戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

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後書きにオートスコアラーのイメージを載せます。こちらはPicrewの『妙子式2』のキャラメーカーを使用しております。服のイメージとカラーリング、そして帽子などの足りないものはイメージでお願いします。当然自作ではないのであしからず。


ガングニール、再び

S.O.N.Gの潜水艦の食堂にて、マリアは遅めの昼食をとっている。そんな中マリアは、今は亡きナスターシャからセレナのアガートラームを受け取った日を思い返している。

 

『これは・・・セレナのアガートラーム・・・』

 

『破損したシンフォギアを作戦行動に組み込むことはありません。持っていなさい』

 

あの日、ナスターシャからアガートラームを託され、目を見開いたことはよく覚えている。

 

『これから、偽りを背負って戦わなければいけないあなたに・・・小さなお守りです』

 

『・・・ありがとう、マム・・・。大丈夫よ・・・。私・・・セレナのように強く輝けるかな・・・?』

 

強く輝けるか・・・その答えは、未だ見つかっていない。戦うべきギアを持たない今のマリアは、強さとは何かを考え込んでいる。

 

「・・・強く・・・」

 

ヴゥー!ヴゥー!

 

マリアが考え事をしていると、艦内からアルカ・ノイズ出現のブザーが鳴り響く。

 

「アルカ・ノイズ・・・!」

 

アルカ・ノイズのブザーを聞いたマリアはすぐに立ち上がり、食堂を出ていった。

 

~♪~

 

ブリッジの方では、アルカ・ノイズの反応を検知し、出現座標を絞り込む。

 

「アルカ・ノイズの出現を検知!座標絞り込みます!」

 

「エルフナインちゃんからの情報で、捕捉精度が格段に上がっている・・・!」

 

友里の言うとおり、エルフナインが提供してくれたアルカ・ノイズの情報のおかげで、捕捉精度が上がり、座標を絞り込むのにそう時間はかからなかった。モニターにはアルカ・ノイズに囲まれている響たちと、オートスコアラー、シャルと戦っている日和が映っていた。

 

「急ぎ装者たちに対応を・・・っ」

 

「調ちゃんと切歌ちゃんのコンディションで戦闘行為は無謀です!フォルテさんのメディカルチェックの結果だってまだ出ていません!使用可能なギアがない以上、翼さん、クリスちゃん、マリアさんだって出せません!」

 

現状でまともにギアを纏うことができるのは日和と響の2人だけ。戦力が圧倒的に不足している状況に、弦十郎は歯噛みをしている。

 

「まともにギアを纏えるのは、日和君と響君のみ・・・!」

 

S.O.N.Gのメンバーが見守っている中、日和のモニターでは、シャルの弾丸を弾いた日和が雷に打たれ、倒れる姿があった。

 

~♪~

 

シャルの弾丸の雷を受けて倒れる日和は痛みを堪えつつも、立ち上がろうとする。そんな日和にシャルはレールガンを突きつける。

 

「悪いな。大人しくやられてくれや」

 

シャルが引き金を引こうとした時、日和は左手首のユニットより棍を射出させ、シャルの腕を無理やり上げさせた。これによって弾丸は宙を飛ぶ。

 

「悪あがきしない方が、身のためだぜ」

 

シャルはもう一丁のレールガンを取り出し、日和に向けて弾丸を発砲する。日和はすぐに転がって弾を躱し、飛び上がって立ち上がる。

 

「あたいの弾丸はこういう使い方もできるんだぜ」

 

ビリビリビリビリ!!

 

地に直撃した弾丸は電気が走りだし、電気は地面を這いずるように日和に向かって進行している。日和は電気に当たらないように飛んで躱す。シャルはそれを見てすぐに日和に弾丸を連射する。日和は近くの建物に棍を伸ばし、そしてすぐに引き寄せられるようにしながら棍を元の形に戻して弾丸を躱した。

 

「日和!!」

 

(海恋が近くにいたら巻き込まれる・・・!あいつを海恋から離れさせなくちゃ・・・!幸いあいつの狙いは私だけ・・・なら・・・!)

