S.O.N.G本部に帰還した翼たちはフォルテの着替えを待ってからブリッジに集まった。しばらくしていると、響たちがブリッジに入ってきた。
「先輩!」
「翼さん!」
「フォルテさん!」
「マリア!」
「デス!デス!デース!」
1番最後に入ってきた切歌がマリアに抱き着いてきた。
「大騒ぎしなくても大丈夫。バルベルデ政府が保有していた資料は、この通りピンシャンしてるわよ」
マリアはケースを見せて、響たちを安心させようとしたが、心配していたのはそこではない。
「そうじゃなくて!敵に襲われたんですよね・・・?ホントに無事でよかった・・・」
響の言葉に心配をかけさせてしまったと自覚した3人はお互いに顔を合わせ、翼が彼女たちにお礼の言葉をかける。
「帰国早々心配かけてすまない。気遣ってくれてありがとう」
「だが、安心してばかりいられないのが今の現状だ。司令」
「うむ。これを見てほしい」
フォルテが本題に移すことで、弦十郎は首を縦に頷き、親指で背後のモニターを指す。モニターには友里たちが撮影したオートスコアラー、ティキが映し出されていた。
「これは・・・?」
「私たちがバルベルデ政府の秘密施設に潜入した際に記録した人形の映像よ」
「もしかして・・・オートスコアラー⁉」
モニターに映っているティキがオートスコアラーなのではと思い、真剣みな表情をしている装者たち。
「前大戦時、ドイツは、化石燃料に代替するエネルギーとして、多くの聖遺物を収集したという。そのいくつかは、研究目的で当時の同盟国である日本にも持ち込まれたのだが・・・」
「私のガングニール・・・」
「それに、ネフシュタンの鎧や、雪音のイチイバルもそうであったと・・・」
「戦後に亡命したドイツ高官の手により、南米にも多くの聖遺物が渡ったとされています」
「それが、シュルシャガナやイガリマ、アガートラームにミスティルテインということか。そして、他の聖遺物も」
「おそらくは、この人形もそうした経緯でバルベルデにたどり着いたものだと推察されます」
推察が飛び交う中、緒川はマリアが持っていたケースを受け取って口を開く。
「全てを明らかにするには、この、バルベルデ政府が保有していた機密資料を解析するしかありません」
「翼とマリア君、フォルテ君が襲われたことから、パヴァリア光明結社の錬金術師は日本に潜入していることは明らかだ。くれぐれも、注意を怠らないでほしい」
弦十郎は装者たちにパヴァリア光明結社の錬金術師に注意するように警告する。そんな中クリスは自分の髪をいじって思いつめた表情をしている。その様子に気付いた日和は彼女を心配そうな顔で見つめている。
~♪~
会議を終わった頃にはすでに夕方になっていた。響は会議が終わった後、街で待っていた短い黒髪の後ろ髪白いリボンを付けた少女の元に駆けつけた。
「未来ー!お待たせー!」
この少女の名は小日向未来。リディアンに通う2年生で、響の親友である。そして、日和たちの後輩、そして調と切歌の先輩でもある。
「翼さんたち大丈夫だった?」
「うん!3人とも元気そうで安心したよー!」
合流を果たした響と未来はどこかへ向かって歩き出した。
『次のニュースです。先日、アメリカ合衆国の領海外で救出された遭難者はバルベルデ共和国からの亡命を希望していることが、明らかになりました』
街のモニターに映っているニュースではその様な情報が流れていた。
~♪~
響と未来が向かったのはカフェであった。ここに来た理由は未来に学校で相談した話の続きをするためだ。その内容は、クリスと海恋が話してたものとほとんど同じものだ。テーブルには未来側にはイチゴのかき氷が、響側にはお茶が置かれていた。
「それで?今朝の話の続きを聞かせて」
「うん・・・バルベルデでのこと話したでしょ?クリスちゃん、あれからずっと落ち込んでるみたいなんだ・・・。何とか元気づけたいんだけど・・・」
