PSYCHO-PASS white referee   作:鈴夢

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強い意志

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

時刻は15時過ぎ

車を走らせ続けると狡噛達のベースキャンプが現れる

美しい建造物に常守と宜野座は目を奪われていた

 

舞白は鎮痛剤の効果もあってか目を覚まさず

ぐっすりと眠っているようだった

 

舞白を抱えている宜野座は

あまりの軽さに心配そうにしていた

 

 

「…こんなにも人がたくさん……」

 

ベースキャンプには多くの人々

女性や子供も含め皆生活をしていた

 

そして狡噛がすれ違う度に皆が手を合わせ頭を下げる

彼らは狡噛や舞白を"導く者"として神格化されていた

 

 

「戻ったか、狡噛」

 

建物の中から歩み寄ってきたのはセム

見慣れない2人の姿、セムは会釈をする

 

「彼らは……説明するのは難しいんだが

とにかく敵じゃない、俺と舞白の客だ」

 

常守と宜野座もセムに頭を下げる

 

「…あなた方も狡噛達に導かれたのか

ならば同志だ」

 

セムは握手を交わそうと手を差し出す

そしておだやかに頬笑みを浮かべる

「俺はセム、ここのリーダーをつとめている」

 

「常守朱です、こちらは宜野座伸元…」

 

常守とセムは握手を交わす

そして宜野座に抱えられている舞白に目をやればセムは心配そうに狡噛に問いかける

 

「マシロは?」

 

「大丈夫だ、眠っているだけさ」

 

「なら良いんだが…

とにかくすぐに部屋へ運んで休ませよう」

 

セムは2人を中へと案内する

 

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┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

石材でできた階段を上がっていくと

中は神秘的な空間が広がり、中央の広間では人々が祈りを捧げていた

 

 

「セム、今日も多数の死者を出した

…すまない」

 

回収した大量のドッグタグをセムに手渡す

 

「いや、お前が居なければ皆死んでいた」

 

セムはドッグタグを片手に狡噛の肩を叩く

2人の姿を背後から見ていた常守と宜野座は

狡噛とセムの深い関係性、また穏やかなセムの人柄に

テロを企てるような雰囲気は全く感じなかった

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

「ここが舞白の部屋だ

適当に降ろしたら、俺の部屋に来い」

 

舞白の部屋の扉をトントンと叩けば狡噛は指示を出す

先に常守と狡噛は隣の部屋へ入り

宜野座は同時に舞白の部屋へと入る

 

 

「…入るぞ、舞白」

 

角部屋ということもあり陽もしっかりと入っていて

ベッドとソファ、テーブル

それ以外は特に何も目立つものは置いていなくかなりシンプルな部屋だった

 

テーブルには瓶に入れられた白い花

本が数冊、そして痛み止めだろうか

錠剤も転がっていた

 

あまりまじまじと見るのも申し訳なくなり

ベッドへと舞白を降ろす

全く起きる気配は無く、すーすーと寝息を立てていた

 

 

傍らの椅子に腰を掛けると

何気無く舞白を見つめる

そっと頬に触れ、かかっていた髪の毛をサラッと退かす

 

日本では考えられないあの戦場

大量の死体、凶暴なドローン

あんなものを相手に舞白は変わってしまった

無邪気な笑顔も、この寝顔も昔と何ら変わってない

しかし、あの場所で、

教会で再会した時、彼女の目付きは別人だった

 

 

その瞬間、トントントンとノック音が響く

狡噛は入口の壁にもたれ掛かり、なかなか自室に現れない宜野座を心配し舞白の部屋の部屋を訪れる

 

「…こんな事言うのも何だが、お前と舞白が再会できて俺は良かったと思ってる」

 

「急にどうした、狡噛」

 

思いがけない言葉に宜野座は内心驚いていた

舞白の頬から手を離し、再び寝顔を見据える

 

「再会した時、互いに銃口を向け合った

…目を見た瞬間、正直恐怖を覚えたよ

やはり、お前の妹だな」

 

「………」

 

「背中に背負ったライフル、躊躇なくドローンに突っ込む姿、体格差もある俺を簡単にねじ伏せる力

…なぁ、狡噛

正直俺は、今の舞白が怖いんだ」

 

宜野座はゆっくりと腰を上げ、部屋の入口へと体を向ける

 

「このまま、妹に人を殺す術を、

武器を握らせるつもりなのか?」

 

狡噛はタバコに火をつけ煙を吐く

 

「舞白は自分の意思でここまで生きてきた

自ら、この道を選択した

…それに、俺は信じてる、

こいつは絶対に誤った道は選択はしない

すぐに武器を捨てさせ、平和な環境に戻す

……そんな事を他人が考えるのはお門違いだ」

 

本人の意思、もう子供じゃない

意思決定をしているのであれば他人がどうこう口出しは無用

 

「舞白には俺と同じ血が流れてる、分かるだろ?

…本当にこの世界から抜けさせたいと思うなら

首輪を付けて、檻に入れて手懐けるしか方法はないさ

それくらい、あいつは折れ曲がらない強い意志を持ってる

それを理解してやれとは言わないが

少なくとも、お前には理解して欲しいと一番望んでるのは舞白だ」

 

"じゃ、待ってるぜ"と最後に呟けば

狡噛は部屋を後にする

 

 

 

狡噛の言葉に何も言い返すことは出来なかった

その通りだと、ここから抜けさせて、銃なんて手放させてやりたいなんていう気持ちは

舞白の強い意志を侮辱しているのと同じだった

 

 

宜野座はベッドの傍らに置かれていたタオルケットを舞白にかけてやると

部屋を出ていく

 

 

 

部屋の扉が閉められたあと

舞白はゆっくりと瞼を持ち上げる

 

 

「……もう、子供じゃないんだよ、ノブ兄」

 

 

腕を目元に乗せれば微かに笑みを浮かべる

一筋の涙が頬を伝っていた

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

 

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