戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌   作:先導

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AXZ編、開幕!


AXZ編
バルベルデ地獄変


少女の暮らしは裕福であり・・・不自由である。

 

代々続いてきた名家に生まれた少女は常に特別な人間と称され、少女は望まぬ進路、勉学・・・様々なことをやってきた。少女はそんな生活に息苦しさを感じている。

 

両親に直談判しても、全てもみ消されてしまう。何を言っても聞き入れてくれない、受け入れてくれない・・・少女はそう思うようになり、夢を諦めた。

 

しかし、そんな彼女を変えたのは、後に親友と呼べる少女だった。

 

彼女は何度も何度も少女の元に来て、少女の冷めきった心を温めた。少女は、彼女の自由気ままな心に惹かれ・・・そして、彼女の影響もあって、もう1度両親と話をし、自らの意思で家を出た。そうして少女はようやく、少女が憧れた自由・・・そして夢に進む道を手に入れた。今の少女の望みは、親友の彼女と共に、何気ない平和を謳歌したい。ただそれだけであった。

 

しかし、彼女は力を得て、戦いに出てしまっていることを知った。少女は当然彼女が戦いに行くことを反対した。だが、いくら止めたところで、彼女の思いは止まらない・・・いや、止めてはならないと悟った。ゆえに少女は『生きて』という約束を彼女と交わし、いつも彼女の無事を願った。

 

だが、彼女が傷ついた姿を見て、時折思う。本当に、これが彼女のためになるのか?本当に、彼女はもう1度、生きて戻ってくることができるのか?

 

そう考えると、彼女は不安で不安で仕方がなくなる。そして、もし自分に力があったらどうするのかとも・・・そう考えることがある。

 

「世界があの子を傷つけるというのなら・・・いっそのこと・・・」

 

だがいくら考えたところで、少女の元に力が宿ることはないと思っていた。自分にできるのは、彼女が返ってくることを待つことだけであると。

 

・・・そう・・・ある出来事が起こるまでは・・・。

 

 

 

戦姫絶唱シンフォギア 大地を照らす斉天の歌

AXZ編

 

 

 

リディアン音楽院・・・そこは、音楽教育を中心にしたカリキュラムを特徴とした学校である。そんなリディアンも今は夏休み。しかし季節的にはもう終盤まで来ている。そのリディアンの教室にて、黒髪でウサミミリボンのカチューシャを着けた少女が勉強に勤しんでいた。

 

「・・・たはぁ~・・・やっと今日のノルマが終わったよ~・・・」

 

この少女の名は東雲日和。リディアン音楽院に所属する3年生だ。日和は自慢ではないが、勉強が苦手で有名だ。そんな彼女でも勉強しなくてはいけない事情もある。それは、大学受験だ。日和たちは3年生・・・学校生活も本年度で終わるのだ。学校を卒業すれば、どこかに就職、あるいは大学に進学することであろう。日和はそんな数ある進路の中で音楽関連のある大学進学を選んだ。自分の見つけた夢を、一歩でも前に進むために。そのための勉強をやっているというわけだ。

 

「海恋~・・・今日のノルマ終わったよ」

 

日和はそばにいた親友の少女に声をかけた。その少女の姿は水色髪の三つ編みポニーテールでメガネをかけている。

 

「ねぇ海恋、聞いてる?」

 

「えっ?あ・・・何?」

 

少女は日和の2回目の呼びかけでやっと気がつく。この少女の名は西園寺海恋。日和と同じリディアン音楽院に所属する3年生で風紀委員に所属している。普段の海恋ならば、1回目の呼びかけで反応するのだが、今の彼女はどこか上の空だった。

 

「いや、ノルマ終わったってば」

 

「あ、ああ、そう・・・ご苦労様・・・」

 

返事もどこか歯切れが悪く、煮え切らない様子だ。ただ日和は海恋がそうなっている原因はわかっている。

 

「・・・やっぱり実家が心配?」

 

この夏休み期間の間、世間ではこのようなニュースで持ちきりになっている。

 

『西園寺グループ、買収か!!?』

 

