リディアン音楽院の3年生の教室。全ての授業を終え、日和は教科書を鞄の中に入れ、帰り支度の準備をしている。その表情はどこか曇っているように見える。そこにクリスが声をかけてきた。
「おい、今日は本部に直行するぞ」
「・・・なんで?」
「なんでって・・・今日作戦会議があるって言ってただろ。オッサンの話聞いてなかったのか?」
「・・・行きたくない・・・」
「はあ?」
今日は本部で作戦会議が開かれるのだが、日和はどういうわけか行くのを嫌がっている。全ての事情を知っている海恋は2人の話を聞いていた。
「ごめん・・・今日そういう気分じゃないの・・・」
「気分じゃないってお前・・・」
明らかに様子がおかしい日和にクリスはいったいどうしたのかと尋ねようとした時、噂話が聞こえてくる。
「ねぇ聞いた?ボロボロになった暴走族の話」
「う、うん・・・。近所を走り回ってた怖い人たちのことだよね・・・」
「ボロボロにしたの、噂じゃ小豆ちゃんの弟君らしいよ?」
「え?小豆ちゃん、弟いたの?」
「いるよ。本人に紹介してもらったもん」
「・・・っ!」
噂話に小豆の弟というワードが出た途端、日和は反応して、逃げるように教室から出ていった。
「お、おい!」
クリスは日和を呼び止めようとしたが、行ってしまった。海恋はクリスに声をかける。
「今日は・・・そっとしてあげて」
「なぁ、今日は朝っぱらから墓参りに行ったんだろ?いったい何があったってんだ?」
「・・・ちょっと複雑な事情があってね・・・」
事情を聞かれた海恋はかなり複雑そうに顔をしかめている。
~♪~
時は今朝に遡る。小豆の墓参りにやってきた日和と海恋はそこで偶然小豆の弟、伊南大悟と再会する。日和は久しぶりに会った大悟に対し、申し訳なさと罪悪感を抱いている。そんな気持ちを抱いたまま、日和は彼に声をかける。
「だ、大悟君・・・ひさ・・・」
「ちっ!」
日和が口を開くと同時に、大悟は忌々し気に舌打ちをした。
「朝っぱらから見たくもねぇ面を見るとはな・・・」
「・・・・・・」
悪態をつく大悟に日和は悲しそうに顔を俯かせる。そんな大悟の態度に海恋が堂々と異を唱える。
「ちょっと!久しぶりに会ったのになんなのよその態度!挨拶くらいしたっていいでしょ!」
「るせぇな・・・てめぇらの面見てっと、しらけんだろうが・・・とっとと帰れよ」
「あんた・・・なんなの!」
「んだこら!」
海恋と大悟は互いに睨みあう。一触即発な2人に日和が止める。
「や、やめてよ2人とも!」
「だけど・・・」
「大悟君が私のことが嫌いなのは・・・わかってるから・・・」
「日和・・・」
「ハンッ!意外だな。ちゃんとわかってるとはな・・・。そういう利口ぶり、反吐が出るぜ」
悲しそうにしている日和に大悟は鼻で笑い、悪態をつく。その悪態に海恋は大悟を睨みつける。
「あなた・・・日和をいじめてそんなに楽しい?そんなに日和が憎いの?」
「ああ、憎いね!当たり前だろ。そいつが余計なことさえしなけりゃ・・・姉貴は・・・俺は・・・!」
2年前の事件で、姉を殺したのは日和だと思い込んでいる大悟に海恋は呆れている。
「呆れた。まだそんなことを言ってるの?」
「んだと?」
「大悟、あれは事故よ。日和が悪いわけじゃないわ。ノイズだって、いつ現れるかわからないことくらい、あんただってわかってるでしょ?」
2年前の事件の真相は2人はちゃんと知っている。だが、2人と違って、大悟はただの一般人。真相を話したところで、それを信じることはないだろう。ゆえに、こうやって事故だと言うしかない海恋。
「だったら何でこいつは生きてる!!?おかしいだろうが!!何でこいつ1人だけ生きて、姉貴が死ななきゃいけなかったんだ!!!」
「大悟、それは・・・」
「こいつのせいで俺たちはめちゃくちゃだ・・・!あれ以来、クソ親父は仕事を辞めて酒に溺れて御袋をぶん殴りやがった・・・!御袋も御袋で、俺を蹴ったり殴ったり・・・自分の痛みを正当化して・・・飯もろくに食わせてくれねぇ・・・。親父も御袋も、クソに成り果てやがった・・・てめぇのせいでな!!」
