戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

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今回はリリィのイメージを載せます。こちらはPicrewの『テイク式女キャラメーカー』を使用しました。前回と同じく足りない部分はイメージでお願いします。もちろん自作ではないのであしからず。


氷の暗殺者

雨が降り出しそうな曇天の日、フォルテ、マリア、調、切歌はナスターシャの墓参りに訪れた。マリアはナスターシャの墓に花束を添えた。

 

「ごめんね、マム。遅くなっちゃって・・・」

 

「マムの大好きな日本の味デス!」

 

「僕も月読も反対したのだがな・・・」

 

「常識人の切ちゃんがどうしてもって・・・」

 

切歌はお供え物にキクコーマンのしょうゆを備えた。フォルテも調も反対したそうだが、切歌は意見を曲げることはなかったため、今に至る。

 

「マムと一緒に帰ってきたフロンティアの一部や、月遺跡に関するデータは、各国が調査している最中だって」

 

「みんなで一緒に研究して、みんなのために役立てようとしてるデス!」

 

「ゆっくりだけど、ちょっとずつ世界は変わろうとしてるみたい」

 

「その道しるべとなったのは・・・マム、あなただ。心からの感謝を」

 

フォルテは絆で繋がった家族の代表として、胸に手を添えて、深くお辞儀する。

 

(変わろうとしているのは世界だけじゃない・・・。なのに、私だけは・・・。ネフィリムと対決したアガートラームも、再び纏ったガングニールも、窮地を切り抜けるのはいつも、自分のものではない力・・・)

 

マリアは自分だけが何も変わっていない、何も成長していないという思いから、強くなりたいと願っている。

 

「私も変わりたい・・・本当の意味で強くなりたい・・・」

 

「それはマリアだけじゃないよ・・・」

 

「あたしたちだって同じデス・・・」

 

「それは・・・ここにいる全員が同じ思いだ・・・」

 

マリアは弱さを打ち破りたい・・・調と切歌はみんなの役に立ちたい・・・そしてフォルテは・・・今まで殺めてきた者たちに償いがしたい。方向性は違うが、4人にはそれぞれの心の弱さが現れ出てる。だからこそ強くなりたい。そう打ち明けた時、雨が降り始めた。

 

「昔のように、叱ってくれないのね・・・。大丈夫よマム。答えは自分で探すわ」

 

「先は長いかもしれないが・・・真剣に考え、必ず答えを見つける」

 

「ここはマムが遺してくれた世界デス」

 

「答えは全部あるはずだもの」

 

降り続ける雨はさらに強くなっていった。

 

~♪~

 

リディアンの方では前半の授業が終わりお昼休み。日和は現在S.O.N.Gの潜水艦のメディカルルームで眠っているためいない。そして海恋はただ1人、お弁当を持って食堂に来てどの席に座ろうか悩んでいる。1人食堂を歩いていると、未来、弓美、創世、詩織が昼食をとっている姿を見つけた。海恋は彼女たちに近づいて声をかける。

 

「小日向さんたち、こんにちは。お昼相席してもいいかしら?」

 

「あ、海恋さん。もちろん大丈夫です」

 

「ありがとう」

 

相席の許可を4人からもらい、海恋は未来の隣の席に座る。そこで詩織が日和の状況について質問する。

 

「あの・・・東雲先輩の容態はどうなんですか?」

 

「順調に回復してるみたいよ。もう少し眠ったら目が覚めると言ってたわね」

 

「よかったぁ~・・・」

 

日和が順調に回復していると知り、4人は安堵する。

 

「それで・・・立花さんはまだ元気なさそうかしら?」

 

「そうなんですよ~。お昼ごはんより、課題を優先するくらいなんですから・・・」

 

「そう。確かに重症のようね」

 

響は好きなものがご飯&ご飯というくらいに食べることが好きだ。その響がご飯よりも課題を優先しているのだ。知っている人間から見れば、重傷であるのがよくわかる。

 

