抽選で当選したのは、ゲームの中でアニメを撮影する企画でした……はい?   作:サクサクッキー

4 / 8
漸く勘違いタグが効果を表す所になった……かな?
今話の最初は別の人視点です。


エンゲキノウラガワ

ーレミリアsideー

 

 私が、お嬢様を初めて目にしたのは、お嬢様が産まれた直後でございました。

 お恥ずかしながら、その時の私は、周りの方々と同じ様に、第三子が生まれた、王家は安泰、などと月並みな言葉しか浮かびませんでした。

 

 

「……あの、レミリアさん」

「なんでございますか?」

 

 

 その思いが変化し始めたのは……お嬢様が3歳の頃……"あの事件"がきっかけでございましょうか。

 未だに原因がわからぬ"あの事件"は、王家の方々に大きな傷を残しました……無論、お嬢様にも。

 いえ、むしろお嬢様が一番の被害者かも知れませんね……お嬢様は、その時から"独り"が多くなりました。

 お嬢様が事件の原因というわけではございません、それは皆わかっている事でございます、ですが……どうしても関連付けてしまうのでしょう。

 それが顕著に現れ始めたのは6歳の頃でございました。

 

 宰相の指示により、お嬢様が、離れの小さな塔への移動となったのです。

 別段住む場所の移動はおかしなことではございません、長女様や次女様も、自立できる年頃になった時に移動になっておりますから。

 ですがそれは王宮内の話、お嬢様が移動されたのは王宮外にある塔の一つだったのです。

 その時のお嬢様は……笑っておられました、まだ子供だと言うのにも関わらず、文句の1つも言わずに、その指示を受け入れたのです。

 その時から、私はお嬢様の為に……と思ってはいたのですが。

 王宮のメイドの1人でしかない私に、自らお嬢様の元に行けるだけの行動力は無く、歯痒い思いでございました。

 

 今回、偶々王宮に来る予定のあったお嬢様に、運良く同行を許可してもらえることとなったのですが……そこで私は、更なる衝撃を受けることとなりました。

 

 

「えっと……この……うちの国の名前って、ジルム王国であってる……かな」

 

 

 その言葉を聞いた時、私は……年甲斐のない、大きな怒りを覚えました。

 何故、何故お嬢様をこんな目に合わせるのか。

 隔離するだけには飽き足らず、自身の王国の名前すら、自身の父親の名前すら教えられずに育てるのか、と。

 

 

「……」

「えーっと……変な事、聞いたかな……ごめんね」

 

 

 私が沈黙していたのを、何も知らない自身の所為だと謝るお嬢様。

 いけない、早くお答えしなければ。

 

 

「……大丈夫でございます、この国の名前はジルム王国であっております」

「……良かった」

 

 

 ……抑えなさい、レミリア(わたし)

 お嬢様の前で怒るなど、お嬢様をさらに困らせてしまいます。

 お嬢様はお優しく大人びている、初対面の、しかも従者でしかない私に対しても丁寧な態度で接してくださる。

 

 

「……わー……」

 

 

 ですが……ですが、自身の王国の歴史書を読むお姿を見る限り、お嬢様はまだ子供なのだと、はっきりわかる。

 自身の国の名前がわかった時の、とても安心した様な表情を、何故しなければならないのか。

 王族が悪いわけではないのはわかっている、あの方々は良くも悪くもお優しい、お嬢様にその面影を見出せる程だ。

 

 

「……終わった……ふう」

 

 

 ……いけない、どうやら深く考え過ぎてしまっていた様だ、お嬢様が歴史書を読み終わっている。

 

 

「すごいなぁ……」

 

 

 どうやら、お嬢様は自身の父親の功績を見て、驚かれているご様子。

 

 

「……この人が、父親なんだ……大丈夫かなぁ……」

「大丈夫でございます」

「……え?」

 

 

 思わず、そう答えてしまっていた。

 止めなければいけない、だが……あの不安そうな顔を見て……止める気がなくなった。

 この際、無礼だと言われようと、言ってしまおう。

 

 

「お嬢様……いえ、貴女様は間違いなく、王の娘でございますよ」

「……」

「親の()らしくありたい……そう思うのは子供として当然でございます、ですが……」

 

 

 お嬢様はその周りの環境の所為か、ご自身に対して少々卑屈になられている。

 本来であれば、教育係が教え、褒め、そこで自信をつける物だが、お嬢様にはそれすらなかったのだろう。

 

 

「王の()は……貴女様は、どこまで行っても王様の子供(あなたさま)意外にあり得ません」

「……え」

「貴女様がどんな風に行動しようと、どんな風に悪行を積もうと、王様の子供であることに変わりは無いのです」

 

 

 おそらく、周りには最低限の大人しかおらず、その人達に合わせて来たが為に、今のお嬢様がいるのでしょう。

 ですが、憧れて良いのです、自信を持っても良いのです。

 

 

