戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

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戦姫絶唱しないシンフォギア②

『装者たちの歌』

 

装者たちの行動制限が解除され、いつもの穏やかな日常に送れるようになったある日。未来が響にあることを質問する。

 

「そういえば前から聞きたかったことなんだけど、戦いながら歌うって、あれはどういう仕組みなの?」

 

「ああ、それは私も気になったわ。シンフォギアについては頭では理解できても、仕組みがいまいち理解できないのよね」

 

シンフォギアは歌いながら戦う・・・その仕組みが気になっている未来。そこに海恋が便乗する。

 

「うーん・・・手っ取り早く言うと・・・シンフォギアってカラオケ装置なんだよね」

 

「「か、カラオケ!!?」」

 

まさかそんな答えが返ってくるとは思わなかった未来と海恋は驚愕する。

 

「そ!私もよくわかってないんだけど・・・シンフォギアから伴奏が流れると、胸に歌詞が沸き上がってくるんだ!」

 

「・・・胸に・・・歌詞が・・・?」

 

「えーっと、つまり?シンフォギアを纏えば、その胸に浮かんだ歌詞が浮かび上がるってこと?」

 

「ま、そういうこったな」

 

響の答えに海恋なりに推察していると、いつの間にか合流してきたクリスがそれを肯定するように頷いた。後ろから翼と日和もやってきた。

 

「歌詞もまた、装者が心象に描く風景に由来とした物だと、かつて櫻井女史は言っていたな」

 

「あー、なるほどぉ!それで私の胸に浮かんでくる歌詞には、生きることに勇気が湧いてくるものが多いんだね!」

 

「そうだな。友の約束のために生きるという意志が伝わるあの歌は、実に東雲らしい」

 

装者たちの胸に流れる歌が心象によって浮かび上がるものだと知り、日和は納得したような表情になる。

 

「そっかぁ・・・なるほどぉ・・・それでクリスの歌詞には・・・」

 

「お、おい!!お前何を言い出そうとしてんだ!!やめろ!!」

 

日和はクリスがシンフォギアを纏い歌っていた時の歌詞を出そうとした時、クリスに止められる。

 

「え?なんで?私は好きだよ?ぎも・・・」

 

「うあああああああ!!やめろって言ってるだろぉ!!」

 

日和がクリスの歌詞を今ここで口に開こうとした時、クリスに止められる。今ここで歌詞なんて広げられたら絶対にいじられると思ったからだ。

 

「ふっ・・・雪音はどこまでも奔放だな」

 

「ちょっと待て!!あんただけには言われたかないぞ!!自覚がサッパリかもしれないが、そっちの歌も大概なんだからな!!あれが心象由来というのなら、医者も裸足で逃げ出すレベルだ!!」

 

クリスの歌詞を思い浮かべた翼の言葉にクリスは彼女に突っかかってきた。

 

 

 

『日和の秘密』

 

 

 

ルナアタック事変によって、旧リディアンは学校としての機能を失ったために、新たな校舎に移転することとなる。そのため、学生寮もお引越しをすることになった。寮生の皆は今頃新たな寮に移り、自分たちの部屋の掃除や整理を行っているだろう。無論、寮生である日和と海恋も新たな寮の自分たちの部屋の整理を行っている。と、ここで、日和に1つの問題が発生する。今日和の手元には、日和の小学校の頃のアルバムが握られている。

 

(ううぅ・・・このアルバムをあのタンスの奥深くにしまいたいんだけど・・・今海恋がそこにいるからなぁ・・・やだなぁ・・・)

 

日和は整理の際に見つけたアルバムを海恋に見られたくないらしく、しまえる隙を伺っている。

 

(これだけは・・・これだけは誰にも見られたくない・・・だって・・・この中には・・・太ってた頃の私の写真が・・・!こんなの知られたら・・・もうお嫁にいけない・・・!)

 

日和は小学校の頃、ぽっちゃり体系で太っていて、それは日和にとっては黒歴史であり、誰にも知られたくない秘密である。だから親友である海恋にも見られたくないのだ。太った自分を自分だと思われたくないから。ちなみに、なぜ咲に預けなかったのかというと、咲の散らかし癖ならアルバムどころか写真を絶対にどこかに散乱するからである。

 

「ちょっと・・・何さっきからサボってるのよ?そっちの方はもう終わったの?」

 

「えっ!!?あ、いや!ま、まだだよ!ちょーっと、時間かかっちゃって・・・」

 

海恋が近づいてきたことによって日和は思わず抱えていたアルバムを背中に隠す。それを見た海恋は少し怪訝な顔をする。

 

