響の歌によって、マリアのガングニールが響に応えたことにより、マリアのギアが解除され、代わりに響がガングニールのシンフォギアを身に纏った。
「ガングニールに適合・・・だと⁉」
適合者でない響がガングニールに適合したことに、マリアは驚きを隠せなかった。
「うわああああああ!!!」
目の前の出来事を目の当たりにしたウェルは悲鳴を上げて逃亡する。響はそれを確認したが、マリアが倒れこみ、彼女を支える。相当な疲労を抱え込んでいたのだろう。
「こんなところでぇ・・・うわぁ!!?」
その最中、ウェルは階段から転げ落ちるが、痛みを気にした様子はない。それほどまでに追い詰められている証拠だ。
「こんなところでぇ・・・終われるものかぁ!!!」
ウェルはネフィリムの腕でフロンティアを操作し、下り階に通じる穴を出現させる。
「ウェル博士!!!」
そこへ弦十郎と緒川、日和がブリッジに乗り込んできた。日和はウェルに一発殴って気絶させようと早く行動を起こす。
「ひ、ひいいぃぃ!!」
日和を見た途端ウェルは恐怖で悲鳴を上げ、急いで穴に入って下り階に入る。日和の拳は空振りで終わり、穴もすぐに塞がれてしまう。
「響さん!そのシンフォギアは⁉」
「マリアさんのガングニールが、私に応えてくれたんです!」
緒川の問いに響が答えたその時、突如フロンティアが地響きを起こした。今起きている状況を、二課のオペレーターたちが通信越しで報告する。
『重力場の異常を計測!』
『フロンティア、上昇しつつ移動を開始!』
どうやらこの揺れはフロンティアがさらに浮上しながら移動を開始したことによる揺れらしい。
「今のウェルは・・・左腕をフロンティアと繋げる事で、意のままに制御できる・・・」
マリアの言葉の通り、このフロンティアを意のままに操ることができるのは、ネフィリムの腕を持つウェルだけだ。
~♪~
下り階に逃げおおせたウェルは廊下を歩きつつ、悪あがきを続ける。
「ソロモンの杖がなくとも・・・僕にはまだフロンティアがある・・・!邪魔する奴らは・・・重力波にて、足元から引っぺがしてやる・・・!!」
ウェルはフロンティアを持ち上げるだけでは飽き足らず、まだ何かやろうとして、奥へと進んでいく。
~♪~
マリアは意気消沈した様子で、フロンティアを止める方法を響たちに伝える。
「フロンティアの動力は・・・ネフィリムの心臓・・・それを停止させれば、ウェルの暴挙も止められる・・・。お願い・・・戦う資格のない私に変わって・・・お願い・・・」
マリアは今この場で戦える響と日和に懇願する。
「調ちゃんにも頼まれてるんだ。マリアさんを助けてって」
「えっ・・・?」
「うん。それに、フォルテさんにだって頼まれたからね。マリアさんを救ってくれって」
「フォルテが・・・?」
「だから、心配しないください!」
響と日和はマリアに任せてほしいの意味を込めて、にっと笑う。すると弦十郎は拳を地面にぶつけ、強引に穴をあけた。
「ウェル博士の追跡は、俺たちに任せろ。だから響君と日和君は・・・」
「「ネフィリムの心臓を止めます!!」」
「行くぞ!」
「はい!」
弦十郎と緒川は強引に作った穴に入って下り階に向かい、ウェルを追いかける。
「待ってて!ちょーっと行ってくるから!」
「行こう、響ちゃん!」
「はい!」
日和と響は無重力圏に突入したことで浮いた岩を足場に使って、跳躍しながら外に出ていった。2人が進んでいく先に、翼とクリスがいた。
「翼さん!」
「クリス!」
「立花!東雲!」
日和と響は翼とクリスと合流を果たした。
「もう遅れは取りません!!だから!!」
「ああ!一緒に戦うぞ!」
「はい!!」
翼と響は面と向き合っているが、クリスはそっぽを向いている。そんなクリスに日和は彼女の右肩を掴んで自分の元まで引き寄せた。
「やったねクリス!クリスなら、きっとやってくれるって信じてたよ!!」
「お、おま・・・!」
そんな日和につられ、響もクリスの手を取り喜びを分かち合う。
「私も!!クリスちゃんならきっと取り戻して帰ってくると信じてた!!」
「あ・・・ったりまえだ!」
クリスはそう言い放って照れを隠している。だが喜んでばかりもいられない。弦十郎からの通信が入る。
『本部の解析にて、高出量のエネルギー反応を特定した!!おそらくはそこがフロンティアの炉心・・・心臓部に違いない!!装者たちは本部からの新情報に従って急行せよ!!』