落ち込んでいるクリスにどう元気づけようかと響が相談しようとすると・・・
「大きなお世話だ!」
「うええ!!?」
後ろの席にいたクリスが口を開いた。本人が後ろの席にいたことに響は驚愕している。
「その言い草はないだろう、雪音。2人はお前を案じているんだ」
「そうだよ。それを無下にすることないんじゃない?」
「えー⁉翼さんと日和さんもいるー⁉」
さらに翼と日和がクリスと同じ席にいたことにさらに驚愕する響。
「私たちだけでなく、皆雪音のことを心配している」
「わかってる!けどほっといてくれ!あたしなら大丈夫だ!ステファンのことはああするしかなかったし、同じ状況なら、あたしなら何度でも同じ選択をする!」
「それが雪音にとっての、正義の選択というわけか」
「ああ。だから相棒、あたしのことは気にせず、委員長の方を気にかけとけ」
「無理!!!」
気にしないでくれというクリスの言葉に日和は即答で否定する。その言葉にクリスはずっこける。
「お、お前な・・・話聞いてたか⁉」
「聞いてたよ!!聞いたらなおさらほっとけないじゃん!!」
「うわぁ!!?」
クリスの言葉に日和は食い入るように顔をグイっとクリスに近づける。いきなり顔を近づけてきてクリスは思わず驚く。
「私は大悟君やおじさんたち、ママに恨まれて、すっごく辛かった!それこそ心が壊れちゃうぐらいに!海恋がいなかったら私、ずっと壊れたまんまだったかもしれない!」
日和はそこまで言い終えると、少しだけ冷静になり、落ち着くために深呼吸をする。だいぶ気持ちが落ち着いたところで日和は話を続ける。
「すぅー・・・はぁー・・・。・・・だから私は、クリスには私と同じようになってほしくないの。海恋が私の隣にいてくれたように私はクリスのそばにいる。友達の悲しい姿を見るのは、嫌だから」
「・・・っ」
日和の言葉を聞いて、クリスは悟った。日和に何を言っても無駄であると。どんなに嫌がられても、煙たがられても、彼女は懲りずに自分に気に掛ける。実際に恨まれた経験があるからなおさらであると無理やりな理論を押し付けて。そんな強引な彼女を誰が止められる?いや、止められるはずがないと悟ったのだ。
「・・・あー、くそ!もう勝手にしろよ!」
日和の根気に負けしたクリスは顔を赤くしてそう言い放ち、照れを隠すためにそっぽを向いた。その様子を見た日和はにっこりと微笑んでいる。
「照れてる。かわいいなぁ」
「うるせー!!それはマジでほっとけ!!」
「東雲の前では、雪音も形無しだな」
クリスの頑固な一面も日和の強引さで少しは和らいだことに翼は微笑み、そう呟いた。同じくこの光景を見ていた響と未来も、日和はすごいと感じながら笑みを浮かべている。
「あ、そういえば響ちゃん、クラスの子から聞いたんだけど、夏休みの宿題、提出できてないんだって?」
「ぎょっ!!?そおだった~~!!」
日和の思い出したように話を夏休みの宿題になった時、響は頭を抱えて絶叫した。実は響は夏休みの宿題を夏休みまでにやり切れず、始業式にまで伸ばしてもらったのだがその直後にバルベルデに行くことになったので宿題を終わらせることができなかったのだ。
「ダメだよ~、宿題はちゃーんとやらなきゃ」
「わーん!日和さんに言われた~~!!」
日和は得意げな顔になり、ふんすと鼻を鳴らして胸を張っているところ、あきれ顔のクリスがここで1つ指摘する。
「とか言ってお前、委員長がいなきゃ絶対間に合わなかっただろ」
そう、日和自身もちゃんと提出しているからいいものの、もし海恋の手伝いがなければ響と同じ道を辿っていたのだ。
「いやいや、あれもあれでかなり地獄だよ?宿題が終わるまでお買い物に行くことも気晴らしもできなかったんだから~。おかげで夏休みの序盤は宿題漬けでした・・・」
