早朝の学生寮の日和と海恋の部屋にて、海恋は日和を起こそうと思い、彼女のベッドまで近づく。軽く息を吸い、はいたところで海恋は日和のベッドの布団を引きはがす。
「ほら、朝よ日和!起きなさ・・・あれ?」
布団を取り上げたはいいが、肝心の日和がすでにベッドからいなかった。それどころか部屋には日和の姿がどこにもいなかった。
「最近毎日早起きするのは感心するけど・・・いったいどこに・・・ん?」
海恋はベッドには手紙が置いてあった。字を見るに日和のものであるというのが海恋にはわかった。手紙にはこう書かれていた。
『修行に行ってきます。今日学校休むから先生に言っておいて。ごめんちゃい(⌒∇⌒)』
「修行って・・・風紀委員の前で堂々とサボり宣言とは・・・!!」
この手紙の内容を読んだ海恋は怒りでプルプルと震え、手紙をくしゃっと握りつぶす。
「・・・日和ぃいいいいいいいいいいいいいい!!!!!(怒)」
海恋はこの場にはいない日和に向かって怒りの叫びを放ったのであった。
~♪~
「・・・ううぅ!!?」
朝から弦十郎の屋敷に来て、修行をしていた日和は身の毛もよだつ寒気に襲われた。
「日和さん、どうかしましたか?」
「い、いや・・・今一瞬なんかすごい寒気が・・・」
「日和君!!響君!!手が止まっているぞ!!」
「「は、はい!!」」
修行の最中に手が止まっていたことに弦十郎から叱咤を受け、響はサンドバッグの打撃の特訓を再開し、日和も竿を使って棍の技の会得に集中する。
「そうじゃない!!稲妻を喰らい、雷を握りつぶすように打つべし!!」
「言ってる事全然わかりません!でもやってみます!」
弦十郎の言っていることが理解できずとも、響はそれを実践しようと試みる。響はグローブをはめた拳を握り直し、拳を放つタイミングを見計らっている。全集中で神経をとがらせ、心臓の鼓動で、響はサンドバッグに拳を振るった。この衝撃で吊り下げられていた枝が折れ、サンドバッグは池へ向かって飛んでいった。
「・・・そこ!!」
そのタイミングを見計らったのか日和は竿を構えてサンドバッグまで飛び、飛んできたサンドバッグを竿で打ち返した。日々の修業が功を制し、日和と響は着実に強くなっていっている。
「こちらも、スイッチを入れるとするか!!」
日和と響の成長ぶりに火が付いた弦十郎はとことんにまで、日和と響の特訓に付き合うのであった。
~♪~
リディアンの2年生の教室ではクラスの出席をとっている。が、毎度遅刻の常習犯である日和がここにいないため、教師は怒っている。
「東雲さん!!東雲日和さん!!いないのですか!!?・・・西園寺さん!!東雲さんはどうしたんですか!!またいつもの寝坊ですか!!?」
「えっと・・・東雲さんは・・・その・・・病院で検査受けるようにと指示があったそうで今日は休みです」
海恋は病院を使って日和は今日は休みであるということを伝える。嘘をついて欠席の知らせをしないといけない怒りと去年の日和の状態を引き合いに出している罪悪感で、海恋は内心複雑な心境である。
「・・・はぁ・・・仕方ないですね・・・。でも西園寺さん、東雲さんに言っておいてください。去年みたいなことになったら、今度こそ進級は危ういと!」
「はい・・・強く、厳しく言っておきます・・・」
教師が出席を続ける中、海恋は隣の日和の席を見て、頭を抱える。
「はぁ・・・帰ってきたら、たっぷりと説教ね」
海恋は日和が戻ってきたらいつもより倍の説教をしてやろうと深く心に誓うのであった。
~♪~
一方その頃、朝のトレーニングを終えた日和と響はというと・・・
「ふぁ~・・・朝からハードすぎますよ~・・・」
「はひぃ~・・・私、明日多分筋肉痛になっちゃうかも・・・」
「頼んだぞ、明日のチャンピオンズ!」
二課の本部の司令室のソファーでぐでーっとだらしなく突っ伏す。日和は正式に二課の一員となったために、こうして本部に自由に行き来できるようになったのだ。
「はい、ご苦労様」
「わぁ、すいません!」
「ありがとうございます!いただきます!」
友里から飲み物が差し出され、日和と響は嬉しそうにその飲み物を受け取り、おいしそうに飲んでいく。
「・・・あの、1つ疑問があるんですけど・・・シンフォギア以外にノイズと戦える武器って他にないんですか?ノイズと戦う機関だからあるような気がするんですけど。例えば外国とか・・・」
「あ、それ私も思いました。自分でやると決めたくせに申し訳ないんですけど、何もうら若き女子高生に頼まなくってもそれを使えばと思うんですが・・・」
