鬼を狩る異形   作:奥歯

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第十話 あの二人の登場回です。



泣き虫と猪頭と蜘蛛の怪人

僕は昨日の戦いのことはよく覚えていない。炭治郎から聞いたところ、どうやら僕は暴走して危うく禰豆子を殺そうとしてしまったようだ。

 

「ごめん炭治郎、僕のせいで禰豆子が.......」

 

「大丈夫だよ兄ちゃん。禰豆子も許してくれてる。そういえばどうしてあの時暴走したんだろう?」

 

「わかんない、けどなんかすごくいい気分だったんだ。まぁその後は頭が痛くて仕方ないけど。まだ痛い」

 

「なんか二日酔いみたいだね」

 

「まぁ、そんな感じだね。二日酔いってこんな感じなのかな?」

 

すると鎹鴉が次の目的地を告げる。僕はその声で頭がより痛んだ。

 

「南南東、南南東、南南東!!次ノオ場所ハァ南南東!!」

 

「うるさいなぁ、静かにしてくれ。頭に響く」

 

「わかった!!わかったからもう少し黙ってくれ、頼むよ」

 

「ギャーーー!!」

 

「うるせぇーーーーー!!」

 

「「!?」」

 

僕は突然の叫び声に思わず怒声を上げた。隣にいた炭治郎と鎹鴉はものすごい顔で驚いている。

 

「頼むよ!!頼む頼む頼む!!結婚してくれ!!いつ死ぬか分からないんだ俺は!!だから結婚して欲しいというわけで!!頼むよオーーーーーーーッ!!」

 

そこにいたのは情け無く女の人に縋り付く金髪の炭治郎ぐらいの少年がいた。なにやらもめてるようだ。

 

「何だ?」

 

僕と炭治郎は女の人から少年を離すために駆け寄る。すると炭治郎の元に雀が何やら慌てた様子で僕たちに何かを伝えようとしている。

 

「チュン!チュン!チュン!チュン!」

 

「そうかわかった!なんとかするから!」

 

「えっ!?」

 

炭治郎はどこで覚えたかは知らないが雀の言葉がわかるようだ。僕は女の子に捕まる少年の持ち上げる。

 

「ちょっと君!その子が困ってるじゃないか!離れるんだ!大丈夫ですか?怪我はないですか?」

 

「えっは、はい。ありがとうございます」

 

「よかった」

 

僕は女の子に怪我はないかと確認するがどうやら大丈夫みたいだ。少し顔が赤いけど。すると少年は僕に掴みかかってきた。

 

「てめええええ!!何すんだよ!!そいつは俺が結婚するんだぞ!!なに獲ろうとしてんだ!!なにちゃっかり惚れさせてんだよ!?」

 

「うるさい!結婚なんて君の一方的な好意じゃないか!!そんなんじゃ結婚したくてもできないぞ!」

 

「じゃあお前は結婚してんのかよ!!」

 

「........」

 

「図星じゃねえか!」

 

僕は少年に図星を突かれ、何も言い返せなくなる。そして少年は炭治郎を見ると仲間を見つけたような顔で炭治郎に近づく。

 

「あっ!隊服.....!お前は最終選別の時の........!」

 

「炭治郎、知り合い?」

 

「いや、こんな奴知らない」

 

「えーーーーーー!!会っただろうが!!会っただろうが!!お前の問題だよ記憶力のさ!!」

 

どうやら炭治郎はこの少年を知らないようだ、しかしうるさくてしょうがない。彼の大声で頭が痛む。僕は女の子を先に帰らせると、彼はまだ着いて行こうとする。僕は少年を止めるためにはがいじめにした。

 

「おい、離せよおおおおおお!!俺はその子と結婚するんだ!!俺のこと好きなんだから!!」

 

「嘘つけ!!」

 

「嘘じゃねえええよおおおお!!俺のこと心配して声をかけてくれたんだぞ!!絶対俺のこと好きじゃん!!」

 

「完全に君の思い込みだろ!!なんでそれであの子が君のこと好きだと思ったんだ!!」

 

僕は少年を離しその場に座らせるが、まだ少年はまだ喚いている。この少年は完全にどうかしてる。なんて哀れな少年なんだ。

 

