戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

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越えられない壁

メディカルルームで眠っている響は夢を見ていた。その夢は3年前・・・世間からバッシングを受け続けた日々。その夢の中で、自身の父親の姿を見た。

 

(私・・・みんなで暮らせるように、リハビリ頑張ったよ・・・?なのに・・・どうして・・・?お父さん・・・)

 

現実と同じように、夢の中でも父親と手を繋ぐことができなかった響は、涙を流しながら夢から覚め、目を開いた。父親のことを夢で思い出し、響は自身の手を見つめる。

 

(大切なものを壊してばかりの私・・・。でも未来は、そんな私に救われたって励ましてくれた・・・)

 

気落ちはしたものの、響はゆっくりと起き上がる。

 

「未来の気持ちに応えなきゃ・・・」

 

響は胸に手を当てる。そこでギアネックレスがないことに気がつき、思い出した。リリィに手も足も出せず、一方的にやられ、ギアを破壊されてしまったことを。響は不甲斐なく思い、体が震えた。

 

~♪~

 

S.O.N.Gの潜水艦のブリッジで、オペレーターたちは戦線に介入してきた調と切歌のバイタルを確認する。現在の調と切歌に表示されているバイタルは、以前のものとは違っていた。

 

「シュルシャガナとイガリマ、装者2人のバイタル安定・・・?ギアからのバックファイアを低く抑えられています!」

 

そう、調と切歌のシンフォギアの適合係数が基準値に入っており、ギアのバックファイアを受けていないのだ。

 

「いったいどういうことなんだ!!?」

 

クリスの疑問の通り、2人はフォルテと同じく、自身の身体にあったLiNKERを投与しなければシンフォギアを纏うことはできない。当然ながら、響のような例外はともかく、突然適合係数が上がるなんてことはなく、model_RのLiNKERはフォルテが管理している。ではどうして適合係数が安定しているのか。心当たりがあった緒川が口を開いた。

 

「さっきの警報・・・そういうことでしたか・・・」

 

「ああ・・・あいつらメディカルルームからもう1つのLiNKERを持ち出しやがった・・・!」

 

「まさか、model_Kを⁉奏の残したLiNKERを・・・」

 

model_Kはかつてのガングニールの適合者、翼のパートナーであった天羽奏に合わせて作られたLiNKERである。model_Rと同じく旧式のため、身体の負担が大きく、危険度が高い。2人は、そのmodel_Kを使って適合係数を上げたのだ。ただ1つ不安要素があるとすれば、2人はどちらのLiNKERも適応できてないということだ。

 

~♪~

 

時間は調と切歌がメディカルルームに入り、LiNKERを見つけたところまで遡る。

 

「まったく調ってば、穏やかに済ませられないタイプデスか?」

 

「メディカルルームならシンフォギアのバックファイアを治療する薬があってもおかしくないもの」

 

「訓練の後、リカバリーを行うのもここだったデス」

 

調がLiNKERを取り出そうとして、それに触れた時・・・

 

ヴゥー!ヴゥー!ヴゥー!

 

警報音が鳴り響いた。調と切歌はお互いに顔を合わせ、首を縦に頷き、いくつかのLiNKERを持ち出していった。緒川の言っていた警報とは、この出来事を指していたようだったのだ。

 

~♪~

 

チフォージュ・シャトーの玉座、キャロルは玉座に座り、各地の発電施設の様子をモニターで見ていた。各モニターには、各オートスコアラーが発電施設を襲撃している。

 

1つの発電施設は、レイアが錬金術を用いて、既に破壊を完了させている。

 

「対象、派手に破壊完了・・・」

 

他の発電施設では、ガリィが水の錬金術を用いて、パネルを破壊している。

 

「まるで積み木のお城。レイアちゃんの妹に手伝ってもらうまでもないわね」

 

他の発電施設では、シャルがレールガンで発電施設やパネルに雷の弾丸を撃ち放ち、建物全体を感電させて、過電流を引き起こして破壊している。

 

「ヒーハー!!スパーキン、デストローーーイ!!」

 

さらに他の発電施設ではファラが数多の竜巻を引き起こし、ソードブレイカーを用いて発電施設を破壊していく。

 

このように、オートスコアラーたちはキャロルの指示通りに発電施設を襲撃し、破壊の限りを尽くしている。この様子をキャロルはモニターを介して見ているのだ。そこに、ファラからの通信が入る。

 

『該当エリアのエネルギー総量が低下中。まもなく目標数値に到達しますわ』

 