2年前の事件で大悟の両親は毒親へと変わってしまい、大悟自身も散々な目にあってきたようだ。そしてその原因を作ったのが、日和であると大悟は思っているようだ。それを聞いた海恋は大悟に怒る。
「何よそれ?自分の不幸話?あんただけ辛い思いをしてると言いたいの?甘ったれるんじゃないわよ!!日和があの後、どんな苦しみを味わったと思ってるのよ!!」
「知るかよ!!知りたくもねぇ!!!」
「現実を見なさいよ!!現実を見れないから現実逃避するんでしょ!!だからそんな不良の真似事なんてしてるんでしょ!!」
「てめぇ・・・!女だからって容赦すると思ってんのか!!?やんぞこらぁ!!!」
「お願いだからもうやめて!!!」
喧嘩が激しくなってきたところに日和が大声を上げて止めた。その一声で海恋も大悟も止まった。
「日和・・・」
「わかったよ・・・今すぐここから出ていくよ・・・。顔も見せない・・・。で、でも・・・」
日和は持ってきていた見舞いの花を大悟に見せる。
「せめて・・・せめてこの花だけでも・・・小豆のお墓に・・・添えさせてくれないかな・・・?」
大悟は日和が出した花をじっと見つめ、少しの沈黙の後、花をひったくるように奪い取った。
「とっとと失せろや!!!」
「・・・・・・」
花を取られ、大悟の怒声を聞いた日和は涙が出そうなのを堪え、走ってこの場を去る。
「日和!待ちなさい日和!」
海恋はそんな日和を慌てて追いかける。1人残った大悟は日和から奪い取った花をじっと見つめ続ける。
~♪~
時は現在に戻り、街の公園。逃げるように走ってこの場所にたどり着いた日和はここのブランコに乗って、きこきこと静かに揺らした。
(目を背けないつもりでいたけど・・・ダメだった・・・。いざ大悟君と話そうと思っても・・・言葉が喉を詰まらせる・・・)
日和は今朝の大悟との会話を未だに引きずっており、それを思い返すたびに罪悪感が込み上げてくる。
(大悟君もあの後辛い目にあってた・・・。ううん、大悟君だけじゃない・・・おじさんもおばさんも変わったって・・・私のせいで・・・)
大悟が今の不良学生になってしまったこと、伊南家の両親が息子である大悟にひどい仕打ちをしたという話。これら全てを見て、聞いて、日和は改めて思った。2年前の事件は全て・・・自分が悪く、責任が全部自分にあると。
「はぁ・・・どうして私って・・・いつもこうなんだろう・・・」
変わろうと思っても何も変わっていない。そんなことを思っている日和は自分を卑下するようにため息をこぼしながら、ブランコを揺らしていく。
~♪~
S.O.N.G本部のブリーフィングルーム。響と日和を除いた装者全員が本日の作戦会議に参加するためにここに集まっている。
「全員集まっているか?・・・おや?日和君はまだ来ていないのか?」
弦十郎はこの場に日和が来ていないことに疑問符を浮かべている。
「今日は来る気はないんだってよ」
「何かあったのか?」
「・・・・・・」
「「クリス先輩・・・?」」
クリスが日和は今日は来る気がないと伝えると、翼が訪ねる。クリスはバツが悪そうな顔をして何も話そうとしない。事情を知らない装者たちは首を傾げるばかりだ。
「ううむ・・・今後の打開策を練る大事な会議なのだが・・・。仕方がない・・・日和君抜きで話を進めよう。詳細はクリス君が後から伝えてくれ」
「ああ・・・」
「では、対策会議を始めるぞ!」
日和がいないのが気がかりだが、時間は1秒でも惜しいため、日和抜きで対策会議を始めるのであった。
~♪~
チフォージュ・シャトーの玉座の間。玉座に座っているキャロルはまたも拒絶反応を引き起こし、頭を抱えて苦しんでいた。
「ぐっ・・・ぐぅ・・・!」
「マスター・・・」
「大丈夫ですか・・・?」
キャロルの容態を心配するファラとレイア。キャロルは拒絶反応など構うものかと言わんばかりに、玉座から立ち上がろうとする。
「なぁに、焦るこたぁないぜ。計画は今も進んでるんだ。マスターはどーんと構えて、あたいらに指示を出してくれりゃいいのさ」
「ぬぅ・・・」
「それに、ガールズが何をしようと、"全部筒抜け"なんだ。余裕で対処ができる」