「歌えない理由かぁ・・・」

 

「私たちが励ましても、立花さんってば、余計に気を遣いそうですし・・・」

 

「普段は単純なくせに、こういう時ばっかり、ややこしいんだよね」

 

響と仲良くしている3人も、この状況には頭を悩ませている。

 

「・・・これは私の推測なんだけど、立花さんが歌えないのは、歌う理由を忘れたんじゃないかしら?」

 

「・・・響が・・・歌う理由・・・」

 

「それを立花さんが思い出すことができれば・・・」

 

「響はまた歌える・・・」

 

「まぁ・・・あくまで推測なのだけれど・・・」

 

海恋の推測に未来は響に何をしてあげられるのかを考える。

 

~♪~

 

寄港したS.O.N.Gの潜水艦のブリッジで一同はエルフナインから開示される敵の情報を聞いていた。もちろん知りえる情報のみだが、有用性のある情報であるのは変わりない。

 

「先日響さんを強襲したガリィと、日和さんのギアを破壊したシャル、クリスさんと対決したレイア。これに、翼さんがロンドンでまみえたファラと、まだ戦線に出てこないリリィと、未だ姿を見せないミカの6体がキャロルの率いるオートスコアラーになります」

 

「人形遊びに付き合わされてこの体たらくかよ・・・!」

 

「その機械人形は、お姫様を取り巻く護衛の騎士・・・と言ったところでしょうか」

 

「スペックをはじめとする詳細な情報は僕に記録されていません。ですが・・・」

 

「シンフォギアを凌駕する戦闘力を見て、間違いないだろう」

 

事実、先日シャルは日和のシンフォギアを破壊し、重傷を負わせたのだ。その戦闘能力は、現段階では到底太刀打ちできないのは明らかだ。さらに響がギアを纏うことができない最悪の状況である。

 

「超常脅威への対抗こそ、俺たちの使命。この現状を打開するため、エルフナイン君より計画の立案があった」

 

モニターの画面が切り替わり、そこに計画名が表示される。

 

「Project IGNITEだ」

 

Project IGNITE・・・それがこの計画の名であり、キャロル攻略の鍵となる。

 

~♪~

 

雨が降り続ける中、全ての授業が終わり、響と未来は相合傘で寮へ帰宅していく。帰宅する時も沈黙は続いている。そこで未来が話を切り出す。

 

「やっぱりまだ、歌うのが怖いの?」

 

「え・・・うん・・・誰かを傷つけちゃうんじゃないかって思うと・・・ね・・・」

 

今も上の空な状態の響は未来の問いに返事が遅れている。シンフォギアを纏えない原因はわかっているのだが、この問題はそう簡単には解決できない・・・だから余計に考え込んでしまう。

 

「響は初めてシンフォギアを身に纏った時って、覚えてる?」

 

「どうだったかな・・・?無我夢中だったし・・・」

 

「その時の響は、誰かを傷つけたいと思って、歌を唄ったのかな?」

 

「え・・・」

 

そんなはずはない。響はそう否定したかったが、即答できなかった。本当に何が何だかわからない状況だったのだ。その時の細かい心境など、覚えているはずもない。最初にシンフォギアを纏った日の事・・・どうやってシンフォギアを纏えるようになったか・・・響は本当にわからないでいた。

 

~♪~

 

場所は戻ってS.O.N.Gの潜水艦のブリッジ。Project IGNITEの具体的な詳細がモニターに表示されている。

 

「イグナイトモジュール・・・こんなことが、本当に可能なのですか?」

 

「錬金術を応用することで、理論上不可能ではありません。リスクを背負うことで対価を勝ち取る・・・そのための魔剣・ダインスレイフです」

 

ヴゥー!ヴゥー!

