戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

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今回はキャロルちゃんとオートスコアラー6機がメインですので日和ちゃんたちの出番は今回はなしです。


戦姫絶唱しないシンフォギアGX③

『GX1話が始まる少し前』

 

 

 

チフォージュ・シャトーの主であるキャロルには1つ、嘆かわしいことがあった。その嘆かわしいこととは、自身が造り上げた6機のオートスコアラーにある。

 

「マスター?いかがなさいましたでしょうか・・・?」

 

自分たちを見ていたキャロルの様子が心配になったリリィがキャロルに尋ねる。

 

「・・・人工知能のサンプルデータとして、オレの思考パターンを使ってみたのだが・・・」

 

オートスコアラーの持つ知能はキャロルの思考パターンのデータを基にしているようなのだが、キャロルはそこに不満があるようだ。

 

「いやですよぅ、マスター。あたしら飛び切りの最高傑作なんだから、もっと胸を張ってくださいよぅ」

 

「自分の中にこんなキメキメの立ちポーズ取りたがる潜在意識があったなんて突きつけられてみろ!そんなのオレでなくともへこむわ!!」

 

キャロルの言うとおり、6機のオートスコアラーは皆、待機している際、各々のスタイルの立ちポーズをとることが多い。そしてオートスコアラーがキャロルの思考パターンを元にしているのならば、これはキャロルの中にあった潜在意識ということになる。だからこそキャロルはそれを突きつけられてショックを受けているのだ。

 

「えんやえんや需要ありますってぇ。きょうびなラスボスはこれくらいの器量が求められているものですよぉ~?こぉ~んなポーズもぉ~、実はマスターもやってみたいだなんて。あーははは!」

 

性根が腐った発言をするガリィはくるくる回ってバレエのポーズをとって高らかに笑う。

 

「お前のその・・・性根が腐った性格が1番堪えるんだよ・・・そいつが自分の中にあると思うと・・・!」

 

「あれで私と姉妹機というのですから・・・嘆かわしいことです・・・」

 

ガリィの性根の腐った性格に姉妹機であり、1番最初に起動したリリィは嘆かわしさを感じ取っている。特にキャロルはあれが自分の中にあると考えると、ダメージも大きいだろう。

とにもかくにも、ガリィはまだ起動していないオートスコアラーに自身の中にある思い出のエネルギーを口移しで送り込んでいる。口づけするという光景を目の当たりにしたキャロルは頬を赤らめている。

 

「ん~、デリーシャース!グレートな味わい深さだったぜ」

 

「馳走になったな」

 

「何とも、お粗末様でした♪」

 

これによってファラ、レイア、シャルの起動に成功する。

 

「仕方ないとはいえ、見せつけられると妬けちゃいますわ」

 

「そ、そうだ・・・仕方ないとはいえ、もう少し人目を気にしてもらいたいものだ・・・」

 

ファラの言葉にキャロルは頬を赤らめたまま腕を組んでそう発言する。

 

「しかしマスター。私たちの人工知能はマスターがベースになっておられますので・・・」

 

「むっ・・・!」

 

リリィの発言にキャロルは顔をしかめている。

 

「実はマスターってば、衆人環視のただなかでこれでもかと言わんばかりにむずみあいたい性癖でもあるんじゃないですかぁ~?」

 

「あるわけないだろ!!」

 

ガリィの空気の読めない発言にキャロルは怒鳴り声を上げた。

 

~♪~

 

チフォージュ・シャトーの玉座の間。キャロルはここにある玉座に座りこみ、オートスコアラー6機は各々のポーズで待機している。そこへ、エルフナインが玉座の間に入ってくる。

 

「よく来たな。廃棄躯体11号・・・いや、エルフナイン」

 

「キャロル・・・そして・・・これが6機のオートスコアラー・・・」

 

エルフナインは各々のポーズをとっているオートスコアラーに視線を向ける。

 

「これがキャロルの・・・」

 

「ああそうだよ!!どうやらオレの中にあるらしいオレの潜在意識がそうさせてるんだよぉ!!」

 