「だよね。響ちゃんもそう思うよね」
日和と響のもっともらしい疑問に弦十郎が答える。
「公式にはないな。日本だってシンフォギアは最重要機密事項として完全非公開だ」
「ええぇ・・・私、あんまり気にしないで結構派手にやらかしてるかも・・・」
「私も・・・そんなの全然気にせずに纏っちゃってるんですけど・・・大丈夫なんですか?」
「情報封鎖も二課の仕事だから」
人の目を全く気にせずにギアを纏った日和と非公式でありながら派手にやらかしたと思ってる響は申し訳なさそうにしているが、二課はそういう情報を封鎖させているらしいので、気にしないでいいと言う友里。
「だけど、時々無理を通すから、今や我々のことをよく思っていない閣僚や省長だらけだ。特異災害対策起動二課を縮め、『特起物』って揶揄されている」
「情報の秘匿は政府上層部の指示だってのにね。やりきれない」
「いずれシンフォギアを、有利な外交カードにしようと目論んでいるんだろう」
「EUや米国は何時だって改定の期を窺っているはず。シンフォギアの開発は、基地の系統とは全く異なるところから発生した理論と技術によって成り立っているわ。日本以外の他の国では到底まねできないから、猶更ほしいのでしょうね」
「結局やっぱり、いろいろとややこしいってことですよね・・・」
「そんな難しい話、私たちには専門外ですよ・・・」
友里と藤尭の話にまったくついていけていない日和と響はソファーに寝そべる。すると日和はこの司令室に了子がいないことに気が付いた。
「・・・あれ?そういえばししょー、了子さんはどこにいるんですか?改めて挨拶って思ったんですけど・・・」
「永田町さ」
「「永田町?」」
「政府のお偉いさんに呼び出されてね。本部の安全性、及び防衛システムに対して、関係閣僚に対し、説明義務を果たしに行っている。仕方ないことさ」
「また難しい話だー・・・頭パンクしちゃう・・・」
組織のややこしい仕組みに対し、日和はついていけてない様子でまたも寝そべって足をパタパタとさせる。
「ほんと、何もかもがややこしいんですね」
「ルールをややこしくするのはいつも、責任を取らずに立ち回りたい連中なんだろう。それでも、広木防衛大臣は・・・了子君の戻りが遅れているようだな」
弦十郎は永田町へ向かっていた了子の帰りが遅れていることに多少疑問を抱いているようだ。そんな彼女だが噂されたせいかどこかでくしゃみをしたのは、誰も知る由もないのであった。
~♪~
絶唱によって致命傷を受けた翼の意識は現在、暗く深い海の底のような精神世界で彷徨っている。まるで、深き深淵の底へと、潜ってしまっているかのような。
(・・・私・・・生きてる・・・?・・・違う・・・ただ死に損なっただけ・・・。奏や玲奈は・・・何のために生きて・・・何のために死んだのだろう・・・?)
『真面目が過ぎるぞ、翼』
翼が奏や玲奈のことを考えていると、橙色の長髪の女性が翼を抱きしめる。そう、彼女こそが、翼にとってかけがえのないパートナー、ツヴァイウィングの片割れ、天羽奏だ。
『あんまりガチガチだと、そのうちポッキリいっちゃいそうだ』
『・・・1人になって私は、よりいっそうの研鑽を重ねてきた。数えきれないほどのノイズを倒し、死線を越え、そこに意味など求めず、ただひたすら戦い続けてきた。そして・・・気づいたんだ・・・私の命にも・・・意味や価値がないってことに・・・』
精神世界は暗き海の底から、2年前の惨劇のライブ会場へと変わっていた。翼の言葉を聞いて、ガングニールを纏っている奏は口を開く。
『戦いの裏側とかその向こうには、また違ったものがあるんじゃないかな。あたしはそう考えてきたし、そいつを見てきた。バカな玲奈だって、そう考えてたんじゃないかな』
『それは何?』
『自分で見つけるものじゃないかな』
『・・・奏はいじわるだ』
戦いの裏側に違ったものについてはぐらかされた翼はふてくされたように頬を膨らませるが、すぐに顔を俯かせる。
『・・・だけど、私にいじわるな奏は、もういないんだね・・・。奏とよくバカみたいに喧嘩する玲奈も、もう・・・』
『それは結構なことじゃないか』
『私は嫌だ!奏にそばにいてほしいんだよ!玲奈だって、もっと生きていてほしかったんだよ!』
『・・・私がそばにいるか、遠くにいるかは、翼が決めることさ』
『私が・・・』
『その通りだよ、翼』
