戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

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本日は調ちゃんの誕生日でございます。調ちゃん、お誕生日おめでとう!

さて、今回でGX編のオリジナルエピソードは終了です。面白くできているか不安はありますが、私はめげません。


花言葉、終わりのない友情

墓地より離れた場所でシャルと戦っているクリス、マリア、フォルテの3人はかなり苦戦を強いられている。

 

「もうギブアップかい?始まったばかりなのにさ。だらしないねぇ」

 

「なめやがって・・・!」

 

「これしきのこと・・・!」

 

レールガンの電気でしびれはあるものの、戦えないほどではなく、立ち上がってアームドギアを構える3人。

 

「つっても、ユーたちだけでパーティを楽しむのも不公平か・・・なら・・・」

 

シャルはにやにや笑いながら考える素振りをした後、アルカ・ノイズの結晶を辺りにばら撒き、アルカ・ノイズを複数召喚させた。

 

「またアルカ・ノイズを・・・」

 

「味な真似を・・・」

 

「しばらくおもちゃで遊んでな!」

 

シャルはアルカ・ノイズをその場に残して墓地の方面へ移動を開始した。

 

「逃げるつもり⁉」

 

「待ちやがれ!」

 

3人はすぐにシャルを追いかけようとしたが、召喚したアルカ・ノイズが襲い掛かり、さらにシャルは移動しながらレールガンでアルカ・ノイズの結晶を撃ち放ち、さらにアルカ・ノイズを召喚した。

 

「くっ、邪魔をするな!」

 

襲い掛かるアルカ・ノイズを3人は各々の戦法で次々と倒していく。そうしていく間にも3人はシャルの姿を見失った。

 

~♪~

 

墓地に現れたアルカ・ノイズを翼が刀で、切歌が鎌で、調が鋸で切り刻んでいく。そのおかげでアルカ・ノイズは数が減ってきた。だがこの様子を岩場に隠れて見ている者がいた。それは大悟だった。

 

(な・・・なんだよありゃあ・・・!お、女がノイズを斬ってやがる・・・!何がどうなってんだ・・・⁉何者なんだあいつら・・・いったい、何が起きてやがんだ!!?)

 

アルカ・ノイズを元来のノイズだと思い込んでいる大悟は目の前の光景に目を疑っており、混乱して頭の整理が追い付いていない様子だ。見られてることに気付いてない3人はアルカ・ノイズを全て倒し終えた。

 

「これで全部・・・!」

 

「後はオートスコアラーだけデス!」

 

「奴がいる限り、アルカ・ノイズはまた増える!急ぎ、雪音たちと・・・」

 

3人がクリスたちと合流しようと移動を始めようとしたところで、翼は弾丸が発砲される音が聞こえた。身の危険を感じた翼は身を屈める。すると、翼の頭上に雷の弾丸が通り過ぎた。

 

「翼さん!」

 

「今のは・・・」

 

「へぇ・・・やるねぇ。発砲音を聞き分けるとは」

 

弾丸が放たれた方角を見ると、そこにはレールガンを構えながら近づくシャルがいた。

 

「貴様は・・・!」

 

「レディたちならおもちゃで遊んでるぜ。パーティに仲間外れは不公平だからな。ユーたちの相手もしねぇと」

 

シャルの登場に翼たちはアームドギアを構える。

 

「お前の狙いは"要石"か!」

 

「要石ぃ?あれのことかい?」

 

ズドォン!!

 

翼の問いに答えるようにここから離れた場所にそびえ立っている巨石にシャルが左手の親指を指すと、その場に落雷が落ちた。

 

「落雷・・・⁉」

 

落雷の煙が晴れると、巨石は粉々に砕け散っていた。

 

「要石が・・・!」

 

「術はあたいが来た時からずっと張ってあったのさ。つまりユーたちが来ようが来なかろうが、あたいのビジネスはすでに終わっていたってことさ」

 

「ならばなぜ・・・」

 

「なぜここにいるのかって?チルドレンには伝えたはずだぜ?ビーストガールのハートを撃ち抜くってな」

 

「ビーストガール・・・?」

 

「!ひよりん先輩のことデスか⁉」

 