通信が終わり、指示を受けた翼はリーダーとして号令を上げる。
「行くぞ!!この場に槍と弓、そして、棍と剣を携えているのは、私たちだけだ!!」
フロンティアを止めるため、4人の装者は情報に従って移動を開始する。
~♪~
フロンティアを止めようと行動する4人の姿をウェルはジェネレータールームのモニターで確認している。
「人んちの庭を走り回る野良ネコめ・・・!!フロンティアを喰らって同化したネフィリムの力を、思い知るがいい!!!」
ウェルはネフィリムの腕でフロンティアに指示を出した。その瞬間、炉心に繋がれたネフィリムの心臓が反応している。
「食らいつくせ・・・!僕の邪魔をする何もかもを・・・!暴食の二つ名で呼ばされた力をぉ!!示すんだぁ!!ネフィリイイイイイム!!!!」
ウェルの大きな叫びが、ジェネレータールームで響いた。
~♪~
装者4人が移動していると、突如として地面が割れ、大地が巨大な生物へと姿を変える。
「何っ⁉」
「今さら何が来たって!」
大地が生物の形に整い、その全貌が露になった。それは、フロンティアのエネルギーを喰らい、以前よりもさらに進化を遂げ、巨人の姿となった自立型完全聖遺物、ネフィリムだった。ネフィリムは咆哮を上げ、身体からミサイルを装者4人に撃ち放った。4人は向かってきたミサイルを躱し、爆発を回避する。
「あの時の自立型完全聖遺物なのか!!?」
ネフィリムは間髪入れず、口を開いて熱塊を吐き出す。クリスは向かってきた熱塊を飛んで躱す。
「にしては張り切りすぎだ!!」
「本当だよ!これじゃあ映画の怪獣だよ!」
ネフィリムは大きな咆哮を上げた。
~♪~
ブリッジに残ったマリアは放心状態で階段を下りていく。
「私では、何もできやしない・・・セレナの歌を・・・セレナの死を・・・無駄なものにしてしまう・・・」
己の選択を間違い、最悪な事態を招いてしまった。マリアはそれを悔いり、さらに己の無力さに涙を流す。すると・・・
『マリア姉さん・・・』
突如として暖かい光がブリッジを照らす。そして、もう聞くことが叶わなかった声を聞いて、マリアは後ろを振り向き、上を見上げる。そこには、亡くなったはずのセレナがいた。
「セレナ・・・?」
『マリア姉さんがやりたいことは何?』
マリアは戸惑いながらも、自分のやりたいことを、妹に打ち明ける。
「歌で、世界を救いたい・・・月の落下が齎す災厄から・・・みんなを助けたい・・・」
マリアの答えを聞いたセレナは姉の手を取る。
『生まれたままの感情も、隠さないで・・・?』
「セレナ・・・」
セレナは目を閉じて、歌い出す。その歌は、思い出の歌・・・唯一繋がりを感じられる歌、Appleだ。そこに、マリアの手に優しく触れる手があった。その人物は、セレナの師匠で親友であったフォルテだ。フォルテはマリアに優しい微笑みを見せ、自分もAppleを歌う。2人の後に続き、マリアも歌う。
~♪~
3人が歌う歌は、世界中に届き、全人類は・・・世界の存続を願い、祈りを捧げた。まさに、世界の願いが繋がり、合唱するように。その祈りが、フォニックゲインを生み出し、フロンティアへと集まってくる。そしてそのエネルギーはウェルによって宇宙に飛ばされたフロンティアの制御区画に流れる。落ちてきた瓦礫に埋もれたナスターシャは車椅子を変形させて、脱出した。
「世界中のフォニックゲインが、フロンティアを経由して、ここに収束している・・・!これだけのフォニックゲインを照射すれば、月の遺跡を再起動させ、公転軌道の修正も可能・・・!」
そうなれば、行動しないわけにはいかない。ナスターシャは通信機能を使い、地上にいるマリアに通信を入れた。
~♪~
ナスターシャがいれた通信が、マリアのいるブリッジに届いた。
『マリア!マリア!』
「「!マム⁉」」
マリアとフォルテは急ぎ、球体に近づく。
『あなたの歌に、世界が共鳴しています!フォニックゲインが高まれば、月の遺跡を稼働させるには十分です!月は私が責任を持って止めます!』
「マム!!」
ナスターシャの意思を聞いたマリアは涙を流し、叫ぶ。ナスターシャは優しく諭すようにマリアに語り掛ける。
『もう何もあなたを縛るものはありません。行きなさい・・・マリア・・・行って私に・・・あなたの歌を聞かせなさい・・・』
「マム・・・」
『フォルテ・・・』
ナスターシャはマリアの次にフォルテに優しく諭すように話す。