西園寺グループ・・・それは海恋の父が経営する会社で現在その会社が何者かによって買収をかけられている。もちろん、西園寺グループはこの事態に対処しているが、それからの進展が未だにない状況下にある。自分の夢のため、自ら家を出ていった海恋がこの件に関わっているのはせいぜい西園寺家の令嬢という点だけである。だが、心のどこかで両親に認められたいと願う海恋にとっては、やはり思うところが多々あるのだ。

 

「心配じゃない・・・て言えば嘘になるけど・・・だからって私にできることなんて何1つないわよ。それに・・・家を出ていった娘が、今さらどんな顔をして会えばいいっていうのよ・・・」

 

「海恋・・・」

 

気丈に振る舞う海恋の言葉に日和は海恋が心配になってきている。

 

「心配しなくていいわよ。ビジネスマンのあの人のことだから、こんな知らせに黙ってるはずがないわ。きっとすぐに解決する」

 

「だといいけど・・・」

 

海恋は父ならば買収相手を何とかするだろうと思い、大丈夫だろうと考える。ただ日和には、それが無理に納得させようとしているのではないだろうかと思っている。

 

「私のことより自分の心配をしてなさい。ただでさえあなたは成績が悪いんだから・・・後れを取り戻すのは大変よ?」

 

「わかってるよ・・・でもやらなきゃいけないんでしょ?」

 

「わかってるのならいいのよ」

 

渋々ながらとはいえ、自ら進んで勉強に取り組もうとする日和に海恋は少し感心を抱く。

 

「しかし、あなたが自分から勉強に取り組むとはね・・・成長したじゃない」

 

「だって・・・私、海恋と同じ大学に行きたいもの・・・」

 

「!・・・そうね。私も、あなたと一緒に大学に行きたいわ」

 

日和から一緒の大学に行きたいと言われ、嬉しい半面、照れくささを感じる海恋。少しは海恋の気持ちも晴れて安心した日和はにししと笑う。すると、窓の外にヘリが接近してきた。ヘリのスライド式のドアが開き、中から3人の少女が顔を出した。

 

『おい、相棒!聞こえるか!!』

 

『本部から緊急招集!!』

 

「え!!?何!!?全然聞こえない!!」

 

『デスデスデース!!』

 

「なんだって!!?もう1度プリーズ!!」

 

3人の少女が何か言ってるようだが、ヘリのローター音でかき消され、何を言ってるのか全然わからなかった。その様子に銀髪の少女は自分の靴を日和に向けて投げた。放たれた靴は日和に直撃した。

 

「うごっ!!?」

 

「日和!!」

 

「いったぁ~・・・何も靴投げることないじゃん・・・」

 

日和は直撃した頭を抱えながら靴を拾う。

 

「・・・行くのね」

 

「・・・うん。ちょっと行ってくるけど、心配しないで。受験勉強も任務も、両方やってみせるよ!」

 

「ええ。でも、絶対に生きて帰ってくるのよ」

 

「わかってるって!約束、だもんね!」

 

日和は海恋に見送られながら、教室から出て、ヘリの元まで向かっていく。東雲日和は、ただのリディアンの生徒ではない。彼女は、国連所属の超常災害対策機動部タスクフォース・・・通称、『S.O.N.G 』に所属する、シンフォギア装者である。

 

~♪~

 

バルベルデ共和国・・・南アメリカ大陸に存在する小国で常に政情不安定な軍事政権国家である。長きにわたる独裁によって、自国民たちは過酷な環境で暮らされることを強いられており、それに反発して結成された反政府組織・・・つまりは反乱軍との内戦が繰り返されている。

政府軍の軍隊やモラルの精度は最悪であり、軍人としての誇りや愛国心も存在しない、いわば愚連隊である。

そんなバルベルデ共和国のジャングルで、爆発音が鳴り響く。爆発の発生元の大地にて、一台のバイクがかけていく。その様子を政府軍が所有する駐屯地で政府軍の軍人がパソコンのモニターで捉える。

 

「高速で接近する車両を確認!」

 

「対空砲を避けるために陸路を強行してきた?だが浅薄だ。通常兵装で我々に太刀打ちできるものか」

 