「ぼ・・・ボクはまだ何も・・・」

 

エルフナインが口を開こうとした時、キャロルが前に出てきて羞恥心が混じった声で彼女を怒鳴った。

 

~♪~

 

『お前をシャトー建造の任を解く。後はどうとでも好きにするがいい』

 

あれから時間が経ち、エルフナインをシャトー建造の任を解いたキャロルはその当時のことを思い返す。

 

「さて、そろそろ出奔する頃合いだろうか。思い出を共有する疑似同一体でありオレの目からは逃れられんぞ」

 

キャロルはそろそろ頃合いと見て、エルフナインの視界をジャックして彼女の様子を伺う。視界に映るのはエルフナインが使っていた部屋。彼女は自分が使った部屋を掃除しているようだ。

 

『立つ鳥跡を濁さずといいますからね。まずは自分の部屋の後片付けをきちんとしないと・・・残った方々に迷惑がかかります!』

 

「脱走前にやることか・・・」

 

エルフナインが脱走すること自体はわかっていることだが、その前に自分の部屋の掃除をするという行為にキャロルは呆れている。

 

『戸締りよし!ドヴェルグ=ダインの遺産よし!指さし確認問題なし!』

 

「おいおい・・・真面目が過ぎるだろう・・・」

 

発つ前にこれでもかという確認をするエルフナインにキャロルはさらに呆れる。

 

『今日は脱走デビューとなると、特別な日なので、相応しい一張羅にしないと・・・!』

 

今度は自分の着ている服を選びだすエルフナイン。

 

「いいからさっさと脱走しろー!!」

 

我慢できず、キャロルは思わずこの場にはいないエルフナインを怒鳴りつける。

 

『ひっ・・・!い、今、誰かに怒鳴られた気が・・・』

 

怒鳴り声を感じ取ったのかエルフナインは辺りを見回した。気を取り直してエルフナインはチフォージュ・シャトーの脱走を図った。が、ただの自動ドアに服が挟まり、身動きが取れなくなっている。

 

『これが・・・侵入者を阻み、脱走者を立ちはだかるというチフォージュ・シャトーの防衛システム・・・きゃあ!』

 

ようやく挟まっていた服が取れ、その反動でエルフナインは転んでしまう。

 

『いけない・・・早くも大ダメージ・・・!』

 

大袈裟なことを言うエルフナイン。その一部始終を見ていたキャロルはレイアとシャルに命令をする。

 

「・・・レイア、シャル、こちらが誘導してると悟られぬよう、追い立ててやれ」

 

オートスコアラーにとって自身を作った主の命令は絶対。ゆえに断る道理などないのだが・・・

 

「オーケーだ、マスター。ただ・・・なぁ?」

 

「ただ・・・なんだ?」

 

「マスターの命令とはいえ、エルフナインのあの様子を見てしまうと、地味に良心が痛みます」

 

レイアとシャルはエルフナインのあまりにどんくさい動きに多少なりとも良心を痛めているようだ。

 

「良心回路なんて取り付けた覚えはないぞ!!」

 

だがキャロルは良心回路をオートスコアラーに入れていない。ということはやはり、キャロルの思考パターンに基づいたものなのだろう。

 

~♪~

 

キャロルから与えられた任務に向かう前に、ファラ、シャル、レイアは少しだけ話し合っている。

 

「今後何かを決めるにあたり、私たちオートスコアラーの間では、公平な意思決定方法を定めておく必要がありそうね。例えば、あみだとか」

 

「あみだだぁ~?おいおいファラ・・・そいつはクールじゃないんじゃねぇか?」

 

「シャルに同意だな。あみだとはまた地味な。ジャンケンの方がポピュラーではないか?」

 

意思決定方法についてあみだを提案するファラに対し、シャルは不満をこぼし、レイアはジャンケンを提案する。と、ここでファラがソードブレイカーを取り出し、2機の提案に異を唱える。

 

