二課の本部内に、防衛相が武装組織フィーネについての情報を手に入れ、その情報を二課に伝えようと通信が入ってきた。通信モニターにはそばを啜っている食している老人が映っている。彼の名は斯波田賢仁。防衛相に所属している外務省事務次官で、弦十郎のよき理解者である。ちなみ好物は、今啜っているそばである。
「では、自らフィーネと名乗ったテロ組織は、米国政府に所属していた科学者たちによって構成されていると?」
『正しくは、米国聖遺物研究機関、F.I.Sの一部職員が統率を離れ暴走した集団ということらしい』
「ソロモンの杖と共に行方知れずとなり、そして再び現れたウェル博士も、F.I.S所属の研究者の1人・・・」
武装組織フィーネとは、元々は米国聖遺物研究機関F.I.Sに所属していた研究者が異を唱え、組織から離れ、立ち上げた組織らしい。そして。ウェル同様に、ナスターシャも、元はF.I.Sに所属していた異端技術者であったのだ。
『F.I.Sってのは日本政府の情報開示以前より存在しているとのことだ』
「つまり、米国と通謀していた彼女が、フィーネが由来となる研究機関ですか?」
弦十郎のそばにいた緒川がそう質問し、新発田が肯定する。
『出自が、そんなだからな。連中がフィーネの名を冠する道理もあるのかもしれん』
新発田はそばを啜り、咀嚼して言葉を続ける。
『テロ組織には似つかわしくないこれまでの行動。存外、周到に仕組まれているのかもしれないな』
「うーむ・・・」
新発田から提供された情報に弦十郎は唸らせるばかりであった。
~♪~
リディアン音楽院にて、いよいよ秋桜祭が開催された。在校生だけでなく、ここには他校の友人や親などもこの秋桜祭に来ており、大きく賑わっている。そんな中響はただ1人、ぼんやりと秋桜祭を楽しんでいる人たちを見ていた。
「ひーびき」
そんな響に声をかけたのは、彼女にとって陽だまりの存在、未来であった。
「未来?どうしたの?」
「どうしたの?じゃないわよ。もうすぐ日和さんたちの劇が始まる時間よ?」
「ええ!!?もうそんな時間だっけ!!?」
もうすぐ日和たちのクラスの劇が始まる時間と聞いて響はとても驚いている。未来が響の手を握る。
「いこ?きっと楽しいよ」
「うん。ありがとう、未来」
響と未来は日和たちの劇を見に行こうと移動を開始した。
~♪~
日和たちのやる劇は講堂にて行われる。講堂の客席には大勢の人々が集まっていた。その大勢の中に、わざわざ有休をとって秋桜祭に来た咲もいる。
「あ、咲さん!」
そこへ日和の劇を見に来た響と未来がやってきた。
「2人とも、席は空いてるわよ。お隣どうぞ」
「ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えて」
咲のお言葉に甘え、響と未来は咲の隣の席に座る。
「劇、これからですね」
「咲さん、日和さんが何の役をやるか聞いてませんか?」
「さあ・・・あの子、見てのお楽しみって言って教えてくれなかったのよね・・・」
響は日和が何の役をやるかを訪ねたが、咲にも教えていないようで何も知らない様子である。
「お待たせいたしました!オペラ劇、白雪姫、開演です!」
開演時間となり、日和たちのクラスの劇が開演される。まず会場に登場したのは白雪姫役の海恋だった。
「わあ!海恋さんが白雪姫なんだ!」
「すごい・・・きれい・・・」
「ふふ、海恋ちゃん、また一段とかわいくなったわね」
中々にはまり役の海恋に響と未来、咲は大絶賛。周りの人たちも海恋の美しさに見惚れている。白雪姫を見事に演じている海恋は内心では少し照れて恥ずかしい思いをしている。劇は恙なく続き、オペラも取り入れているために、観客たちは劇に新鮮味を感じている。劇は終盤までやってきたが、いつまでたっても日和が出てくる様子はなかった。
「日和さん、まだ出てこないね」
「もしかして・・・日和さんの役って・・・」
「まぁ・・・海恋ちゃんが白雪姫って時点で、なんとなく想像がつくけど・・・」
未来と咲は日和が何の役をやるのかというのが想像がついたようで苦笑を浮かべている。そして、劇は1番の見せ場に突入した。そこでついに、王子役の日和が壇上より登場した。
「えぇっ!!?日和さんが、王子役!!?」
「あぁ・・・やっぱり・・・」
「あの子・・・わかりやすすぎなのよ・・・」
予想的中といったようで未来と咲は少し呆れた様子であったが、響は本当に予想できてなかったようで非常に驚いていた。その間にも劇は見せ場シーン、王子のキスで目覚めるが行われようとしていた。もちろん、キスはフリであるのだが。だがここで問題が発生した。フリであるはずなのに日和が悪ふざけに本気でキスを迫ろうとしていた。
(ちょ、ちょっと!何やってんのよあんた!!フリ!!フリをしなさいって!!)