サングラスをかけた上官が余裕の態度を見せている。ジャングルの地面に設置された装置が起動すると、中から何かの結晶が放たれる。ジェムが割れると、そこから陣が出現し、陣より液晶ディスプレイのようなものが付いた生命体が現れる。この生命体は、特異災害と認定された人を殺すための自立兵器・・・ノイズを元にして造り上げられた存在・・・アルカ・ノイズである。アルカ・ノイズの特徴は、通常兵器ではダメージが入りにくいこと、備わっている発光気管に触れたものは何でも赤い粒子、プリマ・マテリアとなって分解するというものだ。

そんな危険な存在であるアルカ・ノイズを前にしても、接近するバイクは止まらず、一直線に進んでいく。

 

「接近車両モニターで捕捉!」

 

「こいつは・・・!」

 

モニターでバイクに乗っている者の正体に気付き、上官の余裕が崩れ落ちた。

 

「敵は・・・シンフォギアです!!」

 

そう、バイクに乗っている女性の身に纏っているものこそが、ノイズと対抗するための聖遺物を元にして作られたアンチノイズプロテクター、シンフォギアだ。そしてそれを身に纏っている女性の名は風鳴翼。S.O.N.Gに所属するシンフォギア装者の1人で、世界の誰もが認めるトップアーティストでもある。翼はバイクでそのままアルカ・ノイズの群れに突っ込み、展開されたブレードでアルカ・ノイズを次々と斬り裂いていく。

 

「対空砲には近づけるな!!」

 

上官は指示を出すがもう遅い。翼はアルカ・ノイズを斬り裂きながら対空砲に到達し、バイクを回転させながらブレードで対空砲を伐採する。

 

【騎刃ノ一閃・旋】

 

「緒川さん!!」

 

舞台が整い、翼は空に舞う凧とパラシュートを見上げて叫んだ。凧には黒服を着込んだ茶髪の男性、さらに翼と同じシンフォギアを身に纏った日和と2人の少女が張り付いていた。

黒服の男の名は緒川慎次。S.O.N.Gに所属するエージェントで、表向きでは翼のマネージャーを務めている。

そして、橙色のシンフォギアを身に纏っているのが立花響、赤いシンフォギアを身に纏っているのが雪音クリス。2人とも日和と同じリディアンの生徒であり、S.O.N.Gに所属するシンフォギア装者である。響は日和の後輩であり、クリスは日和と同学年であり、相棒である。

 

政府軍は凧に目掛けて装甲車からの機銃掃射を放つ。それを確認した緒川は3人の装者と共に凧から跳び下り、機銃の弾を回避する。そこから緒川は煙球を投げて、煙幕を張った。煙幕にクリスはボウガンでアルカ・ノイズを撃ち抜き、響は拳で、日和は棍で打撃を与えてアルカ・ノイズを蹴散らしていく。

 

緒川はムササビの術で落下速度を弱らせて降り立ち、装者たちが対処しづらい歩兵たちを手刀で無力化させていく。歩兵部隊の何人かは狙いを緒川に向け、マシンガンを撃とうとする。そこへ、戦乱に乗じて隠れていた赤い長髪の緑と紫のオッドアイの女性が現れ、歩兵の溝内を殴って歩兵を気絶させた。

オッドアイの女性の名はフォルテ・トワイライト。かつては敵対していた組織、F.I.Sに所属していたレセプターチルドレンのリーダーであり、彼女もまたS.O.N.Gのシンフォギア装者である。だが彼女には現在はむやみにギアを纏うことができないため、今はこうして生身で戦わなければいけない状況下である。

歩兵はフォルテに気がついたが彼女は素早く動き、次々と歩兵たちの溝内を殴って気絶させていく。歩兵の中に彼女の正体に気がついた者が現れる。

 

「!!あの動き!!あの赤い髪!!間違いない!!奴は・・・」

 

フォルテの正体に気がついた歩兵も、フォルテに溝内を殴られる。

 

「トレイシー・テレサ・・・生きて・・・いたのか・・・!」

 

歩兵はフォルテの本名を口にしながら気絶した。フォルテはかつてはバルベルデの反乱軍に属していた兵士で、その当時は本名、トレイシー・テレサと名乗っていたのだ。

 

