戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

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本日2話目!G編完結!番外編の後はいよいよGX編。ぶっちゃけこれ書いてみたかったんですよ。お楽しみに!

それから、今回フォルテさんのある挿絵はPicrewの『妙子式2』のキャラメーカーを使用しております。G編のラストなので!あ、自作ではないのであしからず。

そして・・・セレナちゃん、お誕生日おめでとう!


遥か彼方、星が音楽となった・・・かの日

70億の絶唱を喰らい、粉々になったネフィリム。その光景をウェルはジェネレータールームで見て、信じられない気持ちでいっぱいなっている。

 

「なん・・・だと・・・?」

 

ネフィリムが負けるはずがないと確信していたのに敗れ・・・敗北を突きつけられたことを、ウェルは認められないでいる。

 

「ウェル博士!!」

 

「はっ!!?」

 

そこに、弦十郎と緒川がジェネレータールームに入ってきた。他に逃げ道は一切なく、ウェルは逃げることができず、追い詰められていく。

 

「お前の手に世界は大きすぎたようだな!」

 

ウェルは急いでネフィリムの腕で制御盤に触れようとする。しかしそれをこの2人が見逃すはずがない。緒川は拳銃を取り出し、発砲する。放たれた弾丸は弧を描くように軌道を変え、ネフィリムの腕の影に突き刺さる。

 

【影縫い】

 

「なっ!!?」

 

「あなたの好きにはさせません!」

 

この弾丸によって影は固定化され、左腕は動くことができなくなる。どんなに力を入れても、ピクリともしない。だがウェルはネフィリムの腕に血管が浮かび上がる程に力を入れ、抵抗する。それこそ、血管が破れ、出血し、目にも血が流れるほどに。

 

「奇跡が一生懸命の報酬なら・・・僕にこそおおおおおおお!!!!」

 

ウェルは最後の悪あがきに力づくで影縫いを破り、ネフィリムの腕で制御盤に触れ、フロンティアに命令を下す。

 

「何をした!!?」

 

「ただ一言・・・ネフィリムの心臓を切り離せと命じただけ!!」

 

「「!!?」」

 

装者たちが撃破したはずのネフィリムの心臓が炉心である球体に浮かび上がり、赤く禍々しく輝き始めた。

 

「こちらの制御から離れたネフィリムの心臓はフロンティアの船体を喰らい!糧として暴走を開始する!!そこから放たれるエネルギ-は・・・一兆度だああああ!!!!フハハハハハハハ!!!」

 

一兆度ものエネルギーの核爆弾・・・そんなものが地上に降り立ってしまえば、世界は一瞬で蒸発し、終わりを迎えてしまうだろう。

 

「僕が英雄になれない世界なんて、蒸発してしまえば・・・」

 

「ふん!!!」

 

ドゴォ!!!

 

「うわぁ!!?」

 

弦十郎はウェルが操作していた制御盤を破壊し、暴走を止めようと試みた。だが制御盤が壊れても、暴走は止まらない。心臓部が完全に切り離されてしまえば、どんなに制御盤を壊しても、意味がないのだ。

 

「壊してどうにかなる状況じゃ、なさそうですね・・・」

 

弦十郎は翼に通信を送り、指示を出す。その間にも、ネフィリムの心臓は、鼓動を続けている。

 

~♪~

 

フロンティアの外にいる翼たちの元に弦十郎からの指示が届く。臨界に達する前に、ネフィリムの心臓を止めろという指示を。

 

「わかりました。臨界に達する前に対処します。・・・!!?」

 

指示を受け、行動を開始しようとした瞬間、予想外なことが発生した。ネフィリムの心臓の鼓動は、フォニックゲインを収束していた建造物の先端に到達してしまった。ネフィリムの心臓は、フォニックゲインのエネルギーを取り込んでいる。

 

一方それと同時に、ウェルに電子手錠をかけ確保した後、弦十郎と緒川はジープに乗り込み、二課の潜水艦へと帰還を開始する。

 

「確保だなんて悠長なことを・・・僕を殺せば簡単なこと・・・」

 

彼らの頭上に影が覆った。上を見上げてみると、ネフィリムの暴走によってフロンティアの建造物が吹き飛ばされ、それが巨大な落石となって落ちてきて、彼らを押しつぶそうとしていた。

 

「うわあああああああ!!?」

 

ウェルは情けない悲鳴を上げるが、弦十郎は動じずに・・・

 

「あああああああああ!!!!」

 

ドゴォン!!!