「ジャンケンにおいて、斬撃武器使いはチョキを出す傾向が高いと統計的に立証されておりますわ。公平を期すのであれば、ここはやはり、あみだ以外にありえません」

 

統計学を持ち出され、レイアとシャルは納得する。

 

「そ、そうか・・・地味にすごいな、統計学・・・」

 

「アメイジング・・・統計学ってのはそんなのまで立証してんのかい・・・」

 

「錬金術も驚きの新事実ですわ・・・」

 

レイア、シャル、ファラは統計学の立証率に多少なりとも驚きを見せているのであった。

 

 

 

『Project IGNITE始動の少し前』

 

 

 

S.O.N.Gの方でProject IGNITE計画が始動する少し前の時間、6機のオートスコアラーはキャロルの命令で待機状態にある。そんな時、ミカがガリィを追いかけている。

 

「ガリィ~。なぁガリィったら~。お腹が空いたゾ。チューしてくれよ~。ペコペコだゾ~・・・」

 

「うっさい!あたしは今忙しいんだ」

 

ガリィはそう言って断っているが、実際のところガリィは現在待機命令で暇を持て余している。

 

「頼まれていない時はところかまわずチューしまくるのにね」

 

「頼まれると人にしないあたりが、性根が腐ったガリィらしい」

 

「ランチが欲しいならガリィを説得できるリリィに言えやいいのになぁ?」

 

「そう何回も来られても困るのですけれどもね・・・」

 

オートスコアラー4機はガリィとミカの様子を遠くから見てそう話すのであった。

 

~♪~

 

オートスコアラーの待機は未だに続いている。そんな中オートスコアラー5機は少々気になっていることがある。それはミカの待機状態のポーズについてだ。ミカはがに股を開き、両手を広げてまるで怪獣のようなポーズをとっている。

 

「あれはいったい・・・」

 

「何がモチーフなんだ・・・?」

 

「んなのあたいが知るかよ・・・」

 

「大道芸・・・でしょうか・・・?」

 

「皆目見当もつきませんわ・・・」

 

ミカのポーズを見てオートスコアラー5機はひそひそと話し合っている。それを見ていたミカはぷんすかと怒っている。

 

「ひそひそ話は感じ悪いゾ!!これは、かっこいいポーズなんだゾ!!あたしにも全然わからないけど、そうなんだゾ!!」

 

ミカ本人もわかっていないようだが、どうやらかっこいいポーズをとっているらしい。

 

「・・・ということは・・・」

 

「必然的に・・・」

 

「そうだよなぁ・・・?」

 

「・・・申し訳ございません・・・」

 

オートスコアラー5機の視線は玉座に座っているキャロルに向けられている。

 

「オレか!!?オレだっていうのか!!?」

 

自身の潜在意識を目の前で突きつけられている感覚に陥っているキャロルはオートスコアラー5機に向けられた視線に耳を塞ぎながらそう叫んだ。

 

~♪~

 

まだまだ待機が続く中ファラはソードブレイカーを構え、薔薇を口にくわえて華麗なポーズをとっている。

 

「私の武器は剣と定義されるものは硬度も強度も問わずにかみ砕く哲学兵装のソードブレイカー・・・そして何より、奇天烈な言動揃いのオートスコアラーの中にあって、これっぽっちも損なわれない立ち振る舞い・・・」

 

「後、言動も忘れちゃダメだゾー」

 

「な、何を!!?」

 

自分の有能ぶりをアピールしている中、ミカの一言で驚くファラ。

 

「ファラ、キャラ設定盛りすぎなんだよ。あたいとキャラ被るだろうが」

 

さらにそこへシャルが本人がかっこいいと思っているポーズを取りながらファラにたいしてそう指摘する。

 

「あたし知ってるゾ。シャルのカッコつけてるところ、ナルシストっていうんだゾ」

 

「ヘーイ、ミカ・・・ちょっとこっちに来いよ・・・ちっと話があるからよ・・・」

 

ミカの余計な一言に苛立ったシャルは自身の武器であるレールガンを向けながらそう言った。どうやらナルシストという言葉はお気に召さないようだ。

 

