戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

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フィーネの正体

日和たちが東京スカイタワーで大型飛行型ノイズを撃退しようとしている同じ時間帯、リディアンは突如として現れたノイズによって、戦場と化していた。自衛隊はノイズを倒そうとマシンガンを撃ち放つが、弾はノイズに当たるどころか、すり抜けてしまい、致命傷には至らない。一方避難誘導を担当している自衛隊は慌てて悲鳴を上げている生徒たちに地下シェルターへの避難誘導を行っている。校内でも避難誘導は行われている。

 

「皆さん!落ち着いてください!自衛隊の皆さんの誘導に従い、避難シェルターへ移動してください!!」

 

海恋は落ち着いて学院内に残っている生徒たちの避難誘導の指示を送る。生徒たちは自衛隊についていって避難シェルターへ移動する。そこへ日和たちのクラスメイト達が声をかけてきた。

 

「海恋ちゃん!どうなってるの⁉ノイズが学校を襲ってくるなんて・・・」

 

「落ち着きなさい!いい?あなたたちも自衛隊の人たちの指示に従って避難するのよ!そうすれば助かるから!」

 

「海恋ちゃんは!!?」

 

「私は他の生徒たちが残ってないか見てくる!」

 

海恋はクラスメイト達に避難するように指示を出して、他に生徒がいないか探す。その最中、海恋は頭をフル回転させてカ・ディンギルについて考える。

 

(カ・ディンギルはスカイタワーじゃなかった?でも、天を仰ぐほどの塔だなんて・・・スカイタワー以外に思い当たる場所なんて・・・)

 

海恋がそこまで考えると、ある答えにたどり着く。カ・ディンギルがどこに建てられているのかを。

 

「まさか・・・カ・ディンギルは・・・」

 

「いやああああああああああ!!!」

 

答えが導き出されて、海恋は一瞬立ち止まるが、生徒の悲鳴が聞こえてきて、海恋はそこへ向かって走り出す。海恋が向かった先には、3人の生徒がいた。悲鳴を上げたのはツインテールの女の子のようだ。

 

「あなたたち何をやってるの!!急いでシェルターへ向かいなさい!!」

 

この3人組は響のクラスメイトでよく一緒にいる友達である。左から安藤創世、板場弓美、寺島詩織となっている。海恋は風紀委員の朝のあいさつ運動で3人と顔を合わせている。

 

「こんなところにいたら危険よ!!さあ早く行くわよ!!」

 

「せ、先輩・・・の、ノイズが・・・人が・・・自衛隊の人が・・・」

 

どうやらもう学院内にノイズが入り込んできたようで、弓美は目の前で人がノイズに貫かれて炭素に変わっていく姿を目撃し、悲鳴を上げたようだ。

 

「落ち着きなさい!!大丈夫、避難シェルター行ったら助かるから!」

 

「待ってくださいウミヒメ先輩!ヒナがまだ・・・」

 

「ヒナ?」

 

「小日向さんのことです」

 

どうやら未来はまだ避難誘導に向かっているようで、3人は未来の心配をしているようだ。それを聞いた海恋は自衛隊を待ってる時間はないためすぐに3人に指示を出す。

 

「避難シェルターの場所はわかるわね?あなたたちはそこへ行きなさい!急いで!!」

 

「西園寺先輩は⁉」

 

「私は小日向さんを探しに行く!」

 

海恋は3人にシェルターへ行くよう指示を出した後、未来を探しに行った。階段を下りて辺りを見回すと、この混沌とした状況に唖然としている未来がいた。

 

「学校が・・・響が帰ってくるところが・・・」

 

「小日向さん!!」

 

「か、海恋さん・・・」

 

海恋はすぐに未来に駆け寄る。

 

ガッシャーン!!

