戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

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夢の途中

S.O.N.G本部の潜水艦から小型潜水艦に日和、クリス、調、切歌の4人が乗り込み、深淵の竜宮に乗り込む。彼女たちに与えられた任務は、この深淵の竜宮に眠る危険物をキャロルの手に渡る前に入手することだ。小型潜水艦は深淵の竜宮の海底ドッグに入り、そこで止める。

 

「ここが深淵の竜宮?」

 

「だだっ広いデス!」

 

「ねー。音もすごく響きそう」

 

「ピクニックじゃねぇんだ、行くぞ」

 

「は、はいデス!」

 

「あ、待ってよー!」

 

クリスが先頭に先に進み、日和は彼女の隣に並び、調と切歌も後からついていく。

 

「・・・日和先輩、本当に大丈夫?」

 

調は日和のダメージを心配してかそんなことを聞いてくる。当の本人はにっこり笑い、腕をぶんぶん振っている。

 

「大丈夫だよ。私、これでも頑丈ですから」

 

「あたしたち以上に元気そうデス」

 

「ならいいけどよ・・・本当に無理すんなよ」

 

「わかってるってー」

 

日和の様子からして、本当に大丈夫そうだが、クリスは念には念を入れて注意をする。日和は呑気に笑いながらそう答えた。

 

~♪~

 

4人が出撃している間、S.O.N.G本部は深淵の竜宮の入り口まで待機している。待機しているオペレーターたちも4人のサポートのために可能な限りの情報収集に当たっている。

 

「施設構造データ、取得しました」

 

「侵入者の捜索急げ!」

 

「キャロルの目的は世界の破壊・・・収められた聖遺物、もしくはそれに類する危険物を手に入れようとしているに違いありません」

 

エルフナインの言葉を聞いた弦十郎は唸り、指令椅子に背中をもたれかかった。

 

~♪~

 

日和たちが任務当たっている同時刻、ファラに敗れ、気を失っていた翼は風鳴八紘亭の畳の上に敷いた布団で眠っていた。

 

「う・・・んん・・・」

 

目が覚めた翼は軽く唸ってゆっくり目を開き、場所を確認するように周囲を見渡して、ゆっくりと起き上がる。

 

「・・・はぁ・・・そうか・・・私はファラと戦って・・・」

 

翼はため息をこぼした。彼女の脳裏に思い浮かべたのは、グレイザーに日本に戻ると告げたあの日・・・歌女としての夢を捨て、防人として身を投じたあの日だ。

 

(身に余る夢を捨ててなお・・・私では届かないのか・・・)

 

「大丈夫?翼」

 

翼が内心で打ちひしがれていると、障子の向こうからマリアが話しかけてきた。日の光の関係上、翼には影が見えている。隣にはフォルテもいる。

 

「すまない・・・不覚を取った・・・」

 

「気にしていない。それより、動けるならば来てほしい。八紘殿が呼んでいたぞ」

 

「・・・わかった・・・」

 

翼は顔を俯かせながらも返事をし、私服に着替える。

 

~♪~

 

呼び出された場所は八紘の書斎であった。机の上には無数の書類が山のように置かれていた。3人はその書類の一部を手に取り、中身を確認する。

 

「これは?」

 

「アルカ・ノイズの攻撃によって生じる赤い粒子を、アーネンエルベに調査依頼していました。これはその報告書になります」

 

書類の内容を緒川が説明した。

 

「アーネンエルベ・・・シンフォギアの開発に関わりの深い、独国政府の研究機関・・・」

 

「報告によると、赤い物質は『プリマ・マテリア』。万能の溶媒、アルカ・ヘストによって分解・還元された、物質の根源要素らしい」

 

「物質の根源?分解による?」

 

「僕もかじった程度だが、錬金術とは分解と解析・・・そこからの構築によって成り立つ、異端技術の理論体系とあるらしい」

 

「キャロルは世界を分解した後、何を構築しようとしているのかしら?」

 