「ですから、王様の子供らしく、なんて考える必要はございません、貴女様は貴女様の思う様に行動すれば良いのですよ……子供らしく、自由に」

 

 

 子供が自由にしてはいけない、なんて事はありません。

 むしろ子供だからこそ自由に動くべきなのです。

 

 

「……」

「……申し訳ございません、メイドとして出過ぎた真似を致しました……ご無礼をお許しください」

「あ、大丈夫だよ……ありがとう、えと……励まして、くれてるんだよね」

「……いえ、その……なんと言いますか……」

「兎に角、ありがとう、レミリアさん……なんとなく、言いたいことは理解できた、からさ」

 

 

 飛んだご無礼をした、けれど……これで私が嫌われようと、貴女様の為になるのならば、私は本望でございます、お嬢様。

 

 

「……お嬢様の従者として、当然のことにございます」

 

 

 なのですが、お嬢様。

 

 

「えと……私に魔法を教えてください!」

「うぇ?儂?」

「はい、"賢者様"にです」

 

 

 その賢者(おとこ)だけはお辞め下さい。

 


ー主人公sideー

 

 とりあえず、転生と言えば魔法かなと、魔法を学ぼうと思い、レミリアさんに教えてもらいながら、ここにいると言う賢者様の所に来て、弟子入り志願……みたいな事をしている。

 

 

「えー、何で儂なのかね?」

「?魔法のことなら賢者様に聞けば良いと思ったので……」

「おおうなんと純粋な、と言うか……儂の噂、知らないのかな?」

「噂……?」

 

 

 噂ってなんだ?

 

 

「あー知らないんならそのままで「良い訳がないでしょう」……うげげ、いたのかいレミちゃん」

「黙りなさいロクでなし男……お嬢様、こんなク……賢者……様でなくとも魔法を習うことは可能です、是非別の人を当たりましょう」

「うっわ辛辣、そんなこと言われたら儂、泣いちゃう」

「嘘泣きの癖によく堂々と宣言できますね、良い歳した男が見苦しい」

「そう言うレミちゃんはいつまで経ってもお美しい、儂と同い「淑女に年齢の話題を出す物ではありませんよ?」ごめんて、謝るから魔力(それ)引っ込めて?」

 

 

 いきなり目の前で漫才を始める2人。

 え、レミリアさんこの賢者さんと知り合いなんだ……と言うか仲良「腐れ縁でございます、お嬢様」……なんかすみません。

 

 

「……とにかく、この男はやめておいた方がよろしいかと、魔法の才能にその他全てを捧げてしまった所為で、人格などがクズですから」

「ひっどい言われよう、でも自覚があるから否定しなーい」

「……」

「ちょ、まじで魔力出すのやめて?怖いですすみません」

「えーと……?」

 

 

 なんか思ってた賢者と違う。

 でも魔法の才能はあるらしい。

 

 

「賢者様、教えて下さい、魔法」

「ひょ?」

「お嬢様?」

「レミリアさん、この人、魔法の才能はあるんですよね、だったら私は、この人に教えてもらいたいです」

「お嬢様、コレは天性のクズですよ」

「本当にやばい人なら、レミリアさんがこんなに話してないと思ってるので、大丈夫だと思ってます」

「お嬢様……」

「やばい、辛辣と純粋に挟まれて、二つの意味で儂泣きそう」

 

 

 短い付き合いだけどレミリアさんのことは信頼してる、そのレミリアさんが、辛辣でも知り合いになった人なら、多分大丈夫だと思う。

 

 

「……わかりました」

「ありがとうございます、レミリアさん」

「いえ……ですが、コレが度を過ぎようとしたら止めさせてもらいます」

「わかりました」

「ほんっとーに信頼無い儂、でも自覚があるからなんも言えない……ところで王女様」

「はい、なんですか?」

 

 

 なんか真剣な顔をした賢者様、何言おうとしてるのか……?

 

 

「儂の弟子になるなら、守って貰わないといけないことがいくつかあるんだ」

「守ること……ですか?」

「そうそう、1つは魔法を習っている間だけで良いから、儂のことを先生、もしくは師匠と呼ぶこと」

「はい」

「2つ目は、信念を持って魔法を使うこと」

「信念、ですか?」

「うんうん、でもなんでもいーよ、その時その時で変えてもいいし、何か1つ大きなものを決めてそれに準じても良い、けど……"あやふやな心で魔法は使わないこと"……これが2つ目」

「……」

 

 

 なるほど?

 意図はわからないが、結構まともな人って感じがする。

 レミリアさんも信じられないと言った感じの目をしてる。

 

 

「わかりました」

「うむ、で最後に3つ目なんだけどねー……」

「?」

「えっと、弟子になってる間は……〜っス口調でいること!」

「……へ?」

 

 

 前言撤回、やっぱりやばい人みたいだ。




とてもスラスラ書けた賢者様、ああ言うキャラっていると空気が和む気がする?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。