戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

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防人の歌

お出かけの約束の日、今日はいい天気で絶好のお出かけ日よりだ。今日は珍しく早起きした日和と、いつも通りの海恋はお出かけ用の服に着替えて、約束時間より早くに寮に出て待ち合わせ場所に向かう。待ち合わせの公園に到着したが、そこにはもうすでに翼が到着していた。

 

「あれっ!!?翼さん!!?」

 

「東雲、西園寺、早かったな」

 

「そういう翼さんこそ・・・まだ待ち合わせの時間じゃないですよ?」

 

海恋の言うとおり、本来の待ち合わせ時間より10分ほど早い。翼はそれより前にここに到着していた。海恋の指摘に翼は少し顔を赤らめる。

 

「少し早めに起きて、やることがなかっただけだ!」

 

「・・・よっぽど楽しみだったみたいね・・・」

 

「翼さんにもそういう一面もあるんだ・・・」

 

可愛い一面がある翼に海恋と日和はひそひそとそう話をする。とにかく、後は響と未来を待つだけとなった。それから数10分時間が経ったが、未だに響と未来はやってこない。

 

「・・・あの子たちは何をやってるのよ!」

 

「まさか・・・寝坊かしら?」

 

「翼さんの約束に遅れるなんて信じられない!」

 

約束の時間に遅れている響と未来に翼は軽く腹を立てており、海恋は遅刻の原因を推察、日和は信じられないといった顔をしている。

 

「はぁ・・・はぁ・・・すみませーん、翼さーん!」

 

そこへようやくといったところで響と未来が到着する。走ってきたので響と未来は息を整える。

 

「申し訳ありません!お察しの事だと思いますが、響のいつもの寝坊が原因でして・・・」

 

「ああ、やっぱり・・・」

 

海恋の推察通り、遅刻の原因は響の寝坊にあったようだ。息を整える響と未来は翼の服装を見て目を丸くさせる。

 

「時間がもったいないわ。急ぎましょう」

 

なぜなら翼の服装は、完全にオフの芸能人がお出かけにふさわしいノリノリの服だったからである。

 

「・・・すっごい楽しみにしてた人みたいだ・・・」

 

響の呟きに翼は顔を赤くして彼女に振り返る。

 

「誰かが遅刻した分を取り戻したいだけだ!!」

 

翼のいきなりの大声に4人はびっくりして首をすくめる。

 

「・・・翼イヤーはなんとやら・・・だね」

 

何はともあれ、全員揃ったところで、デートと言う名のお出かけが始まった。

 

~♪~

 

まず5人が最初に向かったのはショッピングモール。特に目的としているものがあるわけではないが、気の赴くがままに様々な小物を見て回る。

その後も5人そろって感動ものの恋愛映画を見て涙を流して感動したり、ソフトクリーム屋でソフトクリームを食べ歩いたり、洋服のお店に入って、洋服を試着して5人のファッションショーを行ったり、翼の存在にかぎつけたファンたちから逃げ回ったり、見事に振り切って5人で笑いあったりとそれはもう楽しいことだらけだ。

そして今5人はゲームセンターのクレーンゲームで翼が欲しいと思ってるぬいぐるみを取ろうと、響がチャレンジするところだ。

 

「翼さん御所望のぬいぐるみは、この立花響が必ずや手に入れてみせます!!」

 

「響ちゃん、頑張って!!翼さんのために!!」

 

「期待はしているが、たかが遊戯に少しつぎ込みすぎではないか?」

 

「そうですね。うちはバイトは禁止ですから・・・ちょっと危ないかもです」

 

リディアンはバイトを禁止しているので、金銭面で少し心配をする海恋。その間にも響はクレーンゲームに投資して、操作機のボタンを強く叩く。

 

「キエェェェ!」

 

「変な声出さないで!」

 

突然の響の奇声に未来が耳を塞いで注意をする。響の操作したクレーンはお目当てのぬいぐるみに引っ掛かることはなく、空振りに終わる。

 

「このUFOキャッチャー壊れてるぅ!!!私呪われてるかも!!!」

 

「響ちゃん!諦めるのは早いよ!!どうせ壊れてるならこれ以上壊したって問題ないよ!!シンフォギアを纏って・・・」

 

「ああ!こら!平和的に解決しろ!!」

 

「日和やめなさい!!立花さんも!!器物損害で訴えられるわよ!!?」

 

「この怒りに身を任せればアームドギアだってぇ!!!」

 

