鬼を狩る異形   作:奥歯

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長らくお待たせしました。第十一話です。


那田蜘蛛山と赤い怪人

「ーーと言うわけで僕と炭治郎は旅をしているんだ」

 

僕は善逸君と伊之助君に全てを話した。善逸君どこか納得した様子だし伊之助君は興味がないのか全然話を聞いていない。因みに伊之助君は鬼殺隊と力比べをしている時に鬼の存在を知ったらしい。育手に教えてもらってないのに自ら呼吸を作った結構すごい少年だ。善逸君かぼろぼろなのは伊之助君から箱を守るためだったらしい。僕たちは鎹鴉に連れられてある場所に来た、そこは藤の花の家紋の家だった。すると門から一人のお婆さんが出てくる。善逸君はお婆さんを見るとお化けだと言って絶叫し、かなり失礼な事を言って炭治郎に怒られていた。僕たちは家の中に入りお婆さんの仕事の早さに驚いた。なんでもお婆さんの一族は鬼殺隊に命を救われたようで鬼殺隊であれば無性で家に入れてくれるそうだ。

 

「あれ?他に誰かいるんですか?」

 

「はい、もう一人鬼狩り様がおりまして、今は外を散歩しているんです」

 

「そうですか......」

 

僕たちは食事をしている。伊之助君は炭治郎のご飯を奪って挑発しているが、全く効果がないようだ、しかも食べ方が汚い。炭治郎は肋三本、善逸君は肋二本、伊之助君は肋四本と、三人とも肋の骨を折っており、僕はご飯を食べていたらもう治ってしまった。しばらくして善逸君は僕に質問をしてきた。

 

「悠さん、箱の中にいる禰豆子ちゃんってどんな子なの?」

 

「それはもうすごく美人な子だよ。町1番」

 

「うへへぇ、どんな子なんだろ」

 

善逸君は気持ち悪い笑い方をすると箱の扉が開き禰豆子が中から出てきた。善逸君は禰豆子を見るや否や物凄い勢いで叫ぶ。

 

「うはああああああああ!!超美人じゃん!!超可愛いじゃん!!てめえ炭治郎!!いいご身分だな!!なんでこんな可愛い妹と旅なんかしてんだあああああ!!」

 

善逸君は日輪刀を抜き炭治郎に嫉妬丸出しで襲い掛かる。僕は疲れてるっていうのに、寝る時でも騒がしい奴だ。炭治郎は善逸君を黙らせるために何度も頭に頭突きをする。しかしいくらやっても善逸君は倒れなかった。仕舞いには、夜明けまで続き炭治郎も耐えきれず気絶してしまいそれと同時に善逸君も倒れてしまった。炭治郎の硬い頭を耐えるなんてなんで頑丈な奴なんだと内心僕は関心したし同時に呆れもした。おかげで朝まで目が覚まりっぱなしだ。それからというもの善逸君は禰豆子を見た時から妙に僕と炭治郎にゴマをするようになったし伊之助君は何度も僕と戦えと言ってくる。休養しているはずなのに全然休まらない毎日だ。そんなある日一人の男が僕たちに話しかけてきた。その男は髪がボサボサで先が金髪になっていて、目つきも悪く顎髭をたくわえている浮浪者のような男だ。

 

「最近騒がしい奴らはお前たちか?毎日うるさくって眠れもしねぇ」

 

「す、すみません!迷惑かけてしまって」

 

「まぁいい、元気なのはいいことだ。俺もそろそろ行くし、またどこかで会えるかもしれねぇな。そん時はあの世かもしれねぇけど。じゃあな俺はもう行く」

 

男は振り向きもせずに行ってしまった。その男に炭治郎は少し不思議がり、善逸君は僕の後ろに隠れて怯え、伊之助君は動物みたいに威嚇していた。各々の反応はあまり良さそうじゃない、かと言う僕も少し怪しげな感じはする。それからどれくらい経ったか、炭治郎たちの傷も治り、鎹鴉から次の仕事も来ていた。どうやら那田蜘蛛山という場所にいくらしい。僕たちは準備をし、お婆さんから切り火をしてもらう、その行為に伊之助君は攻撃だと思いお婆さんに襲い掛かろうとするが炭治郎に抑えられた。どうやら切り火というのはこれから危険な仕事をするためのお清めらしい。僕たちはお婆さんにお礼をし、那田蜘蛛山に向かった。那田蜘蛛山に着いた頃にはもう夜になっていた。すると善逸君が突然何かを言い出す。

 

「待ってくれ!!ちょっと待ってくれないか!!怖いんだ!!目的地が近づいてきてとても怖い!!」

 