キャロルの目的は世界を分解することであろうということは知っているが、彼女は世界を分解した後、何を構築するつもりなのか・・・マリアはそこに首を傾げている。

 

「翼」

 

「はい・・・」

 

八紘に声をかけられ、翼は素早く反応しつつも、自信なさげに返答し、顔を上げる。

 

「傷の具合は?」

 

「ぁ・・・はい・・・痛みは殺せます」

 

「ならばここを発ち、然るべき施設にて、これらの情報の解析を進めるといい。お前が守るべき要石は、もうないのだ」

 

「・・・わかりました・・・」

 

娘としてではなく、やはり防人としてかけられた言葉なのだとわかると、翼は落ち込むが、その心情は表には出さなかった。そこに八紘の対応が気に食わないマリアが割って入る。

 

「それを合理的というのかもしれないけど、傷ついた自分の娘にかける言葉にしては、冷たすぎるんじゃないかしら?」

 

「マリア、やめろ。僕らの編入を後押ししてくれた方だぞ」

 

「でも・・・!」

 

八紘に突っかかるマリアにフォルテが止める。だがマリアは納得していないのかまだ引き下がらない。

 

「いいんだ、マリア」

 

「翼・・・」

 

「いいんだ・・・」

 

そんなマリアを翼がそう言って止めた。その声質や表情からはもう半ば諦めたような雰囲気を出していた。

 

~♪~

 

話が終わり、3人は書斎から出て屋敷の廊下を歩く。外はもうすでに夕方となっており、夏の終わりを告げるヒグラシが鳴いている。そんな中マリアは不機嫌そうにしながら歩いている。不機嫌の理由はやはり八紘の翼に対する接し方だ。最初に出会った時もそうだが、八紘が翼にかけた言葉は娘としてではなく、防人としての言葉であり、翼を心配している様子がどこにも見られなかった。マリアはそれが気に入らないのだ。

 

「あれは何だ!!?安全保障のスペシャリストかもしれないが、家族の繋がりを蔑ろにして!!」

 

「マリア、落ち着け。気持ちはわかるが、八紘殿も考えあってのことかもしれないだろ」

 

怒りの感情を隠そうとしないマリアにフォルテがなだめる。

 

「すまない。だがあれが、私たちの在り方なのだ」

 

翼が2人にそう謝罪していると、とある一室の襖の前まで到着した。ここは幼少期の翼が過ごしていた部屋であった。

 

「ここが、子供時分の私の部屋だ。話の続きは中でしよう」

 

翼が部屋の襖を開ける。すると、部屋の中を見たマリアとフォルテは思わず戦闘態勢をとる。

 

「!!?敵襲!!?また人形が!!?」

 

「くっ・・・おのれ・・・!どこに隠れている!!」

 

2人の反応を見た翼は前にもこんなことがあったと思いつつ、困ったような表情をしながら口を開く。

 

「いや・・・あ・・・その・・・私の不徳だ・・・」

 

「な、何!!?」

 

そう、翼の部屋はかなり散らかっていたのだ。あまりの汚部屋ぶりにフォルテはかなり驚いた反応を見せる。

 

「いや・・・だって・・・暮らせないだろ・・・こんな汚い部屋で・・・」

 

「そ、そんなにストレートに言わないでくれ・・・」

 

驚いているフォルテのドストレートな言葉に翼は恥ずかしそうにしている。だがそんな汚部屋製造機である翼でもこの部屋の惨状ついて気掛かりなことがある。

 

「・・・しかし、だからって10年間そのままにしておくなんて・・・幼い頃にはこの部屋で、お父様に流行歌を聞かせた思い出があるのに・・・」

 

気掛かりなこととは、10年間もこの汚部屋の状態のままで、手が付けられていないという点だ。翼が散乱している着替えを押し入れに入れている中、マリアとフォルテは彼女の部屋を見渡す。

 

