戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

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番外編といえばやはりこれ!


番外編
戦姫絶唱しないシンフォギア①


『月の欠片処理から約2週間・・・』

 

 

 

月の欠片が落ちてきた事件、ルナアタック事変・・・この事件が収拾するまでの間、装者たちは行動制限を課せられ、監禁状態に陥っている。そしてそれから2週間の時が経った頃・・・

 

「「うわあああああああ!!!!」」

 

この監禁状態に不満を抱いている日和と響は両手足をじたばたして喚いている。翼は静かに読書をしている。

 

「・・・今日も今日とて、立花と東雲の様子がおかしいのは相変わらずだな」

 

「だってだってだってぇ!!翼さんは何ともないんですか⁉こんなところに閉じ込められてもうずっとお日様を拝んでいないんですよ⁉」

 

「そうですよぉ!!どこかにショッピングに行くこともできないし、学院のみんなとも会いに行けないんですよ⁉不満を抱かない方がおかしいですって!!」

 

外に出れないという点以外では本を読んだり、音楽を聴いたり、ベースを弾いたりしても問題ないのだがそういう問題ではない。外に出れないおかげで日の光を拝めない、友達にも会いに行けない。日和と響はそこに不満たっぷりなのである。だがもちろん、こういった状況にはちゃんとした理由はある。

 

「そうは言ってもだな・・・月の損壊、及びそれらに纏わる一連の処理や調整が済むまでは、行方不明としていた方が何かと都合がいい、というのが指令たちの判断だ。それに・・・」

 

「そんなことわかってますよぅ・・・海恋と未来ちゃんを危険に巻き込まないため・・・ですよね?」

 

「そうだ」

 

今述べられたことから装者たちは一度行方不明扱いにした方がいいとのことで、監禁状態になっているのだ。

 

「うわああああ!!未来に会いたいよおおおおお!!きっと未来も寂しがってるよおおおお!!うわあああああ!!」

 

響は未来に会えないことへの寂しさからまたも喚き始めた。

 

「小日向が絡むところに自己評価は、意外に高いんだな・・・立花は」

 

「冷たい布団を温めるくらいしか役に立たない私だけど、いなくなったらいなくなったできっと悲しむと思うし・・・借りっぱなしのお金も返せてないし・・・」

 

「あ・・・そういえば私も海恋に借りたお金まだ返せてない・・・海恋怒ってないかなぁ・・・?」

 

「おいおい・・・」

 

響の呟く言葉に日和は顔を青ざめて急に会いたくなくなってそう呟く。翼は響と日和の言葉に呆れている。

 

「てゆーか、ここまで引っ張っていざ無事でしたー!ってなったらそれはそれできっと怒りますよね?連絡もしないでなにしてるの!!?って。ああ見えて怒った未来は怖いんですよ!一緒にご飯食べてても口聞いてくれないというか・・・だからといってずっとここにいても退屈だし、退屈しのぎに未来に怒られるなんてそこまで上級者ではないし、寝そびれれば寝そびれただけ言い訳みたいな笑顔になるしで、止めどなく溢れてくるし!!」

 

「・・・ん?ねぇちょっと・・・響ちゃん?響ちゃんってば」

 

「はい?」

 

喚いている響の言葉にふと疑問が浮かんだ日和は彼女に声をかけて質問する。

 

「あのね、心配してるのは未来ちゃんのこと?それとも、自分のこと?どっち?」

 

「それはもちろん!!・・・あれ?」

 

日和の問いかけに響は勢いよく答えようとしたが、自分も混乱しているようで、どっちを心配してるのかわからず首を傾げるのだった。

 

 

 

『これが特起物?』

 

 

 

監禁状態が未だ続く中、クリスは響たちと同じ部屋の片隅でただ1人考え事をしていた。

 

(成り行き任せで一緒に手を繋いでしまったが、あたしはこいつらのように笑えない・・・いや、笑っちゃいけないんだ。あたしがしでかしたことからは、一生目を背けちゃいけない・・・そうしないとあたしは・・・あたしは・・・あたしは・・・)

 

「あれ?どうしたのクリス?さっきからずっと黙ってて・・・」

 

そんな中日和はクリスが黙っていたことに気づき、声をかける。日和の声で響もクリスに近づく。

 

「わかった!お腹空いたんだよね!わかるよわかる!マジでガチでハンパなくお腹空くと、おしゃべりするのも億劫だものねぇ・・・」

 

