戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

20 / 105
繋いだ手だけが紡ぐもの

街に大型の飛行型ノイズが現れたため、日和はこれの撃退のために、二課の所有するヘリコプターに乗り込み、移動を開始する。移動している間にも、二課の本部から飛行型ノイズの新しい情報が入ってきた。3人からの通信も入る。

 

「はい、日和です!」

 

『翼です』

 

『ノイズ進行経路に関する、最新情報だ。第41区域に発生したノイズは第33区域を経由しつつ、第28区域方面へ進行中。同様に、第18区域と第17区域のノイズも第24区域方面へと移動している。そして・・・』

 

飛行型ノイズの進行を辿っていると、移動している場所が判明した。

 

『指令、これは・・・』

 

『それぞれのノイズの進行経路の先に、東京スカイタワーがあります!カ・ディンギルが塔を意味するのであれば、スカイタワーはまさに、そのものじゃないでしょうか!』

 

飛行型ノイズが移動しているのは東京スカイタワーであり、藤尭はカ・ディンギルがスカイタワーでないかと推察する。

 

『スカイタワーには俺たち二課が活動時に使用している映像や交信といった電波情報を統括制御する役割を備わっている。3人とも、東京スカイタワーに急行だ!』

 

「はい!」

 

弦十郎はノイズ殲滅のために装者3人に指示を出した。例えこれが・・・罠だとしても。

 

「!運転手さん!あそこ!」

 

ヘリコプターで外を見ていると、日和は現場へ走って急行している響を発見する。日和の声で運転手はすぐに響の元まで下りていく。

 

『スカイタワー・・・でもここからじゃ・・・』

 

『何ともならないことを何とかするのが、俺たちの仕事だ!』

 

「響ちゃん!乗って!!」

 

響は降りてきたヘリコプターに乗り込む。響も乗ったところでヘリコプターはローターを回して空に上昇し、東京スカイタワーまで移動する。少し時間が経ち、日和と響は東京スカイタワーの上空に到着する。スカイタワーの周りには4体の大型飛行型ノイズが飛び回っている。そして、飛行型ノイズは胴体から小型のノイズを地上にばら撒き、小型の飛行型ノイズも出撃するように現れる。ヘリコプターは大型ノイズの真上に飛び、響はそのノイズに向かって飛び降り、詠唱を唱える。

 

Balwisyall Nescell Gungnir tron……

 

シンフォギアを纏った響はハンマーパーツを引き絞め、落下の勢いと共に大型飛行型ノイズの背中に拳を叩き込んで衝撃で貫いた。貫かれた大型飛行型ノイズは爆発し、残りは3体となる。日和はもう1体の大型飛行型ノイズの背中に狙いを定めて、飛び降りる。

 

clear skies nyoikinkobou tron……

 

シンフォギアを纏い、日和は右手を大型飛行型ノイズに向けて、右腕ユニットから棍を放つ。放たれた棍はドリルに形を変え、回転を始める。回転するドリルの棍に向かって日和は落下の勢いに身を任せ蹴りを放ち、小型飛行型ノイズを蹴散らしながら大型飛行型ノイズに一直線に落下する。

 

【天元突破】

 

ドリルの棍は大型飛行型ノイズの背中を貫く。これによって大型飛行型ノイズは爆発を引き起こし、残りは2体となる。ドリルの棍は戦闘時の棍に戻り、日和はそれを取ってうまく地面に着地する。それと同時に翼がバイクに乗って現場に到着する。

 

Imyuteus amenohabakiri tron……

 

バイクから飛んだ翼はシンフォギアを纏い、刀を大剣に変形させ、大型飛行型ノイズに向けて大剣を振るって青い斬撃を放つ。

 

【蒼ノ一閃】

 

斬撃は小型の飛行型ノイズを複数蹴散らしたが、大型飛行型ノイズまで届くことはなかった。翼は苦虫を嚙み潰したような表情をする。そこへ響と日和が合流する。

 

「相手に頭上を取られることが、こうも立ち回りにくいとは!」

 

「ヘリを使って、私たちも空から!」

 

「それなら、建物を利用して飛べばヘリに・・・」

 

ドカアアアアン!!