『この先、何があっても・・・マリアを守りなさい・・・。あなたのやりたいことを・・・マリアと共に生きて・・・成し遂げてみせなさい・・・』
「・・・イエス・・・マム・・・」
ナスターシャの思いが伝わり、両目から涙があふれるフォルテ。フォルテは涙を拭き、マリアに視線を向け、まるで女王の騎士の忠誠のように膝をつき、彼女に手を差し述べる。
「マリア・・・共に行こう。セレナの願いのために。君の望むもののために。マムの思いを・・・無駄にしないために。僕が・・・君を守る」
「フォルテ・・・」
マリアは2人の思いに涙を流す。しばし目を閉じ・・・そして覚悟を決めて目を開き、フォルテの手を取り、彼女を起き上がらせる。
「OKマム!!フォルテ!!世界最高のステージの幕を開けましょう!!」
マリアの目に、もう迷いはない。
~♪~
二課の装者たちとネフィリムとの戦いが始まった。響はアンカージャッキを利用して宙を跳ね、翼が刀を構え、日和が棍を構えてネフィリムに接近する。クリスは遠距離で弾幕を張り、ネフィリムに攻撃をする。翼は刀を大剣に変形させて、ネフィリムの腕を斬り落とそうとするが、刃が通らない。日和もネフィリムのバランスを崩させようと棍を足に向けて振り払うが、ビクともしない。響もネフィリムの胴体に拳を叩き込んだが、効いた様子はない。
「なら、全部乗せだあ!!!」
クリスはボウガンからガトリング砲に変形させ、ミサイルも展開して全弾をネフィリムに向けて放った。弾とミサイルは全て命中するが、これも効いておらず、ネフィリムはクリスに向けて熱塊を吐き出す。
「うわああああ!!」
「雪音!!」
「クリス!!」
クリスは熱塊を躱したが、爆発によって吹き飛ばされる。さらにネフィリムは翼と日和を押しつぶそうと、両腕を彼女たちに向けて押しつぶすように下ろす。日和と翼は間一髪躱す。しかしその威力は絶大で地面が抉れる。
「翼さん!日和さん!」
響は翼と日和に呼び掛ける。それに反応してネフィリムは背後にいる響に目を向けず、腕を伸ばして響を襲おうとする。この一撃は避けられないと察知し、拳で受け止めようとした時、ネフィリムの腕に鎖のようなものが巻き付かれ、地に突き刺さる。
「デース!!」
そこに、切歌が展開したギロチンのような刃がネフィリムの腕を切断する。さらに追撃として調が丸鋸を車輪として展開し、ネフィリムに接近して腹部を斬りつける。
「シュルシャガナと・・・」
「イガリマ、到着デース!!」
2人が来てくれたことに、響は歓喜する。
「来てくれたんだ!!」
「とはいえ・・・こいつを相手にするのは結構骨が折れるデスよ」
切歌の言うとおり、この程度ではネフィリムは倒れない。ネフィリムは斬り落とされた腕を再生し、もう片方の腕を2人に振り下ろした。そこに、フォルテが戦場に駆けつけ、ネフィリムの腕を大剣で斬り落とす。
「だが、歌がある!!」
「フォルテさん!!」
フォルテも来てくれたことで、日和は歓喜の声を上げた。
「フォルテ、遅い」
「待ちくたびれたデース!」
「君たちが早すぎるんだ。彼女を迎えに行く身にもなれ」
フォルテは岩の上に視線を向ける。そこには、仁王立ちで立っているマリアがいた。
「「マリア!」」
調と切歌、フォルテはマリアの元まで駆け寄る。響と日和、翼とクリスもマリアの元に駆け寄り、岩の上に、8人の装者が揃った。
「マリアさん!」
「もう迷わない・・・!だって・・・マムが命懸けで、月の落下を阻止してくれている!」
マリアは空を見上げる。
~♪~
ジェネレータールームでウェルは装者が集まった光景を下卑た笑みを浮かべて見ていた。
「出来損ない共が集まったところで、こちらの優位は揺るがない!!焼き尽くせ!!ネフィリイイイイイイム!!!!」
ウェルの叫びに応えるがごとく、ネフィリムは岩の上にいるマリアたちに狙いを定め、口から熱塊の炎を吐き出す。その大きさは、今までのものを越えていた。熱塊は見事に直撃し、大きな爆発が彼女たちを包んだ。
「いひひひひ・・・ひゃーはははははは!!!」
ウェルは勝利を確信し、大きな高笑いを上げた。
Seilien coffin airget-lamh tron……
だがその高笑いは、マリアの詠唱によって止まった。
~♪~
ネフィリムが放った熱塊の爆発が晴れると、マリアのギア装着の際のバリアによって、守られている装者たちがいる。壊れていたはずのシンフォギア、アガートラームがマリアに応えてくれたのだ。