「トレイシー・テレサは死んだ。僕はフォルテ・トワイライトだ」

 

フォルテは気絶した兵士たちに向けてそう言い放った。その間にもアルカ・ノイズを対処している装者4人はアルカ・ノイズを一掃していく。

アルカ・ノイズの次に待ち構えていたのは政府軍の第二歩兵部隊と戦車だ。歩兵部隊は装者たちに向けてマシンガンを撃ち放ち、戦車も砲弾を発射させる。翼は刀で向かってきた弾を全て弾き、砲弾も切り裂いて無力化させる。装者たちに恐れをなした兵士は逃げ出し、戦車は後退しつつも砲弾を放つが、翼は戦車に近づき、砲身を切り裂いて無力化させた。

まだ残っている戦車は響に狙いを定め、砲弾を発射させたが、響がその砲弾を拳で打ち払い、そこに翼が両足のブレードを展開させて、バーニアを点火して身体を高速回転させて戦車を切り裂いて無力化させる。

 

【無想三刃】

 

クリスは回転しながらボウガンの矢を放ち、アルカ・ノイズを次々と撃ち抜いていく。

 

「一斉射撃!!」

 

その隙をついて歩兵部隊はクリスに向けてマシンガンを撃ち放ち、さらにロケットランチャーも発射させる。クリスは向かってきた弾を装甲とボウガンで防ぐが、その後のロケットが直撃し、爆発した。

 

「よし・・・!」

 

ロケットが直撃し、歩兵は笑みを浮かべたが、それもすぐに消えた。なぜなら、爆発の煙が晴れると、クリスはかすり傷1つもない状態で立っていたからだ。クリスは口に含んだ弾丸を吐き捨て、ボウガンの矢を放ち、歩兵のマシンガンを撃ち落とす。

 

「て・・・撤退ー!!」

 

歩兵たちは恐れをなして逃げ出した。日和は棍による技を繰り出して向かってくるアルカ・ノイズをばったばったと薙ぎ払っていく。そこへ歩兵部隊が日和に向けてマシンガンを撃ち放つ。それに気づいた日和は跳躍で弾丸を躱す。そこに、戦車が日和に狙いを向けて砲弾を撃ち放った。それに対し日和は棍を振るって砲弾を上空に打ち返した。そして、即座に右手首のユニットよりもう1本の棍を取り出し、戦車の砲身に向けて投擲する。投擲された棍は砲口にすっぽりはまり、巨大なドリルに変形する。砲身は内側から抉れて破壊され、戦車が無力化する。

 

響は向かってくる砲弾を拳で次々と打ち返し、後退する戦車に近づき、キャタピラを力づくで引きはがしていき、さらには戦車上部も無理やり持ち上げていく。

 

「あ・・・あんまりだ!」

 

戦車の操縦者たちは響に恐れて逃げ出した。もう1台の戦車が響に向けて砲弾を放とうとした時、響が戦車上部を振るって戦車の砲身を折り曲げて無力化させた。

 

~♪~

 

S.O.N.G本部ではバルベルデでの戦闘の状況をモニターで確認している。

 

「敵戦力の消耗率、34%!」

 

「昨晩対戦車用に視聴した映画の効果覿面です!」

 

「国連軍の上陸は15分後!それまでに迎撃施設を無力化するんだ!」

 

赤いワイシャツを着込んだ大漢が装者たちに向けて通信越しで指示を出した。この大漢の名は風鳴弦十郎。S.O.N.Gの司令を務めている漢だ。

 

~♪~

 

向かってくるアルカ・ノイズをクリスはボウガンをガトリング砲に変形させて、弾丸を撃ち放って撃墜させていく。その隙に戦車がクリスに狙いを定めて砲弾を発射させる。だがそうはさせまいと日和が棍をバットのように振るって受け止める。

 

「無茶してくれる!!」

 

日和は尻尾装飾に備わった棍を地に突き刺して身体を固定し、砲弾を打ち返した。

 

「クリス!!」

 

「おう!」

 

日和の合図でクリスは砲弾に向けてガトリングの弾を撃ち放つ。弾を砲弾に直撃し、爆発する。その衝撃で、戦車はひっくり返る。

 