シャルの放つビーストガールとは何かと言わんばかりに翼は疑問符を浮かべていたが、特徴からして、それが日和であると切歌は気づいた。

 

「まさか・・・あなたの狙いは最初から・・・」

 

「ザッツライト!あたいはビーストガールを気に入ったからよぉ、最初に仕留めるって決めてたのよ。だからおもちゃを使ってユーたちを誘き寄せたんだ。けど全員を相手にするのは疲れるから、戦力を分散しようとしたんだが・・・まさかビーストガールが来てないとは予想外だぜ。まぁ、どうせユーたちの相手をすりゃ必ず来るさ。それまであたいを楽しませておくれよ!」

 

シャルはそう言いながら3人に向けて両手のレールガンで弾丸を連射する。切歌は右に、調は左に弾丸を躱し、翼は弾丸を躱してシャルに向かって突撃する。

 

「私が先陣を切る!月読と暁は奴に回り込め!」

 

「「了解(デス)!」」

 

翼の指示に従い、調と切歌は指示通りに動く。シャルは突撃してくる翼に向けて弾丸を撃ち続ける。翼は弾丸を避けながらシャルに接近し、彼女の懐に入って刀を振るう。シャルは刀を避ける。翼は反撃の隙を与えず、連撃を繰り返す。シャルは翼の追撃をかわすばかりで弾丸を撃ち放てない。

 

(どうやら近接戦闘は不得意のようだな。ならば、そこを突くのみ!)

 

シャルの弱点に気付いた翼はさらに刀を振るってシャルを攻撃する。シャルはその攻撃を跳躍して躱し、バク転しながら翼と距離を取る。

 

「「はあああああ!」」

 

シャルの着地地点まで回り込んだ調と切歌は挟み撃ちでシャルに攻撃を仕掛ける。シャルは右手のレールガンで切歌の鎌を、左手のレールガンで調の丸鋸を防ぐ。

 

「これで両手を封じた!」

 

「撃てるもんなら撃ってみろデス!」

 

翼はもう1本刀を取り出し、2つの刀の柄を連結させ、脚部のブースターを使ってシャルまで突撃する。この状況下にシャルはにやりと笑う。

 

「そいつはちと甘いぜ、防人」

 

シャルがそう口にした瞬間、シャルが放ち、地に着いた弾丸に稲光が走り、電気となって猛スピードで翼に迫り、翼に直撃した。

 

「何っ・・・⁉」

 

ビリビリビリビリ!!!

 

「ぐあああああ!!」

 

「「翼さん!」」

 

電気に包まれた翼はダメージを負う。さらにシャルは2人の刃をレールガンで払いのけ、両腕を交差して2人の腹部にレールガンを突きつけ、弾丸を放つ。

 

ビリビリビリビリ!!!

 

「「ああああああああ!!」」

 

調と切歌も電気のダメージを負い、地に倒れる。シャルはレールガンを回し、ポーズを決めながら、レールガンを自分の頭にツンツンと突っつく。

 

「ユーたちの考えてる通り、あたいは射撃性能に特化してる分、近接スキルは今一つ。そんな特徴はある。だが、ユーたちをそんな様にすりゃ、近接スキルなんて、いらねぇんじゃねぇか?ここを柔軟に使って、一発弾丸を当てりゃ、簡単なんだぜ?」

 

「くっ・・・たった一発でこれほどの威力・・・!」

 

「しかも・・・以外にも頭脳派タイプ・・・」

 

「ずるいデスよ・・・!」

 

好戦的でありながらも、知略に長けたシャルの能力に3人は苦い表情をしている。この一部始終を隠れて見ている大悟は何が何だかわからないでいる。だが、少なくともシャルがとんでもない存在であるというのはわかっている。

 

(な・・・なんなんだよさっきから・・・!ノイズが出たり、雷が落ちたり・・・!あの化け物の仕業か・・・⁉)

 

シャルの力を目の当たりにしている大悟の身体は恐怖で震えている。

 

(び・・・ビビってんのか・・・俺は・・・!)

 

大悟が自分の震える右手を見ていると、ふと亡くなった小豆の言葉を思い出す。

 

『ダサい男になっちゃダメだよ』

 

(なんで今になって姉貴を思い出すんだよ・・・!あんな化け物相手に、何ができるってんだ・・・!)

