ある日の休日、日和は本日は休みである咲からの外食の誘いを受けて、海恋とクリスを誘い、3人と共にファミリーレストラン、イルズベイルで昼食をとっている。
「んー、おいしい。たまには外食もいいわね」
各々が注文した料理を食べているが、海恋は3人の食べ方がかなり気になっている。
「・・・日和!スープを直接口につけない!音も出さない!マナー違反よ!」
「んぐ・・・こんなとこでも説教~?」
「咲さんも!お肉を切る時はカチャカチャ音を立てないでください!」
「あらら・・・ごめんなさいね、つい・・・」
「クリスに至っては論外!食べ方が汚すぎ!ソースがこっちにまで飛んできてるのよ!」
「あ?あぁ、わりぃ」
海恋からのテーブルマナーを指摘されて、3人は少し反省している。
「まったく・・・テーブルマナーができてなきゃ、世間に・・・」
「そ、それにしても2人は日和と本当に仲がいいわね」
咲は海恋の小言を逸らすように話題を無理やり変えてきた。
「あ、あたしは別に・・・」
「あの、咲さん?誤魔化そうとしてませんか?」
クリスは少し照れたように頬を朱に染め、話題を変えられて海恋は咲をジト目で見つめる。
「そ、そんなことないわよ?ただ、何というかその、あなたたちの仲を見て、平和だなぁって思っただけだから・・・」
「咲さん?」
「・・・すみません・・・」
「平和・・・か・・・」
苦笑交じりで放った咲の平和という単語に日和は食事の手を止める。
「だいたい咲さんは・・・て、日和?どうしたのよ?」
「・・・ねぇお姉ちゃん・・・平和って、何なんだろう?」
「?何その質問?」
突然の日和の質問に咲は首を傾げる。日和の質問にクリスが脳裏に浮かばせるのは、フォルテの放った言葉だ。
『月の落下により失われゆく命を可能な限り救い、その先にある真なる平和・・・それを築き上げることだ』
(あいつは、真なる平和が欲しいみたいなことを言ってた・・・ありゃどういう意味だ・・・?)
クリスもフォルテの言う真なる平和が気になるようで、多少のヒントでもと思い、咲にとっての平和の価値観について耳を傾ける。
「あー、いや、その・・・ね?たまーに考えるの。平和ってなんだろーって。それって、争いがないことだけが平和なのかなーって」
「そうねぇ・・・世界全部が平和・・・てわけでもないしね・・・。実際に日本でも犯罪が起きてるし」
「そうだよねぇ・・・」
「・・・でも、あえて言わせてもらうとしたら・・・」
「もらうとしたら・・・?」
「誰かと一緒に幸せになるところとか、誰かがお家に帰れるようになるとか、そういう何気ない日常が、私にとっての平和なんだと思うわ」
「何気ない日常・・・」
「何の変哲もない日常を守るために、人の命を守る医者は必要なんだと、私は考えてるわ」
咲の平和の価値観を聞いて、日和はいかにも咲らしいと考える。
「そっか・・・そうだよね。ありがとう、お姉ちゃん」
日和は咲にお礼を言って再び食事を再開しつつ、フォルテの真意について考える。
(人によって平和の価値観はやっぱり違うんだ・・・。じゃあフォルテさんにとっての平和は?その真なる平和がフォルテさんの平和なの?それが実現できたとして・・・フォルテさんは・・・本当に幸せになれるの・・・?)