~♪~

 

軍駐屯地では下っ端兵士が戦況を上官に報告する。

 

「防衛ラインが瓦解していきます!このままでは・・・隊長!!?どちらへ!!?」

 

報告を聞いた上官はどこかへと走り去っていってしまう。

 

~♪~

 

敵の戦力をほぼ片付けた装者たちは一か所に集まる。すると、突然奥の軍駐屯地に光が放たれ、大型召喚陣が現れる。そこから現れたのは、巨大な航空戦艦であった。

 

「でかすぎでしょ!!?」

 

「空に・・・あんなのが!」

 

「本丸のお出ましか!」

 

装者たちが航空戦艦を確認すると同時に、S.O.N.Gのヘリ4機が低空飛行でこちらに接近してきた。

 

『あなたたち!ぐずぐずしないで、追うわよ!』

 

4機のヘリのうち1機にピンクの長髪の女性が搭乗している。この女性の名はマリア・カデンツァヴナ・イヴ。フォルテと同じレセプターチルドレンの1人で、S.O.N.Gに所属するフォルテと同タイプのシンフォギア装者だ。

 

『ふん!ヘリか!ならば直上からの攻撃を凌げまい!』

 

現れた戦艦のブリッジには上官が乗っており、ブリッジでヘリがこちらに接近していることを確認して、スイッチを押す。すると、戦艦に搭載された爆弾をヘリに目掛けて投下する。爆弾はヘリの真上で爆発した。

 

『やったぜ狂い咲きィ!・・・ん!!?』

 

上官は喜びを露にするが、モニター映ったヘリは撃墜されていない。4機のヘリのプロペラの上にはそれぞれの装者たちが立っていた。先ほどの爆弾の爆発はクリスのガトリングで撃ち抜かれたことによるものだったのだ。

 

『シンフォギアで迎え撃っただと!!?ならば非常識には非常識だ!!』

 

上官がスイッチを押したことで、戦艦から数えきれないほどのミサイルが発射される。向かってくるミサイルにクリスはガトリングで次々と撃墜していく。

 

「立花!東雲!しんがりは雪音に任せるんだ!」

 

「はい!」

 

「うえぇ!!?」

 

翼と日和と響はミサイルを足場にして飛び移りながら戦艦に接近する。ただミサイルの速度よりガトリングによる破壊速度が速く、背後にミサイルが迫ってきている。

 

「こっちで抑えているうちに、他の3機はさっさと戦域を離脱してくれぇ!」

 

クリスの声に応えるように、3機のヘリは離脱を開始するが、1発のミサイルが1機のヘリに迫ってきた。フレアを放ってもミサイルは撃ち落とせず、ヘリに迫る。

 

「ダメだ!!間に合わない!!」

 

振り切れず、パイロットは死を覚悟したが・・・

 

「やるよ、切ちゃん!」

 

「合点デス!」

 

ヘリに乗っていた2人の少女がヘリのドアを同時に開け放った。その間に入ったミサイルは通り過ぎていきった。これによってヘリは無傷だ。通り過ぎたミサイルをクリスが撃ち落とす。

 

「やればできる・・・」

 

「あたしたちデース!」

 

先ほどドアを開けた黒髪ツインテールの少女は月読調、短い金髪の少女は暁切歌。2人ともレセプターチルドレンの1人で、フォルテとマリアと同タイプのシンフォギア装者だ。2人はリディアンの1年生で日和たちの後輩でもある。

 

「初手から奥義にて仕る!」

 

戦艦までたどり着いた翼は刀を戦艦と同じ大きさを誇る大剣に変形させ、それを振り下ろして戦艦上部を真っ二つに切り裂く。中にいた上官は傷1つついていないが、サングラスが斬り下ろされた。そして、戦艦の裂け目から響が中に入り、バンカーユニットをドリルのように変形する。外にいた日和は棍を巨大なドリルに変形して攻撃態勢を整える。恐れをなした上官は逃げ出そうとする。そして、響はバンカーのブースターを起動して、上官の襟をつかみながら内部装甲に向かって突っ込む。さらに日和は回転するドリルの棍に蹴りを放ち、響と並走するように内部装甲に突っ込んだ。

