戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

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今回からオリジナルエピソードでございます。


命の記憶

これはフォルテの昔の記憶。フォルテの故郷バルベルデ共和国では戦が絶えなかった。どこの景色も火の粉が散るばかり。当時フォルテもトレイシー・テレサという名で子供ながらに反乱軍の戦に参加していた。

 

『ぐああああああ!!』

 

フォルテ・・・テレサが多く聞くのは兵士たちの断末魔だ。戦争に参加するということは、命の奪い合いに加担するということ。ゆえにテレサはその手で数多くの命を奪ってきた。政府軍を屈服させれば、国の情勢は安定すると言い聞かせながら。

 

そんなある時、反乱軍の一部兵士が自分の命惜しさに仲間を裏切った。その結果、テレサを含んだ兵士たちは政府軍が待ち構えていた戦地に送り込まれ、彼女たちが属していた拠点も奪われることとなった。

 

『な、なんだと!!?政府軍が待ち構え・・・ぎゃああああ!!』

 

『みんな下がれー!!このままでは・・・ごふっ!!?」

 

『撤退!!撤退!!!』

 

『うわあああああ!!!』

 

戦の結果は誰が見ても明らかで、待ち伏せされていた政府軍に一網打尽にされ、送り込まれた兵士は全滅した。運良く生き残ったテレサを除いては。

 

『な・・・なぜだ・・・どうしてこうなったんだ・・・?』

 

数多くの仲間たちが目の前で失い、テレサは涙を流し、悔しさで拳を地面に叩きつけた。その後は生き残ることだけを考え、各地を彷徨い続けたが、そう長くは続かず、疲労で倒れ込んでしまう。テレサが死を覚悟した時、現地に来ていたF.I.Sの人間に拉致された。これによってテレサの人生は大きく変わり、己の名を捨て、フォルテ・トワイライトとして生きることとなった。

 

その当時のことを思い出していたフォルテはS.O.N.G本部の個室で拳を強く握らせている。

 

「・・・同じことは・・・もう決して・・・繰り返させてなるものか・・・!」

 

フォルテの心の内は、本人も自覚しない焦燥感に駆られていた。

 

~♪~

 

調と切歌がミカを倒した翌日、響は検査入院という項目で都内の病院に移ることとなった。そしてその病院は日和の姉、東雲咲が勤務している病院だ。日和、海恋、クリスの3年生組はお見舞いの果物を持って響のお見舞いに来ている。現在は彼女の病室に向かって歩いている。

 

「悪いわね、日和の買い物に付き合ってもらっちゃって」

 

「まぁ、バカの様子を見るついでだ。これくらい気にすんな」

 

「まったく・・・ただの検査入院だっていうのに・・・」

 

「だってベッドで寝た切りのままだなんてかわいそうじゃん?おいしい果物でも食べて、気を紛らわせないとでしょ?」

 

「んなこと考えてんのはお前とバカだけだ」

 

「えー。そりゃないよー・・・」

 

他愛ない雑談で盛り上がっているうちに3人は響の病室にたどり着いた。3人が病室に入るとそこにはベッドから起き上がった響と同じくお見舞いに来ていた未来がいた。

 

「あ、クリスちゃん!日和さんに海恋さんも!」

 

「思ったより元気そうだな」

 

「もう、ただの検査入院なのに、みんな大騒ぎしすぎだよぉ~」

 

「響のせいで大騒ぎしてるんでしょ」

 

「状況が状況とはいえ、そうなってるのは自分の行いの結果なんだから、反省なさい」

 

「うぅ・・・外でもお説教は勘弁してくださいよぉ~・・・」

 

結果から見れば入院することになったのは響自身の行動によるものだと海恋から指摘され、響は渋い顔つきになる。

 

「大丈夫だよ、響ちゃん。お姉ちゃんの言うことをちゃんと聞いてれば、すぐに退院できるって。はい、これお見舞いの品!1番いいものを選んだからねー」

 

「わあ!ありがとうございます、日和さん!」

 

日和から果物を受け取り、響は彼女にお礼を言った。未来もわざわざ持ってきてくれた日和に頭を下げる。

 

「本当にすみません。気を遣っちゃって・・・」

 

「いいのいいの。私が好きでやってることだからね。あ、そうだ。喉渇いてない?お茶とか買ってきてあげるよ」

 

「あ、それなら私が・・・」

 

「大丈夫大丈夫、自販機で買うからさ。未来ちゃんは響ちゃんのそばにいてあげて」

 