「善逸君またか、ここまで来てどうして君はそうなるんだ。鬼殺隊としての誇りはないのか?」

 

「ないよ!!あるわけないでしょ!!逆にあるほうが異常だ!!」

 

すると向こうの方から誰かの気配がし、振り返ると倒れている人影があった。近寄ってみるとその人は隊服を着ており、鬼殺隊というのがすぐにわかった。

 

「たす.........助けて...........」

 

「隊服を着ている!!何かあったんだ!!」

 

「大丈夫か!?どうした!?」

 

炭治郎が駆け寄ろうとすると突然鬼殺隊員は何かに引っ張られるように山の中へ消えていった。

 

「アアアア!!繋がっていた!!俺にも!!たすけてくれえ!!」

 

「そんな.......炭治郎!善逸君!伊之助君!僕たちも行くぞ!!」

 

「う、うん!!」

 

「俺が先に行く!!お前たちはガクガク震えながら俺についてきな!!腹が減るぜ!!」

 

「腕が鳴るだろ........」

 

僕たちは善逸君を置いて山の中に入って行く。しばらくして茂みの中に身を潜めている隊服を着た男を見つけた。僕はその人に近づき慌てさせないように落ち着かせる。

 

「応援に来ました。階級癸の竈門炭治郎です」

 

「癸........、癸...........、なんで柱じゃないんだ....!!それに一般人まで連れて!危険すぎる!!」

 

「そんなことより状況を説明して下さい!!」

 

「一般人が知ってなんになっ........!」

 

「うるせぇ!!さっさと説明しろ!!」

 

伊之助君は痺れを切らし鬼殺隊の剣士を殴る。炭治郎が伊之助君止めている間に鬼殺隊の剣士は慌てて説明した。

 

「かっ鴉から指令が入って十人の隊員がここに来た!山に入ってしばらくしたら隊員が隊員同士で斬り合いになって!!」

 

「そうですか、ありがとうございます。ところで名前は?」

 

「俺の名前は村田(むらた)だ」

 

「僕の名前は竈門悠ですあっちにいる猪の被り物をしているのが伊之助君と言います。村田さん、僕たちとっ........!」

 

すると茂みの方から何やら気配がする。振り向くと、そこには隊服を着た隊士だった。しかしどこか虚ろな目をしており、生気を感がない。その隊士は千鳥足で近づいてくる。すると隊士は突然僕たちに切り掛かってきた。

 

「こいつらみんな馬鹿だぜ!!隊員同士で斬り合うのは御法度だってしらねぇんだ!!」

 

「違う伊之助君!何か様子がおかしい!!」

 

僕は動きがおかしい隊士を見て背中にある糸のようなものを見つけた。僕は操られている隊士たちを蹴り飛ばし距離を取る。

 

「炭治郎!伊之助君!この人たちに何か糸のようなもので操られている!!それを切るんだ!!」

 

「うるせぇ!そんなもん最初からわかってらぁ!!」

 

炭治郎と伊之助君と村田さんは僕が言ったとおりに隊士についている糸のようなものを切っていく。すると隊士たちはたちまち倒れてしまった。しかまた糸により起き上がり襲い掛かる。

 

「くっ、元を仕留めないと意味がない!!炭治郎!!操っている奴を探してくれ!!僕たちはこの人たちをなんとかする!!」

 

「わかった!!探してみる!!」

 

「おい!こいつらは俺がなんとかする!!お前たちは鬼を探せ!!」

 

「わかりました!!ここは任せます!!行くぞ伊之助君!!」

 

「うるせぇ!!俺に命令するんじゃねぇ!!」

 

炭治郎は操っている鬼を探しに行き、僕と伊之助君は操られている隊士と向き合う。すると気配を感じ、上の方に顔を向けると、そこには少年が空中に立っていた。よく見ると左目には下弦の伍と書かれてある。どうやらこいつが十二鬼月のようだ。

 

「僕たちの家族の静かな暮らしを邪魔するな。お前らなんかすぐに母さんが殺すから。」

 

そして下弦の伍はどこかへ行ってしまった。伊之助君は斬りかかろうとするが、あと少しのところで届かない。

 

「クソッテメェ待ちやがれ!」

 

「伊之助君!今は仕方ない!まずはこの状況をなんとかするんだ!!」

 

「お願い逃げて!このままじゃあなたたちを殺してしまう!!」

 

「大丈夫!絶対に助ける!!伊之助君!この人たちを木に投げるんだ!!糸が絡まって動けなくなるはずだから!!」

 

「なんだよそれ!面白そうじゃねぇか!!」

 