「大声で喚かないで!!そんなに大声を出したいなら、いいところに連れてってあげるから!!」

 

ぬいぐるみを取れなかったことで暴走しかけている響と日和は4人の手によって取り押さえられる。その後は大声を遠慮なく出せる場所へと行くこととなった。

 

~♪~

 

大声を出せる場所というのはカラオケ店だった。確かにここでなら大声を出せるし、大いに盛り上がるためにストレス解消するにはちょうどいい場所だ。

 

「おおおおお!!すごい!!私たちってばすごーい!!トップアーティストと一緒にカラオケに来るなんて!!」

 

「しかも、憧れの翼さんと一緒に歌を共有できるなんて・・・うぅ・・・感激だよぉ~」

 

翼とカラオケに来れたことに大興奮する響と、感動のあまりうれし涙を流す日和。その間にも和風のメロディが流れ始める。曲名は『恋の桶狭間』。いきなりの曲に選曲者は誰かと4人は顔を見合わせる。戸惑う4人に向けて翼はマイクを手に取り、お辞儀する。どうやらこの曲を入れたのは翼のようだ。

 

「一度こういうの、やってみたいのよね」

 

「・・・渋い・・・」

 

意外なチョイスに未来がそう呟き、3人も同意する。そして、翼が歌いだす。トップアーティストゆえに、歌がうまく、かっこいいため、4人は大興奮だ。

 

「うわ~!」

 

「かっこいい~!」

 

「さすがは翼さん!!」

 

5人はレンタルした時間帯まで、大いに盛り上がりを見せるのであった。

 

~♪~

 

カラオケ店を出た頃にはもうすっかり夕方になっていた。慣れないことをしたために、翼は珍しく息切れし、息を整えている。それとは対照的に4人は元気だ。

 

「翼さーん!」

 

「はぁ・・・はぁ・・・みんなどうしてそんなに元気なんだ?」

 

「翼さんがへばりすぎなんですよー!」

 

「今日は慣れないことばかりだったから」

 

「防人であるこの身は、常に戦場にあったからな」

 

「でも、今日の景色はいつもとは違いますよ」

 

翼が階段を登り切った先には公園があった。今この場に、優しいそよ風がなり響く。

 

「本当に今日は、知らない世界を見てきた気分だ」

 

「そんなことありません!」

 

「お、おい⁉立花、何を⁉」

 

響は翼の手を取り、柵の前まで連れて行き、夕方の街の景色を見せる。夕方の絶景を目にし、翼はその光景に見惚れる。

 

「あそこが待ち合わせした公園です。みんなで一緒に遊んだところも、遊んでないところも全部、翼さんの知ってる世界です!昨日に翼さんが戦ってくれたから、今日にみんなが暮らせてる世界です。だから、知らないなんて言わないでください」

 

響の言葉を聞き、日和は翼の隣に立ち、翼に語り掛ける。

 

「ね。人に戻るっていうのも、案外悪くないでしょ?立ち止まっちゃいけない時があるというのもわかってるつもりです。でも、前に向きすぎると、こんな素敵な光景を、見逃しちゃうかもしれませんよ。たまにでもいいから、一度立ち止まって見ませんか?そうすればきっと、好きなこと、思い出せると思います」

 

翼は響と日和の言葉を聞いて、奏の言葉を思い出す。

 

『戦いの裏側とかその向こうには、また違ったものがあるんじゃないかな。あたしはそう考えてきたし、そいつを見てきた。バカな玲奈だって、そう考えてたんじゃないかな』

 

「・・・そうか・・・これが奏の見てきた世界なんだな・・・」

 

奏の言葉の意味を理解した翼は、答えを見つけ、迷いを吹っ切れたような笑顔を見せるのであった。

 

~♪~

 

翌日のリディアンにて、翼は4人を屋上に呼び出し、あるものを渡した。

 

「へっ!!?復帰ステージ!!?」

 

「翼さん、ステージに復帰できるんですか!!?」

 

「ああ。アーティストフェスが十日後に開催されるのだが、そこに急遽、ねじ込んでもらったのだ」

 

「なるほど~」

 

「つまり、以前翼さんが倒れて中止となったライブの代わりってことですか?」

 

「そうだ」

 

翼が渡したのは十日後にあるアーティストフェスの招待チケットのようだ。響はチケットの裏側のライブ会場場所を確認する。

 

「!翼さん・・・ここって・・・」

 

その場所というのは2年前・・・ツヴァイウィングのライブ事件があったあの会場だった。響の脳裏に浮かび上がるのは、2年前の事件の戦いだ。

 

