戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

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アニメでのこの回で面白いところは、やっぱり気分転換という名の特訓シーンですかねw


英雄故事

二課の仮設本部の潜水艦、装者たちは弦十郎に呼び出され、ブリッジに集まっている。ブリッジにはすでに日和と海恋がおり、海恋は響に壊れた二課の通信端末を渡す。

 

「これは・・・?」

 

「スカイタワーの少し離れた河川敷で見つけた小日向さんの通信端末よ」

 

弦十郎はモニターを使って響にとても重大なことを告げる。

 

「発信記録を追跡した結果、破損されるまでの数分間、ほぼ一定の速度で移動していたことが判明した」

 

「え・・・?」

 

「海恋君の推測通り、未来君は死んじゃいない。何者かによって連れ出され、拉致されていると見るのが妥当のところだな」

 

未来は生きている・・・。その事実を聞いて、響の翳りは消え、希望が見え始めた。

 

「師匠、それってつまり・・・!」

 

「こんなところで呆けてる場合じゃないってことだろうよ!」

 

弦十郎はそう言って、響の頭を撫でる。

 

「さて、気分転換に身体を動かしに行くぞ!」

 

「はい!!」

 

弦十郎の言葉に元気に返事をする響。

 

こうして始まった気分転換という名の特訓。5人はジャージに着替えて海岸沿いをランニングする。先頭を走る。弦十郎は伝説となっているアクション俳優が出演し、歌った映画の主題歌を歌いながら走る。弦十郎の後ろを装者4人が走っているが、クリスだけが息をあげている。

 

「何でオッサンが歌ってんだよ⁉てかそもそもこれ何の歌だ⁉大丈夫か⁉」

 

「ほらほらクリス、もう少し頑張って!奥で海恋が待ってるよ!」

 

「たく・・・慣れたもんだなぁ・・・」

 

弦十郎の後ろを装者4人が走っているが、クリスだけが息をあげている。

 

(そうだ!俯いてちゃダメだ!私が未来を助けるんだ!)

 

響は未来を助けるという思いで気合が増していき、弦十郎と並行して走りながら、共に歌う。

 

この後の特訓もかなり厳しいものだ。逆さの状態で足に棒を引っ掛け、壺の水をお猪口で汲み、腹筋しつつ樽に水を入れる特訓、縄跳び、空気椅子で腕をまっすぐ伸ばし、腕や太腿、頭の上に先程のお猪口を乗せ姿勢を保つ特訓などと様々な種類がある。気分転換を大きく超えた特訓を響はめげずに気合で、翼は冷静にこなした。日和は音を上げる特訓がいくつかありつつも、全て乗り越え、クリスも音をあげつつも何とかやりきる。

 

(どいつもこいつもご陽気で、あたしみたいなやつの居場所にしては、ここは暖かすぎんだよ・・・)

 

特訓の中、クリスはそんなことを心で呟いた。

 

~♪~

 

エアキャリア内の後部、フォルテは監視するように腕組んで牢を見張っている。牢の中にいるのは、スカイタワーの爆発に巻き込まれたと思われる未来であった。

 

「~♪」

 

フォルテはセレナとの思い出の歌、Appleを歌っている。美しい歌声に未来は思わず聞き惚れている。

 

「・・・何を見ている?」

 

視線に気づいているフォルテは未来に視線を向ける。

 

「いえ・・・。ありがとうございました・・・」

 

「礼ならマリアに言え。君を助けたのは彼女だからな」

 

未来はフォルテにお礼を言っているが、礼を言われる筋合いはないと言わんばかりにフォルテはそう言い放つ。実はスカイタワーの脱出の最中、マリアとフォルテは、偶然にも響と手を放してしまったばかりの未来と遭遇したのだ。マリアはその時の未来の姿がセレナと重なり、スカイタワーが爆発する前に彼女を助けたのだ。それが、爆発の前に起きた出来事だ。

 

「・・・マリアさんは、どうして私を助けてくれたのですか?」

 

「そんなことは知らん。だが心当たりはある。君は、あの時のセレナと、あまりにも似すぎている」

 

「セレナ?」

 

「亡くなってしまったマリアの妹・・・僕の・・・最愛の友だった・・・」

 

未来の問いかけに答えるフォルテの顔は、どこ悲しそうな顔をしている。未来は聞いちゃまずかったと思い、思わず謝罪する。

 

「・・・ごめんなさい・・・」

 

「・・・君には、親友と呼べる友はいるか?」

 

「・・・はい・・・」

 

