ある朝鷹山は急に叩き起こされた。目を開けるとそこには頭に蝶の髪飾りを二つつけた目のキリッとした少女がいた。
「おはようございます鬼柱様、あなたにはやってもらうことがありますので起きてください」
「はあ?なんで俺が?他のやつに頼めよ。てゆうか誰だ、お願いするなら名前を言え」
「私の名前は
「そうか、カナエちゃんのお願いなら断れないな」
カナエのお願いなら断れないとすぐさま立ち上がり鷹山は言われた場所に向かったなんでも炭治郎たちの機能回復訓練の手伝いをしてほしいとのこと。鷹山は呼吸と剣術に関しては全くといいほどできないため、反射訓練や全身訓練といったことをするらしい。鷹山は訓練場に着くとそこにはカナエとしのぶと悠そして初めて見る少女が四人ほどいた。
「おはようカナエちゃんと悠としのぶとどっかの誰かさん」
「おはようございます。仁さん」
「お、おはようございます」
鷹山は座っている六人に挨拶するが、返してくれたのはカナエと悠だけでしのぶは完全無視同じように蝶の髪飾りをつけた少女はコインのようなものを弾いたと思ったら何も言わず無反応、残りの三人は鷹山に怯えてしまっている。
「みんな冷たいね、で?俺が相手するのはこの三人かな?」
鷹山が振り返るとそこにはびしょ濡れになった炭治郎と善逸、伊之助の三人がいた。炭治郎は真面目な顔で立ち善逸は怯え、伊之助は威嚇している。
「よ、よろしくお願いします!鷹山さん!」
「なんでよりによってこいつの相手しなくちゃいけないんだよぉ」
「なんだテメェ!!」
鷹山はクセの強い相手を任されたなと内心面倒だったが、カナエのお願いなら我慢できた。まずは最初に反射訓練、台に並べてある薬を先に相手にかけた方が勝ち、薬をかけられないように邪魔をするのが訓練の内容だ。鷹山は席につき誰が相手になるか待っている。そして先に名を挙げたのが伊之助であった。
「まずは俺からやらせろ!!」
「そういえば自己紹介がまだだったな。俺の名前は鷹山仁お前の名前は?」
「俺様の名前は
伊之助は自信満々に名前を名乗り堂々と鷹山の名前を間違え席に座る。そして合図を取る役をアオイがやり鷹山と伊之助の間に手をおく、そして「始め!」の掛け声と共に伊之助が先を越されまいと手を素早く出すが、いつのまにか頭に薬をかけられていた。伊之助は何が起こったのか訳がわからず声を荒げる。
「おい!!どうなってやがる!!」
「次」
「じゃあ今度は俺が!俺の名前はっ!」
「もう知ってる」
今度は炭治郎が相手だ。炭治郎は名前を名乗ろうとしたが鷹山は既に知っているので時間の無駄だとして遮った。炭治郎はやる気に満ちた顔で席に座る。同じようにアオイが間に手をおき合図をする炭治郎は素早く湯飲みを取ろうとするが塞がれてしまう。鷹山は別の湯飲みを取ろうとするが炭治郎はそうはさせまいと防いだ。鷹山と炭治郎は一進一退で手が見えなくなるほどの速さでどうなっているのかわからないが勝利したのは鷹山の方だった。炭治郎はお辞儀をして元の場所に戻る。
「最後だな。名前は?」
鷹山は最後に善逸の顔を見る顔を見られた善逸は小さい悲鳴をあげ炭治郎の背中に隠れた。鷹山は隠れても無駄だと言わんばかりに善逸を見つめ続ける。善逸は観念したのか渋々席につき、途切れとぎれに我妻善逸と鷹山に名乗った。善逸は鷹山が近くにいるせいか分かり易いくらいに体が震えていた。普段なら汚い高音を出しているところだが、鷹山の前だけではあまりの恐怖にか声も出ないほどビビってしまう。そうしている間にアオイが合図をする。善逸はヤケになり湯飲みを取ろうとするが先程の伊之助の如く薬をかけられてしまった。
「話になんねぇな」
鷹山最後に言い放ち三人は肩を落とした。