飲み物を買いに日和は病室から退室した。どこまでも元気な日和に響と未来は笑みを浮かべ、海恋とクリスは呆れる。

 

「たく、あのバカ2号は・・・」

 

「まぁ、日和らしいけど」

 

海恋はそう言って笑みを浮かべた後、海恋は2人に質問をする。

 

「あ、ところで今日は咲さん来てないかしら?ついでに挨拶しておこうと思ったのだけど・・・」

 

「咲さんですか?そういえば今日は見ないですね」

 

「私もです。もしかして、今日は休みなんじゃないですか?」

 

「マジかぁ・・・。タイミングが悪かったかぁ・・・」

 

病院に入院している響も見ていないことから今日は咲は休みなんじゃないかと推測し、クリスは少し残念そうにしている。

 

「まぁ、いないなら仕方ないわ。また後日改めて顔を合わせましょう」

 

いないなら仕方ないと思い、2人は咲の顔合わせは後日にしようと決め、しばらくは響の様子でも見ようと病室に残った。

 

~♪~

 

一方その頃、本日は休みである咲は自分の部屋に溜まってあったゴミを出しに行っていた。その隣には調と切歌がおり、2人は咲のゴミ出しの手伝いをしている。

 

「2人ともごめんね、掃除に付き合ってもらっちゃって」

 

「このくらいおちゃのこさいさいデース!」

 

「それに、日和先輩から頼まれてましたから」

 

日和に頼まれたと聞いて、咲は嫌な予感がして冷や汗をかいている。

 

「ねぇ・・・一応聞くけど・・・・日和に何頼まれたの?」

 

「咲さんはお片付けができないから、遊びに行く時は掃除してあげてって言ってました」

 

「日和・・・なんて余計なことを・・・」

 

実際事実だから何とも言えないが、いらないことを教えた日和に咲は自分の妹をちょっと恨んだ。どうして調と切歌が咲と親しいのか。それは、現在2人の住まいは咲が住んでいるマンションだからだ。しかも、部屋も隣同士。日和からの紹介ということもあって、必然的に会う機会が多く、よく咲の部屋を掃除しているのだ。ちなみにこれによって日和は『自分の負担が減った』と大いに喜んでいた。

全てのゴミをゴミ捨て場に置いて3人はひと段落する。

 

「これで全部だね」

 

「こうもゴミが多いと、掃除も一苦労デスね」

 

「2人ともありがとう。頑張った子にはご褒美をあげなきゃね。今からお菓子、買いに行こっか。好きなもの、何でも買っていいからね」

 

「わーい!やったデース!」

 

掃除のお礼として咲は2人にお菓子を何でも買っていいと宣言する。喜んでいる切歌に調が彼女をじーっと見つめる。

 

「切ちゃん、それが目当てでしょ」

 

「これも役得というものデース」

 

2人のやり取りに咲は微笑ましい笑みを浮かべる。

 

「おや先生、こんにちは」

 

すると、同じくゴミ出しに来たおばあさんが咲に挨拶してきた。このおばあさんは以前咲が診察した患者でお互いに顔見知りである。

 

「あ、こんにちは。ほら、2人とも挨拶」

 

「「こんにちは(デース)」」

 

調と切歌もおばあさんに挨拶をする。

 

「はい、こんにちは。もしかして、妹ちゃんかい?」

 

「まぁ、似たようなものです。そちらもゴミ出しを?」

 

「まぁ、散歩ついでにですね。こうして散歩できるのも、先生のおかげです」

 

「いえ、私は診察をしただけです。治療はしてません」

 

「いえいえ、先生が診察してくれたおかげで、こうして病気を治すことができたんです」

 

「そう言っていただけて、嬉しいです」

 

調と切歌は2人の会話を聞いて、おばあさんが咲のことをどれだけ慕っているのかがよく伝わる。同時に、どうして外科医ではなく、診察医になったのか、疑問を浮かべる。

 

~♪~

 

その頃、とある神社。フォルテは緒川と調査部と共にこの場所の調査に来ている。

 

「・・・ここもまたひどい有様ですね・・・」

 

「ええ・・・」

 

訪れた神社はところどころ破壊されており、地面も至る所に切り裂かれているように抉れている。いや、被害にあっている神社はここだけではない。それが調査部がここに訪れた理由になる。

 

「ここ最近、事故や事件による神社や祠の損壊が頻発しているのは知っています。しかし、この神社といい、筑波の神社の破壊の跡・・・事故などで片付けるには・・・」

 