 

日和はシャルを海恋に目を着けられないようにするため、棍をシャルに伸ばして、注目をこちらに向けさせる。伸びてきた棍をシャルはバク宙で躱した。

 

「こっちだノロマ!来れるもんなら来てみろ!」

 

日和はわかりやすい挑発を言いながらその場を離れていく。

 

「はっ、鬼ごっこでもするつもりかい?オーケー、捕まえてやるよ!」

 

元よりキャロルに命じられた任務以外に眼中にないシャルは日和を追いかけながら、彼女にレールガンを連射する。日和は何とか弾丸を躱しながらさらに先へと進んでいく。

 

「・・・いったい何なの・・・?この胸騒ぎは・・・?」

 

日和がシャルを引き付けている姿を見て、妙な胸騒ぎを感じた。日和が遠くになっていくにつれ、だんだんと嫌な予感が込み上げてきて海恋は思わず走って日和を追いかけていった。

 

~♪~

 

一方その頃、ガリィが放ったアルカ・ノイズに囲まれた響たちは危機的状況に陥っている。響が聖詠の詠唱を唄うことができない。それによって響はシンフォギアを纏うことができない。すなわち、今この場で戦える術は何1つないということだ。

 

「なんで・・・聖詠が浮かばないんだ・・・」

 

響は聖詠が浮かび上がらないことに動揺し、大きく戸惑っている。

 

(ギアを纏えないこいつと戦ったところで意味ない・・・シャルはもう1人の奴と遊んでるし・・・ここは試しに、仲良しこよしを粉と引いてみるべきか・・・?)

 

ガリィは未来たちの方に視線を向け、あくどい笑みを浮かべている。破壊対象は響のガングニール・・・ならば響が無理にでもシンフォギアを纏わせるように仕向けようと考えたのだ。ガリィがアルカ・ノイズに指示を出そうとした時・・・

 

「あぁ、まどろっこしいなぁ・・・」

 

突然詩織が口を開いた。しかしその口調は普段の彼女とかけ離れて粗暴だ。それには全員が驚き、詩織に視線を向けた。

 

「あんたと立花たちがどんな関係か知らんけど、だらだらやんのならあたしら巻き込まないでくれる?」

 

「お前、こいつの仲間じゃないのか?」

 

「冗談!たまたま帰り道が同じなだけ・・・ほら、道を開けなよ」

 

「・・・っ」

 

ガリィは苛立った様子でアルカ・ノイズに指示を出して後退させた。そして、その瞬間詩織が皆に視線で合図を送り・・・

 

「行くよ!」

 

彼女の合図を理解した創世は未来の手を掴み、弓美と詩織と共にアルカ・ノイズの間を通って走り出した。響も3人の後ろを追いかける。

 

「あんたって、変なところで度胸あるわよね!」

 

「去年の学祭もテンション違ったし!」

 

それは去年の学祭のカラオケ大会で電光刑事バンのオープニングを歌った時のことであるのは間違いない。確かにあの時詩織は結構ノリノリであった。この状況を掴めてない未来が3人に問いかける。

 

「さっきのはお芝居!!?」

 

「たまにはあたしたちがビッキーを助けたっていいじゃない!」

 

「我ながら、ナイスな作戦でした!」

 

そう、先ほどの詩織の豹変ぶりはガリィを騙すための芝居だったのだ。そのおかげで逃げることができたのだが・・・

 

「・・・のぼせた希望をここでバッサリ摘み取るならねぇ・・・」

 

ガリィはあれが芝居であるというのはとっくに見抜いており、あえて見逃していたのだ。そして、ある程度離れたところでアルカ・ノイズに襲わせる。上げてから落とす・・・まさに性根が腐っている彼女らしいあくどい作戦だ。アルカ・ノイズは発光気管を伸ばし、街灯やベンチ、レンガの道を赤い粒子へと分解していく。ガリィは錬金術で足元を凍らせてスケートのように滑ってアルカ・ノイズの後を追いかける。

 

「上げて落とせば、いい加減戦うムードにでもなるんじゃないかしらぁ?」

 

「アニメじゃないんだからぁ!」

 

アルカ・ノイズの1体は響の足元を狙って発光気管を伸ばしてきた。アルカ・ノイズの発光気管が響の靴に当たろうとした時・・・

 

ズンッ!