「それにしても・・・この部屋は・・・昔からなの?」

 

「私が片づけられない女って事⁉」

 

マリアの言葉に翼が突っかかってきた。実際に片付けられないのはその通りだが。

 

「そうじゃない。パパさんのことだ」

 

マリアの問いかけが部屋の事ではないとわかると、翼は目を瞑って語る。

 

「私のおじい様・・・現当主の風鳴訃堂は、老齢の域に差し掛かると、跡継ぎを考えるようになった。候補者は、嫡男である父、八紘と、その弟の弦十郎叔父様」

 

「風鳴司令か・・・」

 

「ふむ・・・確かにそれが自然の流れだろうな」

 

「だが、おじい様に任命されたのは、お父様や叔父様を差し置いて、生まれたばかりの私だった」

 

「翼を?」

 

「なぜだ?なぜそうなる?」

 

翼の祖父・・・風鳴訃堂が風鳴の家の跡継ぎに任命されたのは、息子である八紘と弦十郎ではなく、幼い翼を選んだ。その不自然さにマリアとフォルテは首を傾げる。

 

「理由は聞いていない。だが今日まで生きていると、うかがい知ることもある。どうやら私には、お父様の血が流れていないらしい」

 

「何っ!!?」

 

「どういうことだ?」

 

八紘の血が流れていない。それが意味するところは翼は彼の子供ではないということを意味している。もちろん意味は知っているが、やはり驚きを隠せないマリアとフォルテ。

 

「風鳴の血を濃く、絶やさぬよう、おじい様がお母様の腹より産ませたのが、私だ」

 

「なんということだ・・・下郎め・・・!」

 

「風鳴訃堂は・・・人の道を外れたか・・・!」

 

翼の衝撃的な出生を聞いたフォルテとマリアは風鳴訃堂に対し怒りを覚える。翼が思い返すのは幼少期に八紘の口から放たれた言葉だ。

 

『お前が私の娘であるものか!どこまでも穢れた風鳴の道具にすぎん!』

 

この言葉は、幼い翼からしても、今にしても、かなり衝撃的な言葉であっただろう。

 

「以来私は、お父様に少しでも受け入れてもらいたくて、この身を人ではなく、道具として・・・剣として研鑽してきたのだ。・・・なのに、この体たらくでは・・・ますますもって鬼子と疎まれてしまうな・・・」

 

翼は自身の掌を虚しく見つめ、目を瞑って自傷するかのようにそう口を開いた。

 

~♪~

 

一方その頃、深淵の竜宮の外で待機しているS.O.N.G本部のブリッジでは、オペレーターたちが竜宮の深淵のセキュリティシステムのリンクを試みている。竜宮のシステムとのリンクが成功すると、モニターには竜宮に収納されているもののリストが表示される。

 

「竜宮の管理システムと、リンク完了しました!」

 

「キャロルの狙いを絞り込めば、対策を打つことができるかも・・・⁉止めてください!」

 

高速スクロールする収納リストの中にあるものの名前が見つかり、エルフナインがストップをかける。エルフナインが見つけたあるものの名は・・・

 

「ヤントラ・サルヴァスパ・・・!」

 

「なんだ?そいつは?」

 

「あらゆる機械の起動と制御を可能にする情報収集体。キャロルがトリガーパーツを手に入れれば・・・『ワールド・デストラクター・チフォージュ・シャトー』は完成してしまいます」

 

つまりキャロルの狙いはヤントラ・サルヴァスパであり、それを手に入れるために竜宮に侵入したのだ。

 

「ヤントラ・サルヴァスパの管理区域、割り出しました」

 

「クリス君たちを急行させるんだ!!」

 

モニターにヤントラ・サルヴァスパの管理区域の地図が表示され、弦十郎はクリスたちがそこに向かうように指示を出す。

 

~♪~

 

外が暗くなり、夜となった風鳴八紘邸。

 

ドオオオオン!!