「・・・そうか・・・。すまなかった・・・」

 

フォルテの問いかけに未来は答え、親友と離れさせてしまったことに対し、彼女は未来に謝罪をする。そこへマリアが車両に入室してきた。

 

「彼女の様子はどう?」

 

「見ての通りだ。少し、友の話をしていた」

 

「・・・そう・・・」

 

マリアはフォルテとセレナが互いに親友と呼べるぐらいに仲が良かったことは知っている。そんなフォルテの心情を察して、マリアは少し申し訳なさそうに顔を俯かせる。

 

「で、何の用だ?」

 

「私がというより・・・ドクターがね」

 

「お話は終わりましたか?」

 

フォルテとマリアの会話を割って入るようにウェルが入室してきた。ウェルを見た未来は不安そうな表情をしている。

 

「この子を助けたのは私だけれど、ここまで連行するように指示したのはあなたよ。いったい何のために?」

 

「もちろん、今後の計画遂行の一環ですよ」

 

ウェルは牢に近づき、未来と対面する。未来はウェルを警戒している。

 

「そんなに警戒しないでください。今度は私とお話しませんか?きっとあなたの力になってあげられますよ」

 

ウェルは未来にたいして優しい微笑みを見せている。だがその微笑みは・・・ペテン師が見せるそれと同じだ。

 

~♪~

 

エアキャリアの外で、調と切歌は洗濯を取り組んでいる。そんな中切歌は不安な気持ちでいっぱいになっている。

 

(マリアがフィーネでないのなら、きっとあたしの中に・・・。怖いデスよ・・・)

 

自身が張ったと思われるエネルギーの障壁・・・そして、マリアがフィーネでないこと。それらのことから切歌は、自分こそフィーネの魂が宿っていると確信しているのだ。だからこそ、自分の意識がフィーネに塗りつぶされないか不安になっている。

 

「マリア、どうしちゃったんだろう・・・?」

 

「え?」

 

調の発した言葉で切歌は彼女に視線を向ける。

 

「私は、マリアだからお手伝いがしたかった・・・フィーネだからじゃないよ・・・」

 

「う、うん。そうデスとも・・・」

 

「身寄りがなくて、泣いてばかりの私たちに、優しくしてくれたマリア・・・弱い人たちの味方だったマリア・・・。なのに・・・」

 

寂しそうな表情をする調が思い浮かべるのは、マリアなら言わないはずであった言葉であった。

 

『全ては力。力を持って貫かなければ、正義を成すことなんてできやしない!』

 

マリアはとても優しい。そんな優しい彼女だからこそ、調は彼女を姉のような存在として慕ってきた。そのマリアが、力で世界を掌握し、ねじ伏せようとするやり方を選んだ。調は、それが信じられないし、賛成もできない。

 

「フォルテだってそう・・・。昔は軍人だとか、反乱軍だとか、そんなの関係ない・・・。フォルテはいつも私たちを励ましたり、間違ってたら怒ったりしてくれて、マリアとは違った優しさがあった・・・。そんなフォルテだから、私はフォルテを尊敬してる・・・」

 

「そ、それはあたしだってそうデス・・・」

 

マリアとは違う優しさを持ち、調たちといつもまっすぐに向き合い、勇気を与えてくれるフォルテを、調と切歌はマリアと同じように慕っている。昔は反乱軍に所属して、何人の人間を殺してきたと言われても、それだけは変わらない。そう思えるのは、フォルテの優しさに触れているからだ。

 

「でも、セレナが亡くなって・・・フォルテは変わっちゃった・・・」

 

セレナが亡くなり、フォルテが無表情になったこと、人を殺すことに対し抵抗がなくなったこと・・・。冷酷に変わり果てたフォルテに調は寂しそうな表情で目を閉じる。フォルテが変わった・・・その話題に切歌はフィーネに意識が塗りつぶされ、自分も変わってしまうのではないかという不安の思考が再びよぎる。

 

「・・・調は怖くないデスか?」

 

切歌が別の話題に切り替えてきて、調は切歌に顔を向ける。

 

「マリアがフィーネでないのなら、その魂の器として集められた、あたしたちがフィーネになってしまうかもしれないんデスよ?」

 

フィーネに塗りつぶされ、フォルテのように変わってしまうことを恐れている切歌。

 

「・・・よく・・・わからないよ・・・」

 

「それだけ!!?」

 

調の回答に驚愕する切歌。

 

「・・・どうしたの?」

 

「・・・っ」

 

