戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

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ようやく完成した・・・。やはりAXZ編とオリジナルエピソードであるこの章を合わせると時間かかっちゃいますね。ちゃっかりとAXZ編はもう1話も書きましたが、それは翌日に投稿します。

さて、本日からXD ー開く地平線の扉ーとAXZ編のスタートです。AXZ編はこれの投稿の後にすぐに投稿します。


XD編ー開く地平線の扉ー
アビスゲート


私は歌が好き。歌うのも好き。ベースを弾くのも好き。

 

根本的なきっかけはツヴァイウィング・・・翼さんの影響が大きかった。

 

だけど私の音楽の方向性は翼さんとは大きく違う。その方向性こそがバンド。

 

一からベースを習い、メンバーも一から集めて、何度も何度も音を合わせて・・・そうして出来上がった私のバンドが・・・アビスゲート。地平線の扉。

 

玲奈と小豆と一緒に演奏してた時は本当に楽しかった。2人一緒に演奏してた時こそ、私は・・・ありのままの私をみんなにぶつけられた。私は輝くことができた。

 

だけどもう一緒にはいられない。アビスゲートもなくなった。それでも・・・それでも私は音楽をやめたくない。音楽をやめたら、玲奈と小豆に怒られちゃうと思うから。そして何より・・・私はまだ自分だけの輝きを見つけれていない。

 

だから私はベーシストになる。自分だけの輝きを掴みとるために。

 

・・・もし。もしもだよ?玲奈や小豆が生きていたら、今の私を見てどう思うのだろう?私の目標を聞いたらどう思うのだろう?大声を出して笑うのかな?それとも、応援してくれるのかな?

 

・・・わかってる。そんなこと聞くことも、2人に会うことももうできないってことくらい。

 

だけど・・・もし・・・玲奈や小豆に会うことができる。そんな願いが叶うのだとしたら・・・

 

・・・会いたい・・・会いたいよ・・・。

 

~♪~

 

時刻は早朝のリディアン音楽院の学生寮。いつも海恋がもうすぐ起きる時間。しかし今日はとても珍しいことが起こった。海恋が起きるより先に日和が目を覚めた。それだけでももう十分珍しいのだが・・・日和の目元には一筋の涙が流れていた。日和は部屋に飾ってあった写真・・・自分と海恋、そして、今は亡き玲奈と小豆の写真を見つめていた。

 

「玲奈・・・小豆・・・」

 

ピピピッ、ピピピッ

 

「ん・・・んん・・・」

 

セットしていた海恋の目覚まし時計のアラームの音で海恋は目を覚まし、スイッチを押してアラームを止める。

 

「ふぁ・・・ぁぁ・・・。・・・日和・・・?こんな時間に起きるなんて珍し・・・」

 

海恋は少し眠たそうにあくびを噛みしめ、メガネをかけて視界を良好にさせる。それで日和を見た時、彼女が涙を流してた姿を見た。

 

「日和?どうしたの?」

 

海恋の呼びかけで日和は彼女が起きたことに気付いた。

 

「あ・・・あぁ、海恋、おはよ。何でもないよ。ただ・・・玲奈と小豆の夢を見ただけだから」

 

「玲奈さんと小豆の?・・・そう」

 

日和の言葉を聞いて、日和の心情をなんとなく察した海恋。海恋は日和に近づき、日和が見ていた写真を見つめる。

 

「あれから2年か・・・」

 

「うん・・・」

 

日和と海恋は写真を見て、4人と一緒に過ごしてきた日々を思い出していた。海恋は日和を気遣い、彼女の頭を優しく撫でる。

 

「大丈夫よ。2人はきっと、天国で日和を見守ってくれてるわ」

 

「海恋・・・うん、そうだよね」

 

海恋の励ましで日和は元気を取り戻し、背筋を伸ばす。

 

「んー・・・せっかくこんな時間に起きたんだし、一緒に朝食食べに行こーよ。ね?」

 

「はいはい、こんな機会なんて、滅多にないものね」

 

日和と海恋は今日の朝食を食べるために食堂へ向かうのであった。

 

~♪~

 

