戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

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先日、コロナ陽性になってしまって5日間の隔離、及び体調が完全に万全になるまで休んでいたため、これほど長い時間をおかけしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。少しでもペースを取り戻していきたいと思っております。

さて、この話を入れると、この作品の総合話数もいよいよ100となりました。私がここまで頑張れていれるのは、私の作品を読んでくださっている読者様のおかげでございます。1人でも読んでくださることが、私にとって何よりの励みとなっております。

本当にありがとうございます!


玲奈の怒り

あの配信ライブの日の出来事は今でも夢に見る。

 

東雲日和と伊南小豆は・・・私にとって太陽のような存在。

 

両親がノイズに殺されたあの日、私はノイズへの復讐に囚われた。そして奏が死んだあの日から私の復讐心は大きくなっていく。そんな私の復讐心を溶かしてくれたのがあの2人だ。

 

何度突き放しても、その度に何度も何度も私に声をかけて・・・いつも私を気に掛ける。そんな真っ直ぐな気持ちだったからこそ、私はあの子らに惹かれた。

 

だけど・・・そんな日和ももういない・・・力もないのに、私を庇ったばっかりに・・・。小豆もあれ以降姿を消した。どこを探しても見つけることができなかった。あの運命の日を境に、私は全てを失った。この身に残ったのは、ほんのわずかに残っていたノイズへの復讐心。それが再び大きくなり、私のこの身を支配した。

 

許さない。

 

絶対に許すものか。

 

ノイズ・・・私から全てを奪ったお前らを1匹残らずぶち殺してやる。

 

そんな思いで戦い続けて2年・・・今日もノイズをぶちのめそうと戦場に赴いた時、驚くべきものを目の当たりにした。

 

未知のシンフォギアを纏った女・・・奏のガングニールを纏った女・・・そして・・・死んだはずの翼と日和がそこにいた。しかも日和は・・・シンフォギア装者として戦って・・・

 

・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

認めない!!

 

認めない認めない!!

 

認めない認めない認めない!!

 

認めてたまるか!!!!

 

日和は私の目の前で死んだ!もうこの世にはいないんだ!この世に日和の代わりになる奴なんてどこにもいない!それを・・・それを!!

 

誰だか知らないけど、私の周りで好き勝手なことはさせるものか。ましてや・・・私の大事な人と同じ顔をしたふざけた連中なんかに!!

 

~♪~

 

ギャラルホルンのゲートを渡って並行世界にたどり着いた日和、響、翼、フォルテに待ち受けていたのはノイズの襲撃。そして、ノイズ殲滅した後に現れたこの並行世界のシンフォギア装者からの奇襲。だが日和たちが衝撃を受けたのは・・・そのシンフォギア装者が自分たちの世界では死んだはずの人間、北御門玲奈であったからだ。

 

「れ・・・玲奈・・・」

 

攻撃を仕掛けてきた相手が玲奈であったと聞いた響は驚愕する。

 

「えっ⁉玲奈さんって・・・あの人が・・・⁉」

 

「ああ・・・間違いない。かつて共に戦った友を、忘れるわけがない」

 

かつて一緒に戦った仲間、大切な戦友でも会ったからこそ今目の前にいる玲奈が本物であるということが翼にはわかる。

 

(ということは、ここは玲奈が生きている世界線ということか・・・。だが・・・玲奈に身に纏うあの怒りはいったい・・・?)

 

翼が考えている間にもフォルテに攻撃を受け止められた玲奈は左手首のユニットよりもう1つの棍を取り出し、攻撃を仕掛ける。それを察知したフォルテはマントでその攻撃を防ぎ、玲奈の右手の棍を払いのけ、跳躍して距離を取る。だがそれを許さないと言わんばかりに玲奈は接近してフォルテに連撃を放つ。フォルテは大剣を双剣にして、攻撃を防いでいく。

 

「やめろ!僕らは戦いに来たんじゃない!話を聞いてくれ!」

 

「うるせぇ!お前らみたいな怪しい奴らの言葉なんて、聞く耳持たねぇよ!」

 

フォルテは話し合いを求めているが、知ったことではないと言わんばかりに玲奈はフォルテに攻撃を続ける。玲奈を止めたい一心で今度は日和が上げる。

 