日和はよく考えるが、まったく答えが出ず、彼女はもやもやを払うことができなかった。
~♪~
一方その頃、東京スカイタワー。このスカイタワーの上階には会議室が存在しており、ナスターシャはそこへ向かっており、彼女の護衛のためにマリアとフォルテがついてきている。彼女の車椅子を押しているマリアは彼女に言われた言葉を思い返す。
『あなたにこれ以上、新生フィーネを演じてもらう必要はありません』
マリアはそのことを考えているのだが、どうしても答えが出てこない。彼女の真意を少なからず理解してるフォルテにマリアはそのことについて訪ねる。
「ねぇフォルテ・・・マムのあの言葉は、どういう・・・」
マリアの問いかけに、フォルテは表情を変えずに答える。
「言葉通りの意味だ。僕たちのしてきたことは、ただのテロリストの真似事にすぎない。僕たちが今真にやるべきことは、月が齎す災厄の被害を抑えること。違うかい?」
「・・・つまり、今の私たちでは世界を救えないと?」
「・・・・・・」
マリアとフォルテが話している間にも、目的地である会議室に到着した。そこで待っていたのは、複数人の黒服の男たちであった。
「マム、これは・・・?」
「米国政府のエージェントです。講和を持ちかけるため、私が招集しました」
「講和を・・・結ぶつもりなの?」
「ドクターウェルには通達済みです」
この黒服の男たちは米国政府のエージェントで、どうやらナスターシャは米国政府と講和を結ぶために彼らを呼んだようだ。何も知らされていないマリアはただ驚愕するばかりであった。事前に講和の話を聞かされていたフォルテはナスターシャに耳打ちをする。
(先日も言ったが、あまり期待はしない方がいい。いざとなれば、武力行使もやむを得ない)
「・・・そうならないことを祈っております」
米国政府にたいしてあまりいい印象を持っていないフォルテは万が一にはエージェントを殺すつもりでいる。それを理解しているナスターシャはこれ以上フォルテに血で染まらないようにしたいと心から願っており、講和がうまくいくように祈っている。
「さあ、これからの大切な話をしましょう」
ナスターシャはこれからのために米国政府のエージェントとの講和を結ぶための話し合いを始める。マリアとフォルテは彼女の後ろでその成り行きを見守る。
~♪~
同じくスカイタワーにある水族館エリア。響は未来からの誘いでこのスカイタワーに遊びに来ていたのだが、響の顔はどこか心ここにあらずといった様子である。そんな状態で脳裏に浮かぶのは、翼の言葉だ。
『このままで死ぬんだぞ!!?立花!!!!』
(死ぬ・・・戦えば死ぬ・・・考えてみれば当たり前のこと・・・でもいつか、感覚が麻痺してしまって・・・それはとても遠い事だと錯覚していた・・・)
響が振り返るのは、これまで戦ってきた自分自身だ。
(戦えない私って、誰からも必要とされない私なのかな・・・)
響が考え込んでいると、彼女の首筋に冷たい缶ジュースを未来に当てられた。
「うひゃあああ!!?」
それには当然素っ頓狂な声を上げる響。その声で周りの観客は響たちに注目している。
「大きな声出さないで」
「だだだだ、だってぇ、こんなことされたら誰だって声が出ちゃうって・・・」
「響が悪いんだからね」
「え?私?」
「だって、せっかく2人で遊びに来たのに、ずっとつまらなさそうにしてるから・・・」
「あ・・・ごめん・・・」
未来の不機嫌そうな顔でそう言われ、響は申し訳なさそうに謝っている。
「心配しないで~。今日は久しぶりのデートだもの~。楽しくないはずがないよ♪」
「響・・・」
響自身お出かけは楽しんでいるのは嘘ではないようだが、響のガングニールの浸食について知っている未来はとても心配そうにしている。
「デートの続きだよ♪せっかくのスカイタワー、まるごと楽しまなきゃ!」
心配する未来をよそに響は未来を連れてスカイタワーの次のフロアへと向かっていった。
~♪~
エアキャリアにて、調と切歌は留守番をしている。調が昼食の準備をしている中、切歌は木にもたれかかって考え事をしている。
(リインカーネイション・・・もしもあたしに、フィーネの魂が宿っているのなら・・・あたしの魂は、消えてしまうのデスか・・・?)
無意識に使ったと思われるあの障壁が、フィーネの力なのだとしたら、フィーネの魂は自分に宿っている。そう考えるようになった切歌は自分の魂が消えてしまわないか不安に駆られている。そこまで考えると切歌はあることに気が付く。
(ちょっと待つデス!あたしがフィーネの魂の器なのだとすると、マリアがフィーネというのは・・・)
真実に勘づき始めた切歌はもう1つあることに気が付いた。
(そういえば・・・あたしたちがフィーネの話をするたびに、フォルテはマリアをじっと見ていたデス。まさか・・・フォルテは最初から気づいてて・・・?)