シャルはカウガール帽子を被り直し、右手のレールガンをくるくる回しながら台座から降り、玉座から出ようとする。
「どこに行く?」
「んー?ビッグビジネスさ。後のことはユーたちに任せるぜ」
レイアの問いかけにシャルは呑気に答えながら今度こそ玉座の間から出ていった。
「よろしいのですか?」
「くぅ・・・あれもあれで己が指名を全うしている・・・。ならば好きにさせてやれ・・・」
ファラの問いにようやく落ち着きを取り戻したキャロルはそう答えた。シャルは飄々とした態度が目立つが、仕事に関しては全く抜け目がないことを知っているからだ。
~♪~
響が検査入院している病院。咲は検査機器を使って響の検査を進めていく。一通りの検査が終わり、咲は響と未来を診察室に呼んで検査結果を伝える。
「傷も順調に回復してるし、身体の方も特に異常なし。明日の検査が最後だから、それが終わったらもう退院してもいいわよ」
「本当ですか!」
「気が早いわよ。あくまでも明日の検査の結果次第なんだから」
「はぁい」
退院という言葉に響は気が早く喜んでいたが、咲が注意する。
「今日の検査はここまで。早く病室に戻りなさいな」
「はい」
「先生、本当にありがとうございます」
本日の検査が終わり、響は病室に戻っていき、未来が彼女に付き添う。咲は椅子で一息ついた後、次の患者の対応の準備をしようとした時、看護師がやってきた。
「東雲先生・・・」
「ん?どうしたの?」
何事かと思って咲は看護師に耳を傾ける。
「実は・・・彼がまた・・・」
「あー・・・なるほどね・・・」
看護師の言葉に咲は全てを理解したような表情をし、席から立ち上がる。
「なら、後のことは叶先生にお任せして。彼、どうせ私が相手だと暴れそうだし」
「わかりました」
咲はそう言って診察を別の先生に任せ、自分は他の仕事を優先しに診察室を後にした。
~♪~
響が病室に戻ったタイミングで海恋がお見舞いにやってきた。2人は病室で今日の結果を海恋に伝えた。
「そう。明日には退院できるのね」
「明日の検査次第、ではあるんですけどね」
「でも、体調はすっごくいいんです!この調子なら、明日には退院は間違いなしです!」
「まぁ、そうね。でも、退院しても、安静はしていなさいよ?調子に乗ってまた入院なんて嫌でしょ?」
「うぅ・・・はい・・・」
明日には退院できるということで気分がよくなっている響に海恋は注意を促す。それには響はほんのちょっぴりしゅんとなり、未来は苦笑いを浮かべている。そんな時、響のスマホから着信音が鳴る。響はスマホの画面を確認する。画面には『お父さん』と表示されている。どうやら洸からの電話のようだ。だが響は黙ってこの着信を切る。
「・・・私、もう寝るね」
響はさっきと打って変わって声質を落とし、ベッドに横になった。
「響・・・」
「小日向さん」
未来は響に何か言おうとした時、海恋は彼女の肩を持ち、首を横に振った。そっとしてあげてと言っているのだろうというのは理解できた。響を気遣い、海恋と未来は病室から退室する。あの後ゆえに空気が気まずくなり、互いに会話はなかった。2人は病院を後にしようと廊下に歩ていた時、偶然咲と遭遇した。
「あら?2人とも、お見舞いはもういいの?」
「咲先生・・・」
「ええ・・・まぁ・・・。そういえば、咲さんはこの時間はまだ診察の時間では・・・?」
まだ診察の時間なのに咲が診察室から退室していることに疑問を持った海恋が質問する。
「そうなんだけど・・・実は、彼が怪我してここに来てね・・・」
「彼・・・?」
「・・・!まさか・・・大悟・・・⁉」
「え?」
この病院に大悟が来ていると海恋は感づいて驚いた顔をする。未来は何が何だかわからない顔をし、咲は苦笑いを浮かべて首を縦に頷いた。
「だから叶先生に変わってもらったの。1回に限った話じゃないから、病院の方でも許可はもらってる」
「あの子・・・!」
日和を悲しませただけでなく、咲にまで迷惑をかけに来たことに海恋は怒りの表情を浮かべている。そんな海恋に咲は彼女の肩をポンと乗せる。
「彼をそんなに怒らないであげて」
「咲さん・・・?」
