リディアンの午前中の授業が終わり、日和たち3年生組の3人は休み時間を使って羽を伸ばす。そんな中、クリスは1枚の用紙を見て面倒そうな表情をしている。
「たく・・・面倒だよな・・・三者面談ってよぉ・・・」
その用紙というのは三者面談についての用紙だ。近いうちにリディアンは三者面談を実施するようだ。それは3年だけでなく、全学年が対象だ。
「そう言わないの。三者面談は成績のことだけじゃなく、自分の将来についての相談ってのもあるんだし。特に私たちは3年生。学校とかの希望進路についても、話さないといけないし」
「あ~・・・面倒くせぇ~・・・」
海恋の説明に両親がいないクリスは本当に面倒そうにしている。
「クリスはししょーに来てもらうの?」
「そうするしかねぇだろ・・・。お前はいいよな・・・姉貴に来てもらえればいいんだからよ・・・」
「そうでもないよ。お姉ちゃんのお仕事の都合とかもあるから、ちゃんと調整しないと・・・」
「特に咲さんは医者だしね。時間の調整も難しいでしょう」
今回の三者面談には日和は自分の姉であり、診察医である咲に、クリスは弦十郎に来てもらう予定のようだ。どちらにしても、2人とも時間調整の話し合いが必要になるのは必須だろう。
「で?お前はやっぱりパパかママに来てもらうのか?」
「冗談じゃないわよ。何で父さんか母さんに来てもらわないといけないのよ」
クリスが海恋の両親の話題を振ったら、海恋は誰が見てもわかるような不機嫌そうな表情になっている。その表情に驚いているクリスに日和が説明する。
「海恋ね、お父さんとお母さんの反りが合わなくて、今絶縁中なの」
「げっ・・・マジか・・・わ、わりぃ・・・」
海恋の家庭事情を聞いてクリスはバツが悪そうに彼女に謝った。
「いいわよ。気にしたってしょうがないもの」
「けど・・・それだとどうすんだよ・・・三者面談」
「はぁ・・・気は進まないけど、じいやに頼むしかないわよ」
「じいやって誰だよ?」
海恋の口から出てきたじいやという人物を知らないクリスは首を傾げる。ここでも日和が説明する。
「海恋の家の使用人のおじいちゃんだよ」
「は!!?使用人!!?」
「知らないの?西園寺家ってこの辺りじゃ有名なお金持ちだよ?」
「てことはお前・・・金持ちのお嬢様だってのかぁ!!?」
海恋の身分について知ったクリスは非常に驚いた様子だ。その様子にもう見飽きたといった様子である。
「日和が言ってたでしょ、絶縁してるって。お嬢様なんかじゃないわよ。お金もないし」
「海恋、クリスが驚きすぎて口があんぐりしてるよ?」
日和の言うとおり、クリスは海恋の身分に驚きすぎて口をあんぐり開けている。
「はぁ・・・この話はもうおしまい。別の話をしましょう」
「あ、それなら・・・ねぇねぇクリス、今日クリスの家に遊びに行ってもいい?」
「・・・あ?なんだよ突然・・・」
別の話題を振られて、日和がクリスの家に遊びに行っていいか尋ねる。放心状態から回復したクリスは日和の提案に明らかに嫌そうにしている。
「だって今日は翼さんが出演するチャリティロックフェスだよ?それも・・・マリアさんとのコラボ!大いに盛り上がりたいじゃん?寮じゃ・・・ほら、盛り上がりに欠けるじゃん?」
チャリティロックフェスと呼ばれるライブが今日開催されるのだが、日和の目的はそこに出演する翼、そして世界のトップアーティスト、マリア・カデンツァヴナ・イヴとのコラボ。その中継をテレビで見て、大いに盛り上がるためにクリスの家に行きたいらしい。
「だからってあたしん家に転がり込んでくるかよ・・・」
「ね!お願い!!ちゃんと大人しくするからさ!!部屋だって汚さない!!だから・・・ね?ね?ね?」
「諦めなさいクリス、こうなった日和はかなりしつこいわよ」
必死に頼み込んでくる日和の姿に海恋はちょっとあきれた様子でそうクリスに言う。必死に頼まれてクリスは自身の頭をかく。
「あー!もう、わかったわかった!その代わり、絶対にうちを汚すんじゃ・・・」
「やったーー!!クリス、ありがとーー!!」
「うあっ!!?く、くっつくなぁ!!」
家に来てもいいという許可をもらい、日和はクリスに抱き着いた。いきなり抱き着かれたクリスは日和を引きはがそうとする。微笑ましい光景に海恋は微笑みを見せる。
~♪~