「ええ。あまりにも不自然なんです。もしこれがオートスコアラーの仕業なのだとすれば、何のために破壊するのか・・・」

 

「そこを調べれば、人形の目的がわかるかもしれない・・・そういうことですね」

 

「はい。フォルテさん、お手数をお掛けしますが、よろしくお願いします」

 

最近被害に遭っている神社や祠・・・これらは事故や事件で破壊されたとあるが、目の前の神社の壊れ具合や筑波の神社の異常な壊れ方は不自然であり、これらの事件の全てはオートスコアラーの仕業であるのがわかる。ではなぜ破壊するのか・・・破壊跡地である神社を調べれば、彼女らの目的と共にわかるかもしれない。そういう事情で調査部はここを含めた神社の破壊跡地を調べに来たのだ。調査部の人間たちは神社の周りを調べている。フォルテも地面の傷口を触れながら調査を行う。

 

「・・・ここ自体は、普通の神社のようだが・・・」

 

この破壊された神社を見ていると、フォルテは嫌でも思い出す。幼き頃の記憶を。

裏切り者の罠から無事生還し、拠点に戻ってみれば、その拠点が炎に包まれ、ところどころ破壊されつくされた光景を。その近くで、無惨に倒れている仲間の光景を。その思い出を振り返っていたフォルテはハッとなり、ぶんぶんと首を振り、思考を現実に戻す。

 

「フォルテさん?どうかしましたか?」

 

その様子が気になった緒川はフォルテに声をかける。

 

「・・・いえ、何でもないです。調査を続けましょう」

 

フォルテは何でもないと言い張り、奥にある祠へと向かった。緒川もフォルテの様子が気になりつつも、祠へと向かった。

 

~♪~

 

コンビニで買いたいお菓子などを咲に買ってもらった調と切歌はきれいになった咲の部屋に上がり込み、お菓子を机に並べてそれを咲と一緒に食べながら会話で盛り上がっている。

 

「咲さんはいろんな人に慕われてますね」

 

「あら?そうかしら?」

 

「デスデス。おばあちゃんだけでなく、おっちゃんも近所の子供たちも、みーんな咲さんにデレデレのにっこにこデス」

 

「それは・・・少し恥ずかしいけど・・・嬉しいわね」

 

ここに帰るまで、咲はこれまで診察してきたサラリーマンや近所の子供たちに声をかけられており、みんな咲を慕ってくれていた。それを指摘された咲は少し照れている。

 

「でも、それ以上に嬉しいのは、みんな元気になって、明るい日常に戻ってくれている・・・これにつきるわね」

 

誇らしい表情をしながら語る咲に調は疑問に思ったことを質問する。

 

「あの・・・咲さんはどうして、お医者さんになろうって思ったんですか?」

 

調の質問に咲は彼女に視線を移し、微笑んでお菓子をつまみながら話す。

 

「・・・うちの実家が病院だったってこともあって・・・いつしか医者になりたいって子供の頃から思ってたわ」

 

お菓子を口に含んだ後、真剣な表情になる。

 

「でも、本当の意味での医者になりたいって思ったのは、3年前の事件と、2年前の事件がきっかけね」

 

3年前の事件とは、ツヴァイウィングのライブ会場襲撃事件、2年前の事件は日和が経験した事件のことだ。

 

「2人はツヴァイウィングのライブの事件は知ってる?」

 

「えぇ・・・まぁ・・・」

 

「実を言うとね・・・ツヴァイウィングのライブの事件で生き残った人を、当時私は快く思ってなかったの」

 

「「え?」」

 

「彼らが実家に運ばれたおかげで、経営も危うくなってくるし、こっちにもひどく言われるし・・・そして何より、人が死んでるのに、生きてるってだけで税金をもらって、のうのうと生きていることが、許せなかった」

 

あれほど心優しい咲がツヴァイウィングのライブの事件の生き残りに対してよく思っておらず、悪く言えばバッシングする人間側についていたことに2人は驚きを隠せなかった。とはいえ、手をあげることはしなかったし、日和もこのことは知らない。

 

「命は皆平等で許せないことはない。如何なる理由や問題があっても、命を見捨ててはいけない。父はそう言って彼らを見捨てなかった。当時の私は父の言ってることが理解できなかった。そんな時ね。2年前の・・・日和が企画したライブ配信の事件が起きたのは」

 

咲は寂しそうに笑みを浮かべながら紅茶を飲む。

 