それから数日の時が流れた。場所はS.O.N.G本部のシュミレーションルーム。今日は装者同士の1対1の模擬戦が行われており、今戦っているのは翼とフォルテで、他の装者は模擬戦の様子を見守っている。

翼の刀による連撃をフォルテは大剣で一撃ずつ丁寧に防いでいき、最後の一撃は身を屈んで転がって躱し、大剣を分離して双剣にして翼に攻撃を仕掛けた。翼はその攻撃を刀で防いだ。刃と刃の鍔迫り合いは続き、態勢を整えるため互いに距離を取った。次はどう出るかと思考を巡らせていると、試合終了時間となり、模擬戦が終了する。

 

「ここまでか・・・。また腕が上がったな、風鳴」

 

「いや、私はお前に1本取れなかった。私などまだまだだ。さすがは歴戦の戦士だな」

 

「そう謙遜するな。ここまで持ちこたえられたのならば、戦士としては一流だ。誇りを持っていい」

 

「ふふ、フォルテにそう言われると、自信がみなぎってくるな」

 

今回の模擬戦、お互いに得るものが多かったのか、2人ともいい笑顔を浮かべている。

 

「・・・前から思ってたけど、やっぱ強ぇな、あの人」

 

「そうね。フォルテはF.I.Sに来る前から戦っていたらしいし、戦士としての心構えを誰よりも理解しているんじゃないかしら」

 

「すごいなぁ、フォルテさん。1本取れる気がしないよぉ」

 

「私たちも1本取ろうと頑張って来たけど、結局1本も取れなかった」

 

「本当に強すぎなんデスよー・・・。もう一生1本取れないんじゃないかって思い始めてるくらいデース・・・」

 

模擬戦の様子を見ていた装者たちはフォルテの強さを称賛しており、1本取ることに少し弱気になっている。

 

「そんな弱気を言っているようでは、フォルテに1本取るのは難しいだろうな」

 

「翼さん」

 

このやり取りを聞いていた翼とフォルテが話しの輪に入ってきた。

 

「風鳴の言うとおりだ。気持ちから負けてしまってはいい結果も出せるはずがない。君たちはまだ未熟だが、筋がいいし、腕も上がっている。後は戦術眼も養っていけば、いずれは1本取ることができる」

 

「そうですかねぇ・・・」

 

「状況が状況とは言え、現に東雲は僕を倒したことがある。そして風鳴も、強くなった。僕自身も1本取らせないので精いっぱいだった。君たちだってその気になれば、1本取るどころか、そのうち僕を越えることもできるかもしれないぞ」

 

フォルテはフロンティア事変で日和と戦った時のこと例に出して装者たちのやる気を引き出そうと試みた。

 

「そっか・・・そういえば日和先輩、フォルテに勝ったことがあるんだった・・・すっかり忘れてた・・・」

 

調はその話を聞いて、日和がフォルテに勝った事実を思い出した。もっともその当時は疑いがあったが。フォルテ本人が言ったので本当のことであると理解できたのが懐かしく思うくらいだ。

 

「気持ちの問題かぁ・・・うん、そっか。その通りだよね!」

 

「ひよりん先輩でいけたのなら、あたしたちもワンチャン・・・」

 

「相棒にできてあたしらにできねぇ道理はねぇな。上等だ、やってやる」

 

この話で装者たちはやる気を見出し、訓練により積極的になった。それを見たフォルテは笑みを浮かべながら首を縦に頷いた。

 

「皆、より鍛錬に前向きになったな。いい心がけだ」

 

「ああ」

 

「でもよかったの?そんな話を切り出して」

 

「訓練に精を出してくれるのならば安いものだ」

 

「ふふ、そうね。もしかしたら、本当にあなたを越えることができるかもしれないしね」

 

「ふっ、抜かせ。そうはさせないさ」

 

やる気になっている装者たちを見て、フォルテたちは笑いながらそう話した。

 

「よし、次はあたしと相棒の番だな。行くぞ」

 

「・・・・・・」

 

次の模擬戦の組み合わせはクリスと日和だ。クリスはやる気を出しているが、日和は先ほどから一言もしゃべっておらず、ぼんやりとしている。

 