不安材料が次から次へと浮かび上がってくる切歌の元に調が近づいてきた。
「切ちゃん、ご飯の支度できたよ」
切歌は調に気遣われないように明るく振る舞おうとする。
「あ、ありがとデス!何を作ってくれたデスか?」
「フォルテの大好物、298円」
「ごちそうデース!!」
調の言っている、298円でフォルテの大好物というのは、日本で売っているカップラーメンのことである。
「ドクターは何かの任務?見当たらないけど」
調がそういう質問をしているのは、ウェルがどこにもいないからである。大方どこかに出かけているのだろうが、元々嫌われているのだ。どこに行ったかなど、切歌には興味がない。
「知らないデス。気にもならないデス。あいつの顔を見ないうちに、さっさとご飯にするデスよ!」
切歌はそう言ってエアキャリアへと戻っていく。調もエアキャリアに戻り、切歌と共に昼食にありつくのであった。
~♪~
スカイタワーの会議室、ナスターシャと米国エージェントの講話交渉は今のところは問題なく進み、マリアが講和の必要材料である異端技術のデータチップをエージェントに渡した。
「異端技術に関する情報、確かに受け取りました」
「取扱いに関しては私が教授します。つきましては・・・」
カチャッ!
ナスターシャが取り扱いについての話をしようとした時、エージェントたちがマリアたちに向けて拳銃を向けてきた。
バン!!バン!!バン!!
「「「ぐおっ!!?」」」
それと同時にフォルテが拳銃を取り出して、エージェントが銃を撃つより早く、エージェントたちの拳銃に向けて撃ち放った。それによってエージェント全員の銃が地面に落ちてしまう。そしてフォルテはすぐにエージェントに向けて銃を向ける。
「フォルテ!!?」
「動くな。君たちが動くより先に、躊躇なく弾丸を撃ち込む」
フォルテの手によって、下手に動くことができなくなってしまうエージェントたち。
「き、貴様・・・なぜわかった・・・⁉」
「僕は端から君たちのことは信用していない。大方、必要とするものを手に入れ、僕たちを始末するつもりだったのだろう。君たちが考えそうなことだ」
「・・・では初めから取引に応じるつもりはなかったのですね」
「くっ・・・!!」
警戒心が高いフォルテに計画を看破され、圧倒的不利に陥ったエージェントたちは歯ぎしりを立てる。そして、それに追い打ちをかけるようなことが発生する。
「!!?ノイズ!!?」
「何っ?」
スカイタワーの周りに突然飛行型ノイズが現れたのだ。この事態はフォルテの計算には入っていない。これはウェルの独断によるものだ。ノイズは窓を透き通って、エージェントたちを押し倒して、彼らを炭に変えて自分事消滅した。他にも、カエル型やヒューマノイド型も天井より透き通って現れて、エージェントを襲った。
「ちっ・・・ドクターめ・・・どこまでも勝手なことばかり・・・」
フォルテは忌々しく思いながら、マリアと共に詠唱を唄う。
Ragnarok Dear Mistilteinn tron……
Granzizel Bilfen Gungnir Zizzl……
シンフォギアを纏ったフォルテは大剣を分離して双剣に変形させ、現れたノイズを斬撃で次々と殲滅する。マリアも槍でノイズを薙ぎ払い、部屋にいたノイズを殲滅させる。
ドカーーン!!!