 

アルカ・ノイズは棍に貫かれ、赤い粒子となって消滅した。それによって発光気管も消滅する。上を見上げてみると、日和がもう1本の棍をアルカ・ノイズの群れに向けて投擲する姿があった。投擲した棍は分裂し、複数体のアルカ・ノイズに直撃する時、爆発を引き起こした。

 

【才気煥発】

 

アルカ・ノイズは爆発に飲まれて消滅した。

 

「日和さん!」

 

「みんな、大丈夫⁉」

 

「は、はい!」

 

空中を舞う日和は響たちが無事かを問いかける。皆が無事でほっとしたのも束の間・・・

 

「!!日和さん!!後ろ!!」

 

日和を追いかけていたシャルが彼女の背後にいるではないか。日和が気づいた時にはもう遅い。

 

「!!しま・・・」

 

「ほぅら、捕まえたぜ!」

 

シャルは日和にかかと落としを放った。かかと落としを喰らった日和はそのまま地面に衝突する。

 

「「日和さん!!」」

 

「「「先輩!!」」」

 

地面に叩きつけられた日和は立ち上がろうとする。シャルは地に着地し、奥にいるガリィを見る。

 

「ずいぶん手こずってるようだねぇ。なんなら手を貸してやろうかい?」

 

「うっさい。余計なお世話だっつの」

 

余裕綽々なシャルの言葉にガリィは悪態をつきながらアルカ・ノイズの結晶をばら撒き、新たなアルカ・ノイズを召喚させる。召喚されたアルカ・ノイズは日和に襲い掛かろうとしている。立ち上がった日和は襲い掛かるアルカ・ノイズの攻撃を避けながら棍を振るってアルカ・ノイズを次々と倒していく。だがそこにシャルがレールガンによる射撃攻撃を放ってくる。日和は迫ってきた弾を危なげなくかわす。日和がアルカ・ノイズとシャルの対応をしている間にも、残ったアルカ・ノイズは響たちに向かって進行している。

 

「!いけない!!」

 

それに気づいた日和は棍を横払いしてアルカ・ノイズを倒し、すぐに響たちに向かうアルカ・ノイズを追いかけようとするが、そこにシャルが足止めをする。前に出てきたシャルに日和は棍を振るうが、シャルは両手のレールガンで棍を防ぐ。

 

「おいおい、逃げようなんてつれないねぇ。もっと遊ぼうぜ~?」

 

「みんな!!逃げて!!」

 

日和の叫びを聞いて、創世たちはこちらに向かってくるアルカ・ノイズから逃げ出す。響は自分も戦おうと思い、詠唱を唄おうとするが、やはり聖詠が浮かび上がらず、唄うことができない。

 

「響!」

 

未来の声を聞いて、響はアルカ・ノイズから離れるために逃げる。アルカ・ノイズは今度こそ響の足元を狙って発光気管を放った。発光気管は響の靴に直撃した。その瞬間、響の靴が分解し始めた。

 

「うわぁ!!?」

 

靴が分解したことにより響は転んでしまい、手に持っていたギアネックレスを手放してしまう。

 

「ギアが!!」

 

ギアネックレスが宙を舞った時、S.O.N.Gの黒い車がこちらに向かってきて、回転しながら急停止をした。車からマリアが飛び出し、飛んで宙に舞うギアネックレスを掴む。

 

「マリアさん⁉」

 

Granzizel Bilfen Gungnir Zizzl……

 

マリアが聖詠の詠唱を唄うと、ガングニールはマリアに応え、彼女に身に纏った。マリアのガングニールは響のガングニールと違い、黒い配色が多い。地に着地したマリアは両腕のガントレットを射出し、それを槍に変形させ、手に持つ。

 

ビリ・・・

 

だが、彼女もまた適合係数が低い。LiNKERを打たなければ、自身にダメージが返ってくる。マリアはそれに構わず、槍を構え、エネルギー砲をアルカ・ノイズに放った。

 

【HORIZON†SPEAR】

 

エネルギー砲はアルカ・ノイズを貫き、爆発。さらにその爆発で他のアルカ・ノイズを巻き込ませて消滅させる。

 

(戦える・・・この力があれば・・・!)

