戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

83 / 105
罪を乗り越えて

チフォージュ・シャトー内部で亡くなったはずのナスターシャが自分たちの目の前に現れたこの事象に、フォルテ、マリア、調、切歌の4人は床に倒れながらも驚愕している。ナスターシャは車椅子を操作して、4人に近づき、口を開く。

 

「思い出しなさい、血に汚れたあなたの手を。どうしてその手で、世界を救えるなんて、夢想できますか」

 

ナスターシャの言葉にマリアは狼狽えながらも口を開く。

 

「それでも・・・私は・・・」

 

「そう・・・あなたが世界を救いたいと願うのは、自分が救われたいがため・・・」

 

「あ・・・」

 

ナスターシャはマリアの言葉を遮ってそう言った。狼狽えているマリアに調と切歌が呼び掛ける。

 

「マリア!あれはマムじゃないデス!!」

 

「私たちはマムが今どこで眠っているのか知っている!!きっとこの城塞の・・・」

 

「そんなのわかってる!あれは偽りのマム・・・だけど、語った言葉は真実だわ!」

 

目の前にいるナスターシャが偽物であるということはマリア自身もわかっている。だが、これがシャトーが見せる幻影だとしても、ナスターシャに突き付けられた言葉は真実であるため、マリアは動揺している。

 

「救われたいのですね・・・眩しすぎる銀の輝きからも・・・」

 

「っ!?」

 

「マリア、惑わされるな!!君の生まれたままの感情を思い出すんだ!!」

 

動揺するマリアを引き戻そうとフォルテが声を上げて呼び掛けた。すると突然、装者たちとナスターシャの間に障壁が現れた。これに乗じ、調はマリアの手を取り、フォルテと切歌と共に彼女を連れ、この場を離れる。

 

「切ちゃん、フォルテ、マリア、行こう!」

 

「どうなってるデスか⁉」

 

「わからん。だが、今はこうするしかない」

 

「とってもとっても・・・罠っぽいデスよ!」

 

「例え罠だとしても、進むんだ!」

 

これが罠だとしても、4人はチフォージュ・シャトーを止めるために先に進む以外道はない。

 

~♪~

 

チフォージュ・シャトーから放たれた光は地表を添って、世界のありとあらゆるものの分解を始めている。この現象はS.O.N.G本部のブリッジのモニターで確認できる。

 

「世界の分解現象、依然拡大中!!」

 

「まもなく都市部へ到達します!!」

 

「くっ・・・!」

 

世界分解の前に自分たちはただ見守ることしかできない弦十郎は歯がゆさを感じている。

 

「これが・・・計画の最終段階・・・」

 

エルフナインは立ち上がるも、腹部の怪我のせいでふらつき、倒れそうになる。そこへ大悟がエルフナインを支える。

 

「てめぇ、何考えてやがる!!そんな大怪我してんのに居座ってんじゃねぇ!!」

 

エルフナインを思って大悟は彼女を叱る。

 

「・・・キャロルを止めるのはボクの戦い・・・見届けなくちゃならないんです・・・」

 

エルフナインはこの戦いを見届けるために頑なにここに残ろうとする意志を見せた。大悟はこのままメディカルルームに連れて行こうと考えていたが、エルフナインの意思を汲み取り、それをやめ、共に見届けることにした。

 

~♪~

 

シャトーの外でキャロルと戦う響、日和、翼、クリスの4人。だが彼女の力は発電所で戦った時と違い、フォニックゲインも力に変えているため、錬金術の威力は絶大であり、実力も以前のものとは比べ物にならない。

 

「なんで、錬金術師が歌っていやがる・・・!」

 

クリスの悪態にキャロルがそれに答えるように口を開く。

 

「七つの惑星と七つの音階、錬金術の深奥たる宇宙の調和は、音楽の調和。ハーモニーより通ずる絶対心理・・・」

 

「どういうことだ⁉」

 

「音楽の調和・・・もしかして・・・成り立ちが同じってこと・・・?」

 

翼の問いかけに日和が音楽の調和を基準に考え、シンフォギアと錬金術は同じ成り立ちなのではと推測する。

 

「そうだと言っている。おかしなことではあるまい」

 

どうやら日和の推測は当たりだったようで、キャロルは続きを話す。

 

「先史文明期、バラルの呪詛が引き起こした相互理解の不全を克服するため、人類は新たな手段を探し求めたという。万象を知ることで通じ、世界と調和するのが錬金術ならば、言葉を超えて、世界と繋がろうと試みたのが・・・」