「今何を隠したの?まさか危険物とかじゃないわよね?」

 

「えっ!!?危険物?はは、まさかぁ。そんなもの持ち込むわけ・・・」

 

「本当?ちょっと確認するから見せなさいよ」

 

「えっ!!?」

 

海恋が隠したものを確認すると言い出し、日和はかなり焦っている。

 

「いや、別に信用してないわけじゃないけど・・・万が一の可能性を考えると、やっぱり風紀委員としては見過ごせないのよ。ほら、見せて」

 

「い・・・嫌だ・・・!」

 

海恋は隠したものを出すように催促するが、日和はここぞとばかりに抵抗している。

 

「ふーん・・・なら・・・」

 

海恋は強硬手段として日和にこちょこちょを仕掛け、笑わせようとする。

 

「ちょ・・・やめ・・・あははははは!」

 

こちょこちょに弱い日和は大声で笑い、持っていたアルバムを出してしまう。海恋はすぐにそのアルバムを奪い取る。

 

「はい、取った」

 

「あああ!!ちょ・・・卑怯だよ!!」

 

「アルバムぅ?なんでこれを隠す必要があるのよ?」

 

「あああああ!!!見ちゃらめえええええええ!!!」

 

日和がなんでアルバムを隠したがるのかわからない海恋は理由を確かめるために中身を拝見する。写真を拝見すると、小さかった頃の日和の友達、小豆が目に移る。

 

「これが小さい頃の小豆?へぇ・・・かわいいじゃない。・・・で・・・このちょっと太った子は・・・誰?」

 

写真に写っていた小豆の隣に写っているぽっちゃり体系の少女を海恋は見つめる。これが小学校の頃の日和なのだが、海恋はこれが日和だと気づいていない。

 

「でも誰かに似てる気が・・・」

 

「わあああああああああん!!!海恋のバカあああああああ!!!」

 

日和は写真を見られて泣きわめき、部屋に閉じこもってしまった。

 

「え・・・えぇ!!?な、なんで泣くのよ!!?ちょ、ちょっと日和!!?」

 

写真の少女が日和だと気づいてない海恋はわけがわからず、アルバムをタンスにしまって日和の慰めに向かった。

 

 

 

『給料の使い道』

 

 

 

ある日のこと、海恋は日和たちの役に少しでも立とうと思い、二課のオペレーターに頼んでオペレーターの本を貸してもらった。海恋が帰ろうとした時、偶然自分の通帳を眺めているクリスを見つけ、彼女に声をかける。

 

「あらクリス。自分の通帳を眺めてどうしたの?」

 

「い、いや・・・知らなかったよ・・・特起物のシンフォギア装者やってると、小遣い貰えるんだって・・・」

 

「ああ、それね。日和が初めて給料をもらった時は大はしゃぎしてたのを覚えてるわ」

 

「目に浮かぶぜ・・・」

 

シンフォギア装者としてノイズを倒す・・・これも一種の仕事・・・きちんと役目を果たすことができれば給料がもらえる。クリスはその点について驚いており、初めて給料をもらった時の日和の反応を海恋は思い出す。

 

「で、クリスはそのお金を何に使うの?」

 

「それなんだよなぁ・・・。・・・ちなみにお前だったら何に使う?」

 

「何?参考?私なら・・・使わずにそのまま貯金するわね」

 

「真面目だなぁ・・・」

 

クリスはお金の使い道について海恋に尋ねるが、あまりにも真面目すぎて参考にすらならなかった。

 

「だったら他の誰かを参考にしたらどう?」

 

「他の奴なんて参考になるかよ。どうせあのバカときたら・・・」

 

『あは、あははは!ご飯&ご飯ー!あは、あははは!』

 

「とか言って食費に溶かして損だし・・・」

 

「あー・・・確かに・・・」

 

他の人に参考として響のお金の使い道について考えるが、2人ともその光景が容易に想像できて、参考にならない。

 

「翼さんなら・・・」

 

『常在戦場・・・常在戦場・・・』

 

「とか言って、乗り捨て用のバイクを何台も買ってそうなイメージがあるわね・・・。いや、勝手な想像だけども・・・」

 

「それもありえるぜ・・・」

 

海恋は翼が乗り捨て用のバイクを何台も買う姿を想像する。クリスもそのイメージができてるようで、苦笑いを浮かべる。

 

「あいつなんてきっと・・・」

 

『えへへー、ベッキー、きれいに・・・きれいにしてあげるからねー』

 