海恋はそれに気づいて小声でやめるように言ったが、日和は止まらない。裏方にいるクラスメイト達もかを赤くしつつも慌てている。日和の唇はだんだんと海恋に迫ってきて・・・
(やめなさいっての!!)
「いてっ!」
目の前で海恋が日和にデコピンをしてそれを阻止した。少し日和の声がもれてしまったが流れる音楽のおかげか、誰も聞こえておらず、海恋のデコピンも日和の姿勢のおかげで観客には見えていなかった。トラブルはあったものの、何とか劇が終わった。講堂には大きな拍手が送られている。
「あの子、またやらかしたわね・・・まぁ、やるとは思ってたけど・・・」
「でもすごくおもしろかったです!また劇やってほしいなぁ」
咲は日和がやらかしたことを理解しており、非常に呆れている。響は本当に劇が面白かったのか楽しそうに笑っている。
(やっぱり、響にはいつも笑っててほしい・・・。だって、それが1番響らしいもの)
響が笑っている姿に未来は微笑んでいる。
「この後は秋桜祭、カラオケ大会が開催します。出演者の方は、準備の方をお願いします」
「板場さんたちのステージ、まだ時間があるから、少し屋台を見に行かない?」
「行きたい!あ、咲さんは何か欲しいものはありますか?買ってきます!」
「そう?じゃあ・・・アイスコーヒーをお願いできるかしら?」
「アイスコーヒーですね!わかりました!行こ、未来」
「うん」
これから始まろうとしているカラオケ大会。そこに出場する弓美たちのステージ開演までの時間、響と未来は少し屋台を見に講堂を後にする。咲はカラオケ大会の鑑賞をしようとそのまま講堂に残るのであった。
~♪~
劇が無事に終了し、日和と海恋の2人はカラオケ大会の本番の時間になるまで屋台エリアで束の間の休息を楽しむ。しかし、海恋の顔はどことなく怒りが込められる。理由はやはり日和の本気のキスの件だ。
「・・・どうしてあんたが王子に挙手して私に白雪姫を立候補したのか、よーーっくわかったわ・・・!」
「そ、そんなんじゃないって~。ただ、見てる人がもっと盛り上がるようにしただけで・・・」
「だとしても、節度を考えろって言ってんの!あんな大勢の人前で・・・思い出しただけでも恥ずかしい・・・」
どうやら白雪姫は海恋が挙手したわけでなく、日和の推薦で選ばれたものらしい。ちょっとしたハプニングを思い返し、海恋は顔を赤らめる。
「まぁまぁ、無事劇が成功したんだし、よかったじゃん!みんなには怒られたけど・・・」
「そりゃ怒られて当然よ・・・フリって言ってんのに・・・」
やはりクラスメイト達から怒られたようで日和の頭には少したんこぶが1個できていた。
「細かいことは気にしない気にしない!それよりさ、なんか食べようよ。お腹すいちゃった」
「それよりって・・・はぁ・・・私は別に何でもいいけど・・・日和は何がいいの?」
「えっとねー、から揚げでしょ、たこ焼きでしょ?あ、クレープもいいしー・・・あ、でもでも、パンケーキだけは絶対に外せない!それからそれから・・・」
「はいはい、全部ね。本番もあるんだから、ひとまず1か所だけにしなさいよ」
日和は屋台のリストを1個1個上げていって、海恋は全部回りたいというのが理解できた。
「あ!1か所だけならパンケーキ!パンケーキがいい!!」
「わかったわかった。じゃ、行きましょう」
日和はパンケーキは外すつもりがないため、行く場所はパンケーキに決まった。移動を開始して、パンケーキの屋台に到着した。屋台からはパンケーキのおいしそうな匂いが漂ってきている。
「あ、海恋は座って待ってて!私が買ってくるから!ついてきちゃダメだからね!!」