 

【天元突破】

 

2つのドリルが戦艦内部を貫き、ぶち破ることで響と日和は戦艦から脱出する。全てのミサイルを撃墜したクリスが多くの大型ミサイルを展開し、戦艦目掛けて放った。

 

【MEGA DETH INFINITY】

 

全てのミサイルは戦艦に直撃し、跡形もなく爆散した。宙に浮かぶ日和はドリルの棍を展開したままで、地上に突っ込む。

 

「響ちゃん!!」

 

「日和さん!!」

 

日和に響に手を伸ばし、響は日和の手を掴んだ。ドリルの棍はそのまま地面に激突する。地面は衝撃が発し、土埃が放たれるが、ドリルの棍の上に乗っている日和と響は無事だ。上官は恐怖体験によって気絶してしまっているが。

 

「立花!東雲!怪我はないか?」

 

「はい!」

 

「ひとまずは任務完了ですね!」

 

「ああ。後は彼らに任せよう」

 

空を見上げて見ると、国連所属のヘリが向かってきている。これにて、装者たちの任務はひとまず完了である。

 

~♪~

 

政府軍の駐屯地を制圧後、国連軍はここにテントを張り、疲弊しきった国民に水や食事などの配給品を配っていく。中には負傷して治療を受けている者もいる。これらの様子をS.O.N.Gの制服を着込んだ日和、響、翼、クリスがフェンス越しで見ていた。

 

「よかった・・・国連軍の対応が速くて・・・」

 

「そうだな・・・」

 

響と翼はこの様子に安堵しているが、クリスは悔し気に歯噛みしている。

 

「クリス?大丈夫?」

 

「!いや・・・何でもねぇ」

 

クリスの様子に気がついた日和が彼女を気にかけている。何でもないというが、その表情から見て、何かを悩みを抱えているのは明らかだ。日和はクリスの過去についてを一応は知ってるため、その悩みには心当たりがある。ただ、本人が話したがらないため、無理に聞こうとはしなかった。そこに荷台車が止まる。市街巡回を終えたフォルテ、マリア、調、切歌が戻ってきたのだ。切歌は荷台から立ち上がり、敬礼ポーズをとる。

 

「市街の巡回完了デース!」

 

「乗れ。本部に戻るぞ」

 

フォルテが運転席から日和たちに声をかけた。日和たちが荷台に乗ったのを確認したフォルテは車を運転して本部に戻る。

 

「・・・私たちを苦しめた、アルカ・ノイズ・・・錬金術の断片が、武器として、軍事政権にわたっているなんて・・・」

 

錬金術。それは、科学と魔術が分化する以前のオーバーテクノロジーであり、それを行使する者を錬金術師と呼ぶ。装者たちが戦ったアルカ・ノイズを創り出したのは、この錬金術によるものだ。それが、軍事政権の手に渡っていることに調は憂いている。錬金術はシンフォギアと同様、異端技術の結晶そのもので、軍事政権がそう簡単に手に入れられるものではない。ただの人間がアルカ・ノイズを作ることはできないのだから。となれば、これらを提供した者がいると考えるのが妥当だ。

 

「パヴァリア光明結社・・・」

 

響は組織の名を呟いた。

 

~♪~

 

そもそも日和たちがなぜバルベルデに向かうことになったのか。それは、時は本部から招集がかかった日に遡る。リディアンの制服を着た日和たちがブリッジに到着した。

 

「「遅くなりました!」」

 

「揃ったな!さっそくブリーフィングを始めるぞ!」

 

弦十郎の一声でモニターにテレビ通信が繋がった。モニターにはロンドンにいる翼、マリア、フォルテ、緒川の4人が映っている。

 

「先輩!」

 

「マリア、フォルテ、そっちで何かあったの?」

 

『翼のパパさんからの特命でね。S.O.N.G のエージェントとして、魔法少女事変のバッググラウンドを探っていたの』

 

『私も知らされていなかったので、てっきり寂しくなったマリアが、勝手についてきたとばかり・・・』

 