 

屋敷の翼の部屋にいた翼、マリア、フォルテの3人は外から何か破壊音が聞こえ、音の元凶を確かめに外を出た。そこには屋敷の屋根が破壊されていた。破壊された屋根の上にはソードブレイカーを構えたファラが立っていた。

 

「要石を破壊した今、貴様に何の目的がある⁉」

 

要石はもうこの屋敷にはない。なのになぜ襲撃するのか翼はファラに問いかけた。

 

「ふふ・・・私は歌を聞きたいだけ・・・」

 

ファラの答えは問いかけの答えになっていないものであった。聞くだけ無駄であると判断したマリアはシンフォギアを纏うために詠唱を唄う。

 

Seilien coffin airget-lamh tron……

 

詠唱を唄い終えることでマリアはシンフォギアを身に纏った。翼とフォルテも共にシンフォギアを身に纏う。3人はアームドギアを構え、ファラに斬りかかろうと走り出し、跳躍する。マリアはファラに向かって短剣を投擲して攻撃を仕掛けたが、ファラはそれを跳躍して躱す。3人は屋根に着地し、跳躍してファラを追いかける。ファラは風の錬金術で竜巻を創り出し、それを3人に放つ。3人はその竜巻を躱すことができたが、連携が分断された。マリアは短剣を籠手から抜き出し、蛇腹状の刃に変形させて、伸ばした刃でファラを切り裂こうとする。

 

【EMPRESS†REBELLION】

 

向かってくる蛇腹状の刃にファラはソードブレイカーに風を纏わせ、それを振るって斬撃波を放った。風の斬撃波は蛇腹状の刃に直撃し、粉々に砕け散った。やはりアガートラームも剣と定義されているため、ソードブレイカーの餌食になってしまった。そして、風の勢いは止まらず、そのままマリアに直撃し、彼女を吹き飛ばす。

 

「うああああああ!!」

 

「マリア!!貴様!!」

 

フォルテは大剣を銃に変形させ、狙いをファラに定め、エネルギー弾をマシンガンのように撃ち放つ。

 

【Mammon Of Greed】

 

ファラは向かってきたエネルギー弾を跳躍して躱し、ソードブレイカーを振るって3つの竜巻をフォルテに向かって放った。向かってきた3つの竜巻の対処に遅れたフォルテは3つの竜巻によって吹き飛ばされる。

 

「ぐあああああ!!」

 

「フォルテ!!」

 

吹っ飛ばされたフォルテの持っていた大剣は3つの竜巻によって粉々に砕けた。ミスティルテインも剣と定義されているのならば、どのような戦法で攻撃しようとも、ソードブレイカーの前では簡単に砕かれてしまうのだ。

 

「くっ・・・!この身は剣!切り開くまで!!」

 

自分までやられるわけにはいかない翼は刀を構え直し、ファラに向かって駆けだす。

 

「その身が剣であるなら、哲学が凌辱しましょう」

 

ファラは翼にソードブレイカーの切っ先を向け、そのまま振り下ろして風の一撃を放つ。翼はその風の一撃をまともに喰らってしまう。翼は堪えようとするが、剣を壊す哲学によって、刀が砕かれようとしている。いや、刀だけではない。翼の身に纏うシンフォギアにもヒビが入り、そして翼自身も傷を負っていく。これは翼が自らの肉体を剣と定義してしまっており、ソードブレイカーがそれに反応しているのだ。それにより、翼の受けるダメージは、通常の倍以上のものとなってしまっているのだ。

 

「く・・・砕かれていく・・・剣と鍛えたこの身も・・・誇りも・・・あああああああ!!!」

 

哲学の奔流に耐え切れず、翼は・・・翼という名の剣は吹き飛ばされてしまった。

 

~♪~

 

同時刻、S.O.N.G本部のブリッジのモニターには深淵の竜宮の監視カメラの映像が映し出されている。モニターにはヤントラ・サルヴァスパの区域に進入したキャロルとレイアが映し出されている。カメラをズームしてみると、キャロルは何かを持っている。

