英雄はやり直す   作:女騎士

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2話

ベルが黄昏の館に泊めてもらった翌日、ベルはロキの部屋の前へと来ていた。

コンコンと扉をノックし、自身の名前を名乗ると入室の許可が降りたのでベルは扉を開けた。ロキにソファに座る様促されたベルは言葉に従い、ソファへ腰掛けた。

 

「んで、どうしたんやベルたん?」

 

「よっこいせ」とベルの対面にあるソファに腰掛けたロキに問われたベルは、自身がこの部屋に来た目的を述べる。

 

「ロキ様、ファミリアに入れていない僕にも炊事や洗濯、掃除等の雑用をやらせては頂けないでしょうか?」

「え、やって貰えんの?」

「はい、させて下さい!」

 

ベルの話を聞いたロキが逆に聞き返すと、ベルはニコッと笑みを浮かべて頷いた。

 

「自分、滅茶ええ子やな!・・ほな、調理から頼んで良い?」

「はい!」

 

ベルの笑みを見て、「萌えー!!」と叫びそうになるロキだったが、アキ等、子ども達に怒られる為、グッと堪えた。

そして、ベルの厚意に甘えたロキはベルを厨房へ連れて行き、そこにいた本日の調理担当にベルを此処に連れてきた経緯を伝えて、自室へと戻って行った。

 

「ありがとうね、ベル君」

「いえいえ!皆さんが出来る事をして黄昏の館を守っているのに、自分だけ何もしない訳にはいきませんので。こちらこそお礼を言わせて下さい」

 

昨日の夕飯の際にロキが間に入り、ファミリアに所属する冒険者達と交流し、ロキに手助けして貰いながら、全員とある程度仲良くなったベルは本日の調理担当の女性2人と男性1人に礼を述べられる。

すると、ベルはその礼に照れつつ、自身の考えを話した。

ベルの考えを聞いた調理担当の3人は一同に「この子、凄く良い子なんだな」と思った。

ベルの考えを聞き、感心した3人はひとまず、野菜についている泥を流して貰う事と泥を流した野菜の皮むきを頼んだ。

野菜を綺麗にすることと皮むきを頼まれたベルは支給されたエプロンを着用した後、3人が目を見張る速度で仕事をこなし始めた。

 

「す、凄い...」

「凄く慣れてるじゃん...」

「・・・」

 

ベルの姿を見て三者三様の反応を見せる調理担当の者達。

すると、3人が驚いてる間にどんどん仕事が終わっていき、3人が其々、仕事を再開し始めた時には、ベルは頼まれた仕事を終わらせていた。

 

「終わりました!」

 

元気よく3人に声を掛けるベルに「もっと仕事をして貰っても良いのでは?」と考えた3人は其々、やって貰いたい事を頼んだ。

 

「いやー、本当にありがとう。ベル君」

 

作った料理を皿に盛り付け、長テーブルの上に運び終えた調理担当とベル。

食材の切れ端や塩、胡椒といった調味料がこぼれている調理台を綺麗にしていた調理担当の1人が声を掛けると、他の2人も片付けをしつつ其々、ベルに礼を述べた。

3人に「先に休憩してて」と頼まれ、長テーブル横の椅子に座って水を飲んでいたベルは「いえいえ」と応えた。

 

「・・それにしても、凄い量ですね?」

 

目の前にある料理達を見て、感想を述べていると「アハハ」と苦笑いした調理担当の1人が応えた。

 

「ウチは団員多いからねー。まぁ、交代制だからしょうがないんだけどね」

 

苦笑いする調理担当の応えを聞いて、「そういえば、同盟組んでた時に何度か黄昏の館でご馳走になったけどあの時も凄い量だった様な...。調理してくれた方々、あの時はありがとうございました!」と礼を念じるベルだった。

調理を終え、少し休憩をしたベルは調理担当の1人に着いてきてほしい場所があると言われ、着いて行った。

廊下を歩き、階段を登る。そして、また廊下を歩き、階段を登る。自分の前を歩く調理担当の後ろをついて行く形で歩く事数分。

一つの扉の前に着いたベルと調理担当の1人。

 

「ここではご飯が出来次第、この部屋にある鐘を鳴らす決まりになっているんだ」

 

扉を開けて、部屋の中に入った調理担当は「こんな風にね」と呟きつつ、鐘のそばに置いてある撞木を手に取って鳴らした。

雨や雪以外は常に窓を開けている状態の部屋である為、鐘の音が反響して館中に広がっていく。

 

「よしっと。・・もし、ベルが入団する形になったら鳴らしてきて欲しいと頼む事があるかもしれないから覚えておいてくれたら嬉しい」

 

ニコッと微笑む調理担当に「はい!」と元気よく返答したベルは鐘の音に耳を傾けながら、先程料理を並べた食堂へと向かった。

食堂に向かう道中で他の団員達と会ったベルが共に食堂へ入ると、既に多数の団員とロキが席に座っていた。

 

「お、ベル。鐘鳴らす事と場所教えて貰ったんか?」

「はい。って、ロキ様、お早いですね⁉︎」

「勿の論やで!ベルたんがご飯作るの手伝っとるって皆んなに喋ったら皆、食べたい!って言うて鐘が鳴った瞬間、すぐ来たんや」

「そ、それはありがとうございます。精一杯頑張って作らせて頂いた料理が幾つかあるのでご賞味ください」

 

ロキの話に照れつつ、頑張って料理を作った事をベルが伝えると、ロキは笑みを浮かべて、ベルの話を聞いていた団員達に声をかけた。

 

「よっしゃ。皆、食べるで!」

 

ロキの音頭で目の前にある料理に手をつけたロキと複数の団員達は驚く。

 

「うっま...」

「え、何これ...」

「美味しすぎる」

 

偶々、ベルが作った料理を最初に口に運んだ団員達が驚く中、ベルの隣に座っていたロキがベルに口早に捲し立てる。

 

「美味っ!美味すぎるで、ベルたん!何で、こんな美味いの⁉︎なぁ何で⁉︎って痛っ!何すんねん、アキ!」

「ベルが固まってるから離れなさい」

「えー、いいやん...すみません」

 

アキにジロリと睨まれて謝るロキ。

そんなロキを視界の端にやりながらベルが作った料理に舌鼓を打つ、団員達だった。

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