「彼だって本当はわかってるのよ。ただ認めたくないだけ。じゃなかったら、どうしてわざわざ嫌いな相手の病院を選ぶのかしら?」
「それは・・・単なる嫌がらせで・・・」
「わざわざ怪我してるのに?」
「・・・・・・」
咲に痛いところを突かれて、海恋は言葉を詰まらせる。咲は海恋の肩をポンポンと叩く。
「海恋ちゃん、あなたが両親とは違うように、彼もあの人たちとは違うわ」
「・・・でも・・・」
「もう少しだけ大悟君を信じてあげて」
咲からそう言われてしまっては何も言えない海恋は曖昧ながらも、首を縦に頷いた。
「あの・・・」
「あ、ああ、ごめんなさいね、小日向さん・・・」
「・・・そうね。小日向さんにも、少し、話しておかないとね」
話についていけてない未来に海恋は謝り、咲は少しだけ、大悟との関係性について彼女に話した。
~♪~
S.O.N.G本部、装者一行は作戦会議が終わった後、一室で待機している。そんな時、クリスが翼に2年前の事件について触れる。
「なぁ。先輩は・・・2年前の事件を知ってんだよな?」
「ああ。東雲のライブ配信の事件だろう?規模は小さいが、多くの犠牲者が出た。・・・そして・・・玲奈もそこで・・・」
翼は2年前の事件で玲奈を失ってしまったことを思い出し、少しだけ悲しそうな顔をした。
「私も資料でその事件については知ってるわ。でも、その犠牲者の中に、日和の友達がいたなんてね・・・」
「そして、東雲はその友人の家族に憎まれたと・・・皮肉なものだ・・・」
「そんなのおかしいデスよ!だって、ひよりん先輩は何もしてないじゃないデスか!同じ被害者なのに・・・」
被害者である日和自身が加害者として扱われていることに切歌は納得がいっていないように異を唱えた。隣にいる調も口に出していないが、同じ気持ちだ。
「残された側にとって、過程などどうでもいいのかもしれないな。重要なのは、娘が生きているか否か・・・それだけなのかもしれない」
「そんなの・・・ひどすぎる・・・」
「あくまで推測だがな・・・」
フォルテの出した推測に調は悲しそうな顔をしている。
「・・・くそ!結局は全部、あたしの責任じゃねぇか!あたしが、ソロモンの杖を起動させちまったばっかりに・・・!」
もう存在しない完全聖遺物の1つであるソロモンの杖を起動させたのはクリスだ。2年前の事件には関わっていないとはいえ、そのせいで日和に辛い目に合わせてしまったことに彼女は大きな責任を抱いている。
「いや・・・あの一件には私にも責任がある。玲奈の言葉に、もう少し耳を傾けていれば、被害を抑えられたかもしれない・・・玲奈だって・・・」
翼自身もあの事件に責任を感じており、少し暗い表情をしている。そんな思い空気が流れていると・・・
ヴゥー!ヴゥー!
艦内でアルカ・ノイズ出現のブザーが鳴り響いた。装者たちは暗い気持ちを切り替えて、ブリッジに移動する。たどり着いたブリッジのモニターには、複数のアルカ・ノイズが映し出されており、今も増え続けている。そして別のモニターではシャルがレールガンでアルカ・ノイズの結晶を撃ちばら撒き、アルカ・ノイズを召喚し続けている。
「アルカ・ノイズの出現を検知!」
「アルカ・ノイズは依然増殖を続けております」
装者たちはアルカ・ノイズが出現した座標を確認する。
「この出現位置・・・奴らの目的がこれでハッキリしたな」
「ただ・・・アルカ・ノイズは増えるばかりで動きをまったく見せません。まるで・・・こちらを誘っているかのように・・・」
モニターに映るアルカ・ノイズの出現位置によって、オートスコアラーの狙いがはっきりしたのだが、アルカ・ノイズは動いている様子はない。何かしらの罠の可能性があるとも推察される。だがそれでも、動かない理由にはならない。
「狙いが何だろうと、返り討ちにしてやる!」
「すぐ近くにシャルがいます。戦闘に乱入してくる可能性が十分にあります。注意してください」
エルフナインからの忠告の後、装者たちはアルカ・ノイズ、及びシャルの対応のために出撃の準備を始める。
「日和君への連絡も急げ!」
「はい!」
弦十郎はオペレーターたちにこの場にいない日和に出撃の連絡をするように指示を出した。