「・・・立花にとっても・・・辛い思い出のある会場だな・・・」

 

「ありがとうございます、翼さん」

 

顔を俯かせていた翼だったが、予想に反して明るい声の響に驚いて顔をあげる。

 

「響・・・」

 

「いくら辛くても、過去は絶対に乗り越えていけます!そうですよね、日和さん!」

 

「うん。いつか乗り越えなくちゃいけない日が来るのなら・・・それはきっと、今なんだと思います!だからきっと、乗り越えられるはずです!」

 

「日和・・・」

 

響と日和の言葉を聞いて、翼は顔を背け、白い2羽の鳥に視線を向ける。

 

「・・・そうありたいと、私も思っている」

 

翼は響と日和に再び視線を向け、笑みを浮かべる。その瞳は、強い決心で輝いていた。

 

~♪~

 

十日後のアーティストフェス当日。日和と海恋はこの会場にたどり着き、翼の出番を今か今かと待っている。

 

「う~ん・・・翼さんの出番まだかなぁ・・・?」

 

「日和、そわそわしすぎ」

 

「だってぇ~・・・」

 

「はぁ・・・どうしてこうも落ち着きがないのかしら・・・」

 

今までのアーティストの曲もとてもよかったが、日和にとっての本命は翼であるので、出番はまだかとそわそわしてる。すると、日和の二課の端末が鳴った。日和は落ち着きを取り戻して、すぐに通信に出る。ちょうど響にも連絡が入り、同時に通信が入る。

 

『はい、響です!』

 

「日和です!ノイズですか?」

 

『そうだ。ノイズの出現パターンを検知した!これから翼にも連絡を・・・』

 

「ししょー」

 

ノイズの出現を検知した弦十郎は翼にも連絡を入れようとしたが、日和が遮る。

 

『どうした?』

 

「現場には、私と響ちゃんだけでお願いします」

 

『!!』

 

日和はノイズ退治は自分と響に任せるように進言した。

 

「今日の翼さんは、自分の戦いに臨んでほしいんです。この会場で、最後まで歌いきってほしいんです。いいよね、響ちゃん」

 

『日和さん・・・はい!!』

 

日和は響にも確認をとる。響は元気よく、二つ返事で返した。響も同じ気持ちなのだ。

 

『・・・やれるのか?』

 

「『はい!!』」

 

弦十郎の問いに日和と響は力強く答えた。通信を終えた日和は席に立つ。

 

「日和」

 

「海恋・・・」

 

「・・・必ず、生きて帰ってね」

 

「もちろん!帰ったら感想、聞かせてね」

 

日和の答えを聞いた海恋は微笑み、日和を見送った。日和は海恋に笑顔を見せた後、ノイズ退治のために会場を離れる。そして、日和が会場を離れたと同時に、翼のライブの開演が始まり、翼は歌を歌い始める。

 

「・・・あれが風鳴翼か・・・」

 

ライブ会場の入り口付近の壁に、1人の女性がいた。男性用の黒服に長い赤髪と緑と黄色のオッドアイが特徴で一目では男性と間違えそうな顔立ちをしている。黒服の女性は翼のライブに注目している。

 

~♪~

 

ノイズの出現地点では、すでにクリスがノイズと戦っていた。だが、状況はあまり著しくない。なぜなら出現している要塞型の巨大ノイズにガトリング砲と小型ミサイルを撃ち放っているのだが、要塞ノイズにはびくともしない。要塞ノイズは主砲をクリスに狙いを定め、撃ち放つ。クリスは主砲を避けるが主砲の爆風によって吹っ飛ばされる。

 

「ぐわぁ!!」

 

倒れるクリスに要塞ノイズは再び主砲をクリスに向けて放った。砲弾がクリスに直撃しようとした時・・・

 

「クリス!!」

 

現場に到着した日和が棍を伸ばして砲弾を弾いて炭に変える。同じく現場に到着した響は素早く動き、ノイズの群れに突っ込み、拳で群れを粉砕する。響の勢いが止まったところに、要塞ノイズは響に向かって主砲を撃ち放った。砲弾は響に迫ったが、日和の棍とクリスのガトリング砲によって粉砕する。

 

「やろう、響ちゃん、クリス!!」

 

「これで貸し借りはなしだ!!」

 

日和とクリスは互いに背中を合わせ、自分たちの正面にいるノイズを蹴散らしていく。響も負けじと周りにいる小型のノイズを次々と倒していく。要塞ノイズは響に狙いを定めて主砲を撃った。響は砲弾を躱し、腕のハンマーパーツを引き絞る。