「?わかったわ」
変についてくるなっていう日和の強調が強く、海恋は首を傾げる。日和はパンケーキの屋台に向かっていき、海恋は近くにあったベンチに腰掛ける。しばらく待っていると、屋台から日和が戻ってきた。
「お待たせー!はい、これが海恋の分!」
「ありがと」
「ねね!早く開けてみてよ!驚くと思うから!」
「??驚くって・・・ただのパンケーキでしょ?」
日和に言われて海恋は先にパンケーキが入ったプラスチックの皿の蓋を開けてみた。中身を見て海恋は目を見開いた。入っていたパンケーキはまるでケーキのようにクリームが多く塗ってあり、イチゴもトッピングされ、極めつけはチョコプレート。プレートに書かれていた文字にはこう書かれている。
『誕生日おめでとう!!』
「日和、これ・・・」
「本当はちゃんとしたケーキでサプライズしたかったんだけど・・・部屋一緒だから大きいケーキは用意できなくってさ・・・。だから屋台の子に前もってこんな風にできないかって相談してたの。海恋の心に残る誕生日にしたかったから」
「・・・・・・」
日和の誕生日サプライズに海恋は驚いた様子でパンケーキをじっと見つめる。
「・・・私にとって誕生日は普通の日と何にも変わらないと思ってた。親に祝ってもらったことも、誰かに祝ってもらったことも一度もなかったから。だから去年の誕生日にあんたたちに祝ってもらっても、ただの気まぐれだと思ってた。失礼よね・・・こんなこと思うなんて・・・」
「ううん、私は気にしてないよ。それに、そう思ってたなら、その思いを塗り替えちゃえばいいんだしさ!そのために私は・・・・去年のカラオケ大会で感謝とお祝いを込めて歌ったんだから」
「日和・・・」
去年の誕生日の秋桜祭の日に日和が歌った歌に込められた思いを聞いて、海恋は微笑む。
「・・・いいの?そんなこと言っちゃって。そう言われたら私・・・来年の誕生日も、期待するかもしれないわよ?」
「期待しちゃっていいんだよ!だって、年に一度の誕生日だもん!誰にだって、祝ってもらえる権利があるんだから!」
「日和・・・ありがとう」
海恋は日和に感謝を述べ、パンケーキを1切を切り、それを日和に向ける。
「日和。この後の本番、楽しみましょう」
海恋の意図を理解した日和は普通のパンケーキの蓋を開けて、自分の分のパンケーキの1切れを切り、海恋に向けた。
「もちろん!海恋にとっても、みんなにとっても、最高の学祭にしよう!」
自分のパンケーキの一切れを日和は海恋の口に、海恋は日和の口に運んだ。ほんのり甘いパンケーキを食べながら、日和と海恋は共に笑いあった。
~♪~
秋桜祭の別エリアの屋台も大いに盛り上がりを見せていた。そんな盛り上がっている秋桜祭に、この2人も来ていた。
「楽しいデスなぁ・・・何を食べてもおいしいデスよぉ」
その2人というのは、潜入用のメガネをかけた切歌と調であった。この2人は遊びに来ているわけではないのだが、切歌はそれを忘れているのではないかと疑いたくなるほど満喫していた。
「じぃー・・・」
学祭を楽しんでいる切歌に調はジト目でじーっと彼女を見つめている。
「あぅ・・・なんデスか、調・・・」
切歌と調は場所を変えて、校舎裏の木の裏に身を隠す。
「私達の任務は学祭を全力で満喫することじゃないよ、切ちゃん」
「わ、わかっているデス!これもまた、捜査の一環なのデス!」
「捜査?」
切歌の返答に首を傾げる調に切歌はポケットから学院に入る際にもらったうまいもんMAPを取り出す。