その過程で爆発が生じ、会議室のドアが破壊された。
~♪~
上階にある爆発音は響たちがいる階にも響き渡った。当然観客は何事かと思いざわつきだす。
「何・・・?」
響と未来も何事かと思っていると、外に飛行型ノイズが飛び回っている姿を目撃する。
「あれ、ノイズじゃないか⁉逃げるぞ!!」
『うわあああああ!!』
観客もノイズを見た途端にノイズから逃げようと動き出す。響は戦うために動き出そうとした。しかしそれは未来に手を引っ張られて止められる。
「行っちゃダメ!行かないで!」
「未来⁉だけど行かなきゃ!」
「この手は離さない!響を戦わせたくない!遠くに行ってほしくない!」
響の命を守るために、響を遠くへ行かせないために未来は響に必死に訴える。
「お母さんどこぉ~・・・?お母さん怖いよぉ~・・・」
この混乱の中で、母親とはぐれてしまった子供の泣き声が聞こえてきた。それを見て放っておくなど、響にはできない。
「胸のガングニールを使わなきゃ・・・大丈夫なんだ!このままじゃ・・・!」
「響・・・」
響は未来の手を放し、子供を助けようと駆けつける。未来はそんな響についていく。
~♪~
爆発が晴れ、フォルテはエージェントが残した異端技術のデータチップを足で踏みつけ、粉々になるまで砕く。
「マリア!マムを!」
「ええ!」
フォルテはナスターシャを守るために先陣を切る。マリアはナスターシャを抱きかかえ、フォルテの後をついていく。フォルテたちの行く先にノイズが出現する。
「邪魔だ!どけ!」
フォルテは出現したノイズを双剣で切り裂いていく。ところどころに爆発が鳴り響く中、フォルテたちは先へ進んでいく。すると、エレベーターから米国の特殊部隊が現れ、彼女たちに向けてライフルを放つ。マリアはマントで銃弾を防ぎ、フォルテは双剣を大剣に戻し、それを盾代わりにして前に進む。
「フォルテ!彼らは殺さぬようにお願いします!」
「・・・了解した」
フォルテは一瞬特殊部隊を殺そうとしたが、ナスターシャの指示によって殺気を引っ込めた。そして彼女は特殊部隊を殺さぬように大剣を振るって複数人の特殊部隊を吹っ飛ばした。さらに彼女は残りの特殊部隊を蹴り飛ばし、そして残った1人をかかと落としで気絶させる。
「2人とも、待ち伏せを避けるため、上の階からの脱出を試みましょう」
ナスターシャの指示に従い、フォルテは階段に通じる扉を蹴とばし、上の階へと向かっていく。マリアも彼女の後を追うようについていく。だが上の階にも特殊部隊が待ち構えており、マリアたちに向けてライフルを発砲する。フォルテは大剣を盾にして、マリアはマントで銃弾を防ぐ。
「うわぁ!!!」
「!!!!」
逃げ出していた一般人がいたにも関わらず、特殊部隊はお構いなしに発砲し、一般人は巻き込まれてマリアたちの目の前で命を落とした。マリアはマントを操って特殊部隊を叩きつけて気絶させた。目の前の命を守れなかったマリアは犠牲になった彼らを見て愕然とする。
「マリア・・・」
「落ち込んでいる暇はない!また来たぞ!」
フォルテの言うとおり、マリアが愕然としている間にも、新たな特殊部隊が現れ、ライフルを構えている。
「・・・私のせいだ・・・。全ては、フィーネを背負いきれなかった、私のせいだああああああ!!!」
マリアは咆哮を上げて、マントを操って特殊部隊に打撃を放つ。数名の特殊部隊は躱したが、1人は直撃を食らう。マントによって視線が逸れた特殊部隊の隙を狙い、フォルテは2人の特殊部隊を蹴とばした。
「あああああああ!!!」
さらにマリアは残った特殊部隊を槍で叩きのめした。刺し貫いたわけではないため、特殊部隊は死んではいない。しかし、マリアが持つ槍には返り血が付いている。マリアは涙を目元にため、唇をかみしめ、命を守ることができなかった悔しさから身体が震えていた。
~♪~
この大混乱の中、響と未来は迷子の子供と共に避難経路の階段へと歩いていく。
「ほらほら、男の子が泣いてちゃみっともないよ?」
「みんなと一緒に避難すればお母さんにもきっと会えるから大丈夫だよ」
泣いている子供をなだめながら階段までたどり着いた響と未来。そこへスカイタワーのスタッフが現れた。
「大丈夫ですか⁉早くこっちへ!あなたたちも急いで!」
スタッフは迷子の子供を抱きかかえ、2人に避難を促して避難経路を進んでいく。2人も急いで先へ進もうとした時・・・
ドカーンッ!!
飛行型ノイズが上階に突っ込んできて、その衝撃で上階が爆発する。爆発で天井が崩れてきて、響に向かって落下する。
「危ない!!」
「うわっ⁉」
未来は響を守ろうとして彼女の背中を突き飛ばし、勢いのまま自分も倒れこんだ。これによって落ちてきた天井に直撃せずに済んだ。
「ありがとう、未来・・・」
「うん・・・。あのね、響・・・」
ゴゴゴゴゴッ!