 

「歌・・・」

 

世界と繋がるものの答えを響が答えた。

 

「錬金術も歌も、失われた統一言語を取り戻すために創造されたのだ!」

 

「「「「まさか!!」」」」

 

「その起源は明らかにされてないが・・・お前たちなら推察するのも容易かろう?」

 

先史文明期、バラルの呪詛、相互理解の不全、統一言語・・・これら全てと関りがある人物とは、先史文明期の巫女であり、かつては過去の亡霊であった存在、フィーネ以外にいなかった。

 

~♪~

 

一方、チフォージュ・シャトー内部では障壁に誘導される形で先へ進んでいくフォルテ、マリア、調、切歌の4人。これが罠であるならば、今仕掛けてきてもおかしくないのだが、未だ罠らしいものは見当たらなかった。

 

「罠ならそろそろ仕掛けてきてもいい頃合いなのデスが・・・」

 

「待て。誰かいる」

 

奥に誰かいるとフォルテが真っ先に気付き、3人にストップをかけた。目をよく凝らしてみると、ある人物が傷を負い、壁に横たわっていた。4人はその人物をよく知っている。

 

「まさか、君にまた会うとは思わなかったぞ・・・」

 

「罠以下の罠・・・!」

 

「もしかして、あたしたちを誘導していたのは・・・」

 

「ドクター・・・ウェル・・・!」

 

そう、その人物とは英雄になることを夢見ている最低最悪のマッドサイエンティスト、ジョン・ウェイソン・ウェルキンゲトリクス・・・通称ウェルであった。4人をここまで誘導していたのは他ならない、このウェルであったのだ。

 

「ご覧のありさまでね・・・血が足りず、シャトーの機能を完全掌握する事もままならないから難儀したよ・・・。さて、戦場で僕と取引だよ!!」

 

ウェルは不遜な態度を変えずに、4人に取引を持ち掛けてきた。普通なら突っぱねるところだが・・・本当に偶然なことに、4人とウェルの利害は見事に一致していた。

 

~♪~

 

切歌に担がれているウェルの案内によって4人が移動した場所とは、チフォージュ・シャトーの制御装置が置いてある玉座の間であった。

 

「これがチフォージュ・シャトーの制御装置・・・これを破壊すれば・・・」

 

「待て、むやみに破壊するな。何のためにドクターを連れてきたと思ってる」

 

「さすがはフォルテ・・・理解が早い・・・。それに比べて・・・君のおつむのプロセッサは何世代前なんだい?壊しでもしたら制御不能になるだけだろう?」

 

マリアが制御装置を破壊しようと考えたところをフォルテが止める。それによってウェルは腹部の傷を抑えながらフォルテを称賛しつつ、マリアを煽っていく。

 

「フォルテ、私たちは何をすれば・・・」

 

調が自分たちはどうしたらいいのかと尋ねようとした時、玉座の間に錬金陣が現れ、そこからアルカ・ノイズが現れた。おそらく、制御装置を守るために配置されているのだろう。

 

「君たちがむずがる間にも、世界の分解が進んでることを忘れるなよぉ!!!」

 

ウェルはそう言って制御装置に向かって走り出した。

 

~♪~

 

外で装者4人がキャロルに攻撃しても、彼女の錬金術の前ではまるで歯が立たなかった。こうしている間にも、世界の分解がどんどん進んでいっている。

 

「歌・・・歌が世界を壊すなんて・・・」

 

「東京の中心とは、張り巡らされたレイラインの終着点。逆に考えれば、ここを起点に全世界へと歌を伝播させられるという道理だ」

 

「そのために安全弁である要石の破壊を!」

 

霊脈を守るためにあった柱、及び要石はもうない。ならばこの世界の分解を止めるには、シャトーを破壊するか、世界を壊す歌を歌うキャロルを倒すしか方法がない。だが、今キャロルと戦っている4人との戦闘能力の差は明らかであり、内部に侵入したフォルテたちではシャトーを破壊する力は持たない。

 

「どうしよう・・・このままじゃ世界が・・・!」

 

「もうどうしようもないのか・・・⁉」

 

もはや万策尽きた・・・そう思われた時・・・

 

『ないことなどない!!』

 

通信越しでマリアが4人に発破の声を上げた。

 

~♪~

 