切歌の驚愕の声に調は彼女に首を傾げる。切歌は逃げ出すようにエアキャリアに戻っていった。

 

「切ちゃん⁉」

 

調は切歌がどうしたのかわからず、彼女の背を見送るしかなかった。見えないながらにも、2人の友情に亀裂が入り始めている。

 

~♪~

 

二課の潜水艦のブリッジ、特訓で帰還した装者たちは用意された部屋で休息をとっている。装者たちが特訓している中、海恋は今回ばかりは何もしないわけにはいかず、無理を通して一時的に二課のオペレーターとなり、実践研修を行っている。本来ならもっと経験を積まねばいけないのだが、海恋の持ち前の記憶力ならば問題ないとし、オペレーターの席に座らせている。装者たちが休んでいる間にも、海恋は今も研修を続けている。そこへ、海恋の様子を見に来た日和が入ってきた。

 

「・・・ねぇ、海恋・・・」

 

「何も言わないで」

 

海恋を心配する日和だが、海恋はキーボードを操作しながら日和の言葉を遮った。

 

「あなたたちが頑張ってるのに、私だけが何もしないのは納得できない。私だって、小日向さんを助けたいのよ」

 

海恋はキーボードを打つのをやめ、日和に視線を向けて微笑む。

 

「戦うだけが戦いじゃないってことを、あなたたちにも教えてあげる」

 

「海恋・・・」

 

海恋の並々ならない覚悟を目にして、日和はもうこれ以上は口出ししないようにする。

 

「わかった。もう何も言わない。一緒に小日向さんを助けよう!」

 

「もちろんよ」

 

日和と海恋はお互いに手を出し、握手を交わした。それを見た藤尭と友里は笑みを浮かべ、自分たちも負けていられないという思いを胸に、海恋にいろいろ教えつつ、自分の業務に専念するのであった。

 

~♪~

 

休息を終え、マリアたちはエアキャリアで海洋上を飛行し、フロンティアが封印されている地へと向かっている。

 

「マムの具合はどうなのデスか?」

 

切歌は医務室で眠っているナスターシャの具合を、舵をとっているマリアに尋ねる。

 

「少し安静にする必要があるわ。疲労に加えて、病状も進行してるみたい」

 

「そんな・・・」

 

「つまり、のんびり構えていられないということですよ。月が落下する前に、人類は新天地にて、1つに結集しなければならない。その旗振りこそが、僕たちに課せられた使命なのですから!」

 

主導権を握ったウェルが尊大な態度でそう口にした。そんなウェルにたいして、切歌と調は不満な表情で彼を睨んでいる。そこで、レーダーが何かの反応をキャッチした。モニターに映し出して見れば、米国の哨戒艦艇がこちらに近づいているのがわかる。

 

「これは・・・」

 

「米国の哨戒艦艇デスか!!?」

 

「こうなるのも予想の範疇。精々連中を派手に葬って、世間の目をこちらに向けさせるのはどうでしょう?」

 

ウェルは余裕な笑みでマリアに提案している。それは、強者が弱者をいたぶることを意味しているため、調は反対する。

 

「そんなのは弱者を生み出す、強者のやり方・・・」

 

「世界に私たちの主張を届けるには、恰好のデモンストレーションかもしれないわね」

 

しかし、無益な殺生を好まないマリアが、ウェルの提案に賛成した。

 

「マリア・・・」

 

「私は・・・私たちはフィーネ。弱者を支配する強者の世界構造を終わらせるもの。この道を行くことを恐れはしない」

 

変わり果ててしまったマリアの姿に調はもう見ていられなかった。そんな中、フォルテは調と切歌の前に立つ。

 

「・・・君たちの意思表示を、まだ聞いていなかったな」

 

「「え・・・?」」

 

「この道を進む覚悟が、君たちにはあるのか?覚悟がないのならば・・・この戦いには参加するな」

 

フォルテに覚悟を問われ、調と切歌はお互いに顔を合わせる。その間にもマリアたちは米国の哨戒艦艇にノイズを放った。

 

~♪~

 

マリアたちが米国の哨戒艦艇にノイズを放ったことにより、二課の潜水艦でノイズの反応を確認できた。

 

「ノイズのパターンを検知!」

 

「米国所属艦艇より、応援要請!」

 

「この海域より遠くない!急行するぞ!!」

 

「応援の準備にあたります!」

 

翼はすぐにブリッジを出て、出撃準備に取り掛かる。

 

「翼さん!私も・・・」

 

「響ちゃんはダメ!!!」

 

「死ぬ気かお前!!!」

 

