、日和に抱きしめる。

 

「日和!!ごめん・・・ごめんね!!私・・・日和が戦いに行ったら・・・二度会えないんじゃないかって思って・・・それで・・・」

 

「・・・うん。わかってる。ごめんね・・・心配かけさせて・・・」

 

日和は海恋を抱きしめてなだめながら、自身も少し涙を潤ませる。日和と海恋はこうして、互いの思いを打ち明け、仲直りができた。

 

~♪~

 

日和がノイズと戦っている時と同じころ、咲とおばちゃんを緒川に任せた響は飛んで、ノイズから逃げている未来を探す。

 

(未来、どこ!!?)

 

響はスマホでの文字会話を思い出す。

 

『響聞いて

私が囮になってノイズの気をひくから、

その間に先生とおばちゃんを助けて』

 

『ダメだよ

未来にそんなことさせられない』

 

『元陸上部の逃げ足だからなんとかなる』

 

『なんともならない!』

 

『じゃあ何とかして?

危険なのはわかってる

だからお願いしてるの

私の全部を預けられるの

響だけなんだから』

 

(戦ってるのは、私1人じゃない・・・シンフォギアで誰かの助けになれると思ってたけど、それは思い上がりだ!助ける私だけが一生懸命じゃない・・・助けられる誰かも一生懸命・・・)

 

響の脳裏に浮かび上がるのは2年前・・・自分が重傷を負った時、奏が言った言葉だ。

 

『おい死ぬな!!目を開けてくれ!!生きるのを諦めるな!!!』

 

(日和さんが私に人助けを託したように・・・本当の人助けは、自分1人の力じゃ無理なんだ・・・だからあの日、あの時、奏さんは私に、『生きるのを諦めるな』と叫んだんだ!今ならわかる気がする)

 

「きゃああああ!!」

 

「!!」

 

遠くで未来の悲鳴が聞こえてきた。響は未来の声がした方向に腰部のバーニアも利用し、移動速度を上げる。

 

(そうだ、私が誰かを助けたいという気持ちは、惨劇を生き残った負い目なんかじゃない!2年前、奏さんから託されて、私が受け取った、気持ちなんだ!!)

 

響は脚部のアンカージャッキを展開し、バネを伸ばし切り、直地と同時にアンカーの力で加速し、未来の元へと急ぐ。

 

~♪~

 

ノイズから逃げ続けてきた未来だが、元陸上部の足でもそろそろ限界が来て、足の力が抜けて四つん這いになってしまう。ノイズは容赦なく未来に近づいてくる。

 

(もう走れない・・・ここで終わりなのかな・・・?仕方ないよね・・・響・・・)

 

ノイズは高く飛び、足を広げて未来を覆いつくそうと降ってくる。

 

(だけど・・・私はまだ響と流れ星を見ていない!)

 

諦めかけた未来だが、響と流れ星を見る約束を思い出し、立ち上がったことによってノイズを躱すことができた。しかし、ノイズが着地した衝撃で道路が崩れ、未来はノイズと落ちていく。

そこへなんとか間に合った響が現れ、腕のハンマーパーツを伸ばし、ノイズに向かって拳を放ち、ハンマーパーツの強烈な一撃を放つ。この一撃でノイズは吹き飛び、爆発する。

ノイズを撃破した響はもう片方のアーマーパーツの衝撃で加速し、未来に駆けつけて抱き寄せる。地面に激突する寸前に響は足のパワージャッキを展開し、衝撃を和らげる。

 

「うわっ⁉うわったたたた⁉」

 

だがバランスを崩して着地に失敗し、未来を抱きかかえながら草の上を転がり落ちていく響。同時に響のシンフォギアは解除し、元の制服に戻る。響と未来は2人で腰をさすり、それに気づいた2人は笑いあう。

 

「かっこよく着地するって難しいんだなぁ~」

 

「あっちこっち痛くて・・・でも、生きてるって感じがする!ありがとう。響なら絶対に助けに来てくれるって信じてた」

 

「ありがとう。未来なら絶対に諦めないって信じてた。だって、私の友達だもん!」

 

響の微笑みながら放った言葉に未来は涙を流し、泣きながら響に抱き着く。いきなり抱き着かれたことでバランスが崩れ、響は再び倒れこむ。

 

「怖かった・・・怖かったの・・・」

 

「私も・・・すごい怖かった・・・」

 

「私・・・響きが黙っていたことに腹を立ててたんじゃないの・・・誰かの役に立ちたいと思ってるのは、いつもの響きだから・・・!でも、最近は辛いこと苦しいこと、全部背負い込もうとしてたじゃない・・・私はそれがたまらなく嫌だった・・・。また響が大きな怪我をするんじゃないかって心配してて・・・。だけどそれは、響を失いたくない私のわがままだ・・・。そんな気持ちに気づいたのに・・・今までと同じようになんて、できなかったんだ・・・!」