「(調がいる・・・切歌がいる・・・フォルテがいる・・・マムも、セレナもついている・・・。みんながいるから・・・このぐらいの奇跡・・・)安いもの!!!」
マリアがそう叫ぶ。みんながいるからこそ成すことができる奇跡・・・。これもまた、必然といえるのかもしれない。
~♪~
モニターに映っている光景を見ていたウェルはこの現象に驚きを隠しきれない。
「装着時のエネルギーをバリアフィールドに!!?だが、そんな芸当!いつまでも続くものではなあああい!!!」
ウェルはネフィリムの腕でネフィリムに指示を出した。
~♪~
ネフィリムはウェルの指示に従い、装者たちに向けて再び巨大な熱塊を放った。熱塊を前にし、響は日和の持つ棍を手に持つ。そして2人は叫ぶ。
「「セット!ハーモニクス!!」」
2人の叫びに応えるように、ガングニールの脚部装甲が展開し、日和の如意金箍棒の棍が変形し、響のガントレットと合体する。
「S2CA!!」
「フォニックゲインを!!」
「「力に変えてぇ!!!」」
響はさらに両腕のガントレットと連結して、向かってきた熱塊に拳を叩きつける。そして、日和が空振りの拳を振るうと、響のガントレットと連結した如意金箍棒が反応し、角のように伸ばして熱塊を貫き、霧散させた。このS2CAは8人の装者によるものだが、そうではない。8人の思いを1つに束ね、重なり合った奇跡の集大成だ。
「惹かれ合う音色に、理由などいらない」
翼は左手を調に差し伸べる。調もぎこちなくだが、その手を右手で繋ぐ。
「あたしも、付ける薬がないな」
「それはお互い様デスよ」
クリスも右手を切歌に差し出し、切歌も左手でその手を繋ぐ。
「歌があれば、繋がる絆は無限大ですよ」
「・・・ああ・・・僕もそう思うよ」
日和は右手をフォルテに差し出し、フォルテも左手でその手を繋いだ。さらに日和は左手を切歌に差し出し、切歌も右手でその手を繋いだ。
「調ちゃん!フォルテさん!」
響は左手でフォルテの右手を繋ぎ、右手で調の左手を繋ぎ合う。調は響を見据える。
「あなたのやってること、偽善じゃないって信じたい。だから近くで私に見せて。あなたの言う人助けを・・・私たちに・・・」
「うん」
調の言葉に、響は笑みを浮かべて頷いた。
(繋いだ手だけが紡ぐもの・・・重ねた心だけが紡ぐもの・・・)
8人の歌が重なり合い、力がだんだんと高まっていくのが見ていてわかる。
~♪~
ジェネレータールームでこの光景を見ても、ウェルは勝ちを確信している。
「絶唱8人分・・・たかだか8人ぽっちで、すっかりその気かあああああ!!?」
ウェルはネフィリムの腕でさらにネフィリムに指示を出した。ネフィリムは全身から赤色黎明砲が照射される。その威力は絶大で、8人のギアが分解していく。だが・・・ウェルは勘違いをしている。この絶唱がたった8人だけの絶唱ではないことを。
~♪~
ネフィリムが放った赤色黎明砲によって、ギアが分解されていくが、心が折れる者は誰1人としていない。この絶唱は、8人の思い・・・世界の全人類の祈りも込められ、装者たちの力は、ネフィリムの力を越えている。
(8人じゃない・・・!)
(私たちが束ねるこの歌は・・・!)
「「70億の!!!絶唱おおおおおおおおおお!!!!!」」
装者8人は、己の配色がより輝く、純白に輝き、光の翼が展開されたギアを身に纏う。そう、このギアは・・・奇跡が形となったシンフォギア・・・エクスドライブ!
「「響き合うみんなの歌声がくれた!!
シンフォギアだああああああああああああ!!!!!」」
8つの光と力、歌が1つに束ね、宙を切り裂き、ネフィリムを貫いた。積み重ねた戦慄が、虹色の嵐となりて、宇宙へ昇るように、大きく渦巻いた。
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セレナの誕生日ボイス
東雲日和①
今日はセレナちゃんの誕生日!今日が忘れらないように、気合入れて歌うよ!
東雲日和②
セレナちゃん!誕生日おめでとう!プレゼントに、セレナちゃんの好きなもの、何でも買ってあげるよ!
フォルテ・トワイライト①
セレナ、ハッピーバースデー。誕生日というめでたい日。最高の祝福を、君に捧げよう。
フォルテ・トワイライト②
セレナ・・・君の誕生日を祝うことができる・・・友として、これほど嬉しいことはない。本当に・・・君に出会えてよかった・・・。