PSYCHO-PASS white referee   作:鈴夢

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それぞれの再会(2)

 

 

 

廃墟を延々と駆け抜ける舞白

しかし、人影はなく

代わりに仲間たちの屍を多数見つけていた

 

その度にドッグタグを取り外せば

丁寧に手を合わせ、哀しそうな表情を浮かべる

 

犠牲はつきもの、だが目の前で簡単に殺されていく仲間を見るのはまだ若い舞白にとってはかなり苦痛だった

 

「……今の私なら、色相も数値も

真っ黒に濁って、オーバー100ポイント以上叩き出すのかな」

 

何を考えているんだ、と自分に言い聞かせるように

首を振る

今はそれどころじゃない

敵の姿を探し、そして少しでも息のある仲間がいれば救出しなければと我武者羅にとにかく走っていた

 

 

走っても走っても生きてる人間はおらず

そして敵の手がかりも何も無い

相変わらず無線も壊れていれば気力を失いかけていた

 

 

なんとかそれでも廃墟を駆け巡ると

中庭のような場所を抜け、さらに銃痕が目立つ扉を見つければ

その建物の中へと入っていく

 

 

「……何ここ……」

 

傷だらけの大きな木製の両開き扉を開けば

目の前に広がるのは教会ような場所

 

雨が止んだのか大きなステンドグラスからは光が漏れ

神秘的な空間に目を奪われる

 

奥に真っ直ぐ立っているのは両手を合わせた石像

マリア像だった

何年も放棄され、戦場にもなっていた場所なのに

やけにその像とステンドグラスだけは新品のように綺麗だった

 

「この国は元々キリスト教を敬う人は少ないはずなのに、不思議」

 

マリア像の周りにも屍や

何年も前に亡くなったであろう人の骨が転がっていた

 

「…こんな世界じゃ、神様にも縋りたくなる……」

 

そっと真っ白なマリア像に触れる舞白

まるで戦場にいることを忘れているかのように無防備だった

 

 

その瞬間、カチャっと銃の弾をリロードする音が背後から聞こえた

慌てて舞白はマリア像から手を離し片手に持っていた銃を構え直せば、背後の人物へと銃口を向ける

 

 

そしてその人物が誰か分かると、舞白は目を見開き動揺していた

 

 

「……なん、で……ノブ……あなたがここに……」

 

マリア像を背後に、ステンドグラスの煌びやかな背景

そして天井から降り注ぐ陽の光を浴びる白銀の髪の毛の少女

まるで天女を思わせるかのような佇まい

 

宜野座はその姿を目にすれば一瞬ハッとするも

再び銃を構え直す

 

「狡噛舞白、

…あなたをテロ事件幇助疑いの為、逮捕する」

 

宜野座は容赦なく銃口を向け続ける

舞白は見覚えのある厚生省のマークを見つければ

困惑した表情を向けていた

 

「どういうこと?テロ事件幇助って……」

 

「話は日本に戻ってから追求する

……帰るんだ、お前は……元の居場所に……」

 

力強く威厳のある口調で言葉を話していたが

だんだんと舞白の表情を見る度に弱々しくなる口調

 

訳の分からない状況に舞白は困惑するが

このまま捕まる訳にもいかず、宜野座の元へと猛スピードで駆け出す

 

「……ッ!?」

 

宜野座の握っていた小銃を回し蹴りで蹴り飛ばし

すぐさま相手の腕を掴み投げ飛ばす

 

宜野座は上手く受身を取ると抵抗する舞白をそのままにすることも出来ず応戦していく

 

4年前では考えられなかった戦闘能力

体格差のある宜野座を軽々と投げ飛ばす華奢な体

なかなか本気が出せない宜野座は簡単にねじ伏せられてしまう

 

「……久しぶりの再会でいきなり逮捕?