「とか言って自分のベースの手入れ道具をこれでもかってくらいに買ってそうだし・・・」

 

「あらよくわかったわね。日和ってばもらったお金をほとんどベースの手入れ道具に使ってるのよ」

 

「当たりかよ!!?」

 

日和のお金の使い道も想像したクリスだが、本当に当たっていたようで思わずツッコミを入れるクリス。

 

「こ、これでもかってくらいに参考にならないわね・・・」

 

「だろ?だからこいつを何に使うかって迷っててなぁ・・・」

 

「よかったら一緒に考えてあげようか?」

 

「んー・・・いや、いい。こういうのは自分で考えた方がいいだろ」

 

「そう。わかったわ」

 

クリスは給料を何に使うか真剣に考える。そのクリスを邪魔しちゃいけないと思い、海恋は寮に戻る。

 

~♪~

 

そして翌日。ようやく買うものが決まったようで、クリスは弦十郎を連れてどこかへと向かっている。海恋はクリスの買うものが気になるようで、ついてきている。

 

「というわけで、あたしの買い物に付き合ってもらう!」

 

「だからってなんで俺が?」

 

「あの2人じゃダメなんだよ!てか、なんでお前ついてきてんだ?」

 

「気になるのよ。あなたが何にお金を使うのかを」

 

「傑作アクション映画でも探してるのか?だったら・・・」

 

弦十郎はクリスが何を買うのかと推察していると、彼女の歩みを止めた。どうやら目的地に着いたらしい。弦十郎と海恋が顔を見上げてみると・・・店の看板には仏具店と書かれている。

 

「「ぶ、仏具店!!?」」

 

まさか仏壇を買うためにやって来たとは思わず、弦十郎と海恋は驚愕する。

 

「へへ、1番かっこいい仏壇を買いに来たぜ!」

 

「意外というか・・・なんというか・・・想像を絶する渋い趣味をお持ちの用で・・・」

 

「というか、1番かっこいい仏壇っていったい何なのよ・・・?」

 

クリスのお金の使い道に対し、弦十郎と海恋は何と反応すればいいのかわからなかった。

 

~♪~

 

購入した仏壇はクリスの家まで運ばれた。ちなみに、なぜ弦十郎を呼んだのかというと、この仏壇を家まで運ぶためだったのだ。それもむき出しで。普通に業者に頼めばよかったのではないかと思うが。

 

「わりぃな。でかい荷物を運ばせちまって。おかげで助かった」

 

「むき出しで運ばされるなんて思ってもみなかったぞ・・・」

 

「ていうか、仏壇なんて買って、どうするつもりだったのよ?」

 

海恋はクリスが仏壇を買った理由を尋ねる。するとクリスは笑みを浮かべる。

 

「ふ・・・あたしばっかり帰る家ができちゃ、パパとママに、申し訳ねぇだろ?」

 

クリスの話を聞いた時、弦十郎と海恋は驚き、笑顔を浮かべる。

 

「クリス・・・あんたやっぱりちゃんと考えていたのね・・・見直したわ」

 

(仏具店からここまでの帰り道・・・7回も職質された甲斐があったのかもしれないな・・・)

 

弦十郎はうんうんと頷いている。

 

 

 

『お料理の支度』

 

 

 

ある日の休日、日和と海恋は咲の住んでるマンションに遊びに来ている。時間はその時のちょうど夜ご飯の時間帯。今日は咲からの誘いで夕食はここでとることになった。その際に海恋が料理を手伝うと言い出したので、3人で料理をすることになった。本日のメニューはビーフシチューだそうだ。

 

「ねぇねぇ、お肉も野菜もいい感じになって来たんじゃないかなぁ?」

 

「う~ん・・・そうねぇ・・・こんなものでいいかしらね。日和、ルーを取ってもらえる?」

 

「うん!わかったよ!」

 

ルーを入れる頃合いと判断した咲は日和にルーをとってくるように頼み、日和は冷蔵庫からルーを探す。

 

「2人が手伝ってくれて、こっちも大助かりよ」

 

「いえいえ、日頃から何から何まで咲さんにはお世話になりっぱなしですし・・・せめてこれくらいは・・・」

 

「本当、海恋ちゃんは健気ねぇ・・・。それなのに西園寺家ときたら・・・」

 

自分から手伝いを申し込んでくれる海恋に対し、咲は感心しており、それとは逆に彼女の実家である西園寺家に対し、軽蔑的な反応を示している。そんな咲を見て海恋はまずいと思い、別の話題を振る。

