オラリオに着いたベルは現在、門番に服を捲られ背中を確認されていた。
「・・よし、ありがとう。少年」
何処かのファミリアに入っていないか確認した門番はベルに礼を言い、都市内部に入れる手形を発行した。
礼を述べながら手形を受け取ったベルは辺りを見渡しながら、アイズと会う為に何度も行ったロキ・ファミリアの拠点がある方向へと向かった。
10分ほど歩くとロキ・ファミリアの拠点である「黄昏の館」が見えてきた。
自然と足早になるベル。
「アイズに会える!アイズに会える!」と叫びたくなる気持ちをグッと抑えて、更に足早になるベル。
そうして、黄昏の館の前まで走ったベルは来訪者に応対する為に立っている冒険者に話しかけた。
「すみません」
「ん?どうしたの?」
「ロキ・ファミリアに入れさせて頂きたいんですけど」
「入団希望者ね、分かったわ。ねぇ!ちょっと、私離れるからお願いね」
「はい!」
ベルの話を聞き、黒に近い瑠璃の色をした髪を持つ猫人は同じく門番をしていた冒険者に仕事を預け、館の中へと入っていった。
沈黙が流れる事数分。
館から出てきた猫人に館内に入る事を許可されたベルは猫人の後ろをついて歩き一つの部屋へと通された。
すると、そこには朱髪に糸目という特徴的な容姿を持った人がいた。
(ロキ様...)
「・・どうしたの?」
アイズと結婚した時に泣きながら祝ってくれた思い出深い神を見て懐かしさを覚えて立ち止まってしまっていたベルに問いかける猫人。
「しまった」と思いつつ、「何でもないです。すみません」と謝ったベルはロキが座るソファの対面にあるソファに腰掛けた。
「失礼します」
「ん。少年がウチのとこに入りたいって来た子か」
「はい、ベル...ベル・クラネルです」
「ベル...ベルたんやな」
「たん...?」
そういえば、よくアイズに「アイズたん」って言ってたなとベルが思い返していると、溜息を吐いた猫人の女性が話を進める様に促す。
「ほら、ロキ。ベル君が困ってるから早く進めて」
「分かっとるて。そうせかすなや、アキ」
話を進める様促す「アキ」という名前の猫人に適当に返したロキはベルにいくつか質問して、現在不在である団長が帰ってくるまで待つ様に求めた。
「すまんな、ベルたん。ウチはいいと思うんやけど、ファミリアの入団はウチだけの判断で決めたらあかんねん。多分一週間くらいしたら帰ってくると思うし、この館内で待ってて貰えへんか?」
「え、良いんですか?まだファミリアにも入ってない僕なんかが寝泊まりさせて貰っても」
「構へん構へん。ウチに入りたいって子が来てくれてるのに団長がおらへんって理由でどこかの宿に泊めさせるのも気がひけるし」
「分かりました、ありがとうございます」
ロキの厚意に甘える事にしたベルはアキに空いていた部屋に案内された。
「ありがとうございました」
「うん。じゃあ、私、仕事に戻るから分からない事あったらロキに聞いてね。あ、それと、ウチは出来るだけ、3食は皆で摂るようにしてるから、後で呼びに来るわね」
「はい、分かりました」
「じゃ」と述べて手を振った後、仕事に戻って行ったアキに頭を下げて見送ったベルは「夕ご飯まで何をしようか」と考えた結果、寝る事にした。
靴を脱ぎ、寝台に上がったベルは「ふわぁ」と欠伸をした後、目を瞑った。すると、数分も経たない内にベルの寝息が静かな部屋で反響し始めた。