 

落石に拳を振るい、この一撃で何と落石を軽々と粉砕してみせた。

 

「殺しはしない・・・。お前を、世界を滅ぼした悪魔にも・・・理想に殉じた英雄にもさせはしない。どこにでもいる、ただの人間として裁いてやる!」

 

英雄となることを望んでいるウェルにとって、その言葉はこの世で1番聞きたくなかった言葉だ。

 

「チクショオオオ!!!!僕を殺せえええ!!!!英雄にしてくれえええ!!!!英雄にしてくれよおおおおおお!!!!!」

 

ウェルは半狂乱したように喚き散らした。当然それを聞き入れるようなことはしない。英雄を夢見て、人の道を踏み外した世界史上最低の男ウェルは英雄ではなく、ただどこにでもいる人間として収容されるという末路を辿った。

 

~♪~

 

潜水艦に戻ってきた弦十郎はウェルを独房に収容した後、ブリッジに入り、オペレーターに指示を出す。

 

「藤尭!出番だ!」

 

「忙しすぎますよ!」

 

「ぼやかないで!」

 

「私もお手伝いします!」

 

オペレーター陣の迅速な行動と正確な計算とプログラミングによって、潜水艦よりミサイルが発射され、潜水艦周囲に着弾する。ミサイルが爆破したことにより、地面が割れ、潜水艦はフロンティアから落下、海へと落下していく。

 

~♪~

 

70億分の絶唱のエネルギーを取り込み、吸収することで、ネフィリムの心臓は尋常でないスピードで成長していく。さらにフロンティアそのものを取り込んでいき、赤く禍々しく巨大化していく。

 

「あれを見ろ!あれが・・・指令の言っていた・・・」

 

ネフィリムはフロンティアを取り込むことによって、姿形が成していく。そして、完全に形を成したネフィリムは装者たちの前に再誕した。

 

「再生する・・・ネフィリムの心臓・・・!」

 

飛行能力を持たないネフィリムは地球への落下を開始していく。それを阻止しようと調と切歌が動き出す。調は自身の装甲をパージし、変形させ、合体することでロボットと化す。調がロボットに乗り込み、ツインテールのアームと連結する。

 

【終Ω式・ディストピア】

 

さらに切歌は鎌の刃を3つに展開し、鎌を高速回転させながらネフィリムに突撃する。

 

【終虐・Ne破aア乱怒】

 

調の鋸と切歌の鎌による息の合った合体攻撃で、ネフィリムを切り裂く。だがネフィリムにダメージを負った様子はない。それどころか・・・

 

「「ああああああ!!」」

 

攻撃を仕掛けた調と切歌の聖遺物のエネルギーを取り込まれてしまい、返り討ちに遭う。

 

「月読!!暁!!」

 

「聖遺物どころか、そのエネルギーまでも喰らっているのか!!?」

 

そう、ネフィリムは、聖遺物だけでなく、そのエネルギーさえも取り込むようになったのだ。今のネフィリムはどんな攻撃も受け付けないどころか、全て吸収してしまうのだ。

 

「臨界に達したら、地上は・・・!」

 

「蒸発しちゃう!!」

 

ネフィリムが地球に到達してしまえば、地球は一瞬で蒸発し、世界が終わってしまう。それだけは何としてでも阻止したい装者たち。

 

「クリス!!」

 

「わかってらぁ!!バビロニア、フルオープンだあああああ!!」

 

攻撃がダメならと思い、日和はクリスに声をかける。考えていることが同じなのかクリスはすぐに行動に移す。クリスは前に出て、ソロモンの杖で緑の光線を放つ。緑の光線によって、異空間の入り口、バビロニアの宝物庫の入り口が大きく開かれる。

 