「人間誰しもおいしいものに引き寄せられるものデス!学院内のうまいもんMAPを完成させることが、捜査対象の絞り込みには有効なのデス!」
切歌の言い分に完全に疑っている調はジト目になり、頬を膨らませて詰め寄ってくる。
「心配しないでも大丈夫デス。この身に課せられた使命は、1秒だって忘れていないデス」
少したじたじになったものの、使命を忘れていない切歌は表情を真面目なものに変えた。
~♪~
事の発端は先日のエアキャリアでの話に遡る。
「アジトを押さえられ、ネフィリムの成長に必要な餌・・・聖遺物の欠片もまた、二課の手に落ちてしまったのは事実ですが、本国の研究機関より持ち出したその数も残りわずか・・・遠からず、補給しなければなりませんでした」
「わかっているのなら、対策もまた、考えているということ?」
「対策などと大袈裟なことは考えていませんよ。今時聖遺物の欠片なんて、その辺にごろごろ転がっていますからね」
ウェルが調と切歌の持つギアのペンダントを見てそう口を開いた。
「まさか・・・このペンダントを食べさせるの?」
調が目を見開いてそう言葉にし、フォルテがそれを否定する。
「僕たちのギアをネフィリムに与える・・・それは戦力低下に他ならない。そのような愚策を考えるはずなどない」
「さすがですね。僕の事をよくわかっていらっしゃる」
「誰にでも導き出せる答えだ」
ウェルの皮肉を込めた言葉にフォルテは表情を変えずに淡々と述べる。
「だったら私が、奴らが持っているシンフォギアを・・・」
「それはダメデス!!」
マリアが翼たちのギアを纏めて奪うことを提案したが、それは切歌と調が異を唱えた。
「絶対ダメ!マリアが力を使うたび、フィーネの魂がより強く目覚めてしまう。それは、マリアの魂を塗りつぶしてしまうこと。そんなのは・・・絶対にダメ」
「2人とも・・・」
調の言い分にマリアは申し訳なさそうな表情をし、フォルテは何も言わずにマリアを見て、しばらくして目を閉じ、そして調と切歌に向けて口を開く。
「・・・だとすれば、どうするつもりだ?」
「あたしたちがやるデス!マリアを守るのは、あたしたちの戦いデス!」
この会話が、切歌と調がリディアンに潜入するきっかけとなったのだ。
~♪~
そう息巻いたものの、今現在捜査は見てのとおりで、難航している。
「・・・とは言ったものの・・・どうしたらいいかデス・・・」
切歌が頭を悩ませていると、調は目的対象である翼を発見し、笑顔を浮かべる。
「切ちゃん、鴨葱!」
調はすぐに行動を開始しようとすると、切歌が彼女の腕掴んで止め、引っ張った反動でバランスを崩した彼女を抱きとめる。
「作戦も心の準備もできてないのに、鴨も葱もないデスよ!」
ひとまず切歌と調は翼の後をつけることにした。2人は翼に見つからないように柱に隠れながら後をつける。
「・・・?」
気配を感じ取ったのか翼は後ろを振り返る。切歌と調は慌てて柱に身を引っ込める。
「こっそりギアのペンダントだけ奪うなんて土台無理な話デス」
「だったらいっそ、力づくで・・・」
「落ち着くデス!そんなことしたらまたフォルテに怒られるデスよ⁉」
力づくでギアを奪おうとする調に場所が場所なので切歌が慌てて止める。その間にも翼は先ほどから感じる気配で警戒心を強くさせながら移動する。そうしていると、近くのドアから曲がってきたクリスにぶつかってしまう。
「いってぇ~・・・」
「またしても雪音か。何をそんなに慌てて・・・」
「追われてるんだ!さっきから連中の包囲網が少しづつ狭められて・・・」
どうもクリスはまたしてもクラスメイトたちに追われて逃げているようだ。