チフォージュ・シャトーの玉座の間に現れたアルカ・ノイズは装者たちとウェルに襲い掛かろうとしている。マリアは短剣の蛇腹状の刃を伸ばしてアルカ・ノイズを斬り裂いていき、フォルテは大剣を振るってアルカ・ノイズを斬り倒し、さらに側面のアルカ・ノイズを裏拳で殴り、消滅させる。

 

「たとえ万策尽きたとしても、一万と一つ目の手立てはきっとある!」

 

「ゆえに戦え!!戦わなければ、守るものも守れない!!」

 

2人が外でキャロルと戦う装者たちにそう呼び掛ける。その間にも、調は丸鋸を放ってアルカ・ノイズを切り刻み、切歌は鎌を振るってアルカ・ノイズを刈り取っていく。そして、残るウェルはシャトーの制御装置にネフィリムの腕を当てて、シャトーの制御権を奪おうとしている。

 

「私たちが食い止めているうちに!!」

 

「ちゃっちゃと済ませるデス!!」

 

「血が足りないから踏ん張れないって言っただろう!!子供はいつも勝手を言う!!」

 

調と切歌の指示にウェルは文句を言い放っている。そんな時、錬金術を介したモニターが現れ、そこにキャロルが映る。

 

『生きていたのか、ドクターウェル!何をしている⁉』

 

「シャトーのプログラムを書き換えているのさ。錬金術の工程は分解と解析、そして・・・」

 

『ちっ・・・!機能を反転し、分解した世界を再構築するつもりなのか⁉バカな!そんな運用にシャトーの構造が耐えられるものか!お前たちごと丸ごと飲み込んで・・・』

 

「そう!爆散する!」

 

アルカ・ノイズと戦っている4人はウェルの言葉に驚いている。自分たちはともかく、ウェルが自分の命を賭けようとしていることに。だがウェル自身はわかっている。もう自分の命はそこまで長くないことを。ならば、キャロルの計画を阻止して、彼女に一矢報いたい。それがウェルの考えていることだ。彼女に対し仕返しができることにウェルは下卑た笑みを浮かべている。

 

「どっちにしても分解は阻止できる!はんっ!本当、嫌がらせってのは最高だ!!」

 

「ドクターウェル・・・」

 

「君は・・・」

 

アルカ・ノイズを倒し終えたマリアとフォルテが意外そうにウェルに視線を向けている。すると、調と切歌が何者かに吹っ飛ばされた。

 

「「マム・・・」」

 

2人を吹っ飛ばした人物とはナスターシャの幻影であった。

 

~♪~

 

ウェルが生きていた。そのことについては想定外なのだが、キャロルが問題としているのはそんなことではない。ウェルがシャトーの機能を書き換えて分解から再構築に変更しようとしていることだ。世界の分解は彼女の目的・・・その逆のことをすれば、彼女が黙っているはずがない。

 

「世界の分解は止まらない・・・些事で止めさせてなるものか!」

 

「止めてみせる!エルフナインちゃんの想いで!」

 

響はギアコンバーターに触れ、イグナイトモジュールを使おうとする。だがそれは3人が反対する。

 

「よせ!」

 

「イグナイトがキャロルちゃんの計画の1つなら、制限時間だって知ってるはずだよ!」

 

「イグナイトモジュールの起動は、キャロルに利される恐れがある!」

 

「え?」

 

イグナイトの使用の制限時間は999秒。それが0になれば、如何なる状況下でもギアは強制解除される。イグナイトを計画に用いるキャロルのことだ。そこに付け入ろうとするかもしれない。そうなれば4人に勝ち目はない。翼から計画の全容を聞いていた日和とクリスはともかく、当然響はそのことを知らないため、疑問符を浮かべていた。その間にもキャロルはダウルダブラの弦を地に突き刺し、辺りに張り巡らせて4人を吹き飛ばす。

 

「「「「うあああああああ!!!」」」」

 

キャロルは背部ユニットをさらに展開し、弦を通して錬金術のエネルギーを溜める。

 

「極太のとどめを・・・ぶっ刺してやる!!!」

 

力が溜まった錬金術のエネルギーをキャロルは4人に向けて放った。放たれた錬金術の凄まじい威力に4人はさらに吹っ飛ばされる。

 

~♪~

 

シャトーの内部、再び相まみえたナスターシャの幻影。だがマリアはもう狼狽えたりしていない。

 

「お前がマムであるものか!!」

 

「汚らわしい偽物め・・・僕たちの視界から消え失せろ!!」

 