響も出撃しようとしたが、日和とクリスに強く止められる。

 

「未来ちゃんは私たちが助けるからさ・・・響ちゃんはここにいて?未来ちゃんを、笑顔で出迎えるためにも、響ちゃんはいなくなっちゃダメなんだ」

 

「日和さん・・・」

 

「ちょっとは先輩らしいこと、させてよね」

 

少しでも響を安心させようと、日和はそう言ってにっこりと微笑みを見せた。

 

「そういうこった。行くぞ、相棒!」

 

「うん!海恋、行ってくるよ!」

 

「バッチリサポートしてあげるから、必ず帰ってきなさいよ!」

 

「もちろん!」

 

日和とクリスも出撃のためにブリッジを後にする。響にできることはただ、戦いを見守ることだけだ。

 

~♪~

 

米国の哨戒艦艇にノイズが乗ってきて、米国の兵士たちはノイズを撃退しようと、現代兵器で応戦する。だが当然ながらノイズにそんなものは通用せず、ただ無残に次々と炭素化していくだけだった。一方的な殺戮にマリアは耐えるべく唇を噛みしめる。フォルテに覚悟を問われている調はマリアに向けて口を開く。

 

「・・・こんなことが、マリアの望んでいることなの?弱い人たちを守るために、本当に必要なことなの?」

 

「・・・・・・」

 

調の問いにマリアは黙ったままだ。

 

「果たすべき望みがあるのなら、リスクを背負わねばならない。マリアはその覚悟を背負っている。それだけだ」

 

フォルテの言葉を聞いて、調は目を閉じて顔を俯く。そして、調は突然エアキャリアの扉を開けた。

 

「調⁉何やってるのデスか⁉」

 

「・・・それが君の決めた覚悟か?」

 

「うん。マリアが苦しんでいるのなら、私が助けてあげるんだ」

 

「・・・そうか」

 

調の答えを聞いたフォルテは目を閉じ、調から視線を逸らす。

 

「・・・ならば信じる道を行くといい。だが、僕の前に現れた時は容赦はしない。それだけは忘れるな」

 

本音を言えば、フォルテは調に出て行ってほしくはない。だが今調を止めれば、自身の覚悟が揺らいでしまう。それはセレナが望むはずがないと思っている。そして何より、他の誰でもない、調自身が決めたことに、口出しはしたくなかった。調は自分を見ようとしないそんなフォルテに微笑みを見せる。

 

「・・・やっぱり変わってもフォルテはフォルテだ。ありがとう」

 

「・・・くっ・・・」

 

調の言葉にフォルテは本当に仲間が離れてしまうと改めて認識し、歯ぎしりを立てる。彼女に感謝を述べた調はエアキャリアから飛び降りる。

 

「調!!」

 

Various Shul Shagana tron……

 

調はシンフォギアを身に纏い、ノイズ殲滅へと向かっていく。

 

「フォルテ!!どうして止めなかったのデスか!!?」

 

「月読自身が決め、覚悟を持って行動しているのだ。それを止めるなど、僕にはできない」

 

「だからって・・・」

 

「君も行きたいなら好きにするといい。僕は止めたりはしない」

 

これ以上覚悟が揺るがぬように、フォルテは切歌にも視線を向けず、マリアの元へと向かっていく。調と一緒に自分も離反しても構わない。そう言われ、切歌は戸惑っている。

 

「あ・・・あたしは・・・」

 

「無理ですよねぇ」

 

戸惑う切歌にウェルは意地の悪い笑みを浮かべながら彼女の肩を掴む。

 

「連れ戻したいのなら、いい方法がありますよ」

 

ウェルの出す提案は、悪魔のささやきに他ならない。

 

~♪~

 

哨戒艦艇に向かって降りていく調はツインテールの部位を展開し、複数の丸鋸をノイズに向けて発射する。

 

【α式・百輪廻】

 

複数の丸鋸はノイズに複数体直撃し、ノイズは炭となって消滅する。さらに哨戒艦艇に着地した調は足に丸鋸を展開し、ローラーのように滑っていき、ノイズの群体の中心に立つ。そして、ツインテールの部位より巨大な丸鋸を2つ展開し、自身も回転しながらノイズを次々と切り刻んでいく。葡萄型のノイズも実の部位を飛ばし、反撃する。調はこれを躱し、葡萄型ノイズを切り刻む。しかしノイズはまだまだおり、背後から他のノイズが調に攻撃を仕掛けようとしてきた。すると、そのノイズの頭上に鎌が投擲されてノイズはその刃に切り刻まれ、消滅する。

 

「切ちゃん・・・!」

 

そう、この鎌は切歌のイガリマだ。調は切歌も一緒に来てくれたものだと思い、嬉しい気持ちになった。

 

「ありが・・・」

 

カチッ!プシュー!