 

エルフナインが説明している中、突然アルカ・ノイズ出現のアラートが鳴り響いた。オペレーターたちはすぐにアルカ・ノイズの出現座標を特定する。

 

「アルカ・ノイズの反応を検知!」

 

「位置特定!モニターに出します!」

 

モニターのカメラが表示される。そこに映っていたのは、赤い髪のオートスコアラー、ミカが響と未来を追いかけている姿だった。

 

「!!?」

 

「んなっ!!?」

 

「ついにミカまでも・・・」

 

このモニターを見て、エルフナインが一言そう呟いた。

 

~♪~

 

墓参りが終わり、マリアたちはフォルテが用意した車で帰ろうとした時、通信機でS.O.N.Gから響と未来が襲われているという報告を受けた。

 

「敵の襲撃!!?」

 

「でも、ここからでは・・・」

 

「間に合わないデス!」

 

「いや、何とか間に合わせる!」

 

フォルテは車の収納スペースより、緊急出動用のバイクを外に出し、乗り込む。

 

「フォルテ!」

 

「マリアたちは戻ってくれ!救援には僕が行く!」

 

フォルテはそう言ってバイクのエンジンを入れ、大急ぎで現場に向かった。フォルテの心境は、どうか間に合ってほしいという思いでいっぱいだった。

 

~♪~

 

ミカとアルカ・ノイズの襲撃にあい、響と未来は工事現場に入り、走り抜ける。ミカとアルカ・ノイズはそんな2人・・・正確には響を追いかける。彼女の両手は爪があまりにも鋭く、人の形をしていない。

 

「逃げないで歌ってほしいゾ~!あ、それとも、歌いやすいところに誘ってるのか~?う~ん・・・おぉう!それならそうと言ってほしいゾ!それ~!」

 

ミカは右手と左手を打ち付けて、1人納得すると、アルカ・ノイズに指示を出した。ヒル型のアルカ・ノイズが先行し、2人の左右の道を分解し、人型アルカ・ノイズが追いかける。コースを誘導しているのが見てわかる。響たちは急いで工事現場に入り、階段を登って逃げる。未来を先に行かせて、響が後ろについていく。だがその最中、人型アルカ・ノイズは発光気管を階段に当てる。それによって、階段は分解し、上り切れていない響は下に落下する。

 

「響ー!」

 

「がっ⁉」

 

落下の勢いが強く、響は端にあった手すりを破壊し、さらに下に落下し、地面に叩きつけられる。

 

「未来・・・!」

 

響はぼやける視界で未来を捉えた。そんな響の視界にミカが覗き込んできた。ミカは強靭な爪で未来を指さす。

 

「いい加減戦ってくれないと、君の大切なモノ解剖しちゃうゾ?友達バラバラでも戦わなければ、この町の人間を、犬を猫を、みーんな解剖だゾ~?」

 

ミカは無邪気ながらに残忍な言葉を楽し気に言い放った。そうはさせないと響はギアネックレスを取り出し、シンフォギアを纏おうと詠唱を唄おうとするが、やはり聖詠が浮かばないため唄うことができず、シンフォギアを纏えない。

 

「ふ~ん・・・本気にしてもらえないなら・・・」

 

ミカは拍子抜けし、ニヤリと笑ってアルカ・ノイズに未来を襲わせるように指示を出した。彼女の1つ下の階にアルカ・ノイズが集まる。未来は恐怖ですくみ上りそうになるが、その恐怖を押し殺し、響に向かって声を上げる。

 

「あのね、響!!響の歌は誰かを傷つける歌じゃないよ!!伸ばしたその手も、誰かを傷つける手じゃないって私は知ってる!!私だから知ってる!!だって私は響と戦って、救われたんだよ!!?」

 

「!!」

 

「私だけじゃない!!響の歌に救われて、響の手で今日に繋がってる人はたくさんいるよ!!だから怖がらないで!!!」

 

必死に響に訴えかける未来に、アルカ・ノイズの魔の手が迫る。

 

「ばいなら~!」

 

ミカの指示を受けたアルカ・ノイズは未来に飛び掛かり、彼女の足場を破壊する。足場を失った未来は宙に放り出される。

 

「うおおおおおおおおおお!!!」

 

響は魂の限り叫びをあげた。

 

Balwisyall Nescell Gungnir トロオオオオオオーーン!!!!