「バビロニアの宝物庫!!?」

 

「エクスドライブの出力で、ソロモンの杖を機能拡張したのか!!?」

 

このバビロニアの宝物庫にネフィリムを格納し、入り口を閉じれば地球への被害はなくなる。だがそれは、精神力と集中力との勝負だ。

 

「んぐううううう!!!」

 

その証拠に、クリスがうめき声をあげている。

 

「ゲートの向こう、バビロニアの宝物庫にネフィリムを格納できれば!」

 

「だが、これではネフィリムを格納できない!!」

 

フォルテの言うとおり、今のバビロニアの宝物庫の入り口では、巨大化したネフィリムは入らない。ネフィリムが入れるようにするためには、もっと入り口を広くする必要がある。そのためには、もっと集中力と精神力が必要だ。

 

「相棒!!」

 

「うん!!」

 

日和はすぐにクリスに近づき、ソロモンの杖に触れ、自身の集中力と精神力を分け与える。

 

「地球を守るために・・・開け!!!バビロニアの宝物庫おおおおお!!!」

 

「人を殺すだけじゃないってぇ!!やって見せろよ!!ソロモォオオオン!!!」

 

日和とクリスの思いにソロモンの杖が応えるかのように、バビロニアの宝物庫の入り口を拡張させた。これならばネフィリムはバビロニアの宝物庫に入れる。

 

「これなら!!」

 

だがネフィリムは抵抗するがごとく、ネフィリムがクリスと日和に向けて剛腕を振るう。

 

「避けろ!東雲!雪音!」

 

翼が日和とクリスに避けるよう叫んだが、対応が遅れ、2人は剛腕に吹き飛ばされる。

 

「「うあああ!!」」

 

2人が吹き飛ばされた際、ソロモンの杖を手放してしまうが、マリアが駆け付け、ソロモンの杖を回収した。

 

「明日をおおおおおお!!!」

 

マリアは回収したソロモンの杖で開けていたバビロニアの宝物庫の入り口をさらに大きく広げた。ネフィリムは呻き声を上げて腕を伸ばす。マリアは回避したが、手から伸びた触手に絡めとられ、引きずり込まれてしまう。ネフィリムはマリアを道連れにしようとしているのだ。

 

「ぐっ・・・!」

 

「「「マリア!!」」」

 

「格納後、私が内部よりゲートを閉じる!!ネフィリムは私が!!」

 

「自分を犠牲にするつもりデスか!!?」

 

「マリアーー!!!」

 

マリアが全員を巻き込むわけにはいかないと考え、ネフィリムと共に自らを犠牲にすることを選んだ。マリアの決断に、切歌と調が叫ぶ。

 

「こんなことで、私の罪が償えるはずがない・・・。だけど、全ての命は私が守って見せる・・・」

 

マリアが覚悟を決めて目を閉じた時・・・

 

「それじゃ、マリアさんの命は、私たちが守って見せますね」

 

響がマリアの隣に寄り添ってきた。いや、響だけではない。装者全員が、マリアの周りに集まってきた。全員が笑みを浮かべ、やる気を見せている。

 

「あなたたち・・・」

 

「英雄でない私に、世界なんて守れやしない。でも、私・・・私たちは・・・1人じゃないんだ」

 

響はそう言ってマリアに微笑みを見せた。フォルテはマリアの隣に寄り添い、語り掛ける。

 

「マリア・・・僕は、セレナの望みが叶えれば、自分は死んでもいいと思っていた。だが今は違う。僕は・・・月読と暁・・・そして・・・君と共に今を生きたいと思っている。君1人が欠けてしまっては、意味がないんだ」

 

「フォルテ・・・」

 

「マリア・・・僕たちと共に生きよう。セレナの願いのために・・・そして何より・・・僕たち自身のために」

 

フォルテは自分の本心を言って、マリアに笑みを見せる。フォルテの本心を聞いてマリアは、微笑みで返した。そして・・・ネフィリムと装者全員は数えきれないほどのノイズがいるバビロニアの宝物庫へと入っていく。そして、宝物庫の入り口が揺らぎ、完全に入り口が閉ざされた。

 