「うぁっ!!?」
突如として展望台が崩落する揺れでバランスが崩れる。2人がいる足場は展望台が崩落したことによって跳ね上がった。
「うわわっ!!?」
「響ぃ!!!」
その反動で響は後ろによろめき、何もない空中に放り出されてしまい、落ちようとしていた。未来はとっさに響の手を掴み、何とか彼女は落ちずに済んだ。とはいえ、早く引き上げなければ、落ちるのも時間の問題だ。
~♪~
自分たちを始末しに来た特殊部隊は全て気絶させたマリアとフォルテ。フォルテは息は乱れてはいないが、マリアは息を整えている。廊下には特殊部隊の血がべったりとついており、近くにいた一般人はこの惨状を作ったであろうマリアとフォルテに恐怖している。
「嫌ぁ!助けて・・・助けてぇ!」
「うろたえるな!!」
「ひぃ!!」
マリアは恐怖する一般人に発破をかける。
「命は取らない。早く行け」
「「「は、はいぃ!!」」」
フォルテは早く逃げるように促し、一般人は2人から逃げるようにこの場から離れる。うろたえるな・・・この言葉にマリアが思い浮かべるのは、クイーン・オブ・ミュージックで自分が発した同じ言葉だ。
(あの言葉は・・・他の誰でもない・・・私に向けて叫んだ言葉だ!)
「マリア・・・」
フォルテは大剣を背に背負い、ナスターシャを守るように彼女を抱きかかえる。
「もう迷わない!!一気に駆け抜ける!!」
マリアは槍を天井に掲げ、回転させる。さらにマントも回転させ、彼女はドリルのように天井へ突っ込んでいく。フォルテはナスターシャを抱え、マリアがつくった穴に向かって飛び、彼女についていった。
~♪~
響の窮地は未だに続いている。引き上げようにも、今の未来は響を支える力と、自分が落ちないようにするために踏ん張っているために、これが精いっぱいだった。仮に落ちても、響がシンフォギアを纏えば何とかなるのだが、そうするとガングニールの浸食が進んでしまう。未来はそれだけは何としてでも阻止したいのだ。
「未来!ここは長く持たない!手を放して!!」
「ダメ!!私が響を守らなきゃ!!」
「未来・・・」
響を守りたい、未来にはその思いが強い。しかし、それと同じように、響も未来を守りたい気持ちが強い。
「・・・いつか・・・本当に私が困った時・・・未来に助けてもらうから・・・。今日はもう少しだけ、私に頑張らせて・・・」
響はあえて自分の力を抜いていく。シンフォギアを纏うつもりなのだ。そうさせたくない未来は響の手を強く握りしめる。未来の目からは涙がこぼれている。
「私だって・・・守りたいのに・・・」
響は力を緩め、未来の掴む手から手を放した。それによって、響は重力に従って落下していく。
「響ぃーーーっ!!!」
Balwisyall Nescell Gungnir tron……
地に向かって落下していく響はシンフォギアを身に纏い、きれいに着地する。着地の衝撃で地面が砕け、沈み込み、響のギアは負荷を軽減する蒸気が放出された。
「未来!今行く!!」
響は未来を助けようとスカイタワーを見上げる。しかし・・・
ドカーーンッ!!!
未来がいた階に大爆発が起き、そのフロアは吹き飛び、黒煙が立ち上る。
「未来ううううううううううううう!!!!!」
響の絶叫が辺りに響き渡った。
海恋の家
海恋の父親は有名企業の社長で母はお嬢様学校の教師をやっている。そう言ったことから西園寺家はお金持ちで海恋は社長令嬢ということになっている。家の方針も厳しく、付き合う人間も見合った相手でないとダメらしく、子供らしい遊びというもの海恋は教わってこなかった。小学校も中学校も親に決められた学校に通っていた。不満を抱いていた海恋に転機が訪れたのはやはり日和と出会ってからである。日和と出会ってから海恋は親には内緒で日和たちと仲良く遊んだりし、最終的には親を見返すために、子供の頃の夢を叶えるために親の反対を押し切って日和と同じリディアンに通うことを選んだ。これが海恋にとっての反抗期ともいえるかもしれない。ちなみに、リディアンの三者面談が行われる時は、執事のじいやに来てもらっている。