僕と伊之助君は操られている隊士たちを木に投げ、動けないようにした。これで炭治郎が操っている鬼を倒せば一件落着だ。しかし現実はそう甘くはない、突然隊士たちの首があり得ない方向に曲がり死んでしまった。助けられなかった、僕は簡単に命を奪う鬼たちと助けられなかった僕の無力感に静かに怒りをあらわにする。

 

「.........行くぞ」

 

「お、おう」

 

僕と伊之助君は走りながら操っている鬼を探す。すると突然目の前に大きな鎌をつけた首のない鬼が糸で操られていた。

 

「こいつには首がない!伊之助君袈裟斬りだ!首の付け根あたりから斬ってみよう!!僕は変身するから時間稼ぎをしておいてくれ!!」

 

「うるせぇんだよてめぇさっきから!!そんなん最初からわかったとるわ!!俺に偉そうに命令するんじゃねえ!!」

 

伊之助君は僕に悪態をつくが言うことはちゃんと聞いてくれるようだ。伊之助君が時間稼ぎをしている間、僕は大きく息を吸い大声で叫ぶ。

 

「アマゾンッ!!」

 

僕は変身し、首無しに飛び掛かる。首無しは鎌で僕に攻撃するがすぐに反応して避け蹴りを入れる。そして蹴り飛ばした反動で木を蹴りもう一度鬼に向かって腕の刃で鎌を切り落とし、同時に伊之助君が袈裟斬りをして首無しは崩れてしまった。

 

「よし!なんとか倒せた。伊之助君ここからは別行動で行こう。まとまっていくより鬼を探しやすい。君はあっち、僕はこっちに行く。」

 

「だから俺に命令するじゃねぇ!!」

 

伊之助君はそう言うと僕が言った通りの場所に走っていった。僕も行く。誰かいないかと探していると、そこには村田さんがおり鬼に襲われて。繭のようなものの中に閉じ込められてしまった。

 

「村田さん!!」

 

「だ、誰!?な、何だよこいつ!!他にも鬼がいるの!?」

 

「お前!村田さんをそこから出すんだ!!」

 

「は?村田?この繭の中にいる人間のこと?あんたもこいつを喰いに来たの?残念だけどこいつは私がいただいたわ。すぐにどろどろになって私が喰うの」

 

「そんなことはさせない!!返さないのなら力ずくで奪い返す!!」

 

僕は村田さんを助け出すために鬼に飛び掛かる。鬼は蜘蛛の糸のようなもので攻撃しようとするが、僕は簡単に避け鬼の首を斬った。鬼はそのまま崩れ去り消えてしまった。僕は繭を切り崩し村田さんを助け出す。

 

「村田さん!村田さん!大丈夫ですか!?」

 

「うあああああああ!!なんでこんな時に!!」

 

「村田さん落ち着いて!!僕です!悠です!」

 

僕は変身を解き姿を見せる。それを見た村田さんはものすごい顔で驚いた。

 

「は、悠!?お前なんで!!さっきの姿は!?」

 

「説明は後でします。取り敢えず僕の羽織を貸してあげるので着てください。今、全裸ですよ」

 

「あ.......」

 

村田さんは顔が赤くなり、僕の羽織を受け取った。僕は村田さんを木の下に休ませて炭治郎の元に向かう。

 

「早く炭治郎のところへ向かわないと、心配だ」

 

「まぁ、随分仲間思いな鬼ですね」

 

「!?」

 

突然誰かが後ろから話しかけた。振り返るとそこには頭に蝶の髪飾りをした少女が立っていた。

 

蟲柱(むしばしら)様!!」

 

「蟲柱?」

 

「鬼殺隊最高戦力の柱と呼ばれる九人の一人!!蟲柱の胡蝶(こちょう)しのぶ様だよ!!」

 

なんと言うことだ。よりにもよって鬼殺隊の最高戦力が僕の前に現れるなんて。このままではまずいなんとかしないと炭治郎が危ない。

 

「そこを退いてください。早くしないと弟が危ないんです」

 

「あらそうなんですか。鬼にも家族がいるんですね。私にもいるんですよ、姉と妹が。まぁ退くわけないじゃないですか、人を喰う奴を見逃すわけにはいきませんから」

 

「僕は人を喰わない。絶対に、これからもずっと」

 

「そんな嘘、信じるわけないでしょ。嘘をつくならもっとマシな嘘をついて下さい」

 

しのぶという少女は刀を抜く、するとその刀にはどういうわけか刃がついていなかった。

 

「私は鬼の首を斬れないくらい力が弱いですが、鬼を殺せるくらいの毒を作ることができるんですよ」

 