 

少しでも戦える力があれば、この状況を打破できるとマリアは考える。

 

「黒い・・・ガングニール・・・」

 

「へぇ・・・こいつは予想外だねぇ・・・」

 

これを見たシャルは意外そうな表情をしながらレールガンで日和の棍を跳ね除け、右手のレールガンで日和に撃ち放つ。日和は機械装飾の尻尾の先端に備わってる棍を地につけ、伸ばすことでその弾丸を回避する。宙を舞う日和はそのままマリアと背中を合わせる。

 

「マリアさん!」

 

「あなたはそのままあいつを止めておいて!アルカ・ノイズは私が片付ける!」

 

「はい!」

 

マリアの指示で日和はシャルに向かっていき、棍を連撃で振るう。シャルはそれを躱したり、レールガンで防いだり防御に徹している。だがその表情は余裕だ。そこに弦十郎たちからの通信が届く。

 

『緒川さん、マリアさん到着!』

 

『ガングニール、エンゲージ!』

 

『マリア君!発光する攻撃部位こそ解剖器官!気をつけて立ち回れ!!』

 

ガリィは新たなにアルカ・ノイズの結晶をばら撒き、アルカ・ノイズをさらに増やす。マリアはアルカ・ノイズを槍を振るって、襲い掛かるアルカ・ノイズを次々と倒していく。

 

「想定外に次ぐ想定外・・・捨てておいたポンコツが、意外なくらいにやってくれるなんて・・・」

 

ガリィはあくどい笑みを浮かべて余裕な様子だ。マリアはアルカ・ノイズに槍を投擲して、アルカ・ノイズを貫く。さらに襲い掛かるアルカ・ノイズを蹴りと拳の格闘技で次々と倒していき、槍を回収してアルカ・ノイズを薙ぎ払う。

 

「私のガングニールで・・・マリアさんが戦っている・・・」

 

自分が纏えなくて、マリアが纏えている・・・この現実は響自身に問題があると突きつけられている瞬間であった。アルカ・ノイズを倒したマリアは高く飛び、ガリィに向かって突き下ろそうとした。だがガリィは両手をかざし、水の錬金術で生み出した氷の盾を張り、槍を凌いだ。盾は小さく薄いが、防御力は絶大で突破することができない。

 

「それでも!!」

 

マリアは槍の先端部の両部位をパージし、ガリィの氷の盾を突破する。そしてマリアは小さくなった槍をガリィの胸元に突き刺した。ガリィの顔は項垂れ、誰もがマリアの勝利を確信した。だが・・・

 

「・・・!!?」

 

槍はガリィを貫いておらず、直前で青の障壁によって阻まれていた。ガリィはにたぁっとあくどい笑みを浮かべている。

 

「頭でも冷しやぁ!」

 

ガリィが張った青の障壁は広がり、そこから水の奔流が発生し、マリアを弾き飛ばした。弾き飛ばされたマリアは地に着地し、槍を突き立ててブレーキをかける。

 

「マリアさん!!」

 

日和がマリアに視線を向けた時、その一瞬の隙をついてシャルは彼女を蹴り上げて宙に浮かせる。

 

「がっ・・・!」

 

「よそ見してる場合かい?ガール」

 

シャルは宙に浮く日和の腹部にレールガンを突き立てる。そして、突き立てた左手のレールガンでゼロ距離射撃を放つ。

 

ビリビリビリビリビリ!!!!!

 

あああああああああ!!!!!

 

これによって日和は弾丸に直撃し、電気が身体中に感電し、大きなダメージを負う。マリアの方もギアのバックファイアで限界が近づいており、立つのもやっとの状態だ。

 

「決めた。ガリィの相手はあんたよ」

 

ガリィは標的をマリアに定め、深くお辞儀をする。

 

「いただきまぁ~す!」

 

ガリィは地面を凍らせて、高速で鋭角に滑ってマリアに接近する。そして、マリアの間近に迫り、右手を凍らせて、ギアコンバーターに向けて刃を振るおうとする。

 

パリィーン!!