「やめて玲奈!私たち、本当に戦う気がないの!ただ玲奈と話し合いがしたいんだよ!」

 

「黙れ!!」

 

日和の言葉に玲奈は声を荒げ、動きを止めたと同時に日和をキッと睨みつける。

 

「玲奈!」

 

「気安く私の名前を呼ぶな!!よりにもよって・・・お前なんかが!!!」

 

またも自分の名を呼んだ日和に玲奈はさらに激昂し、彼女に向けて右手の棍を投擲した。日和に棍が迫ってきた時、響が間に入ってその棍を両腕をクロスしてガードして、何とか防いだ。弾かれた棍は玲奈の手に戻っていく。

 

「響ちゃん!大丈夫?」

 

「大丈夫です!日和さんは?」

 

「わ、私も、大丈夫!」

 

2人が気にかけている間にも玲奈は両手に棍を持って2人に向かって走り、右手の棍を振るう。その攻撃を翼が間に入って刀で止めた。

 

「「翼さん!」」

 

「くっ・・・玲奈・・・やめてくれ・・・話を・・・」

 

「聞く耳持たないって言ってるだろ!!」

 

玲奈は刀を押し上げて翼の腹部に蹴りを決め込んだ。対処に遅れた翼はもろに蹴りをくらい、後ずさる。

 

「ぐぁ!」

 

「翼さん!」

 

「こうなれば仕方がない・・・3人とも、構えろ!」

 

フォルテが3人に向かってそう言い放った。構えろということは、玲奈と戦えと言っているのだ。

 

「で、でも・・・」

 

戦えと言われても、相手は大切なバンドメンバー。そんな相手と戦うのはやはり抵抗がある日和。

 

「このままでは話もままならない!何も倒せとは言っていない!動きを止めるだけでいいんだ!」

 

フォルテが言葉を紡いでいる間にも玲奈はフォルテに棍を振るって連撃を放つ。フォルテはその棍を大剣で連撃を弾きながら防御に徹している。

 

「くっ・・・不本意だが・・・やむを得まい。立花、東雲!」

 

「・・・っ。わかりました」

 

「・・・・・・玲奈・・・ごめん!」

 

話をしようにも玲奈が一方的に敵視、攻撃を仕掛けてくるために話し合いが難しいと判断し、渋々ながら応戦を決断した3人。防御を続けていたフォルテは玲奈の一撃を払いのけ、一度距離を取る。そのタイミングで翼は刀を大剣に変形させ、蒼の斬撃を玲奈に放った。

 

【蒼ノ一閃】

 

放たれた蒼の一撃を玲奈は跳躍して躱した。玲奈が地に着地した瞬間を狙うようにフォルテが跳躍して玲奈に向けて双剣を振り下ろした。それに察知した玲奈は棍で防ぐ。そのタイミングで拳を構えていた響が腰部のブースターを起動し、玲奈に接近する。

 

「玲奈さん・・・ごめんなさい!」

 

「!しま・・・」

 

フォルテの双剣を払いのけたタイミングで響に気付いた玲奈はブースターで勢いに乗った彼女の強烈な拳を腹部に叩き込まれてしまう。

 

「がぁ・・・!」

 

まともに拳をくらった玲奈はその衝撃で吹っ飛ばされる。地面を転がって後ずさった後、玲奈は痛みを押し殺して立ち上がろうとする。だが状況から見ても玲奈が劣勢なのは言うまでもない。

 

「くっ・・・!こいつら・・・!」

 

玲奈が劣勢に追い込まれているのは数多くの理由がある。まず人数的にも圧倒的に不利で相手の連携がうまく、その立ち回りについていけていないのだ。それから、玲奈のギアは翼たちのものと比べて旧世代のギアだ。彼女たちのギアのものと比べると、やはり出力が低いのだ。そして何より、玲奈は怒りで周りが全く見えておらず、周囲への立ち回りが疎かになっており、本来の力を充分に発揮できていないのが何よりの原因だ。さらにそこに・・・

 

ビキッ!