「あの事件も被害者は出たわ。でも生き残ったのは日和だけ。規模が小さかったから、3年前みたいに騒がれなかったわ。・・・ある一家を除けば」

 

「その一家って・・・」

 

「伊南家・・・亡くなった小豆ちゃんのご家族よ」

 

さらに咲はため息をこぼし、天井を見上げる。

 

「小豆ちゃんが亡くなったことで、日和はあの家族からひどい罵声を浴びせられたわ。ううん、日和だけじゃない。私たち家族や実家に対しても同様に扱われて・・・しまいには呪われてるなんて言われる始末。それが実家中に広まって、経営がさらに悪化、患者さんからの信用も失って、それに耐えきれなくなった母も蒸発して出て行って、拠り所を失った父も薬に染まって・・・最後には多くの先生を巻き込んで自殺したわ」

 

ある程度の経緯は日和から聞かされてはいたが、まさかそこまで重い話だったとは思わず、2人は言葉を失う。

 

「こんなことがあって、日和は寮に引きこもった。その姿はあまりにも痛々しいものだったわ。これまでのことと、日和の姿を見て、私はようやく気がついたの。彼らもこんな気持ちで生きてきたんだって。そう思ってから私は、今までの自分を憎んで、自分を責めたわ」

 

咲は視線を2人に戻して、続きを話す。

 

「だから私は決めたの。人の気持ちに寄り添って、心身共に救えるような本当の医者になるって。だから私は人との繋がりが持てる診察の道を選んだの」

 

驚いている2人の顔を見て咲は少しバツが悪そうな顔になった。

 

「て・・・ごめんなさいね、かなり重たい話だったわよね」

 

「い、いえいえいえ!滅相もないデス!むしろ、感動したデス!」

 

「うん。それだけひどい仕打ちを受けてもそう考えられるのは、中々できないと思います」

 

「それに、これまで慕ってきた人たちはきっと、咲さんの頑張りを認めてくれたんだと思うデス!」

 

「うん。私たち、咲さんのこと、本当に心から尊敬してます」

 

「あら、ありがとう」

 

2人に気を遣われて、咲は申し訳ない半面、そう言われて嬉しい気持ちもあった。

 

「こんなことで彼らの償いになるとは思ってないわ。実際に亡くなった方もいるし。それでも私はこれからも逃げずに、まっすぐに彼らと患者さんに向き合おうと思ってるわ。それが、命と向き合う医者の大事な務めですもの」

 

誇らしい笑みを浮かべてそう宣言する咲に2人は笑みを浮かべながら咲のこれからを応援すると決めた。

 

~♪~

 

破壊された神社を調査しているフォルテたちは林の先にある祠までやってきた。この祠の壊れようは特にひどく、原型も留められていない。

 

「ここはさらにひどいですね・・・」

 

「やはり・・・」

 

緒川は何か思い当たることがあるようで、難しい顔をしている。

 

「何か心当たりでも?」

 

「フォルテさん、あなたはレイラインについてご存じですか?」

 

「ええ。確か、明治政府帝都構想で霊的防衛を支えていた龍脈・・・でしたね」

 

「実はですね、破壊された神社や祠にはここを含め、レイラインのコントロールを担っていた要所なんです」

 

「人形たちはその要所を狙って破壊した・・・」

 

これまで破壊された神社がレイラインをコントロールする要所だと聞かされ、フォルテは少し考え込む。すると、フォルテは何か気がついたようにハッとした顔になる。

 

「電気経路の調査に・・・要所の破壊・・・まさか・・・キャロルの言う世界解剖というのは・・・」

 

「察しがよろしいですね」

 

「「!!」」

 

不意に第三者の声が聞こえてきた。フォルテと緒川は警戒して声のした方向を振り向くが、誰もいない。だがそこにいるのはわかる。緒川は拳銃を取り出し、声のした方向に発砲した。だが放たれた弾丸は急に凍り付き、空中で止まって粉々に砕け散った。さらに・・・

 

「ぐあ!!?」

 

「緒川さん!!ぐぅ!!」

 

緒川とフォルテは何者かに殴られたかのように吹っ飛び、背中が木に衝突する。2人が先ほどまでいた風景にひびが入り、割れるとそこから右手に氷柱を纏ったリリィが現れる。

 

「オートスコアラー・・・!」

 

「ここを張っていれば必ず現れると思っていましたよ」

 

リリィが現れたことで調査部員は彼女に向けて拳銃を向けた。リリィはそれを見て、ため息をこぼし、アルカ・ノイズの結晶を放ってアルカ・ノイズを召喚する。調査部員はアルカ・ノイズに向けて拳銃を発砲するが・・・