 

だがその前に、マリアのシンフォギアが強制的に解除された。元の服装に戻ったマリアは地に膝をつく。彼女の呼吸は荒く、血涙と喀血を流している。

 

「それでもこの程度・・・」

 

ガリィは面白くなさそうな表情をして、右手の氷の刃を解除する。

 

「何よこれぇ・・・まともに歌える奴があいつしかいないなんて、聞いてないんだけどぉ?」

 

ガリィは日和に向けて指をさす。当の日和は2回の雷を喰らい、ボロボロの状態で、息遣いも荒い。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

「そろそろパーティは、お開きにするとしようかね」

 

シャルは両手のレールガンを日和に向ける。2つのレールガンの銃口に紫の錬金陣が現れ、凄まじい稲光が走りだし、雷は2つのレールガンの銃口に一か所に集まる。

 

「こいつで、ジ・エンド!!」

 

シャルは溜まった雷の弾丸を日和に向けて放った。もう素早く動けない日和は棍を突き刺して手放し、棍を盾の形に変形させた。

 

【難攻不落】

 

巨大な盾は迫ってきた雷の弾丸を受け止めた。これによって盾は凄まじく感電する。棍を手を放したためにこちらには感電しない。この場を凌いで反撃に出る・・・はずだった。

 

ズンッ!

 

「・・・え・・・?」

 

雷の弾は盾を貫通し、日和の腹部に直撃した。絶対的な防御技が貫通してきて、日和は目を丸くしている。

 

「言ったはずだぜ。物質的な防御手段はないってな」

 

弾が盾を貫通して日和に直撃した・・・そして・・・

 

バリバリバリバリバリ!!!!!

 

あああああああああああああ!!!!!

 

「「日和さん!!!」

 

「「「先輩!!!!」」」

 

1回目、2回目と比べ物にならない電気が日和の身体を走る。悲鳴を上げる日和にシャルは追い打ちをかけるように右手のレールガンを突きつけ、日和のギアコンバーターに狙いを定める。そこにちょうど、日和を追いかけていた海恋が到着し、この光景を見て、目を見開く。

 

「日和ぃ!!」

 

「グッバイ、ガール」

 

シャルはレールガンの弾を撃ち放った。ギアコンバーターに弾が直撃し、ヒビがはいる。そして・・・

 

ビリビリビリビリビリビリ!!!!!!

 

あああああああああああああ!!!!!

 

「日和いいいいいいいいい!!!」

 

ギアコンバーターに通じて、日和は追撃の雷を受け、悲鳴を上げる。これを見た海恋は悲痛な叫びをあげる。日和のギアは分解をはじめ、雷が収まると同時に完全に分解される。一糸まとわぬ姿となった日和は気を失い、倒れる。海恋はすぐに日和の元に駆けつける。

 

「日和!!しっかりして!!日和!!日和ぃ!!」

 

海恋は必死に声を上げるが、日和は目を覚まさない。

 

「ガールの運命は、あたいと出会った瞬間から終わってるんだぜ?」

 

一仕事を終えたシャルは決め台詞を言い放った。一部始終を見ていたガリィは面白くなさそうな表情をしている。

 

「クッソ面白くない」

 

ガリィはテレポートジェムを取り出し、地面に叩きつけ、一瞬で姿を消した。それを見たシャルはすぐにキャロルと通信を取る。

 

「・・・後はどうします?無理にでもギアを纏わせるかい?」

 

『・・・もういい。帰還しろ』

 

「オーケー。リリィが怒ってないといいが・・・」

 

シャルはキャロルの指示を聞き、テレポートジェムを取り出し、地面に叩きつけて、一瞬で姿を消した。

 

~♪~

 

戦いが終わったころにS.O.N.Gのブリッジにエルフナインと装者たちが集まってきた。エルフナインの服装は日常的に使う服装になっている。

 

「空間移動・・・あれもまた、錬金術の・・・」

 

「現代に新型ノイズを完成させるとは、位相空間に干渉する技術を備えているということです」

 

「んなことよりあいつらは・・・相棒は無事なのかよ!!?」

 

クリスの問いかけに友里が答える。

 

「駆け付けたマリアさんが、ガングニールを纏って敵を退けてくれたわ」

 

「マリアがデスか!!?」

 

マリアが出撃していたことに切歌は驚いている。

 

「それってつまり・・・私たちと同じように・・・」

 

「シンフォギアからのバックファイアに、自分をいじめながらか・・・。無茶をしてくれる・・・」

 