 

「ぐぁ・・・!こんな時に・・・!」

 

玲奈はLiNKERを投与することで初めてギアを纏うことができる装者。その投与したLiNKERの効果時間が経過し、バックファイアで痛みが走った。動きが鈍くなってしまい、ギアが解除されるのも時間の問題だ。

 

「やああああ!」

 

(・・・っ!やられる・・・!)

 

起き上がろうとしたタイミングで日和が棍を構えて突っ込んできた。もはやこの攻撃は避けられないと思い、玲奈は思わず目を閉じた。しかし、いつまでたっても攻撃が来ない。不審に思った玲奈が目を開けて見ることで、その原因がわかった。それは、日和が棍が玲奈に直撃する寸前で攻撃を自分で止めたのだ。

 

「お・・・お前・・・」

 

「・・・やっぱり・・・無理です・・・。玲奈と戦うなんて・・・私にはできません・・・!」

 

「日和さん・・・」

 

どうやらここで友を傷つけたくないという気持ちが上回ってしまい、戦意を喪失してしまったようだ。特に玲奈は日和にとって大事な友達でありバンドメンバーだ。その思い入れは、装者たちの中で誰よりも強いだろう。もう十分であると判断した3人は自分たちの武器を下ろした。

 

「もう十分だろう。これ以上戦っても意味などない。話に応じてくれるな?」

 

「くっ・・・!」

 

「玲奈、大丈夫?手を貸そうか?」

 

日和は玲奈に手を差し伸べようとした。その姿を見た玲奈は、日和と初めて出会った時の光景を思い出した。その時の日和の姿と今の日和の姿が重なって見えたのだ。

 

「・・・っ!触るな!!」

 

「あ・・・!」

 

頑なに同一人物と認めたくない玲奈は日和の差し出された手を振り払い、痛みを堪えながら跳躍で距離を取り、棍を構える。

 

「話に応じろだと?何度言わせるな!話を聞く気はない!!」

 

まだ戦う意志を見せている玲奈に、どうしたものかと困り果てるフォルテたち。するとそこに数台の黒い車がやってきて、車から黒服の男たちが出てきた。

 

「そこまでだ、玲奈君」

 

その言葉と共に黒服の男たちと一緒に車から出てきたのは、自分たちにとって見知った大漢であった。

 

「し、師匠⁉」

 

「いや、この世界の司令だろう」

 

そう、その大漢とは、S.O.N.Gの司令を務めている風鳴弦十郎であった。もっとも、この世界の弦十郎であることと、そもそもS.O.N.Gがこの世界にあるかどうかもわからないが。

 

「なんで止めるんだよ、おやっさん!」

 

戦いを止められた玲奈は弦十郎に対し突っかかろうとしてきた。

 

「これ以上の独断は目に余る。大人しくするんだ」

 

「うるせぇ!私の邪魔をしてくんな!」

 

「それ以上続けるのであれば、君のギアを預かざるを得なくなるぞ」

 

「・・・・・・ちっ!」

 

自分のギアを誰にも触ってほしくない・・・いや、渡したくない思いから玲奈は渋々ながら指示に従い、棍を下ろした。それを確認したフォルテはようやく大人しくしてくれたことにほっとした気持ちになった。その間にも弦十郎は装者たちに近づき、彼女たちに向けて頭を下げて謝罪する。

 

「すまない。玲奈君が無礼を働いてしまったな」

 

「無礼だなんてとんでもない・・・」

 

「・・・重ね重ね申し訳ないのだが、君たちと詳しい話がしたい。我々、特異災害対策起動部二課まで同行してもらいたい」

 

「構いません。むしろ話し合いの場を設けていただき、感謝しています」

 

「そう言ってもらえるとありがたい」

 

ちゃんとした話し合いをするためにこの世界の特異災害対策起動部二課の本部まで向かうことが決まった。

 

「・・・玲奈・・・」

 

日和は悲しそうな表情で玲奈を見つめる。その視線に気づいた玲奈は不機嫌を隠さずにぷいっとそっぽを向いて車に乗り込んでしまう。

 

「日和さん・・・大丈夫・・・ですか?」

 

「大丈夫・・・じゃないかも・・・」

 

「東雲、気持ちは理解できるが、今は・・・」

 

「わかってます・・・」

 

複雑な心境はあるものの、今はこの世界の二課本部に移動するのであった。

 