「レイラインの解放は任せる。オレは、最後の仕上げに取り掛かる」

 

『いよいよ始まるのですね』

 

「いよいよ終わるのだ。そして万象は、黙示録に記される」

 

キャロルは計画の総仕上げのために、玉座から立ち上がった。

 

~♪~

 

S.O.N.Gの潜水艦が寄港している発電施設を守るため、フォルテ、調、切歌は襲い掛かるアルカ・ノイズを次々と殲滅していく。

 

「ギアの改修が終わるまで!」

 

「発電所は守ってみせるデス!」

 

調と切歌がそう言い放つと同時に、ずっと戦闘を見ていたミカが動き出した。

 

「そ~りゃ~!」

 

「!!」

 

ミカは切歌に向けて右手に持ったカーボンロッドで殴りかかってきた。切歌はミカの気配を感じ取り、鎌でカーボンロッドの一撃を凌いだ。調が援護に回ろうとした時、ミカは左手にカーボンロッドを取り出し、切歌に打撃を与え、彼女を駆けつけた調を巻き込んで吹っ飛ばす。

 

「「きゃああああ!!」」

 

「暁!月読!・・・!!」

 

フォルテがそれを見て、ミカに近づこうとした時、背後から殺気を感じ取り、後ろを振り向いて両剣を振るった。

 

ガキンッ!!

 

空に向けて振るった両剣は透明な何かに激突し、鳴るはずがない金属音を鳴らした。この音は、氷で風景と一体化したリリィの氷の刃との激突音だ。

 

「見えない相手・・・立花をやったオートスコアラーか!」

 

透明化しているリリィはフォルテの両剣を右腕の氷の刃で止め、左足でフォルテの横腹に蹴りを入れた。

 

「ぐあっ!!?」

 

透明化しているため、目で見ることができないフォルテは対処できずに蹴りをまともに喰らい、吹っ飛ばされた。彼女が吹っ飛ばされたと同時に、リリィに纏っていた透明の氷にひびが入り、割れたことで姿を現した。リリィの左足の氷は金槌のような鈍器となっている。

 

~♪~

 

切歌と調がミカに、フォルテはリリィに吹っ飛ばされた姿は潜水艦のブリッジのモニターで映し出された。

 

「調!切歌!」

 

「フォルテさん!」

 

「このまま見ていられるか!!」

 

仲間の窮地を黙って見ていることができないクリスはすぐにブリッジに出て3人を助けようと動く。だがクリスがブリッジに出たところで翼が彼女の腕を掴んで止めた。

 

「待て!今の私たちに何ができる!!」

 

「黙って咥えてろってのか!!」

 

クリスは翼の言い分に反論しようとするが、握られた手の力強さ、そして翼の真剣な表情を見て、思いとどまった。翼も同じ気持ちであるからだ。そこに日和もブリッジから出てくる。

 

「クリス・・・焦る気持ちはわかるけど・・・今は堪えて」

 

「・・・・・・」

 

日和の言葉を聞いて、クリスも少しは落ち着きを取り戻した。それでも表情は悔しさで満ちていた。

 

「翼さん、クリスさん、日和さん」

 

そこに、研究室から出てきたエルフナインが声をかけてきた。

 

「3人にお願いがあります」

 

エルフナインは3人にとある協力の申し出を出してきた。

 

~♪~

 

吹っ飛ばされた調と切歌、フォルテは起き上がり、襲撃してきたオートスコアラー2機を見据える。

 

「あいったたた・・・」

 

「簡単にはいかせてもらえない・・・」

 

「さらに厄介なのは・・・あの透明化するオートスコアラーもいるということだ」

 

リリィは両腕を背中に組んで、静かに佇み、ミカはカーボンロッドの上に乗り、やじろべぇのように立っている。

 

「我が崇高なる主であるマスターに歯向かう罪・・・その身をもって償っていただきましょうか」

 

リリィは両足に氷のローラー、両腕に氷の刃を創り出す。

 

「こいつらには生半可な力では通用しない・・・ならば・・・」

 

フォルテはそう言って懐からmodel_RのLiNKERを取り出す。

 

「じゃりんこ共~、あたしは強いゾ~」

 

「子供だとバカにして・・・」

 

「目にもの見せてやるデスよ!」

 

ミカの挑発的な発言で調と切歌はmodel_KのLiNKERを取り出した。

 

~♪~

 