「雪音も気づいていたか・・・。先刻より、こちらを監視しているような視線を私も感じていたところだ」
翼が言っているのは調と切歌の事なのだが、完全に食い違いが発生している。しかも2人はそのことに気づいていない。
「気づかれていたデスか・・・」
「見つけた!雪音さん!」
「お願い!登壇まで時間がないの!」
そこに小路、由貴、乙女の3人がやってきた。見つかったクリスは引きつったような顔をしている。
~♪~
講堂では、秋桜祭のカラオケ大会が開かれており、観客たちは参加者たちの歌声を聞いて、大いに盛り上がっている。スポットライトに照らされたステージに出場した弓美、詩織、創世が登壇する。ただ、彼女たちの格好はアニメのコスプレをしている。
「さて!次なるは1年生トリオの挑戦者たち!優勝すれば、生徒会権限の範疇で一つだけ望みがかなえられるのですが・・・彼女たちは果たして、何を望むのか⁉」
「もちろん!アニソン同好会の設立です!あたしの野望も伝説も、全てはそこから始まります!」
どうも弓美にはアニソン同好会なるものをつくりたいようだが・・・こんなことをしなくても普通に申請すれば後は人数と担任を見つければ済む話なのだ。事を大きくしているが、歓声が大きく、盛り上がってるため、結果オーライだ。
「ナイスですわ~。これっぽっちもぶれてませんもの」
「あぁ・・・なんかもうどうにでもなれぇ・・・」
詩織は結構ノリノリの様子だが、創世は羞恥心でもう投げやりの様子である。
「咲さん、ただいま戻りました~」
「ありがとう、2人とも。弓美ちゃんたちのステージ、始まるわよ」
屋台から戻ってきた響と未来は咲がキープしていた席に座り、彼女にアイスコーヒーを手渡す。講堂内では、テレビアニメ、電光刑事バンの主題歌のましいイントロが流れ、弓美たちが歌う。歌は盛り上がりを見せ、これからサビに突入・・・
カーンッ
不合格を言い渡す鐘が鳴った。弓美の野望、叶わず。
「えー!!まだフルコーラス歌ってない・・・二番の歌詞が泣けるのにぃ~!!なぁんでぇ~!!」
最後まで歌わせてもらえず、弓美は項垂れて落ち込み、会場は笑いに包まれる。響たちもおかしくなって笑いが止まらなかった。その後も参加者は歌を歌い、カラオケ大会は大きく盛り上がった。
「お待たせいたしました!次なるは大本命中の大本命!!前回のカラオケ大会で、素敵な歌声を届けたチャンピオン!今回はパートナーを引き連れての参加です!!今年もチャンピオンの座を狙いに来たか!!それでは、登場していただきましょう!!」
司会の声に合わせて、前カラオケ大会のチャンピオンが会場に入場する。
「前回チャンピオン、二回生コンビ、東雲日和&西園寺海恋です!!」
『わあああああああああ!!!』
「待ってましたー!!日和さーん!!海恋さーん!!」
チャンピオンである日和と、そのパートナーである海恋の登場により、観客は大きな歓声を上げた。日和と海恋が観客に手を振り終えると、今回歌う曲が流れ始めた。明るいメロディが流れ、日和と海恋はデュエットで踊りながら歌いだす。
「「~♪~~♪」」
日和のかっこいい声質と普段の海恋からは聞けない海恋のかわいらしい声質が重なり合い、絶妙なハーモニーに観客は大興奮だ。響と未来も目を輝かせており、咲も感慨深そうに微笑み、2人を見守っている。
(海恋と一緒に歌えることで、より一層の高ぶりを感じる!やっぱり歌は最高・・・!気持ちいい!)
(私がこうして歌に専念できるのは、日和のおかげ。みんなのおかげ。今日という日に、私の気持ちを乗せて歌えるのが、最高に心地が良い!)