~♪~

 

特異災害対策起動部二課の本部は元いた世界と似ているため、やはりリディアンの地下に存在していた。本部に到着した装者たちはさっそくこの世界の弦十郎たちに自分たちの素性、どうやってこの世界にやってきたのかを話した。

 

「なるほど・・・つまり君たちは並行世界の人間で、そのギャラルホルンのゲートを通ってこの世界にやってきたということか・・・。どうりで亡くなったはずの翼が・・・」

 

「亡くなった・・・?」

 

「風鳴、その話はまた追々にしよう」

 

弦十郎の言った亡くなったという単語に翼が反応するが、フォルテに止められる。彼女の視線の先には先ほどから腕を組んでこちらを睨みつけている玲奈がいる。

 

「どうやら、その話に触れられたくない者がいるようなのでな」

 

「あ、ああ・・・わかった・・・」

 

「玲奈・・・」

 

また玲奈が暴れる可能性があることを考慮し、いったん過去の話を掘り出すのはやめることにした。日和は敵意を向けてくる玲奈を気にかけているが、何と声をかけていいかわからないでいる。

 

「・・・話を戻しますが、完全聖遺物、ギャラルホルンのゲートからアラートが発せられた・・・それすなわち、この世界に何かしらの危機が訪れている可能性がある。僕たちは、その危機を解決するためにこの世界にやって来ました」

 

「危機、か・・・」

 

フォルテの話を聞いて弦十郎はこの世界の危機に対して何かしらの心当たりがあるのか考えるしぐさを見せる。

 

「何か心当たりでも?」

 

「うむ・・・実は、君たちがここに来る3年前、そして2年前より、通常より異なるノイズの出現が観測されているのだ。それが数か月前に再び現れた」

 

「!それってもしかして・・・黒いノイズじゃありませんか?」

 

「あ、ああ、確かにそうだが・・・知っているのか?」

 

「はい。僕たちはその黒いノイズをカルマ化と定義づけ、変異した便宣上、カルマノイズと呼んでいます」

 

カルマノイズ。それは以前装者たちが並行世界に渡った時に出くわしたノイズの変異体であり、これまでの並行世界にて危機をもたらしてきた元凶でもある。このカルマノイズの特徴は、まず見た目は日和の言うとおりに黒く、戦闘能力も元来のノイズと違って極めて高く、1体を討伐するにしても困難を強いられるのだ。そしてこのカルマノイズの最大にして最悪の特徴は人間を無尽蔵に炭素化し、殺害するということだ。通常ノイズとは人間を炭素分解させる際、自らも炭素となってしまうのだがカルマノイズは人間に触れても自分は炭素化することはない。つまり、カルマノイズは己自身が消えることはなく、何人もの人間を炭素分解することができるということだ。

 

「このカルマノイズがこれまで私たちが渡り歩いてきた並行世界の元凶であった」

 

「ならばこの世界にカルマノイズが存在しているというのならば、この世界の元凶もカルマノイズの可能性が高いでしょう」

 

「だが、脅威となっている存在は、そのカルマノイズだけではない」

 

「と、言いますと?」

 

「数か月前、カルマノイズが再び現れるようになったと同時に、正体不明の黒い仮面が現れるようになったのだ」

 

「黒い仮面?」

 

黒い仮面の存在を知らない響たち4人は疑問符を浮かべている。

 

「我々もあの黒い仮面の詳しい情報を掴めていない。だがわかっていることは・・・奴は我々の敵であるということだ」

 

「敵・・・」

 

「私たちにはあまりピンとこない情報だな・・・。その黒い仮面が現れた時の状況を、詳しく教えていただけますか?」

 

まだピンと来ていない4人は黒い仮面と遭遇した状況の詳細を求め、弦十郎はそれに応じて答える。

 

「カルマノイズが現れ、玲奈君が対処していた時だった。突如として黒い仮面が現れ、両方に攻撃を仕掛けてきたのだ」

 

「え?カルマノイズにも攻撃したんですか?」

 

黒い仮面が玲奈だけでなく、カルマノイズにも攻撃を仕掛けてきたという情報に4人は驚く。

 

「玲奈はともかく・・・なぜカルマノイズにも?」

 