 

「あれは・・・」

 

「ヤントラ・サルヴァスパです!」

 

そう、キャロルが持っているものこそが彼女の目的の品物であるヤントラ・サルヴァスパである。彼女の計画を阻止するためには、このヤントラ・サルヴァスパを奪い取る他ない。

 

「クリスちゃんたちが現着!」

 

そこにクリス、日和、調、切歌の4人が到着し、キャロルと彼女の護衛であるレイアの前に立ちはだかる。

 

~♪~

 

ファラのソードブレイカーの攻撃を喰らい、倒れた翼は起き上がろうとするが、凄まじい激痛によって立つことがままならない。

 

「夢に破れ・・・それでも縋った誇りで戦ってみたものの・・・くっ・・・どこまで無力なのだ、私は・・・」

 

「翼!!」

 

「翼さん!!」

 

「風鳴!!」

 

マリア、緒川、フォルテは翼に呼び掛けるが、彼女たちの声は翼には届かない。翼が悔しさで打ちひしがれていると・・・

 

「翼!」

 

1人の男の声が聞こえた。翼はその声に反応し、そちらに視線を向けた。視線の先には、厳格な立ち姿の八紘がいた。

 

「お父様・・・?」

 

「唄え、翼!」

 

「・・・ですが私では・・・風鳴の道具にも・・・剣にも・・・」

 

「ならなくていい!」

 

八紘は今も風鳴の道具として振る舞おうとする翼に、彼女の父親としての発破をかける。

 

「お父様・・・?」

 

「夢を見続けることを恐れるな!」

 

「!私の・・・夢・・・?」

 

「そうだ!翼の部屋、10年間そのまんまなんかじゃない!」

 

八紘に続いてマリアが翼に発破をかける。マリアとフォルテは、10年間散らかったままの翼の部屋の真意に気付いたのだ。

 

「散らかっていても、塵一つなかった!お前との思い出を無くさないよう、そのままに保たれていたのがあの部屋だ!」

 

「それが八紘殿の思いだ!娘を疎んだ父親のすることではないだろう!いい加減に気づかんか馬鹿娘!!」

 

翼は自分の部屋の光景を思い返す。確かに、あの部屋がそのままであったのならば塵があってもおかしくはない。だが部屋に置かれていたマイクやCDデッキ、あらゆるものには塵が1つもついていなかった。それこそが、八紘の隠された翼への思いだ。それに気づいた翼は涙を流す。

 

「まさかお父様は・・・私が夢を僅かでも追いかけられるよう・・・風鳴の家より遠ざけてきた・・・?」

 

八紘は目を閉じたまま何も答えない。

 

「それが、お父様の望みならば・・・私はもう一度、夢を見てもいいのですか・・・?」

 

八紘は何も言わず、首を縦に頷いて答えた。八紘の真意を知った翼は防人としてではなく、彼の娘として、立ち上がる。

 

「ならば聞いてください!イグナイトモジュール!抜剣!!」

 

翼はギアコンバーターのスイッチを押し、イグナイトを起動する。ギアコンバーターは『ダインスレイフ』という音声が鳴り、宙を舞って変形し、展開された光の刃が翼の胸を刺し貫く。ダインスレイフの闇は翼の身に纏い、シンフォギアの形となって力と化す。

 

「味見させていただきます」

 

ソードブレイカーを自身に指し向けるファラに翼は駆けだして跳躍し、黒く染まった刀を彼女に振り下ろした。ファラはこの攻撃を躱し、翼はさらに刀を振るって追撃する。この攻撃も受け流されてしまうが、翼の追撃は止まらない。刀の刀身は中心が割れ、そこからエネルギーの刃を展開し、翼はそれをファラに放つ。

 

【蒼ノ一閃】

 

ファラはこの青の斬撃をソードブレイカーを振るって受け流す。翼はさらに蒼ノ一閃を放つ。

 

