翌朝、つつがなく紹介は終了した。
クルーゼ隊長の紹介にぽっと出の俺に不満がある奴も居るだろうがとりあえずは納得するしか無いと言う所だろう。
申し出にクルーゼの根回しにより俺の登録は済まされてしまってるのだからなんとも言えないだろう。
ただ何事にも例外はいるものだ。
ラスティが俺の同期ならばこの隊に他の知り合いもいる訳で…
「貴様!よく戻ってこれたものだな!」
それがクルーゼや上官が去った後の彼の第一声であった。
その言葉に俺は苦笑いし、他のクルーはビクリと体を止めるほどに驚いていた。
彼の名前はイザーク・ジュール。
アカデミー時代の同期だが、クラスが違っていたし、なるだけ関わらないようにしていた。
彼がこの物語の登場人物だと分かっていたし、ナチュラル差別が強く、ザフト評議員の親の威を借り威張り散らしていたやな奴だったからだ。
しかし、俺の成績が彼よりも良かったこともあり、なにかと突っかかってきたイメージがある。
現に今も…
「途中で居なくなった実力など俺は認めていない!精々足を引っ張らない事だな!」
「まあまあ落ち着けって。でも、おれもそう思うぜ?急に戻って来て、いきなり仲間だって言われても信用できない」
イザークを諌めながらも鋭い視線を送ってくるのはディアッカ・エルスマン
彼もイザークと同じで差別意識が強かったイメージがある。
イザークほど関わりがなかったので性格まではわからないが…
「まあ、同じ隊になったんですし、喧嘩しなくても…」
止めに入って来たのがニコル・アマルフィ
遠目にため息をついて見ているのがアスラル・ザラ
この2人は関わったことがない為、物語の登場人物位の知識しかない。
物語へ関わると決めた事だし、クルーに認められる為に挑発でもしてみようか。
「変わらないな。イザーク。ガキのままだ」
「なんだと?」
「自分の意に沿わないモノに威嚇してばかり。俺の実力なんてそのうちわかるだろ?それともあれか?背中を任せることができないとか言うつもりか?お前にチームワークなんて協調性があったとは驚きだな」
「おいおい、言い過ぎだろ?」
「俺の実力が知りたければシュミレーションでも模擬戦でもすればいい。だけど、こうやって突っかかってくるお前に背後を任せることなんて出来やしないだろ?」
「く、模擬戦だ!貴様など必要ない事を証明してやる!」
いや、論点はそこじゃないだろ?俺は頭に血が昇って思考能力が落ちていそうなイザークを白い目で見ながら思った通りの展開にほくそ笑む。
それも気に食わないのかイザークが叫んでいるがいちいち返していると長いので「模擬戦するんだろ?」と声だけかけてモビルスーツドックへと歩いていく。
所変わってモビルスーツ、ジンのコックピット。
このジンはクルーゼから俺ようにと支給されたこのヴェサリウスに積んであった予備のジンの内の一体だ。
起動スイッチを入れるとコックピット内に電源が供給され、手前の小型モニターに起動OSが読み込まれ、正面、左右のスクリーンに外部の映像が映し出される。
まずはこの機体の性能からチェックしていく。
装備は
76mm重突撃機銃
重斬刀
がメインのドノーマル。
逆に予備だからこそ特殊な設定などもされていない。
出来る事と言えば設定を使い易いように書き換える事。
各種スラスターなどの出力設定、モノアイカメラの遠近絞り、左右動作の速さなどを好みのスピードへ変更。
最後にOS。このままだと自分の反応速度に機体がついてこれないのでリミッターを外して限界性能を引き上げる。
その分機体に負担がかかり、耐久性能が落ちるが反応が遅れて撃墜されるよりよっぽどマシだ。ちなみに外部入力用のソケットに追加でメモリーを挿している。これはGATシリーズに使われているOSを自分なりに改良し描き直したモノ。
フェイズシフト装甲を前提としたOSなのでこのジンには負担が大きくそのままだと自壊の可能性が高いがこのジンのOSと併用する事でそこに制限をかけて自壊しないギリギリまで基本性能を引き出していく。
最後に変更を反映させる為に再起動させる。
一度電源が落ち、モニターが再起動。先程と違う起動モニターが映し出される。
General
Unilateral
Neuro-Link
Dispersive
Autonomic
Maneuver Synthesis System……EX
このOSで起動させればこの世界ではジンでもガンダムを名乗れるのだろうか。
密かな疑問に口角が自然と上がる。
カタパルトに移動して出撃シークエンスに入る。
こうして俺は、恥ずかしいので無言のまま、模擬戦の為初めての