しのぶという少女は僕に襲い掛かり刀を斬りつけてくる。ぼくは咄嗟に避け、少女を説得する。

 

「そこを退いてくれ!!頼む!弟が危ないんだ!!」

 

「まだそんなこと言うんですか」

 

少女は何度も僕に斬りつけようとするが、僕はなんとか避け続け、毒を回避する。このままでは埒が開かない。こう思った僕は変身する。

 

「アマゾンッ!」

 

少女は僕が変身した衝撃で吹き飛ばされそうになるがなんとか上に飛び避け、着地する。

 

「それがあなたの本来の姿ですか。どう見ても人を喰う鬼にしか見えないですね」

 

「もう一度言うが、僕は人を喰わない!!」

 

僕は少女の攻撃に備え、防御の体制を取る。しかし戦いになることはなかった。そらを止めたのは一匹の鴉だ。

 

「カァ!カァ!伝令!伝令!竈門炭治郎と一体の鬼を捕獲!!赤い怪人も捕獲!!」

 

「炭治郎!!そんな.....」

 

「........どうやら炭治郎という少年はあなたの知り合いのようですね。それに赤い怪人もやっと捕まえたみたいです。あなたもついてきてもらいますよ」

 

そう言われて僕は少女に連れて行かれた。

 

●●●

 

時は少し戻り炭治郎が下弦の伍の(るい)と対峙している時間まで遡る。炭治郎は今絶望的な状況に立たされていた。首を斬ったと思っていた累の首は斬れておらず今炭治郎を殺そうとしているところだ。

 

「僕に勝ったと思ったの?可哀想に哀れな妄想をして幸せだった?僕は自分で首を切ったんだよ。お前に首を切られるより先に。もういいお前も妹も僕が殺してやる。こんなに腹が立ったとは久しぶりだよ。不快だ本当に不快だ、前に同じくらい腹が立ったけどずっと昔だよ覚えていない。そもそも何でお前は燃えてないのかな?僕と僕の糸だけ燃えたよね。妹の力なのか知らないが、苛々させてくれてありがとう。なんの未練もなくお前たちを刻めるよ」

 

累は炭治郎を殺すために血鬼術を発動しようとするが、突然茂みが動き誰かが近寄ってきた。誰かと思い炭治郎と累は振り向く。そこに立っていたのは炭治郎が藤の家で出会った不思議な男だった。

 

(あの人は藤の家の時の......)

 

男は片手に何故か卵を持っており殻を割って中にある生卵を口の中に入れた。そして男は累の方に近づき、少し不気味な笑みを浮かべる。するとその男は悠しか言ったことのないあの言葉を呟く。

 

「アマゾン」

 

すると男の体は赤い炎のようなものに包まれ衝撃が走る。熱により木々は燃え、地面は鉄板の上にいるかのように熱くなる。累は男が変身した衝撃で吹き飛ばされた。炎は晴れそこに立っていたのは赤い体に緑色の目トカゲの襟のような刃でおまけに全身が傷だらけであった。炭治郎は鱗滝さんが言っていた。あの話を思い出す。

 

(赤い怪人!この人が!)

 

赤い怪人は累と禰豆子に指をさしどちらかを選んでいるような動作をした後累の方に振り向く。累は咄嗟に攻撃しようとするがそれよりも早く赤い怪人は腹に蹴りを入れ腹を抑えている間に顔面を殴りハイキックで顎を蹴り上げそのまま叩きつける。そして首を掴み動けなくした。累は必死にもがくがいくら動いてもびくともしない。赤い怪人は累の顔をまじまじと見つめ最後にこう呟いた。

 

「家族ごっこもここまでだ」

 

そして赤い怪人は累の首を斬り、累は灰になって消滅した。圧倒的だった。炭治郎が全力を出しても倒すことができなかった累をこうもあっさり倒してしまう赤い怪人の強さがどれほどのものが窺える。赤い怪人は今度は禰豆子の方に振り向いて首を掴む。

 

「やめろ!禰豆子に手を出すな!!」

 

炭治郎の声も届かず赤い怪人は腕の刃で禰豆子の首を切り裂こうとする。しかしそうはならなかった、なぜなら赤い怪人の背中が突然血を吹き出したのだ。赤い怪人は振り返ると背中を切り裂いた正体は冨岡義勇だった。

 

「............あ、やべ」

 

赤い怪人は最後にそう呟き倒れてしまう。変身も解かれ完全に無防備な状態だ。禰豆子も大丈夫なようだ。

 

「ありがとうございます。冨岡さん」

 

「.............」

 

冨岡は何も答えずただずっと下にいる赤い怪人を見つめていた。




次回もお楽しみに。
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