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今度は全身訓練だ訓練内容は端的にいうと鬼ごっこである。時間内に相手を捕まえる、もしくは捕まらないようにするのだ。勿論鬼は鷹山がやることになった。鷹山は「三人同時に相手してやる。」といい余裕な感じだ。鷹山は準備運動をし、準備万端の様子。炭治郎たちはさっきかけられた薬を拭き取り準備運動をする。炭治郎と伊之助はやる気満々だが、善逸はさっきと同じく震えている。アオイが合図を出すと同時に砂時計をひっくり返し訓練が始まった。鷹山は炭治郎たちを追いかけようとする。それを見た炭治郎たちは鷹山の凄さを目の当たりにした。鷹山の目がまるで獲物を狩る獣のような目をしている。何年もの間鬼やアマゾンたちを狩る時にしている目だ。炭治郎たちは本能的な恐怖を感じたのか、大声を上げて逃げるように走り出す。しかしそこは鷹山、まだ砂時計が落ち始めたところだというのにもう既に三人は捕まってしまった。これでは訓練にならないので全身訓練は無しになってしまった。少し休憩に入り鷹山はカナエのそばに座ろうとするがしのぶがそうはさせまいと邪魔をする。
「姉さんには触らないでって言いましたよね?忘れたんですか?」
「そんなこと言うなよ、妹なら妹らしく姉の幸せでも願ってたらどうなんだ?」
「姉さんの幸せを願ってあなたに近づけさせないんです。あっ、昨日の二人だけの時間を邪魔してすみません、あなたの幸せを潰してしまって」
しのぶは作り笑顔で鷹山を煽る。しかし鷹山はどこ吹く風という感じで、特に気にもとめていない様子。
「別に、あれが初めてってわけじゃないし」
「は?」
しのぶは一瞬何を言っているのかわからなかった。カナエの方を振り返るとカナエはそっぽを向いてだんまりを決め込んでいる。鷹山の言っていることを理解し、沸々と怒りが込み上げてきた。その威圧感に周りは気圧されるが、鷹山はそれに対してもどこ吹く風である。ふと鷹山は怯えている三人の少女と黙っている少女の名前を尋ねた。
「お前ら、名前は?」
「て、
「
「たったたた!
三人は完全に鷹山にびびってしまい詰まりながら自己紹介をしていた。最後にずっと無表情で黙っている少女がまたあの時のようにコインを弾くとさっきと同じように何も言わなかった。
「カナエちゃんから聞いてたけどほんとにコインがないと何もしないんだな。まっ名前はカナエちゃんから聞いてるからいいけど、よろしくな寺内、中原、高田そして
鷹山は不敵な笑みを浮かべる。その顔を見たきよ、すみ、なほは恐怖で声が出なくなってしまった。
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ある夜のとある場所そこは奇妙な場所であった天井や襖など上下左右がバラバラになっている夢の中でよく見そうな場所があった。その奇妙な空間で突然琵琶の音が鳴り響く。それと同時に五人の鬼たちが集められた鬼たちは一体何が起こったのか困惑している様子。ここは無限城鬼舞辻無惨が隠れ蓑にしている場所である。
下弦の壱
下弦の弐
下弦の参
下弦の肆
下弦の陸
彼らは十二鬼月の下弦の鬼たちであった。どうして彼らは集められたのかわからない。そしてもう一度琵琶の音が鳴り、一か所に集められた。そして彼らを見下すように一人の女性と琵琶を持った長髪の女が立っていた。
「頭を垂れて蹲え、平伏せよ」
彼女の言葉に下弦の鬼たちは一斉に頭を下げる。彼女、いや彼は鬼舞辻無惨であった。
「も、申し訳ございません。お姿も気配も異なっていらしたので......」
「誰が喋って良いと言った?」
無惨の言葉に零余子の体は震え出す。圧倒的な威圧感の前にはいくら十二鬼月でも震え上がってしまう。
「貴様共のくだらぬ意思で物を言うな。私に聞かれたことにのみ答えよ」
お前たちに発言する権利はない私が絶対なのだということを無惨は再度見せつけ、彼らも心の底から理解していた。
「累があの忌々しい化け物に殺された。下弦の伍だ。私が問いたいのはただ一つ何故に下弦の鬼はそれ程までに弱いのか。十二鬼月に数えられたからと言って終わりではないそこから始まりだ。より人を喰らいより強くなり私の役に立つための始まり。ここ百年余り十二鬼月の上弦は顔ぶれが変わらない鬼狩りの柱共を葬ってきたのは常に上弦の鬼たちだ。しかし下弦はどうか?なんだ入れ替わった?」
(そんなこと俺たちに言われても........!)