2人は無事に全て歌いきることができた。観客はとても興奮しており、大歓声が上がっている。全力を出し切った日和と海恋はハイタッチを交わし、観客に手を振りながら会場の裏へ退場する。
「さて!次なる挑戦者の登場です!」
会場裏に移動した日和と海恋はそこにいた次なる参加者に顔を向け、笑みを浮かべる。
「ほら、次はあなたの番よ」
「ほらほら、行った行ったぁ!」
「うわっ!!?」
海恋と日和は次の参加者の背中を押して、壇上へと入場させた。入場した人物を見て、観客席の響たちは驚く。
「響、あれって!」
「うそぉ⁉」
「雪音だ」
響たちが驚く中、翼は3人の隣に座る。
「東雲と同じく、私立リディアン音楽院。2回生の雪音クリスだ」
ステージに入場した人物、クリスは恥ずかしさで頬を赤くしている。美しいイントロが流れ、歌唱パートに入ったが、クリスは緊張で歌えてない。それには会場はどよめく。
「クリスちゃん・・・!」
クリスは会場裏にいる同級生たちをチラ見する。
「クリス、頑張れー!」
日和を含めた2年生グループはクリスを応援している。応援を無下にするわけにはいかず、クリスは歌い始める。クリスは歌っている最中、これまでの学校生活を思い出す。編入してからというもの、クリスは誰にも関わらないようにクラスメイト達から避けていた。しかし、そんなクリスに日和と海恋は今日までずっと彼女に寄り添ってきた。断られても、日和と海恋は寄り添い続けた。そんな2人に感化され、他のクラスメイト達も、クリスを寄り添うようになり、クリスの学校生活は、明るいものとなった。
~♪~
そもそもなぜクリスがカラオケ大会に参加することになったのかは、3人に頼まれたからである。
「いったいどうしたんだ?」
「勝ち抜きステージで、雪音さんに歌ってほしいんです!」
「だからなんであたしが!!」
「だって雪音さん、ひよりんと同じくらい楽しそうに歌ってたから!」
小路に言われた言葉にクリスは驚いたように目を見開く。
「・・・雪音は歌、嫌いなのか?」
「あ・・・あたしは・・・」
翼にかけられた言葉にクリスは頬を赤くした。結局クリスは断り切れずに、カラオケ大会の勝ち抜きステージに出場することになったのだ。
~♪~
クリスが歌いながら頭に思い浮かべるのは、仲間である翼、響、未来・・・クラスメイトの小路、由貴、乙女・・・そして、ずっとそばに一緒にいてくれたかけがえのない友である、日和と海恋。みんながいたから、クリスは今こうして、ここにいる。
(楽しいな・・・あたし、こんなに楽しく歌を歌えるんだ・・・)
日和は常に歌は楽しいって言っていた。最初はクリスは理解できなかったが、今なら理解できる。歌を歌うことが楽しいことだと。嫌いだと思っていたものが、本当は大好きなんだと。それに気づかせてくれたかけがえのない相棒に、クリスは心の中で感謝している。
(そっか・・・ここはきっと、あたしがいてもいいところなんだ・・・)
歌が終わり、クリスは礼をする。素敵な歌声に観客はクリスに大きな拍手を送る。この後の判定が出た。結果は・・・なんと、日和と海恋との1点差でクリスがチャンピオンに輝いた。これには日和が悔しがっていたが、それ以上に楽しませてもらったためにクリスに手を差し伸べる。照れたクリスは差し出された手を戸惑いつつも、握り返す。新チャンピオンと前回チャンピオンの友情の握手に観客たちは大きな拍手を送った。
「勝ち抜きステージ、新チャンピオン誕生!さあ!次なる挑戦者は⁉飛び入りも大歓迎ですよ~!」
ただでさえ日和と海恋の歌、さらにクリスの歌も素晴らしかったのだから名乗りを上げるものはいないだろうと思っていた時・・・
「やるデス!!」
ここで名乗りを上げた人物たちに観客たちは驚きの声を上げる。名乗りを上げた人物を見て、クリスは驚愕する。いや、二課の装者たちも驚いているだろう。
「チャンピオンに」
「挑戦デス!!」
名乗りを上げた人物とは、二課と敵対関係にある調と切歌だった。
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フォルテ・トワイライトだ。よろしく頼む。
基本ボイス2
何か用か?
基本ボイス3
戦場では気を抜けば死ぬ・・・そうならないよう常に気を配るんだ。
基本ボイス4
力は愛と答えたらマリアがなぜそこで愛と言われたのだが・・・変なことを言ったか?