3人がLiNKERを取り出したということは、さらにLiNKERを自身に打ち込もうとしているのだと誰もが気づいた。そしてLiNKERの過剰投与で命の危険性を高めてしまうことも理解している。

 

「!さらにLiNKERを・・・!」

 

3人がLiNKERの過剰投与しようとしている姿を見て、未来は驚愕する。

 

「3人を連れ戻せ!!これ以上は・・・」

 

『止めてくれるな!』

 

弦十郎が指示を出そうとしたところで、フォルテが通信越しで止めた。

 

『こうでもしなければ、奴らとまともに戦えない。そして、ここを破られれば、シンフォギアの改修に影響を及ぼす!ならば、引くわけにはいかない!』

 

フォルテの言い分はわかるが、命の危険性がある以上、弦十郎はこれ以上戦闘を続けさせるわけにはいかなかった。

 

「しかし!!」

 

「やらせてあげてください」

 

そこでマリアが3人の背中を後押しする声が上がった。

 

「これは、あの日道に迷った臆病者たちの償いでもあるんです」

 

「臆病者たちの償い・・・?」

 

「・・・誰かを信じる勇気がなかったばかりに、迷ったまま独走した私たち。だから、エルフナインがシンフォギアを蘇らせてくれると信じて戦うことこそ、私たちの償いなんです!!」

 

そう語るマリアは唇を噛みしめ、血を流している。本当は止めたい気持ちはあったが、マリアはぐっと堪え、3人を信じる道を選んだ。弦十郎はそう言われてしまっては何も言えず、3人の戦いを静かに見守ることを決めた。

 

~♪~

 

ミカとリリィと対峙するフォルテはガンタイプの注射器を自分の首筋に当て、LiNKERを投与しようとしている。

 

(こんなことで、亡くなった者たちへの償いになるとは思わない。しかし・・・ここで引くわけにはいかない・・・。成すべきことを成し遂げられないようでは・・・これまで犠牲になった者たち・・・そして最愛の友・・・セレナに合わす顔がない!)

 

フォルテの決意を現すかのように、LiNKERを自身に投与した。それと同時に、調と切歌もお互いに手を合わせ、ガンタイプの注射器をお互いの首筋に当てた。

 

「2人でなら・・・」

 

「怖くないデス!!」

 

調と切歌はお互いの首筋にLiNKERを同時に投与した。これで3人の適合係数が今以上に上がり、力がみなぎってくる。そしてそれと同時に、3人の鼻から鼻血が出てきた。

 

「オーバードーズ・・・」

 

そう、これはLiNKERの過剰投与のオーバードーズによるものだ。3人は垂れてきた鼻血を拭く。

 

「鼻血がなんぼのもんかデス!!」

 

「・・・いくぞ!」

 

先手としてフォルテは両剣を構え、リリィに向かって走り出す。

 

「・・・粛清を」

 

リリィはフォルテが動いたと同時に動き、フォルテに向かって右手の氷の刃を振るった。フォルテはリリィの氷の刃を両剣で防いだ。

 

「私たちも行こう、切ちゃん!一緒に!」

 

「切り刻むデス!!」

 

切歌は両手に持つ鎌の刃を展開し、それを1つに束ね、禍々しい鎌へと変形させる。

 

【対鎌・螺Pぅn痛ェる】

 

調はツインテール部位のアームより大型丸鋸を展開し、回転し始める。2人は並び立ち、ミカと対峙する。

 

「お!面白くしてくれるのか?」

 

カーボンロッドの上に立っていたミカは飛び上がり、調と切歌に向けてカーボンロッドを投げ放った。調と切歌は迫ってくるカーボンロッドを飛んで躱す。

 

「おぉ!」

 

ミカはさらに切歌に向けてカーボンロッドを3回右手から射出する。切歌はブースターを使ってミカに接近しながら放たれたカーボンロッドを鎌で弾き、そのままミカに鎌を振るった。ミカはカーボンロッドで難なく受け止めたが、すぐにひびが入る。カーボンロッドが破壊されると同時に、ミカはしゃがんで鎌を躱した。追撃として調がミカに向けて回転する大型丸鋸を放った。

 

【γ式・卍火車】

 

向かってきた2つの大型丸鋸をミカはカーボンロッド1本で弾き返した。だが調の攻撃はまだ続く。調は脚部の鋸を車輪のように展開し、ミカに接近する。

 

【非常Σ式・禁月輪】

 

ミカはニタニタ笑いながら向かってきた調の車輪鋸をカーボンロッドで受け止めた。カーボンロッドは回転する鋸の刃の負担に耐え切れず、真っ二つに引き裂かれた。同時にミカは鋸を横に躱してからジャンプして距離を取る。