バックファイアに耐えながら戦ったマリアに翼はそう口を開いた。

 

「だけど・・・日和ちゃんは重傷を負って・・・ギアまで・・・」

 

「マジかよ・・・!」

 

「なんということだ・・・東雲が・・・」

 

日和が重傷を負い、ギアまで破壊されたという悪い知らせにクリスとフォルテは顔を俯かせる。これで、現時点でギアを纏えるのは響だけ・・・いや、纏えない状況下にあるのならば・・・戦えるシンフォギア装者はいないという最悪の事態に陥っている。

 

~♪~

 

響たちが気を失った日和の元に駆けつけている中、緒川は通信機で日和を搬送する報告と今回の件の報告を本部に入れている。マリアは負傷した日和を見て、悔しそうな表情をし、視線をギアネックレスに向ける。

 

(もし私が・・・ガングニールを手放していなければ・・・!・・・いや・・・それは未練だな・・・)

 

マリアはふらつきながらも立ち上がり、響たちに近づき、日和を守れなかったことに謝罪する。

 

「ごめんなさい・・・」

 

「い、いえ・・・マリアさんだって傷だらけで・・・」

 

「歌って戦ってボロボロになって・・・大丈夫なんですか?」

 

マリアは響に視線を向け、ガングニールにギアネックレスを返そうとする。

 

「君のガングニール・・・」

 

「私のガングニールです!!!」

 

「響⁉」

 

響はガングニールのギアネックレスを強引に奪い取る。

 

「これは!誰かを助けるために使う力!私がもらった!私のガングニールなんです!!」

 

パチンッ!!

 

響の言い分に海恋は怒った顔をして、彼女の頬に平手打ちを放つ。

 

「助けてもらっておいて・・・なんなのその態度は!!それが人助けをする人間の態度なの!!?」

 

そう言った海恋はすぐにはっとし、申し訳なさそうな表情になり、叩かれた頬を抑えて顔を俯く響に謝罪する。

 

「・・・ごめんなさい・・・」

 

「・・・いえ・・・私も・・・ごめんなさい・・・」

 

謝罪する響だが、納得しておらず、その顔は不満と怒りで示している。これを見たマリアは昨日の響との会話を思い出す。

 

『逃げているの?』

 

『逃げているつもりじゃありません!だけど・・・適合して、ガングニールを自分の力だと実感して以来、この人助けの力で誰かを傷つけることが・・・すごく嫌なんです・・・』

 

マリアは響に一歩近づき、ガングニールを託そうという意志を伝える。

 

「そうだ。ガングニールはお前の力だ。だから・・・目を背けるな!」

 

「目を・・・そむけるな・・・」

 

ガングニールを自分が背負わなければいけないその重圧に、響は目を逸らすことしかできなかった。

 

~♪~

 

キャロルの拠点、チフォージュ・シャトーの玉座の中央部の台座・・・そこにガリィとシャルが帰還する。キャロルは不機嫌そうな表情をしているが、それ以上に不機嫌な顔をしているのはリリィだ。

 

「・・・ガリィ様、どういうことです?マスターの命令は彼女のギアの破壊だったはずです」

 

「そんな顔しないでよぉ。ろくに唄えないのと、唄っても大したことない相手だったんだからぁ!あんな歌を毟り取った所で役に立たねぇって」

 

「理由になりません。私ならば速攻で完璧に破壊します」

 

「こそこそしてるのを何ていうか知ってるぅ?チキンっていうのよぉ?リリィね・え・さ・ま♡」

 

「・・・痛い目を見ないと反省しないのですか?」

 

「やめろ」

 

リリィとガリィの口喧嘩をキャロルの一声で止まる。ガリィはリリィのことを姉さまと言っていたが、あながち間違いではない。というのも、リリィとガリィは同じパーツを組み込んだ姉妹機に値しており、与えられた属性も近しい。ただ相性が悪く、仲がいいとは言えない。

 

「申し訳ございません」

 

「・・・自分が作られた目的を忘れていないのならそれでいい・・・」

 

キャロルは初めて響と邂逅した日のことを思い返し、顔には出していないが、不快感を露にしている。キャロルは立ち上がり、ガリィに厳命する。

 

