転生猫少女ゾンビテイマーもの   作:鴨橋

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よくある猫耳少女転生ものその2

 

「うっ……ぶふう……」

 

 仰向けに寝転がったまま、お気に入りのバスタオルを顔の上にかけ、タオルの匂いを吸い込む。

 別に泣いていた訳じゃないけども、目元をタオルで拭う。

 まぁ、いつまでもベッドの上で泣いているわけにはいかない。もう一度上半身を起こしてみると、眩暈の様な感覚はなくなっていた。

 

 元々持っていた鞄と帽子はベッドの足に立てかけてあった。そこからなんとかタオルを引っ張り出し、落ち着くのにそこそこ時間がかかってしまった。

 でも時間がかかったおかげで視界の揺れは治まった、のかな。

 

 

 チーン、とタオルで鼻をかむ。

 この部屋から出れたとしても、嗅覚が鈍くなっていては話にならない。使えるものは何でも使おう。

 嗅覚に関しては前より敏感になっていると思う。おかあさんのごはんの匂いとかすぐわかる。

 

 どっこいしょと靴を履き、ベッドから床に降り立つ。埃が舞ったせいか、鼻の奥が少しツーンとした。

 元々履いていた靴は脱がされており、ベッドの近くの床の上に並べて置いてあった。

 靴以外には紙や本、何に使うかよくわからない小物が散乱している。物の隙間に床が姿をのぞかせているが、変なものを踏んづけてケガをしたらたまらない。だから先に靴を履いてから立ち上がったよ!

 

 

 

 部屋の中を改めて観察してみる。部屋の中から外を見れそう、出れそうな窓はついていない。

 唯一の出入り口である木製の扉からは、外から淡い光が部屋の中に差し込んでいる。

 部屋の中はかなり薄暗いが、私にはあまり関係ない。猫系統だからかな、夜目が効くというかなんというか。

 

 大きな本棚も目を引かれるが、めぼしいものは見当たらない。

 木製の椅子と机もあるが、物が散らかりすぎてて探る気が起きない。

 

 

「むっ」

 

 扉に鍵がかかっているか確認しようとした時だ、部屋の外から誰かの足音が聞こえた。その足音は段々こちらに近付いている。

 小さな音も聞き逃さない自慢の耳。その耳が今回も働いてくれた。

 

「でもどうしよう……」

 

 小声で呟き頭を抱えてしまう。あわあわと混乱しそうになったが、ええいと踏みとどまり、考え直す。

 人が来るということは自分を攫った人である可能性が高い! と、なるととれる選択肢は……!!

 

 ①隠れる! ②殺す!

 

 ()るか()られるかだったら私はやる側に回るね!!

 そもそも隠れる場所なんてないし!!

 

 おかしくなってきたテンションを抑えつつ、鞄を漁る。

 刃の短いナイフを取り出し、横にした状態で柄の部分を口にくわえる。ナイフ盗られてなくてよかった。

 やるなら一番可能性の高い方法で仕留めたい。それなら部屋に入ってきた直後の奇襲かな。

 

 靴を脱ぎ捨て裸足になる。膝を軽く曲げ、天井付近の壁の隅めがけてジャンプ!

 自分の体が部屋の内側を向くように、壁に手と足をかけ方向転換し体を支える。さながら忍者だね。

 自分の今いる位置は部屋の扉の近くだ。誰か入ってきたらそのまま上から跳んで暗殺できる自信がある。

 

 後は自分の気配をなるべく抑えるのみ。

 呼吸を落ち着かせる。気配を殺す。自分を殺して暗闇に紛れる……。

 

 

 少しすると誰かが扉を開けて中に入ってきた。

 その人はフードのついたローブを着ており、そのフードも頭にかぶっている為、自分の位置からじゃその人の特徴がわからない。

 手には明かりの灯ったランタンを持っている。部屋の中が照らされるが、まだ自分は見つかっていない。

 

 

 ローブの人は部屋に入ってきて立ち止まった。ベッドを中心に顔を左右に振り部屋の中を見渡しているようだ。

 

 やるなら今だろう。ちょうどここから跳べば後ろから首筋にナイフを突き立てられる。

 壁から手を離し、口にくわえていたナイフを右手で掴む。

 体が落ち始める前に足で壁を軽く蹴って、ローブの人の背後に迫る。ナイフを立てて首に狙いをつける。

 

 

「――っな!!」

 

 ナイフは空中で、首に刺さる前にだ、刃が石に当たった時の様な音を立てて止まった。

 首から10cm位離れたところから一向にナイフは進まない。

 体の周りに見えない膜でも張っているのか、自分の体も空中にナイフ同様浮いている。浮いているというかその膜の上に着地している様な状態だ。

 手足で固いものを触っているような感じはするものの、その正体は分からない。

 

 

 

 見えないバリア? なにこれ? どうしよう……。終わった……。

 諦めるまで1秒もかからなかった。一撃必殺。元から次のことは考えていなかったのだ……。

 

 

「やあ、元気そうで安心したよ」

 

 ローブの人はこちらにゆっくりと振り返ってそう言った。

 かくいう私は身動き取れずにじっとしていた。まるで蛇に睨まれた蛙だよ!

 自分の顔から冷や汗が落ちていったが、それも見えない膜に防がた。汗は膜を伝ってなのか空中をそのまま流れ落ちていった。

 

 ローブの人は私に対しての敵意はなさそう。でもこの状況どうしよう……。

 少しの間、ローブの人と見つめ合ったまま止まった時間が続く。

 

 

「ほら、何もしないから降りておいで」

 

 一向に動く気がない私に痺れを切らしたのか、ローブの人は両手を大きく左右に広げた。

 すると今まで自分が乗っていた膜が消え、ローブの人の胸元に顔をぶつける形で落下する。

 柔らかいものが顔にあたる。女性だったのか!! と驚きたいところだけども、声で性別は分かっていた。

 今回に限っては別のものに驚きたいとおもいます……。

 

「へ、へんたいだー!!!!」

 

 胸から顔を上げて叫ぶ。

 ローブの下何も着てなかった。

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