 

するとノイズが窓を突き破って学院内に侵入してきた。壁に張り付いたノイズは海恋と未来を発見し、すぐさま突進してきた。2人がノイズにぶつかろうとしたその時、間一髪で緒川が飛び込んできて未来と海恋を助け、ノイズの突進を躱した。

 

「「お、緒川さん!!」」

 

「ギリギリでした!次うまくやれる自信はないですよ」

 

突進を躱されたノイズは狙いを3人に定めた。

 

「走ります!三十六計逃げるに如かずといいます!」

 

ノイズが襲ってくる前に緒川は未来と海恋の手を取ってノイズから逃げる。当然ながらノイズは追いかける。3人は二課に通じるエレベーターに乗り、扉を閉じる。だがノイズは物質ではないため、扉をにょきっとすり抜けた。

 

「「ひっ・・・!」」

 

ノイズの腕が迫ってきた。だが、エレベーターが動き出したため、ノイズはエレベーターからすり抜けて3人から遠ざかる。何とか助かった未来は安堵し、海恋は少し冷静に考える。

 

「・・・?海恋さん?」

 

「・・・私、カ・ディンギルの正体がわかったかもしれない」

 

「えぇ!!?」

 

カ・ディンギルの正体に気が付いた海恋に未来は驚く。緒川もカ・ディンギルの正体に気づいていたが、まさか海恋も気づいていたとは思わず、多少ながらも驚いている。

 

「敵は確かノイズを自在に操れるんだったわよね。私も最初はスカイタワーなんじゃないかって思ってた。でも、それだと日和たちがノイズを倒しに向かった後に、何もないリディアンにノイズを襲撃する説明がつかない。断定ではないけれど・・・カ・ディンギルがあるのは・・・」

 

ドオオン!!

 

「「「!!」」」

 

海恋が推察を話していると、突如エレベーターに衝撃が鳴り、揺れが生じる。揺れ具合から外部から攻撃されてるのがわかる。そして・・・

 

ザシュッ!!

 

「がふっ!!?」

 

「海恋さん!!」

 

エレベーターの天井から鋭利な鞭が飛び出し、海恋の腹部を刺した。海恋は腹部を貫かれ、血を吐いた。そして、エレベーターの天井が破壊され、そこから何者かが侵入してきた。侵入者は鞭で海恋の首を締めあげ、緒川も右手で締め付けられる。

 

「きゃああああ!!」

 

「こうも早く悟られるとは・・・中々頭が冴える小娘だ」

 

侵入してきた人物とは黄金のネフシュタンの鎧を身に纏ったフィーネだった。そして海恋はフィーネの顔に、多少は相違はあるものの、見覚えがある。そして、声にも聞き覚えがあった。

 

「・・・その・・・声・・・その顔・・・了子・・・さん・・・!」

 

フィーネの姿は違いはあるものの、確かに了子の面影があった。そう、フィーネの正体とは、二課の仲間である、櫻井了子だったのだ。

 

「何がきっかけだ?」

 

「・・・塔なんて目立つものなんて・・・誰にも気づかれなく建造するなんて・・・普通なら不可能・・・。それが可能にできるのは・・・地下に手を付けるしかない・・・。それができるとしたら・・・ここ・・・特異災害対策起動二課本部・・・そのエレベーターシャフトこそがカ・ディンギル・・・!そして、それを可能とできるのは・・・あなたのような・・・優秀な・・・」

 

「漏洩した情報を逆手にうまくいなせたと思ったのだが・・・まさかお前のような小娘がそこにたどり着くとはな・・・」

 

二課本部の階にたどり着き、扉が開いたことで緒川の拘束が解き放たれる。そして緒川はフィーネの急所を狙って拳銃を発砲したが、フィーネに貫くことはなく、その弾丸は潰されてしまっている。

 

「ネフシュタン・・・!」

 

フィーネはネフシュタンの鎧の鞭で緒川の身体を強く締めあげ、持ち上げる。

 

「ぐわああああ!」

 

「緒川さ・・・が・・・は・・・!」

 

「海恋さん!!」

 

「未来さん・・・!にげ・・・て・・・!」

 

海恋はフィーネに鞭で首を締めあげられ、呼吸できずに苦しそうにしている。未来は2人を助けようとして、フィーネに体当たりをする。だがそれによってフィーネは未来に目を付け、緒川と海恋を解放する。

 

「ぐっ・・・げほっ!ごほっ!」

 

解放されて呼吸できるようになった海恋は咳き込む。未来を助けようにも海恋は腹部を貫かれた痛みでうまく動けない。

 

「麗しいなぁ。お前たちを利用してきた者を守ろうというのか?」

 

「利用・・・?」

 