 

自分ではどうにもできないと理解している大悟は隠れてただ見ていることしかできなかった。

 

「さて、まだ立ち上がるかい?先にあたいがくたばるか、そっちが全滅するか、比べるのも悪かねぇ」

 

3人は電気の痛みを堪えて、立ち上がろうとした時、誰かがシャルに向かって突撃した。

 

「「「!」」」

 

「お?」

 

「やああああああああ!!」

 

突撃した人物とは、シンフォギアを纏った日和だった。日和はシャルに向けて棍を振るった。シャルは両手のレールガンで難なく日和の棍を受け止める。

 

(あいつは⁉)

 

「「先輩!!」」

 

「来てくれたか、東雲!」

 

日和の登場に翼たちは笑みを浮かべ、隠れていた大悟は驚愕する。

 

「はっ!ようやくご到着かい!待ちかねたぜ!」

 

シャルは左手のレールガンで棍を防いだまま右手のレールガンでゼロ距離射撃を狙う。日和は左手首のユニットの棍を伸ばし、木に引っ掛ける。そして棍を元のサイズに戻し、引っ張られるようにして弾丸を躱した。

 

「相棒!」

 

「今そっちに・・・」

 

向こう側のアルカ・ノイズを全て倒し終えたクリスたちが墓地にやってきて、日和たちに加勢しようとする。

 

「こっからはメインディッシュだ!誰にも邪魔はさせねぇ!」

 

シャルはアルカ・ノイズの結晶を2つのレールガンに装填させ、翼側とクリス側に向けて撃ち放つ。これによってアルカ・ノイズが再び現れ、日和以外の装者たちはアルカ・ノイズに囲まれる。

 

「くっ!またか!」

 

装者たちがアルカ・ノイズの相手をしている間、日和はシャルに突撃する。向かってくる日和にシャルは両手のレールガンで弾丸を何発も撃ち放つ。日和は左右に動いたり、咄嗟に転がったりして弾丸を躱していく。シャルの懐に入り、日和は棍を振り上げる。シャルはその攻撃を跳躍で躱し、バク転しながら距離を取る。同時に、地に着いた弾丸の電気は這いずるように日和に迫った。二度も戦った相手だからか、この攻撃を予想し、飛んで電気を躱し、シャルに向けて棍を伸ばす。この攻撃もシャルはバク転で躱す。

 

「ひゅ~♪やるねぇ」

 

まだまだ余裕なシャルは空中にいる日和に向けて弾丸を撃ち放った。日和はさっきと同じように木に棍を引っ掛けて戻す移動法を何度も繰り返して複数の弾丸を躱す。シャルは負けじと弾丸を撃ち続ける。

 

(あいつの格好・・・あの女共と同じだ・・・!なんなんだありゃあ・・・?なんでノイズを倒せる・・・?なんであいつは・・・化け物と戦ってるんだ・・・!!?)

 

隠れている大悟は目の前の光景に驚いてばかりいるが、目の前の戦いに釘付けになって目が離せないでいる。日和は右手に持っている棍をシャルに伸ばして攻撃を仕掛ける。一直線に伸びる棍をシャルは難なく躱し、右手のレールガンを振り下ろして棍を地に叩きつける。そしてシャルはそのまま棍に向けてレールガンの弾丸を放とうとした時、棍は元の大きさに戻っていき、棍を持っている日和はそれに引っ張られる形でシャルに猛接近する。

 

「これでもくらええええ!!」

 

日和はこの勢いに乗ってシャルに拳を振るったが、シャルはブリッジをしてその拳を躱した。

 

「ウソッ⁉」

 

「甘いぜガール!」

 

シャルは片手を地につけて1回横回転し、その勢いで日和に一蹴りを入れた。背中に蹴りを喰らった日和は吹っ飛ばされ、墓に激突する。

 

「がは・・・!」

 

「「先輩!」」

 

「くっ・・・こいつら・・・邪魔だ!」

 

調たちも日和に駆けつけたいが、アルカ・ノイズが邪魔をしてくる。さらにそこにまたシャルがアルカ・ノイズの結晶を撃ち放ったことで数が増え、合流が難しい。

 

「あたいは接近戦は苦手だけどよ・・・威力はヒューマンのものとはわけが違うぜ!」

 

シャルはそう言いながらレールガンを日和に向けた。また弾が向かってくると思い、すぐに離れようとしたが、激突した墓を見て、目を見開いた。

 

(こ・・・これは・・・!)

