おかしくてもスルーをよろしくお願いしたいw
アスランの背後、崩壊していくヘリオポリスを見ながらアインはこの物語での自身の立ち位置をどこに置くかを考えていた。
自分は関わらないつもりだった。
他人がどこで死のうが関係ないつもりだった戦争にあまり関わらず、情報で金を稼いで戦争終結を待つ。
この戦争がそう長くならない事は知識として知っている。だからそれを待つつもりだった。
しかし目の前でラスティが死んだ事でそれが間違いだった事に気づいた。
昔の、学生時代に慕ってくれた同級生の死。
そして、物語の中で死んでいく学友…
考えただけで、胃から上がって来るものを感じたが、コクピットの中だからと必死で押しとどめた。
「君は、ラスティとはどう言った関係だったんだ?」
沈黙の中で、アスランが話しかけてきた。
「アカデミー時代の友達…でいいのかな? 俺は途中で辞めたのでアレですけど…」
「そうか…君もアカデミーに…」
話は長く続かない。コックピット内はつらい沈黙が続くまま、イージスは母艦であるヴェサリウスへ収艦された。
イージスから降りた俺はヴェサリウスの乗組員達から不思議な目でみられたが、アスランが連れてきた事、俺の待遇は後に隊長であるラウ・ル・クルーゼが決める事を見越して一室を与えられ、そこにいるように言われた。
アスランは「悪いようにはしない」とだけ言い残してプリーフィングに行ってしまった。
数時間後、乗組員の1人が迎えにきた。
ラウ・ル・クルーゼとの面談だそうな。
この数時間で、自分がこの物語でどう動きたいのかが決まっていた。
正常な思考ならまず取らなかった行動かもしれない。しかし、
室内に入ると、こちらを向くように仮面の男、ラウ・ル・クルーゼが座っていた。
「君がアインか。アスランから報告は聞いているよ。ラスティの知り合いらしいね。」
「はい。アカデミー時代の…」
「それも聞いている。データも取り寄せたよ。しかし、この成績で中退とは、続けていれば赤服としてここにいたかもしれない。
それで、君はこれからどうしたいのかな?」
少ない情報だけで俺の素性を調べている。さすが正規軍といった所か。
しかし俺は、このラウ・ル・クルーゼと駆け引きで勝たなければ自分の進む先も自由に選べないだろう。
「このまま、この
俺の言葉に、クルーゼは口元をニヤリと吊り上げた。
「それは無理な相談だ。いかに過去の成績が良かろうとおいそれと通せる事ではない」
「はい。だから取引をしようかと。僕がもつ情報で」
「ほう、それは面白い提案だ」
「ええ、とても。まずは貴方の秘密について。いえ、秘密の共有ですね。アル・ダ・フラガののクローンである貴方と僕の…」
吊り上がっていた口角がピクリと震えた。
「それだけでは秘密とまで言えるかわかりませんが、その事実は貴方がナチュラルである事を意味する。ザフトの隊長がナチュラルである事はマズイですよね?それに、あのエンデュミオンの鷹の血縁だ。知らない人が聞けば立派なスパイになりうるんじゃないですか?
大丈夫です。僕も、ナチュラルですし」
「それが本当だとして君のメリットはどこにある?黙っていれば安全なコロニーで降りれるだろう?」
「目の前で知り合いが死ぬのを見て、怖くなったんです。自分が巻き込まれるのも、知り合いが死ぬのも。なら、自分が戦った方がいい。それで守れる命もある」
「君はエゴイストだな」
「そうかもしれない。でもそれでもいい。まだ本国にも知り合いは居ますし」
これでどこまで信じてもらえる?うまい嘘はほんとの中にうまく混ぜるのがコツと聞いたことがあるが…
もう一押しか?
「いまなら、奪取できなかったX105と製造されていないX101、X104のデータもつけますよ?」
最後に少しおちゃらけて見せた所でクルーゼがクスリと笑った。
「ふむ、気に入ったよ。君の要求を飲もう。ある程度自由が効くように赤服にジンを一機自由にしていい。ただし覚えておきたまえ。君の要求、私が気に入らなければ殺されて終わりだったという事を。
君の事だ、最後までここにいるつもりもないのだろう?だがしかし、私の目的のために戦場をかき乱してくれるならそれはそれで良い」
クルーゼは満足そうに席を立ち窓から外を見るそして言葉を続ける
「しかし、私の素性をどこで調べたのか、とても興味深い。それに新型のデータも…」
「これでも、情報屋としてやって行こうと思ってたんです。情報元は秘匿しますよ。信用に関わる」
「そうか…それではアイン・ベルターニ。明日、全員に紹介する。9時からのブリーフィングに軍服でくるといい」
危なかったが、第一関門突破。
こうして、アインは身近な人を守る為、戦場へと身を投じていく。
主人公のフルネームはアイン・ベルターニでした。