『だから!!そんなわけないでしょ!!』

 

『いや、風鳴の言葉は意外にも的を射て・・・』

 

『ちょっと!!フォルテもふざけないでよ!!』

 

調の問い答えていたマリアは翼とフォルテの発言で顔を赤くして叫んだ。緊張感が崩れた中で、緒川は苦笑を浮かべた後、話を元に戻す。

 

『マリアさんとフォルテさんの捜査で1つの組織の名が浮上してきました。それが、パヴァリア光明結社です』

 

緒川の言葉に金髪の少女が口を開いた。

彼女の名はエルフナイン。かつてS.O.N.Gと敵対していた人物、キャロル・マールス・ディーンハイムという錬金術師が造り上げたホムンクルスであり、彼女の計画を止めるために装者たちに協力していた。現在のエルフナインの姿はそのキャロルのものであり、今ではすっかりS.O.N.Gの頼れる仲間である。

 

「チフォージュ・シャトーの建造にあたり、キャロルに支援していた組織だったようです。裏歴史に暗躍し、一部に今の欧州を暗黒大陸と言わしめる要因ともささやかれています」

 

モニターには各地の崩壊現場や火災現場が映し出され、その上にパヴァリア光明結社の蛇を基調としたマークが現れる。そのマークに調と切歌は見覚えがあった。

 

「あのマーク!見たことあるデスよ!」

 

「確か、あれって・・・」

 

『そうね。マムやドクターと通じ、F.I.Sを武装蜂起させた謎の組織・・・私たちにとっても、向き合い続けなければならない闇の奥底だわ』

 

『フロンティア事変と魔法少女事変の双方に関わっていた組織、パヴァリア光明結社・・・』

 

装者たちがこれまで解決してきた事件、フロンティア事変と、魔法少女事変・・・パヴァリア光明結社はその両方と裏で関わっていたのが、調査で判明した。

 

「これを機会に、知られざる結社の実態へと至ることができるかもしれません!」

 

『存在を伺わせつつも、中々尻尾を掴ませてもらえなかったのですが、マリアさんとフォルテさんからの情報を元に、調査部も動いてみたところ・・・』

 

緒川はある1つの画像を表示させた。その画像には、アルカ・ノイズが映っていた。

 

「アルカ・ノイズ!!?」

 

『撮影されたのは、僕の生まれ故郷・・・政情不安定な南米の軍事政権国家、バルベルデ共和国』

 

「バルベルデかよ!!?」

 

バルベルデの名前にクリスが過剰に反応した。日和はその時に見せたクリスの表情が気になっている様子だ。

 

「装者達は現地合流後、作戦行動に移ってもらう。忙しくなるぞ!」

 

アルカ・ノイズが関わっているのならば、装者たちが動かない理由はない。こうして、S.O.N.Gはバルベルデの戦いに介入することとなったのだ。




東雲日和(AXZ編)

外見:黒髪のショートヘア、頭にウサギリボンのようなカチューシャをしている。
   瞳は青色

年齢:17歳

誕生日:10月27日

シンフォギア:妖棍・如意金箍棒

趣味:セッション

好きなもの:ベッキー(日和の白いベース)

スリーサイズ:B:86、W56、H85

イメージCV:輪廻のラグランジェ:京乃まどか
(その他の作品:マギ:アラジン
        変態王子と笑わない猫:小豆梓
        クロスアンジュ 天使と竜の輪舞:ロザリー
        その他多数)

本作の主人公。リディアン音楽院の3年生。S.O.N.Gのシンフォギア装者で、如意金箍棒の適合者。
立派なベーシストになるという目標を見つけた彼女は音楽関連の大学進学に向けて嫌々ながら受験勉強を進めている。S.O.N.Gの任務との両立で大変ではあるが、それでもめげずに頑張っている。
大切な友達であるクリスと海恋をとても気にかけているが故、クリスと海恋が悩みを抱えている様子を見ると、何とかしてあげたいと考えている。2人の現状を見ればなおさらのこと。

AXZ編楽曲

『Dear Friend』

心から大切に思う親友。そんな彼女に自分の思いを全身全霊でぶつけようと少女の決意が込められた楽曲。
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