「おい、聞いてんのかよ?」

 

「日和さん?」

 

「おーい、デスデース」

 

「・・・え?」

 

何回か声をかけられて日和はようやく気がついた。

 

「あ・・・ごめん・・・えっと、何の話だったっけ?」

 

「だから次はあたしたちの番だって言ってんだろ」

 

「え?あ・・・そっか・・・今、模擬戦の最中だったね、うん。ははは、参ったね」

 

今が何の時間だったのかようやく思い出し、少し苦笑いを浮かべている日和。その様子に少し心配になる装者たち。

 

「そういえば今日は一言もしゃべってないな。どうしたんだ?」

 

「ひよりん先輩・・・?」

 

「何か嫌なことでもあった・・・?」

 

「い、いや、そうじゃないよ!ただ・・・バンド活動してた日々を思い出してさ・・・」

 

「バンド・・・ですか・・・?」

 

「うん。なんか最近、玲奈と小豆と一緒に過ごしてきた夢を見ることが多くなってきて・・・」

 

「玲奈と小豆って・・・あなたの友達の?」

 

「はい・・・」

 

どうやら日和はここ最近見るようになった玲奈と小豆のことを考えて思いふけっていたようだ。

 

「あの頃は本当に楽しかったんです。2人とふざけあって、笑ったりして・・・時々けんかもして・・・毎日が色鮮やかだったなぁって・・・懐かしくなっちゃって・・・ついボーっとしちゃいました」

 

「・・・・・・」

 

寂しそうに笑いながら話す日和の顔を見て翼は玲奈に関して思うところもあるため、複雑そうな顔をしている。装者たちも日和の寂しさを感じ取ってるため、少し心配する顔つきになっている。

 

「ふむ・・・東雲、君の友達とは、どんな人物だったんだ?」

 

フォルテの質問に日和は小豆と玲奈がどんな人間だったのかを教える。

 

「えっとですね・・・。小豆は私の幼馴染で、本当にのんびり屋のマイペースな女の子だったんですけど、私よりもずーっとしっかりしてて・・・いつだってバンドの励まし役に徹してくれてすごく頼りになるんです。

玲奈とは知り合って1年の付き合いなんですけど、気難しいのは最初だけで、毎日接してると玲奈の優しい人柄が見えてくるんです。私たちが悲しい気持ちになった時は一緒に悲しんでくれたり、楽しい気持ちになったら一緒に笑ってくれたり・・・付き合ってみると本当に感情豊かで一緒にいると、本当に安心した気持ちになるんです。

あの2人が一緒にいてくれたから、毎日が楽しかったし、今の私がいるんじゃないかなって、思います」

 

玲奈と小豆の話をする時の日和は海恋の話をする時と同じで本当に自分のことのように嬉しそうに語っている。

 

「だから時々も思うんです。もし、2人が今も生きていたら・・・どうなっていたんだろうって。みんなと、仲良くなれるんじゃないかって・・・そう思うんです」

 

もう2人に会うこともできないのがわかっているからか、そのような切実な思いを語る日和の表情は寂しさが伝わってくる。

 

「日和さん・・・」

 

装者たちのしんみりした空気を感じ取ったのか日和は慌てて軌道修正する。

 

「あ、あー!大丈夫だから!心配しないで!私は2人から生きるって約束をしたからね!だから前向きに生きないと、2人に申し訳ないからね!」

 

日和はそうは言うものの、彼女は1度考え込むと1人で抱え込む節がある。それを理解している装者たちはやはり心配に思ってしまう。

 

「なんだか話したら気分が楽になってきたよ!クリス!この気持ちが冷めないうちに、早いところ模擬戦を始めようよ!」

 

「お、おう・・・」

 

元気に振る舞おうとする日和は模擬戦を始めようと促す。

 

(・・・もしかしたら・・・)

 

日和のこの様子を見て、響はある可能性が浮上してきて、翼たちに話してみようとした時・・・

 

ヴゥー!ヴゥー!