「ああ!なるほど!そうならそうと言ってくれればいいのにぃ~」

 

盛大な勘違いをしている響と日和はクリスを置いて盛り上がっている。

 

「どうする?あ、ピザでも頼む?さっき新聞の折り込みチラシを見たんだけどね、カロリーに比例してうまさが天上して・・・」

 

「・・・て、鬱陶しいんだよ!!!お前ら本当のバカだろ!!!」

 

勘違いしてる響と日和にクリスはいい加減鬱陶しくなって怒鳴った。

 

「な、なんで怒ってるの⁉」

 

「お、お腹が空きすぎてクリスちゃんが怒りっぽくなっちゃったぁ!!?」

 

「うっきいいいいい!!!お前は黙れ!!!あたしは静寂を求めている!!!だから黙れ!!!ひと時でいいからあたしに静間をよこしやがれぇ!!!」

 

また的外れな発言をする響にクリスは響・・・とついでに日和を怒鳴る。クリスに怒鳴られ、しゅんとなった2人はようやく黙った。

 

~♪~

 

響と日和が黙ったため、クリスは考え事を続ける。

 

(あいつのこと、流されるままに相棒って呼んじまったが・・・昨日までの罪を背負っちまったあたしに、そんな資格は・・・)

 

「つん。つんつん」

 

そんな中日和はクリスの頬をつんつんと突っついている。

 

(そうだ・・・あたしがそんな・・・)

 

「つんつんつん・・・。ほへぇ~・・・クリスの頬っぺた、やわらかぁ~い・・・」

 

「・・・てさっきから何やってんだお前!!?気が散んだろうが!!!」

 

日和のつつきに煩わしくなったクリスは日和を怒鳴りつける。

 

「だ、だってぇ・・・クリスが面白くなさそうな顔ばっかりしてるから・・・和ませようと思って・・・」

 

「うがあああああ!!!いいからお前も静かにしてくれ!!!何もするな!!!あたしに一時でもいいから静寂をよこしやがれえええ!!!」

 

またもクリスに怒鳴られ、日和はしゅんとなり、今度こそ黙った。悲しいからか、彼女のうさ耳リボンが項垂れている。

 

~♪~

 

響と日和が部屋にいないことを見計らい、考え事を再開するクリス。

 

(昨日までにやらかした罪は、簡単に償えるもんじゃない・・・そいつを分かっているからこそ、あたしはもう逃げだしたりしない。そうだ・・・あたしに、安らぎなんていら・・・)

 

「じぃー・・・」

 

クリスがそこまで考え込んでいると、翼の視線に気がついた。

 

(この身は常に鉄火場のど真ん中に・・・あって・・・こそ・・・)

 

クリスは考え事を続けようとするが・・・まったく集中できない。それどころかずっと見つめてくる翼にクリスは変な恐怖心が芽生える。

 

「じぃー・・・」

 

(な、なんで今度の奴はずっとだんまり決め込んでるだけなんだ⁉)

 

クリスはしびれを切らして、翼に問いかける。

 

「な、なんだよ⁉黙って見てないで何か喋ったらどうだ⁉」

 

クリスの問いかけに翼は少し間を開け・・・

 

「常在戦場」

 

真顔でただ一言そう呟いた。そんな翼にクリスは悲鳴を上げて翼から距離をとる。

 

「ひいぃぃぃ!!!やっぱいい!!!あんたも喋ってくれるな!!!頼むから喋らないでくれ!!!」

 

クリスの言葉に翼はふっと薄ら笑いを浮かべる。その印象は一言で言うなら怖いに限る。

 

「ふっ・・・そういうな、雪音・・・」

 

「特起物にはまともな人間はいないのかああああああ!!??」

 

この場にまともそうな人間がおらず、クリスは悲鳴に近い声を上げた。

 

 

 

『幽霊はいる?』

 

 

 

夜時間・・・監禁状態が続く中、装者たちは眠りについている。そんな中、クリスは未だに起きている。

 

「あ・・・クリス・・・起きてたんだ・・・」

 

そこに眠りから覚めた日和が彼女に近づく。

 

「あ?なんだよ?なんか用か・・・?」

 

クリスの問いかけに日和はもじもじした様子で口を開く。

 

「お・・・おトイレ行きたい・・・クリス・・・一緒に来て・・・」

 

「はあ?なんで付き合わなきゃいけねぇんだ。1人で行けよ」

 