 

『ぐあああああああ!!』

 

アルカ・ノイズに大したダメージは入らず、そのまま調査部員を分解していった。フォルテはそれを見た時、昔の仲間が殺されていく光景が頭によぎり、リリィを睨みつける。

 

「貴様・・・!!」

 

「見極めてあげましょう。マスターの贄に相応しいか否かを」

 

「後悔させてやる・・・!」

 

フォルテは自分の首の包帯を外し、ギアネックレスを取り出して詠唱を唄う。

 

Ragnarok Dear Mistilteinn tron……

 

シンフォギアを身に纏ったフォルテは大剣を銃に変形させ、アルカ・ノイズに向けてエネルギー弾を連射する。

 

【Mammon Of Greed】

 

エネルギー弾に貫かれたアルカ・ノイズは赤い塵となって消滅し、さらにフォルテは大剣をリリィに向け、エネルギー弾を一発撃ち放つ。リリィはエネルギー弾を跳躍で躱し、右足に回転する氷の刃を纏い、フォルテに蹴りを放つ。フォルテは放たれた蹴りを大剣で受け止め、防御する。フォルテが戦っている間にも緒川は本部に連絡を入れる。

 

~♪~

 

本部のブリッジにいる弦十郎は緒川の報告を聞いて現状を把握する。モニターでもフォルテが戦っている姿が映っている。

 

『オートスコアラーが襲撃してきました!現在フォルテさんが1人でリリィと交戦中です!』

 

「こちらでも状況は確認した!今翼たちがそちらに向かっている!何とか持ちこたえるんだ!」

 

弦十郎はすぐに現段階で最善の指示を出した。

 

「フォルテ君・・・1人で無茶をしてくれるなよ・・・!」

 

いくらフォルテが装者の中で戦闘能力が高いとはいえ、相手はフォルテを戦闘不能にさせたオートスコアラー。心配が絶えなかった。

 

~♪~

 

大剣で払いのけられたリリィは左手を地にかざし、地面を凍らせ、フォルテに向けて巨大な氷の柱をいくつも創り出して攻撃する。向かってきた氷の柱をフォルテは大剣を分離して双剣にし、氷の柱を切り裂く。リリィの姿を捉えたフォルテは彼女に向けて双剣に纏った雷を放った。

 

【Asmodeus Of Lust】

 

向かってきた雷撃をリリィは足の氷のローラーで滑って躱した。滑りながら移動するリリィは氷の氷柱をフォルテに放って木の陰に隠れる。向かってきた氷柱をフォルテは双剣で1つずつ破壊し、リリィが隠れた木を切り裂く。だがそこにはリリィの姿はなかった。自分の得意技でまた姿を消したのだ。

 

(ここは木が生い茂っている・・・暗殺するにはうってつけの場・・・つまり、ここは奴にとって有利に運べる環境!)

 

フォルテはリリィの戦法を考察しながら、双剣を大剣に戻し、リリィの殺気を探ろうとする。じっと待っていると、目の前に殺気を感じた。フォルテはすぐに大剣を地に突き刺し、複数の剣を自身の周りに出現させる。

 

【Satan Of Wrath】

 

フォルテの周りに剣が出現したことで目の前の殺気は上空に移動する。上空の風景にヒビが現れ、リリィが出現する。リリィはフォルテに向けて右手の氷の刃を振るおうとしている。フォルテは向かってきたリリィに向けて大剣で突きを放ち、胴体を貫いた。

 

ビキビキ・・・パリーン!!

 

「何っ!!?」

 

だが貫かれたリリィは氷となって粉々に砕け散った。これはリリィが作った氷の偽物だ。フォルテが驚いている間にも背後に姿を現したリリィは左手の氷の刃で周りの剣と一緒に斬撃を放った。

 

「がっ・・・!」

 

周りの剣が砕かれ、背中に傷を負ったフォルテは地に倒れる。

 

「フォルテさん!!」

 

緒川は拳銃を撃ってフォルテを援護しようと動こうとしたが、自身の腕や足に氷が纏わりついていたことに気付き、思うように身動きが取れなかった。

 

「・・・以前に比べて、キレがないですね」

 

リリィは少し失望したような顔でフォルテにそう述べた。

 

(こうなれば・・・イグナイトを・・・!)