 

響の魂の叫びに、ガングニールが応える。

 

「私の大好きな響の歌を・・・みんなのために・・・歌って・・・」

 

落下していく未来はこれまでの思い出の走馬灯を見たが、それは響がガングニールを身に纏った響が彼女の背中を受け止めたことで吹き飛ばされる。響は未来を傷つけぬように、可能な限り衝撃を殺して着地する。ビルの天井が衝撃で崩れ落ち、溜まった雨水が一気に落ちてきた。

 

「ごめん・・・私、この力と責任から逃げ出してた・・・。だけどもう迷わない。だから聞いて、私の歌を!!」

 

天井が破れた空から雨がやみ、太陽の光が差す。

 

~♪~

 

響がシンフォギアを再び纏えるようになった姿はS.O.N.Gでも確認できた。

 

「どうしようもねぇバカだな」

 

クリスは腰に手を当て、そう呟きつつも笑みを浮かべている。

 

そして、響が復活した同時期、メディカルルームで眠っていた日和が目を覚まし、ゆっくりと目を開けた。

 

~♪~

 

ミカと対峙する響は未来を下ろした。

 

「行ってくる!」

 

「待ってる」

 

短く会話をして、響は歌を歌い、ミカへと向かっていく。その表情には、もう迷いはない。戦う目的を取り戻したのだ。

 

「うおりゃぁ~!」

 

ミカは両手いっぱいのアルカ・ノイズの結晶をばら撒き、さらにアルカ・ノイズを召喚する。響はブースターで距離を詰め、懐に入ったアルカ・ノイズに拳を叩き込んで撃破する。さらに響は拳と蹴りの格闘技の連続でアルカ・ノイズを次々と倒していく。さらに響は右腕のバンカーユニットを伸ばし、地面に叩きつけ、衝撃波を放ち、アルカ・ノイズを全滅させる。残るはミカ1人だけ。響はミカに拳を振るう。戦闘特化型のミカは右手の掌より赤熱化しているカーボンロッドを射出し、響の拳を受け止めた。火花が散りながらも、響は何とか押し通そうとする。

 

「こいつ、へし折り甲斐があるゾ~!」

 

全く余裕の表情を崩していないミカはツインロールの髪の毛をブースターのように使い、響を押し返した。後退した響はアンカージャッキで反動を受け止め、弾き返り、回転して勢いをつけさせた肘鉄をミカの鳩尾に叩き込んだ。耐え切れなかったミカは弾き飛ばされる。さらに響は追撃するためにブースターで加速し、ミカに向かって拳を振るった。

 

バシャアアン!!

 

だが、響の放った拳が貫いたのは、ミカではなく、ミカの姿に形作られた水の塊だった。

 

「なっ!!?」

 

響は驚愕の顔になる。揺れる響の視界の先に、柱に人影が見えた。それは、バレエのポーズをとっているガリィだった。

 

「ざぁんねん。それは水に移った幻・・・」

 

彼女の存在によって響の思考は正常に戻る。本物のミカはどこにいるのか・・・そう思って下を振り向くと、本物のミカがギアコンバーターに狙いを定め、満面の笑みを浮かべている。そして、響のギアコンバーターに向けてカーボンロッドを放った。カーボンロッドはそのまま響のギアコンバーターに向かっていく。そこに・・・

 

ドゴォン!!バァン!!ドカァン!!