 

「避けろ東雲!!」

 

フォルテの呼びかけと同時にシャルはレールガンの弾丸を撃ち放った。日和はすぐに後ろを振り向いたが・・・避けることはせず、腕を交差して防御する。だが・・・

 

ビリビリビリビリ!!!!

 

ああああああああ!!!!!

 

防御を無視する電気の前では、それは無意味だ。弾丸に当たった日和は感電し、電気に包まれる。

 

「相棒!!」

 

「どうして避けなかったの⁉」

 

防御行為が無意味なのは日和もわかってるはずなのに、なぜ避けなかったのか疑問を浮かべる装者たち。シャルもこれには怪訝な顔をする。

 

「どういうつもりだい?ユーなら避けられたはずだぜ?ほれ・・・避けてみろ!」

 

シャルは日和にもう二発弾丸を撃ち放つ。それでも日和は避けることはなく、防御の姿勢をとる。

 

ビリビリビリビリ!!!!

 

「ぐううううううううう!!!」

 

弾丸に当たり、日和は電気に包まれる。日和はこの電気に耐えようとしている。

 

「おかしい・・・東雲ならばあれを避けられるはずだ。なのになぜ・・・?」

 

「まるで・・・何かを守ってるような・・・」

 

日和は何かを守っている様子だが、何を守っているのかわからなかった。ただ、隠れている大悟は日和が何を守っているのかすぐに理解できた。

 

(あ・・・ありゃあ・・・姉貴の墓か!!)

 

そう、日和が守っているのは小豆の墓だ。もし避けたりすれば弾は墓に直撃し、壊れるかもしれない。日和はそれだけは何としてでも阻止したいのだ。

 

(あいつバカかよ・・・!!そんなもん放っておけばいいだろ!!墓1つのために死ぬ気かよあいつ!!)

 

大悟は命を懸けてまで小豆の墓を守ろうとする日和の行動が理解できないでいる。避ける様子がない日和にシャルはレールガンを彼女に突きつけたまま口を開く。

 

「・・・なぜ避けねぇ?あたいの電気を耐えるつもりなのかい?舐められたもんだ。あたいの電気の流れは永久に止まることはないんだぜ?」

 

「・・・これは・・・壊させない・・・!」

 

「あ?」

 

「小豆は・・・自分の命を引き換えにしてまで私を守ってくれた・・・!今の私がいるのは・・・小豆のおかげ・・・!だから・・・!せめて・・・小豆が安らげるこの場所は・・・誰にも壊させない!!」

 

日和の揺るぎない思いを聞いて、大悟は目を見開き、子供の頃、生きていた小豆と話したことを思い出す。

 

『姉ちゃん・・・日和姉って・・・すごいね』

 

『でしょ?日和は臆病だけどさ・・・ここぞって時にはとんでもない勇気を見せてくれるんだよね。臆病を克服できたらさ・・・あの子、絶対驚くくらい化けるよ。こりゃ、大悟も負けてられないよ?』

 

『え?』

 

『大悟のかっこいい姿、いつか姉ちゃんに見せてよねってこと』

 

その会話を思い出した大悟は顔を俯かせ、歯ぎしりを立てる。そして、立ち上がり、岩場から出てきてシャルに向かって駆けだす。

 

「なんだ⁉」

 

「一般人・・・だと⁉」

 

装者たちは隠れていた大悟が出てきて、驚いている。

 

「大悟君!!?」

 

「くたばりやがれ、このやろぉ!!!」

 

大悟はシャルに向かって拳を振るおうとしたが、シャルは右手のレールガンを振り下ろして大悟を殴りつけ、地面に叩きつけた。

 

「ぐあ・・・!!」

 

「大悟君!!!」

 

「・・・知ってたよ、ボーイが隠れたのは。邪魔すんなら、ユーをキルしちまうぜ?いいのかい?」

 