リディアンの全ての授業が終わり、日和と海恋は宣言通りにクリスの家に遊びに来た。開演時間は夜ゆえに、夕飯を済ませ、入浴を済ませ、お菓子を用意することで後は開演を待つだけだ。ただ・・・
「おい!なんか増えてねぇか!!?なんも聞いてねぇぞ!!?」
「・・・どうやら、全員同じ気持ちみたいね・・・」
ライブをクリスの家で見たいのは響たちも同じらしく、友人含めて全員がここに集まっている。
「すみません、こんな時間に大人数で押しかけてしまいました」
「ロンドンとの時差は約8時間!」
「チャリティロックフェスをみんなで楽しむには、こうするしかないわけでして・・・」
響の友達である寺島詩織と安藤創世は申し訳なさそうにしているが、板場弓美は特に悪びれた様子はない。
「ま、頼れる先輩ってことで!それに、やっと自分の夢を追いかけられるようになった翼さんのステージだよ?」
「・・・みんなで応援・・・しないわけにはいかないよな!」
「それに、翼さんだって、世界で歌えると知った時、嬉しそうだったものね」
海外進出して世界で歌おうとする翼を応援したい気持ちはクリスも同じだったようだ。
「そしてもう1人・・・」
「マリア・・・!」
「歌姫のコラボユニット、復活デス!」
「きっとフォルテさんも、近くで応援してるんだろうなぁ・・・」
話し込んでいる間にもチャリティロックフェスが開演された。翼とマリアが歌う曲は、星天ギャラクシィクロス。
『『~~♪』』
テレビの奥の会場の証明が明るく、本ステージの主役である翼と、マリア・カデンツァヴナ・イヴがライトアップし、2人の歌姫は水上を滑るように歌う。音楽が始まると、水のアーチが噴射し、宙に虹を生み出す。
サビに入ると夕日は夜となり、天井に映し出されるプロジェクターから星々のように降り注ぐ。まさに、星天ギャラクシィクロスにふさわしく、星をイメージした演出、そして2人の歌声に観客全員は魅了される。そして歌の最後に青と桃色の銀河が1つに混ざり合い、超新星爆発を起こし、クロス状に輝きを放つ。
『わああああああああ!!』
ライブの歌が終わり翼とマリアは観客たちに手を振っている。会場は観客たちの興奮で満ち溢れている。テレビで見ていた響たちも興奮である。
「キャー!こんな2人と一緒に友達が世界を救っただなんて、まるでアニメだねぇ~!」
「アー、ウン、ホントダヨー」
「ウン、ソダネー・・・」
弓美の言葉に響と日和は曖昧な表情でそう返した。
~♪~
チャリティロックフェスで歌う全ての歌が終わり、世界のトップアーティストであり、レセプターチルドレンの1人であるピンクの長髪の女性、マリア・カデンツァヴナ・イヴはエレベーターに乗って会場の下に降りる。そんなマリアを出迎えたのは、赤い長髪で緑と紫のオッドアイの黒服の男装女性であった。
「マリア。お疲れ」
彼女の名はフォルテ・トライライト。マリアたちと同じくレセプターチルドレンの1人で、4人のリーダーである。現在ではマリアのマネージャーを務めている。フォルテはマリアに暖かい飲み物を渡す。
「ありがとう、フォルテ」
フォルテの出迎えにマリアは笑顔を見せている。するとフォルテの後に続くように、黒服の男たちが近づいてきた。それを見たフォルテとマリアはあまり気に入らないような様子を見せている。
「任務、ご苦労様です」
「アイドルとそのマネージャーの監視ほどでもないわ」
「監視ではなく警護です。世界を守った英雄を狙う輩も、少なくはないので」
黒服の男たちの言葉には裏が見え透いている。それにはいい気分はしないマリアはフォルテと耳打ちで会話する。
(わかっていたけれど・・・あまりいい気分じゃないわね)
(仕方がない。僕たちは、それを受け入れるほかあるまい)
不満は多々あるものの、マリアとフォルテは黒服たちの裏に従いつつ、うまくやっていくしかないと判断している。
~♪~
そもそもなぜマリアとフォルテが黒服たちの裏に従わなければいけないのか、その理由を切歌と調が話す。
「月の落下とフロンティアに関する事件を収束させるため、マリアとフォルテは生贄とされてしまったデス・・・」
「大人たちの体裁を守るためにマリアはアイドルを・・・フォルテはマネージャーを・・・。文字通り偶像を強いられるなんて・・・」