~♪~
ちょうど同じ時間帯、日和は未だに公園のブランコをギコギコと揺らしている。空を見上げて、もう夕方になったことに気付き、そろそろ帰ろうとする。そこへ、日和の通信端末が鳴り響いた。日和は申し訳ないと思いながら、通話に出る。
「もしもし・・・ごめんなさい・・・今日、会議に出る気分じゃなくて・・・」
日和が謝っている間にも、S.O.N.Gのオペレーターはアルカ・ノイズが出現したことを彼女に伝える。そして、アルカ・ノイズの出現場所を聞いて、目を見開いて驚く。
「え・・・なんで・・・?だってあそこは・・・」
連絡を聞いた日和はこうしてはいられないと言わんばかりに通信を切り、急いでその場所へと走っていく。
~♪~
同じ頃、不良たちとの喧嘩で怪我を負った大悟は病院で簡単な治療を受けた後、原付バイクに乗ってある場所へと向かっている。その表情はイライラしている様子だ。目的地にもうすぐで到着するところで、ふと見上げてみると、その目的地で赤い煙が立ち込めている。
「おい・・・嘘だろ!!?」
大悟は赤い煙を見て驚愕と焦りの表情を浮かべた。なぜならその目的地・・・アルカ・ノイズが出現した場所とは、小豆の墓がある墓地であるからだ。
~♪~
墓地で増え続けているアルカ・ノイズのうち1体は近くにあった木に向けて分解器官を伸ばして、それを分解した。これはしびれを切らしたシャルが下した命令だ。墓地より離れた場所でシャルは次はどれを分解させようか悩んでいる。
「早く来ないと、辺りのものぜーんぶデリートしちまうぜー?」
この状況を楽しんでいる様子のシャルはふと上に気配を感じ、顔を見上げた。視線の先にはS.O.N.Gのヘリコプターが墓地の上空を飛んでおり、ヘリコプターから翼が飛び降りてきた。降下する翼はギアネックレスを取り出し、詠唱を唄う。
Imyuteus amenohabakiri tron……
シンフォギアを身に纏った翼は刀を抜き、複数の剣を召喚し、アルカ・ノイズに向けて剣を雨のように降り注いだ。
【千ノ落涙】
アルカ・ノイズは降り注いだ剣に貫かれ、複数消滅したが、その数はまだまだ多く、全滅には至らない。地に着地した翼は刀で襲い掛かるアルカ・ノイズをバッタバッタと切り裂いていく。そして、墓地にたどり着いたのは翼だけではない。シンフォギアを纏った調と切歌もヘリコプターから降り、アルカ・ノイズと対峙する。切歌は鎌の刃を3つに展開し、展開した刃を飛行型アルカ・ノイズに向けてブーメランのように放った。
【切・呪りeッTぉ】
ブーメランのように放たれた刃は空中型アルカ・ノイズを次々と斬り裂いていく。調は脚部に備わった鋸を車輪のように展開し、アルカ・ノイズの群れに一直線に突っ込む。
【非常Σ式・禁月輪】
調の車輪鋸はまっすぐに突き進みながらアルカ・ノイズの群れを次々と切り刻んでいく。墓地より離れた場所でその様子を見ていたシャルはワクワクしている。
「へへへ、いよいよパーティの幕開けだな。なぁ、そうだろ!」
シャルは突然後ろを振り向き、レールガンの弾を2発発砲する。弾はこちらに向かってきたボウガンの矢を相殺させた。シャルの視界の先にはボウガンの矢を放ったクリスがいた。クリスはボウガンをガトリング砲に変形させて、シャルに目掛けて弾を乱射する。さすがにガトリングの弾は対処しきれないシャルはガトリングの弾を跳躍で移動しながら躱していく。
「面白れぇ・・・射撃であたいに勝負しようってかい?」
シャルが避けた先で待ち構えていたフォルテが飛び出してきて、フォルテは横払いでシャルを一閃しようとする。だがこの一撃はシャルがブリッジをすることで躱されてしまう。シャルはその勢いで回転しながらフォルテと距離を取る。
「マリア!」
「ええ!」
フォルテの合図でマリアが距離を取るシャルを逃がさないように短剣を蛇腹状の刃に可変し、変則的な軌道で刃を伸ばしてシャルに迫る。
【EMPRESS†REBELLION】
迫った来る刃にシャルは特に慌てた様子はなく、伸びている刀身に向けてレールガンの弾丸を放った。弾は刃に直撃し・・・
ビリビリビリ!!!
