PSYCHO-PASS white referee   作:鈴夢

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残された遺物

 

 

・・・・・・・・・・・

 

激しい戦闘が行われたゴーストタウンから

北へ20km地点

雨も完全に止み、広大な土地、広い青空が一望できる丘の上

 

仲間達があちらこちらで重傷者の手当をしたり

備品の整備や休息をとっていた

 

 

「…よし、大丈夫だな、

次の奴運んできてくれ!」

 

「予備のモルヒネ、あの車の荷台にあるはずだから

それを使って!」

 

応急処置から軽傷者の手当まで

狡噛と舞白が皆に指示を出しつつ手際よく行っていた

 

それを遠目で見ているのは常守と宜野座

あんな戦闘がさっきまで繰り広げられていたのに、

ゲリラ隊の人間たちは戦闘慣れしているせいか皆明るい

異様な光景に2人は少し吃驚する

 

「……なあ、常守

直感で何か感じるものはあったか?」

 

「2人はテロ行為を幇助していない

…いえ、そんな事を彼らにする余裕なんて……」

 

「俺も同意見だ

舞白にその話をした時は全く意味さえ分かっていないようだった」

 

この2人がやはりテロ行為を企てるなんて

有り得ないと改めて考えていた

狡噛と舞白の反応を見る限り、嘘をついているとも思えない

 

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ベースキャンプへと戻る準備ができれば

次々と車に乗り込んでいく仲間達

 

狡噛と舞白も準備が出来れば残された1台の車に荷物を乗せていく

常守と宜野座も荷物の運び入れを手伝うことに

 

「常守さん、大丈夫ですよ

ノブ兄も車に乗っててくれれば…」

 

「いえ、手伝わせてください」

 

優しい2人の行動に笑みをこぼす舞白

 

「……久しぶりだな、ギノ」

 

「狡噛……お前…………」

 

狡噛に今でも殴りかかりそうな雰囲気を醸し出す宜野座を必死に止める常守

 

「殴りたきゃ、とりあえずここを離れた後だ

ここも安全な場所じゃないからな」

 

「そうさせてもらおう、狡噛」

 

懐かしい光景に常守と舞白は隠れてクスクスと笑う

そして荷物を運び込めば舞白が運転する車両へと3人が乗り込む

 

 

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「お2人はいつからシーアンに?」

 

車内に流れる西海岸風の音楽

舞白は微かに口ずさみながらハンドルを握る

常守の問いには狡噛がスラスラと答えていた

 

「ハッキリとは覚えちゃいないが

1年は経ってる、それまではアジア各国を回って来たさ」

 

「…お前ら、どうやってあの場所から日本を出たんだ」

 

「貨物船だ、

もちろん鎖国状態の日本から出ることなんてまず出来ない

警備も何も無い貨物船を使って

システムの再起動前に抜け出した」

 

「……だから痕跡も残らなかったんですね」

 

狡噛の知恵に2人は驚くばかり

舞白はバックミラー越しに2人の姿を見ると穏やかに微笑んでいた

 

「久しぶりに2人に会えて、私すごく嬉しい

…逃亡した身で言うのもおかしいけど……私」

 

言葉を続けようとした瞬間、ぼんやりとする視界

舞白の異変に気づく狡噛

助手席から身を乗り出してハンドルに触れれば

舞白に声をかける

 

「舞白?舞白!何で今…」

 

何とかブレーキを踏み込む舞白、

すぐさまエンジンを切れば、首を押さえ呼吸が荒くなる舞白

 

「舞白さん!?一体……」

 

「ちょっと悪い、待っててくれ」

 

狡噛は助手席から外へ出ると運転席へと回りこみ

外へと舞白を引っ張り出す

 

激しい頭痛に悶えそのせいか一気に血圧が下がり青ざめていく

吐き気を催し胃液を吐き出していた

 

「……ゲホッ……ゲホッ……はぁはぁ……、はぁ……」

 

「いつもより酷いな、まだ痛むか?」

 

様子のおかしい2人を心配し、居てもたってもいられず

常守達も車から降りると狡噛達に駆け寄る

 

「もしかして先程の戦闘で怪我を?」

 

「…そのようには見えなかったが……」

 

キーンと耳鳴りがすれば舞白は顔を歪める

激しく体力を消耗したせいなのか理由は不明だがいつもより激しい痛みに返答すらできない

 

幻聴のように聞こえてくるのは槙島の声

舞白は耳を塞ぎ首を振っていた

 

「…こりゃダメだ、

ギノ、助手席の黒いカバンに医療キットが入ってる

悪いんだがそれを持ってきてくれ」

 

「わかった」

 

宜野座は言われた通り車内の黒いカバンから医療キットを取り出す

中には様々な鎮痛剤と注射器のみが入れられており

狡噛が用意した特殊なものだと理解した

 

医療キットを手渡し、中から鎮痛剤と注射器を取り出す

依然として苦しそうにしている舞白

背中を擦る常守を横目に、狡噛は舞白の腕に鎮痛剤を打ち込む

 

 

「…狡噛、一体……」

 

常守も同じく狡噛に目を向ける

 

 

「槙島だよ

…あの事件の時の遺物、舞白はそう言ってる

ご丁寧に外形動脈の近くにチップ型の爆発物を埋め込んでくれてな

取り外すことはまず難しい

その後遺症だ」

 

当時、機転を聞かせてなんとか爆発は止めたものの

取り除くことは医療の整っていないこの環境ではまず無理だった

不規則に現れる痛み、本人にもその引き金は分かっていなかった

 

「車は俺が運転する、

ギノは後部座席で舞白の様子を見ててくれ

監視官、あんたは助手席で念のため周りの警戒を頼む」

 

舞白を抱き上げ車両へと戻る

後部座席で宜野座の膝に頭を乗せ横たわる舞白

まだ耳鳴りがするのか周りの声は聞こえていなかった

視界もぼんやりと目眩を起こす

 

「……槙島、最後の最後までやってくれましたね」

 

まさか、こんなものを残すなんて、と

常守は外を見ながら呟く

 

「もしかしたら、日本に戻れば取り除くことが出来るかもしれない、でもこいつは絶対に戻らないってな

…それに、甲状腺もやられてる

その異物が誘発した可能性は低いが

髪の毛が真っ白なのもそれが原因だ」

 

日本にいた頃より痩せている舞白

食事は変わらず取っているが甲状腺異常なのかどれだけ食べても太らない

体温もやたら高く、何かの病にかかっているのは明白だった

 

 

そしてしばらくすると寝息を立てる舞白

その様子を見た3人は安心し安堵の表情を浮かべた

 

そっと舞白の顔を撫でるように触れる宜野座

寝顔はあの時と変わらない、子供のままだった

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

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