マリアとフォルテはフロンティア事変収束後の裁判で無罪となったのだが、米国政府の思惑でマリアとフォルテは米国政府のエージェントとなり、マリアは世界の歌姫、フォルテは歌姫を守るマネージャーとして立ち振る舞わなくてはいけなくなったのだ。米国政府の裏に、調と切歌は皮肉を感じている。
「そんなことないよ」
暗くなっている調たちに未来は口を開いた。その言葉に事件の当事者のメンバーは未来に視線を向ける。
「マリアさんたちが守っているのはきっと、誰もが笑っていられる日常なんだと思う」
「未来・・・」
未来の言葉に、調と切歌は表情が明るくなる。
「そうデスよね!」
「だからこそ、私たちがマリアとフォルテを応援しないと・・・!」
調と切歌はマリアとフォルテを応援したい気持ちが強くなる。2人にとって、マリアとフォルテは、同じ施設で育った、家族なのだから。
~♪~
夜の月が輝きだした頃・・・建物の頂上に黄色のディーラー服を纏う女性と、紫色のカウガール服を身に纏う女性がたたずんでいる。ディーラーの女性は持っていたコインを数枚指ではじき、コインは運転中のタンクローリーのタンクを貫き、さらにタイヤを貫き、破裂させる。
ハンドルを切れなくなったタンクローリーはガードレールを破壊し、崖に転落した。街のど真ん中に横転したタンクローリーのタンクには穴が開いており、ガソリンが流れ出ている。運転手はタンクローリーを放棄してその場から逃げ出す。
そして、カウガール服の女性はタンクローリーに向けて拳銃の弾を発砲する。弾はタンクローリーに直撃する。すると・・・
バリバリバリバリ!!!ドガアアアアアン!!!
タンクローリーはまるで落雷に当たったかのように感電し、中のガソリンが引火して大爆発を引き起こした。女性2人は爆発に目を向けていない。視線に捉えているのはその先・・・何かを抱えて逃げているローブの人物である。
~♪~
日和たちがクリスの家でテレビを見ている時、弦十郎からの通信が入った。
『第7区域に大規模な火災発生。消防活動が困難なため、応援要請だ』
「わかりました!響ちゃんとクリスと一緒にすぐに向かいます!」
任務の通知が来て、日和、響、クリスの3人は立ち上がる。
「響・・・」
「大丈夫、人助けだから!」
未来は響を心配している様子だ。そんな彼女を響は安心させようと笑みを浮かべてそう言った。
「私たちも・・・」
「手伝うデス!!」
調と切歌も響たちを手伝おうと名乗りを上げている。確かに2人はシンフォギアを持っている装者ではあるのだが・・・
「2人は留守番だ!LiNKERもなしに出動なんてさせないからな!!」
2人は適合係数を引き上げるための薬品、LiNKERを使うことでシンフォギアを纏うことができる。そしてそのLiNKERを作れる科学者は現時点ではいない。そのため、2人はシンフォギアを纏うこと自体はできるが、LiNKERがないためにバックファイアを引き起こすのは間違いない。ゆえにクリスたちは2人の出撃はさせない。
「「むぅ~・・・!」」
留守番を言い渡された調と切歌はふてくされたように頬を膨らませる。日和、響、クリスは急いで家を出て、火災発生現場に向かう。
~♪~
一方、マリアとフォルテの方も異変が起きている。マリアとフォルテは黒服の男たちと共にマネキンが並ぶ廊下を歩いている。すると、その廊下に風が吹く。ここは密室であるため、風が吹くことはまずない。それによってマリアたちは警戒態勢をとる。
「風・・・⁉誰かいるの・・・⁉」
「・・・司法取引と情報操作によって仕立て上げられたフロンティア事変の汚れた英雄、マリア・カデンツァヴナ・イヴ・・・」
マリアたちが警戒していると、どこからか女性の声が聞こえてきた。周囲を見回すが、周りにはマネキンしかいない。
「何者だ?姿を現せ」
警戒を続けていると、突然マネキンの中に紛れていた緑のフラメンコドレスを着た女性が黒服の男に襲い掛かり、右腕を彼の首に回して引き寄せ、強引に口づけを交わした。
「離れろ!!」
もう1人の黒服はフラメンコの女性に向けて銃を突きつけるが、女性はお構いなしだ。すると、口づけされている男に変化が起きる。男は何かを吸われているかのようにみるみると白髪と化し、生気が失われていく。女性は生気を失った男はもう用はないとし、襟を首を掴んで床に落とした。同時に黒服が弾丸を3発発砲する。女性は微笑みを浮かべ、スカートを翻す。すると・・・
ビュオオオオオ!!