「・・・その前に・・・てめぇをぶっ殺す!!!」

 

シャルの挑発ともとれる言動に大悟は言い返した。それと同時にシャルは大悟の顎を蹴り上げる。さらにシャルは大悟を何度も何度も蹴り続ける。

 

「減らず口だけ叩くボーイはきれぇだぜ」

 

「ぶっ殺す・・・のは・・・俺じゃねぇ・・・!なぁ・・・そうだろ!!」

 

蹴られ続ける大悟の視線は日和に向けられている。

 

「大悟君・・・」

 

「俺は・・・今もてめぇが嫌いだ・・・!だがなぁ・・・もっと嫌いなのは・・・本当のてめぇを知っていながら・・・目を逸らしながら人に嫌われようとする・・・チキン野郎の・・・俺自身だぁ!!」

 

大悟の語りを煩わしいと思ったシャルはレールガンを大悟に向けようとした時、ようやくアルカ・ノイズを全滅させた翼が彼女を刀で薙ぎ払う。シャルはこれを躱した。距離を取ったところでクリスがシャルにボウガンの矢を放った。シャルは弾丸を撃ってそれを相殺させる。

 

「君、大丈夫?」

 

マリアたちが怪我を負った大悟に駆け寄る。大悟は構わず日和に声をかけ続ける。

 

「てめぇの・・・ありったけが本気なら・・・俺の偏見を・・・覆してみろよ・・・!もう1度・・・てめぇを信じさせてみろよ・・・!!」

 

「大悟・・・君・・・」

 

大悟の言葉を聞いて、日和は涙を流した。大悟自身も、自分の苦しみと、ずっと戦い続けていたと知ったから。

 

「わかったよ・・・大悟君・・・なら、ちゃんと見ててね・・・日和お姉ちゃんの・・・ありったけを!!イグナイトモジュール・・・抜剣!!!!」

 

日和はギアコンバーターのスイッチを押し、イグナイトを起動する。ギアコンバーターは『ダインスレイフ』という音声が鳴り、宙を舞って変形し、展開された光の刃が日和の胸を刺し貫いた。これによって日和は漆黒の闇を身に纏い、闇はシンフォギアの形へと変わる。

 

「みんな・・・大悟君を守ってあげて。こいつは私が倒す!!」

 

大悟を守る役を翼たちに任せ、日和は素早く跳躍してシャルに接近し、蹴りを入れた。

 

「アウチ!!」

 

蹴りを入れられたシャルは吹っ飛ばされるものの、きれいに地に着地する。そして日和の姿を見て、シャルはにやりと笑う。

 

「はっ!いいねぇいいねぇ!高ぶってきたぜぇ!!」

 

シャルの身体に電気が走りだすと、シャルに変化が訪れる。まず両手のレールガンが分解し、分解されたレールガンは再構築されてシャルの手に纏い、機銃となる。さらに服装も変形していき、ズボンから上着まで材質が機械と化し、カウガール帽子にスカウターのようなものが現れ、シャルの左目に装着する。これがシャルに搭載された機能『デストロイヤー』。この姿になった分、思い出の消費も激しい。

 

「姿が変わった⁉」

 

「まだ奥の手を隠していたのか!」

 

「それでも、私が勝つ!!」

 

シャルの奥の手の使用に翼たちは驚いているが、日和はそれでも自分が勝つことを疑わない。

 

「ヒー・・・ハーーーー!!!!」

 

シャルは機銃となった両手を日和に向け、機銃の弾を連射する。連射速度もレールガンのものとは段違いで早い。シャルが離れたことにより、もう小豆の墓に当たる心配がないと判断した日和は臆さずに左右に動きながら弾を躱し続け、そして、シャルに近づいたところで跳躍して棍を振り下ろした。だがシャルはまるで電気のように素早く動き、一瞬で日和の背後を取った。シャルは両手の機銃を日和に向けて連射しようとする。

 

「速い・・・けど・・・!!」

 

日和は尻尾部位の先端の棍を地面に突き刺し、棍を伸ばすことて上に上がることでシャルの機銃の弾を躱した。だがシャルは機械の服装より小型ミサイルが展開し、日和に向けて全弾を発射する。日和は棍を回転させて竜巻を引き起こしてミサイルに放った。