二課がリディアン生たちを利用してきたという言葉に未来は疑問符を浮かべる。

 

「なぜ二課本部がリディアンの地下にあるのか。聖遺物に関する歌や音楽のデータを、お前達被験者から集めていたのだ。その点、風鳴翼という偶像は生徒を集めるのによく役立ったよ」

 

リディアンの裏で行われてきた真実をフィーネに突きつけられ、動揺している未来だが・・・それでも未来は響と二課を信じるという気持ちに変わりはない。

 

「嘘をついても!本当のことが言えなくても!誰かの命を守るために、自分の命を危険にさらしている人がいます!私は、そんな人を・・・そんな人たちを信じてる!!」

 

未来の出した答えを聞いたフィーネは苛立ち、彼女の頬を叩き、地面に放り投げる。

 

「まるで興が覚める・・・!」

 

「こ・・・小日向さん・・・!」

 

海恋は傷む腹部を抑えながらも、這いずって未来の元に駆けつける。フィーネは本来の目的であるデュランダルが保管されている部屋へと向かう。フィーネは了子としての自分の端末を使って部屋のロックを解除しようとした時、緒川が銃を発砲し、端末を破壊する。

 

「デュランダルの元へは行かせません!!この命に代えてもです!!」

 

緒川は自分の拳銃を捨て、武術の構えをとる。煩わしくなったフィーネは今度こそ緒川の息の根を止めようと鞭をしならせる。

 

「待ちな、了子」

 

「!」

 

ドオオオオン!!!

 

突如上から声がし、天井を破壊し、何者かがそこから降り2人の間に入ってくる。この声質、そして武術で床に穴をあける人物など、1人しかいない。

 

「私をまだ、その名で呼ぶか・・・」

 

「女に手をあげるのは気が引けるが・・・3人に手を出せば、お前をぶっ倒す」

 

降りてきた人物とは、二課の責任者にして指令、風鳴弦十郎だ。弦十郎は構える。

 

「指令・・・!」

 

「弦十郎・・・さん・・・!」

 

「調査部だって無能じゃあない。米国政府のご丁寧な道案内で、お前の行動にはとっくに行きついていた。燻りだすため、あえてお前の策に乗り、シンフォギア装者を全員動かして見せたのさ!」

 

つまり、東京スカイタワーのノイズはやはり罠で、弦十郎はわざとこの策に乗って、フィーネが現れるのを待っていたのだ。

 

「陽動に陽動をぶつけたか・・・食えない男だ。だが!この私を止められるとでも⁉」

 

「応とも!!ひと汗かいた後で、話を聞かせてもらおうかぁ!!」

 

弦十郎はフィーネに接近する。フィーネは鞭を振るって攻撃するが、その攻撃は弦十郎に容易く避けら、2本目の鞭も天井の梁を掴んで避ける。そして、弦十郎は降りて、フィーネに殴りかかる。フィーネはその拳を避けるが、その力が凄まじく、床に穴が開き、拳圧でネフシュタンの鎧にひびが入る。

 

「何っ⁉」

 

フィーネは弦十郎から距離をとる。鎧に入ったひびはネフシュタンの力で再生される。

 

「肉を削いでくれる!!!」

 

鎧にひびを入れたのが癪に障ったフィーネは弦十郎に向けて2つの鞭を振り下ろす。弦十郎は慌てず、2つの鞭を素手で掴み取り、鞭を引っ張ってフィーネを強引に引き寄せる。そして、自身の元まで近づけさせ、弦十郎はフィーネに鳩尾に拳を叩き込む。フィーネは急所を突かれ、地面に倒れる。

 

「ぐぅ・・・!完全聖遺物を退ける・・・どういうことだ⁉」

 

「知らいでか!飯食って映画見て寝る!漢の鍛錬は、そいつで十分よぉ!!」

 

「なれど人の身である限りはぁ!!」

 

フィーネはソロモンの杖を取り出し、ノイズを召喚しようとする。

 

「させるかぁ!!」

 

弦十郎はそうはさせまいと足で地面に衝撃を与え、浮き上がった破片を蹴り飛ばし、ソロモンの杖に直撃させる。これによってソロモンの杖は天井に突き刺さる。

 

「ノイズが出てこないならばぁ!!」

 

弦十郎は拳でフィーネに殴りかかろうとするが・・・

 

「弦十郎君!!」

 

「・・・っ!!」

 

卑怯なことにフィーネは了子としての声を出し、情を訴えようとする。それが決定打となり、弦十郎は怯んでしまう。その瞬間にフィーネは不敵に笑い・・・

 

ザシュッ!!

