先程とは打って変わり屋敷は騒然としていた。鷹山もどこか呆れた顔で輝哉を見ている。
「お前、本当にどうかしてるぜ。俺を柱にしたい?さっき俺が誰か説明したところだろ」
鷹山の言う通りさっきの説明で鷹山はこの鬼殺隊の敵とも言っていいほどの男だ、なのにその男を柱にしたいというのは余りにも、今風に言うならば空気が読めないと言ったところだ。
「お館様いくらあなたの提案でもこれは受け入れられません!この男は我々の敵!今すぐに斬首するべきです!」
「煉獄の言う通りこの男は敵、鬼殺隊として受け入れるべき者ではない」
「確かに彼は我々の敵かもしれない。しかし彼は鬼舞辻を鬼にした医者ではない、それに柱になってもらうほうがこっちにも都合がいい、何より君は目撃情報があった八年間で既に五十体以上の鬼を倒しているし、那田蜘蛛山では十二鬼月を倒してる。柱は九人という決まりはあるが、彼はその規律を覆すほどの者だ、柱にしておけば鷹山を監視下におけるし、他にも何か情報が得られるかもしれない。まだ他にもあるんだろう?秘密が」
「それは、どうかな」
鷹山は軽くはぐらかす。確かに彼を柱にしておけば常に行動を把握できるかもしれないが、一部の柱たちとしては家族の仇と一緒に戦わなくてはいけないと言うのが苦痛でしかない。そう簡単に受け入れられないのは当然だ。
「賛成の者はいないかな?」
「俺は派手にお断りします」
「私も.........、ちょっと怖いし」
「僕も」
「私も嫌です」
「お館様の命であっても受け入れられない」
「今すぐ殺すべきだ!」
「..............」
九人中九人が鷹山が柱に入ることは受け入れられないとの事だ、冨岡に関しては口には出していないが、顔には嫌だと出ている。これはどうするのか、このままでは鷹山を柱にすることができない。等の本人はなる気なんて更々ないが。
「私は賛成です」
すると後ろから賛成の声がする。振り返るとそこには一人の女性が立っていた。頭の両側にしのぶと同じ蝶の髪飾りをつけている。それは元
「姉さん!?」
「カナエちゃん」
しのぶはひどく驚き鷹山はどこか知り合いのようにさらっとカナエの名前を呟いた。
「私は賛成です。仁さんが柱になってくれるのは。私は仁さんが味方になってくれれば心強いですし」
「ちょっと姉さん!!一体どう言うつもり!?」
しのぶのこの反応は当然のことだ。他の者たちももう何度目かも分からない驚きで包まれていた。
「カナエちゃんいいの?俺みたいな奴が柱になっちゃって。後悔しても知らないよ」
「いいんです。私がいいって言ってるんですもの」
どこか仲睦まじい雰囲気だ。他の者も黙ってられず質問する。
「おい!!お前らどういう関係だ!!」
「どういう関係って、そーだな。まぁ、長い付き合いの友人というか、なんというか.........」
鷹山はまたしてもはぐらかす。この男は色々と秘密がありすぎる。悠は内心そう思っていた。
「友人だなんて、強いて言うなら夫婦みたいな?」
「はあ!?」
「俺たちまだ結婚してないじゃん」
「じゃあこれからすればいいじゃないですか」
カナエも中々ぶっ飛んだことを言う。驚きを通り越してもはや呆れてしまう。
「皆落ち着いて、カナエと鷹山の関係は後で聞くとしてまずは一人、賛成の者が入ったね」
「お館様、一人だけでは納得できません」
「それもそうだね、それじゃあどうしたら認めてくれるのかな?」
「それではこの男がどれほどの実力があるのかを試させてもらいます。実力次第では考えてもみます」
「は?」
「だったら俺が相手だ」
●●●
鷹山がどれほどの実力なのかを確かめるため実弥が代表して出ることにした。場所は移り鷹山と実弥は向かい合って立つ。他の柱も見守る中、カナエは鷹山を応援していた。
「仁さん頑張って!」
鷹山はカナエに手を振り、しのぶはものすごい顔で鷹山を睨みつけた。鷹山は少しビビりつつも実弥と向き合う。実弥は刀を抜きもう既に構えをとり、実弥は鷹山を目で殺すかの如く睨みつける。どう見ても殺す気満々だ。鷹山はため息を吐き構えてをとる。
「テメェ、なぜあの姿にならない」
「悪いな、アマゾンに変身するのは鬼とアマゾンを狩る時だけだ」
鷹山は変身しない理由を語る。しかし実弥は真剣、鷹山は丸腰というどう考えても鷹山が不利な状況だが、鷹山は余裕そうな顔をしている。実弥はそんな鷹山の態度に苛立ちを感じていた。実弥は先手を打ち鷹山に切りかかる。鷹山はギリギリで避け距離をり、お互いを睨み合う。実弥はもう一度切りかかり、鷹山はその場に動かず避ける。そして何度も切りかかるが、鷹山は全て避けきった。実弥は涼しい顔をしている鷹山に苛立つが、同時に感じていた。鷹山は実弥の攻撃を避けてカウンターを入れる瞬間は幾度とあった。しかし鷹山はわざとそれをせずに避けるだけにとどまる。完全に舐められている、それが実弥をさらに苛立たせることになった。鷹山は指を動かし実弥を挑発する。
「チッ舐めやがって!」
実弥は舌打ちをし、呼吸を整え技をくり出す。
風の呼吸 壱の型 塵旋風・削ぎ!
実弥は地面を抉る勢いで突撃し、凄まじい衝撃波を放つ。鷹山はそれでも動くことはなかった。ただ相手の攻撃を真正面で受け止めるかの如く構えもとらず棒立ちをしている。そして実弥の技が鷹山に直撃する。
(手応えがねぇ!)
しかし攻撃はあたらず、実弥は鷹山の姿を見失う。辺りを見渡し、上を見上げるとそこには鷹山がいた。鷹山はあたる直前、上に飛び上がり実弥の攻撃を回避していたのだ。鷹山は腕を振り上げ実弥の顔面に拳を突き出す。
(クソッ!避けられねぇ!!)
しかし拳はあたることはなかった。鷹山は直前で拳を止めて手を腰に当てる。
「これで俺も正式に柱になったのかな?」
鷹山は悲鳴嶼を見て確認する。悲鳴嶼は不服そうな顔をしているが、自分で言っておいて認めないというのは大人気ないと言うものだ。
「..........認めたくはないが、お前は柱としての実力はあることだけは認めよう」
この事実に何人かの柱はあからさまに嫌な顔をしていた。
「それでは鷹山仁、君を
鷹山はこれにて正式に十人目の柱として認められた。
「それじゃ、これからよろしく」
鷹山は笑顔で挨拶をする。柱たちは今にでも殺したい思いでいるがここは我慢するしかなかった。
これにて鷹山さんを柱にすることができました。次回もお楽しみに。