無惨の理不尽な発言に釜鵺は心の中で悪態をつく。
「"そんなこと俺たちに言われても"何だ?言ってみろ」
「!?」
無惨は釜鵺の心が読めるのか釜鵺の言ったことをオウム返しする。すると無惨は巨大な肉塊を作り釜鵺を捕らえる。
「お許しくださいませ鬼舞辻様どうか!!どうかお慈悲を!!申し訳ありません!!申し訳ありません!!」
彼の必死の謝罪も無惨には届かず肉塊から大きな口が出現し、釜鵺を喰らおうとしたその時だった。
「ねぇ、ちょっと許してやったら?可哀想でしょ」
「「「「「「「「!?」」」」」」」
突然どこからともなく声が聞こえる一体どこから喋ってきているのか、無惨は周りを見渡すがどこにも見当たらない。他の鬼たちも周りを見渡しているがどこから聞こえてくるのかわからなかった。
「誰だ!どこから入ってきた!姿を現せ!」
一向に姿を現さない謎の人物に無惨は痺れを切らし先に釜鵺を喰い殺そうとしたがそこにはどういう訳か既に釜鵺の姿はなかった。どこに行った?無惨は消えた釜鵺を探す。するとそこにはさっき捕らえたはずの釜鵺がそこにいた。そこまではいいただ一つだけ確かな違和感があった釜鵺の隣に誰かが立っている。無惨はその誰かを見て驚愕する。そいつは赤い身体に緑色の目そして手足にはトカゲの襟のような刃物が付いている。無惨はすぐにこいつが誰か理解した。こいつはかつて無惨を襲ったあの化け物ではないか。
「大丈夫かお前?全く散々だな、お前らの当主の気分で殺されちまうなんて」
無惨は目の前にいる化け物をすぐに排除しようと触手を伸ばす。しかしその化け物は飛び上がり触手を回避するそして空中でバク転しながら無惨の後ろに着地し、刃物を無惨の首にあてる。
「出会った矢先に触手で攻撃とはあたたかいご挨拶ありがとう。おっと動くんじゃねぇぞ。少しでも動いたらお前の首を切り落とす。勿論それだけじゃ死なない事ぐらいわかる。お前の生態は既に把握している。お前の脳みそと心臓を一瞬で潰して最後に首を切り落とすことぐらい容易に出来んだぜ。それをされたくなかったらその触手を元に戻して俺の話を聞いてくれないかな?お前にとって特別なことを教えてあげるぜ。そのかわり俺と協力しろ、そしたら話してやる。約束する」
無惨はどうするか思考を巡らせる。この化け物を信用するべきか?もしこいつが自分を殺しに来た存在ならすぐにでも殺す。無惨は一旦冷静になって考える。もしこいつが自分が今まさに欲しがっているものを知っているのなら話を聞くべきではないだろうか。もしこいつの言っていることが嘘であるとわかればすぐに殺せばいい話だ。無惨はそう考え伸ばした触手を元に戻す。
「よしそれでいいじゃあ約束通り話をしよう。まずは自己紹介からだ俺の名前は
「何?」
「これで信じてくれるかな?」
この化け物の名は蛮野惣一という名前らしい。どうやら彼は鬼舞辻の過去を知っているようだ。軽く自己紹介した蛮野は早速本題に入る。
「早速本題に入ろう。そういえば鬼舞辻さん君が最近知ったあの化け物の名前なんだけどね、アマゾンって言うんだ」
「アマゾン?」
「あいつらは俺を含めてお前らを君たちを殺すために作られた生物兵器だ。俺の中にあるアマゾン細胞が君たち鬼の細胞を喰い殺す。まぁ要するに君たち鬼の天敵って訳だな。そんな俺が何故君たちに協力を持ちかけてきたのか、実は俺はある組織の一員だったんだけど追い出されちゃったね、そいつらに復讐する為に君たちのところに来たわけ」
無惨はいつまで経っても自分の聞きたいことを言わない蛮野に苛立ちを覚えていた。
「ごめんごめんそれじゃ焦らすのもこれくらいにして君が1番聴きたがっていることを話そう青い彼岸花を探しているそうじゃないか」
「知っているのか!?」
「ああ勿論知っているだが今持っているわけじゃない。だがそれを見つけ出すことは俺には出来る。青い彼岸花は気候によっちゃ一年中咲かない厄介なやつでな。しかも昼の間にしか咲かず数分で花が閉じちまう。閉じた時にはつくしのような形になるから探しにくいんだ。夜しか活動できない君たちじゃ見つけられないのも無理はない。それを俺が見つけやろう俺は日にあたっても死なないから大丈夫だ。ついでにあの鬼殺隊とか言う奴らにも全滅させるよう俺がやってやろうか?悪くない話だろ?」
無惨は考える、もしこいつと協力すれば自分も完全なる不老不死に近づけるかもしれない。運命は自分に味方してくれている。協力しない手はなかった。
「わかったいいだろう。もし青い彼岸花を見つけ出してくれるのなら貴様の復讐とやらも手伝ってやる」
「そうかどうもありがとう!賢明な判断だ!早速だけどさ。そこにいるあの下弦の鬼たちを俺にくれないかな?いらないんでしょ?」
無惨は役に立たない下弦の鬼たちならいくらでも持っていっていいと考えすぐさま承諾する。
「いいだろう、持っていけ」
「ありがとう鬼舞辻さん!じゃあ早速みんな俺のところに来てくれないかな?今日から君たちは俺の仲間だ!」
下弦の鬼たちは突如として現れた蛮野惣一と名乗る男の仲間になった。彼らはこれからどうなるのか不安で仕方がなかった。
次回もお楽しみに