 

だが切歌は調の首筋にガンタイプの注射器を当て、中の薬品を彼女に流し込んだ。

 

「な・・・何を・・・?」

 

今調に流し込んだ薬品の名はAnti LiNKER。LiNKERがシンフォギアの適合係数をあげる薬品ならば、Anti LiNKERはその真逆・・・シンフォギアの適合係数を下げる薬品だ。適合率を下げる・・・それすなわちバックファイアで耐えがたい苦しみが装者を襲う。LiNKERとは違うが、これも十分な劇薬である。

 

「ギアが・・・馴染まない・・・!」

 

LiNKERで適合係数を上げていた調はAnti LiNKERによって適合係数が下がり、調のギアは強制的に解除される。しかも、バックファイアによって調は立つのもやっとの状態になる。

 

「あたし・・・あたしじゃなくなってしまうかもしれないデス!そうなる前に、何か残さなきゃ!調に忘れられちゃうデス!」

 

「切ちゃん・・・?」

 

調にとって切歌は親友と呼べる存在。その親友がウェルのやり方に賛同してしまった。その事実が調には信じられなかった。

 

「たとえあたしが消えたとしても、世界が残れば、あたしと調の思い出は残るデス!だからあたしは、ドクターのやり方で世界を守るデス!もう、そうするしか・・・」

 

ドゴオオオオン!!

 

突如として海中にミサイルが出現し、それが上空で分解していった。分解したミサイルから翼、日和、クリスがシンフォギアを纏った状態で現れる。飛び出した翼と日和は切歌と交戦し、クリスは調を組伏せ、拘束させる。Anti LiNKERを打ち込まれたため調には成すすべもない。

 

「邪魔するなデス!!」

 

切歌は拘束された調を取り戻すために抵抗をする。

 

「切ちゃん・・・」

 

「おい、ウェルの野郎はここに居ないのか!ソロモンの杖を使うあいつはどこにいやがる!!?」

 

ソロモンの杖を起動してしまった責任を感じているクリスは調に問いかけるが、彼女は答えない。翼と日和を相手にしていた切歌は2対1では分が悪いため、圧倒的に不利な状況である。

 

~♪~

 

エアキャリアにいるマリアたちは今繰り広げられている戦いを確認している。

 

「切歌!」

 

「この状況・・・こちらが不利だな。ならば僕が・・・」

 

「その必要はありませんよぉ」

 

フォルテが出撃しようとしたが、ウェルはそれを止めた。むしろ、この展開こそが、彼が望んでいた展開である。

 

「どうせ天秤を戻すならぁ・・・できるだけドラマティックに・・・できるだけロマンティックに」

 

「まさかあれを!」

 

「貴様・・・!」

 

ウェルはあくどい笑みを浮かべながらコンソールを操作する。彼の意図を理解したフォルテは彼を忌々し気に睨みつける。

 

~♪~

 

哨戒艦艇で戦いが繰り広げられている中、突如として詠唱が聞こえてきた。

 

Rei Shen Shou Jing Rei Zizzl……

 

詠唱が終わると同時に、突然輝く光が発し、それが哨戒艦艇に降り立ち、衝撃で煙が立ち込める。煙が晴れると、そこには、白と黒、紫色が配色されたインナースーツの鎧、すなわちシンフォギアを身に纏った少女がいた。

 

「・・・ウソ・・・なんで・・・?」

 

日和はその相手を見て、信じられない気持ちでいっぱいになった。なぜならその少女は・・・今日和たちが助けようとしていた人物・・・

 

「なんで・・・それを身に着けてるの・・・?未来ちゃん・・・」

 

響の親友であり、陽だまりでもある存在・・・小日向未来だった。シンフォギア装者となった未来の目は、虚ろいていた。




フォルテの義眼

6年前に失ってしまった片目を何とかするためにフォルテがウェルに依頼してつくられたもの。この義眼はウェルにしか作ることができない特別製でこれを着けることによってフォルテの失われた視力が回復し、見えるようになる。ただ残念ながら所全は義眼は義眼・・・涙を流すことはもう叶わない。1年に1回はウェルの手入れが必要になってくるため、これをおろそかにしていると、段々と義眼の視力が失われていく。
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