「そんな目でみんなよおおおお!!可哀想な奴を見る目で見んな!!いいか!!俺はもうすぐ死ぬ!!次の仕事でだ!!俺はなもの凄く弱いんだぜ舐めるなよ!!俺が結婚できるまでお前たちは俺を守れよな!!」

 

そんな彼に僕と炭治郎は自己紹介をする。いつまでもお前と言われては困る。気が進まないが。

 

「僕は竈門悠だ」

 

「俺は竈門炭治郎だ!!」

 

「そうかい!!ごめんなさいね!!俺は我妻善逸(あがつまぜんいつ)だよ!!助けてくれよ悠さん!!炭治郎!!」

 

この少年の名は我妻善逸というらしい。善逸君も、隊服を着ているみたいだから剣士だろうか。

 

「善逸君、どうして君は剣士なのにそんな情けなく泣いているんだ?」

 

「女に騙されて借金したんだよ!!借金を肩代わりしてくれたジジイが育手だったの!!毎日毎日地獄の鍛錬だよ!!死んだ方がマシってくらいの!!最終選別で死ねると思ったのにさ!!運良く生き残こるからいまだに地獄の日々だぜ!!あーーーー怖い怖い怖い怖い!!イィヤァアアーーー!!助けてェーーーーー!!」

 

「うるさい!!」

 

「痛えええええ!!?」

 

僕はたまらず善逸君の頭を殴ってしまった。あまりにも痛かったのかのたうち回っている。少し落ちついて善逸君はずっと叫び続けたせいか、お腹空いて頭には僕につけられたこぶができており、炭治郎のおにぎりを食べていた。

 

「炭治郎、早く目的地に行こうあまり無理はするなよ骨折れてんるんだから。善逸君もどうやら同じ場所みたいだし、善逸君も一緒にこう」

 

「は!?なんで!?なんで俺も行くの!?死にたくないって言ったよね!?」

 

「わかった、わかったから。何があったら僕のそばにいていいから」

 

「嫌だよ!!鬼殺隊でも無い悠さんについて行ったら絶対死ぬ!!」

 

「善逸!!兄ちゃんを馬鹿にするな!!兄ちゃんは俺よりもずっとずっと強いんだぞ!!」

 

「嘘つけ!!呼吸も使えない!!日輪刀も持っていない奴にどうやって鬼と戦うんだよ!!」

 

善逸君は信じてもらえないようだ。まぁそれもそうだ。善逸君は僕の力を知らないから、信じてもらえないのも無理はない。歩いてる間に僕たちは目的地に着いた。

 

「血の匂いがする」

 

「えっ、血?そんなことより変な音しないか?なんか気持ち悪い」

 

「確かに鬼の気配を感じる」

 

僕は屋敷の周りを見渡していると草むらの中に二人の子供が怯えながらこちらを見ていた。僕は子供に近づいて話を聞く。

 

「君たちどうしてここにいるんだ?ここは危険だ」

 

しかし二人の子供は怯えて話してくれないようだ。すると炭治郎が子供に近づき善逸の雀を使って子供と打ち明けていた。話によると、この屋敷に来た時二人の兄が化け物に攫われてしまったらしい。

 

「早くなんとかしないとまずいことになるぞ、炭治郎、善逸君、僕が屋敷の中を確認してくるからここで待っててくれ。安全だとわかったら戻ってくる」

 

「なぁ、さっきから鼓の音がしないか?気持ち悪い」

 

すると屋敷から鼓の音がしたと思えば突然障子が開き血だらけの男が落ちてきた。炭治郎は男に近寄り安否を確認する。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「クソッ......やっと.........出......ら.....れたの....に.......」

 

男はそこでこときれてしまった。炭治郎は涙を流し、僕はあの男が兄かどうかを聞く。

 

「あの人が君たちのお兄さん?」

 

「違う、兄ちゃんは柿色の着物を着てる.......」

 

「そっか、ごめんね怖い思いさせちゃって。炭治郎!善逸君!屋敷の中を確認している暇はない!多少危険でも行くぞ!」

 

「わかった!」

 

