天然物の超人類   作:ウンニーニョ

1 / 3
巻き込まれる天然物

CE.71

中立コロニーヘリオポリス秘密区画

そこに潜入してデータを漁る少年が1人。

 

「あららー。オーブさんこれは中立としてどうなのよ?ま、知ってるんだけどね」

 

薄暗い中、画面の明かりに怪しくにやける顔が照らされている。

加えていたメモリースティックにハッキングしたデータを書き写していく。

少年は売り出し中の情報屋である。

 

この少年、実は前世の記憶を持っており、神様に恩恵を与えられた人間である。

ただこの世界の知識は昔見たアニメ程度の知識しかなく、いつ何が起こるのかはうろ覚えである。

そのうろ覚えの情報を先回りし、売り捌いて儲けようと企んでいるのである。

 

どうしてこう情報屋になったのか。

それは少年の幼少期まで遡る。

 

少年は前世、よくある交通事故からの神様に出会った後にこの世界に生を受けた。

神様がチートをあげるねなどと言っていたがそれが裏目に出る人生だった。

少年はこの世界でナチュラルと呼ばれる人間として産まれた。

すくすくと育ち幼稚園児に入るくらいまでは何不自由ない幸せな家庭で育った。

 

世間とのズレが出始めたのは年長くらいからだろうか?

まず周りの子よりも運動神経が良く、小学校に入り勉強が始まると誰よりも聡明だった。テストは全て100点、それどころか先生の凡ミスまで正せるくらいに。

普通に前世の知識があれば可能かと思うが、少年は前世でそんなに勉強が出来なかった事もありやりすぎてしまったのだ。

前世で言うハーバード大学クラスの問題も教えてももらってないのにスラスラと解いて見せたのだ。

 

周りの目線が180度変わった。

そう気づいた時には遅かった。

 

住んでいた地域はアンチコーディネーターが集まる地域。

周りからの迫害が始まった。

学校での虐め、なまじ大人な感情を持っていた少年はやり返さずに耐えた。やり返す力加減がこの時期にはわからなくなっていたから。

父は母が勝手にコーディネーターの遺伝子操作を受けたと当たり散らし、最終的には出て行った。

母は自分が産んだのだからコーディネーターでない事は分かってくれる。庇ってくれる。

だけど少年が小学校3年になった頃、母が壊れたのだ。

周りからの重圧に耐えかねて、心が壊れてしまったのだ。

少年が聞いた母の最後の言葉は、「貴方なんて産まなければよかった」だった。

 

その後、自分の能力を活かしてナチュラルだと言う事を隠してプラント、コーディネーターだけの街にも行ってみたがナチュラルへの差別意識が強く、あまり馴染めなかった。

しかしそこで身につけた軍事スパイとしての能力は今も生きている。

 

このヘリオポリス。中立で、ナチュラルとコーディネーターが共に暮らすコロニーは幾らか住み心地は良かったがまだ差別はあり、隠れた部分ではそうした虐めもある。

 

自分でも誤算だったのは、差別意識なく受け入れてくれたゼミのグループが彼の居るグループだった事かな。

否応にも気づいてしまう。もうすぐ物語が始まる。

自分が物語に関わる事はそうないだろう。

だから情報屋として生きていこうと思った。戦争が多少ひどくなろうとも、自分にはナチュラルにもコーディネーターにもそんなに情は無いのだから。

 

 

 

ある日の午後、ついにこの日がやってきた。

平和な日常の終わり。

 

ヘリオポリスにザフトが侵入した。

戦闘で、一般市民は逃げ惑う。「早くシェルターへ!」所々からそんな声が聞こえて来る。

 

そっちに行ってももうシェルターはいっぱいでしょうに。

 

そんな事を考えながら少年は1人、裏路地を逆走する。

そんな時、少年は人とぶつかって足を止めた。

 

赤いパイロットスーツのザフト兵が1人。

 

「アイン?なんで君がこんな所にいるの?」

「ラスティ…」

 

かつて、プラントにいた時代の学友、ラスティと鉢合わせてしまった。

ここにザフト兵士が来るのは知っていた。だけど何も鉢合わせる事はないでしょうに!

しかも!と、少年、アインは頭を抱えた。

え、ラスティ出てきてたっけ?と

 

 

「アイン、ここは危ない…うん、着いてきて!」

「お、おい、作戦行動中じゃないのか?」

「連れて行かなかったらまたいなくなるだろう?大丈夫、隙をみてモビルスーツを奪うだけの簡単な任務だ」

 

おいおいそれって…

腕を引かれながらラスティの事について考える。記憶に残らないほどのG奪還作戦のメンバーって。

 

その予想は的中した。

 

キラ、多分あの赤服がアスラン、キラの横にいるのがマリュー・ラミアス。

だとすると、ラスティは初っ端に死ぬあの赤服かあ…

プラントの学校でも成績の良かった俺を慕ってくれた憎めないやつ。

ナチュラルの事を見下す癖はあるが、何も死んで欲しいわけじゃない。

 

そう言ってる間に銃撃戦が始まった。

どうやらキラの知り合いで私服の俺は人質と見られているらしい。マリューには。

 

パンッと乾いた音が鳴った。

ラスティが背後から撃たれたのだ。

 

「クソ…アインはヘマするなよ…」

 

そう言って俺をマリューの射線上から押し出した。

振り返った俺の目の前に鮮血が舞う。

 

やっぱりかよ!

 

「アスラン…こいつを…頼む」

 

ラスティの最後の言葉はヘルメットを通してアスランへと届いた。

マリューが迷っている間に俺はアスランの元へ走る。

アスランに導かれ、コックピットの中へ。

 

「君は後ろにいろ!チッ、なんでキラがあんなとこに!」

 

コクピットが閉じてモビルスーツイージスが動き出す。

そしてスクリーンに映ったモビルスーツ、ストライクも…

 

この世界、ガンダムSEEDは俺と言う異分子を含んだまま、物語の幕が上がった

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。