「なっ・・・!」
刃は感電し始め、電気が素早いスピードで短剣の柄まで迫っていく。このままでは自分まで感電すると感づいたマリアはその短剣を手放した。これによってシャルに攻撃は当たることはなく、マリアに隙ができた。シャルはそこを突いて左手のレールガンを抜き、弾丸を撃ち放った。弾丸はマリアに直撃する。
ビリビリビリ!!!
「あああああああ!!!」
レールガンの特性によって、弾にヒットしたマリアは電気が走り、ダメージが入る。
「マリア!!」
「野郎!!」
クリスはシャルに向けてガトリング砲を撃ち放つ。シャルは走りながら弾を躱して、フォルテとクリスに向けてレールガンの弾を放つ。フォルテは弾丸を避け、クリスも連射を辞めてその弾を飛んで躱す。そしてボウガンに変形し、複数の矢をシャルに放つ。シャルは余裕綽々の様子で飛んで躱す。
「これならどうだぁ!!」
クリスはミサイルを展開して、シャルに向けて全弾を発射する。
【MEGA DETH PARTY】
「そいつはスイーツより甘いぜ、ガール!」
シャルは両手のレールガンで迫ってくるミサイルに向けて一発一発弾丸を撃ち放つ。弾がヒットすることにより、ミサイルは爆発し、シャルは爆発に巻き込まれる。全てのミサイルが爆発したことで空中に煙が漂う。2人が煙を注意深く見ていると、煙からレールガンの弾が飛んできて、クリスに直撃する。
「ぐあっ⁉な、何ぃ・・・!!?」
ビリビリビリビリ!!
「ぐああああああああ!!!」
これによってクリスの身体に電気が走り、ダメージが入る。
「雪音!!」
「そしてレディには・・・」
放たれたレールガンの弾はまだあり、その弾はフォルテの頭上で止まり、雷の錬金陣変わる。そして・・・
「落雷注意報だぜ!」
ズドォン!!ビリビリビリ!!
「おおおおおおおおおお!!!」
錬金陣より雷が落ち、フォルテは雷によってダメージが入る。
「チクショォ・・・あたしが射撃で負けるなんて・・・!」
「こいつ・・・なんて身のこなしなの・・・!」
「強い・・・!」
飄々としている割に隙の無い動きで圧倒されている3人はシャルが一筋縄ではいかないと改めて実感される。
「おいおい、パーティのお開きにはまだ早いぜ。もっと楽しもうぜ、ガールズ」
シャルは右手のレールガンでカウガール帽子をくいっと上げる。だがシャルにとってこの戦いは、ただのオードブルにすぎなかった。シャルの真の目的はアルカ・ノイズが配置されている墓地にあるものと・・・日和だけだ。
XD-エクスドライブアンリミテッド-
バレンタインボイス
東雲日和
お姉ちゃんみたいにうまくはないけど・・・一生懸命作ってみたよ!手作りチョコ、受け取ってほしいな。
フォルテ・トワイライト
チョコだ。受け取ってくれ。・・・手作りではないから、そんな期待した顔をしても困る。
~♪~
伊南大悟
外見:スキンヘッドヘア
目は鋭く、瞳の色は黄色
年齢:15歳
趣味:バイクでドライブ
好きなもの:バイク
イメージCV:ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風:ホルマジオ
(その他の作品:この素晴らしい世界に祝福を!:カズマ(佐藤和真)
:アクエリオンEVOL:ジン・ムソウ
:モンスターストライク:オラゴン
その多数)
都内の不良校として有名な男子校に通う高校生。亡くなった小豆の弟。高身長で間違われがちだが、調と切歌と同学年。現在は祖父と祖母の元で生活している。
見た目こそ不良学生で気に入らないものがあれば怒鳴ったり舌打ちをしたり、度が過ぎれば殴りかかるなどという態度が目立つものの、根は情に厚く、ぶっきらぼうながらも相手を気にかけたり、バイトでも真面目に業務をこなしたり、よっぽどのことがない限り、女には手を上げようともしないなどといった意外にも真面目な性格。何かを了承する時の口癖は『しょうがねぇなぁ~』
日和とは小豆との交流の付き合いで仲良くやっていて、昔からあった日和のここぞとばかりの勇気に憧れ、尊敬を抱いていたが、小豆が亡くなったことをきっかけに現在は彼女を憎んでいる。