~♪~

 

ネフィリムと装者たちがバビロニアの宝物庫に格納される瞬間は、二課のモニターでも確認できた。

 

「響ぃー!!」

 

「ちょっと・・・日和!本当に大丈夫なんでしょうね⁉」

 

この光景を見た未来は叫び、全員が宝物庫から脱出できるか、心配になる海恋。

 

「衝撃に備えて!!」

 

友里の叫びと同時に、二課の潜水艦はブリッジと本体を切り離し、ブリッジにパラシュートを展開し、落下速度を緩めた。

 

~♪~

 

宇宙空間を彷徨うフロンティアの制御区画でナスターシャは月に向けてフォニックゲインの照射を続けていた。

 

「フォニックゲインの照射継続・・・!ゴホッ!!」

 

だがナスターシャは血反吐を吐いてしまう。限界がもう近づいてきているのだ。だが、まだ倒れるわけにはいかない。フォニックゲインの照射が月の砕けた個所に照射され、そこに模様が輝きだす。

 

「月遺跡・・・バラルの呪詛・・・管制装置の再起動を確認・・・!月軌道、アジャスト開始・・・!」

 

ナスターシャの命がけの戦いによって、月の落下は防がれた。後はネフィリムの脅威を何とかすればいいだけだ。ナスターシャはパネルに映る地球を見上げる。

 

「星が・・・音楽となって・・・」

 

ナスターシャは己の役目を果たし切り・・・満足そうな笑みを浮かべ・・・安らかに眠り、息を引き取った。

 

~♪~

 

バビロニアの宝物庫のノイズは無尽蔵にいる。そこに人間が入って来たならば当然、人間を襲いにかかる。だが装者たちはノイズを対処できる。

 

「うおおおおおおお!!!」

 

響は右手の装甲を槍の矛先を模したアームに変形させ、ブースターを点火して加速させる。

 

「いっけええええええええ!!!」

 

そのスピードの勢いに乗り、響はノイズの群れを槍の矛先で貫いていく。

 

「はああああああ!!」

 

翼は手に持つ刀でノイズを一刀両断し、さらに脚部のブレードを展開し、巨大化させて宙を舞いながら回転してノイズを切り刻む。

 

「おおおおりゃああああああ!!!」

 

日和は両手首のユニットから棍を射出し、地球まで届くくらいの長さまで伸ばす。そして、自分自身を回転して、数多くのノイズを棍の回転に巻き込ませ、打撃を与えていく。

 

「くらえぇ!!!」

 

クリスはアームドギアを巨大化させ、自身を覆うように砲門を形成する。前方の複数のノイズに狙いを定め、エネルギー砲で一斉射撃し、ノイズを次々撃墜する。一方の調はマリアを縛る触手をロボットの鋸で切断作業を行っている。それを阻止しようと迫りくるネフィリムの触手の対処は切歌の鎌で振り払い、フォルテが両手の巨大な大剣の斬撃波で薙ぎ払う。

 

「月読!後どのくらいだ!!」

 

「調!!まだデスか!!」

 

「もう少し・・・で・・・!!」

 

調の頑張りによって、ロボットは崩壊したものの、マリアを救出することは成功した。

 

「マリア・・・!」

 

「一振りの杖では、これだけの数を・・・制御が追いつかない!」

 

いかにノイズを操ることができるソロモンの杖でも、無限にも思えてくるほどの数のノイズを全て制御しきるのは難しい。そこで、響が叫ぶ。

 

「マリアさんは、杖でもう1度宝物庫を開くことに集中してください!」

 

「何っ⁉」

 

「外から開けられるのなら、中から開けることだってできるはずだ!」

 

「鍵なんだよ!そいつは!」

 

「そして今それができるのは、マリアさんだけなんです!」

 

続けて翼、クリス、日和がノイズを殲滅しながら叫んだ。彼女たちの意図に気づいたマリアはすぐに行動に出る。

 

「セレナあああああああ!!!」

 

マリアは最愛の妹の名を叫びながら、ソロモンの杖で最大出力の光線を放ち、このバビロニアの宝物庫の出口が開く。

 