しかもよく分からないテロ事件、正気?」

 

地面におさえつける力を緩めることなく問い詰める

 

「ッ……ぐ……

……兄と共謀……違うのか?」

 

「お兄ちゃんと私がテロに関わるなんて

そんな事ありえない

……一体なんのつも」

 

刹那、ステンドグラスが割れ

美しいマリア像が無惨にも砕け落ちる

 

二足歩行型のドローンが4体、

容赦なく2人を追いかけようとしていた

 

「まずい……

ノブ兄!とにかく逃げないと!」

 

床に押さえつけていた宜野座の腕を無理やり引っ張り

教会の外へと走り出す

 

「ここから南西に向かえば車両が待機してるはず

……でもこいつらを始末しないと……」

 

「とりあえず話はあとにしよう

…片付けて、お前について行く」

 

「ドローン倒せるの?ノブ兄」

 

えー、大丈夫?というような目線を向ければ

宜野座はふざけるな、と昔のように声をかける

 

「日本製のドローン知識は

お前の兄以上に詳しい」

 

「…心強いね」

 

2人は息ピッタリで立ち止まると

追いかけ回す4体のドローンと向き合う

 

「俺は相手の銃口を破壊する

お前は本体をぶっ壊せ」

 

「私の役回り、しんどすぎると思うんだけど……」

 

その瞬間、2人はちりじりになれば作戦通り

ドローンを破壊していく

 

所詮、銃機能さえ壊してしまえば

何ら変哲もないただのロボット

あとは力もある、体術に長けた舞白が相手をすれば

何も問題はなかった

 

 

「あと1台!」

 

残り1台というところで予想していなかった事が起こってしまう

銃口は破壊されたものの、連射弾だった為か1箇所だけ上手く破壊できておらず、それに気づいた宜野座がドローンに近づく舞白を止めようと駆け出す

 

「待て!離れろ!」

 

「……っ!?」

 

舞白の正面に向けられる銃口

咄嗟のことで避けることは難しく

まずいと思った舞白は突発的に目を閉じる

 

 

「舞白!!」

 

舞白の体をギリギリで抱え込むように掴み庇う形に

運良くドローンの発砲を交わせば

宜野座はなんとか銃口を破壊した

 

そして傍らのおおきな穴にドローンは落ちていき

無事最後の1台も破壊することに成功

 

 

「……イタタタタッ……」

 

硬い地面に頭をぶつけた舞白、

頭を手で擦りながら上半身を起こそうとするも

宜野座が上にのしかかっている状況に謎に赤面する

 

「舞白……大丈」

 

「ちょっ……離れてよ!」

 

バッと宜野座の体を押せば離れる体

4年前とは違いメガネもかけておらず

髪の毛は後ろで結われており

全くの別人

 

「……なんか、垢抜けた……?」

 

「何の話だ」

 

「ううん、何でもない……

……ていうか皆と合流しないと……」

 

そう舞白が呟いた瞬間、宜野座のデバイスが鳴り響く

相手は常守だった

 

 

『宜野座さん!無事ですか?』

 

懐かしい常守の声にパッと明るくなる舞白の表情

 

「大丈夫だ、問題ない

…あと、狡噛舞白を確保している」

 

「……確保されたつもりは無いんですけど」

 

常守はデバイス越しに聞こえた舞白の声に笑みを浮かべる

そしてその声を聞いていた狡噛も

舞白が無事で宜野座と一緒だと知ると安堵する

 

 

『お二人共、無事でよかったです

こちらも狡噛さんと落ち合うことが出来ました

彼らの拠点に今から行く予定です』

 

「わかった、こっちも舞白に案内してもらい向かう」

 

『ギノ、妹を頼んだぜ』

 

「こ、狡噛!」

 

何も言い返せないまま通話は途切れる

ニコニコと横で微笑む舞白は

4年前と何ら変わっていなかった

 

 

「ほらほら、また敵さんに見つかる前に早く行くよ」

 

「……なぜ俺が指図されるんだ」

 

「だってこの辺りの地図、分からないでしょ?」

 

「…………ほんの数年前まで

俺に泣きついてた癖に……」

 

「う、うるさい!

ていうかその事、お兄ちゃんとか他の人に言ったら怒るから!」

 

バッと人差し指を宜野座に向ける舞白

懐かしい感覚に2人は内心喜んでいた

 

 

しかし、舞白の背負っているライフル銃やスコープ

若干変わっていた姿に、

宜野座は心配も含め、複雑な心境を抱えていた

 

数年前まで制服を着て、無邪気に笑っていたあの頃の舞白の気配が変わりつつある姿に、懊悩する

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

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