「これはあくまでも推測なのだが・・・黒い仮面は、カルマノイズの狙っているのではないだろうか」

 

「つまり、黒い仮面はカルマノイズを自分の手中に収めようとしていると?」

 

「少なくとも、我々にはそう見えた」

 

黒い仮面の狙いがカルマノイズだということに、フォルテは考えるしぐさを取る。

 

「手中に収めるって・・・そんなことができるのですか?」

 

「そこも疑問点の1つだな。そもそも、あれをどうやって手に入れるのかもわかっていないのだからな」

 

「でも・・・カルマノイズを誰かが利用するなんてこと・・・あっちゃいけません!」

 

「その通りだ。理由が何であれ、あれは世界にとって害悪だ。存在してはならない」

 

黒い仮面の目的が何であろうと、カルマノイズを野放しにしてはならないという決断に至り、この世界のカルマノイズを倒す方針を決めた4人。

 

「ある程度の状況は理解できました。僕たちの目的はこの世界の異変を解決すること。そちらが抱えている問題、僕たちにも協力させてもらいたい」

 

「本当か⁉それは願ってもいない申し出だが・・・いいのか?」

 

「もちろんです!どーんと任せて・・・」

 

「冗談じゃねぇ!!!!」

 

4人がこの世界の二課に協力の意を示したところに、玲奈が異を唱えるような怒鳴り声を上げた。

 

「れ・・・玲奈・・・?」

 

「さっきから黙って聞いてれば・・・協力するだと?お前ら何様のつもりなんだよ!!」

 

「玲奈君!!」

 

「お前らの助けなんかいらねぇ!!そのカルマノイズとかも、あの黒い仮面の奴も・・・全部私がぶっ潰す!!お前らは帰れ!!!」

 

「ま、待ってよ玲奈・・・私たちは・・・」

 

玲奈は一方的に4人の申し出を否定し、怒りを隠さずに司令室から出ていった。

 

「玲奈・・・」

 

「・・・・・・」

 

非協力的でわかり合おうとしない玲奈に彼女をよく知る日和と翼は悲しそうな顔をしている。

 

「・・・すまない、何度も玲奈君が無礼を・・・」

 

「その点についてなのですが・・・」

 

「なんだ?」

 

玲奈がああまで自分たち・・・ましてや翼や日和を否定するのかが気になったフォルテは、聞いてもよいものか悩んだが、話を纏めるために必要だと思い、後回しにした話題に触れることにした。

 

「3年の間・・・北御門玲奈に何があったのですか?」

 

「!」

 

今日に至るまでの3年間の話を振られ、目を見開く弦十郎。

 

「あなたが最初に言ったことです。風鳴は亡くなったはずと。それだけではない。東雲に対するあの拒否反応・・・。3年の間に何かしらの関りがないとできないはずだ」

 

「・・・・・・」

 

玲奈の過去を知っている弦十郎は彼女の心境もあって複雑そうな表情をしている。

 

「お願いします・・・教えてください」

 

「東雲」

 

「君は・・・玲奈君の・・・」

 

「あの人が私たちの世界の玲奈じゃないってことはわかってます。でも・・・直観でわかるんです。あの人は正真正銘、私の知っている玲奈だって。そんな玲奈が過去のことで苦しんでいるのなら・・・私は玲奈を支えたいんです!だから・・・」

 

玲奈を支えたい、助けてあげたい気持ちでいっぱいになっている日和はこの世界の玲奈が体験したことを話してほしいと言おうとした時・・・

 

ヴゥー!ヴゥー!

 

「ノイズの反応を検知!」

 

タイミングが悪いことにノイズが現れた警報が鳴り響く。

 

「玲奈君は?」

 

「こちらを指示を待たず、先行しております」

 

「またか・・・!LiNKERの洗浄もまだだろうに・・・!」

 

二課と連携を取ろうとしない玲奈に弦十郎は苦い表情をしている。

 

「私たちも行きます!」

 

「うん!玲奈を助けなきゃ!」

 

「行ってくれるのか?」

 

「市民を守るのは防人の務め・・・果たしてみせます」

 

「・・・すまない・・・だがくれぐれも、無理をするなよ」

 

「時間が惜しい。行くぞ3人とも」

 