 

「ふっ・・・さすがだな・・・僕も2人に負けていられん!」

 

リリィの氷の刃を受け止めているフォルテは両剣を押し上げてリリィの右腕を無理やり上げさせ、両剣を振るって追撃する。だがその攻撃はリリィの左手の氷の刃で防がれる。

 

「・・・お薬のおかげで、確かに出力も上がっているようですね。しかし・・・あの2人、そしてあなたのその輝きもまた時限式・・・その程度で勝てると本気で思っているのですか?」

 

リリィは再び右手の氷の刃をフォルテに振るった。フォルテはマントを操って氷の刃を防ぎ、両剣を分離して双大剣にして、左手に持った大剣でリリィを薙ぎ払おうとする。リリィは両足のローラーを利用して後ろ向きで滑ってフォルテの一撃を躱す。スケーターのように滑るリリィは地面に突き刺さっていたミカのカーボンロッドを一瞬で凍らせ、氷の刃で打ち込んでフォルテに放った。フォルテは双大剣を振るってカーボンロッドを破壊する。

さらに追撃としてリリィは空気を凍らせ、氷柱をいくつも作り上げ、フォルテに放った。フォルテは双大剣を元の両剣に戻し、回転させて氷柱を壊していく。氷柱を対処している間にもリリィの姿はどこにもなかった。フォルテは両剣を大剣に戻し、地に突き刺した。同時に地に複数の剣が現れる。

 

【Satan Of Wrath】

 

複数の剣が出現したがフォルテにはわかる。剣は全てリリィには直撃していないことを。

 

(落ち着け・・・見えない相手は目で追うな・・・。奴は必ずどこかにいる・・・集中力を研ぎ澄まし、奴を見つける・・・!)

 

フォルテは目を閉じて、集中力を研ぎ澄ませる。オートスコアラーには心臓音、呼吸音など存在しない。さらに暗殺タイプの相手は足音を殺すことも簡単だ。頼りになるのはほんの一瞬で放たれる殺気・・・そして集中力。フォルテは集中し、五感を研ぎ澄ましてリリィの殺気が放たれるその瞬間を待つ。待ち続けていると、背後より僅かながらの殺気がフォルテに迫ってきた。

 

「そこかぁ!!」

 

フォルテは殺気に向けて大剣を振り下ろした。大剣は何の手ごたえも感じず、そのまま地面と衝突し、土煙が発せられる。

 

「大雑把。そんな攻撃が私に当たるとでも?」

 

土煙が立ち込める中、フォルテは見えた。土煙の土が人の形になっており、人の形が今、フォルテの背後で刃を振るおうとしているのが。

 

「はあ!!」

 

フォルテは大剣を分離して双剣にし、人の形に向けて左手の剣を振るった。人の形は剣に直撃した。吹っ飛ばされた人の形にひびが入り、割れると同時にリリィが出現した。吹っ飛ばされているリリィは地面の剣に右手で掴み、凍り付かせ、凍った剣の上に乗った。フォルテは双剣を大きくさせ、高く飛んでリリィに向けて双大剣を振るった。

 

【Belial Of Vanity】

 

高い場所から振り下ろされる斬撃をリリィは両腕の氷の刃で難なく受け止めた。

 

「なるほど・・・先ほどの一撃は攻撃のためではなく、土煙で私の位置を特定するためだったのですね。僅かな殺気を感じ取ることと言い・・・少々やるようですね。ですが・・・それは何の攻略法にもなっていません」

 

リリィは氷の刃でフォルテの双大剣を押し返し、再び氷を身に纏って姿を消す。押し返されたフォルテは地に着く。

 

(奴が身に纏っていたものは氷・・・その氷はステルス機能だけでなく、防御も盤石だとは・・・!)

 

リリィの身に纏う氷はステルスだけでなく、防御性能もいかんなく発揮しているようで、ダメージが入っていない。それにフォルテは苦虫を噛みしめた表情になる。一方、施設のパネルの上でミカと戦いを繰り広げている調は丸鋸で、切歌は鎌で攻撃を繰り出した。ミカは両者の攻撃をカーボンロッドで凌いだ。

 

「子供でも下駄を履けばそれなりのフォニックゲイン・・・出力の高い子猫1人で十分かもだゾ」

 

ニヤリと笑うミカ。調は両手に持った武装を1つに束ね、ヨーヨーのように空高くに放ち、刃を展開する。展開した刃は回転し、調はそれをミカに向けて放った。

 

【β式・巨円斬】

 

回転する刃をミカは両手を掲げて、炎で結晶のようなものを作り上げ、それで弾いた。追撃として調と切歌は高く飛び、一回転し、調は鋸の刃を、切歌は鎌の刃を片足に展開して、ミカに向けて蹴りを放つ。2人の刃が展開された蹴りは結晶のようなものに直撃する。

 

「どっかーん!」

 

「「!!」」

 

ドカアアアアアン!!!!