 

再びヘリに乗って先ほどと同じ要領で攻撃を提案したが、ヘリコプターは小型の飛行型ノイズからの攻撃を受けて、爆発した。その様子は3人も空を見上げて確認した。これでは響の案は利用できない。

 

「ヘリが!」

 

「そんな⁉」

 

「よくも!!」

 

小型の飛行型ノイズは3人に狙いを定めて突進してきたが、3人はそれを躱す。地上にいるノイズはそのタイミングで3人に襲い掛かるが、響は拳で、日和は棍で、翼は刀で簡単にあしらう。

 

「なら!如意金箍棒で!」

 

日和は棍を地面に突き刺して、棍を大型飛行型ノイズに向かって伸びる。伸びる棍を持って移動する日和だが、大型飛行型ノイズがばら撒く小型ノイズによって進行を防がれる。日和はもう1つ棍を取り出し、小型ノイズを蹴散らしながら進むも、バランスを取りながらでは戦いにくい。そして、棍のバランスが崩れ、日和は落下するも華麗に着地する。大型飛行型ノイズはまだまだ小型ノイズをばらまく。

 

「小型ノイズが邪魔をして、あいつまで届かない!」

 

「空飛ぶノイズ・・・どうすれば・・・」

 

「臆するな立花!防人が後ずされば、それだけ戦線が後退するということだ!」

 

攻撃の射程外を飛ぶ大型飛行型ノイズ。日和の一点突破も大型飛行型ノイズの前では威力が足りない。それでなくとも小型ノイズに邪魔をされる。それら3点を踏まえて悪戦苦闘する3人。小型の飛行型ノイズは3人に向かって突進したその時・・・

 

ダダダダダダ!!

 

大量の弾丸が小型の飛行型ノイズを撃墜する。この攻撃ができるのは、3人が知る中で1人しかいない。3人が後ろを振り向くと、そこにはイチイバルを纏い、二丁のガトリング砲を構えたクリスが立っていた。

 

「!クリス!!やっぱり来てくれたんだ!!」

 

クリスが駆け付けてくれたことに日和と響は表情が明るくなる。クリスは通信機を握って悪態をつく。

 

「ちっ・・・こいつがぴーちくぱーちくやかましいから、ちょっと出張ってきただけ。それに勘違いするなよ、お前たちの助っ人になったつもりはねぇ!!」

 

『助っ人だ。少々到着が遅くなったかもしれないがな』

 

「なっ・・・!」

 

「助っ人・・・?」

 

通信機から聞こえてきた弦十郎の言葉にクリスは顔が赤くなる。その言葉に日和と響は満面の笑みを浮かべ、翼は思わず呟いている。

 

『そうだ。第2号聖遺物イチイバルを身に纏う戦士、雪音クリスだ!』

 

「クリスちゃーん!ありがとう!絶対にわかりあえるって信じてた!」

 

「クリス!ずっと待ってた!来てくれて本当にありがとう!」

 

「このバカ共!!あたしの話を聞いてねぇのかよ!!?」

 

響と日和は嬉しさのあまり、クリスに抱き着いた。クリスは抱き着いてきた2人を引きはがそうとする。

 

「とにかく今は、連携してノイズを!」

 

「勝手にやらせてもらう!邪魔だけはすんなよな!」

 

「ええぇ!!?」

 

「そんなぁ!クリスぅ!」

 

クリスは響と日和から距離を取り、ボウガンを構えて、突っ込んできた小型の飛行型ノイズを討ち落としていく。

 

「空中のノイズはあの子に任せて、私たちは地上のノイズを!」

 

「「は、はい!」」

 

大型飛行型ノイズがばら撒く小型ノイズを地上は翼は刀、日和は棍と掌底で、響は拳と蹴りで次々と蹴散らしていく。クリスは空中の小型ノイズをガトリング砲で次々と撃ち落としていく。迫りくるノイズの攻撃を翼は飛んで躱す。しかし、ちょうど同じタイミングでクリスも飛び上がったために、2人は背中でぶつかってしまう。

 

「何しやがる!すっこんでな!」

 

「あなたこそいい加減にして!1人で戦ってるつもり?」

 