「ああ!」

 

「「はい!」」

 

装者たちは弦十郎から出撃許可をもらい、急ぎ玲奈の元へ合流しようと行動を開始するのであった。

 

~♪~

 

ノイズの出現区域、一足早くに現場に到着した玲奈はノイズの群れを憎悪に満ちた目で睨みつけている。彼女の脳裏に浮かび上がるのはこの世界の日和の言葉。

 

『玲奈・・・生きて・・・』

 

「ああ・・・もちろん生きるさ・・・日和・・・ノイズを・・・1匹残らず根絶やしにするまでは!」

 

violent nyoikinkobou Zizzl……

 

詠唱を唄った玲奈はギアを身に纏い、ノイズの群れに突撃し、取り出した棍で薙ぎ払った。さらに襲い掛かるノイズを棍による格闘技で次々と倒していく。

 

(殺す殺す殺す!!私から全てを奪ったノイズ・・・お前らからもらった絶望を・・・数億倍にして返してやる!!!)

 

復讐に燃える玲奈の目にはノイズしか見えていない。まるで周りがどうなろうと知ったことではないと言わんばかりに。そこへ・・・

 

「玲奈ーーー!!」

 

「!」

 

二課のヘリに乗って現場に到着した日和が玲奈に声をかけた。そばにはもちろん響たちもいる。

 

「待ってて!今加勢に・・・」

 

「帰れ!!お前らの助けなんかいらねぇ!!」

 

やはり日和たちを拒絶する玲奈に別のノイズが襲い掛かる。玲奈はそのノイズを棍を振るって倒す。その間にも日和はヘリから飛び降り、ギアネックレスを取り出す。

 

clear skies nyoikinkobou tron……

 

詠唱を唄い、ギアを纏った日和はノイズの群れに向かって下降していく。同じくギアを纏った響もヘリから飛び降り、日和と並んでノイズの群れに向かって拳を構える。そして、群れに突っ込むと同時に日和は棍を振り下ろし、拳を振るってノイズを貫き、衝撃波を発して周りのノイズを吹っ飛ばし、消滅させた。翼も下降し、空中に複数の剣を召喚し、それをノイズの群れに向かって放った。

 

【千ノ落涙】

 

放たれた複数の剣は地上のノイズを1体1体確実に貫いていく。 そこへ空中型のノイズが二課のヘリに向かって突撃しようとしていた。だがまだヘリに残っていたフォルテが大剣を銃に変形させ、向かってくるノイズを弾丸で撃ち落とす。

 

【Mammon Of Greed】

 

放たれた弾丸によって空中型のノイズは撃墜されていく。4人のコンビネーションも相まってノイズの数がどんどん減っていく。

 

(こいつら・・・なんて強さだ・・・!)

 

4人のコンビネーションと実力を目の当たりにした玲奈は驚きと同時に、自分の実力不足を実感した。彼女が呆然としていると、地響きと共に、ビルの奥から大型ノイズが現れる。大型ノイズは日和に向けて左腕を振り下ろした。日和はその攻撃を避け、大型ノイズの右腕に向けて棍を伸ばして打撃を与え、ノイズの一手を制限させた。さらにそこへ翼とフォルテが突撃し、大型ノイズの胴体を刀と大剣で斬りつける。

 

「行け、立花!」

 

翼の掛け声に応えるように、響がブースターで勢いをつけ、バンカーユニットを展開して大型ノイズに強烈な拳を叩きつけた。その反動によって大型ノイズは態勢を崩し、倒れようとしている。

 

「玲奈さん!!今です!」

 

「・・・っ!」

 

響に呼び掛けられ、玲奈は強張った表情を見せつつも行動に出る。玲奈は棍を大型ノイズの真上に向けて投擲した。投擲された棍は回転しながら上空を舞い、大型ノイズの真上で止まり、巨大化して一気に真下に落下し、大型ノイズを貫いた。

 

【鬼魔愚零】

 

巨大な棍に貫かれたノイズは炭素となって消滅した。この大型のノイズが最後の1体のようで、辺りにはノイズの気配はなくなった。戦いが終わり、日和は玲奈に駆け寄る。

 

「玲奈ー!怪我は・・・」

 