海恋がいないことをいいことに、日和は夏休み序盤の苦行に対する愚痴をこぼしている。ちなみに日和が夏休み序盤から宿題をやることになったのは、海恋が言うには『日和のペースでやったら絶対に間に合わない』とのことである。
「日頃の行いの結果だろ」
「なんだよクリスまで~・・・」
「まぁいいではないか。西園寺も東雲を思ってのことなのだろう?」
「ぶぅー・・・」
あまり納得いかない日和はふてくされたように頬を膨らませている。それとは余所に響は未来に泣きついている。
「うぅ~・・・どうしよう未来ぅ~・・・」
「頑張るしかないわね。誕生日までに終わらせないと」
誕生日という単語に翼が反応した。
「立花の誕生日は近いのか?」
「はい。13日です」
「へぇ~、海恋と同じ9月生まれか~」
響と海恋の誕生日が9月だということに日和は意外な共通点に驚いている。
「おいおい、後2週間もないじゃねぇか。このままだと、誕生日も宿題に追われて・・・」
他愛な話をしているところに、装者たちの通信端末が鳴り響いた。装者たちはすぐに端末を取り出し、通信に応答する。
「はい、響です!」
『アルカ・ノイズが現れた!位置は19区域、北西Aポイント!そこから近いはずだ!急行してくれ!』
弦十郎の指示に従い装者たちは急ぎ、アルカ・ノイズが現れた区域へと移動を開始するのであった。
~♪~
アルカ・ノイズ出現区域までたどり着くと、そこには錬金陣が展開され、そこから数多くのアルカ・ノイズが現れる。応戦するために響たちはすぐにギアを纏うため詠唱を唄う。
Balwisyall Nescell Gungnir tron……
ギアを纏った装者たちはすぐにアルカ・ノイズを殲滅するために行動を開始する。響は拳で、翼は刀で、日和は棍で、クリスはボウガンで次々とアルカ・ノイズを蹴散らしていく。装者4人が戦っている様子をプレラーティとカリオストロが建物の上で眺めていた。そこに、転送陣が出現し、そこからサンジェルマンとエドワードが転移してきた。
「待たせたかのぅ?」
「ようやくご到着なワケダ」
「首尾は?」
「誘い出したところよ」
「エドワード、例の物を」
「無論、用意しておる」
エドワードは1枚の札を取り出し、それをサンジェルマンに渡す。サンジェルマンがそれを受け取ると、札は形を変え、ダイヤルが組み込まれた筒のようなものになった。筒の中に入ってあるのはアルカ・ノイズの結晶だ。
「試作に終わった機能特化型じゃ。暇つぶし程度に作ったものじゃが、今が使い時じゃろうて」
サンジェルマンが筒のダイヤルのロックを錬金術で解除し、中を開けてアルカ・ノイズの結晶を1つ取り出した。
「その力、見せてもらいましょう」
サンジェルマンは手に取ったアルカ・ノイズの結晶を装者たちが戦っている戦闘区域に向けて放り投げた。結晶は落下地点で砕け散り、赤い輝きを放った。
「あれはアルカ・ノイズか?」
「新手のお出ましみたいだな!」
新たに現れるアルカ・ノイズに装者たちは身構えるが、辺りがプラネタリウムの様に星が投影され、白い輝きが辺り一面を覆い尽くした。
~♪~
本部の方でもアルカ・ノイズの反応を示しており、そのサイズは大型である。モニターには大型アルカ・ノイズが放った光で覆われていた。
「大型のアルカ・ノイズを確認!」
光が晴れると、モニターにはまるで何もなかったかのように装者たちもアルカ・ノイズも消えていた。
「消えただとぉ!!?」
「装者たちの映像を捉えられません!」
「ギア搭載の集音器より、辛うじて音声を拾えます!」
「空間を閉じてしまうアルカ・ノイズ・・・」
間違いなくアルカ・ノイズはいるはずだが、本部のモニターには装者を含め、捉えることができない。幸いにも、集音器のおかげで音声は拾えるが、目では状況を見ることができないため、サポートが困難になってくる。
~♪~