 

突如として何かの破壊音と発砲音が鳴り響き、カーボンロッドはどこからか飛んできたエネルギー弾によって破壊される。

 

「お?」

 

「何ぃ!!?」

 

カーボンロッドが破壊され、ミカはきょとんとし、勝利を確信したガリィは驚愕する。エネルギー弾が放たれた方向を見てみると、シンフォギアを身に纏い、バイクで突進してきているフォルテがいた。今の破壊音はバイクで工事現場に突っ込み、建物を破壊した音のようだ。フォルテはそのままバイクでミカに突撃した。

 

「おわあ~!」

 

ミカはそのままバイクと衝突し、吹っ飛ばされる。フォルテはすぐにバイクから飛び降り、大剣を手に取ってチェーンソーに変形させ、ガリィに向けて赤黒い斬撃波を放った。

 

「げぇ!!?」

 

来てすぐに居場所を特定され、攻撃をしてきたフォルテにガリィは驚愕しつつも、青い障壁を張って斬撃波を防いだ。響のすぐ近くに着地する。

 

「無事か?立花、小日向」

 

「「フォルテさん!」」

 

フォルテという心強い救援が駆け付けてくれたことで響と未来は笑みを浮かべている。

 

~♪~

 

フォルテが響の窮地を救った場面をS.O.N.Gの面々がモニターで見ていた。

 

「フォルテさんが現場に到着!」

 

「適合係数、正常に安定しています!」

 

フォルテがシンフォギアを纏って現れたこと、さらにシンフォギアの適合係数が正常値に達していることにクリスと翼は驚いている。

 

「どうなってるんだぁ?」

 

驚いている2人に、弦十郎が説明する。

 

「あらかじめフォルテ君には、LiNKERを持たせておいたのだ」

 

「LiNKERを?」

 

「メディカルチェックの結果、フォルテ君は、model_RのLiNKERに十分適応できるとわかったのだ」

 

「model_R⁉まさか、玲奈が使っていたLiNKER⁉」

 

model_R・・・それは、シンフォギア如意金箍棒の最初の適合者、北御門玲奈に合わせて作られたLiNKERだ。旧式であるため、身体の負担が大きく、危険度が高い。だが幸いにも、フォルテはそのmodel_Rに適応できるようで、負担も軽く済んでいるのだ。

 

「てぇことは・・・」

 

「心強い戦力が増したということだ!」

 

フォルテがシンフォギアを纏い、戦えるようになったのは、S.O.N.Gにとって喜ばしい吉報だ。

 

~♪~

 

場所は戻って工事跡地、フォルテと響はバイクが突っ込んで爆発し、炎上した場所を見つめる。すると、爆煙の奥から、満面な笑みを浮かべているミカが現れた。ダメージは全く負っていない。

 

「今のはちょっとだけビックリしたゾ!でも敵が増えて燃えてきたんだゾ~!」

 

ミカは戦う相手が増えたと無邪気に喜んでいる。

 

「立花、やれそうか?」

 

フォルテは響に戦えるかどうかの確認を取る。響は当然気合を入れて答える。

 

「もちろんです!!」

 

「よし。では、共に奴らを撃退するぞ」

 

「はい!!」

 

フォルテが大剣を構え、響が拳を握り、戦闘態勢に入ったその時だった。

 

ビョオオオオオ・・・ビキビキビキ!!

 

ビルの内部に突如として爆発の炎さえも凍り付く冷気が放たれ、辺りが凍り付いていく。

 

「な、何っ!!?」

 

「これは・・・冷気?」

 

響とフォルテは目の前の景色に目を凝らす。すると、風景の一部に突如としてひびが入る。ヒビが広がっていき、砕け散っていく。そこから突如として修道服を着込んだオートスコアラー、リリィが立っていた。

 

「今回の目的は・・・あなたのギアの破壊・・・。絶対に見逃しはしません」

 

リリィの冷たい瞳は響に向けていた。

 

~♪~

 

工事現場に突然リリィが現れた光景はS.O.N.Gの方でもモニターで見えていた。

 

「新たなオートスコアラー・・・だと・・・!!?」

 

リリィが登場したことにより、弦十郎は驚愕の声を上げた。

 