「余計なことしやがって!!」

 

玲奈は怒りを隠すことなく怒鳴り声をあげる。その怒鳴り声に日和はビクッとなった。

 

「あいつらなんか私1人で十分だった!獲物をかっさらいやがって!」

 

「ご、ごめん・・・でも・・・」

 

「でもじゃねぇ!!ざけんな!!」

 

玲奈に怒鳴られ、しょんぼりする日和。そこにフォルテが異を唱える。

 

「好き放題言うが・・・勝手をしているのは自分だという自覚はあるか?今回被害がなかったからいいものの、もし民間人が巻き込まれれば・・・」

 

「知ったことかよ!!周りがどうなろうと、私には関係ない!!」

 

フォルテの異によってさらに怒りが増し、声をさらに荒げる玲奈。

 

「そんな言い方・・・」

 

「・・・ちっ!とにかく、私はお前らを絶対に認めねぇ!さっさと自分たちの世界に帰れ!!」

 

これ以上の言い合いは無駄だと判断した玲奈は舌打ち交じりで一方的に4人を否定して1歩とで本部に帰還していく。

 

「玲奈さん・・・ひどく一方的でしたね・・・」

 

「玲奈・・・どうして・・・」

 

「・・・風鳴、戦場での北御門玲奈とは、いつもああなのか?」

 

「そんなわけないだろう。似たような状態でも、玲奈は常に人々にちゃんと目を向けていたからな」

 

「つまり、この世界の北御門玲奈は僕たちの知らない3年の間で、価値観が変わってしまった・・・ということか」

 

「・・・・・・」

 

フォルテの推測に日和はまたも悲しい表情を見せた。

 

「・・・ひとまず、二課本部に帰還しよう。話はそれからだ」

 

「ああ・・・そうだな」

 

「日和さん・・・」

 

「・・・うん・・・」

 

今後の方針について考えるために、4人は二課の本部へと戻るのであった。4人が帰還していく様子を路地裏に潜んでいた者が見つめていた。

 

「・・・精々想像以上の成果を出してちょうだいな。私のためにさ」

 

暗躍する者はそう呟き、小さい笑い声をあげるのであった。

 

~♪~

 

二課本部に戻った玲奈はLiNKERの洗浄を済ませ、シャワーを浴びていた。その表情は今も不機嫌なままだ。

 

「・・・くそ!」

 

玲奈はイラつきをぶつけるように壁に拳を叩きつけた。あまりに強く握りしめているために、血が流れている。このイラつきの原因はやはり日和たちにあった。並行世界の存在自体許せないのに、今日の戦闘での4人の実力。嫌でも自分の力が不足しているとわからされるのだから余計に腹が立つのだ。

 

「・・・私に・・・もっと力があれば・・・こんな思いは・・・」

 

玲奈は自身の不甲斐なさを恨み、忌まわしき3年前、2年前の出来事を思い出すのであった。




北御門玲奈(並行世界)

外見:跳ね返った金髪のショートヘア
  :瞳は赤色
  :学校の制服は黒いセーラー服

年齢:19歳

シンフォギア:妖棍・如意金箍棒

好きなもの:ゲーム、硬貨(古銭の方)

スリーサイズ:B:80、W:59、H83

イメージCV:NARUTO -ナルト-:うずまきナルト
(その他の作品:イナズマイレブン:円堂守
       :遊☆戯☆王デュエルモンスターズ:海馬モクバ
       :Yes!プリキュア5:夏木りん / キュアルージュ
        その他多数)

並行世界の特異災害対策起動部二課の一員。日和の友達にして、翼と奏の戦友。去年は一般の普通科の高校に通っていたが、卒業して今はフリーのギタリストをやっている。
奏や日和のおかげで自身の考え方を変えられたが、2つの事件をきっかけに以前まで執着していた復讐心が燃え上がって笑顔を見せることはなくなった。いや、以前よりひどくなってしまい、復讐鬼になってしまった、が正しいのかもしれない。
大事な人間(例えば日和など)は1人しかいないと考えており、代わりの人間などいない思っている。そのため並行世界からやってきた日和たちを別人だと強く思い込んでおり、並行世界も、彼女たちの存在を拒絶している。
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