 

【疾風怒濤】

 

竜巻は向かってきたミサイルを全て斬り裂いて爆散させた。それを見たシャルは本当に楽しそうに笑みを浮かべている。

 

「イエス・・・イエス、イエス、イエス!!やっぱガールは最高だ・・・!あたいも・・・全力を出し切らねぇとなぁ!!」

 

そう言ってシャルは両手に機銃を合わせ、電気を溜めていく。その充電時間も素早く・・・そして威力もデストロイヤーの前とは非じゃない。

 

「な、何・・・あの電気・・・!」

 

「辺り全部を吹き飛ばすつもりデスか!!?」

 

桁違いの電気のエネルギーがこの地に放たれれば、この墓地は吹き飛ぶ。奏者たちはこれを見てそう感じた。

 

「いや!この場所は・・・壊させない!!!」

 

そう言って日和は棍を回転させて、電気に対抗しようとする。だが竜巻を創り出しているのではなく、回転によって生じたエネルギーを一か所に集めている。

 

「こいつで・・・フィニーーッシュ!!!」

 

電気が十分にたまり、シャルは巨大な電気のエネルギーを日和に向けて放った。

 

「この場所は・・・小豆が安らげる大事な場所!!それを・・・私が・・・守るんだあああああああああ!!!」

 

同時に日和は溜まったエネルギーを棍を振り下ろすことで放った。放たれたエネルギーは向かってくる電気と衝突し、均衡しあう。電気はエネルギーを押し上げ、日和に迫ろうとしたが、エネルギーは威力を増し、放たれた電気が消滅する。

 

「あたいの全力がかき消されて・・・!!?」

 

シャルが驚いている間にもエネルギーは彼女に迫り、そのまま彼女を包み込んだ。

 

「ヒーーーーハーーーーーー!!!!!」

 

シャルは笑みを浮かべながらそう叫んで、エネルギーの爆発と共に爆散した。

 

【闘魂炸裂】

 

「・・・はは・・・すげぇ・・・」

 

現実ではありえないことを目の当たりにした大悟はあまりのすごさに感動して身体が震えている。

 

~♪~

 

戦いが終わり、墓地にはS.O.N.Gの職員が集まり、事後処理に当たっている。そんな中、大悟は弦十郎や緒川から2年前の事件の真相を話した。今日のことがなければ信じなかっただろうが、今は納得したような顔をしている。

 

「君には、今話したこと、今日見たことは誰にも話さないでもらいたい」

 

弦十郎は大悟の命を守る意味も込めて、国家機密に触れる今回の件と話したことを秘密にしてほしいと頼む。

 

「それよぉ、俺が話すってこと考えねぇのか?えぇ?」

 

大悟は弦十郎の体格に臆さず、意地の悪いことを言いだした。そんな大悟に弦十郎は笑みを浮かべながら彼の右肩を優しくつかむ。

 

「君はそんなことはしない。目を見ればわかる」

 

「わかんねぇぜ?うっかりバラすかもなぁ」

 

「大丈夫ですよ、ししょー。大悟君はしっかり者ですから」

 

大悟の言葉に日和は笑みを浮かべながらそう言った。日和にそんなこと言われた大悟はため息をこぼして頭をかく。

 

「はぁ~・・・どいつもこいつもバカかよ・・・。たくっ・・・しょうがねぇなぁ~。こういうのってサインとかいんのか?」

 

「ご協力感謝します」

 

なんだかんだ言いつつも大悟は国家機密を守ることを選んだ。その様子に日和は微笑みながら小豆の墓に近づき、黙祷を捧げる。そこで日和は墓に備えられている花に気付いた。それは大悟が日和から奪い取った花であった。

 

「あ・・・これ・・・」

 

「ローダンセ。お前が持ってきたもんだろうが」

 

驚いている日和の隣に大悟が座り込み、彼も小豆に黙祷を捧げる。

 

「そっか・・・しっかり備えてくれたんだ・・・」

 

「けっ・・・お前の花を供えんのは癪だったがな」

 

「それでも嬉しいよ。ありがとう、大悟君」

 

「ふん」

 