「リリィ・・・隠密、暗殺に特化した彼女が、ついに戦線に・・・」

 

エルフナインはモニターに映るリリィを見てそう呟いた。

 

~♪~

 

辺りが凍り付いた工事現場のビルに突然現れたリリィにフォルテと響は身構える。

 

「ずっと見てたの?ずいぶんといい趣味してるんじゃなぁい?」

 

「性根が腐ったガリィ様に言われたくはないですね」

 

「けっ・・・」

 

ガリィはあくどい笑みを浮かべてリリィに悪態をついた。それにリリィは表情を変えず、淡々と答えた。

 

「あたしの獲物を横取りしないでほしいんだゾ~!」

 

ミカは頬を膨らませてリリィにぷんぷんと怒っている。しかしリリィはミカの言い分を無視して2人に指示を出す。

 

「ガリィ様とミカ様はミスティルテインの足止めで十分なので引きつけてください。私がガングニールを破壊します」

 

「はいはい、わかってるってーの」

 

「う~ん・・・おう!戦えるのならそれでいいゾ!」

 

リリィの指示にガリィは面倒そうな顔をしながら了承、ミカは戦えるならそれでいいという単純な考えで了承した。その間にもフォルテはリリィに向かって接近し、大剣を振るう。ミカはそうはさせまいとフォルテの前に立ちふさがり、右手のカーボンロッドで防ぐ。

 

「お前の相手はあたしだゾ~!」

 

「・・・どけ!」

 

フォルテは大剣を分離して双剣にし、ミカを切り裂いた。だが切り裂いたのはまたしてもガリィが作ったミカの水の分身だった。本物のミカはフォルテの真横におり、カーボンロッドを射出しようとする。フォルテはミカの殺気を頼りにして右手の剣で凌ぐ。

 

「こいつ強いゾ~!へし折り甲斐がありそうだゾ~!」

 

「ぐっ・・・こいつ・・・!」

 

フォルテにはわかる。ミカがどれほど手強い相手なのかというのが。一方の響を担当すると言ったリリィはずっと立ったままの状態だ。何を仕掛けてくるのかわからない。仕掛けてくる前に叩くと考えた響は右腕のバンカーユニットを伸ばし、ブースターで素早く移動し、渾身の一撃をリリィに叩き込んだ。拳は見事にリリィに直撃した。

 

ビキ、ビキ、ビキ・・・バリイイイイン!!

 

リリィは渾身の拳を喰らい、身体中にヒビが入って氷のように粉々に砕け散った。あまりのあっけなさに響は驚いている。

 

「倒した・・・の・・・?」

 

『違います!!それは氷で造られた偽物です!!』

 

そこにエルフナインからの通信でさっきのリリィは氷の偽物であると告げられた。では本物のリリィはどこにいるのかと響は辺りを見回す。

 

「ひ、響!!」

 

「・・・え・・・」

 

未来の一声で響は気がついた。自分の身体に、一筋の傷口ができていたことに。その傷口の血は、凍り付いて固まっている。

 

「あなたでは決して私の姿を捕らえられない」

 

どこからともなくリリィの声が聞こえてきた。そして、その間にも響の身体には1つ、また1つと、次々と傷が増えていく。

 

「暗殺とは、闇に紛れ、息を殺し、標的に気付かれることなく、息の根を止めることです」

 

そして、響のギアコンバーターまでもが凍り付く。そして、風景の一部にヒビが入り、氷のように砕けると、再びリリィが姿を現した。リリィの右腕には、氷で造られた刃がついていた。

 

「そして、脳内で標的を殺すと思ったその時には・・・」

 

リリィが右腕を振るったその瞬間・・・

 

パリイィィン!!