「クリスは私が幽霊に呪われてもいいの!!?私とクリスの友情はそんな薄情なものだったの!!?」

 

クリスの言葉に日和は青ざめた顔で叫ぶ。ノイズとの戦いで日和は度胸はついたものの、臆病なところは直っておらず、16歳の今でも夜に1人でトイレに行けないようだ。

 

「は、はぁ?お前そんなもん気にしてんのかよ?ゆ、幽霊なんて・・・実際にいるわけないだろ・・・」

 

と、言いつつもクリスは若干顔を青ざめてしゃべっている。そんなクリスに日和はすごい剣幕で叫ぶ。

 

「幽霊はいるんだよぉ!!!だって・・・この目で見たんだもん!!!小学校の時、実家の夜の病院を歩いてたら・・・」

 

「ひいぃぃ!!や、やめろぉ!!聞きたくねぇ!!頼むからしゃべらないでくれ!!」

 

日和の話を聞いて、クリスは悲鳴に近い声を上げて話を終わりにするよう懇願する。

 

「世の中には怖い話がたくさんあって、きっと実在したことなんだよ!!例えば夜の・・・」

 

「お前怖い怖いとか言っておきながら、実は楽しんでんじゃないだろうなぁ!!!??」

 

だが日和はお構いなしにいろいろ語ろうとしている。恐怖に顔が青ざめているが、実は楽しんでないだろうかと疑いを日和に向けるクリス。結局話をこれ以上聞きたくないのか、日和のトイレに付き合うことになったとか。

 

 

 

『歓迎パーティ』

 

 

 

監禁状態から約3週間となったその日。二課の一室にて二課のメンバーたちが集まっている。何のために集まっているのかというと、クリスの歓迎パーティーを開くからだ。部屋の垂れ幕にも・・・

 

『歓迎!!雪音クリスさん!!』

 

と書かれており、豪華な料理も並べられており、すっかり歓迎ムード一色である。

 

「と、いうわけで、改めての紹介だ。雪音クリス君。第二号聖遺物イチイバルの装者にして、心強い仲間だ!」

 

「・・・ど、どうも・・・よろしく・・・///」

 

紹介されたクリスは若干・・・いや結構照れていて、頬を赤く染めている。

 

「やったー!改めてよろしくね、クリス!」

 

「んなっ!!?」

 

二課の仲間入りをしたクリスに日和は彼女の手を握る。それによってクリスは顔をさらに赤く染める。

 

「さらに、本日をもって装者4人の行動制限も解除となる!」

 

「えっ!!?行動制限解除ってことは・・・」

 

「師匠!!それってつまり・・・」

 

「そうだ!君たちの日常に帰れるのだ!!」

 

「やったー!!やっと未来に会えるー!!」

 

「わーい!!やっとお日様の下で海恋に会えるんだー!!」

 

立て続けに起こるめでたいことに響と日和は喜びを露にしている。

 

「クリス君の住まいも、手配済みだぞ。そこで暮らすといい」

 

「あ、あたしに!!?いいのか!!?」

 

クリスに新しい住まいを提供してくれた弦十郎にクリスは驚きながら問いかける。弦十郎はさも当然のように答える。

 

「もちろんだ!装者としての任務遂行時以外の自由やプライバシーは保障する!」

 

クリスは自分の帰る居場所を手に入れ、感動からか目元に涙をためる。だがすぐに気を取り直して、目元の涙を拭った。そんなクリスを見て翼は何かを察して、あるものを見せて彼女に声をかけた。

 

「案ずるな雪音!合鍵は持っている!いつだって遊びに行けるぞ!!」

 

「はあ!!??」

 

翼が持っていたのはクリスの住まいの合鍵だったようだ。突然のありがた迷惑な告白にクリスは耳を疑った。

 

「もちろん!私の分や・・・海恋の分もあるよ!これでいつでも一緒だね!」

 

「私も持ってるばかりかなぁんと・・・未来の分まで!!」

 

さらに日和と響までもが同じ型の鍵を2つも持っていた。未来と海恋の分まで用意されていたようだ。

 

「自由とプライバシーなんてどっこにもねぇじゃねーかああああああああ!!!!!」

 

クリスはもうすっかり涙が引っ込み、怒りで日和たちを怒鳴った。

 

 

 

『そういうことは家でやれ①』

 

 

 

二課のメンバーがクリスの歓迎パーティを楽しんでいると、その楽しみの終わりを告げる警報が鳴り響く。

 

ヴゥー!ヴゥー!