マリアとフォルテががナスターシャの幻影にそう啖呵を切ると、ナスターシャの幻影は黒い何かに覆われる。覆われていたものが晴れると、ナスターシャの幻影は別の人物に変わっていた。それは、黒いガングニールを身に纏ったマリアだった。突然の変化に驚く2人にマリアの幻影は槍の矛先を展開し、エネルギー波をマリアに放った。放たれたエネルギー波をフォルテはマリアの前に出て、大剣で防ぐ。だが、その威力の前に受け止めきれず、フォルテはマリアと共に吹っ飛ばされる。

 

「「うあああああ!!」」

 

マリアの幻影は槍の矛先を地に突き刺し、機械質な声で口を開く。

 

「私はフィーネ。そう・・・終わりの名を持つ者」

 

マリアは目の前の存在がなんであるのかを悟った。

 

「そうか・・・お前は私・・・過ちのまま行き着いた・・・私たちの成れの果て・・・」

 

「だけど・・・黒歴史は塗り替えてなんぼデス!」

 

「シャトーが爆発する前に、この罪を乗り越えて脱出しよう!」

 

「ああ・・・君も僕たちの罪の象徴ならば・・・それを受け入れ、越えていくのみ!」

 

幻影が自分たちが越えるべきものならば、4人は立ち上がり、並び立って構え、共に歌う。まず調がツインテール部位のアームに丸鋸を展開し、それを振るう。マリアの幻影はそれを槍で受け止め、後ずさるも調を押し返す。そこへ跳躍した切歌が鎌を振り下ろす。マリアの幻影が鎌の一撃を躱したところでマリアとフォルテが追撃する。マリアの短剣の一撃とフォルテの大剣の一撃をマリアの幻影はマントで防御しつつ、攻撃を仕掛ける。2人はマントの攻撃を躱す。そこに、フォルテの元にエルフナインからの通信が届く。

 

『フォルテさん、通信機をウェル博士の預けてもらえますか⁉』

 

「何?」

 

『自分らしく、戦います!』

 

通信越しで伝わるエルフナインの意思を汲み取り、フォルテは自身の通信端末を取り出す。

 

「ドクター!」

 

そしてそれをウェルに投げ渡す。ウェルは組み換え作業を続けながらフォルテの通信端末を受け取る。

 

『この端末をシャトーに繋いでください!海恋さんと一緒にサポートします!』

 

「胸が躍る・・・!だけどできるのかぁい?」

 

楽し気に笑うウェルはエルフナインの指示に従い、通信端末を制御装置に設置した。

 

~♪~

 

ウェルが通信端末を制御端末に設置したと同時に、ブリッジのモニターに、フォトスフィアの図が表示される。

 

「そうか!フォトスフィアで!」

 

「レイラインのモデルデータを処理すればここからでも!」

 

「藤尭ぁ!」

 

「ナスターシャ教授の忘れ形見・・・使われるばかりじゃ癪ですからね!やり返してみせますよ!」

 

「演算をこちらで肩代わりして負荷を抑えます!掌握しているシャトーの機能を再構築に全て当ててください!」

 

海恋やエルフナイン、藤尭はコンソールを打って、シャトーの書き換え作業を遠距離でサポートをする。

 

~♪~

 

マリアの幻影は槍の矛先をマリアに向け、エネルギー砲を撃ち放った。マリアは3つの短剣を投擲して逆三角形の障壁を作り上げて防御する。ぶつかり合った障壁とエネルギー砲は相殺される。

 

「(私が重ねた罪は・・・私1人で!)

3人とも!ここは私に任せて、みんなの加勢を・・・!」

 

マリアが3人に視線を向けた時、マリアの幻影は彼女に向けて槍を投擲した。マリアがそれに気づいたが、防御が間に合わない。しかし、マリアは1人ではない。間一髪で直撃するところを、調の丸鋸と切歌の鎌で凌いだ。そして、フォルテがマリアの幻影に接近し、大剣を振るう。マリアの幻影は大剣の一撃をマントで防ぎ、同時に攻撃を仕掛けた。フォルテはすぐに大剣を分離して双剣に変え、その攻撃を防いだ。

 

「この罪は、君1人だけのものではない!」

 

「だからこの罪を乗り越えるのは・・・!」

 

「4人一緒じゃなきゃダメなのデス!」

 

「ありがとう・・・3人とも・・・」

 

マリアは3人が共に来てくれることに心強さを感じる。短剣を強く握りしめ、視線をウェルに向ける。

 

「ドクター!私たちが命に代えても守ってみせる!だから・・・ドクターは世界を!」

 