彼女の周りに突如暴風が発生した。暴風は弾丸を全て弾き返し、黒服の男に全て命中する。しかも、最後の弾は眉間に直撃・・・つまり即死だ。女性はフラメンコダンスをしながらステップを踏み、マリアたちと向き合う。異形な力を持つ女性にマリアは驚愕している中、フォルテは彼女の前に出て、構えをとる。
「・・・ミスティルテインの装者・・・フォルテ・トワイライト・・・」
「もう1度言う。何者だ?なぜ僕の名を知っている?」
「・・・今宵は、あなたの歌を聞きにまいりましたの」
フラメンコの女性はフォルテの問いには答えず、彼女に向けてそう言った。その口ぶりは、マリアには用はないと言った様子だ。
~♪~
同時刻、何かを抱えているローブの人物はディーラーの女性とカウガールの女性から逃げている。2人はローブの人物を逃がすつもりはない。
「踊れ、踊らせるがままに・・・」
ディーラーの女性はポーズを取りつつ、指の間からコインを召喚し、それを弾いて弾丸のように放った。コインは車のガソリンタンクに通過する。それによって車は爆発する。
「ああ!!」
ローブの人物は爆発によって吹き飛ばされる。吹き飛ばされたローブの人物は何とか起き上がり、階段を駆け下りていく。
「逃がさないぜ!!ヒーハー!!!」
カウガールの女性はローブの人物に向けて拳銃を撃ち放つ。弾丸はローブの人物の周りに直撃していく。不思議なことに直撃した弾丸の弾は1つも残っていない。カウガールの女性の放つ弾丸で逃げ道を制限されてもローブの人物は必死に逃げる。そんな中・・・燃え広がっていく建物を・・・とんがり帽子を被った少女が見つめていた。
~♪~
日和、響、クリスの3人は火災が発生している地区にヘリでやってきた。現在は弦十郎から通信で現状を聞いている。
『付近一帯の避難は、ほぼ完了。だが、このマンションに多数の生体反応を確認している』
「まさか人が・・・⁉」
『防火壁の向こうに閉じ込められているようだ。さらに気になるのは、被害状況は依然四時の方向に拡大していることだ』
「それって意図的にってこと⁉」
「赤猫が暴れていやがるのか?」
『響君は救助活動を。日和君とクリス君は被害状況の確認にあたってもらう』
「「了解です!」」
弦十郎の指示を受け、響はヘリの扉を開ける。
「任せたぞ!」
「任された!」
「響ちゃん、絶対に無理しないでね!」
「2人も無茶は禁物ですよ!」
響は火災現場のマンションに向かって、ヘリから飛び降りる。そして響はシンフォギアを纏う詠唱を唄う。
Balwisyall Nescell Gungnir tron……
詠唱を唄った響の制服は分解し、シンフォギアを身に纏い、マンションの屋根に蹴りを放って内部に侵入した。マンション内部は炎が蔓延しており、煙も充満している。
『響ちゃんの反応座標までの誘導、開始します!』
マンション内部に侵入した響は友里が通信で送った反応座標を頼りに、移動を開始する。
~♪~
一方のフォルテはフラメンコの女性との交戦が始まった。女性は剣を取り出し、フォルテに剣を振るって攻撃する。フォルテは元反乱軍の軍人としての能力を生かし、女性の振るう剣を躱す。女性の振るう剣の一瞬の隙を狙い、フォルテは女性に腹部に掌底を放った。
「この感触は・・・!」
フォルテは掌底を放った際に触れた女性の身体の感触に違和感を覚え、すぐに女性は危険だと判断したフォルテはジャンプして女性に向けて蹴りを放ち、蹴りの勢いで後ろに下がり女性から距離を置く。
「・・・歌わないのであれば、そうさせるまでのこと」
シンフォギアを身に纏う様子がないフォルテに女性は標的をマリアに変更し、彼女に襲い掛かる。
「マリア!!」
女性はマリアに向けて剣を振るう。マリアはその攻撃をバク転で回避し、次々繰り出される剣技を避け、さらに振り下ろした剣を飛んで躱す。