 

「こいつは・・・ノイズの発生を知らせるものか!」

 

警報が鳴り響く中、翼たちが気持ちを切り替え、気合を見せている。

 

「行動制限は解除!ならばここからは防人の務めを存分に果たすまで!!」

 

そんな中、何が起こったのかわからないでいるクリスは困惑している。そんな中日和はクリスの手を繋ぐ。

 

「クリス!今日から一緒に行こう!」

 

「はあ!!?」

 

日和の行動にクリスは理解が追い付かないでいる。そしてクリスは日和の手を振り払う。

 

「お手手繋いで同伴出勤とかできるもんかよ!」

 

「でも任務だよ!!」

 

日和は再びクリスの手を握る。日和の行動にクリスは頬が赤くなる。

 

「だ、だからって!いきなりお友達って訳には・・・」

 

「日和さん!クリスちゃん!早く早く!」

 

「何をやっている2人とも!!そういうことは家でやれ!!」

 

「家ならいいってのか・・・!!?」

 

翼の言動にクリスはさらに顔を赤く染め、真っ赤になる。

 

 

 

『嬉しいのはわかるが・・・』

 

 

 

ノイズが現れた現場に向かい、ノイズを殲滅したことにより、襲われそうになっていた海恋たちを助けた装者たち。

 

「ね?言ったでしょ?私は絶対に死なないって。玲奈と小豆、了子さん・・・海恋との約束だもんね!」

 

「・・・っ!バカ・・・!」

 

海恋の笑いを見て涙を流し、日和に抱き着いてきた。

 

「はは・・・やっぱり心配かけちゃったよね?ごめんね・・・」

 

ぎゅうううう・・・

 

「あ、あの・・・海恋さん?ちょっと苦しくなってきたから・・・放してもらっても・・・なんて・・・」

 

海恋が日和を抱きしめる力が急に強くなり、次第に日和の顔色が苦しいものに変わる。だがさらに海恋の力が強まる。

 

ぎゅうううううう!!

 

「痛い痛い痛い痛い!!海恋!!?海恋ってば!!?このままじゃ私背骨骨折しちゃう!!やめて!!やめてってばぁ!!ねぇ!!?」

 

あまりの力強さに日和が抱きしめるのをやめるよう懇願している。隣の方では未来も響が心配だった思いが爆発し、ポカポカ叩く力が強まって、逆に響を苦しめている。

 

「弦十郎さん?どういうことか説明お願いできませんかねぇ?」

 

「い、いや・・・これには深い事情がありましてな・・・」

 

咲は般若のような形相で弦十郎の耳を引っ張りながら黒い笑顔で事情を問い詰めている。世界最強のOTONAも、咲の気迫にはたじたじである。

 

 

 

『そういうことは家でやれ②』

 

 

 

夕方ごろになって海恋はようやく落ち着きを取り戻し、抱く力を普通に戻している。ここまで心配かけさせてしまったことに反省している日和。

 

「ごめんね。本当にごめん・・・ごめんなさい」

 

「・・・次にこんなことやったら、許さないんだから・・・。本当に・・・本当に死んだかと思ったのよ・・・」

 

「うん・・・心配かけて本当にごめん・・・」

 

日和は謝りつつ、海恋を抱きしめた。隣の方もでも響と未来がお互いに抱き合っている。その光景を装者2人と大人たちは遠くで見ていた。

 

「いやはや何とも・・・現代っ子ってのは、みんなこうなのか?」

 

「初々しいとは思いますけどもね・・・」

 

「さすがに、家に帰ってからやってほしいですね」

 

「だから家ならいいのか!!??どうかしてるぞ特起物!!!!」

 

大人たちの発言にクリスは顔を赤くしながらツッコミを入れた。茶々を入れるように、カラスが鳴き始める。




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東雲日和ハロウィン型ギア

狼の仮想をイメージしたシンフォギア。今までのインナースーツのような姿ではなく、狼らしさを強調しており、両腕と両足の装甲は狼のような装甲、黒い短パンに狼の毛のパレオが付いている。胸部の服装は狼の毛皮を使っており、短くてへそが出ている。胸にはかわいらしいリボンが付いている。尻尾の機械装飾も狼のもので、ヘッドギアも狼ものである。
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