~♪~

 

同時刻、深淵の竜宮でクリスたちもキャロルたちとの交戦を開始していた。クリスはキャロルに狙いを定め、小型ミサイル展開し、発射する。向かってくるミサイルにキャロルはエーテルの錬金術でバリアを展開し、ミサイルの軌道をずらした。

切歌はレイアに向かって鎌を振り下ろす。レイアはこの攻撃を躱し、コインを投擲して攻撃する。日和はそのコインの攻撃を右手の棍を回して弾き、さらに左手のユニットから棍を射出して伸ばして攻撃する。伸びてきた棍をレイアは躱す。

調は脚部の鋸を車輪のように展開し、召喚されたアルカ・ノイズを次々と斬り裂いていく。

 

【非常Σ式・禁月輪】

 

そして調は空中で非常Σ式・禁月輪を解除し、ツインテール部位を展開し、複数の小型丸鋸をキャロルに放つ。丸鋸はキャロルが展開するバリアの前では弾かれるばかりだ。

 

「ぐっ・・・!」

 

だがここでキャロルに拒絶反応が起き、展開していたバリアが一瞬解除される。そして、向かってきた丸鋸が彼女が持っていたヤントラ・サルヴァスパを弾き飛ばし、もう1つの丸鋸がそれを真っ二つに切り裂く。

 

「ヤントラ・サルヴァスパが!!?」

 

「盗られるくらいならいっそ壊した方がマシだ!!」

 

ヤントラ・サルヴァスパが切り裂かれ、驚愕するキャロルは向かってくる丸鋸をバリアを展開し防ぎ続けるが、そこに日和が右手に持っていた棍をキャロルに向かって伸ばし、打撃を与える。隙を突かれたキャロルはその打撃を受け、壁と激突する。

 

「ぐっ・・・!」

 

「マスター!」

 

「その隙は見逃さねぇ!!」

 

クリスは小型ミサイルと大型ミサイルを同時に展開し、キャロルに向けて全弾を発射する。

 

【MEGA DETH QUARTET】

 

「地味に窮地!」

 

キャロルに向かって放たれたミサイルをレイアがそうはさせないと言わんばかりにコインをマシンガンのように連射投擲して次々と撃ち落としていく。いくつものミサイルを誘爆したが、ミサイルの数の方が上回り、最後のミサイル・・・特に1番巨大なミサイルを撃ち漏らしてしまい、それがキャロルに迫る。

 

「マスター!!」

 

滅多に焦りを見せないレイアが叫ぶ。壁に激突し、立ち上がろうとするキャロルにミサイルが迫ってくる。

 

~♪~

 

ファラと戦っている翼は空高く跳躍し、数多のエネルギーの剣を創り出し、雨のように降り注ぐ。

 

【千ノ落涙】

 

「いくら出力を増したところで」

 

だがその剣はファラの振るうソードブレイカーの一撃で全て砕かれてしまう。

 

「その存在が剣である以上、私には毛ほどの傷すら負わせることは敵わない」

 

ファラはもう一振りのソードブレイカーを取り出し、それらを振るって2つの竜巻を放ち、2つの竜巻の間に入り、翼に向かって突撃する。翼は避けることはせず、八紘の言葉を胸に、真っ向から迎え撃つ。

 

『夢を見続けることを恐れるな!』

 

「剣にあらず!!」

 

翼は逆立ちをし、脚部のブレードを展開し、回転してファラのソードブレイカーとぶつけ合う。そして、その瞬間、翼の刃がファラのソードブレイカーを砕いた。

 

「ありえない・・・!哲学の牙がなぜ・・・⁉」

 

翼から距離を取ったファラは折れたソードブレイカーを見て、このありえない事態に狼狽えている。

 

「貴様はこれを剣と呼ぶのか?否!これは、夢に向かって羽撃く『翼』!!」

 