 

「未来・・・それでも未来は私の・・・」

 

響が未来の今の姿を見ると、急に笑いが込み上げてきた。

 

「?何?」

 

「あははは!だってさ、髪の毛ぼさぼさ、涙でぐちゃぐちゃ・・・なのにシリアスなこと言ってるし!」

 

「もう!響だって似たようなものじゃない!」

 

「うえぇぇ!!?うそ!!?未来、鑑貸して!」

 

「鏡はないけど・・・これで撮れば・・・」

 

響と未来は今のボロボロの姿を確認するために鏡の代わりにスマホのカメラで確認する。

 

「ああ・・・もうちょっと!ああ、ずれた・・・」

 

「撮るよ、響・・・」

 

2人は記念として写真を撮り、撮った写真を確認する響と未来。

 

「うおおお⁉すごいことになってる!これは呪われたレベルだ・・・!」

 

「私も想像以上だった・・・」

 

仲直りを果たした響と未来はこの写真を見て、おかしくなってお互いに笑いあった。

 

~♪~

 

暗くなった頃合いに、二課は今回の被害の後処理をしている。街に被害はあったものの、被害者は1人も出なかったのが幸いだ。

 

「ししょー!緒川さん!お姉ちゃんは・・・?」

 

「軽い捻挫がありますが、命に別状はありませんでした」

 

「よかったぁ・・・」

 

日和は後から咲がノイズに襲われたと聞いて気が気でなかったが、緒川の報告を聞いて、日和は安堵し、海恋は自分の手を日和の肩をぽんと乗せる。ただ咲は秘匿義務を課せられるだろう。

 

「よかったわね」

 

「うん!」

 

咲の無事を聞いて日和は、響に託して本当に良かったと心から思った。

 

「日和さーん!!」

 

「響ちゃん!小日向さんも!仲直りできたんだ!」

 

後に響と未来がやってきた。2人が一緒にいることから、2人も仲直りできたと理解し、日和と海恋はお互いに顔を合わせ、笑いあう。

 

「はい、ふらわーさんから回収しました」

 

「ありがとうございます」

 

緒川はふらわーに置いていった未来の鞄を彼女に返した。

 

「あのぅ・・・師匠・・・この子に戦ってるところを、じっくりバッチリ目の当たりにしてしまって・・・」

 

「私もです・・・ごめんなさい・・・」

 

日和と響はまたも未来と海恋に戦っているところを見られてしまったことに謝罪する。そんな2人に未来と海恋は庇う。

 

「違うんです!私が首を突っ込んでしまったから・・・」

 

「それを言うなら、私にだって非があります!!」

 

「・・・詳細は、後で報告書という形で聞く。まぁ、不可抗力という奴だろう。それに、人命救助の立役者に、うるさいことは言えないだろうよ」

 

弦十郎の言葉を聞いて、4人は笑いあい、日和は3人の肩を並べて、喜び合う。すると、ピンクの車が急ドリフトで突っ込んできた。止まった車から了子が登場する。

 

「主役は遅れてご登場よ!さて、どこから片付けましょうかね♪」

 

遅れてやってきた了子は係りの人間に指示を出す。

 

「後は頼りがいのある大人たちの出番だ。日和君たちは帰って休んでくれ」

 

「「「「はい!」」」」

 

日和たちが友里から飲み物を受け取っている間、海恋は弦十郎に質問する。

 

「あの・・・私たちの友達、雪音クリスなんですけど・・・」

 

「・・・あの後、被害者が出たという知らせは出ていない。いずれは連絡が取れるだろう。心配ない」

 

「じゃあ、もし見かけたら、これを・・・」

 

海恋が取り出したのは、咲が処方した薬だった。

 

「薬?」

 

「疲労回復薬です。熱はもういいんですけど・・・疲労がまだ・・・」

 

「・・・ああ。わかった。渡しておこう」

 

「お願いします」

 

海恋は弦十郎に一礼し、日和の元へ駆けていく。

 

~♪~

 

日和と海恋はあの後、咲のマンションで泊まることになった。いろいろあったが、咲は何も言わず、日和と海恋を受け入れた。日和と海恋は夜景を見ながらスマホの音楽をイヤホンで共有しあっている。

 

「うーん、海恋がチョイスした音楽も最高~♪」

 

「ふふ、そうでしょ。私にお気に入り」

 

「いつかクリスと3人で、共有しあいたいね」

 

「そうね。私も、そう願ってるわ」

 

仲がいい日和と海恋の光景を見て咲はスマホを取り出して、2人の姿を写真に収める。写真に写った2人の顔は、満面の笑顔であった。




XD-エクスドライブアンリミテッド-

東雲日和ボイス

夏1
あ~つ~い~・・・アイス食べた~い・・・

夏2
夏の風物詩は肝試しって・・・わ、私はやらないからね!!?
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