炭治郎は行こうとしているが善逸君は全力で首を振っていた。

 

「善逸君!それでも君は男か!?」

 

「嫌なもんは嫌なんだよーーーーー!!」

 

「そうか、わかった。嫌ならついてこなくていい、弱い奴はいるだけ無駄だからな」

 

「わかった!!わかりました!!だからそんなこと言わないでーーーーーー!!」

 

僕はあえて突き放すような言い方で善逸君を無理矢理ついてこさせた。少し言い過ぎだかもしれないけど。

 

「中は普通の屋敷だな。静かすぎる」

 

「なぁ悠さん、炭治郎、守ってくれるよな。俺を守ってくれるよな」

 

「それは無理な相談だね、この屋敷じゃいつどこで何が起きるか分からないし鬼の血鬼術もどんなものかわからない、もしこの屋敷ではぐれてしまったら君を守ることはできない。それに炭治郎も肋と足の骨が折れてるんだ、本調子じゃない、自分の身は自分で守るんだ」

 

「そんなぁーーーーー!!なんで骨折れてんだよ!!骨折れてちゃダメだろ!!これじゃ俺を守れないじゃんかーーーーー!!死んだーーーーーーー!!俺死んだーーーーーー!!九分九厘死んだーーーーー!!」

 

「善逸、静かにするんだ。お前は大丈夫だ」

 

「気休めはよせーーーーーー!!」

 

炭治郎は必死に善逸君を宥めるが全く効果がないようだ。すると二人の子供が屋敷の中に入ってきた。

 

「ちょっと!!屋敷の中に入っちゃダメだろ!!」

 

「で、でもあの箱カリカリ音がして!」

 

「だからって中に入っちゃダメじゃないか!!この中には鬼がいるんだぞ!!はぁ、取り敢えず、二人とも屋敷から出るんだ。ここは僕たち三人の仕事だから邪魔しないでくれるかな。じゃあ僕はあっちの部屋を見てくるから炭治郎と善逸君は二人を連れて外に出るんだ」

 

僕はふたつ向こうの部屋に行き誰かいないか確認する。しばらくすると屋敷の中から突然何が軋む音が聞こえた。すると今度は鼓の音が聞こえ、突然部屋が変わり、また鼓の音が抱えたかと思えば同時に部屋が変わった。

 

「炭治郎!善逸君!クソッはぐれてしまった!早く合流しないっ....?」

 

僕は早く炭治郎と合流するために動こうとする。しかし目の前には一人の血だらけ男が膝をついて座って何かをしている様子だった。僕は鬼に捕まった人だと思い近付く。

 

「だ、大丈夫ですか........!!」

 

僕はとんでもないものを見てしまった。なんとこの男は鬼を喰っていたのだ。僕は警戒し距離をとる。男がこちらに気づき振り向いた。

 

「お前もこいつを喰いにきたのか?俺は腹が減って仕方がなくてな、この屋敷に入ると鬼が沢山いたもんだからついてたよ。鬼の肉は本当に美味い、人間の肉より少し硬いが喰う価値はある。どうだお前も喰って見ないか?美味いぞ?お前も俺と同じ仲間だよな?」

 

「!!お前もしかしてアマゾンか!?」

 

「そうそう!俺もお前と同じアマゾンさ。同じ仲間なら俺と一緒に鬼と人間たちを喰おうぜ!」

 

男は僕に仲間になれと言ってるのか、やはり僕は人間とは違う化け物なんだと思った、東京での暴走で禰豆子を危うく殺しかけたんだ一緒にいたらいつか禰豆子と炭治郎を僕は喰い殺してしまうかもしれない。いや、そんなことない!僕は炭治郎たちに信頼されてるんだ。死んでしまった家族のためにも最後に残った炭治郎と禰豆子だけでも守り抜く、僕は人間を喰う奴なんかと仲間になるつもりはない。僕はハッキリと答えた。

 

「僕は人間も鬼も喰うつもりはない!!お前がもし人間を喰い続けるのならお前は僕が殺す!!」

 

「.............そうかよ、なら仕方ねぇここで殺されるのは御免だ。お前が俺を殺すなら、俺はお前を殺すまでだ!!」

 

