このラノベのオチが思い出せないのでラスボスになることにした 作:どっかで本編さぼってる人
組織を発足し映像業で荒稼ぎを初めて数か月、最近どうにも誘拐が失敗し逆に捕まってしまうケースが増えて来た。別に社員は捨てる程いるのでいいのだが、この流れというか、どうにも何者かに邪魔されている感じがしてならない。
なけなしの原作知識からこういう犯罪に介入してきそうな相手に心当たりはあるが、とはいえ確かめようにも危険が伴うので、少し趣向を変えてみることにした。
上納金制度の導入だ。
新規でカモを捕まえにくいなら、一度でもドブに足突っ込んだ方々には口止め料を月額性で払ってもらおう。毎月数万程度でも数が数だけにこれで収入は安定するはずだ。しかし当初より無計画に膨れ上がった組織をそれだけで安定させるのは難しい。せっかく女権のコネも使えるのでがっつり市場開拓でもしてみよう。
ISの世界と前世の最大の違いはISという絶対暴力の有無である。兵器としては強いのだが、女にしか乗れないという欠点以外にもう一つ、核となる『ISコア』というパーツを開発者しか作れないおかげで、500機ほどの総数は変動しえない弱点がある。
世界にあった国家、地域は全部で200程度。しかしISがスポーツ、軍事として先進国に取り入れられている以上、みんな平等に2コずつね、とはいかない物。
この世にはISコアを貰えなかったおかげで永遠の後進国、属国が約束された可哀そうな場所がある。まあ貰ったところで科学力がないので持ち腐れなのだが。
ともあれ、おかげさまでいくつか消滅、吸収合併統合されて世界地図が少しだけすっきりしているのだ。
多量の難民を生み出して。
その難民を少しでも受け入れてやろうと、各方面へ働きかける。むしろ難民を放置し無視を決め込んでいる様を糾弾する勢いで押してやる。分母は常に多い方が金も人も回りが良くなるのだ。多少の治安悪化や不清潔による疫病の蔓延、近隣住民との衝突はあるだろうがそんな事俺は知らんよ。
仮に邪魔者がいてもいなくても管理できないだけの被害者を産めば治安組織にも無理が来る。
それは国家主権の崩壊につながるが、そんなアホな事さすがにできないと思うだろう。だが意外といけそうである。というのも、ISが台頭し初めてすぐのころ、いわば”女権”が勢力を増し始めた時期に、けっこうな無茶を行った弊害、爪痕が残っているのだ。
当初は女の社会進出、権利向上をまっとうに訴えていた団体ではあるが、急な増長は矛盾や無駄、歪みを生み出す。
まずは政治家の男女同数を目指していたらしいがよく考えて欲しい。大学入試で男女定員数か何かで、性別により合格点が大幅にずれ込んだ事件があったはずだ。つまり何を言いたいかと言えば、中身の伴わない急な性別枠増加により本来当選しないような頭花畑が政治を回していた時期がある。もちろん今は女同士激化してその限りじゃないが、しかしこの国にいて一度通してしまった法案は覆しがたい。
という訳で今さら思い出させてやろう。難民を受け入れなければいけない義務があったことを。
人権を訴えるのは確かに正しい。正しいが、正論はこの世で最も他人に嫌われる要因である。敵に回った瞬間、それは悪とレッテル貼りされるのだから。
故に人道的に正しい難民受け入れは邪魔されはしまいて。
それに難民の方もまさか自分の首を真綿で締めているとは思うまい。ただでさえ社会上位は凝り固まり脱落者が溢れているというのに、真っ当な職につけるとでも思ったか。生活水準は下の下である。
それでも先進国、富める国は難民を生かす義務から税金切って餌を与えてやらなきゃいけない。でなきゃ暴動まっしぐらだ。しかし税金を使えば納税者からの風当たりが悪くなる。どっちも面倒。
まあそこまで行くと流石に難民が可哀想なので、俺が救いを与えよう。酒と薬で精神をごまかして行け。
因みに薬には殺鼠剤が混ぜてある。昔テレビで見たテクニックだが、毒をわざと混ぜることで興奮作用が切れた後激痛にのたうち回り、それから助かろうと更に薬を使い止められなくするというもの。これを考えた奴は天才すぎる。おかげで粗悪品がバカ売れ。
こうして少しずつではあるが国境は開かれ、人は流入し、政府の預かり知らぬ所が着々と増えていった。自由のと平等の名の下に。
バカめそれは混沌と哀れみ、格差である。
全ては俺の描いた通り、まるで血管内にコレステロールが固まるようにじっとりと内憂外患形成されていく。気づいた時にはもう遅い、脳か心臓を詰まらせるだろう。
ガバガバな社会システムだが、矛盾のない長期漫画が無いように、そりゃあ基礎を改変しないで後付けを重ねて行けば綻びは生まれる。システムに穴はあれどそれを良心と常識と倫理で埋めるのが人間だ。革命戦士だって無辜の民まで死に絶えるような使い方をしないものを、俺は後ろ向きに全力稼働させているに過ぎない。
しかし
世界を相手取るにはもっともっと力がいるが……
そんなことより、ついに原作開始である。
プライバシーは何処へやら、実名曝け出して報道される世界初のIS適性を持った男、織斑一夏。誰が呼んだがワンサマー。彼と彼を作り出した者達のせいで常識が覆され、面倒にも全男性国民が順次検査を受けさせられてしまう。
まあ俺としてISに乗らないでもどうにかできるよう考えてあるので適正はなくてもいい。
あったらあったで学園を引っ掻き回す。一夏くんも鍛えないと弱いからね。人類の敵たる俺と戦うのに相応しいよう育てられるのは最高の暇つぶしだが、さて。
そこにはめ込めるよう、人形の穴があるパワードスーツ、ISに手を置いた。
しばらくして光出す機体。ざわめく会場。
どうやら神もそれなりにわきまえているらしい。機体は無事、起動してしまった。これで俺は安全上の都合と研究のためにIS学園行きが決定したわけだ。
しかし、これは困った。
何もこの世界を舞台に自分向け娯楽劇をやろうとしてるのは俺だけじゃ無い。主人公姉の知り合いにして、主人公に寵愛を振りまく全ての元凶、篠ノ之束。彼女はワンサマーをセンセーショナルにデビューさせたかったはずだが、これでは彼が独占する筈だった世の名声を半分俺が持っていってしまう。
彼女も彼女で興味ある相手以外は死のうが生きようが興味のないスタンス。いや、邪魔なら兵器で殺しにかかってくる。そんなキャラだ。
これは命が危ないな。
期待してるよ。一夏くん。