英雄はやり直す   作:女騎士

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6話

フィン、リヴェリア、ガレスの三人と其々違う日に一緒にダンジョンへ潜る約束をしたベルは、ロキに「ほんじゃ、行こか」と促されて居間へと向かった。

ベルが居間へと向かうと、褐色肌を持つ美人な二人組、頬に刺青が入った狼人、山吹色の長髪をポニーテールにしてリヴェリアが持つ錫杖に似ている錫杖を持ったエルフ等、多種多様な人達がいた。

 

(ティオナさんにティオネさん、ベートさん、レフィーヤさん...)

 

以前、『英雄』と呼ばれていた際にお世話になった冒険者達が揃っていて、ベルが懐かしさを覚えながら周りを見回すと、「彼女」はいた。

 

(あ...ああ...!)

 

金糸を連想する事が出来る綺麗な金髪に一瞬、女神かと思う程の綺麗な容姿。男女問わず誰もが一度は見惚れるであろう容姿を持った彼女。「アイズ・ヴァレンシュタイン」がそこにいた。

眠たそうな目で自分の方をチラリと見るアイズの姿に涙を流しそうになったベルだったが、グッと自身の感情を押さえつけて、涙が流れ出る事を阻止した。

ベル達が居間に入室してきて、室内にいた冒険者達が一斉にベル達の方へ視線を送ると、先頭にいたフィンが口を開いた。

 

「皆、遠征の後で疲れてるところ悪いが少し聞いてくれ。先程、面接をパスしてこの子がウチのファミリアに入ることになった。ベル、自己紹介を」

「はい。・・皆さん、はじめまして。僕はベル・クラネルといいます。14歳です。色々、至らない点などあると思いますが、頑張ります!よろしくお願いします!」

 

過去に戻る前までは何度も会った人達だが、今は初対面。

初めて会う様に振る舞いつつ、元気良く挨拶したベルに快くした団員達は其々、声をかけていく。

数多くいる団員達の中でも特に交流が深かったティオナ、ティオネ姉妹、ベート、レフィーヤ、ラウルとも挨拶したベルは最後に声をかけてきたアイズと挨拶をする。

 

「・・アイズ・ヴァレンシュタイン...宜しく」

「はい!宜しくお願いします。ヴァレンシュタインさん!」

「・・アイズ、で良いよ。皆、そう呼ぶし...」

「はい、分かりました。宜しくお願いします。アイズさん...って、どうしたんですか?」

 

名前で呼ぶ様に促され、内心泣きそうになりながら改めて挨拶したベルはアイズの視線に気づく。

すると、アイズはベルの頭に視線を向けつつ呟いた。

 

「・・もふもふ」

「へっ?」

 

聴覚が強化された過去に戻る前だったら聞こえたかもしれない程の小さな声に思わず、ベルが呆けているとアイズが手を伸ばす。

 

「え、あ、あの、ちょっ」

 

どんどん自分の顔の方へ伸びてくるアイズの手を見て、ベルが慌てる。

そして、ベルの頭にアイズの手が触れそうになった時、横から色白で綺麗な手が伸びてきて、アイズの手を取った。

 

「何してるんだ、お前は...」

「リヴェリア...。ベルの頭気持ち良さそうだった」

「・・だからと言って、勝手に彼の頭を触ってて言い訳がないだろう。・・ハァ...。すまんな、ベル」

「あ、いえ、びっくりはしましたけど、ちゃんと言ってもらえれば大丈夫ですよ」

 

娘の様な存在であるアイズがしでかそうとした事を止め、謝辞を述べたリヴェリアに「ハハ...」と苦笑を浮かべたベルは「大丈夫だ」と述べる。

すると、アイズとベルの挨拶を見ていたティオナがすっ飛んでくる。

 

「ハイハイ!ベル、触らせて!」

 

突然、手を挙げて「触らせてほしい」とねだってくるティオナにびっくりしたベルだったが、快く了承した。

すると、次々と団員達がベルに駆け寄ってくる。

団員達...主にエルフ以外の女性団員に揉みくちゃにされたベルは少し疲弊していた。

 

(歓迎されてるのは嬉しいけど、可愛いって...。僕、一応、男なんだけどな)

 

久しぶりに聞いた「可愛い」という言葉に懐かしさを覚えてると服の袖をチョイチョイと引っ張られる。

 

「・・私が最初に触りたかった...」

「あ...す、すみません!」

「・・触って良い?」

「はい!」

 

拗ねてるのか少し頬を膨らませたアイズに問われ、即刻了承するベル。

ベルの頭部に手を伸ばし、頭を撫でたアイズは満足そうに微笑む。

 

「・・もふもふ...フフッ」

「ッ⁉︎」

 

自分の頭を撫でて微笑むアイズの顔を見て、可愛さの余り顔を真っ赤にするベル。

そんな、ベルを見て不思議そうな顔を浮かべたアイズは再度、問う。

 

「どうかした...?」

「い、いえ!何でもないです⁉︎」

「そう...?・・ありがとう」

 

ベルに問いかけた後、再度、頭を撫でたアイズは満面の笑みを浮かべて去っていった。

アイズに撫でられて顔を真っ赤にするベルに、ベルの秘密を知るファミリアの最高幹部の3人とロキは苦笑した。

アイズがティオナ達のいる方向へ戻って行くのを確認したフィンはベルを冒険者登録に行く様促す。

 

「よし。じゃあ、ベル。ロキとバベルに行き、冒険者登録をしてきてくれ」

「あ、はい。分かりました」

 

ロキと共にバベルへ行く様に指示されたベルは一緒に行きたがるティオナ達に謝りつつ、館を出た。

ロキ・ファミリアの拠点である『黄昏の館』からバベルへ向かう事に新鮮さを覚えつつ、ロキと他愛もない話で盛り上がっていると空に届きそうなほど高い石造りの建造物が見えてきた。

 

「バベル...」

 

バベルの前までやってきたベルは立ち止まった。

「どしたん?」と聞いてくるロキに返答せず少しの間、目を閉じたベルは目を開き、ロキに謝った。

ベルが何故、立ち止まっていたのか何となく察しがついたロキは首を横に振り、バベルの中へと入っていった。

ロキに続き、ベルがバベルに入ると、受付の前に並ぶ何人かの冒険者の列や依頼書が貼られたボードの前で複数貼られている依頼書を吟味する複数の冒険者達。ダンジョンに入ってモンスターを倒して得た魔石を換金する冒険者達など様々な人達が目に入った。

ベルが周囲を見渡し、感動しているとロキに受付の前に並んでいた人が捌けた事を教えてもらった。

ロキに礼を述べ、受付の前までやってきたベルは気づく。

 

(・・エイナさん)

 

ベルが視認した受付嬢はエイナ・チュール。ベルのアドバイザーになった人物で、普段は優しいが怒ると凄く怖い。「英雄」と呼ばれる様になった後もダンジョンに潜る際には、心配してくれた数少ない人達の一人である。そんな、受付嬢を視認したベルは自然と足早になりながら、近づく。

 

「あの、冒険者登録をさせて頂きたいんですけど」

「分かりました」

 

ベルが冒険者登録をする旨を伝えると、エイナは奥にある戸棚から書類を出して、ベルが見やすい様に書面をベルの方へ向けて差し出した後、「必要事項を記入して欲しい」と述べる。

エイナに言われた様に必要事項に記入したベルが書類を返すと、エイナは書面に記入漏れが無いか確認した。

10分もしない内に冒険者登録が済んだベルは、エイナに礼を述べた後、ロキと共にバベルを出た。

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