すると男の体から蒸気が出て体が隠れる、蒸気が晴れるとそこに立っていたのは蜘蛛のような姿をした怪物だった。仮にそいつをクモアマゾンと名づけよう。クモアマゾンは僕に飛び掛かり八本の脚で切り裂こうとする僕は咄嗟に避けなんとか食らわずに済んだ。僕は大きく息を吸いあの言葉を大声で叫ぶ。

 

「アマゾンッ!!」

 

クモアマゾンは僕に攻撃しようとするが、変身の衝撃で吹き飛ばされ壁に背中を打ち付けた。しかしなんともないかのように立ち上がり僕に威嚇する。

 

「グシャアアアアア!!!」

 

「ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

僕も負けじとクモアマゾンに威嚇した。僕はクモアマゾンに連発して拳を突き出し腕の刃で切り付ける。クモアマゾンも連続で爪を僕に切り付ける。お互い一歩も引かず僕には赤い血が飛び散りクモアマゾンには黒い血が飛び散った。僕隙を突いてクモアマゾンに蹴りを入れ距離をとる。すると鼓の音が鳴り響き部屋が連続で切り替わった。僕は空中浮遊の状態になりクモアマゾンとつかみ合いまた殴る。やがて鼓の音も止み僕は着地し、体制を立て直す。

 

「(こいつ鬼より硬い!まるで鉄を殴ってるみたいだ!)」

 

「ウシャアアアアアアア!!」

 

「ウガアアアア!!」

 

クモアマゾンは僕に体当たりし、屋敷の外に放り出した。そこには炭治郎と善逸君と猪の頭をした謎の少年がそこにいた。炭治郎は今、猪頭と喧嘩をしている真っ最中なようだ。

 

「ギィヤアアアアアアアアア!!今度はなんだよオオオオオオ!?」

 

「兄ちゃん!!」

 

「ぐわはははは!!また新しい奴が現れたぞ!!」

 

「炭治郎!こいつ、アマゾンだ!!」

 

「えっ!?」

 

僕はクモアマゾンに両足蹴りをくらわし、クモアマゾンは吹き飛ばされ炭治郎たちの方に落ちる。クモアマゾンはやっと炭治郎たちの存在に気づいたのか、振り返り襲い掛かろうとする。炭治郎と猪頭は刀を構え善逸君は少年の後ろで怯えていた。クモアマゾンは炭治郎たちの攻撃を飛び越え後ろの方にいる兄弟たちに狙いを定める。僕はそうはさせまいと全力で走りあともう少しで届きそうなところで、クモアマゾンの背中かを貫き心臓らしきものを引きずり出した。クモアマゾンはその場でドロドロに溶けて黒い血のようなものだけが残った。僕は膝をつき兄弟たちを見る。兄弟たちは無事なようだしかしひどく怯えた様子で僕を見ていた。

 

「だ、大丈......」

 

「「「ひいいいいいいいい!!」」」

 

「.............」

 

僕が手を差し伸べようとすると兄弟たちは大声で叫んだ。変身を解き木の下に休んで後は炭治郎たちに任すことにした。屋敷の中の人たちを供養し、兄弟たちも無事に帰り後は善逸君たちに説明するだけだ。けど善逸君は炭治郎の後ろに隠れ、猪頭は僕に勝負を挑もうとして、炭治郎に止められていた。

 

「大丈夫だよ善逸、伊之助(いのすけ)、兄ちゃんは人を喰ったりなんかしない」

 

「嘘つけ!!じゃあなんのためについてんだよ!!あの牙!あの爪!絶対人間喰うためのものじゃん!!俺に近づくんじゃねええええええ!!炭治郎助けてえええええええ!!イャアアアアア!!」

 

「おいお前!!さっきのやつなんだ!!もう一度あの姿で俺と戦え!!」

 

「おい二人とも!!兄ちゃんを化け物呼ばわりするな!!」

 

「いいんだ炭治郎。怖がる方がむしろ自然だし、いつかこうなるってわかってたから」

 

僕たちは歩きながら説明した、アマゾンのことを今まで何があったのかを。




次回もお楽しみに。
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