戦闘区域内で戦っていた装者たちは大型アルカ・ノイズの力によって、宇宙空間のような空間に閉じ込められてしまっている。どういうことかわからず、4人は困惑している。
「さっきまで街中だったのに・・・」
「いったいどうなってるの・・・?」
困惑している間にも、この空間内にいるアルカ・ノイズの群れが4人に向かって近づいてきている。ここがどこだろうとアルカ・ノイズ殲滅することには変わらない。向かってきたアルカ・ノイズを翼は刀で切り払う。だが、ここで異常が発生した。普段通りならばここでアルカ・ノイズはプリマ・マテリアとなって塵となるはずなのだが、切り裂かれたアルカ・ノイズは切り裂かれた胴体を結合して、元の状態に戻ってしまったのだ。
「⁉バカな⁉」
「攻撃が・・・」
「全部通らねぇのか!!?」
「いったいどうして!!?」
響が拳で打撃を与えても、日和が棍で振り払っても、クリスがガトリングで貫いても、アルカ・ノイズに攻撃が通らず、倒すことができない。
~♪~
装者たちの声でアルカ・ノイズに攻撃が通らなくなってしまった状況に藤尭はある推測を立てる。
「⁉まさかAnti LiNKER!!?でもいったい、誰が・・・」
Anti LiNKERはシンフォギア装者の適合率を下げてしまう薬物でそれによって適合率が下がり、攻撃力が下がったとと考えてるらしいが、装者たちはこれによって息切れしてる様子は見られない。
「いえ!各装者、適合係数に低減は見られません!」
「つまり、こちらの攻撃力を下げることなく、守りを固めているのだな!」
Anti LiNKERの可能性がなくなったと判断した弦十郎はすぐに装者たちに情報を伝えようとする。
~♪~
何をやっても元通りになってしまうアルカ・ノイズに苦戦する装者たちに弦十郎からの通信が届いた。
『4人とも、聞こえるか!』
「おっさん!どうなってやがる⁉」
『そこはアルカ・ノイズが創り出した亜空間の檻の中と見て間違いない!』
「亜空間の檻・・・ですか・・・?」
『そこではアルカ・ノイズの位相差障壁がフラクタルに変化し、インパクトによる調律が阻害されています!』
『ギアの出力が下がったように思えるのは、そのためです!』
アルカ・ノイズにも位相差障壁はあるが、元来のノイズと比べれば極端に低い。だが姿が見えないアルカ・ノイズが作ったこの亜空間内ではそれが大幅に強化され、ただの一撃では倒しきることができない。それが苦戦している原因となっているのだ。
「だったら、ドカーンとパワーを底上げてぶち抜けば・・・!」
「呪いの剣の抜きどころだね!」
4人はこの状況を打破するために、ギアに搭載された呪いの剣の解放を決断する。
「「「「イグナイトモジュール!抜剣!!」」」」
4人は自身のギアコンバーターのスイッチを押し、それを取り外して掲げた。ギアコンバーターが起動し、無機質な『ダインスレイフ』という音声が鳴り、宙に浮いて変形し、光の刃を展開された。そして、光の刃は4人の胸を刺し貫いた。これによって、禍々しい呪いの力が4人の身体に流れ込み、それが力となる。身体を包み込んだ闇は黒く染まった禍々しいシンフォギアとなった。これこそが、シンフォギアに搭載された呪いの剣、イグナイトモジュールである。
イグナイトを身に纏った4人は襲い掛かってくるアルカ・ノイズに各々の力で攻撃を仕掛ける。攻撃が直撃したアルカ・ノイズは再生されず、プリマ・マテリアとなって消滅する。
(イグナイトの力でなら、守りをこじ開けられる。だが・・・)
「こいつらに限りはあんのか!!?」
「倒しても倒してもキリがない・・・!」
攻撃が通るようになったのはいいが、いくら倒してもアルカ・ノイズの数は一向に減る様子がない。さらにイグナイトには制限時間が存在する。解決策がない以上、状況が好転したとは言えない。
~♪~
音声だけで状況把握することしかできない状況下の中でブリッジにマリアたちが駆け付けた。