「私からすれば、みんな同じだと思いますが・・・」

 

リリィの目から見れば、自分を含めたオートスコアラーがポーズを取りたがり、カッコつけることからみんな同じだと思っているようだ。

 

~♪~

 

さらに時間が経った頃、リリィとガリィが他愛のない話をしている。そこへ困ったような顔をしているミカがやってきた。

 

「なぁ~、リリィ、ガリィ~・・・」

 

「どうしましたかミカ様?もしかして、お腹が空いたのですか?」

 

「もうかよ!!?さっきチューしたばっかりだろ!!」

 

用があるとすればまたお腹を空かせているから思い出を欲しがっているのだろう。リリィやガリィに話すことはたいていがそれだからそう思っていたが、ミカの様子からしてそうではないようだ。

 

「いや・・・そうではなくてだゾ・・・」

 

「そうでないならなんなんだよ?」

 

「ほどけちゃったんだゾ・・・」

 

どうやらミカの服についていたリボンの紐がほどけてしまって結んでほしいようだ。

 

「ちっ・・・最強のオートスコアラーなんだから、最強らしくなんでも1人でしてみせろよ」

 

「ガリィ様、ミカ様の手ではリボンを結べません」

 

ガリィは面倒くさくてやりたくないようなのだが、リリィの指摘通り、ミカの凶暴な手では細かい作業することはできない。

 

「そうなんだゾ・・・最強だけど・・・リボンの結び直しも、思い出の採取も、ガリィがいなきゃダメダメなあたしなんだゾ・・・」

 

「・・・しゃあねぇなぁ・・・」

 

ガリィはリリィに何か言われるより先にミカのリボンを結び直す。

 

「すまないゾ。あたしのその機能があれば、ガリィにお礼のチューしてあげるんだけどなぁ~・・・。残念だゾ・・・」

 

「バァカ、できもしねぇこと言ってんじゃねぇ」

 

なんだかんだ言いつつも、面倒見がいいガリィにリリィは腕を組んで感心して、氷を身に纏って姿を消してその場を後にする。

 

~♪~

 

あの場を後にしたリリィは透明化を解除し、シャルとガリィについての話をしている。

 

「普段からああしていればいいのですが・・・どうしてああも面倒くさがったりするのでしょうか・・・?」

 

「いいじゃねぇか。ガリィに腐った性根が取り除かれたら何が残るってんだい?」

 

「ガリィ様もマスターに作り上げられた最高傑作の1つなのですから・・・待機においても相応しい行動をとってもらいたいものです」

 

「よっぽど信頼してるんだなぁ、ガリィのこと」

 

口を開けばお互いに言い争いをしてしまうリリィとガリィだが、お互いに信頼しあっているようだ。もっとも、それはその2機に限った話ではない。

 

「ガリィ様だけではありませんよ」

 

「ワッツ?」

 

「マスターはもちろんのこと・・・レイア様にファラ様・・・ミカ様も信頼に値しております。そして何より・・・シャル様・・・私はあなたを1番頼りにしていますよ」

 

「ヘイ、そいつはお世辞かい?だとしても、嬉しいことを言ってくれるねぇ」

 

効率を重視するリリィから信頼されていたとは思っていなかったシャルは上機嫌に右手のレールガンをくるくる回す。

 

「これからもあなたの完璧な仕事ぶり、期待していますよ」

 

「ハッ・・・オーケーオーケー。ならその期待にビジネスでちぃっと応えてやろうじゃねぇの」

 

笑みを浮かべてしゃべるリリィにシャルは笑って帽子を被り直した。




東雲姉妹のビーフシチュー?カレー?

東雲姉妹の料理の失敗の産物。最初の工程自体は手順通りなのだが、入れるルーを間違えてしまって当初のメニューとは違うものになってしまった料理。カレーだと思ったら、ビーフシチュー、ビーフシチューだと思ったらカレー・・・そんなどちらなのかはっきりとしない一品。
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