「はあああああ!!」
マリアは空中で回し蹴りを放ち、女性の首に叩き込んだ。だが女性には効いた様子はなく、逆にマリアの体を押し上げた。
「しまった!!」
「マリアぁ!!」
女性はスカートをはためかせ、マリアに向けて真っ直ぐに剣を突き上げようとする。フォルテはマリアを助けようと動くが、間に合わない。
~♪~
避難が遅れた人々を救出するために響は移動していく。途中で階段が瓦礫で防がれた時は、床に拳を叩きつけて、穴を開けながら下に降りていく。救助対象のいる階に響が到達すると、友里の通信が届く。
『響ちゃん!左手90度の壁をぶち抜いて迂回路を作って!』
友里の指示を受け、響は言われた通りの角度に拳を叩きつけて、壁を破壊して迂回路を次々と破壊していく。そうしながら先へ進み、救助対象がいる場所にたどり着く。響は立ちふさがる壁を拳で破壊する。
「避難経路はこちらです!」
逃げ遅れた人々たちは助けが来てくれたことに喜び、響の避難誘導に従い、避難経路を進んでマンションから脱出する。
『響ちゃん、生体反応ラスト1!』
響はまだ逃げ遅れた人を見つけるため、反応座標を頼りに壁を破壊しながら先へ進んでいく。立ちふさがる壁を破壊していくと、倒れこんでいる少年を発見する。おそらくは煙を吸いすぎて身体が弱ってしまったのだろう。響は少年に駆けつけ、抱きかかえる。すると天井より瓦礫が落ちてきて響たちを押しつぶそうとする。響は慌てることなく、飛びながら蹴りを放ち、瓦礫を破壊し、マンションから飛び出した。後は駆けつけてきた救急車まで運べば任務完了だ。
~♪~
フラメンコの女性が剣を突き上げ、マリアを貫こうとした時、2人の間にシンフォギアを身に纏った翼が滑り込み、女性の剣を刀で受け止めた。
「翼!!?」
「友の危難を前にして、鞘走らずいられようか!」
「すまない、風鳴」
女性と距離を取った翼の元にフォルテが駆け寄る。
「待ち焦がれていましたわ・・・」
「貴様は何者だ!!?」
翼の問いかけに女性はフラメンコのポーズを取り、3度目の問いに答えた。
「オートスコアラー」
「オートスコアラー・・・?」
聞いたこともない言葉に翼たちは疑問符を浮かべる。だが襲ってきたからには敵であるというのは変わらない。
「あなたの歌を聞きに来ましたのよ」
そう言った女性は剣先を翼に向けて突きかかってきた。翼は女性の振るう剣を刀で正面から受け止め、押し返す。翼はさらにもう1本の刀を取り出し、女性に刀を振るってそこから連撃を振るう。女性は翼の振るう刀を難なく剣で受け止める。さらに翼は2つの刀の柄を連結させ、双刀に炎を纏わせ、脚部のブレードのブースターを起動し、飛んで躱した女性が着地した瞬間を狙う。
「風鳴る刃、和を結び、寡欲をもって切そぐう・・・」
刀の炎が上昇し、蒼き炎に変化する。
「月よ、煌めけ!!」
翼は刀を回転させ、女性が着地した瞬間に振るった。
【風輪火斬・月煌】
炎を纏った斬撃を喰らった女性は吹き飛ばされ、荷物にぶつかり、崩れ落ちた荷物の下敷きになる。
~♪~
同じ時間帯、火災現場には救急車と消防車が集まっており、消防隊員は消火活動を開始している。救急救命士は運ばれてきた負傷者を救急車に収容する。中には子供が取り残され、救急救命士に救出を依頼する人もいる。そこに響が負傷した少年を抱えてやってきた。
「お願いします!」
「!コウちゃん!」
「煙をたくさん吸い込んでいます!早く病院へ!」
「ご協力感謝します!」
響は負傷した少年を救急救命士に後を託した。逃げ遅れた人々を全て救出した響はその場を後にしようとした時、視界の先にとんがり帽子を被った少女が燃え上がるマンションの炎を見つめている。少女は燃え広がる炎を見て、昔の記憶を思い返している。