「抜剣した以上、カウントオーバーはギアの停止!立ち止まるな!」
マリアは亜空間内で戦う4人にエールを送る。
「何もできないもどかしさ・・・」
「黙って見るばかりなんて嫌デスよ・・・!」
「それでも・・・信じて見守ることしかできない・・・」
調と切歌は見守ることしかできない状況下にもどかしさを感じている。フォルテはこの状況下でも冷静に、仲間を信じて見守っている。
「ボクがLiNKERの研究に手間取ってるから・・・。でも・・・!」
LiNKERの開発に手間取っている事態に責任を感じつつも、エルフナインは最後まで諦めず、何か状況が好転できないか、アルカ・ノイズが現れた状況を思い出す。
(何か・・・ボクにも何かできるはず!位相差障壁を亜空間の檻に・・・そして強固な鎧と使いこなす新型アルカ・ノイズ・・・出現した時に観測したフィールドの形状は半球・・・)
様々な状況を考察して、エルフナインはこの状況を打破する突破口を閃いた。
「皆さん!そこから空間の中心地点を探れますか⁉こちらで観測した空間の形状は半球!であれば、制御気管は中心にある可能性が高いと思われます!』
エルフナインは閃いた突破口を戦っている4人に通信で伝えた。
~♪~
エルフナインの言葉を聞き、最初に行動したのはクリスだ。クリスは回転しながらガトリングを撃ち放ち、弾丸を辺りに存在する岩に直撃させる。
「クリス!そんな闇雲に撃っても・・・」
「歌い続けろ!ばら撒いたのは、マイクユニットと連動するスピーカーだ!空間内に反響する歌声をギアで拾うんだ!」
「そうか!ソナーの要領で私たちの位置と、空間内の形状を把握できれば!」
クリスの考えを理解できた3人は歌いながら戦闘を再開する。スピーカーから4人の声が合わさった歌が流れ始めている。このスピーカーの音波が空間内に響き、この音波によって、かすかながらに敵影が見えた。
「そこだぁ!!!」
クリスはその瞬間を見逃さず、腰部のミサイルを展開して見えた敵影に向かって一斉発射する。
【MEGA DETH PARTY】
発射されたミサイルは敵影に直撃し、爆発した。爆発の煙が晴れると、不可視だった存在がようやく姿を現した。その姿は菱形の胴体に長い両手と両足が地に着いた奇妙な大型アルカ・ノイズだ。
「あれが、この空間を作り出しているアルカ・ノイズ・・・!」
『それです!それを破壊してください!』
「立花!乗れ!」
「はい!」
響は翼の指示で彼女が構えた刀の上に乗ると、巨大な両刃剣に変形し、カタパルトを創り出す。クリスが翼の後ろに立ちに、両刃剣の両サイドに巨大なミサイルを装填する。そしてクリスの後ろに日和が立ち、両腕のユニットから棍を取り出し、それを両刃剣にレバーになるように突き刺した。そして、日和のギアの尻尾装飾の先端の棍を展開し、それを逆立たせる。最後に響がクラウチングスタートの態勢をとった。
【QUATRITY RESONANCE】
「勝機一瞬!この一撃に全てを賭けろ!!」
翼の号令で両サイドのミサイルが点火し、両刃剣が大型アルカ・ノイズに向かって発射される。そこへ日和がレバーの棍を前に倒し、さらに尻尾装飾の棍が素早く回転し、竜巻を創り出してさらに両刃剣のスピードを加速させた。一定の距離までたどり着いたところでカタパルトが発射され、響が飛び出した。発射されたスピードに乗って響は大型アルカ・ノイズに飛び蹴りを放ち、アルカ・ノイズの胴体を貫いた。さらに後に続くように翼の両刃剣が突撃し、大型アルカ・ノイズを斬り裂いた。
大型アルカ・ノイズを倒したことにより、亜空間は消え去り、元の街に戻った。残った小型アルカ・ノイズをクリスがガトリングで、日和が棍を振り下ろして倒したことで全てが片付いた。
~♪~
本部の方でもモニターでその様子を確認できた。
「どうやら、うまくいったみたいですね」