 

本部内に警報音が鳴り響いた。この警報を聞いた装者全員は気を引き絞めた顔になる。

 

「この警報は・・・!」

 

事態把握のため、装者たちは模擬戦を中断し、、急ぎブリッジへと向かうのであった。

 

~♪~

 

ブリッジに集まった装者たちは弦十郎に先ほどの警報音の詳細について訪ねる。

 

「司令、先ほどの警報音はもしや・・・」

 

「うむ・・・フォルテ君の想像通りだ。ギャラルホルンからアラートが発した」

 

「新たな並行世界と繋がった、ということね・・・」

 

ギャラルホルン・・・それは、S.O.N.G聖遺物保管区画に収納されている完全聖遺物の1つで、この聖遺物の最大の特徴は、こことは別にある別世界・・・パラレルワールドと繋げられる点にある。

このギャラルホルンを見つけたのは、当時の発掘チームを率いていたかつての仲間であった、櫻井了子であり、その時からすでにギャラルホルンは起動状態にあった。ギャラルホルンは非常に特殊で危険な聖遺物であるため、一部の人間にのみ極秘で実験と解析を行っていた。それによって判明したのは並行世界に異変が起きた際、この世界と並行世界が繋がるということだ。先ほどの警告音はそのギャラルホルンがどこかの並行世界と繋がったことによって起きた異変によるものだ。

 

そして、このギャラルホルンの1番の問題というのは、異なる世界と交わる影響によって、大量のノイズが観測されるのだ。最初の段階ではバビロニアの宝物庫が閉じていなかったため、はっきりしたことがわからなかったが、前回の観測で現れたノイズは並行世界よりこちらの世界にきたノイズだということがはっきりとわかった。

 

この異常事態を解決するには、並行世界に向かい、異変を解決することによって解決する。実はこれまでに4回も並行世界が繋がり、異変が起きていたのだが、1件目を除いて装者たちが無事に解決したとされる。

 

1つ目の並行世界では今は亡き装者、天羽奏と玲奈が出向いたことによって事件は解決した。

 

2つ目の並行世界は誰も行ける状況になかった。それもそのはず、なぜなら発生時期はネフシュタンの起動実験の時に起きたのだ。ネフシュタンの暴走も相まって、とても対処できなかったために異変が収まるのを待つしかなかった。これが、例外とされるものだ。

 

3つ目の並行世界は翼、マリア、響、日和が出向き、その並行世界では生きていた奏と共に異変を解決させた。

 

4つ目の並行世界では翼、マリア、クリス、フォルテが向かい、後に作戦に合流した他の装者たちと共に異変を解決させた。

 

そして今、新たなる並行世界がギャラルホルンの力によってこの世界と繋がった。となれば、並行世界に起こっている異変を解決しなければ、この世界にノイズが現れることになる。それは3件目で実証済みである。

 

ちなみに、2件目でわかるとおり、並行世界に行かずに放っておいてもいずれ解決するのだが、その間どれほどの被害が被るかは検討もつかない。ゆえにこの解決方法は推奨できるものではない。

 

「向こうでどのような異変が起きているかは知らんが、並行世界と繋がった以上、到底無視することはできないな」

 

「うむ。したがって前回同様、調査に行く班とこちらに現れるであろうノイズに対処する班に分かれてもらいたい」

 

この場にいる装者たちにとって、並行世界の異変解決に赴くのはこれで3回目となる。3回目ともなると、ある程度話がスムーズに進んでいく。

 

「今回は誰が行く・・・?」

 

「デス・・・?」

 

今回の並行世界に誰が行こうかと話し合いが始まろうとした時、日和が真っ先に名乗りを上げた。

 

「今回は私が行きます!」

 

「相棒・・・?」

 

「なんかね、アラートが鳴った時から胸騒ぎがして・・・直観的に思ったんだ。また並行世界が繋がったら、それは私がやらなくちゃいけないんだって。だからお願いします!」

 

日和は頭を下げて今回の並行世界の調査の申し出を上げる。

 

「ふむ・・・わかった。日和君の意思を尊重しよう」

 

「ししょー!ありがとうございます!」

 