 

結晶のようなものは発火し、爆弾のように爆発した。

 

「月読!!暁!!」

 

「よそ見をしている場合ですか?」

 

「・・・!」

 

フォルテは爆発に巻き込まれた2人を心配した時、またも殺気が近づいてきたのに気がつく。フォルテは先ほどと同じ要領で土煙を放とうと大剣を地に向けて振り下ろした。だが地面は凍り付いており、打撃を与えても、土煙が現れない。

 

「何っ!!?」

 

フォルテが驚いている間にも、彼女の身体に一筋の傷ができ、傷が凍り付く。

 

「くっ・・・!」

 

「同じ手は二度も通用しません」

 

フォルテは出ている殺気に向けて大剣を振るうが、空振り。その間にもフォルテには次々と傷が増えていく。

 

(早すぎて・・・対処しきれない・・・!)

 

対処できずにフォルテは躱す動作をするが、それでも傷は増えていく。そして、ステルス化した氷にひびが入り、割れてリリィが姿を現した。それと同時にフォルテにできた傷の氷は砕け散り、血は一気に噴き出す。

 

「がっ・・・!」

 

大きなダメージを負ったフォルテは大剣を地に刺して、身体を支える。

 

~♪~

 

発電施設のパネルが破壊されたことで、潜水艦の電源が切れ、モニターの画面と電気が消える。

 

「内臓電源に切り替えます!」

 

すぐに潜水艦の内臓電源に切り替わったことで電気はつき、モニターも映し出された。

 

「負けないで・・・!」

 

「お願い、セレナ・・・3人に奇跡を・・・!」

 

未来とマリアが3人の勝利を祈っていると、ブリッジに響が入ってきた。

 

「!響君!」

 

「響!!」

 

未来は響が目を覚ました喜びで彼女に抱き着いた。

 

「ありがとう・・・響のおかげで私・・・」

 

「私の方こそ。また歌えるようになったのは、未来のおかげだよ」

 

響は未来に向けてにっこりと微笑んだ。

 

「・・・でも・・・平気なの・・・?」

 

「大丈夫!へっちゃらだよ!」

 

そうは言うものの、響は悔しさからか、拳を強く握っていた。

 

「・・・状況を・・・教えてください」

 

響はすぐに弦十郎に現在の状況を訪ねた。現在の状況は、モニターに映っている通りだ。

 

~♪~

 

オートスコアラー2機の圧倒的な力の差を見せつけられた3人は痛みに耐えつつ、立ち上がっている。同時にフォルテは、目の前の壁は越えられないことに気付いている。

 

「くっ・・・手合わせをしてわかった・・・今の僕らでは・・・奴らには勝てない・・・!」

 

「そんな・・・。これじゃあ・・・何も変わらない・・・変えられない・・・」

 

「こんなに頑張っているのに・・・どうしてデスか!!?こんなの嫌デスよ・・・変わりたいデス!!」

 

非情な現実を突きつけられ、3人は悔しい気持ちでいっぱいになる。

 

「まぁまぁ強かったゾ!でもそろそろ遊びは終わりだゾ!」

 

ミカはニヤニヤしながらそう言ってツインロールの髪の毛をブースターとして使い、切歌の懐まで急接近した。

 

「ばいなら~!」

 

ミカは左手よりカーボンロッドを射出し、切歌のギアコンバーターにダメージを与え、砕け散った。反応に遅れた切歌は吹っ飛ばされ、ギアが分解され、一糸まとわぬ姿となった。

 

「切ちゃん!!」

 

調はすぐに切歌に駆けつけようとする。

 

「待て月読!!下手に・・・」

 

フォルテが調を止めようとした時にはすでに遅い。調のギアコンバーターは何か斬りつけられた瞬間に凍り付いた。

 

「え・・・?」

 

「敵に背後を見せたのが、命取りですね」

 