「脱出デス!!」

 

「ネフィリムが飛び出す前に!!」

 

「君たちも急げ!!」

 

マリアたちは開いた出口に向かって飛翔を開始する。

 

「私たちもここから出ましょう!!」

 

日和は両手首のユニットの棍を発射し、翼と合流する。

 

「行くぞ!雪音!」

 

翼は脚部のブレードを分離して砲撃を続けるクリスに声をかける。

 

「おおっ!」

 

クリスはアームドギアをパージし、ノイズに向けて砲撃を発射する。そして、日和と翼と共に出口に向かって飛翔する。響とも合流し、8人で脱出しようとするが・・・その行く手をネフィリムが遮る。

 

「なんて悪あがきを・・・!」

 

「ちっ・・・迂回路はなさそうだ・・・!」

 

「ならば、行く道は1つ!」

 

「手を繋ごう!!」

 

切歌、調、フォルテが手を繋ぎ、響、日和、翼、クリスも手を繋ぎ合う。

 

「さあ、マリア」

 

「マリアさん」

 

フォルテと響がマリアに手を差し出す。マリアは胸の結晶より、聖剣を取り出し、宙に浮かせる。

 

「この手、簡単には離さない!!!」

 

マリアはフォルテの手と響の手を強く握る。

 

「「「「最速で最短で!!真っ直ぐに!!!!」」」」

 

聖剣が輝きだすと、光の粒子となって装者全員を包みこみ、装者たちは飛翔する。そして、響のガングニール、日和の如意金箍棒、マリアのアガートラーム、フォルテのミスティルテインの装甲が分離する。そして、ガングニールと如意金箍棒が連結した右手、アガートラームとミスティルテインが連結した左手に変形し、右手は黄金に、左手は白銀に輝きを放ち、拳をつくるように繋ぎ合わせる。

 

「「「「一直線にいいいいいいいいい!!!!!」」」」

 

繋ぎ合わせた拳は回転しながらネフィリムに突撃する。ネフィリムは触手を大量に伸ばして抵抗するが、繋ぎ合わせた両手の拳の前に全て跳ね返っていき、高速回転する拳はネフィリムの胴体を貫いた。

 

【Vi†aliza†ion】

 

彼女たちはその勢いのまま、宝物庫の出口を通り、脱出し、海辺の砂浜に放り出される。ソロモンの杖は砂浜に刺さるように立っている。

 

「杖が・・・!すぐにゲートを閉じなければ・・・まもなくネフィリムの爆発が・・・!」

 

腹部を貫かれたということは、ネフィリムは間もなく爆発を開始する。早く出口を閉じなければ爆発が地球を巻き込んでしまう。そうなればおしまいだ。だが装者たちは先の技の衝撃で立つことができない。

 

「まだ・・・だ・・・!」

 

「心強い仲間は・・・!」

 

「他にもいる・・・!」

 

「仲間・・・?」

 

翼たちに言葉にマリアは問いかけ、響が答える。

 

「私の・・・親友だよ・・・」

 

響がそう言うと、こちらに駆けつけてくれた少女がいた。そう、響の親友、小日向未来だ。

 

「(ギアだけが戦う力じゃないって響が教えてくれた!)

私だって・・・戦うんだ!!」

 

未来は走ってソロモンの杖まで向かっていく。そこに、遠くでタブレットを操作して投擲距離の計算をしている海恋が叫ぶ。

 

「小日向さん!!そこから全力で投擲すれば、宝物庫に格納して、扉を閉じることができるわ!!」

 

未来は海恋の指摘を聞いて、ソロモンの杖を手に持ち、指定されたその場所で力いっぱい杖を宝物庫の出口に向けて投擲する。

 

「お願い!閉じてえええええぇぇぇ!!!」

 

ネフィリムはエネルギーを吸収しきれず、光が漏れ始める。爆発までもう時間がない。

 

「もう響が・・・誰もが戦わなくていいような・・・世界にいいいいいいい!!!!」

 