並行世界調査の1人目は日和に決まった。

 

「司令、私も行きます」

 

「翼さん・・・一緒に頑張りましょう!」

 

「ああ」

 

2人目のメンバーは翼が名乗り出た。

 

「じゃあ3人目は私が・・・」

 

「待て。マリアは残れ。今回は僕が出向く」

 

「フォルテ?」

 

3人目のメンバーにマリアが申し出ようとした時、フォルテが彼女を残らせ、自分が出ると言い出した。

 

「東雲の見る夢は何かの兆しかもしれない。ならば1人でも東雲をサポートできる者がいいだろう。それに・・・」

 

「それに・・・?」

 

「マリア、君は少し働きすぎが目立つぞ」

 

「うっ・・・」

 

フォルテに痛いところを突かれたマリアは動揺している。

 

「前回の並行世界での休息でメリハリがついたのはいいが、だからといってその倍働けばいいというのはお門違いだ。これを機に、ノイズ出現時以外は羽を伸ばしておけ」

 

「うぅ・・・わかったわよ・・・」

 

フォルテに言われて、渋々ながら出撃をフォルテに譲った。

 

「それをフォルテが言うかな・・・?」

 

「フォルテの方が働きすぎな気が・・・」

 

「何か言ったか?」

 

「「い、いえ!」」

 

調と切歌はひそひそと話していた時、フォルテのひと睨みによって口を慎んだ。ともあれ、3人目のメンバーはフォルテに決まった。

 

「さて、最後の1人は・・・」

 

「私が行きます!」

 

最後の1人は響が名乗りを上げた。

 

「響ちゃん」

 

「そういえば立花と東雲は同じ時期に力に目覚めた者同士だったな」

 

「ならば東雲のサポートにも回りやすいか。それに、奴らも出ないとは限らない。2つの意味で有力かもしれん。こちらからもお願いできるか?」

 

「はい!」

 

「みんな・・・本当にありがとうね。私のわがままに付き合ってもらって・・・」

 

日和の支えと戦力面を考えて、最後のメンバーは響に決まった。

 

「では今回の調査は日和君、翼、フォルテ君、響君に頼もう」

 

「またお留守番デス・・・」

 

「むぅー・・・」

 

今回も留守番になることに切歌と調は少し不満気だ。まぁ、前回の並行世界では赴くことができたわけだが、それでも外されたことに不満を抱いている。

 

~♪~

 

出撃の準備を整えた調査組の装者たち4人はギャラルホルンのゲートを通るためにギアを纏った状態で聖遺物保管区画に集まっている。保管区画の中心にはほら貝のようなものが輝きを放っている。これこそが、並行世界を繋げることができる聖遺物、ギャラルホルンだ。今放たれている光は並行世界の異常を特殊な振動派で知らせるためのもので、これが並行世界の異常を感知している状態なのだ。

補足を入れると、並行世界に行くことができるのは、現段階ではシンフォギア装者だけだ。理由は明らかにされていないが、推測によるとギャラルホルンが並行世界側の異変を収めるために必要な能力を持った者のみを選別しているらしい。

 

「クリス、しぃちゃんと切ちゃんのこと、お願いね」

 

「はっ、お前こそ大口叩いたんだ。ヘマすんじゃねぇぞ」

 

「わかってるよ」

 

日和とクリスはお互いの役目を託した。

 

「マリア、僕が見てないからって休むのを怠るなよ」

 

「もう、何度も言わないでったら・・・」

 

もう何度目かわからないフォルテからの休めの言葉にマリアは少しうんざり気味だ。

 

「そろそろ行くぞ。3人とも、準備はいいな?」

 

「ああ、問題ない」

 

「「はい!」」

 

「向こうでは何が起こるかわかりません。くれぐれも慎重にお願いします」

 

「お土産話、待ってるデース!」

 

「気を付けて」

 

装者4人はエルフナインやここに残る4人に見送られながら、ギャラルホルンゲートをくぐり、並行世界へと向かうのであった。

 

~♪~

 