なんだかんだ言いつつも日和の花を墓に備えてくれていた大悟に日和は彼にお礼を言った。大悟は素っ気なくそっぽを向いた。

 

「・・・姉貴はよ・・・この花がマジで好きなんだ。特にこの花の花言葉が気に入ってるらしくてよ・・・」

 

「花言葉?」

 

「・・・変わらぬ思い。終わりのない友情」

 

「終わりのない友情・・・」

 

「姉貴が言ってたのを思い出した。例え世界がお前を恨んだとしても、自分が死んだとしても、お前との友情は永遠に不滅・・・だってよ。相当愛されてたんだろうな。羨ましいぜ、チクショウ」

 

「・・・小豆・・・」

 

ローダンセの花言葉と小豆の心情を大悟から聞いて、日和は嬉しさのあまり、涙を流す。同時に、この場所を守れて本当によかったと思っている。

 

「・・・あー・・・それと・・・な・・・」

 

「うん・・・?」

 

「知りもしねぇくせぇに散々言って・・・悪かったな・・・」

 

真実を知った大悟は2年前のこと、今回のことについてを彼女に顔を合わせないで謝罪する。素っ気ない態度だが、気持ちだけはちゃんと伝わった日和は涙を拭き、彼の頭を撫でる。

 

「う~ん、おっきくなってもかわいいなぁ、大悟君は」

 

「・・・てめぇ・・・バカにしてんのか?」

 

頭を撫でられた大悟は日和を睨みつけ、こめかみをひくひくさせている。かわいいという言葉も、頭を撫でられることも彼は嫌いなのだ。

 

「単なる誉め言葉だよ~。そんな怒っちゃいやん♡」

 

「・・・殺す!」

 

「わー!怒ったー!」

 

「てめぇ!!待てやゴラァ!!」

 

日和の悪ふざけにキレた大悟は彼女を追いかけまわす。日和は笑いながらも大悟から逃げる。傍から見れば他愛ないじゃれ合いのような光景に装者たちは微笑ましく笑っている。大悟に捕まった日和はぐりぐりを受けている。2人の間にはもう以前のような壁はなくなっていた。2人は2年前の過去より・・・少しずつだが、着実に前に向いて進んでいっている。

 

~♪~

 

チフォージュ・シャトーの玉座の間。シャルが倒されたことにより、彼女の台座から紫の光が放たれ、紫の垂れ幕を包む。例によって垂れ幕に錬金術の化学式が描かれる。

 

「・・・シャルは役目を果たし、散ったか・・・」

 

キャロルは4つの垂れ幕に描かれた錬金術の化学式を見つめる。

 

「これで4つの"旋律"が集まった・・・万象黙示録の完成も近い・・・」

 

そう言い放つとキャロルの視界が別ものに変わる。今キャロルの目に移っているのは、S.O.N.G本部に帰還したフォルテだった。そして、この目線は・・・エルフナインから通じて見えている。

 

『やはり東雲は腕も・・・精神も少しずつ・・・確実に強くなっている。エルフナインもそう思わないか?』

 

フォルテのこの声が聞こえているのかキャロルは同意するように口を開く。

 

「ああ、思うとも。ゆえに・・・世界の終わりが加速する!」

 

キャロルの世界解剖の計画は・・・装者たちが思っていた以上に進んでいた。




調の誕生日

フォルテ「月読」

調「どうしたの?」

フォルテ「今から出かけるぞ。行き先は、風の赴くままに、だ」

調「え?え?」

半ば強引に調を連れ出しドライブを決行したフォルテ。そして時間が経ち、家に戻ってみると・・・

切歌「調ー!!お誕生日、おめでうデース!!」

調「わ・・・切ちゃん・・・?これは・・・」

マリア「切歌が咲さんと一緒にバースデーパーティの準備をしていたそうよ」

フォルテ「ただ、暁はへまをやらかす。マリア同様に落ち着きがないからな」

マリア「どういう意味よ!!?」

フォルテ「だから強引にも連れ出す必要があった。すまなかったな、付き合わせて」

調「そうだったんだ・・・。ありがとう、切ちゃん。私のために」

切歌「えへへ・・・調。これからも、ずっと一緒デスよ!」

調「本当にありがとう、切ちゃん・・・全部本当だよ」
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