「だが次こそはあいつの歌を叩いて砕け。これ以上の遅延は計画が滞る」

 

「レイラインの解放・・・わかってますとも・・・ガリィにお任せです♡」

 

きゃぴきゃぴした言動を放つガリィにキャロルはため息をこぼし、次は確実にガングニールを破壊するために、念には念を入れ、戦力の増強を言い渡す。

 

「お前には戦闘特化のミカ、そして姉妹機のリリィをつける。いいな」

 

「いいゾ~!」

 

命令したのはガリィなのだが、なぜかミカが返事をする。

 

「そっちに言ってんじゃねぇよ!」

 

今までの口調とは違い、荒々しい口調でミカを怒鳴るガリィ。これまでのキャラ付けは猫かぶりだったのだ。

 

(せめてあの時、ハズレ装者のギアが解除されなければ・・・)

 

マリアが身に纏ったガングニールを破壊できず、与えられた任務をこなせなかったことに、ガリィは心の中で悔しがっている。

 

~♪~

 

S.O.N.Gのメディカルルームに運ばれた日和はベッドで眠っている。今は海恋、響、未来の3人だけだが、さっきまでは翼やクリスたちがお見舞いに来ていた。響は日和の姿を見て、申し訳ない気持ちでいっぱいになっており、ずっと日和に寄り添っている海恋に謝罪する。

 

「・・・ごめんなさい・・・」

 

「もういいわよ。私も言い過ぎたわ」

 

「そうじゃなくって・・・」

 

響が気にしているのは、シンフォギアを纏えず、自分も戦うことができなかったことだ。それに気づいてる未来が口を開く。

 

「ギアを纏えなかったことを考えてるんだよね」

 

「・・・戦えないんだ・・・。歌を歌って、この手で誰かを傷つけることが、とても怖くて・・・。私の弱さがみんなを危険に巻き込んだ・・・日和さんだって・・・こんな事にはならなかった・・・」

 

悔しそうに拳を握りしめる響の手を、未来が両手で優しく包む。

 

「私は知ってるよ。響の歌が、誰かを傷つける歌じゃないことを」

 

未来の優しい言葉を聞き、響は顔を俯かせる。

 

「そう思いつめないで。日和ならこういう時、笑って励ますだろうから」

 

「・・・はい・・・」

 

「・・・小日向さん。立花さんのこと、お願いね」

 

「はい」

 

海恋は響を励ましつつ、未来に響を支えるように頼んだ。未来は海恋の言葉に了承し、響の心の支えになると決めたのだった。




シャル・サンドリオン

外見:金髪の長髪にところどころに紫のメッシュが入っている。
   服装は紫のカウガール服で、青い長ズボンを履いている。胸ポケットに星型バッジと星形のベルトをつけている。
   紫のカウガール帽子を被っている。
   瞳は紫。

【挿絵表示】

↑Picrewより『妙子式2』

型式番号:XMH_091

属性:雷

イメージCV:閃乱カグラシリーズ:蓮華
(その他の作品:ウマ娘プリティーダービー:エアシャカール
       :アイドルマスターシンデレラガールズ:小日向美穂
       :ゼノブレイド3:ミオ
        その他多数)

キャロルが造りだした6機のオートスコアラーの1機。待機中のポーズは左手に星形ベルトを握り、レールガンで帽子を上げている。
非情にかっこつけたがりな性格で言葉の言語にところどころで英語で話すことがある。例えば、男を呼ぶときはダンディかボーイ、女を呼ぶときはレディかガール、さらに破壊の時はデストロイなど様々だ。さらに一度狙いを定めた獲物は決して逃がさないというガンマンとしてのプライドを持ち合わせており、狙いを定めた日和に執着心を抱いている。
戦闘スタイルは遠距離特化型でレールガンによる防御不可能の銃撃戦を得意としている。近接戦闘は一応できるが、他の5機に比べると性能が低い。一方の遠距離戦闘においては右に出る者はおらず、戦闘特化型のミカでさえ手間取らせるほどだ。
ちなみに、標的を仕留めた際に「○○の運命はあたいと出会った瞬間に終わってるんだぜ?」という決め台詞をはく癖がある。
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