ゲートを通り抜け、並行世界にたどり着いた日和、翼、フォルテ、響の4人。4人がまず最初に辺りを見回し、ここがどこなのか確認する。辺りを見回す限り、場所は自分たちが住んでいる世界と同じように見える。

 

「ここは・・・私たちの世界とあまり変わりないようだが・・・」

 

「僕は日本の地形はまだ慣れていない。どうだ?元の世界との何か違いはあるか?」

 

「えっと・・・一通り見てみると・・・この世界では月は欠けてないみたいです」

 

「ということは、この世界もルナアタックは起きていないということか」

 

「そのようだな」

 

大きな違いと言えば、やはり月である。元の世界ではルナアタックの影響で月が割れているが、こちらの世界では月は割れていない。そのことから、この世界はルナアタックは起きていないということがわかる。

 

(で、あれば・・・確定ではないが、この世界でも天羽奏が生きている可能性があるか・・・もしくは風鳴、あるいは・・・)

 

フォルテはこの並行世界の可能性をいくつも推察していく。

 

「それで、まずはどこから行けばいいんでしょうか?」

 

「この世界も私たちの世界と変わらないのならば、S.O.N.G・・・旧二課がここにも存在しているかもしれないな。まずは・・・」

 

「!翼さん!フォルテさん!」

 

翼が最初の目的地について話そうとした時、日和はこちらに近づいてくる存在に気がついた。こちらに向かってきているのは、装者たちがよく知る存在・・・ノイズであった。

 

「さっそくお出迎えのようだ」

 

「もしかして、この世界の異変も・・・」

 

「どうだろうな。もしかしたら別にあるかもしれん。なんにせよ、放っておくわけにもいくまい!」

 

「ですね!」

 

ノイズが向かってくるのならば、装者たちがやることはただ1つ。ノイズの殲滅だ。装者たちは各々のアームドギアを構え、向かってくるノイズの群れに突っ込んでいく。

 

~♪~

 

どこかにある施設の司令室。ここに集まっているオペレーターたちはノイズの反応と、聖遺物反応を観測した。

 

「ノイズの出現を確認!」

 

「さらに、謎の高エネルギー反応を検知!

 

「波形を照合!・・・!!こ、これは・・・!」

 

聖遺物から発せられる波形を見た時、オペレーターたちは驚愕している。

 

「どうした!!?」」

 

「4つある反応の1つは未知の聖遺物・・・2つは如意金箍棒・・・そして・・・残り2つの聖遺物は・・・ガングニールと天羽々斬です・・・」

 

「なんだとぉ!!??」

 

4つの聖遺物の反応の内2つの正体がガングニールと天羽々斬だと知り、司令官の男は驚愕した。

 

「間違いありません」

 

「むぅ・・・!彼女はどうした!!?」

 

「指示を待たずすでに出撃しています」

 

「えぇい!また突っ走りやがって・・・!無茶はしてくれるなよ・・・!」

 

司令官の男はすでに出撃したという女が無茶をしないか心配になってくる。

 

~♪~

 

向かってきたノイズは自分たちのよく知っているノイズとそう変わらなかった。であれば、成長しきっている装者たちの敵ではなかった。響は拳と蹴りを駆使して向かってきたノイズを蹴散らしていき、翼は刀による連撃で数多くのノイズを斬り裂く。フォルテは大剣を大きく振るい、ノイズの大群を纏めて斬り払い、日和も棍による打撃を駆使してノイズを次々と葬り去っていく。そして、日和は残ったノイズを纏めて一掃するために、棍を回転させて竜巻を作り上げ、それをノイズに放った。

 

【疾風怒濤】

 

竜巻の突風は見事全てのノイズを巻き込み、風によって切り刻まれて消滅した。日和が倒したノイズが最後のようで、戦闘は呆気なく終わった。

 

「ふぅ・・・これで全部かな?」

 

「ですね。他のノイズも見当たりませんし」

 

全てのノイズが倒し終えたことを確認した4人はひとまずは安心した。その光景を遠くにある建物の上で見ていた者がいた。

 

「あの人の言ったとおりだ・・・本当に来た」

 

何者かは装者たちを確認するや否や、すぐさまこの場から立ち去った。

 