 

「暗殺は完了しているのです」

 

響の傷口の氷とギアコンバーターの氷が一気に砕け散った。それによって、響の傷口の血は一気に噴き出し、ギアコンバーターも破壊され、シンフォギアが分解され、一糸まとわぬ姿となる。

 

「立花ぁ!!」

 

「響いいいいいいい!!!」

 

響がやられたことでフォルテは驚愕し、未来は悲鳴を上げた。

 

「ギアの破壊を確認。ガリィ様、ミカ様、帰還しますよ」

 

「ちぇ・・・早すぎだっつーの・・・」

 

「えー・・・もう少し戦いたかったゾ・・・」

 

リリィの言葉を聞き、ガリィは悪態をつきながらテレポートジェムで転移する。ミカは露骨にがっかりした様子で同じくテレポートジェムで転移する。

 

「・・・あなたはもうしばらく見逃してあげます。ですが、次に会う時こそ・・・確実にギアを破壊するのでそのおつもりで。では、失礼します」

 

リリィはフォルテにそう告げてテレポートジェムで転移した。

 

「響!!響ぃ!!いやあ!!しっかりして!!響!!響いい!!」

 

未来は響に呼び掛けるが、彼女は意識を失ってしまっている。これを見たフォルテは仲間を守れなかった己の不甲斐なさを悔やみ、柱を殴りつけた。

 

「・・・またも守れなかった・・・!僕は・・・人を殺めることしかできないのか・・・!!」

 

フォルテはバルベルデの反乱軍の仲間を守れず、セレナを守れず・・・そして響も守ることができず、悔しさでいっぱいになっている。

 

~♪~

 

響がリリィの前に手も足も出ず、成す術なくやられてしまい、S.O.N.G本部内では驚愕で満ちている。モニターではオートスコアラーが撤退した姿が映し出されている。

 

「オートスコアラーの撤退を確認!!」

 

「響ちゃんの救出を!!」

 

「急行します!!」

 

緒川がブリッジを出ていき、現場へと急いで向かう。

 

「あたしらならやれる!だから、Project IGNITEを進めてくれ!」

 

「強化型シンフォギアの完成を!!」

 

元よりそのつもりで、計画の準備はすでに進めてある。モニターにはProject IGNITEによって強化されたシンフォギアの姿が映し出されている。

 

「私からも・・・お願い」

 

そこに、松葉杖を頼りに、フラフラな状態の日和がブリッジに入ってきた。

 

「このまま・・・終わりにしたくない・・・!」

 

日和の目には、このままで終わりにしたくないという強い思いが込められていた。




リリィ・ハールート

外見:黒髪の短髪に白いメッシュが入っている。
   服装は白い修道服を着込んでいる
   瞳は水色

【挿絵表示】

↑Picrewより『テイク式女キャラメーカー』

型式番号:XMH_010

属性:氷

イメージCV:オーバーロード:アルベド
(その他の作品:閃乱カグラシリーズ:雪泉
       :THEiDOLM@STERシリーズ:四条貴音
       :トリニティセブン:浅見リリス
        その他多数)

キャロルが造りだした6機のオートスコアラーの1機。ガリィとは姉妹機に該当する。待機中のポーズは両手を合わせて神に祈る姿勢。
口調は常に丁寧語で話し、表向きは穏やかに振る舞っているが、裏向きは残虐な性格で人間の思い出を摂取した後証拠を残さないように氷漬けて楽しそうに粉々にするという残忍性を持っている。
創造主であるキャロルに忠誠を尽くすのがオートスコアラーだが、リリィの忠誠心は神のように信仰しているかのよう。その信仰ぶりは狂信的であり、少しでもキャロルに不利益を起こすようならば味方以外は全員皆殺しにするという危険な思想を持ち合わせている。
戦闘スタイルは暗殺に特化しており、氷を自身の身に纏わせ、錬金術で風景と溶け込んで標的に気付かれないうちに氷で造った武器で攻撃する。時には氷の分身で標的を惑わせ、注意を逸らす戦法もとる。その性質上、暗殺だけでなく、隠密活動にも適しているため、主に隠密任務が与えられている。
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