未来の思いに応えるように、ソロモンの杖が宝物庫に向かって加速する。ネフィリムは大きな光を放ち、周りにいるノイズを全て塵に変える。その光が・・・地球に迫る前にソロモンの杖が扉に入り、扉を閉じた。ネフィリムの爆発は異空間を越えて現実世界にも視覚で確認できた。それ以上の被害は地球には来なかった。世界は守られた・・・これによって未来と海恋は安堵し、響と日和も安心して目を閉じた。

 

~♪~

 

時間は流れ、夕暮れ。この海辺には事件の収拾のために二課と軍人が集まっている。ウェルは銃を持った軍人に連行されていく。

 

「いひひ・・・間違っている・・・英雄を必要としない世界なんて・・・」

 

ウェルは未だ自分を英雄と信じているようで、そんな譫言を呟いている。

 

「月の軌道は、正常値へと近づきつつあります。ですが、ナスターシャ教授との連絡は・・・」

 

緒川は弦十郎に月の軌道と、ナスターシャの生存についての報告をする。弦十郎は報告を聞いて、マリアたちに視線を向ける。フォルテ、マリア、調、切歌は夕暮れの空を見上げている。マリアのアガートラームは、半壊している。

 

「マムが僕たちの未来を繋げてくれた・・・。あなたの行動に、僕たちは感謝を送ります。心よりの感謝を・・・。ありがとう・・・母上・・・」

 

フォルテを筆頭に、マリアたちは逝ってしまったナスターシャに感謝を捧げている。

 

「マリアさん」

 

響はマリアに声をかけ、ガングニールのネックレスを彼女に返却しようとしている。マリアは響に優しく微笑み、言葉を放った。

 

「ガングニールは君にこそふさわしい」

 

マリアの言葉を聞いて、響はネックレスを握りしめる。このガングニールのネックレスは、正式に響のものとなった瞬間だ。

 

「だが、月の遺跡は再起動させてしまった・・・」

 

「バラルの呪詛か・・・」

 

「ああ。世界を救うためとはいえ・・・」

 

「人類の相互理解は、また遠のいたってわけか・・・」

 

皆が悔しい思いを浮かべている中、響と日和はポジティブに考えている。

 

「へいき、へっちゃらです!」

 

「うん!だってこの世界には、歌があるんですよ!」

 

響と日和の前向きさに、皆は驚いている。だがそんな彼女たちを知っている未来、海恋、翼、クリスは笑みを浮かべている。響と日和もにこっと笑っている。

 

「歌・・・デスか・・・」

 

「いつか人は繋がれる・・・だけどそれは、どこかの場所でも、いつかの未来でもない。確かに、伝えたから」

 

「うん」

 

調はフィーネより預かった伝言を響に伝え、彼女は首を縦に頷いた。

 

「立花響。君に出会えてよかった」

 

マリアは響を見据えてそう言った。フォルテは日和に近づき、笑みを浮かべている。

 

「東雲日和。君には感謝してもしきれない。君のおかげで・・・セレナの真の願いに気づけた」

 

「そんなことないですよ。フォルテさん自身が、セレナちゃんの思いに気づいたんですよ」

 

日和はフォルテに満面な笑みでそう答えた。フォルテはそんな日和の顔見て・・・

 

「・・・君に出会うことができて・・・本当によかった」

 

 

【挿絵表示】

 

 

マリアたちですら見たことがない満面な笑みで返した。フォルテ、マリア、調、切歌はロータリーへと乗り、この海辺から去った。

 

~♪~

 

フロンティアが起動した事件を、フロンティア事変と名付けられた。フロンティア事変が終わり、ほとぼりが冷め、平和な日常を取り戻した装者たちは、今日もリディアンへと向かう。それが学生の本分なのだから。

 

「ほら日和!!ちゃんとシャキッとする!!だらしない姿を見せない!!」

 

「ふぁ~・・・そんなこと言われたって・・・眠いんだもん・・・」

 

朝からかなり眠そうにしている日和に海恋が渇を入れようと声を上げている。

 

「日和さーん!海恋さーん!おはようございまーす!」

 

「おはようございます」

 

「あ・・・響ちゃん、未来ちゃん・・・おはよ・・・ふわああぁ~・・・」

 