 

「司令!!」

 

鞭によって弦十郎の腹部を貫いた。腹部を貫かれた弦十郎は血を吐き、倒れる。

 

「いやあああああああああああ!!!」

 

海恋とは比べものにならないほどに出血して倒れる弦十郎に未来は大きく悲鳴を上げる。フィーネは倒れた弦十郎のポケットから彼の端末を奪い取る。

 

「抗うも、覆せないのが定めなのだ」

 

フィーネは鞭で天井に突き刺さったソロモンの杖を回収する。

 

「殺しはしない。お前たちにそのような救済など施すものか」

 

フィーネは弦十郎の端末を使って、デュランダルの一室のロックを解除する。フィーネは奥へと入っていき、扉を閉じて再び扉にロックをかけた。

 

「司令!!司令!!」

 

「げ、弦十郎さん・・・うぅ・・・!」

 

緒川と未来は弦十郎に駆け寄る。海恋も弦十郎に駆け寄るも、腹部の傷でうまく動けない。目の前の出来事に未来の顔は恐怖に染まっている。

 

~♪~

 

デュランダルまでたどり着いたフィーネはコンピューターキーボードを操作し、デュランダルの解除を試みる。

 

「目覚めよ天を突く魔刀・・・彼方から此方まで現れ出よ!」

 

フィーネの野望を体現するがごとく、デュランダルの輝きはより増していった。

 

~♪~

 

本部の司令室・・・オペレーターたちはモニターで日和たちが東京スカイタワーのノイズを撃墜したことを確認する。そこへ、負傷を負った海恋と弦十郎を背負った緒川と未来が入ってくる。

 

「!!司令!!海恋ちゃん!!」

 

「応急処置をお願いします!!」

 

緒川の指示を受けた女性オペレーターたちは急いで弦十郎と海恋の応急処置を施す。

 

「本部内に侵入者です!狙いはデュランダル!敵の正体は・・・櫻井了子!」

 

「なっ・・・!!」

 

「そんな・・・!」

 

告げられた事実にオペレーターたちの顔は驚愕に包まれる。

 

「小日向さん・・・急いで・・・日和に・・・立花さんに連絡を・・・!」

 

「響さんたちに回線を繋げました!」

 

通信が響の端末と繋がり、未来は響たちに現状を伝えようとする。

 

「響!!学校が・・・リディアンがノイズに襲われてるの!!」

 

バァン!!

 

すると突然司令室の電気が消え、部屋が暗くなる。

 

「なんだ!!?」

 

「本部内からのハッキングです!!」

 

「こちらからの操作を受け付けません!!」

 

「こんなこと・・・了子さんしか・・・」

 

本部内のハッキングという大きなこと、オペレーターたちの対処をブロック・・・それらのことができるのは了子しかいないということを突きつけられ、敵はフィーネ・・・了子であると受け入れざるを得ないオペレーターたち。

 

「・・・う、うぅ・・・」

 

「司令・・・」

 

しばらく時間が経ち、弦十郎が目を覚ました。彼はすぐに現状を確認する。

 

「状況は?」

 

「本部機能のほとんどが制御を受け付けません・・・地上及び、地下施設内も不明です・・・」

 

「・・・そうか・・・」

 

「響・・・」

 

「日和・・・」

 

未来と海恋の気持ちは響と日和の心配でいっぱいになのであった。




海恋の記憶能力

海恋のIQは300以上もある。ただこのIQは自然にできたものではなく、彼女の人の何倍もの努力の積み重ねの結果、そして自身の持つ直観記憶能力のおかげである。直観記憶能力とは、自分が見たもの、聞いたものを写真のように映像で記憶し、普通の記憶と比べて、桁違いの情報量を得ることができる。ただ彼女はこの能力に驕らず、何倍の努力を積み重ね、今のIQを得ている。ゆえに海恋は普通では難しい聖遺物の説明を1回で理解し、推察もかなり鋭い。
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