 

「と、ところで咲さんは昔から料理を?」

 

「え?ええ。昔っから日和は食べることが好きでね・・・出された料理は苦手なもの以外何でもおいしく食べるの。その時の顔を見ると、心が晴れるものだから・・・思い切って料理を始めたのもちょうどその頃ね」

 

「わかります。私も料理を始めたのはそんな感じでして・・・生まれて初めて知りましたよ。おいしく食べてくれるってことが、こんなに嬉しいものだったなんて。実家にいた頃は、料理すらさせてもらえませんでしたので・・・」

 

「そうよねぇ・・・。辛かったわよねぇ・・・。ほんっとうに西園寺家はろくでもないんだから・・・」

 

(や、やば・・・ぶり返した・・・)

 

思わず実家の話をしてしまい、話題を逸らすどころか逆にぶり返し、海恋はしまったと思った。咲は西園寺家に対する愚痴を延々を言い続けている。

 

「お姉ちゃんー、ルー持ってきたから入れるねー」

 

「え?あ、持ってきたの?じゃあ・・・お願いね」

 

「はーい」

 

(ひ、日和!グッジョブ!)

 

そこに救世主現るかのタイミングで日和がルーを持ってきたので、咲の愚痴はそこで止まった。海恋は日和に対し、感謝を心から送っている。ルーを入れて時間をかけて煮込んで完成だ。完成した品は食卓に並べられ、3人で食事を始める。ただ完成した品を見て、海恋が口を開く。

 

「・・・な・ん・で・・・ビーフシチューのはずがカレーになっちゃうのよ!!?」

 

そう、食卓に並べられたのはビーフシチューではなくカレーだったのだ。どうやら日和はカレーとビーフシチューのルーを間違えてしまったようだ。

 

「まあまあ海恋ちゃん・・・失敗は誰にだってあるわ。ね?」

 

「そうそう、失敗は成功の元って言うでしょ?だから失敗してもへっちゃらへっちゃら!」

 

咲は冷や汗をかきながら日和を庇っている。日和はその咲に便乗している。だが海恋は知っている・・・咲が同じ失敗をやらかしてしまっていたことを。

 

「・・・この姉にして妹ありね・・・」

 

海恋は咲と日和の姉妹を見てそう呟きながらテレビをつける。番組はちょうど咲が見たいニュース番組になっているようだ。

 

『・・・風鳴翼さんが、クイズ番組に出演との・・・』

 

「つ、翼さんが!!??」

 

「クイズ番組に!!??」

 

「マジでぇ!!??」

 

翼がクイズ番組に出演するとの放送が流れ、テレビを見ていた3人は驚愕で満ちていた。その後、日和は翼に電話で確認してみたところ、どうやら緒川にそういうスケジュールを入れられたそうだ。とはいえ、翼ファンである日和はそれを止めるようなことはせず・・・というかむしろ出てくださいと頼み込んだとか。

 

 

 

『Gが始まる少し前・・・』

 

 

 

夏休みが終わって数日・・・今日も学校が始まる。クリスも編入してリディアンに通うようになったため、制服に着替えている。クリスは両親の仏壇の前に座り、リンの音を響かせ、挨拶をする。

 

「おはようさん」

 

クリスは2つの位牌に挨拶がてら合掌する。

 

「クリスー!早くしなさいよー!」

 

その最中、外から海恋の声が響いてきた。どうやらわざわざクリスの家まで迎えに来たらしい。ちなみに日和は寮でまだ寝ている。

 

「朝から騒々しくてわりぃな。でも、騒々しいのは音楽一家らしいだろ」

 

クリスは一礼して、学校鞄を持って立ち上がる。

 

「んじゃ、学校に行ってくる。・・・正直、まだ慣れないし、騒々しいところだけど・・・パパとママの子供だから、あたしも騒々しいのは嫌いじゃないみたいだ」

 

位牌に向けてそう呟いた後、家の外に出た。

 

「よう・・・待たせて悪かったな」

 

「挨拶は済んだみたいね。さ、行きましょう」

 

海恋と合流したクリスは彼女と共に、今日もリディアンへと向かうのであった。




XD-エクスドライブアンリミテッド-

東雲日和ーメイド型ギアー

その名の通り、メイド衣装を模したギア。日和のメイドギアはメイド衣装に胸元がハートマークのように開いており、ギアの結晶部分にリボンがついている。スカート部には機械装飾の猫の尻尾があり、メイドカチューシャのヘッドギアには猫耳がついている。使用するアームドギアは熊手付箒である。
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