『それが神の奇跡でないのなら、人の身にすぎた悪魔の知恵だ!!』
『裁きを!!浄罪の炎でイザークの穢れを清めよ!!』
『パパ!!パパぁ!!』
『キャロル。生きて・・・世界をもっと知るんだ』
『世界を・・・?』
『それが、キャロルの・・・』
父が炎に焼かれていく光景を思い出した少女は目に涙を溜めている。
「・・・消えてしまえばいい思い出・・・」
「そんなところにいたら危ないよ!!」
少女の思考は響の声で現実に戻る。少女は響の声を聞き、彼女に視線を向けた。
「パパとママとははぐれちゃったのかな?そこは危ないから、お姉ちゃんが行くまで待っ・・・」
「黙れ」
少女は円を描き、緑の紋章を描く。すると紋章より、竜巻が現れ、それを響に放った。
「うわあ!!?」
響はとっさに竜巻を躱したことで直撃は免れた。竜巻が直撃した箇所は、抉られており、凄まじい威力だというのがわかる。そこにクリスと日和の通信が入る。
『敵だ!!敵の襲撃だ!!』
『響ちゃん!そっちはどうなってるの!!?』
「敵・・・?」
敵というワードに響は思わず少女に視線を向けた。攻撃を放ってきた少女は緑の紋章を掲げ、響を見下ろしている。
~♪~
勢いよく吹っ飛ばされ、女性は荷物の下敷きになっている。マリアはそのことで翼に叱咤する。
「やりすぎだ!人を相手に・・・」
マリアの言葉にフォルテが異を唱える。フォルテ自身も、放った掌底で女性が普通じゃないとわかっているからだ。
「やりすぎなものか!風鳴、剣を交えた君ならわかるはずだ!」
「ああ・・・!手合わせしてわかった・・・!」
翼が荷物に視線を向けたと同時に、女性は荷物を蹴散らし、再び立ち上がる。女性には傷を負った様子は1ミリもない。
「「こいつは・・・どうしようもなく、化け物だ!!」」
「聞いてたよりずっとしょぼい歌ね・・・。確かにこんなのじゃ、やられてあげるわけにはいきませんわ」
女性はフラメンコのポーズを取りつつ、余裕そうな笑みを浮かべている。
~♪~
響を見下ろす少女は緑の紋章を掲げ、さらに複数の陣を張った。
「キャロル・マールス・ディーンハイムの錬金術が・・・世界を壊し、万象黙示録を完成させる」
「世界を・・・壊す・・・?」
「オレが奇跡を殺すと言っている!」
そう宣言した少女、キャロル・マールス・ディーンハイムは展開した陣を響に向け、1つとなった陣より、複数のエネルギー波を放ち、襲い掛かった。
東雲日和(GX編)
外見:黒髪のショートヘア、頭にウサギリボンのようなカチューシャをしている。
瞳は青色
年齢:17歳
誕生日:10月27日
シンフォギア:妖棍・如意金箍棒
趣味:セッション
好きなもの:ベッキー(日和の白いベース)
スリーサイズ:B:86、W56、H85
イメージCV:輪廻のラグランジェ:京乃まどか
(その他の作品:マギ:アラジン
変態王子と笑わない猫:小豆梓
クロスアンジュ 天使と竜の輪舞:ロザリー
その他多数)
本作の主人公。リディアン音楽院の3年生。特異災害対策起動部二課改め、S.O.N.Gのシンフォギア装者で、如意金箍棒の適合者。
フロンティア事変より時が流れ、3年生となり、調と切歌がリディアンに入学したことにより、最上級生となったと自覚を持つようになり、先輩らしいところを見せたいと日々奮闘している。
彼女のここ最近の悩みはバンドメンバーである小豆の墓参りで彼女の家族にどのようにして会わないようにするかである。2年前のあの惨劇は、今も記憶に残っており・・・彼女にとってあの事件は未だ続いており、まだ終わりではないのだから。
GX編楽曲
『My Best Soulfrend』
亡くなった友との繋がりを途絶えさせぬよう、がむしゃらに奮闘し、今を精いっぱい頑張るという誓いの楽曲。