翼は脚部のブレードに炎を纏わせ、剣ではなく、『夢へと向かって羽ばたく翼』と定義された2つの刀を構え、空高く飛翔する。

 

「貴様の哲学に!!翼は折れぬと心得よおおお!!!」

 

翼は2つの刀にも炎を灯し、自分の身体ごと回転しながら、炎の翼となった刃でファラに斬りかかる。ファラはソードブレイカーで受け止めようとするが、もはやこれは剣ではない。翼なのだ。ソードブレイカーでは受け止められることはなく、ファラは身体を真っ二つに両断される。

 

【羅刹・零ノ型】

 

「あはははははは!!」

 

ファラは狂ったように、高らかに笑い出した。

 

~♪~

 

深淵の竜宮にて、クリスが放ったミサイルはキャロルに直撃しておらず、止まっていた。ミサイルの煙が放たれ、状況がよく見えない。

 

「何がどうなってやがる・・・?」

 

4人が驚いていると、煙の中から聞き覚えのある憎たらしい笑い声が聞こえてきた。

 

「はははははは!久方ぶりの聖遺物・・・この味は甘く蕩けて癖になるううぅぅ!!」

 

煙が晴れると、そこにはキャロル以外にも別の男がいた。男の異形な手はミサイルを受け止め、吸収した。その男を見た3人は驚愕し、日和は嫌いなものを見るような顔になる。

 

「なっ・・・!!?」

 

「なんで・・・あなたがここにいるんだよ・・・!」

 

「そんな・・・」

 

「嘘デスよ・・・」

 

4人がそんな顔になるのも無理はない。この狂気を纏った男を忘れるはずもないのだから。

 

「噓なものか。僕こそが真実の人ぉ・・・ドクターウェルううううう!!!」

 

この銀髪の男の名はジョン・ウェイソン・ウェルキンゲトリクス・・・通称ウェル。ナスターシャを亡き者にし、フロンティア事変を最悪の事態に招いた張本人である。

 

~♪~

 

一方その頃、検査入院をしていた響は無事退院でき、学生寮に戻っている。響は自身のスマホの着信履歴を見ている。着信履歴には全て『お父さん』と表示されている。どうやらファミレスの一件以降、洸は響に何度も電話をかけていたようだが、彼女はこれを全て無視している。

 

「・・・壊れたものは・・・元には戻らない・・・」

 

響はそう呟いて電源を切ろうとした時、着信が届いた。またお父さんからかと思ってみてみると、今度は違った。着信者は海恋からだ。響はすぐに通話に出る。

 

「もしもし、海恋さん?」

 

『・・・立花さん、退院早々で悪いんだけど・・・ちょっと外に出てくれる?』

 

「え?外?」

 

『ちょっと・・・話がしたいの』

 

真面目な声質で放つ言葉に、響は話とは何だろうと、首を傾げた。




XD-エクスドライブアンリミテッド-

東雲日和ボイス

冬1
へ・・・へくちっ!うぅ・・・さむさむ~・・・息もこんなに白いよ~・・・

冬2
ほわ~・・・雪だー!かまくら造ってお餅焼こうー!

春1
私、この季節きらーい。鼻がムズムズするし、目も痒くなる・・・へくち!うぅ・・・私、花粉症なの・・・。

春2
暖かいなぁ~・・・。こういう季節にお昼寝すると気持ちいいんだろうなぁ・・・。はぁ・・・鼻がムズムズする・・・。

フォルテ・トワイライトボイス

冬1
これが噂に聞くこたつ・・・人をダメにする道具・・・。こんなものに頼らず、運動して温まるのが1番だな。

冬2
月読と暁の話によると、マリアの足はとても温かいそうだ。ふむ・・・季節的にもちょうどいい。試してみるとしよう。

春1
この季節に食べる団子は格別にうまい。君も食べるか?

春2
日本の桜は、日中でも美しいが、夜桜だと、さらに美しさを増す。だから桜は好きだな。
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