 

フォルテはイグナイトを使用しようとギアコンバーターに触れた。だがそこで、響が暴走した時の光景を思い出し、使用を踏みとどまらせる。果たして今の自分に呪いの衝動を抑えられるだろうか。問題を抱えていることを自覚している彼女はそんなことばかりが頭によぎる。

 

「使わないのですか?その力」

 

「!!」

 

確信を突くようなリリィの発言にフォルテは目を見開く。

 

「マスターはその力によって敗れた・・・ならば、その力を使った状態で始末しなければ、粛清したとはいえません。ゆえに私は、あなたにその力を使ってもらいたいと思っています。もっとも・・・あなたにそれができれば・・・の話ですが」

 

「・・・っ!なめるな!!」

 

リリィの挑発に触発されたフォルテは大剣を持ってリリィに突っ込んでいく。

 

「貴様など!イグナイトを使わなくとも!!」

 

「・・・強情。そして浅はか」

 

リリィは向かってきたフォルテの振るう大剣を屈んで躱し、即座に右手に氷の刃を創り出して腹部を斬り裂いた。

 

「がぁ・・・!」

 

「その程度で私を倒そうなどと、自惚れないでください」

 

腹部を斬られたフォルテは倒れ込み、傷口を抑える。

 

「さて・・・あなたに残された選択は2つ・・・その力を使うか・・・このまま粛清されるか・・・」

 

リリィがフォルテに2つの選択を選ばせようとすると、翼が現れ、手に持つ大剣で青の斬撃を放った。

 

【蒼ノ一閃】

 

迫ってきた青の斬撃をリリィは跳躍して躱す。リリィが地に着地した瞬間に翼と同じく駆けつけたマリアが複数の短剣を彼女に放った。

 

【INFINITE†CRIME】

 

リリィは慌てることなく手を翳し、氷の柱を創り出して短剣を全て防御する。

 

「フォルテ!大丈夫?」

 

「マリア・・・風鳴・・・」

 

「緒川さんも、無事でよかった」

 

「すみません・・・助かりました」

 

マリアと翼は2人が無事で安堵する。翼は刀で緒川に纏わりついた氷を外していく。

 

「・・・形勢逆転・・・ですか・・・」

 

他の装者も合流してくるであろうと考えるリリィは有利から不利へと変わったと理解し、テレポートジェムを取り出す。

 

「いいでしょう。少しばかり猶予を与えましょう」

 

「待て!逃げるつもりか!」

 

「お好きに捉えてもらって結構。それから・・・あなた。少しは頭を冷やしてはどうでしょうか。でなければ到底私には追い付けません」

 

「くっ・・・」

 

「では、これにて失礼いたします」

 

リリィはテレポートジェムを地面に叩きつけ、深くお辞儀をしてチフォージュ・シャトーに帰還する。

 

「くっ・・・。いや、それよりも、フォルテ、立てるか?」

 

翼はフォルテに手を差し伸べようとするが、彼女は手に取ろうとせず、拳を強く握りしめている。

 

「フォルテ?」

 

「どうしたの?」

 

「フォルテさーん!大丈夫ですかー!」

 

2人がフォルテを心配していると、日和たちもやってきた。フォルテは握りしめた拳を地面に叩きつけた。

 

「敵に情けをかけられるとは・・・不甲斐ない・・・!!」

 

自分が弱かったせいで調査員を守れず、なおかつ敵にいいようにやられ、フォルテの心情は悔しさでいっぱいだった。




東雲咲(GX編)

外見:長い黒髪を後ろに結んでいる
   瞳は青色

年齢:27歳

誕生日:9月9日

趣味:料理研究

好きなもの:使い慣れた料理道具

イメージCV:原神:久岐忍
(その他の作品:バカとテストと召喚獣:島田美波
        魔法少女まどか☆マギカ:巴マミ
        テイルズオブレジェンディア:ノーマ・ビアッティ
        その他多数)

都内の病院に勤務している診察医。日和の実の姉。ルナアタック事変にて所属していた医療施設が破壊されたために現在の病院に勤務している。
3年前の彼女はツヴァイウィングのライブの事件の生き残りをよく思っていなかったらしい。(それは響も含む)だがその1年後のライブ配信事件で日和が引きこもった姿を見て、彼らもこんな思いを抱いていたのだと気づいて深く自分を責め、本当の意味での医者になりたいと強く願った。それが診察医になったもう1つの理由となっている。
それゆえなのか、人の命についてよく考えるようになり、もしそれによって迷っている人間がいるのなら、手助けしてあげたいと思っている。
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