「ふぅ・・・」
装者たちが無事に戻ってきてくれたことに弦十郎はほっとしたように息を吐いた。調と切歌が手を繋いで笑顔で飛び跳ね、今回アルカ・ノイズを倒すことができた立役者のエルフナインにマリアが彼女の肩にpんと手を乗せた。そして、フォルテが笑みを浮かべて彼女に労いの言葉をかける。
「よくやってくれたな、エルフナイン」
「マリアさん!フォルテさん!皆さんからもらった諦めない心は、ボクの中にもあります!だからきっと、LiNKERを完成させてみせます!」
「待っているわ」
エルフナインの意気込みに、マリアたちはLiNKERが完成されるその時を待つことに決めた。
~♪~
全ての一部始終を見ていた錬金術師。その中でもカリオストロはつまらなさそうな顔をしていた。
「あーあ、あわよくば、と思っていたけど、仕方ないわね。目的は果たせたし」
「ふふ、妾は十分に楽しめたぞ。やはり物事が簡単に進むものほどつまらぬものはない。しばらく退屈せずに済みそうじゃ」
逆にエドワードは愉快そうに笑っている。そもそも試作型にそこまでの期待はしていなかったが、それでも自分の作品を倒した装者たちの力量がエドワードの琴線に触れたようだ。
「ふーん?そんなのんきでいいの?」
するとそんな彼女たちの前にティキが現れた。
「ティキ。アジトに残るよう言ったはずよ」
どうやらサンジェルマンはティキに待機を指示していたようだが、ティキはそれを無視してやってきたようだ。
「だってぇ、アダムに会えるかと思ってぇ。でも怒らないで?いいことがわかっちゃったの!」
「何?」
「なんと!ここは私たちが神様に喧嘩を売るのに具合がよさそうなところよ!これ以上ないってくらいにね?」
くるくると回るティキが空を見上げると、彼女の瞳に観測した星の運航が映し出された。
~♪~
戦いが終わった頃には夜になっており、その時間帯の日和と海恋の部屋。そこに海恋当ての手紙が届いた。日和の帰りを待っていた海恋はこの手紙と、封筒と一緒に入っていたものを見て驚愕している。手紙にはこう書かれている。
『翌日の早朝、指定場所に来い。懸命な判断を求む』
封筒に一緒に入っていたものは数枚の写真。そこにはフードを被った人間たちが西園寺家の使用人・・・海恋の両親に迫っている姿が映し出されていた。
「な・・・によ・・・これ・・・!」
こんな写真と手紙が届いたことに海恋は手が震えている。驚きのあまり手紙と写真を手放してしまう。すると・・・
ボウッ!
「なっ・・・」
届いた手紙と写真に突然火が付き、手紙と写真が火に包まれた。火は不思議なことに机や本などに火がつかない。海恋はこれを見た瞬間、1つの可能性が浮かんだ。そんな時に日和が帰ってきた。
「ただいまー。海恋ー?」
「お・・・おかえり。今机の整理をしてるところだから、その間手を洗ってきなさい」
海恋は日和を勉強机に近づけさせないようにそう言った。
「わかったー」
すぐに了承した日和は手を洗うために洗面所に移動する。日和が行ったところで海恋はほっと息を吐き、燃えカスが残った勉強机に視線を向ける。燃えカスは丁寧に描いたように、パヴァリア光明結社のマークを形作られていた。
日和の変身バンクAXZバージョン
聖歌を歌い終えると、上に掲げていた手から順にインナースーツを身に纏う。
次にリボルバー式ユニットが回転しながら生成し、両手首に装着。同時に両腕に腕部の装甲が生成され、装着。右手首のユニットより棍を射出し、槍の長さまで伸ばし、手に取って回す。
次に腰部に尻尾装飾を生成し、腰部に装着。同時にベルト装飾が腰に巻き付き、パレオが出現し、脚部に機械装甲を装着する。
最後に機械のウサギ耳のヘッドギアを生成し、それを耳を覆うように装着する。最後に回した棍を振るい、とどめに歌舞伎のように左手の棍を構え、右手の掌を前方に掲げたポーズを取る。