翼の後ろから、別の女性の声が聞こえた。翼が後ろを振り返ってみると、そこには日和にとってかけがえのない人物、そして、翼と奏にとって、最愛の友・・・如意金箍棒を纏った北御門玲奈がいた。場所は1年前のライブ配信会場へと変わっていた。
『玲奈・・・』
『私たちは確かに死んだよ。けどさ、魂が生きているかどうかは・・・誰かが決めることじゃあない。翼、あんたが決めることさ。私だってそう考えられるようになったからさ』
『玲奈も・・・?』
『ああ。底なしのバカのおかげでね。あいつに諭されて・・・私の命にも・・・価値があったんだなってやっと思えたのさ。私にできて、翼にできない道理はないでしょ?だってあんたは・・・もう1人じゃないんだからさ』
玲奈は翼ににっこりと微笑み、奏の元まで歩んでいく。そして、玲奈は翼の耳元でこうささやいた。
『翼・・・日和のこと・・・頼んだよ』
言いたいことを言った玲奈は翼に背を向けて、手を振った。
「奏・・・玲奈・・・だったら、私は・・・」
翼が言葉を紡ごうとした瞬間、彼女の意識は光に包み込まれていった。
~♪~
場所は現実のICU、ずっと意識を失っていた翼が今、ようやく目を開いた。
「!!先生!意識が!」
「各部のメディカルチェックだ!急げ!」
『はい!』
翼の意識が戻ったことで医師は翼のメディカルチェックを執り行う。意識がはっきりしてきた翼は外の景色が目に移る。
(・・・不思議な感覚・・・まるで世界から切り抜かれて、私だけ時間がゆっくり流れていくような・・・。・・・そうか・・・私、仕事でも任務でもないのに、学校休むの初めてなんだ・・・。精勤賞は絶望的か・・・)
翼はそう思いながら、ICUの天井を見つめる。
(心配しないで、奏・・・。私、あなたが言うほど真面目じゃないから・・・ポッキリ折れたりしない・・・。だからこうして・・・今日も無様に生き恥をさらしている)
翼は自分の心の中に存在する奏に、そう伝えるのだった。
(それと・・・玲奈・・・。あなたの頼みは・・・多分了承できないかも。だってあの子・・・自分から首を突っ込んでくるような子だもの・・・)
翼は同じく心の中に存在する玲奈にそう告げて、口元に笑みを浮かべる。そして、彼女の頬に、涙がつたうのであった。
~♪~
夕方になり、特異災害対策起動部二課の本部では今緊迫した空気が流れている。それもそのはず、なぜなら広木防衛大臣が革命グループからの奇襲にあい、付けていた護衛や秘書を含めて暗殺されてしまったのだ。それだけでも大事なのだが、永田町に向かっている了子が未だに帰ってきていないのだ。連絡も何1つとしてないし、端末にも繋がらない様子でもしや何かあったのではないかと気が気でなく、了子の身を心配する二課のメンバーたち。
「大変長らくお待たせしましたぁ!」
「!了子君!」
噂をすればなんとやらのタイミングでのんきに謎のハイテンションで了子が帰還してきた。
「何よ?そんなに心配させちゃった?」
「広木防衛大臣が殺害された」
「ええ!!?本当!!?」
了子もたった今広木防衛大臣が暗殺されたことを知り、驚愕の声を上げる。
「複数の革命グループから犯行声明が出されているが、詳しいことは把握できていない。目下全力で捜査中だ」
「了子さんに連絡が取れないから、みんな心配してたんです!」
「そうですよぉ!どうして連絡してくれなかったんですかぁ!」
「えぇ?」
響と日和に言われて、了子は端末を取り出し、電源を入れてみるが、まったく反応がない。
「・・・壊れてるみたいねぇ」
どうやら端末が壊れていたみたいで連絡を取ろうにも取れない状況だったらしい。何はともあれ、了子が無事であったとわかり、一安心する日和と響。
「でも、心配してくれてありがとう。そして、政府から受領した機密指令も無事よ」
了子は広木防衛大臣より受け取ったトランクをソファーに置き、開けて中身の機密指令内容が入ったチップを取り出した。
「任務遂行こそ、広木防衛大臣の弔いだわ」
了子の言葉に二課の一同は首を縦に頷いた。ただ・・・ここにいる全員は気づけなかった。受け取ったトランクの死角に、広木防衛大臣の血がついていたことに。
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東雲日和ボイス
レベルアップ1
バーンって強くなったよ!
レベルアップ2
よしよし、いい感じ!
レベルアップ3
強くなった歌、弾いてもいいかな?
レベルアップ4
東雲日和はレベルが上がった!ステータスがアップした!