「・・・ん?」

 

何者かの視線を感じ取ったフォルテはその方角に視線を向けた。だがすでに立ち去った後なので誰もいない。

 

「どうしたフォルテ?」

 

「いや・・・誰かがこちらを見ていたような気がしてな・・・」

 

「誰かって誰ですか?」

 

「わからない。だがもし本当に誰かが見ていたのだとすれば・・・」

 

「フォルテが感じた視線か・・・確かに気になるな・・・」

 

自分たちを見ていたという視線に怪しさを感じているフォルテと翼。

 

「どうしてですか?」

 

「立花、もし君が何の力もない一般人だとして、ノイズを見たら君はどうする?」

 

「えっと・・・逃げると思います」

 

「そうだな。それが普通だ。では誰かがノイズを見ても悲鳴を上げず、ただ諦観の姿勢をとる者がいると思うか?」

 

「思いません!」

 

「そういうことだ。そもそもこの場で視線を感じるということがおかしいんだ」

 

響の疑問はフォルテのわかりやすい質問によって解消された。

 

「もしかして・・・敵・・・ですか?」

 

「それはまだ早合点だろう。私たちにはまだ情報が足りなすぎる。十分に情報が集まってから整理した方がいい」

 

「そうですね・・・じゃあ、最初の予定通り・・・」

 

「ああ。旧二課があるであろうリディアンに・・・」

 

「待て」

 

当初の予定通り旧二課に向かおうという方針を固めた直後、フォルテがストップをかけた。

 

「どうしたんですか?」

 

「まだギアを解くなよ。殺気を感じ取った。こちらに近づいてきている」

 

「ええ!!?」

 

殺気を感じ取り、それが自分たちの元に近づいてきているという言葉に響は驚愕する。

 

「もしや、さっきフォルテが感じた視線の・・・?」

 

「いや、それとはまったく別ものだ」

 

こちらに近づいてくるであろう者に警戒し、アームドギアを構える4人。すると、日和は地面の下から僅かながら音がしたことに気がついた。

 

「!みんな!避けて!!」

 

「「!」」

 

危機を感じ取った日和の一声に翼とフォルテは跳躍する。すると、地面から複数の赤い棍が現れた。

 

【仏恥義理】

 

「うわぁ!!?」

 

対処が遅れた響は棍には直撃しなかったが、態勢を崩して転んでしまう。

 

「こ・・・この技は・・・!!?」

 

翼は現れた棍、そしてこの技を見て驚愕の顔になった。

 

「殺気が近くなっている・・・!上か!!」

 

殺気を感じ取り、フォルテは空を見上げる。すると、その視線の先で何者かが降りてきて、手に持っていた棍を振り下ろした。フォルテは咄嗟に大剣を構えて防御する。棍を振り下ろした人物の姿は、自分たちと同じ力、シンフォギアを身に纏っていた。

 

「その姿・・・!この世界のシンフォギア装者か!」

 

「怪しい奴らが・・・お前らいったい何者だ?」

 

この世界のシンフォギア装者の棍に込める力が強くなっていく。

 

「日和さん?翼さん・・・?」

 

「・・・・・・ウソ・・・こんなことが・・・?」

 

「あの技・・・あの顔・・・見間違えるはずもない・・・!」

 

この世界のシンフォギア装者の顔を見て、翼の顔は驚いている。特に日和は・・・信じられないものを見るかのように、驚愕で満たされていた。それもそのはずだ。その相手とは・・・もう会うことも叶わないと思っていた人物だから。

 

「・・・れ・・・玲奈・・・!」

 

北御門玲奈。如意金箍棒の最初の適合者にして、翼の戦友・・・そして・・・日和のかけがえのない大切なバンドメンバーの1人。その玲奈が今、日和たちの前に現れたのだ。




日和の思い出の写真

アビスゲートが初めてライブを成功し、そのお祝いとして海恋と共に撮った写真。日和にとって深く思い入れのある品であり、今も写真立てに収めて飾ってある。もしかしたら、今の日和が頑張っていられているのも、思い出の写真があるからなのかもしれない。
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