そこへ響と未来がやってきた。2人はきちんと挨拶しているが、日和は本当に眠そうに大きなあくびをする。

 

「おはよう、2人とも。ねぇ、2人からも何か言ってやってちょうだいよ・・・日和がご覧の通りで・・・」

 

「本当に眠そうですね・・・」

 

「これなら授業中に爆睡できそう・・・」

 

「あー、それわかります。授業中って、眠たくなりますものね」

 

「ほーう?風紀委員の前で堂々と居眠り宣言かしら?」

 

「あわわ・・・ごめんなさい!!」

 

日和の言葉に響が便乗したことで、海恋は目を鋭くさせる。まずいと思った響はとっさに海恋に謝る。未来は響に呆れた様子で、日和は変わらずに眠そうにしている。楽しい話で華を咲かせながら歩いていると、翼とクリスの姿が見えてきた。

 

「翼さーん!クリスちゃーん!」

 

響は元気よく2人の元に駆けつけ、3人は響の後をついていく。

 

「聞いてくれ立花。あれ以来、雪音は私のことを先輩と呼んでくれないのだ」

 

「だーからー!」

 

翼は残念そうな顔で口を開き、クリスは顔を赤らめて翼にかみつこうとする。翼の言葉に響はにやにやとした表情になる。

 

「なになに~?クリスちゃんってば翼さんのこと先輩って呼んでるのぉ?」

 

「ちょ、ちょっと響ったら・・・」

 

響の物言いにクリスは眉をひくつかせる。

 

「いい機会だから教えてやる・・・あたしはお前より年上で!先輩だってことをー!!」

 

響とクリスのやり取りに未来と翼はため息をこぼす。

 

「でも確かに2人のクリスへの態度は同級生のそれよね。何でかしら?」

 

「出会い方の問題じゃないの・・・?ふわぁ・・・」

 

「ん・・・だとてめぇ!!もってけダブルだぁ!!」

 

「もうそのくらいにしておけ・・・傷もまだ癒えてないというのに」

 

日和の物言いにクリスは今度は日和に突っかかろうとしたが、翼に止められる。

 

「ねぇ響・・・体、平気?おかしくない?」

 

未来は響の体について心配そうに尋ねている。

 

「心配性だなぁ未来は。私を蝕む聖遺物は、あの時きれいさっぱり消えたんだって」

 

響はそんな未来に抱きしめる。

 

「響・・・」

 

「でもね・・・胸のガングニールはなくなったけれど、奏さんから託された歌は、絶対になくしたりしないよ」

 

響の言葉に翼は嬉しそうに笑い、クリスも海恋も微笑んでいる。

 

「それに、それは響ちゃんだけじゃないよ」

 

ようやく眠気から覚めた日和は空を見上げ、手を伸ばし、何かを掴むように握って胸に当てる。

 

「きっとそれは、誰の胸にもある、歌なんだ・・・」

 

日和は星が音楽となったあの日が蘇える。




セレナの誕生日

完全聖遺物、ギャラルホルンのゲートを通り、こちらの世界に遊びに来たセレナ。そんなセレナをフォルテはとある場所に連れていく。そこは自然が豊かで空気も澄んだ美しい場所だ。

セレナ「わぁ・・・!」

フォルテ「ここはこの地域の中で、特に空気が澄んでいて、植物も美しい。暇さえあれば、よくここでボーっとしている」

セレナ「きれい・・・とても素敵な場所ですね!」

フォルテ「ああ。すごく気に入っている。だから君の誕生日に、この場所を見せたいとずっと思っていた」

セレナ「フォルテ師匠(せんせい)・・・」

フォルテ「こうして、また君の誕生日を祝うことができて・・・僕は嬉しく思うよ。ハッピーバースデー、セレナ」

セレナ「・・・こんな素敵な場所で、私の誕生日を祝ってくれるなんて・・・。ありがとうございます、フォルテ師匠(せんせい)!」

フォルテ「・・・もう少しボーっとしたら戻ろうか。今頃マリアたちが君のためにパーティの準備をしているだろうからな」

セレナ「えへへ・・・はい!」
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