 

「はああああああああ!!!」

 

響はハンマーパーツを引き絞めた状態で地面に叩き込み、衝撃を与え、要塞ノイズがいる地盤を傾けさせ、それを崩した。態勢が崩れたのを見計らい、腕のハンマーパーツを力いっぱい、肩まで引き絞る。小型のノイズは要塞ノイズを守ろうとしたが、日和が薙ぎ払い、クリスが撃ち落とした。これで小型ノイズは全滅。残るは要塞型のみ。

 

「でりゃああああああああ!!!!」

 

響は要塞ノイズに接近し、強力な一撃を叩きつける。叩きつけた拳と、ハンマーパーツの衝撃によって、要塞ノイズは吹き飛び、炭となって粉々に砕け散った。戦いを終えた響と日和は遠くにある翼のライブ会場に視線を向け、誇らし気な笑みを浮かべている。

 

~♪~

 

ノイズが全滅した同じ頃、翼の歌が終わり、会場内は観客たちによる大歓声によって響いていた。

 

「ありがとうみんな!今日は思いっきり歌を歌えて、気持ちよかった!!」

 

『わあああああああああ!!!』

 

翼は興奮している観客たちに手を振りながら話を進める。

 

「こんな思いは久しぶり・・・忘れていた・・・でも思い出した!私は、こんなに歌が好きだったんだ!聞いてくれるみんなの前で歌うのが、大好きなんだ!」

 

翼の話を観客たちは静まり返り、落ち着いた様子で真剣に聞いていた。

 

「もう知ってるかもしれないけど、海の向こうで歌ってみないかって、オファーが来ている。自分が何のために歌うのか、ずっと迷ってたんだけど・・・今の私は、もっとたくさんの人に歌を聞いてもらいたいと思っている。言葉は通じなくても、歌で伝えられることがあるならば・・・世界中の人たちに、私の歌を聞いてもらいたい!」

 

『わあああああああああ!!!』

 

翼の海外のオファーを受けると聞いた観客たちは大歓声と大きな拍手を翼に送る。海恋と未来も観客たちと同じく、翼に拍手を送っている。

 

「私の歌が、誰かの助けになると信じて、みんなに向けて歌い続けてきた。だけどこれからは、みんなの中に、自分も加えて歌っていきたい!だって私は、こんなにも歌が好きなのだから!たった1つのわがままだから、聞いてほしい・・・許してほしい・・・」

 

翼の話が終わった直後・・・

 

『許すさ。当たり前だろ』

 

『それでこそ・・・風鳴翼だ』

 

亡くなった奏と玲奈の声が聞こえてきた。それと同時に、会場は観客たちの応援と励ましの言葉で埋め尽くした。

 

「・・・ありがとう!!」

 

大切な友の声、そして観客たちの応援と励ましに、翼は涙を流し、観客たちに感謝を述べ、笑みを浮かべて夜空を見上げた。

 

~♪~

 

ライブが終わって会場の外、黒服のオッドアイの女性はタクシーに乗り、空港に向かっている。そんな彼女の携帯が鳴り響き、彼女は通話に出る。

 

「・・・この休日をセッティングしたのはやはり君か。僕に気遣いはいらないと言っただろう」

 

誰かと電話している女性は表情1つ変えず、淡々と答える。

 

「・・・まぁいいさ。収穫はあった。今日という日は無駄ではなかった。・・・こちらも負けていられない。すぐに戻る。君も僕もこれから忙しくなる。今のうちに英気を養うといい。それから、土産を用意しておいた。2人が気に入るといいのだが・・・」

 

女性の手元には、海外で大活躍するトップアーティストの書類があった。

 

「・・・ああ。もちろんわかってるさ・・・」

 

女性は通話を切り、タクシーの窓から夜景を眺める。夜の月は、美しく輝いていた。




謎の男装女性

外見:赤いストレートロングへア
  :瞳は緑と黄色のオッドアイ

イメージCV:BanG Dream!:美竹蘭
(その他の作品:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。:一色いろは
        五等分の花嫁:中野四葉
        原神:八重神子
        その他多数)

アーティストフェスで翼のライブを見ていた謎の女性。外見は清楚で忠誠的な顔立ちをしているため、体系も相まって初見では男性と間違えられることが多々ある。
海外のトップアーティスト、そして電話口の相手と何か関係があるようだがはたして・・・
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