フロンティア事変で世界を窮地に追いやったウェル。それが皮肉にも、世界の全てがこの男にかかっている。ならばマリアたちは世界を守るために、ウェルに全てを託した。世界の命運を託されたウェルは口角を上げて笑う。同時に、シャトー内部の歯車が回り始めた。

 

~♪~

 

シャトーの変化は外でも起きていた。機能が分解から再構築に書き換えられていることにより、シャトーのエネルギーが逆流を起こし、シャトーの周りに稲光が走る。

 

「やめろ・・・オレの邪魔をするのはやめろ・・・!やめろおおおおおお!!!」

 

シャトーの異変に気付いたキャロルは初めて狼狽え、シャトーに向かって飛び立った。立ち上がろうとする装者たち4人に、マリアたちが通信越しで語り始める。

 

『翼と立つステージは楽しかった・・・。次があるならその時は、朝まであなたと歌い明かしてみたいわね・・・』

 

「マリア・・・何を・・・!!?」

 

『世界は広く、美しく、暖かい・・・東雲に生かされなければ、それを知ることはなかっただろう。君には深く感謝している』

 

「そんな・・・知らないことはまだたくさんあるんですよ⁉」

 

『命懸けで戦った相手と絆を深めて、仲良くできるクリス先輩はすごいなって・・・!憧れてたデスよ!』

 

「お前だってできる!できてる!!」

 

『ごめんなさい・・・!あの日、何も知らずに『偽善』と言ったこと・・・本当は直接謝らないといけないのに!』

 

「そんなの気にしてない!だから・・・!!」

 

まるで最後の遺言のように語るマリアたちに響たちは声を上げた。エネルギーが逆流し、暴走するにつれてシャトーに光が漏れ始める。

 

「お願いやめて!!これ以上私とパパの邪魔をしないで!!!」

 

シャトーの爆発寸前の前に、キャロルは思わず幼き少女のような声で懇願している。

 

~♪~

 

ブリッジで世界再構築の演算を続けるエルフナインの頬は脂汗が流れ、腹部の血も床に落ちている。彼女自身の限界が近づいてきているのだ。

 

「エルフナイン・・・これ以上はあなたの命が・・・」

 

「ボクは・・・ボクの錬金術で世界を守る・・・!キャロルに世界を壊させない・・・!!」

 

海恋がエルフナインに声をかけるが、エルフナインは構わず、演算に心血を注ぐ。例えこれで自分の命が失われようとも。

 

~♪~

 

マリアの幻影の戦いも終わりに迫った。調と切歌が自身のアームドギアを振るい、マリアの幻影の槍を弾いた。マリアは左手のガントレットに短剣を連結させ、刀身を長くさせる。フォルテは大剣を構え、地獄の業火の炎を刀身に纏わせる。2人が同時にマリアの幻影に斬りかかろうと跳躍する。するとマリアの幻影はマントを纏い、別の人物に姿を変えた。その人物とは、マリアの最愛の妹であり、フォルテの弟子にして親友・・・今は亡き、セレナ・カデンツァヴナ・イヴだ。だが、セレナを前にしても、2人に迷いは一切ない。

 

「「セレナあああああああああ!!!!」」

 

マリアとフォルテはセレナの名を口にしながら、光の一撃と魔の一撃を彼女の幻影に放った。

 

【Pride Of SERE†NADE】

 

聖剣の斬撃と魔剣の斬撃が交差し、十字架を作り上げてセレナの幻影を切り裂いた。

 

~♪~

 

シャトーの光がより一層と輝きを増していき、間もなく爆発を引き起こそうとしていた。

 

やめろおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!

 

キャロルは大きな叫び声をあげ、火、水、風、地、雷、氷の6つの錬金陣を展開し、1つに合わさった強大な錬金術のエネルギーをシャトーに向けて撃ち放った。キャロルの錬金術に貫かれたシャトーは・・・

 

ドガアアアアアアアアアアアン!!!!!!

 

大爆発を引き起こし、硝煙が大きく立ち込める。自ら攻撃を撃ち放ったキャロルは呆然と、シャトーが落ちていく様を見ていることしかできなかった。




ミスティルテインとアガートラームの連携技

【Pride Of SERE†NADE】
フォルテの技、Lucifer Of Prideとマリアの技、SERE†NADEが合わさった連携技。マリアのSERE†NADEによる斬撃とフォルテのLucifer Of Prideの斬撃が交差し、標的を十字架に切り裂いていく。聖と魔が合わさった表裏一体の一撃ともいえる。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。