「あたしはいつだって1人だ!こちとら仲間と馴れ合ったつもりはこれっぽっちもねぇよ!!」

 

翼の言葉にそう言い返すクリス。その物言いに翼は顔をしかめている。

 

「確かにあたしたちが争う理由なんてないのかもな。だからって、争わない理由もあるものかよぉ!この間まで殺り合ってたんだぞ!そんな簡単に、人と人が・・・」

 

日和は両手でクリスの手を優しく握る。

 

「手を繋げられるよ。誰とだって・・・仲良くなれるんだよ。だって私たち、もう友達じゃない」

 

「なっ・・・!よ、余計なこと思い出させんじゃねぇよ!!」

 

日和の言葉を聞いてクリスは泣いて日和と手を繋いだことを思い出し、顔を赤くして声を荒げる。

 

「それでなくとも私とクリスは、一緒にノイズと戦ってきたんだよ。河川敷の時も、この間のことも・・・そして今回だって。そして、これからもそうだよ。争わない理由は、それで十分だよ。ね、響ちゃん」

 

「はい。日和さんの言うとおり、誰とだって仲良くなれる」

 

日和はクリスの手を握って、もう片方の手を響に差し伸べる。響は日和の手を迷うことなく握り、もう片方の手で、翼の手を握る。

 

「どうして私にはアームドギアがないんだろうって・・・ずっと考えてた。いつまでも半人前は嫌だなぁって。でも、今は思わない。何もこの手に握ってないから、みんなとこうして手を握り合える、仲良くなれるからね」

 

「立花・・・」

 

満面な笑みを浮かべて言う響の言葉に翼は刀を地面に突き刺し、何も握ってない手でクリスに手を差し伸べる。クリスは差し出された手に戸惑いつつ、日和に顔を合わせる。日和はクリスの顔を見てにっこりと笑う。クリスは戸惑いつつ、何も握ってない手を、戸惑いながらも伸ばす。クリスが伸ばした手を翼は握る。しかしそれはすぐにほどかれる。

 

「なっ・・・!このバカ共にあてられたのかぁ!!?」

 

「そうだと思う。そして、あなたもきっと。東雲のおかげでね」

 

「・・・っ!冗談だろ・・・」

 

「クリス可愛いー」

 

「えへへ」

 

翼の言葉にクリスは顔を赤くしてそっぽを向く。そんな4人を大型飛行型ノイズの影が覆う。4人は気を引き締め直す。

 

「親玉をやらないとキリがない」

 

「だったらあたしに考えがある。あたしでなきゃできないことだ」

 

クリスは腰に手を当てて不敵に笑って、大型飛行型ノイズをどうするかの案を述べる。

 

「イチイバルの特性は長射程広域攻撃。派手にぶっ放してやる!!」

 

「まさか、絶唱を・・・!」

 

「そ、それはダメ!!」

 

「バーカ。あたしの命は安物じゃねぇ!」

 

「ならばどうやって・・・」

 

「ギアの出力を引き上げつつも放出を押さえる。行き場のなくなったエネルギーを臨界までため込み、一気に解き放ってやる」

 

「でも、チャージの間はクリスは身動きが取れない・・・すっぽんぽんと同じだよ」

 

イチイバルの特性を考えれば、確かに高エネルギーを保ったままであの大型飛行型ノイズを倒せるかもしれない。だがそのためには日和の言うとおり、チャージが必要で、クリスは身動きが取れない。

 

「これだけの多くのノイズが相手にする状況では、危険すぎるな・・・」

 

「そうですね。でも私たちがクリスちゃんを守ればいいだけのこと!」

 

響の言葉にクリスは目を見開き、翼と日和は笑みを浮かべる。そして、わらわらと集まってくる小型ノイズを響と翼は倒しに向かう。

 

(頼まれてもいないことを・・・。あたしも引き下がれねぇじゃねぇか!!)