風景にヒビが入ったと同時に、粉々に砕け散り、リリィが姿を現した。それと同時に、凍り付いた氷が砕け散り、調はダメージを負い、一糸まとわぬ姿となって倒れる。

 

「月読!!」

 

「・・・マスターに下された命令はあなたのギアを破壊すること。どんな手を使ってでも果たしてみせます」

 

「それ~!」

 

リリィとミカはアルカ・ノイズの結晶を辺りにばら撒き、アルカ・ノイズを召喚した。フォルテはアルカ・ノイズに囲まれてしまう。

 

「フォル・・・テ・・・」

 

「何も心配するな。君たちは僕が守る」

 

「始まるゾ、バラバラ解体ショー!!」

 

「・・・やりなさい」

 

ミカとリリィの指示でアルカ・ノイズは一斉にフォルテに襲い掛かる。フォルテは襲い掛かるアルカ・ノイズを迎え撃ち、大剣で次々と薙ぎ払う。だが、リリィとの戦いでフォルテの体力は限界に近い。

 

「フォルテ・・・逃げて・・・」

 

「できるものか!大切な仲間を・・・家族を・・・僕は!!」

 

調はフォルテに逃げるように言った。だがフォルテは決して見捨てはない。アルカ・ノイズの分解器官を避けながら、大剣で1体、また1体と倒していく。

 

「そう、あなたはアルカ・ノイズ程度では倒されない」

 

フォルテがアルカ・ノイズに対処していると、フォルテの背後より、リリィが忍び寄ってきた。

 

「!しま・・・」

 

「ゆえに・・・あなたは私が破壊します」

 

フォルテが気づいた時にはリリィが右腕の氷の刃はすでに、フォルテのギアコンバーターを斬りつけ、凍り付かせた。そして、素早く氷が砕けて、ギアコンバーターは破損し、フォルテは一糸まとわぬ姿となってしまう。

 

「がぁ・・・!」

 

フォルテが倒れようとした時、リリィは彼女の首を右手で掴み、締め上げている。リリィはフォルテを持ち上げ、足元に氷の高台を作り上げ、足場を高くする。氷の高台の周りにはアルカ・ノイズが集まっている。

 

「ぐっ・・・き・・・貴様・・・!」

 

「ずいぶんと手こずりましたが・・・これで命令は果たされました。そのお礼として、楽に始末して差し上げます」

 

「や・・・やめて・・・」

 

調はやめるように懇願する。リリィはその声にちょうど良いと言いたげな様子で調と切歌に向けて口を開く。

 

「これは見せしめです。その目でじっくり見るのです。マスターに歯向かうとどうなるか・・・」

 

リリィは口もとの口角を上げ、鋭利な歯を見せ、目を見開いた。その表情には、まさに狂気がはらんでいた。

 

「大切なお仲間が・・・バラバラになるのを見て、絶望しながら思い知りなさい」

 

リリィはフォルテの首を離し、彼女をアルカ・ノイズの群れに落とした。このまま落ちればフォルテはアルカ・ノイズに分解され、死亡してしまうだろう。

 

「誰か・・・フォルテを・・・誰かああああああああ!!!」

 

切歌は叫び、思わず目を瞑った。調も目を瞑る。しかし、いつまでたっても、フォルテの悲鳴は聞こえてこない。2人は恐る恐ると目を開けてみると、アルカ・ノイズは分解器官が切り裂かれ、ハチの巣のように風穴があいていた。

 

「え・・・?」

 

「誰かだなんて、ツレねぇこと言ってくれるなよ」

 

聞き覚えのある声が聞こえてきた。アルカ・ノイズの群れの奥には、誰かがフォルテをお姫様抱っこで抱えていた。

 

「何とか・・・間に合った!」

 

散っていくアルカ・ノイズを葬ったのは、きらめきを見せている刀であった。

 

「剣・・・?」

 

「ああ・・・振り抜けば、風が鳴る剣だ!」

 

この窮地を救ったのは・・・強化型シンフォギアを身に纏った翼、日和、クリスの3人であった。3人の頑張りは、今ここに、形となって実った。




レールガン

雷のオートスコアラーシャルの雷の錬金術を最大限に活用することができる哲学兵装。弾は全て電気でできている。レールガンの弾に直撃した物体はシャルの意思で何でも感電させることができ、物質の防御は絶対不可能。武器に直撃した場合の対処法は武器を手放す他ないのだが、感電するスピードが速いため実現は難しい。ゆえにシャルと渡り合うためには、レールガンの弾を絶対に避けることが必須となってくる。
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