 

何も言われなくてもクリスを守る行動をとった響と翼にクリスは初めて感じ取った思いに笑みを浮かべる。日和も響と翼と同じように行動しようと動くと、クリスが呼び止める。

 

「おい。・・・あたしの背中・・・預けたからな」

 

「!!・・・うん!背中は私に任せて!!」

 

クリスが初めて自分から背中を託されて、日和は嬉しさで満面の笑みを浮かべて、響と翼とは反対方面の小型ノイズを殲滅しに向かう。クリスは歌を歌い、アームドギアにエネルギーを溜め込んでいく。

 

(誰もが、繋ぎ繋がる手を持っている!私の戦いは、誰かと手を繋ぐこと!!)

 

響は小型ノイズを蹴りと拳で次々と蹴散らす。

 

(砕いて壊すも、束ねて繋ぐも力!立花らしいアームドギアだ!)

 

翼は響自身のアームドギアに感心して笑みを浮かべ、刀でノイズを次々となぎ倒す。

 

(もしも繋ぐ手が届かないなら、伸ばせばいい!私のアームドギアは、それを助力するためもの!)

 

日和は2つの棍を1つに束ね、それを回転させる。回転する棍は風をかき集め、それを竜巻のように放った。

 

【疾風怒濤】

 

棍から放たれた竜巻の突風は小型ノイズを的確に狙い、次々と蹴散らしていく。3人の攻防によって、クリスのチャージが完了する。

 

「「「託した!!!」」」

 

クリスはガトリング砲、小型ミサイル射出機、そして巨大なミサイルに左右に2つ、合計4つを展開し、その全てを大型飛行型ノイズを含めてた全てのノイズに一斉掃射する。

 

【MEGA DETH QUARTET】

 

発射された大型ミサイルは大型飛行型ノイズに向けて放たれ、発射された小型ミサイルポッドから複数の小型ミサイルが発射し、小型ノイズを撃墜する。クリス自身もガトリング砲を撃ち放ち、小型ノイズを殲滅させる。2体の大型飛行型ノイズに巨大ミサイルが2本ずつ直撃し、爆発する。

 

「やった・・・のか・・・?」

 

「ったりめぇだ!!」

 

大型飛行型ノイズが殲滅した証拠に、空から炭素の欠片が降ってくる。小型ノイズも全滅できたため、これでこの区域での戦闘は終わった。スカイタワーも無事である。

 

「やったやったぁ!!!」

 

「最高だよクリスぅ!!!」

 

「うわっ!やめろバカ共!何しやがるんだ!」

 

響と日和はクリスに駆けつけて思いっきり抱き着いた。クリスはそんな2人をすぐに引きはがす。戦闘が終わり、ギアが解除して響と日和は制服に、翼はライダージャケットに、クリスは私服に戻る。

 

「勝てたのはクリスちゃんのおかげだよ~!」

 

「クリスー!あなた本当に最高の友達だよー!」

 

響と日和は再びクリスに抱き着き、クリスは再度振り払う。

 

「だからやめろって言ってるだろうが!!いいか!あたしはお前たちの仲間になったつもりはないし、お前の友達になった覚えもない!!あたしはただ、フィーネと決着をつけて、やっと見つけた本当の夢を果たしたいだけだ!!」

 

「クリス・・・自分の夢を追いかけるように・・・!一緒に頑張っていこー!!」

 

「夢!!?クリスちゃんの!!?どんな夢!!?聞かせてよ~!!」

 

クリスが自分の夢を追いかけると聞き、日和は嬉しそうにクリスに抱き着き、響もクリスの夢を聞きながら抱き着いてきた。

 

「うるさいバカ!!!お前ら本当のバカ!!!」

 

「そんなにバカバカ言わないでよー、本当のバカになっちゃうじゃん~」

 

「知るかバカ!!」

 

3人が仲良くじゃれあっていると、響の通信機から着信が鳴る。響はすぐに通信機を取り出し、通話に出る。

 

「はい、もしも・・・」

 

『響!!学校が・・・リディアンがノイズに襲われ・・・』

 

ブチッ!!

 

未来の通話が強制的に切られる。リディアンが・・・響たちが帰ってくる場所がノイズに襲われていると聞き、響は唖然となった。




如意金箍棒の技

【疾風怒濤】

日和の技。2つの棍を連結し、回転させることによって竜巻の突風を作り上げ、相手を薙ぎ払う技。日和曰く、回し続けるから手首がちょっと痛くなってくるとのこと。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。